日本の漁業が崩壊する本当の理由 片野歩

世界中で魚類資源が増えているのに、日本だけが減っている。
この現実を、恥ずかしいと思うべきである。

日本の漁業が崩壊する本当の理由.jpg

すべての漁協組合長、理事、参事、そして、任意の漁業団体の会長以下すべての役員たちは、この本を読むべきだ。
読みたくないならば、「日本の漁師は大バカものだ」を参照すること。
これを認識できないならば、役職に就く資格はない!

2026年03月08日

うねりなら、4mでも大丈夫だなあ

こんにちは。

金曜日の日(6日)に、意を決して沖に行ってきた。
あまりに悪天候が長続きするし、下北から来ているいさだ乗組員が積極的だし。
波高4mの予想だったので、通常営業の2人なら行かないのだが、まあ、若い気を起こしてしまって、行ってきた。
ゆっくり巻けば、けたも切れないだろうと。
その2日前も波高が3m以上はあった。

お天気は晴天で、黒森山もはっきり。

黒森山.JPG

うねりに隠れていたフェリーが出現。

黒森山2.JPG

帰港中には、あまり見たこともないフェリーが南下していった。

NIPPON EXPRESS.JPG

「NIPPON EXPRESS」と書かれてある。
私は、日本で日本人が日本を表記する場合、「japan」は間違っていると思う。
「nippon」が正しい。
サムライジャパンなど、クソ喰らえだ。
サムライニッポンが正しい。
原住民の言葉で表記しろ!
イラン原住民たちをないがしろにするトランプアメリカには、本当にがっかりした。

大好物の毛つぶが、2個。

大好物の毛つぶ.JPG

これぐらいの大きさのはあまりないので、貴重なおかず。
誰も怖がって食べない。
美味しいのに。

帰ってきたら、猫ちゃんがお出迎え。

猫ちゃん.JPG

この猫、隣の家の奥さんが入院して、その後、主人が孤独死したため、妹がかわいがって飼うことに。
私には、ぜんぜんなつかない(笑)が、テレビでも猫ちゃん番組が多くなっていて、まあ、癒やしだなあ。
結果、以前のように、堂々と家の中に、魚を干すことができなくなった。

たぶん、今年は、いさだ漁をやらない。
20代から30代の若い乗組員募集中で、その彼らに、いさだ漁業を経験させておきたかった。
しかし、なかなか出現しない。
今年はあきらめたが、来年こそ!

毛がにのかごは、私の場合、途中でいさだに切り替えるために、4本しか沖に入れてない。
あと1本入れようと、道具を作っている。

かごけた.JPG

使用済みの道具はあるのだが、このロープは、昨年、ダンスーパーというロープの撚りの少し堅いのを買っておいて、それを試すために。
もし、あまりに使い勝手が悪かったら、瀬なわに使う。
私は、甘い撚りのロープが好きでない。
耐久性がない気がするから。

それにしても、農業にしろ、漁業にしろ、悲惨だ。
20代、30代というネオ世代がいない。
人を最も幸せにする食べものを生産できなくなったら、その国は滅びる。
AI、とバカの一つ覚えでモノを言う人がいるが、少なくとも、小型船の漁船漁業は、人間なみの手先の器用さとトラブルに対応できる機能を人型ロボットに持たせないと、絶対に無理である。
これは、スマホ中毒世代の20代の乗組員が言っていることである。
彼には「2年で覚えろ!船をあげるから」と言って、その気になっていただろうが、今では、「2年では無理です」と申告された。
どうなんだろう。
生身の人間でさえ無理だというのだから、ロボットには、もっと無理だろう。
ロボットに任せたら、たぶん、帰ってこれない。


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2026年02月26日

楽天ケータイから カロッツェリアの無制限Wi-fi

4回目。

沖では、最強プランは使えない」ために、楽天モバイルは解約した。
解約時もすべてネットでやらなければならない。
チャットで解約手続きをするのだが、登録メールアドレスに、ワンタイムパスワードが送られてこない。
1回目は、面倒くさいので、解決はあきらめた。
しかし、いろいろと考え改めて、再度、解約手続きに挑戦。
やはりワンタイムパスワードが送られてこない。
いろいろとやっているうちに、ようやく来た。
なぜ、こんなに時間がかかるのか?

楽天は、都会しか相手にしないようだ。

https://www.itmedia.co.jp/mobile/articles/2602/12/news113.html(「ITmedia Mobile」)


ちょっとした広告から、カロッツェリアの無制限Wi-fiを知る。

https://shop.pioneer.jp/products/dct-wr200d(「パイオニア」)

車で良いのだから、船でも良いだろう、と思った私がバカでした。
オートバックスで買ってやってみたが、やっぱり船はダメみたい。

最初は、電源電圧の制限で、制御しているのかなあ、と思った。
エンジンがかかっていれば、電圧は高く、停止すれば、電圧は、24Vか12V。
この変化で、車が停止すれば、きっとWi-fiが止まるのかと。
しかし、違った。
なぜ、車の移動中だけ使えるのか、これは何を感知して、制御されているのか?

結論は、たぶん、電波を拾う基地局の変化に依存するではないか。
車が移動すれば、ある程度走れば、送受信する基地局は変わる。
この変動がなければ、停止しているとみなし、Wi-fiは止まるのではないか。
停止していて使えるWi-fi時間は2時間であり、実際に、2時間経って、車を動かし始めても、しばらくは停波している。
しかし、ちょっとばかり長く走ると、Wi-fiは有効になる。
だから、基地局の変動により、車が走っているかどうかを判断しているものと思われる。
この考えに従えば、海岸線に沿って、船を走らせる分には使えるのではないか、と思う。
どこかへ船で移動するときに、やってみよう。

でも、このWi-fiは、私の場合、コスパは良くない。
きっと、長距離トラックの運転手には重宝だと思う。


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日本の男をダメにしたのは、スマホ中毒を放置した親や社会である

3回目。

その後、今度は、繋温泉に行ってきた。
あこがれのホテル大観に泊まるため。
御所湖の繋大橋の真ん前に建っていて、宿泊客にとって、眺望は絶景だと思われる。

繋大橋.JPG

中国からの客が途絶えているせいか、前日に予約ができた。
それが、何と!一人なのに、ツインルーム。
とにかく、空室を埋めろ、ということなのだろう。
しかも、休暇村網張温泉に比べると、安い!
ただ、お酒を一杯、ということではなく、酒を飲みたい場合は、飲み放題プランが必要で、プラス1100円だった。
一杯ではなく、いっぱいだった(笑)。

ただし、だ。
同じバイキング形式でも、おかずの中身は、休暇村に軍配があがる。
やっぱり料金が高いほうが、良いのか。

どこの温泉もそうだが、今や、外国アジア人が従業員となって働いている。
ちゃんと仕事をしていて、素晴らしいと思う。
盛岡のような中都市のコンビニでも、アジア人が働いている。
あのような雑多な仕事の多い職場でも、アジア人が活躍している。

それに引き換え、甘やかされて育った日本の若者は、何と情けないことか。
少々の小言を言えば、パワハラだとして、すぐに辞めていくそうだ。
その裏では、SNSを使って、愚痴や要らない噂をばら撒いている。
日本をダメにしているのは、このような若者と若者をこしらえた親たちなのだ。
そして、スマホ中毒を放置した社会である。
私のように、スマホを取り上げ、それで叩くくらいでないと、子どもはダメになる。
あ〜、困ったものだ。

今や、男のほうが軟弱で、女のほうがたくましい。
最近は根性がなくて口先だけの、頼りない男が増えたなと感じたりもしますよ。」だって!

https://www.webcartop.jp/2026/02/1824764/(「WEB CARTOP」)

トラックドライバーコンテストでは、女性チームが優勝!
これからは、結婚して子どもができたら、世話は男がやる時代かもね。

https://www.webcartop.jp/2026/02/1813763/(「WEB CARTOP」)

ネトウヨやそれに類する人たちは、日本に進出する外国人を非難する前に、日本の若者、特に男を鍛えたらどうだ!
日本人の誠実さ、勤勉さがなくなったから、外国人に占領されるのだ。



追記の関連リンク

外国人が悪いのではなくて、日本の制度のほうが悪いのに、「今、止めよう、移民」ではないと思うけどね
外国人が国民と同じように健康保険に入れたり、生活保護を受けられる国は日本くらい
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回航前日

ふたたび。

船を回航した時の話。

北海道では、船の売買の前に、検査が必要なのだそうだ。
そのために、奥尻にあった船を江差に回航してもらい、そこで検査を受けてもらった。
検査後、何日もしないうちに引き受ける約束だったので、そのまま江差港に置いてもらった。
したがって、私は、江差から宮古まで回航するだけであった。

前日に北海道へ渡り、あわび山荘というところに泊まった。
どこでもよかったのだが、大成の知り合いに久しぶりに会うことにしたため、レンタカーを借りたついでに、温泉に泊まることにした。
知り合いには、奥尻に仲介者に連絡を取ってもらうために、少々お世話になった。

大成町には久遠港があり、そこで落ち合うことにした。
途中のドライブで、道の駅があった。
そこのトイレを借りたりしたが、日本海側は寂れている。
寒村が多く寂れている三陸沿岸よりも、さらに過疎が進行し、廃家がそのままにしてあったりする。
道の駅など、ぜんぜん賑やかではない。
よくわからないが、漁業や農業は、それなりに事業として成り立っているのだから、もう少し何とかならないものか、と思う。

泊まったあわび山荘は、満足した。
温泉は、入浴しても疲れなかったので、たぶん、アルカリ性だと思う。
アルカリ性温泉は、美人の湯だ。
高齢の亀が一匹いた。
寂しそうだが、今から何年生きるのだろうかと、つまらないことを考えた。
夕飯は大満足。
おかずが多くて、ついでに飲みすぎた。
朝食も大満足。
再び行きたいと思ったが、あまりに遠い。
岩手には、良い温泉があるので、北海道へ行くカネで、何泊もできる。
行けない。

大成の知り合いは、組合経営の養殖が一発でダメになったと、こぼしていた。
宮古漁協と同じトラウトサーモンが全滅したそうだ。
報道もされた。

https://www.uhb.jp/news/single.html?id=56039(「北海道ニュースUHB」)

翌日は、いよいよ回航だ。
午前中のフェリーで、船主と仲介者が来ることになっていた。
親切な仲介者は、何と!奥尻町議会の議長だった。
いか釣り船も持っていて、現役漁師である。

昨年秋に、ご存知の通り、小型いか釣りは、水産庁から操業停止命令を受けて、操業できなくなった。
しかし、北海道では、道枠から配分され、その量は少ないながら、小型いか釣り船は操業できることになった。
そのことで私は、親切な仲介者に、次のようなことを言ってきた。

北海道でも、地元でしか操業しない船がある。
最後の少ない漁獲枠は、そういう船に配分するべきですよ、と。
青森や岩手でたくさん獲っていた船は、譲ることを考えるべきである。


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7トン型の中古いか釣り船

こんばんは。

大して忙しいわけではないが、やることがたくさんある。
というわけで、お久しぶりです。

昨年暮れ、北海道から中古船を買ってきた船の設備更新のためだ。
奥尻島とセイコーマート」は、船の下見に行った時のこと。

回航の時は時化模様で、地元の人によると、走るくらいは大丈夫だ、とのこと。
しかし、思ったよりも悪かった。
北西の風なので、奥尻島の陰を過ぎたら、不安になるくらい揺れた。
特に、江良沖から松前沖までが悪かった。

江良沖.JPG

何と!船には、ライフジャケットがなかったから、万が一のことがあれば、お陀仏だなあと思いながら、船を走らせた。
すれ違った貨物船は、たったの一隻。
それでも、ちゃんと帰ってきたから、7トンにしてはこの船は乗れる。

恵美寿丸.JPG

いか釣り機械は、八戸で機械屋さんにあげたから、高浜に来た時には、すでにない。

恵美寿丸2.JPG

流しも取り外し、集魚灯も要らないから、欲しい人にあげて、段々と電球が減っていく。

恵美寿丸4.JPG

最後は、全部なくなった。

恵美寿丸3.JPG

トランスもボロなので、欲しい人にはあげた。
電線を外しながら、トランスを船底から上げている最中、電線が融けているのには驚いた。

終わっている電気設備JPG

2kw2灯用トランスの電源線が細すぎたため、融けたものだろう。
何しろ、3.5スケア1本で電源を引いていたから、熱がかかった時に徐々融けたのだと思われる。
どこの電気屋がやったのか知らないが、こういう電源線が2本いた。
八百長工事もいいところ。
電気屋でない私でも、こんな工事はしない。

この船は、私の船よりも船令が2年ほど若い。
しかし、手入れが悪いせいか、設備更新もあまりしていないのか、あちこちが腐っている。
ソケットは、すでに終わっているものがある。

終わっている電気設備2.JPG

ハロゲン用ソケットなど、ちょっとした衝撃でご覧のとおり。

終わっている電気設備3.JPG

ハロゲン用ソケットは、ハンガーだけとって、すべて廃棄。
誰も持っていかなかった電球は壊して、例の通り、ガラス屋さんに産廃物として受け取ってもらった。
請求書がなかなか来ない。

廃棄電球.JPG

ブリッジの中を掃除していたら、ホッカイロが出てきた。
これは、腰痛対策として使える。

ホッカイロ.JPG

しかし、有効期限が2011年!

ホッカイロ2.JPG

硬くなっていて、貼っても少し温かい程度で、午前中とかしか持たない。
勉強になった。
ホッカイロは、ダメになる時は硬くなるんだなあ。

エンジンは一度もオーバーホールしていないようで、しかたがないので私がやることに。
そういうことも勘案して、仲介してくれた人が「半値でいいよ」と言ってくれたので、快く回航してきた。
私は、仲介者に恵まれたと思う。
もし、言い値でもってきたら、ガックリきた。

それでも、十分にガックリきた。
ソナーがフルノのCH37だったので良いと思ったが、向こうでは正常だったのに、こっちでスイッチを入れたら、ブラウン管が点かない。
電源自体は入って操作はできるのだが、映らない!
無線屋によると、ブラウン管の寿命で、「まあ、やってみる」と修理にチャレンジ。
結果はダメだった。
あとはどうするか、だ。

私は、この船で何をやろうとしているのか、というと、9.7トン型よりも小さい船で、夜いか操業で成功できるのかどうかを試したいのだ。
今や、9.7トン型のいか釣り船でも、造れば1億円を超える。
こんなバカ高い船では、おそらく、かけたカネの回収は無理だろう。
だから、あとは、小さい船で夜いか操業で採算がとれるかどうかを実験的に試したい。

悠々自適に操業したいから、という理由もあるが、それならば今の船でも十分だ。
ところが、このまま終わっては面白くない。
せっかく、ネオ世代の乗組員が残っていてくれているのだから。
そこで、いろいろ考えている。
宮古にいる人たちは、すでに、私が何をやろうとしているのかをわかっている。
あとは、ネオ世代の人たちに、その気持ちがあるかどうか、が問題である。


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2026年01月31日

理性が溶けるって?

5回目。

うまいものではないが、まあ、ご飯のお供。
ドンキホーテで売られているド製品。
名前に騙されて買ったふりかけ。
理性を溶かす旨さ」だそうだ(笑)。

ドンキふりかけ.JPG

しかし、これには、バターを混ぜるために、乳化剤が混ぜられていて、不健康食品である。

で、詰替え用には、乳化剤は入っていない。
こちらは、「理性を食欲に変えてしまう」そうだ(笑)。

ドンキふりかけ2.JPG

最初のは、「ごまにんにくバター醤油味」。
次のが、「ごまにんにく」。

旨ジュワ」「ヤバ旨」と、とにかく気を引く言葉が書かれてある。
ドンキ製品の特徴である(笑)。

これを食べれば、みんな、きっと平和になる。


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平和への鍵 2

4回目。

アンパンマン、及び、「逆転しない正義」というのは、やなせたかしの戦争体験から生まれる。
戦場で飢えて、他の苦痛よりも、一番耐え難いのは、空腹だ。
それが彼の結論であり、空腹では、心も惨めになり、尊厳すら奪う。(※1)
戦争は、たださえ空腹を伴うから、尊厳を奪う。
その戦争は、当事者どうしの「正義」を主張するあたりから始まり、負けた側の「正義」は、簡単にひっくり返る。
その後、勝った側の「正義」も、否定されることがある。

何だ?
この「正義」とやらは?
やなせたかしは、本当の「正義」は、人間に必要な食べものを与えることなのだ、と結論した。(※2)

彼は、その後、遠いアフリカの戦乱で、飢えた子どもたちの写真を見てショックを受けた。
これが、絵本『あんぱんまん」を生むことになる。(※3)
それだけではない。
彼は、絵本の「あんぱんまん」に、犠牲心と勇気を与えた。(※4)

アフガニスタンで殉職した中村哲さんも、人を救うのは、薬ではなく、食べものだ、と言った。
そして行動した。
医師であることより、食べものを生産することのほうが大事だと考えた。
彼は、重機のハンドルを握り、荒地に水をひくために、土木工事を行った。
あんぱんまんと共通しているのは、食べものである。
人間を救うのは、どうでもいい幸福論などではなく、食べものなのだ。

現代社会は、デジタル中毒で、食べものの生産に関して、若者たちの大多数は見向きもしない。
コスパは悪いし、タイパも悪い。
就農者や就漁者は激減し(すでに激減しているが)、農作物や養殖漁業などは、いずれ工業生産化されるだろう。
食糧は、大手の工場に支配されるか、食糧難になるかのどちらかだ。
工場化されたら、きっと、添加物などの薬品まみれになり、人間はますます弱くなる。
アンパンマンの見る未来は、決して明るくない。

これを逆に考えれば、農業や漁業が栄えることで、健康的な食べものが提供され、平和を呼ぶような気がする。
少々「風が吹けば桶屋が儲かる」的ではあるが、平和は美味しいものを飲み食いすることで維持される、と結論しよう。



(※1)
 上海決戦はなかなか始まらなかったが、いったん始まれば長期戦になる見込みだという。そこで、食糧をぎりぎりまで切り詰めることになった。毎日の食事は、朝と晩の二回だけ。それも、お湯の中に少しだけ飯粒が入っている薄いおかゆである。空腹でからだがに力が入らず、みんな少しずつやせていった。
 ひもじさのあまり、嵩たちはそのへんに生えている草もゆでて食べた。しばしば腹をくだしたが、何も食べないよりはましだった。
 タンポポもよく食べた。タンポポはからだに害がないが、ひどく苦くてなかなかのどを通らず、むりやり飲み込んだ。 
 最後は、上官が茶を飲んだあとの茶がらも食べた。空腹があまりにもつらく、腹にたまるものなら、もう何でもよかったのである。
 飢えることの苦しさを、このとき嵩ははじめて知った。軍隊に入ってからずいぶんと殴られたし、けがもした。馬にけられて歯も折った。行軍ではふらふらになり、マラリアにかかって高熱にうなされたときは、このまま死ぬのではないかと思った。だが、そんなこととはくらべものにならないくらい、ひもじさは耐えがたかった。
「肉体的な苦痛にはいつしか慣れる。でも、空腹には決して慣れることができない。おなかがすくということが、こんなに情けなくて苦しいなんて」
 食べものがないと、からだがつらいだけではなく、心もみじめになる。精神がけずられ、気力がなくなってしまうのだ。飢えが人間の尊厳を奪うことを、嵩は心の底から実感した。
(「やなせたかしの生涯」p94)

(※2)
 嵩の心を深く傷つけていたのは、信じてきた「正義」が突然ひっくり返ったことだった。
 戦争が終わり、平和がやってきたのは本当によかった。だが、そのとたん、政治家も役人も教師も、新聞やラジオなどのメディアも、日本軍は中国人をしいたげた悪魔のような存在だったと言いはじめた。正義の戦争をしていたのは日本ではなく、勝ったアメリカや中国の側だということになったのだ。
 たしかに、よその国を武力で侵略しようとした日本は間違っていた。自分たちに何の抵抗もしなかった福州や泗渓鎮の人たちも、納得して迎え入れたわけではなく、軍を怖れて迎合していたのだろう。
 では、勝った側は百バーセント正しかったのか。そうではないはずだ。それに、正義のためなら死んでもしかたないと思っていた自分は、いったい何だったのだろう。戦友や弟は、何のために死んだのだろう。そんな疑問が頭から離れない。
 考え続けた嵩は、一つの考えにたどりついた。それは「ある日を境に逆転してしまう正義は、本当の正義ではない」というものだった。
「どの国も、自分たちこそが正しいと思って戦争する。だが、戦争は結局、殺し合いなだ。それぞれがいろいろな理屈をつけて戦うが、正義の戦争などというものは、ないんだ」
 では、ひっくり返ることのない正義はあるのか。どの国の国民であるかに関係なく、「これが本当の正義だ」といえるものが、この世にあるのだろうか。
 トラックの荷台の上から、嵩は毎日、空襲で焼かれた街と、そこで生きる人たちの姿を見た。高知市は戦争末期の1945年(昭和20年)に8回にわたって空襲を受け、とくに7月4日の大空襲は、1時間のうちに400人以上が亡くなるという凄惨なものだった。市内にはまだがれきが残り、焼失をまぬかれた高知城の天守閣だけが高くそびえていた。
 あらゆるものが不足する戦後の世の中を、みな必死に生きていた。まず必要なのは食べ物である。
 嵩は復員してきたとき、故郷で汽車を降りて蜜柑を1個買ったが、昔は2銭だった蜜柑が20銭になっていて驚いた。戦後は配給もとどこおりがちで、生きるために必要な量を調達するには、農家を訪ねてきものなどを交換してもうらうか、空き地に庭に自分で畑を作るか、闇市で買うしかない。
 廃品の回収をしているとき、嵩は食べ物をめぐる争いやだまし合いを何度も見た。一方で、わずかな食料を分け合う人たちの姿もあった。
 自分は食べずに子どもに食べ物を与える親は多くいた。嵩が強い印象を受けたのは、子ども同士で食べ物を分け合う姿だった。ひとつの握り飯を分け合って食べる幼い兄と弟を見たときは、千尋のことを思い出した。
 もし、ひっくり返らない正義がこの世にあるとすれば、それは、おなかがすいている人に食べ物を分けることではないだろうか ― 嵩はそう思うようになった。
 命が大切であることは、世界中どこへ行っても、またどんな時代にあっても変わらない。戦争は人を殺すことだが、食べ物を分けることは人を生かすことだ。
「そうだ、ぼくはだれよりもそのことを知っているんじゃないか。戦時中、ひもじさに泣いたとき、ぼくはだれかに助けてほしかった。あのときの自分より、もっとおなかをすかせた人たいる。栄養失調で死んでいく子どもだっている。飢えている人を助けるのは、国も時代も関係なく、正しいことのはずだ」
 この思いは嵩の中で生き続け、長い歳月をへて、誰もが知るヒーローを生むことになる。
(前掲書p114)

(※3)
 ビアフラ戦争とは、ナイジェリア東部に暮らすイボ族が、ビアフラ共和国として分離・独立を宣言、これを認めないナイジェリア連邦共和国政府との間で起きた内戦である。結局は鎮圧され、飢餓と病気、虐殺によって150万を超えるイボ族の人々が死亡した。
 悲惨な状況を伝える報道が続く中、世界中が特に大きな衝撃を受けたのが、飢餓によって死に瀕した子どもの写真だった。やせ細った手足、浮き出たあばら骨、栄養失調の特徴であるふくらんだ腹、うつろな目 ー。
 ビアフラ戦争の真っ最中だった1969(昭和44)年に嵩が書いた「元祖アンパンマン」、つまり人間のおじさんの姿をしたアンパンマンがパンを届けた相手は「戦争が続いて、野も山もすっかりやけただれた国」の「荒れはてて砂漠のようになった土地」で、「なんにもたべるものもなく死にそうになって」いる子どもたちだった。まさにビアフラの状況と同じである。この話の挿絵に嵩は、やせて頬がこけ、目ばかりが大きい少年を描いている。
 めざましい経済成長をとげた日本だったが、このときまだ終戦から20数年しかたっておらず、大人たちのあいだには空腹の記憶が残っていた。いまも世界のどこかで飢えて死んでいく子どもがいるという事実をつきつけたのが、ビアフラ戦争の報道だった。
 元祖アンパンマンで描かれた「飢餓」が、絵本『アンパンマン』に引き継がれていることは、本文に加え、あとがきからも読み取ることができる。嵩ははじめての幼児向け絵本に、普遍的であり、かつ同時代的でもあるテーマを込めたのだ。
(前掲書p181)

(※4)
 嵩が絵本『あんぱんまん』の中でいちばん描きたかったのは、おなかをすかせた人に食べさせて顔がなくなってしまったアンパンマンが、エネルギーを失って失速するところだった。そこには「正義を行い、人を助けようとしたら、自分も傷つくことを覚悟しなければならない」という考えがあるそれは、ヒーローではないごく普通の人間にもあてはまる。
 自分の食べものをあげてしまったら、自分が飢えるかもしれない。
 権力に対して声をあげれば、自分の立場が不利になるかもしれない。
 子どもなら、いじめられている友だちをかばったら、自分がいじめの標的にされるかもしれない。
 それでも、どいうしてもだれかを助けたい、信念をつらぬきたいと思ったとき、勇気がわいてくると嵩は考えたのだ。
(前掲書p183)



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平和への鍵

3回目。

昨年放送された、NHK朝ドラの「あんぱん」は、平和を問う作品だった。
単純に、アンパンマンを作った作者と奥さんの物語と考えてもいいが、「やなせたかしの生涯」という本では、「逆転しない正義」の意味が強調されている。
著者である梯由美子さんの良心が光る作品である。

ドラマでは、夫婦とも、「逆転しない正義」をそれぞれ言っているが、実は違う。
言っているのは、考えているのは、やなせたかしさんだけである。
しかも奥さんの暢とは、幼少期には知り合っていない。
その辺は、フィクションである。

私は、朝ドラ放送中に、「やなせたかしの生涯」を買って読んでしまった。
ので、だいたいのドラマのあらすじを知ってしまい、途中から熱心に見なくなった。
本のほうが感動するし、中身がわかる。
読書というのは、とにかく、副産物の学びが多い。

奥さんの暢の言葉で「私が食べさせてあげる」というシーンがある。(※1)
これは、どこかで聞いたことがあるなあ、と思ったら、伊丹十三監督の「あげまん」という映画の宮本信子さんのセリフだ。
「あげまん」という映画の主題は、ズバリ、この言葉だ。
言葉をそのまま受け取って、怠ける人はアホであり、そう言われて奮起するのが、普通の男だ。
安心と励ましを同居させた言葉である。
「やなせたかしの生涯」は、昨年(2025年)が初版であり、「あげまん」公開は、1990年。
この同じセリフが、どう関係しているのかわからないが、良いセリフだと思う。

私は、アンパンマンをよく知らない。
子どもの頃に、アンパンマンがなかったし、子どもを持つ親でもなかったから。
妹の子どもたちは見ているから、やっぱり妹も見ている。
したがって、朝ドラで初めて、アンパンマンの中身を知った。
そして、「逆転しない正義」。
これが大事だ。
「逆転しない正義って、何だ?」から始まり、本を買って読みはじめた。

「やなせたかしの生涯」には、「やさしいライオン」という作品の紹介がある。(※2)
ショックを受ける物語であり、心の残る。
妹は、私が涙もろいことを知っているから、NHKのEテレで、たまたま「やさしいライオン」のアニメをやったのを録画しておいた。
ショックのあとには、涙が出てくる。
獰猛な動物がやさしいと、人間に殺されるのだから。

アンパンマンは、子どもたちの絶大な支持を得られている。
大人の都合で、なかなかアニメ化されなかったが、絵本「アンパンマン」が最も読まれている事実から、絶対に売れる、と信じた日テレのプロデューサーにより、アニメは日の目を見ることになる。(※3)
なぜ、子どもたちは、他の絵本よりも、アンパンマンを読むのか。
これが、平和への鍵であったのだ。

もしかしたら、日本が平和ボケの国であるのは、やなせたかしのおかげかもしれない。



(※1)
 漫画ブームのおかげで、嵩の仕事はどんどん増えた。やがて漫画家としての収入が三越の給料の3倍を超え、独立を考えるようになる。上京6年目の1953(昭和28)年のことで、嵩は34歳になっていた。
 このころ嵩と暢は、四谷の荒木町に住んでいた。戦後のインフレの中、夫婦共働きで懸命に貯金をし、42坪の借地に小さな家を建てたのだ。そのため住むところについては心配なかったが、定収入のない暮らしになるのはやはり不安だった。
 そんな嵩の背中を押したのは、このときも暢だった。
「会社、辞めなさいよ、なんとかなるわ。もし仕事がなければ、私が食べさせてあげる」
(「やなせたかしの生涯」p148)

(※2)
やさしいライオン
 ある動物園に、ブルブルという名の子どものライオンがいた。生まれたときに母ライオンが死に、ミルクが飲めずいつもぶるぶるふるえていた。同じ動物園にわが子を亡くした犬がいて、ライオンはこの犬に育てられることになる。
 成長したライオンは都会の動物園に移され、母犬と離ればなれになる。その後、サーカス団に売られて人気者になった。
 月日が流れ、ある夜、檻の中で眠っていたライオンの耳に、母犬のなつかしい子守歌が聴こえてきた。
「おかあさんだ!」
 ライオンは思わず檻をやぶって町に飛び出した。
 ひたすらに駆け、町はずれの丘で見つけた母犬は老いて死にそうになっていた。
「おかあさん!こんどこそはなれないでいっしょにくらそうね」
 そのとき、ライフルを手に追いかけてきた警官隊の隊長が「撃て!」と命令した ー。
(前掲書p165)

(※3)
 だがアンパンマンは、絵本という限られた世界でのヒーローであり、一般の知名度は低かった。嵩はそれでかまわないと思っていたが、奇跡はさらに続く。
 1980年代、アンパンマンをテレビアニメ化したいという話がくるようになった。担当者はみな熱心だったが、テレビ局の上層部からOKが出ず、なかなか実現しなかった。
 NHKからも企画が持ち込まれたが、最終的には没になった。嵩があとで聞いたところでは、いくつかの候補の中で、アレクサンドル・デュマの「三銃士」と「アンパンマン」が最終候補に残ったが、採用されたのは「三銃士」のほうだったという。
 そんな中で、あきらめずに何度も会社に提案を続けた人物がいた。日本テレビのプロデューサー、武井英彦である。
 企画会議では却下につぐ却下。二度、三度と提案して没にされたが、めげずに五度、六度と説得を重ねた。だがそれでもOKが出ない。理由は、最初のころ絵本を非難した大人たちと同じ「顔を食べさせるなんて気持ちも悪い」、そして「テレビアニメとしてはインパクトがなくて地味」というものだった。
 嵩はあるとき「きみはどうしてそんなに熱心なの?」と武井にきいてみた。すると彼は言った。
「息子の通っている幼稚園で、手垢まみれのアンパンマンの絵本を見たんです」
 五歳の息子の幼稚園の参観日、武井は教室の後ろの本棚にあった、表紙の傷んだ絵本に目をとめる。ページの角はすれて丸くなっていた。タイトルは『あんぱんまん』。
 不思議だったのは、たくさんある絵本の中でこれだけがボロボロで、手垢がいっぱいついていたことだった。
 先生に、なぜこんなに汚れているのかと聞くと、子どもたちがとにかくこの本が大好きで、何度も読むからだという答えが返ってきた。
(税経書p219)


posted by T.Sasaki at 16:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 本の紹介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

よく見かける価格チャート

ふたたび。

みんなで一斉に銀を買え!」と書いたが、すごい暴落が起こっている。
その前に、すごい暴騰が起こった。
週末になったから、いったん金融市場は休み。

このことで、キャシー・ウッド氏は、「真のバブルはAIではなく、金市場で起きている」と言っている。

https://nofia.net/?p=34614(「BrainDead World」)

NISAなどで、株式チャートを見慣れている人はわかると思うが、極端な株価の上下というのは、よくあることだ。
これらは、マネーゲーム会社が、コンピュータやAIを使って売買をやり、一気に上がって、ところで売り、利ざやを儲ける手法なのだ。
自分の持っている株の株価を観察していると、突如、一瞬上がって下がる時がある。
私はこれを見ると、「バカたちが、またやっているな」と思うのだ。
放っておけば、正常に戻る。
私たち素人は、AIの裏をかくしかない。
生身の人間とAIの対決。
どっちが勝つか!

最終的には、「銀は、上がるのか下がるのか」のように、実需と通貨価値とのバランスだ。
魚など、いくら鮮度よく出荷しても、市場に余れば、暴落する。
私たちが常に経験していることである。
「放っておけ!」が一番だ。


posted by T.Sasaki at 16:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

選挙は、宗教に頼らないとやっていけないのかねえ

こんばんは。

ご存知のように、衆議院議員選挙がすでに始まっている。
私は自民党員であるから、岩手2区では、鈴木俊一氏に投票するしかない。
彼は、統一教会とも関係がなく、裏金とも縁がない。
私ごときと話をすることもないだろうが、彼は、人柄がいいと言われる。

鈴木俊一宮古事務所にたまに顔を出し、秘書へ、するめいかTAC問題の本質や2そう曳きトロールのことなど、説明したりする。
ここの事務員などは、5年くらい前の、するめいかTACオーバーに関する岩手日報への私の投稿を、事務所内の壁に貼ったりしてくれた。
不満はないが、秘書に話したことが、鈴木議員に伝わっているかどうかは怪しい。
私が言ったことに対して同意はするが、ホント、怪しい。
ただのなだめ役なのかもしれない。

宮古地区の自民党議員たちには、最大の不満がある。
基本的なことが、まったくできていないのだ。
そして、今回の解散総選挙実施の張本人、高市首相にも、大きな不満がある。
彼女の論理ならば、すべての首相は、就任時に、民意を問うため、総選挙を実施しなければならないことになる。
しかも、食料品に関しての消費税をゼロにするとは言ったが、「検討する」に変わっている。
消費税の減税発言で、日本の国債に信用がなくなった。
アメリカ国債に飛び火する可能性もあるという。

日本の課題は、高級官僚の天下りだ。
彼らは、退職間際になると、天下り先のことしか頭になく、真面目に仕事をしなくなる。
最初にやったのが、財務省だろう。
日本最高の頭脳がやるものだから、他の省庁が真似をして、歪んだ行政は治らない。
これに手をつけなければ、どの政党が政権をとっても同じである。
この辺のことは、「財務省は、日本最悪の組織だった」を参照してください。

水産庁のトップ官僚たちも、天下りをしているのか、と鈴木俊一宮古事務所で問うたら、「そうですよ」と軽く言われたから、事実だろう。
だから、各漁業のTACシェアで、沖底漁業が優遇されるような文書が作成されてきたわけだ。

これを簡単に解決できる政党が他にないのだから(実際にどこの政党もこの件に関しては何も言わない)、どうにもならない。
だから、自民党員のままで、「これでいいのか?」とブツクサ文句を言っていくしかない。

傍観者の目でみれば、統一教会から抜けきれていない組織と創価学会に尻尾を振った組織の戦い、ということになる。
宗教が絡まないと政治家をやれないなんて、何とも情けない!




posted by T.Sasaki at 16:17| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする