こんにちは。
ブログ冒頭にある本の著者が(PC版。スマホには表示されない)大船渡へ来て、講演会をしてくれた。
演題は、「日本の漁業はこうすれば復活できる」。
もちろん、私が依頼したわけではない。
岩手県の小型船の統括団体「岩手県沿岸漁船漁業組合」(略して沿岸組合)である。
私としては、特に目新しいものはなく、ただ聞いているだけだったが、どうやってもノルウェーの漁業に並ぶことさえもできない理由が、2つあると考えた。
ノルウェーの資源を維持する規制で、40cm以下のまだらは、漁獲禁止である、というのを、この講演で初めて知った。
現在の岩手の2そう曳きに適用したら、猛反対するだろう。
もちろん、小型漁船漁業の底延縄でも、猛反対すると思う。
ノルウェーの規制はそれだけではないだろうが、まずこの一つの規制だけでも、ノルウェーに並ぶことさえ不可能である。
二つ目の理由は、行政側が、まるっきりダメなこと。
これが、ノルウェーにかなわない最大の理由である。
水産庁をはじめ、
水産研究・教育機構(たぶん水産庁のいいなり)の研究者たちでさえ、やる気があるのかないのかわからない。
日本でも、TAC(漁獲可能量)を毎年設定しているが、その達成率が100%になることは、乱獲漁法(まき網、沖底)以外はないと言っていい。
近年では、乱獲漁法でさえ、するめいかの達成率100%になることもなくなっている。
ということは、最初から、TACの設定が高すぎるのである。
日本以外の国、特に北欧では、TAC達成率はほぼ100%となり、資源管理がしっかりしている。
TAC設定量過多の問題は、数年前から、全国の小型船からも指摘されていることであり、わが沿岸組合のいか釣り部会でさえ、指摘してきたことである。
それに対し、水産庁側は、非常に複雑な書面を提示してTACを設定しているが、資源状況は改善されない。
北欧などでは、魚類資源の悪化に対し敏感で、比較的早く問題解決へと取り組むが、日本のお役所では、自分の出世や地位維持しか考えず、現場の意見を汲むことはほとんどない。
何かあれば、力の強そうな人の意見しか聞かない。
私が、50歳以上のやる気のない公務員に、その役職を部下にゆずれ、と言っているのは、こういう理由からである。
これは、おそらく、すべての公務員に当てはまるだろう。
日本をダメにしているのは、私と同年代にある退職間近の公務員たちである。
講演会の最後に、質問コーナーが設けてあったが、しばらく誰も挙手しないので、私が質問した(その後、次々と手を挙げた。みんな本当は質問したかった。笑)。
2年前に岩手の2そう曳きはTAC制度に対する違法行為をやったこと、そのことに対し岩手県と水産庁に回答を求めたが、ほぼ無視した形の回答しかしないこと、これらの乱獲に対し、やめさせる方法は他にないのか、ということを質問した。
片野さんの回答は、あきらめないで訴えてほしい、と。
現在は、SNSで情報を広げることで、問題解決になっている場合が多いそうだ。
私は、昔、フェイスブックをやっていたが、友だち申請の受理のしかたで失敗し、やめた。
見るのが嫌になって、今でもやる気がない。
だから、若い人たちが、やってほしい。
片野さんの回答の中で、ちょっと思い違いした部分がある。
彼は、小さいするめいか、という言葉を使っていたが、私は質問で、大小のことは言っていない。
あの時に漁獲されたするめいかが、大きな個体だったのは、「
2そう曳きトロールは最悪の漁法」に書いてある通りである。
しかし、マダラやスケソウダラ、キチジなどに関しては、小さい個体を獲りすぎている事実は大きい。
あんな漁法ややり方では、世界三大漁場のこの三陸沖で、魚は増えない。
追記。
今年はたぶん行かないと思うが、片野さんと会えたのは、佐渡のD親分のおかげである。
この本は、D親分が「これを読め!」と言ってきたことから始まった。
それをブログにアップし、気がついたら宮古漁協の書棚にあった。
その他、私のファン(笑)の方々が読み、それが伝わったものと思う。
あらためて思うことだが、自分もダメだと思う。
しかし、次の二つは実行中である。
時化には出ない。
漁のない時には、頑張らない。
追記2。
沿岸組合の事務局から電話がきた時、「沖底組合の金沢会長にも出席を求めたら?」と言ったら、却下された(笑)。
このような講演会で、最も張り切ってもらいたいのが、親分たち。
各漁協の組合長、漁業別組合長などなど。
しかし、張り切っていたのは、大型サンマ船をたくさん所有する鎌田水産の社長と大船渡市長。
こういうのって、良いのか悪いのか。