日本の漁業が崩壊する本当の理由 片野歩

世界中で魚類資源が増えているのに、日本だけが減っている。
この現実を、恥ずかしいと思うべきである。

日本の漁業が崩壊する本当の理由.jpg

すべての漁協組合長、理事、参事、そして、任意の漁業団体の会長以下すべての役員たちは、この本を読むべきだ。
読みたくないならば、「日本の漁師は大バカものだ」を参照すること。
これを認識できないならば、役職に就く資格はない!

2017年08月14日

漁船漁業の近未来

再び、こんばんは。

スルメイカの大不漁で、イカ類の輸入を増やすようである。

 経産省は、日本近海でのスルメイカの不漁で加工業者の原料不足が深刻化している状況を受け、今年度輸入割当を3万8千トン追加する方針を決め、7月29日に追加案を公表、意見募集を始めた。追加枠は昨年度の2倍。当初の割当7万4950トンと合わせて今年度輸入枠は11万2950トンと過去最大となる。
 イカの輸入枠は平成19年、毎年度7万4950トンに設定。加えて過去3年間は不漁のため、追加輸入を認め、昨年度の追加枠は1万9千トン。輸入元は中国やタイなどが多い。
 輸入枠の増枠は、函館市、松前町や福島町の水産関係者が国に求めていた。
 追加枠の内訳は、輸入実績のある商社1万5250トン、水産庁が承認した団体(需要者)2万1650トン、海外漁場で操業する漁業者など1100トン。
 意見の受け付け期間は8月27日まで。追加枠の申請受け付け期間は商社割当=10月4日と同5日、需要者割当=9月28日から12月27日、漁業者割当=9月28日から30年4月16日。
(平成29年8月7日付「週刊水産新聞」9面)


この記事を読んだ時、少し考えた。

原料不足に悩む加工業界は、結局のところ、釣りとは違って、確実に一網打尽できるまき網漁業やトロール漁業の水揚げに頼ることになる。
しかし、いか釣り漁業者の総意は、資源回復するまでは、まき網漁業とトロール漁業は禁漁なのであり、これは筋の通った話である。
原料確保に悩む加工業界にとって、これらの漁業がするめいかを獲らないならば、あとは、輸入に頼るしかない。
そうだ。
加工業界をつぶさないために、この際、日本近海のするめいか資源が回復するまで、いかの輸入をどんどんやったほうがいい。

と考えたが、水産庁自体に、魚類資源を増やそう、という態度(つまり、まき網、トロール漁業に対する大幅な制限)が見られないし、「日本が獲らなくても外国船が獲る」という話から、「外国船に獲られるくらいなら、日本が獲ってしまえ」という話になる。
こうなると、外国の側(中国や韓国など)は、「日本は今まで獲ってきたじゃないか。我々に獲らせないなんて、卑怯だ」と言うだろう。
例の二酸化炭素排出削減の話と一緒だ。
これでは、この東アジアでの資源回復は、ますます望めない。
日本の漁師は大バカものだ」で引用したFAOや世界銀行の予測は、確実に当たる。

さんま業界も同じかもしれない。
外国船がさんまを公海で獲っているから、日本も獲り始め、それが資源減少の原因である、という人もいる。
本当のところ、どうなのかわからないが、「外国船が獲ってはならん」という法律は、どこにもない。
相手も、大して変わらない頭脳を持っている同じ人間なのだ。
今までたくさん獲っていた日本が、今さら、「資源管理しよう」と言っても、マグロ資源管理の会合で口裏あわせをやっている水産庁の態度を見せられると、説得力に乏しいのである。

http://wedge.ismedia.jp/articles/-/10164

身近な岩手沖合を見ても、最悪の2そう曳きトロールの勢いは衰えそうにもなく、また、同業の小型船にも「獲りすぎ」という認識がない。

こんな有り様を見せられると、日本で漁船漁業はやるべきでない、と本当に思うようになる。

いったん、みんな瀕死になり、やめるところはやめて、漁船が減り、それが、資源回復の道筋となる。

これが、日本の近海漁業の近未来だろう。
posted by T.Sasaki at 22:05| Comment(0) | 漁業 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年06月06日

漁船漁業と養殖漁業は兼業すべきでない

こんにちは。

「GDP4%の日本農業は自動車産業を超える」を読んで、いつも私が思っていたことを、吐き出すことにする。
この本には、日本農業の潜在能力の高さが書かれてあり、今まで、農林水産省とその族議員、そして、農協であるJAが、日本農業の進歩を妨げてきた、としている。
農家の数が多ければ、日本の狭い耕作地を分け合うのだから、一人あたりの耕作面積は少なくなる。
本来、そこに税金を使った保護策がなければ、中途半端な兼業農家は消滅し、やる気のある専業農家が伸びるはずだった。
したがって、規模の農業が、日本でもできるはずだったのである。

兼業農家にも専業農家と同じ、偏らない補助金を配られたために、いずれ消えるはずの兼業農家は、今まで生き残ってきた。
その結果、一人当たりの農家の取り分が、多くなるわけがない。
農家が減れば、誰が困るか?
その既得権益を離したくない、農林水産層と族議員、JAが、困るのである。
だから、このように、税金が使われてきた。

それが、ここ数年のうちに、農家の高齢化で、一気に耕作放棄地が多くなるのだという。
これにより、その農地を引き受け、大規模化と効率化を兼ねた、世界の農家と渡り合えるような農家が誕生することになるそうだ。
日本の米でさえ、国内価格が下落したため、経費節減などの努力により、すでに輸出できるほどになっている(何と!韓国産の米より日本米のほうが安く、食味はもちろん日本米が良い)。
だから、もう、TPPでも何でもオッケー。
従来の日本人の気質、武士道気質がある限り、農業だって、ちゃんと国際競争力をつけることができるだろう。

さて、この話が、私のやっている小型漁船漁業と、どんな関わりがあるか、というと、漁船の数と魚類資源の数についてである。
以前、地区の先輩から、岩手沖合い海面の漁業許可について、「1隻あたりの持つことのできる許可数を制限すべきだ」と言われたことがある。
たぶん、以前の漁運丸みたいに、たくさんの許可を持って、いろいろなことをやっていることに不満もあったのかもしれないし、純粋に魚類資源に関することを考えていたかもしれない。
魚類資源や漁船経営に関して言えば、彼の言うことは正しい。
漁船の数が多くなり、そのすべてが操業すればするほど、魚類資源は少なくなり、1隻あたりの収入も減るだろう。
だから、1隻あたりの持つ漁業許可数を減らせば、それなりに、資源も増え、1隻あたりの収入も増える。
確かに論理である。
これは、先程の農家の数と耕作面積の話と同じ話である。
しかし、私は、「その前にやることがある」と反発した。

現在、漁船漁業と養殖漁業は、平行してできる。
つまり、これも、漁業許可をたくさん持っているのに等しい。
1隻あたりの許可数を制限する前に、まず、漁船漁業と養殖漁業の兼業をやめるべきだと思う。

漁船漁業は、この通り、魚類資源減少から、経営が厳しくなっている。
すでに、中途半端な兼業で船を動かしている人たちは、その事業単体では、漁船漁業の経費を払えない事態になっているであろう。
彼らは、養殖漁業で儲けたカネで、その経費を賄っている。
漁船の経費というのは、単年度で言っているのではない。
消耗するエンジンなどの、いずれ交換しなければならないようなすべてを考えての経費である。

漁船漁業と養殖漁業の兼業をやめただけでも、漁場の窮屈性などが少なくなり、1隻あたりの収入は増えるだろう。
また、魚類資源も少しは改善される。
1隻あたりの持てる許可数の制限は、それからやるべき案件である。
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2017年05月23日

昨年とは違う「大不漁」

久しぶりに、こんにちは。

前沖の資源管理に絶望感を感じたので、いつもより早く日本海へいか釣りに来ている。
日本海長期予報では、大不漁の昨年並みとされているが、いかのサイズがまだ小さいので、昨年とは違うのではないかと思っている。
私のいる新潟は、まだ漁が少ないが、先行する石川県では、何日か1万箱超えを記録している。
これは、昨年ではなかったことだ。
以前、大漁だった頃は、小さいいかから、大きくいかへと漁獲が変化していったものだ。
昨年の場合、最初から30入れ主体であり、心配していたら、案の定、すぐに漁が切れ、私は6月中旬過ぎには、逃げるように誰もいない八戸へ回航した。
結果的に、それは悪くはなかったが。

今年の場合、新潟沖ではまだバラいか主体だから、7月までここにいそうな気がする。
どっちみち、太平洋の漁は期待薄だし、少々漁がなくても、我慢する覚悟でいる。
八戸沖のトロールが獲るバラいかは、昨年より極端に少ないらしく、太平洋ローカル群は危機的である。
あとは、太平洋各地の定置網に入るバラいかの全体量がどれほどになるのか、それ次第だと思う。


以前の太平洋するめいかは、秋から冬にかけて、定置網に入網していたから、成熟群は、オカ寄りで産卵していただろう。
それが、近年、秋から冬にかけて、太平洋のするめいかは沖寄りに分布し、そこで産卵しているものと考えられる。
前述の通り、それを根こそぎ、2そう曳きが獲るものだから、ローカル群の再生産など期待できない。
私の父の時代の小型するめいか漁業は、ローカル群だけでも、十分に飯が食えていたのだ。
ローカル群の再生を期待したいが、それを阻む人たちがいるから無理かもしれない。
絶望の資源管理である。

私は、昨年に続き、太平洋のするめいかは、大不漁ではないかと思っている。
もっと大不漁かもしれない。
ローカル群の再生産はこの通りのありさまだし、東シナ海や九州西部の冬季発生群の少なさから、すでに太平洋回りのするめいかは苦戦するのではないか、と予測もある。

しかし、大不漁の予測が外れる可能性もないわけではない。
日本海回りの秋季発生群も少なかったから、大不漁予測がなされたが、もし、このままで、大漁群が成長しながら北上すれば、日本海はそれほど悪いわけではないだろう。
北上したするめいかが津軽海峡を通過し、太平洋へたくさん抜ければ、少しは好転するかもしれない。
また、前述、ある水産会社の重役さんだった人の説、日本大回遊説をとれば、日本海からオホーツクに入り、羅臼に入らないで、そのまま太平洋へ抜ければ、これは、秋季から冬季にかけて、太平洋を南下するかもしれない。
もう一つ、冬季発生群の少なさから、太平洋するめいかは、悪かった昨年並みの予想も、はずれるかもしれない。
なぜなら、現在の日本海するめいかは、今のところ、昨年よりは悪くはないからだ。
したがって、太平洋の予測も外れる可能性もある。
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2017年04月07日

鮭の刺し網裁判について

再び、こんばんは。

かご漁業の話から、忘れないうち記しておく。
例の秋鮭を刺し網で獲らせろ、という裁判で、訴えた側が勝訴したらしい。
かご部会の会員の多数が、この訴えた側のメンバーであるという噂である。
私は、本当のところ、誰と誰が、正式なメンバーなのか、知らない。
負けた県側は、控訴したようだ。

鮭の再生産は、大昔と違って、人の手によるものである。
人工ふ化は、各漁協がやっており、それが、漁協の事業を支えている。
人工ふ化事業の前なのか後なのかわからないが、春鮭鱒の延縄漁は、私の父親の若かりし頃から存在する。
もしかして、秋鮭の人工ふ化を行う前からあるのだろう。
そうでなかったら、水産六法に、鮭延縄の制限する法律があるはずもない。

一方、刺し網で鮭を獲る、というのは、宮城県のみの許可であり(10トン未満のみ)、ごく最近できたものである。
鮭王国である北海道など、他の県では許可していない。
そもそも、ある人たちが、一生懸命育てて放流したものを、その人たちの言い分を無視し、他の漁業者が「獲らせろ」という話が、社会一般で通用するのだろうか。
私は、その時点でおかしいと思う。
例えば、宮古漁協の隣の重茂漁協では、あわび増殖に関して一生懸命であり、単協の重要な戦略の一つである。
それをそんな努力の片鱗もない人間が、「同じ漁師なんだから、獲らせてくださいよ」という人は、まずいない。
恥ずかしくて言えない。
他人が一生懸命やっている事に、「都合良く」参加できるわけがないではないか。

秋鮭の漁獲できる方法は、定置網、鮭延縄、河川捕獲の3つであり、これは以前から変わっていない。
一般の漁船漁業者には、ちゃんと延縄漁業という漁獲機会があって、岩手県沿岸漁船は、当初みんなやった。
それが思うように獲れなくなったから、県の許可制度が悪い、というのは、「都合が良すぎる」。
普通の日本人の感覚を持ち合わせている人間なら、そう思う。

私は今、「裁判の秘密」という本を読んでいるが、法曹界の人間というのは、本当に信用していいいのか悪いのか、ますます考えるようになった。
上記のように、日本人一般の感覚からかけ離れた判決がなされたりするのを目の当たりにすると、げんなりする。
控訴審も県が敗訴するとなると、これは各県に波及するだろうし、他の漁法でも、「獲らせろ」が始まる。
この「獲らせろ」論には、限界がない。
私は、これに関わっている弁護士や裁判官の頭の中を覗いてみたいし、いろいろなことを聞いてみたいと思っている。

大雨で川が増水し、川留めの設備が流失して、上流へどんどん鮭が遡上することがある。
この場合も、その流域の一般住民は獲ってはならず、鮭が産卵して役目が終わっても、獲ることはできない。
その後は、カラスや野鳥の餌になり、最終的に腐ってしまうのだが、私はその鮭を、流域住民が獲ってもいいように法改正したほうがいいと思う。
流域住民は、川をきれいにする努力をしているし、増水で被害を被ることもある。
人間的に考えるなら、川留めが壊れた場合、流域住民に幸運を与えてもいいような気がする。
少なくとも、これを「都合が良すぎる」とは誰もいわないだろう。

私は最近、モノを言う人が、どういう人間か、じっくり観察するようにしている。
心に裏がある人間は、信用できないからだ。

信用というのは、最後の最後は、カネや業績ではない。
基本的な人間性にある。
それが否定されるなら、この日本は終わりだ。

私が小学校卒業の時、先生から送られた言葉がある。
それは「心豊かに誠実に」である。
存命しているかどうかわからないが、それは照井先生という方であった。
50歳にもなって、この言葉を非常に重く感じる。
今まで日本人として生きてきて、この言葉に重みを感じなかった自分を恥じている。
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2016年09月28日

漁師は、愛国心の塊

再び、こんばんは。

日本ハムが優勝しましたが、この写真、見てください!(関係ありませんけど)

ヤンマー亜鉛.jpg

日本の漁船は、常に、made in japan なのです。
こんなゴムパッキンまで。

考えてみると、船体からエンジン、航海計器、魚探類、イカ釣り機械、餌、網など道具まで、全部、made in japan。
全部、高価です。

漁業者は、日本を愛しているのです(笑)。
右翼でも、漁業者には、一目おくほどです(笑)。
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2016年09月11日

いか釣りの本

みなさん、こんにちは。

読書好きで、漁師でありながら、私は漁業の本をあまり持っていません。
そこで、足立倫行さんの「日本海のイカ」という本を読みました。
実際に小型船から中型船に乗船し、いか釣り漁業を経験してきたルポルタージュです。
平成3年に出版されてから、第2版は発行されていないみたいです。
ですから、私の場合、amazonの中古本を手に入れました。


amazonのレビューでは、あまり良いことは書かれていませんが、しかし、読む人にとっては面白いのです。
読解力のない人もたくさんいますし。
私としては、日本海で大漁する秘訣でも書いてあるのかなあと期待しましたが、そんなものは、ぜんぜん書いてありません。
ただ、昔のことやいかに関するいろいろな由来などが書いてあって、結構面白かった。
例えば、日本史上で、いかはいつ頃から登場しているかについては、

 日本人がいつ頃からイカを捕食しはじめたかは定かではない。けれど、幾つかの貝塚からコウイカの背甲片が出土しているのを見ると、古代においても少なくともコウイカ(骨が残らないので断定できないがおそらくスルメイカやヤリイカも)は食べていた。そして平安時代になると『延喜式』の諸国貢献品の中に、若狭や丹後、隠岐、出雲から献じた烏賊が登場する。これらは、生イカではなくすべてスルメ、しかし一括して烏賊と扱われている。
(「日本海のイカ」p32)

ここに烏賊という漢字が用いられていますが、この語源は、というと、

 たとえば、なぜ“烏賊”と書いて、“いか”と読むか。イカが海上に浮いているとカラスが突っつきにくる、そこを10本の腕で巻いて海中に引き込み食べてしまうから、イカはカラスを賊害する者(中国の古書『南越志』)
(前掲書p33)


からすはどうか知りませんが、少なくとも、するめいかは、海上の鳥と勝負すれば、ほぼ100%負けます。
黒い鳥(オワリの子)は、いか釣り機械が順番に上がってくるのを学習していて、船の前から後ろへと伝わって、いかが針からはずれて落ちるのを狙っています。
かもめは、流しの上に残っているいかを狙っています。
たぶん、するめいかなら、からすも勝つと思う。
しかし、むらさきいかみたいに大きくなると、やはり鳥のほうが負けるのかも。
人間だって、でかいミズダコには負けるかもしれない。
けっこう足の力が強い。

私が岩手県以外で操業する場合、協力金などを支払って、操業しようとする県の許可を取ります。
最近は、北海道が大人気で、新規の許可は出さないそうです。
そして、違反行為をすれば、許可も取り消される可能性があります。
だから、旅に出たら、各市場から配布される書類を読んで、揚げ足を取られないような配慮が必要です。
昔は、いろいろと争いがあったらしいですね。
私も刃傷沙汰というのを先輩たちから聞いたりしました。

 自県内の海域での他県船の操業をどこまで許可するかはどこでも頭の痛い問題となっているが、隠岐沖という好漁場を持つ全国最大の生鮮イカの水揚げ港である境港では、地元の小型船の船主たちが昭和56年12月、沿岸船いか釣り協議会(会員73名)を結成して他県船の許可承認制に踏み切った。この時、協議会結成の引き金となったのが福井船、中でも越前町の船の「目に余る違反行為」(協議会事務局)だった。地元船と越前町の船の間で出刃包丁ざんまいの乱闘が繰り広げられたこともあったという。
 現在、協議会は県外船34隻に境港水揚げの許可を与えているが、その中に福井県籍の船は一隻もない。昭和57年以降実質的に福井船は山陰沖から締め出された恰好になっているのだ。
(前掲書p72)


そうこうしているうちに、いか釣り漁船は、どんどん減少しました。
私が飯炊きで乗り始めた頃は、日本海から太平洋へと回航するとき、どこまで走っても、集魚灯が切れ目ないほど続いていたものですが、今の回航では、本当に大漁のところにしか点いていません。

 昭和58年現在、全国にイカ釣り漁船は3万2千隻ある。単一魚種を対象とする船の中では一番多い。このうち遠洋大型船が141隻、沖合い中型船が1016隻、残りがこれまで僕が各地で乗ってきた沿岸小型船という構成になっている。そして、スルメイカの年間漁獲量19万2000トン中約9万トンを漁獲し、イカ釣り漁全体の中で中心的な位置を占めているのが、大型急速冷凍庫を備え一ヵ月も二ヵ月もイカを追って航海を続ける中型船なのだ。
(前掲書p183)

2010年10月1日時点の許認可隻数は127隻で、十分の一となり、小型船についてはじっくり調べないとわかりません。
もう3万隻なんていないでしょう。
若者たちが、船乗りになるなんてことをしなくなりましたから、これからもどんどん減っていきます。

現在の小型いか釣り漁業は、昼いかがメインとなりつつあります。
昼いかをマスターしないと、いか釣り漁業を事業としてやっていけない時代になりつつあります。
燃油価格が下がったにもかかわらず、漁がないのですから、やはり、水揚げ金額が燃油代金を下回っては、赤字になります。
そんな薄漁ならば、燃油消費量の少ない昼いかを選ぶのは、事業者として当然の選択です。

残念ながら、「日本海のイカ」では、昼いかに関しての記述は、ほぼ皆無です。
しかし、私たちが読む資料としての価値は高い、と思います


posted by T.Sasaki at 10:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 漁業 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年08月18日

一人操業の時代

またまた、こんばんは。

今年は、乗組員のことで、いろいろありましたが、最近、思うところがあります。
これから、一人で船を動かすことを考えたほうがいいのかもしれない、と。
今まで、乗組員の所得を上げるためには、どう船を動かしたらいいか、考えてきました。
乗組員の所得を上げる、ということは、自分の所得も上がるわけですが、その歩合もどの程度が理想なのか、とか。
でも、これほど乗組員のことで苦労するとは思いませんでしたから、そんなことなど、考えなくてもいいみたい。

もし、一人で船を動かすとなると、できない漁業は、まずは、いさだ漁業。
その他は、たぶん、船上のシステムを変えれば、できないことはない。
例えば、たら延縄漁を一人でやってきた人もいますし、鮭延縄も一人乗りはたくさんいました。
かご漁業も一人でできます。

本当は、船外機船などと違って、9.7トン型の船は、一人は良くない。
船が大きすぎる。
しかし、世の中がこうなった以上、やるしかない。

八戸での昼いかで、一人操業したとき、自分の船で気がついたことがあります。
一点、安全面で、手すりが足りない、と感じました。
盆休みにそれを設計し、昨日、鉄工場で作ってもらって取り付け、今日、一緒に沖へ行ってもらったおじさんに聞いたら、「邪魔にはならない」という回答。
ということは、「いい」という回答です。

漁運丸は、もう一人操業の時代かな。
一人だと、夜昼操業の新潟へは行くつもりもないし、いさだ漁もやらなくていい。
何となく、気分が楽なような気がします。

しかし、そうは問屋がおろさない。
9.7トン型の船だと、絶対に払わないといけない経費というのが存在して、まずは、一番大きいのが漁船保険料およそ80万円、機械が壊れる分を見積もったり、その他小さいのが積もり積もって、1000万ぐらいかな?
一人操業だと天候悪いと休むから、操業日数が少なくなる分、いろいろな経費も少なくなり、厳密に計算してみないとわからない。
自分の給料を30万として、年間360万。
だから、年間1500万円の水揚げ目標でいいと思う。
2ヶ月休んで、1ヶ月150万を10ヶ月。
できそうな気もする。
もし、来年も乗組員が見つからないならば、チャレンジしてみようかな。
posted by T.Sasaki at 21:16| Comment(2) | TrackBack(0) | 漁業 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

するめいかの規格

再び、こんばんは。

先日アルバイトで乗ってもらった八戸の乗組員は、いかの規格に厳しい人間でした。
いかの規格には、標準的なものとして、20尾入れ、25尾入れ、30尾入れ、40尾入れなどがあります。
これは、各県によって、サイズが違いますが、青森県と岩手県は同じです。

いかの物差し.JPG

写真の物差しは、宮古魚市場のものですが、青森県の物差しと同じです。
岩手県の各港は、ほぼ同じのはず。
いかの身の長さ、すなわち、頭と足を除いた部分の長さで、23cmから25cmの長さのいかが20尾入れ用のするめいかで、これを発砲スチロール箱に、20尾並べます。
25入尾れは、21cmから23cmまでで、30入れは、19cmから21cmまで。

新潟県の物差しでは、25尾入れより下のサイズは、これより1cm小さくなりますから、つまり、同じ25尾入れでも、小さい25尾入れとなり、こちらの差しの30尾入れが混ざることになります。

で、俗にいう「伸ばす」という言葉があります。
いかを引っ張って伸ばすのか、それとも、足を伸ばしていかを並べるのか、どちらを意味するのかわかりませんが、「伸ばして詰める」の意味は、いかを小さく詰めること。
つまり、25尾入れの箱に、30尾入れをごまかして入れたりすること。

なぜ、そんなことをするのか、というと、平均単価が上がり、なおかつ、箱数が上がるから。
単価は、20尾入れが高く、30尾、40尾と小さくなれば、どんどん安くなります。
規格間の単価差が1000円も違えば、とにかく大きないかを並べたほうが、非常にお得。
だから、「伸ばす」というのが流行るわけだ。
まじめにやるのがバカくさい。

でも、これをやりすぎると、暴落の原因になります。
日本全国の箱数が出すぎて、なおかつ、低品質のいか箱が出回るわけですから。
なぜ、低品質か、というと、小さいいかほど、鮮度落ちが早い。
それを大きなサイズとして並べられるわけだから、大きなサイズの割りに白くなっている、ということになります。

あちこちで、こんな現象を嫌でも見せられてきたものですから、宮古で昼いかをやっていくために、宮古のいか釣り船の仲間でいろいろと考えました。
そして、次のような文書を作り、入港船に配布しました(私は昨年度で会長を降りたから、あとは若い人たちの判断で)。

宮古入港船へのお願い

 宮古魚市場へ入港の皆様、水揚げありがとうございます。
 当市場への昼イカ水揚げは、昨年度まで、ほとんどが翌日朝売りでしたが、他市場での夕売りと比較し、価格差がほとんどなくなりました。これは、地元イカ釣り船、魚市場、仲買人の努力のおかげであります。今後の価格維持のため、宮古魚市場の規格を遵守するよう、お願いします。

 それから、無線機ワッチのお願いです。宮古入港船は、次の周波数のワッチをお願いします。

    27MHz帯1W無線27644(554ch)
または
    150MHz帯1W159.210

 地元イカ釣り船、トロール船、鮭延縄漁船との連絡する場合などに利用し、さらには、釜石漁業無線局の気象情報も聴取できますので、よろしくお願いします。

 もう一つ。
震災復旧工事、及び、閉伊川水門工事で、宮古湾内の係船場所が限られています。
宮古魚市場前の港内では、魚市場の指示にしたがって、仲良く係船してください。
特に、9月以降は、下閉伊地区の定置網漁船やトロール漁船、サンマ漁船などで混雑しますので、その点、注意してくださるようお願いします。


宮古魚市場とも話し合い、とにかく、規格や鮮度維持をしっかりやることにし、私など、「露骨に小さく詰めているいかは、買いたたいていいんだよ。そうでもしないと、品質がどんどん悪くなるから。意見言いたいなら、私まで言いに来るように言ってください」と。
こういう取り組みのおかげで、宮古のするめいかは、安定した相場で取引されています(と自画自賛。笑)。

宮古魚市場と久慈魚市場は、入札方式で単価が決定されますが、八戸魚市場や新潟魚市場では、せりで単価が決定されます。
せりは、仲買人が顔を見合って、競るわけですから、とんでもない単価がつくことがあります。
これが、せりの良さ。
しかし、一方で、仲買人同士の駆け引きから、品質の悪い魚まで高く買われたり、逆に品質の良い魚が安値で取引されたりします。
入札方式は、高い値の札を入れた人から、順に、自分の好きな魚を買うことができるので、品質の良いものは評価され、品質の悪いものは、買い叩かれます。

新潟魚市場のいかは、せりで取り引きされ、特に新潟の場合、仲買人同士の駆け引きが強いらしく、「伸ばす」ことに関して、非常に評価されません。
このため、以前は、中央市場からのクレームが多かったと聞きます。
強烈に「伸ばす」船は、40尾入れのいかを25尾入れに並べるんですから。
そのためか、新潟産と銘打った発砲スチロールを他県に持っていくと、嫌な顔をされたり、安くされたりしました。
それほど、新潟産のいか箱は不人気だったので、今は、新潟産と記された発泡スチロールは、製造をやめました。

新潟漁協の理事さんと一杯やった時、なぜ、新潟産のいかは、悪くいわれるのか、問われた時、以上のことを説明しました。
そして、それを解決する方法は、宮古や久慈で行われているような入札方式であること。
急に何でも変えることは良くないから、1週間に何度かやってみて、結果がよかったら、変えていく。市場の職員にも同じことを言ったことがありますが、変わらないみたいです。

考えてもみてほしい。
いかの生産者は、平均単価を追及し、箱数を多くすれば、水揚げ金額は多くなるのだから、「伸ばし」たほうがいいに決まっている。
売るほうはそれでいいかもしれないが、損をするのは、消費者。
暴落すれば、生産者も損をする。
それよりも、発砲スチロールには、品質の良いいかを並べ、余ったのは、まき網やトロールと競合関係にある加工用として水揚げするほうがいいと思う。
そして、この構造を仲買人が理解して値段をつけていかないと、どこまでも、いかの品質は悪くなる。
救われるのが、どこの港にも、ちゃんと規格を守ろうとするいか釣りの生産者がいること。
八戸にもいますし、比較的多いのが、岩手各港のいか釣り漁業者(だと思う)。
彼らが、浜値を維持していると言ってもいいかもしれない。

もう一つ救われることは、先日まで乗ってくれた乗組員みたいな人がいること。
彼は、「伸ばすと、心臓がキリキリしてくる」と言っていました。

でも、世の中、みんな思うようにはいかないんですよね。
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2016年07月15日

大不漁なのに、今年もまき網はするめいかを獲るのか?

みなさん、こんにちは。

八戸の昼いかは、天候悪く連休です。
相変わらず大不漁の様相。

ここでは書いてなかったのですが、新潟沖も粟島近海に漁場が限定されつつあり、混むのを嫌い、先月17日には深浦に行きました。
初日こそ、118個獲ったのですが、あとは二桁で、ついに13個と今季最低の水揚げとなり、23日には八戸前沖の昼いか。
来た日は時化模様だったこともあり、広い八戸沖に、地元の長久丸と私の2隻のみ。
ようやく32個獲って帰港。
広い館鼻の岸壁に、外来船は、ぽつんと私1隻のみ。
漁がないところに船はいない。

その翌日もダメで44個。
その次の日に漁が出て、110個。
これで次々と仲間の船に模様を出し、岩手の船が館鼻の港を占領した(笑)。

でも、ホント、大不漁です。
あと1週間ほどで八戸に1ヶ月いることになりますが、100個獲った日はたったの3日のみ。
最低は、たったの7個。

ところが、こんな大不漁なのに、八戸に船が集結しています。
日本海も漁が薄いから。
一時、秋田沖や奥尻近海で大漁だったのに、ここにきて一気にしぼみ、同じ箱数を獲るなら、燃料代のかからない昼いか狙い。
すでに、八戸沖には、100隻以上の船が操業しているかもしれません(八戸入港船で50隻ぐらいはいるし、三沢には、もっといると思う)。
こうなると、お互い分け合って終わり。

各漁業の天敵である、まき網漁船が、24日あたりから八戸に来るとか。
こういう時こそ、まき網には、するめいかを禁漁させたほうがいい。
水産庁は、指導力を発揮すべきです。
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2016年04月15日

プラスチックゴミを魚が食べる

続いて、またゴミの話。

プラスチックゴミを魚が食べて、海の生態系に影響を及ぼしかねない、というのを、またまたNHKでやっていました(これもちょっと前のこと)。

http://www.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail02_3725_all.html(「NHK クローズアップ現代」)

重茂漁協のある船主さん(はっきり言えば、共恵丸)が、「ゴミを海に捨てるな!」と私に言ってから、10年くらい経ちます(そんなに経ってないかも?)。
それから、彼の言うことを真に受け、今に至りますが、これまでには、いろいろな話がありました。

浮遊するゴミに、秋刀魚が産卵していたりします(たとえば、日本海でパラシュートアンカーを入れていると、秋刀魚がそのロープに産卵しているのです!)
だから、ある程度のゴミも必要なのかなあ、と考えたりしたこともありました。
中には、「海にゴミを捨てないなんて、漁師じゃないみたいだなあ」と同業者から笑われたこともあります(本当ですよ。しかも、他県の秋刀魚船など、宮古魚市場前の海に、目立つくらいゴミを捨てていたりした!)。

ところが、ここにきて、マイクロプラスティックの問題が知られ、彼(正確には、重茂漁協の人たち)は、正しかった。

やっぱり、前回書いたように、自然に分解できる物質は海に捨ててもいいが、空き缶やびん、紙類、プラスチック類は、オカのゴミ箱へ捨てるべき。
特に、プラスチック類!

と言っても、なかなか誰も実行しないでしょうね。
知らない人のほうが、ほぼ9割方だと思うし。

早く、生分解性プラスチックができればいいですね。

調べてみると、マイクロプラスチック同様、マイクロビーズが意外にもたくさん使われているんですね。

http://www.mynewsjapan.com/reports/2060(「My News Japan」)

日本メーカーさん、何とかしてください。
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海をきれいにしすぎてもダメ?

みなさん、こんにちは。

今日は、昼間から、パソコンとにらめっこしています。

意外にも、海をきれいにしすぎると、魚がいなくなるそうです。
昨年だったか、朝のNHKでやっていました。
瀬戸内海に魚がいなくなったのは、あまりに海をきれいにしすぎたせいだとか。
主たる原因は、基本的な栄養素である窒素が不足したから。
検索してみたら、ありました。
やっぱ、NHKでした。

http://www.nhk.or.jp/ohayou/marugoto/2015/10/1025.html(「おはよう日本」)

でも、NHKで取り上げる前にも、TBSラジオでもやっていたんですね。

http://www.tbsradio.jp/stand-by/2012/09/post_4946.html(「森本毅郎 スタンバイ!」)

ちゃんとした論文もありました。

https://www.fra.affrc.go.jp/bulletin/fish_tech/7-1/070105.pdf(「国立研究開発法人 水産研究・教育機構」)

「海を適度に汚せ」というブログも!

http://sitakisou.blog.fc2.com/blog-entry-858.html(「雑想庵の破れた障子」)

昨年の岩手沖では、するめいかの夏漁がほとんど絶滅状態でした。
これは海況の変化が原因でしょうから、しかたないにしても、ここ10年くらい、オカ寄りにぜんぜん入ってきません。
陸上からの養分が足りなくて、植物プランクトン、ひいては、動物プランクトンが少なくなっているのかも?
一応、「森は海の恋人」というフレーズで、植林などの事業を行っていますが、それが反映されているのかどうか。
私は、途中のダムや砂防ダム(正確には砂防堰堤と言うらしい)が、せっかくの森の栄養分をさえぎっているのではないか、と疑っています。
やっぱり、雨が降ったら、山の養分が土砂と一緒に流れてくるくらいでないと、きっと海は豊かにならない。
砂防堰堤は、土砂災害を防ぐために作られたもの。
皮肉にも、地域社会に対する防災が、地域の産業を台無しにしている可能性があります。

これに対し、積極的に土砂を放出するダムが、排砂ダム。
近年の海洋侵食の土砂を補いながら、ついでに山の養分も海へ、というプロジェクト。
で、調べてみると、びっくりぽん!

排砂ダムで、漁業者が電力会社を訴えた裁判があるとか。

黒部川排砂ダム被害訴訟ネットワーク

これって、「逆じゃないの?」と思ってしまいました。
有害物質を貯めて流しているわけではないのに。



私は、漁船の上では、食べ物のかすを、海へ捨てています。
海上保安署の職員が見れば、逮捕するかもしれません。
もちろん、おしっこやうんこも、海へやっています。
でも、これって、貴重な魚の栄養源なのです(笑)。

海に捨ててダメなのは、海の中で分解できないもの。
例えば、プラスチック類など。
空き缶やびん、紙類、プラスチック類は、オカのゴミ箱へ捨てましょう。
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2016年04月04日

刺網がよくて、かごがダメな理由を知りたい

再び、こんばんは。

例の「鮭を刺網で獲らせろ!」という裁判を起こした漁民組合が、勝つのではないか、という噂を聞きました。
もちろん私は蚊帳の外でして、世の中、変わったものだなあ、と思っています。
他の魚種で、「獲らせろ!」というのはわかりますが、漁協がふ化放流事業をやっているものを、まるで「漁協が悪い。岩手県が悪い」という勢いで、「獲らせろ!」ですから。

たぶん、私は、きっと袋叩きになりますね。

「あいつには、刺網の許可を与えるな」

でしょうね。
でも、私は、要りません。
延縄で鮭を獲りますから。

ところで、先日の「毛がに資源は、あまりよくない」にある「資源管理型漁業かご漁業者協議会」の席上で、漁民組合のある組合員の方が、「かごで毛がにを獲れるのは、南ばっかりだ。公平性を保つために、北でも獲れるようにすべきではないか」と、ありがたいご発言。
そうなのです。
宮古沖までは、何とか、かごで毛がにを獲ることができますが、これより北では、ほんの少し獲れる程度。
北部ほど、海区設定が陸寄りになっているからです。
岩手県としては、本当のところ、沖よりに是正したい。
ところが、この是正には、大臣許可の沖合底曳網漁業との合意が必要らしい。
実際には、同じく毛がにを獲ってもいい刺網は、かごの制限ラインよりずっと沖出しして操業しています。
だから、沖底船は、その外側ばっかり、海底を荒らしながら操業している。
「なぜ、刺網がよくて、かごがダメなのか?」と私が問うたところ、大臣許可との話し合いがうまくいかない、ということらしい。

どんなに頑張っても、沖底船では、かごのように、毛がにを獲ることはできません。
だから、沖底船の水揚げで、毛がに祭りなど絶対できない。
この時期の旬の味、毛がにを消費者に届けたいという気持ちがあるのならば、1月から3月までは、かごの沖出しをせめて水深180mくらいまでできるように、北のほうまで海区設定をすべきです。

これは、毛がにを獲るという、ちゃんとした目的のある漁業です。
一方の沖合底曳網漁業は、何を獲ってもよい漁業。
特定の魚を獲るという目的がない。
比較したら、どっちに軍配があがるかは、一目瞭然!
毛がに漁に関しては、かご漁業側に理がある。

裁判の流行る気配がありますが、こんなもの、理論だけで大臣許可を打ちのめすことができるはず。
でも、同じ裁判するならば、「鮭を刺網で獲らせろ!」というより、こっちのほうが、ずっと勝てると私は思います。

(何で、小型漁船が、漁協や岩手県をいじめるの?小型漁船は、漁協や県を味方にして、大臣許可をやっつけるのが本筋じゃないの、と言いたくなります。資源枯渇の原因は、大臣許可にあるんだから)
posted by T.Sasaki at 18:15| Comment(0) | TrackBack(0) | 漁業 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年03月19日

「鮭を刺網で獲らせろ」と叫ぶのに意味があるのかどうか

みなさん、こんばんは。

毛がに資源は、あまりよくない」で、鮭の主漁場が、北海道でも北上している話を書きましたが、ついでに、鮭に関して、自分がかしぎ(飯炊き)をしていた頃からのことを書きます。
(宮古弁では、なまって「かすぎ」と言いますが、「かしぎ」が正解なようです。「炊ぎ」)

東日本大震災津波 5年のつどい in 宮古」」で、漁民組合の幹部?なのか何なのか知りませんが、徳美先生に質問なのか意見なのか、した人がいました。
「鮭を刺網で獲らせろ」という例のやつです。
「一般漁業者に鮭を獲らせない」とわめいていましたが、私は獲っているのに。
漁民組合の組合員の少なくとも一人ぐらいはここを読んでくれているようですから、これについて書くことに意義があるかも。

私が学校を終わって、漁運丸に、かすぎで乗り始めた頃、鮭はいっぱい釣れました。
一漁期、最低でも1000万円の水揚げがあり、1500万円から2000万円の年が、5年くらい続いたと思った、確か。
だから、船外機の船でも鮭延縄が流行った。
とてもおもしろくて、あれがなかったら、今の自分はなかったと思う。
その頃、春鮭鱒の延縄もやっていて、やはり、一漁期、1000万円くらいは水揚げがあり、1年の水揚げのうち、鮭類の水揚げが8割を占めていました。
つまり、いか釣り漁業やかご漁業は、つなぎ商売としてやっていたようなものです。
しかし、私は父親に向かって、「鮭ばっかりに頼って、大丈夫なのかなあ」と疑問をぶつけています。

その後、今、私が乗っている船を造ってからは、いか釣りも本気でやるようになりました(鮭が獲れる前は、いか釣りを主としていたらしく、たら延縄やたら刺網も合間にやっていた)。
当時、静岡から買ってきた船を青森県泊の船主さんが買いに来た時、「いか釣りをするために、新造船をやるなんて」と、びっくりしていました。
でも、この頃は、日本海に行かなくても、前沖だけで十分な水揚げがありました。
それも夜いかだけで。
津波で流した漁運丸と今の漁運丸の2そうで、ほぼ鮭といか釣りだけ。

最初にダメになったのが、春鮭鱒。
これの代替がいさだ漁業で、この切り換えがいいタイミングだったと思う。
やった年は、乗組員の給料分も獲れませんでしたが、大丈夫、その数年後、花が咲く。
次に少しずつダメになっていったのが、鮭延縄。
一昨年までは、まあ商売にはなったかな、と思っていたのに、昨年など、給料分も獲れなかった。
だから、現在の主たる漁業は、いか釣りです。

これって、レジームシフトとは言わないと思うのですが、漁がシフトしたんですね。
近年、鮭は、定置網もうまくいっていません。
だから、漁民組合が、鮭に固執するのを、私は理解できないのです。
まっとうな船主ならば、鮭を獲っても、そんなに経営が上向くとは考えないと思う。

ちなみに、宮城県の鮭の刺網で、1000万円くらいの水揚げになる、という噂が通ったらしいですが、それはトップクラスの船だそうです。
うまくいかない人は、その半分も獲れないとか。
どこの世界のどの漁業も同じですね。
いい話だけ聞こえてきて、実際に着業すると、そうでもない。
昨年、一昨年、いい話をする人は、いないそうです。

私は、漁民組合の後ろにいる共産党や弁護士連中を、実際に船に乗せて、少し教育してやったほうがいいと思います。
考えが甘すぎる。

津波後、非常にうまく船を動かしている人がいます。
名前は出しませんが、私は、その人に向かって、「そちらが一番うまくやっているね」と言ったことがあります。
漁業の種類をうまく変えて、船を動かした人です。
津波で全財産失っても、その人は、簡単に家を建てました。
もしかしたら、もう1軒建てるかもしれません。
そんな人を見習うほうが、「鮭を獲らせろ」とわめくよりも、私はずっといいと思うのですが。
posted by T.Sasaki at 20:46| Comment(0) | TrackBack(0) | 漁業 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年03月17日

イベントのおかげ

再び、こんばんは。

宮古市毛がに祭りは、盛況に終わったそうです。
でも、少し、毛がにが売れ残ったとか。
来場者はたくさんあったらしいのですが、買い気がなかったのかな。

たぶん、不漁のため、価格も高かったからでしょう。
私のみ1隻だけ水揚げした日があって、何と、その時の平均単価が5500円でした。
今までずっとやってきて、こんな平均単価、私は知らない。

大不漁で、浜値も高かったため、ある魚屋さんが、県内の別のところから毛がにを仕入れてきて、宮古魚市場に出荷したそうです。
そこから浜値は下がり、普段より少し高い程度まで下がりました。
毛がに祭り直近の土曜日は、県内各地の漁業者も持ってきて、一気に量が揚がり、かなり安くなったようです。
これをどのように考えたらよいのか。

私たち漁業者は、浜値が高いに越したことはありません。
特に、大不漁の今年、1日の漁獲が10キロや20キロの日も、少なからずありました。
だから、いつもより高いと、非常に助かります。
ここで、他所から持ってきた毛がにが売られると、浜値は下がり、水揚げする漁業者にとって、打撃は大きい。

でも、毛がに祭りというイベントを行うだけの漁獲がないと、イベントに来たお客さんには、非常に悪い印象を与えます。

「毛がに祭りに来ても、ぜんぜん毛がにがないじゃないか」

こんなことを言われたら、毛がに祭り自体、開催するのが困難となります。
だから、この場合、私は、他所からの搬入もしかたないかなあ、と思っています。
毛がに祭りのおかげで、宮古魚市場も高値を出すようになりましたから。
それ以前は、そんなに高いことはなく、釜石魚市場まで運んだ時期もありました(20年くらい前の話)。

来年の大漁を願うほかありません。
ホント、少しぐらい安くても、たくさん獲れたほうがいい。
お世話になっている人にあげる毛がにもなく、本当に今年は誰にもあげていません。
哀れです。
posted by T.Sasaki at 18:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 漁業 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

毛がに資源は、あまりよくない

みなさん、こんばんは。

先月(2月)28日、宮古市シーアリーナで行われた「資源管理型漁業かご漁業者協議会」の会合に出席してきました。
そこで、毛がに資源に関する嫌な話を聞かされてきました。

現在の岩手沖の雌がに資源量では、今後、資源が飛躍的に増加するということは考えにくく、毛がに漁は、今後5年くらい、あまり好ましくない状況にあるそうです。

雌がにを獲っているわけでもないのに、なぜか、増えない。
しかも、昔と違って、夏に毛がにを獲っているわけでもない(昔は違法行為が横行していた)。
だったら、増えてもいいじゃないか、と考えたくもなり、この点を私は質問してきました。
回答は、というと、親潮が弱すぎる、ということです。

震災前は、親潮が強く(震災後にも一時あったけれど)、岩手沖の南潮が速かった。
津波直前など、ボンデンが全部沈むくらいの速い潮があったとも聞きます。
なぜ、親潮と関係あるのか、というと、北海道で卵からかえった幼生が、本州沖合まで流れてきて、岩手沖の資源量を支えていたのではないか、と考えられるからだそうです。
毛がにの主産地である北海道が頼りだったんですね。

震災後、毛がに漁の時期(正月過ぎ)は、本当に南潮が弱く、宮古沖だと、南になったり北になったり、行ったり来たり。
それでも、今年は、0.5ノットくらい、す〜っと南南西の潮が走ったりしていて、少しはいいかなあ、と思っていたら、最近、止まっています。

温暖化のせいかな?

これもちょっとした嫌な話を聞いたのですが、北海道の鮭の漁獲を調べていると、たくさん獲れる地域が、だんだんと北上しているのだそうです。
以前は、襟裳から根室あたりが多く獲れたそうですが、今は、オホーツクが多く獲れているとか。
私にこれを教えてくれた人は、本当は認めたくないけれど、温暖化の影響なのかも、と言っていました。

やっぱり温暖化の影響は、海にもじわじわと来ているのかも。
今後、岩手沖の毛がには、貴重な資源になりつつあるのかな、と感じています。
posted by T.Sasaki at 18:21| Comment(0) | TrackBack(0) | 漁業 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年02月13日

沖合いで自分の売値がわかる時代

みなさん、こんばんは。

2月21日に行われる宮古市の毛がに祭り。
IBCラジオを聴いていると、この話題がちょっと多いような気がします。
獲っている人間にとって、今年の場合、非常に気が引ける。
というのも、不漁だから。
単に不漁というだけでなく、稀にみる大不漁。
これ、2月5日の水揚げです。

仕切書.jpg

毛がにの合計は、たったの27kg(この時期にしては悲惨な水揚金額)。
2月2日以降、10kgから30kgぐらいしか漁がなく、旬の盛漁期にしては、経験したことがありません。
昨日もようやく30kgで、今日はさぼりました。

この画像は、今度買ったスキャナーで、スキャンしたものです。
EPSONのGT-S650。
バーゲン品で、1万円弱。

自分のために買ったわけではなかったのですが、目的が達成されず、自分で使っています。
津波前には持っていたのですが、デジカメでカバーできることから、買い戻してはいませんでした。しかし、あればやっぱり便利ですね。

本当は、宮古魚市場に寄贈するつもりでした。
なぜか、というと、水揚げした魚の値段を知りたいから。
魚市場までいちいち見に来るのも時間がかかるし、電話で聞くのも、職員の煩わしさを増やすだけかなあ、と思ったり。
そこで考えたのが、暇な時に仕切書をスキャンしてもらって、電子メールで送ってもらう方法。
ところが、市場側にすれば、これを全員分やるとなると、またとんでもない手間になる、とかで、まだ、電話で問い合わせてもらったほうがいいらしい。
でも、その問い合わせの電話も、1日30件から40件もあるというから、そっちの時間のほうが多いような気がしないでもない。
そんなことを聞かされると、もう電話する気もなくなった。

今、宮古魚市場の拡張工事をやっています。
そのついでに事務の情報処理の再構築もやる、ということを、対応してくれたお偉方が言っていました。
そこで、提言してきました。

こういう仕切書を作成する前に、メールアドレスを登録しておき、作成保存する時に、電子メールで送信するシステムを作ったほうがいいと。
そうすれば、海上で操業中であろうが、自宅にいようが、どこにいようが、メールチェックするだけで、いろいろな販売戦略ができる。
そういう時代なのだから。

問題は、魚市場のコンピューターのセキュリティかな。
侵入されて、システムを破壊されるのが一番厄介。
私は、通信技術のことなどほとんど知らないので、素人考えしか浮かびませんが、データ送信のみできて、データ受信はすべて受け付けないコンピューターをネット接続すればいいんじゃないのかな、と。

私がスキャンした仕切書を、操業中の沖合いで見れるようになったら、どういうことができるか。
例えば、昼いか漁の場合、漁模様が著しく良い場合、つまり全船大漁だったりしたら、箱詰めのするめいかは、暴落します。
前日の平均単価が1000円しかしなかった場合、バラするめのほうがいいかも、となる(バラするめとは、水揚げする時、計量するだけ。つまり箱代や氷代がかからない)。
バラするめでも、キロ当たりの単価が200円もすると、箱詰めするより利益がある。

さて、宮古魚市場で、これができるかどうか。

(ちなみに、私が今まで経験した旅先の魚市場では、新潟魚市場と広尾魚市場が、ファックス送信してくれます。でも、ファックス送信は、手間もかかり経費もかかりますから、システム化されたメール送信のほうが効率的だと思います)
posted by T.Sasaki at 21:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 漁業 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年02月10日

ミニプロッター

みなさん、こんばんは。

今夜は、パソコンの中の写真類を整理していたら、披露すべきものが出てきました。
それがこれ。

ミニプロッター.JPG

単なるGPSプロッターですが、本多電子製の小さいやつ。
もう一つ、普通のプロッターもありますが、これは、すぐ目の前のエンジン計器盤の上に載せてあるもので、常に拡大して表示しているものです。
「なぜ、二つも必要なの?」と思われるかもしれませんが、これで、表面の潮流を見るのです(実は、もう一つ導入しているのですが、まだ使い勝手がわからない。でも、いつか使いこなして秘密兵器にします)。
例えば、昼いか漁の時など、針を1回海底まで下ろして上がってくる間に、どっちの方向に流れるのか、拡大していれば、一発でわかります。
もちろん、いさだ漁や他の漁業でも、役に立ちます。
これが目の前になかった時と比べると、今は楽。

「潮流計もあるのに、バカじゃないの?」と、みなさん、思ったでしょう。
ところが、古野製潮流計は、最低水深2mから下でないと計測できません。
私の船の場合、潮流計の足はキールに付いているので、喫水が2m。
つまり、水深4m以下の潮流しかわからない。

操業していればわかりますが、表面だけ潮が速いってこと、よくあることなんです。
いさだ漁でも、狙って入れた網が、表面の潮に流されていって、ぜんぜん入らなかったり(ヘタクソ!)。

ということで、これ、入れる価値あると思います。
私みたいに、プロッターの縮尺を変えるのが面倒くさいひとは、特に。

私って、やさしい、と思いません?

死ぬ前に、少しはみんなの役に立ちたい!

ということで。
posted by T.Sasaki at 20:09| Comment(0) | TrackBack(0) | 漁業 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年01月24日

今秋の鮭は、きっと大漁だあ

みなさん、こんばんは。
お久しぶりです。

今日、大雪の予定で構えていたら、意外に降らず、せいぜい数センチ程度。
ほうきではく程度でした。
明日の準備をやり、今日は早く休みました。

昨年の話になりますが、秋鮭が大不漁だったことは、すでにその前年の河川遡上から予想できたことでした。

岩手県水産技術センターでは、秋サケ回帰情報というのを掲載しています。
平成26年度の秋サケ回帰情報No.1秋サケ回帰情報No.2秋サケ回帰情報No.3から、わが宮古市の津軽石川遡上は、3年魚が非常に厳しく、割合で0%に近く、すなわち、平成27年度の4年魚回帰は、望めない状況でした。
これは、隣の山田町織笠川でも同じです。
しかし、釜石市の片岸川だけ、他の2河川と違う遡上率を示しています。これはどういうことなのか?

今季回帰する予定の4年魚は、やっぱりダメだった。
平成27年度秋サケ回帰情報No.1秋サケ回帰情報No.2秋サケ回帰情報No.3から、それは、明瞭に出ており、特に、早期群において、4年魚の割合が異常といえるほど低い。ここでも、片岸川のデータは、他の2河川とかなり違っており、この際、無視します。
来年度、つまり今秋のサケは、逆に、昨秋の3年魚の割合が多かったので、私は、獲れると思います。

なぜ、津波翌年にちゃんと放流された稚魚が、親となって帰ってこなかったのか?

津波以前に、サケの回帰率は、稚魚放流時の海中の餌に影響される、という報告があったと思います。
それがきっと決め手。

津波後、沿岸には、驚くほど魚がいなかった、といいます。
つまり、稚魚が何か食べようとしても、なかなか餌にありつけない。
逆に、サケの稚魚が、他の魚の餌になった可能性があるのかもしれません。
例えば、津波後、異常なほど大漁なマダラの餌になったかも。

ここで、再び考えてみます。

秋サケ回帰情報No.3、つまり、12月11日から12月31日までの後期群のデータでは、どの河川でも、4年魚が多く、正常な割合を示している、と思います。
津波翌年の海中餌の状況は、後期群放流時に良くなったのではないでしょうか。
特に、津軽石川での遡上は、正月過ぎに1000尾超えの日が続いたとか。
きっと、海の中が正常に戻りつつある、と良く解釈しておきましょう。

そして、異常な片岸川の場合、その周辺は、他の2河川の海域より餌が豊富だった。
いや、違う。
大不漁で、絶対数が少ないのだから、割合だけで考えてはダメ。
津波2年後の稚魚放流時の環境が逆に悪かった、と考えるべきです。

でも、回帰の本質は、水質かな?

今秋は、海況さえ良ければ、きっと大漁ですよ。
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2015年11月06日

針や分銅を落とさない方法

再び。

その八戸沖で、昨年開発した秘密兵器を、お披露目してきました。

「漁運は、何か変な棒を付けている!」

と、八戸の船が噂していたようですが、それが秘密兵器。
もう艤装解除しているので、写真で見せることはできませんが、段つきの流し(専門的でわからない方にはごめんなさい)のストッパーと言ったらわかるかな。

段つきの流しだと、針がねっぱってきてもいか釣り機械が止まらず、ナイロンが切れてしまいます(ねっぱる、とは、くっついて一緒になること)。
最悪の場合、切れたほうの針が、海底へと沈んでいって、道具代がパー。
特に、分銅が高価になった分、その損害はちょっと痛い。
そのねっぱって切れる前に、いか釣り機械を止める仕掛けを作ってみました。

原理は簡単。
ねっぱって針が上がってくると、最後にナイロン同士が引っ張り合って切れます。
その張って上がってきたナイロンに、棒が当たり、棒が上がった瞬間に、いか釣り機械のストッパーの糸を引っ張って、停止させる構造です(見ないとわからないかもしれませんが、想像力を働かせて考えてください)。
今のところ、私の頭で考え得るベストの方法です。
100%ではありませんが、ほぼ8割がた、ナイロンが切れる前に止まり、ナイロンを結ぶ手間も省け、作業効率がよくなります。

その他にも、今年の収穫がありました。
サンメイ製いか釣り機械SX型の設定です。

私の船では、一番オモテ(船首をオモテといいます)の機械は、段つきではなく、通常の流しのため、ねっぱってきても、ストッパーが効いて、すぐに止まります。
が、止まらないんですよ。
SX型の前の機械は、2000型(通常2000と呼びます)で、その時はちゃんと止まりました。
なぜ、最新型のSXだと止まらないのか。

そこで、サンメイ八戸にたずねたら、2000とSXは、同じ設定だから、止まるはずだと。
ところが、止まらない。
よく観察みると、ストッパーが効いてブザーが鳴っても、少しばかり動いているように見える。

今度は、サンメイ八戸の事務所へ行って、また確認してみました。
対応してくれた方が、本社に電話して再度問い合わせたところ、2000とSXは、設定が違っていた!
サンメイユーザーは、特に、SXユーザーは、設定を変えたほうがいい。

「詳細」設定の「その他」の項目に、「停止立下り」(だったかな)があって、この数値が、2000の時は「15」で、SXは「25」。
この数値が小さいとすぐに止まり、大きいと少し間をおいて止まる。
「0」だと、ガクンと急停止し、分銅が落ちることもあるかもしれないし、機械のためにもよくない。
止まりにくいときは、数値を小さくすればいい。
2000でよかったから、「25」を「15」にするだけでもいいと思います。

とにかく、道具を落とさないように。
道具の値段は、下がることはありませんから。
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2015年10月22日

税金が魚類資源を減らす?

みなさん、こんばんは。

八戸港は、まき網船でいっぱいです。
私は、比較的に八戸港の常連客なのですが、あまり見たこともない船団が入っています。

見知らぬまき網.JPG

ここで何を獲っているのか。

大不漁のするめいかではなく、イナダや小サバが大漁のようです。
北海道からは、いわしが運ばれているとか。
小さいサバの資源量はあるようで、網数を使わなくても、あのでかい運搬船に、簡単に満船できるという話。

マグロなどのように、これからの漁業は、「大きくなってから獲る」という考えがあったはずですが、まき網業界では通用しません。
よく考えてみると、なるほど、通用しない。

年々、魚群探知機類は進化し、魚種や魚の大きさまでわかるようになりました。
それが、とんでもなく高価なもので、その他、新造船ほど、ブリッジの中は豪華絢爛。
網などの漁業資材も値下がりすることはなく、借り入れを返すのが大変な時代になりました。
だから、八戸港に入ってくるピカピカの立派なまき網船団にとって、魚が大きくなるまで待てない。
せっかく魚の大きさのわかる魚群探知機を入れても、意味がなくなっています。
小さいサバでも獲るべきでないのに、今朝など、岩手沖で、獲ってはならぬ鮭を獲ってきた船団もある、という噂。

船団を組まず、1隻で操業できる大きなまき網船も、数年前から登場しています。
有名なのは、地元八戸の惣宝丸。
八戸前沖の銀サバという名前で、市内飲食店では売り出していますが、これは、惣宝丸の獲ってすぐに瞬間凍結するという高鮮度のサバ。
少ない量でも、高付加価値で勝負する新しいタイプのまき網漁業です。
量で勝負する以前のまき網漁業と違って、資源管理推進型。

ところが、「銀サバ」になるはずの大サイズのサバが今は獲れず、結局、この船のまき網で獲ったサバは、同会社の運搬船で運んでいます。
本来の目的で使われるはずの補助金が、つまり、みんなの税金が、魚類資源を無駄にする漁法へと使われ、泡と消えてしまった。
まき網船団の高鮮度の魚を取り扱うために、八戸の市場荷受施設も、巨額の税金で整備されましたが、結果的に使われておらず、何をやっているんだか。

私たち小型漁船は、漁がなくなれば、自分の判断で休漁したりして、普段できないことをやったりします。
しかし、あのような会社組織の船というのは、とにかく、どんな手段でも、魚を獲ることが使命。
会社の重役たちの給料までカバーしなければならないし、前述した新規設備投資の回収もしなければならない。会社組織が大きくなればなるほど、この傾向は強いと思います。

沖合底曳網漁業(トロール漁業)もその傾向が強い。
今年初め、あるトロール船の船頭に、「漁期終わりの2トンとか3トンというするめいかは、獲らないほうがいいんじゃないの?これらは、次年度のするめいかを獲るために、放っておいて、子をたくさん生ませたほういいと思いますけど」と進言しても、「今、他のスケソウを獲ったら、TACを消化してしまうから、するめいかと獲るんだ」という返答。
私は、心の中で、「へ〜、若くても、やっぱりトロール業界って、昔と同じなんだなあ」とつぶやきました。
(この文章によって、私は口をきいてもらえないかも。でも、そうなってもかまわない。親の代から、どうせ独行船で生きてきたから)

みなさん、小型漁船のように、獲るのがなかったら、休めばいいと思いませんか?
でも、結局は、会社組織の運命。
重役たちの給料分や、今流行りの「がんばる漁業」の負債返済など、とにかく獲れさせすればいい。
これだと、魚類資源が増えるわけがない。

水産庁は、そろそろ本気で資源管理を考え、補助金や「がんばる漁業」事業など、水産行政自体を見直すべきです。
posted by T.Sasaki at 19:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 漁業 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする