みなさん、こんばんは。
やりました。
今日は、1番入港船。
ぴっかぴっかの「ランドセル」は、今漁期、満足です。
屋根のソーラーは、11時3分に4.32kwを記録。
今年の最高。
1枚153wのシャープ製ソーラーパネルを28枚並べた4.284kwシステムですが、その能力を超えています。
まだ、3月末ですから、これからどれくらい記録が伸びるのか楽しみですね。
本日の総発電量は、ちょっと曇った時間もあって、20.03kwhにとどまりました。
私は、自営漁船漁業なので、ほとんど休日のない状態で、仕事をしています。
そのために、市民運動に参加する時間がなかなかありません。
特に、夏は。
そこで、新聞投稿ぐらいはやれるので、この部分で少しは役に立てるかなあ、と考えました。
まあ、ご存知の方もいると思いますが、風評被害の構造について書いたこともありますし、核燃料リサイクル事業の欠陥についても書いたことがあります。
風評被害についてですが、風評被害というのは、実害と違って、すぐに収まります。
それゆえ、宮古市重茂(おもえ)漁協は、「風評被害よりも実害のほうが恐い」とし、唯一単独で、核燃料リサイクルに、はっきり反対しています。
反対運動することで、逆に消費者から信用され、応援されているくらいです。
重茂漁協の取組みの一つに、合成洗剤の使用禁止運動というのがあり、重茂半島地域には、店頭に合成洗剤を置いていません。
こういう活動している人たちが、「海に放射能汚染された水を棄てる」という話を聞いただけで、怒りをあらわにするのを、みなさん、“ご理解いただける”と思います。
核燃料リサイクル事業の欠陥は、コスモクリーナー(私です)制作の「
核発電の憂鬱」に書かれてあります。
恥ずかしながら、しばらく更新していません。
このサイトは、間違いたくない分、結構、資料集めなんかで疲れるんですよね。
いろいろと書いているうちに、「
SENZA FINE」のKasaiさんからの要請で、ちょっとまた、書き物をすることになりました。
これは、あまり知られていませんが、雑誌「軍縮地球市民」No.8に寄稿したものです。
ネット初公開、たぶん。
以下、転載。
元凶である原子力マネー
私は、岩手県宮古市で漁業に従事しています。祖父の時代から、すでに漁業で生計を立てており、私で3代目ということになります。その間、宮古湾の環境は激変しました。
私の子どもの頃、宮古湾の埋め立て問題があり、漁業者と埋め立て事業者である県とで、激しいやり取りがあったのは言うまでもありません。結果的に県側に押し切られ、埋め立てによる漁業補償金を漁業者らが受け取り、決着を見ました。埋め立てられる前の海岸は、白砂青松の美しい景観であったと、口々に伝えられています。
日本栽培漁業協会宮古事業所の研究者によると、宮古湾は、稚魚の育成海域として、北日本でも稀にみる環境を備えている、としています。肉厚ワカメで全国的にも有名な重茂半島寄りの海岸は、自然の干潟が残されており、エサとなるアミ類も豊富で稚魚の育成環境として優れています。干潟や藻場の重要性があらためて認識されています。その対岸である埋立地が、もし、美しい海岸であったなら、魚類資源維持の点で、その価値は大きなものだったと想像されます。
宮古湾の埋め立て事業は、埋立地への企業誘致、という行政側の目的がありました。結果は惨憺たるもので、広大な埋立地は使い道がないため、従来からあった産業のモノ置き場となっています。事業の前後を考えれば、無駄な埋め立てであったことが理解できると思います。
漁業補償金は、漁業者がある事業によって漁業権の喪失することになった場合、その事業主が漁業者らに支払います。浜本幸生氏監修の「海の『守り人』論」によると、「漁業補償の根拠法律は民法であって、具体的には、損害賠償の規定である民法第709条がそれにあたります。すなわち、損害賠償制度が漁業補償の根拠法規なのです」。つまり、私たちが一般に損害賠償を請求するものと、性格は同じものです。
私は、子供の時分に起きた埋め立て問題を、漁業に従事するようになってから、いろいろ考えました。漁業補償金をもらって海を埋めることは、正当なことなのかどうか?次の世代のことを考えるとどうなのか?海で今後何十年と生計を立てていく場合、その損害補償金は多いのか少ないのか?自然環境を変えることによって、その副次的な問題に対応した額なのか?いろいろ思慮を巡らすうちに、私は、補償金の額を決定する科学的根拠はない、と考えるようになりました。もし、損害補償額を科学的に算定するならば、自然環境の変化に伴うあらゆる影響を考慮しなければなりません。しかし、そんなものを定量化することは不可能です。そこで、過去の漁業実績から漁業権喪失よる各漁業者の年間損害額を計算し、毎年補償金を支払うのが合理的である、と私は考えます。したがって、現在の一時見舞金的な漁業補償金は、埋め立て事業主と漁業協同組合とで“政治的に”決定されていると言えます。
以上のような損害賠償の考察からすると、原発の漁業補償も、同様に根拠を疑います。私は、原発の漁業補償協定の契約書を見たこともないのでわかりませんが、それが原発の温排水による損害賠償ならば、過去の漁業実績から損害額は算定でき、確実に損害賠償をすることができます。
ここで福島第一原発を例に考えてみます。平成12年12月8日に締結された漁業補償協定の補償内容は、「福島第一原子力発電所7・8号機および広野火力発電所5・6号機の運転に伴う冷却水の取水・排水等が、下記の各漁業協同組合が漁業権等を有する漁場に与える損失に対する補償」となっています。補償額は原子力発電所分が122億円、火力発電所分が30億円、計152億円です。
一方、漁業雑誌「漁村」(漁村文化協会発行)によると、福島第一・第二原子力発電所などの温排水よる影響を次のように書いています。
「海洋環境や漁業資源には様々な条件が関与しており、不明確な部分はあるが、特異な資源変動は確認されず、温排水が沿岸の海洋環境や漁業資源へ影響を及ぼしていると考えられる事象は認められないと判断された」。
さらに、温排水を利用した栽培漁業を、福島県では推進しています。
温排水による影響が認められず、しかも、その温排水を利用して漁業をするとなると、漁業補償の意味はなくなります。つまり、漁業補償が損害賠償という民法法規によるものであるにもかかわらず、損害がなくても補償金が支払われてる、ということです。したがって、温排水による漁業補償額の算定に科学的根拠がないのは明らかであり、それにとどまらず、漁業補償を支払う理由すら見出すことはできません。
原発交付金とも言われる電源三法交付金は、田中角栄首相時代の1974年に創設され、原子力関連施設の立地自治体へ投下されています。電事連のWebサイト「日本の原子力」によれば、「これは立地地域に発電所の利益が十分還元されるようにする制度です。これによって、発電所立地にともない、立地地域に振興効果がもたらされてきています。」と目的が書いてあります。しかし、どんな種類の企業でも、地方へ進出すれば、その経済効果があるのは明らかであり、なぜか電力会社の発電所だけが優遇されています。しかも、電力会社は超優良企業ですから、立地自治体の収入となる固定資産税の滞る心配もありません。
あらゆる原子力関連機関の説明によれば、「安全である」のですから、それならば、交付金を「迷惑料」などと呼んで受け取る理由も全くなく、これは、核燃料税や核燃料物質等取扱税(核燃税)などの税金に関しても言えることです。しかし現実には、誰も「安全である」とは思っていないだろうし、どんな施設にも事故は起こり得ます。原子力関連施設の場合、その被害は広域に及ぶことを想定すべきであり、立地自治体だけが「迷惑料」を受け取るのはおかしい、と私は思います。
史上最悪のチェルノブイリ原発事故では、未だに事故による影響は確定していません。それほど環境中に放出された放射性物質の威力というのは大きいものです。死亡者数ですら調査機関によって異なり、リクビダートルと呼ばれる決死の原発補修隊60万人は、今でも後遺障害に悩んでいます。しかも生活保障はどんどん減らされています(NHKスペシャルより)。彼らは、本当の損害を請け負ったのであり、彼らこそ手厚く保護されるべきなのです。しかし、現実には、そうなっていません。今の日本の状況で、万が一、事故が起こった場合、同じことが繰り返されます。「原子力損害の賠償に関する法律」の条文を読んでみると、その貧弱な姿を浮かび上がってきます。事故の想定は、最悪の場合を考えるべきであり、よって、現実に起きたチェルノブイリ事故を参考にすべきです。そのチェルノブイリでは、再び、事故の起きた原子力発電所の補修をしなければなりません。惨事は今でも続いており、悲劇の終結はいつになるのでしょう。
茨城県のJCO東海事業所で起きた臨界事故で、大内久さんと篠原理人さんが亡くなりました。2人の治療に当たった前川和彦東京大学医学部教授は、大内さんが他界した記者会見で、次のように言いました。「原子力防災の施策のなかで、人命軽視がはなはだしい。現場の人間として、いらだちを感じている。責任ある立場の方々の猛省を促したい」。
「国策の犠牲になっている」と原発立地自治体は思っているかもしれませんが、実際に事故に遭遇し、被曝した人たちこそ、本当の犠牲者です。その人たちこそ、損害賠償として、カネを受け取るべきであり、そして、犠牲者を生まないように、原子力防災にカネを注ぐべきです。現在の交付金などの使途をのぞいてみると、全く無駄としかいいようがないものがたくさんあります。カネの無駄遣いは、財政の健全化を兼ねた地方合併促進策に対しても逆行するものあり、交付金を見込んで合併を渋る自治体すらも見られます。これでは、残念ながら、前川教授の嘆きが生かされているとは言いがたい。私たちの電気料金から捻出されているこれらのカネが、有効利用されていないということを知ると、つい、怒りを感じてしまいます。
漁業補償、原子力関連交付金、核燃料税や核燃税などの本当の目的は、カネで自治体や住民を黙らせ、原子力政策の必要性や安全性に対する議論や理解を、国民から遠ざけることなのです。ウソだと思うなら、逆説的に考えてみてください。これらのカネの存在がなかったら、どの自治体も真剣に検討するでしょう。原子力施設の必要性が本当に議論され、事業そのものも今よりももっと厳しい目で監視されることになります。その結果、関係者たちには緊張感が生まれ、現在起こっているデータの改竄、偽装、故障隠しなどということはなくなると思います。このままのたるんだ状態では、・・・・。
原子力業界のばら撒くカネは、上記のとおり有効利用されているとは言えず、現状のままでは、住民の対立を引き起こし国民を無知にします。それらのカネの目的や必要性を再検討し、核燃リサイクルを含めた原子力政策に対する真剣な国民的議論が行われることを、私は期待します。
参考文献
海の『守り人』論p67〜p68
Webサイト「東京電力株式会社」
http://www.tepco.co.jp/cc/press/00120801-j.html「漁村」平成18年2月号p72〜p75
Webサイト「日本の原子力」
http://www.fepc-atomic.jp/nuclear/site/develop/002.html(←リンク切れ)
NHKスペシャル「汚された大地で 〜チェルノブイリ 20年後の真実〜」
「朽ちていった命」p194
(「軍縮地球市民」No.8 p96)
以上、平易な文章でした。
文体は、「です」「ます」調です。
経験的な内容なので、いつもの「である」調は控えました。
「軍縮地球市民」は休刊中であり、バックナンバーもないと思います。
ここでしか、読めない?
ではでは〜。