日本の漁業が崩壊する本当の理由 片野歩

世界中で魚類資源が増えているのに、日本だけが減っている。
この現実を、恥ずかしいと思うべきである。

日本の漁業が崩壊する本当の理由.jpg

すべての漁協組合長、理事、参事、そして、任意の漁業団体の会長以下すべての役員たちは、この本を読むべきだ。
読みたくないならば、「日本の漁師は大バカものだ」を参照すること。
これを認識できないならば、役職に就く資格はない!

2023年11月06日

健康を維持する免疫

ふたたび、こんばんは。

カテゴリー「免疫について」の目次を作っておきます(はちみつシリーズも下のほうに目次を追加しました)。
目次をクリックすれば、移動できます。
なぜ、そうするのか、というと、一番最初に読むほうがいいと思われるものが、一番下に表示されるためです。
そして最初に、糖のエネルギー代謝(ミトコンドリア機能)と炎症やゴミ処理について、理解したほうがいいのです。

1.免疫について
2.組織形成場の理論
3.自然免疫と抗体
4.炎症の行く末
5.形態形成維持と細胞のゴミ処理
6.腸内環境
7 .ワクチンと自己免疫反応
8.各病気の本当の原因
9.アルデヒドという毒について
10.プーファとは
11.オメガ3の真実
12.病気にならない方法
13.がんの性質と撃退

あとは、自分で実践してみてください。
今や、私は風邪をほとんどひきませんし、たまにひいたとしても、1日で回復します。
以前の私は、こんなに丈夫ではなかった。

この本は読んでほしいなあ」に書いてあるように、父を病院から連れてきた時、もう長くないのではないかと思っていました。
ところが、症状は劇的に改善し、プーファ・フリーの効果は絶大だったというしかありません。
投薬量も劇的に減らし、朝7錠、昼2錠、夕4錠の1日13錠飲んでいたのが、朝3錠、夕1錠の1日4錠のみとなりました。
これは、リーキーガットも減らしたことにもなります。
薬には、腸粘膜を壊して、腸から血管へ薬の成分を移入させるため、乳化剤という界面活性剤を入れてあります。
医師たちは、このことを了解済みのため、必ず、胃腸薬も処方するのです。

新型コロナ病を防ぐと宣伝され、結果的に政府や医師会などに騙された形のワクチン接種によって、たくさんの人たちが、免疫異常、免疫不全などから、病気に苦しむようになっています。
その免疫力を回復するために、糖のエネルギー代謝の復活、ミトコンドリアの機能の正常化へ、はちみつが有効である、という喜ばしい本が上梓されました。
今年、熊が山から下りてきて騒動していますが、その熊の大好物なのが、はちみつです。
日本では、熊が百獣の王様みたいなものでしょう。
熊みたいにならなくても、きっと丈夫になれる。
ということで、はちみつシリーズも、目次として挙げておきます。
ここを読んでおられる人たちの健康をお祈りします。

1.新型コロナ病とはちみつ
2.肥満と闘え!
3.血糖値とはちみつ
4.はちみつは万能食品
5.人工シロップと農薬
6.はちみつの食べ方

崎谷博征先生の健康常識パラダイムシフトシリーズをまとめたもので、この本を世に出して教えてくれた先生には、感謝しかありません。
これらのシリーズは、バリバリの専門用語が多くて、読書を好きな人でも、理解の及ばないものが多いと思います。
学校の教師の、わからない部分は何度も読め、という忠告に従うと、何とか理解できます。
しかし、ハードルが高い。
このような一般向けの本は、初版で終わるのに、何刷も出版されています。
おそらく、現代医学に疑問を持つお医者さんたちも、買って読んで参考にしているものと思われます。
そうでなかったら、あまり面白くもない本が売れるわけもありません。
ちゃんとしたお医者さんは、日本全国に、きっといます。
posted by T.Sasaki at 16:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 免疫について | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年11月04日

がんの性質と撃退(免疫について 13)

3回目。

これを読んだら、がん医療の博士になれるかもしれない(笑)。

組織形成場の理論」で紹介した、健康状態を表す場”の理論の続きとなるが、がんというのは、病気で免疫が弱くなっている状態の終末と言っていいだろう。
細胞間はそれぞれ独立しているのではなく、相互に連絡し合って、正常さを保っている。
これを遮断しても、がん化する。(※1)

慢性炎症で起きる組織の線維化は、硬くなる、という特徴がある。
最もわかりやすいのは、乳がんである。
正常細胞では、プラスマイナスに分極して電位差があるが、がん細胞では、ない。
したがって、正常細胞は電磁波の影響を受けることになる。
携帯電話やWi-Fiの電波で、脳腫瘍が引き起こされることが、公式に認められている。(※2)
私は、平気で1時間くらいは電話するほうだから、きっと脳腫瘍になるだろう(笑)。

正常細胞は、外部から栄養を取りこみ、ミトコンドリアの機能でエネルギーに変えている。
これを同化という。
一方、体内から栄養を取りこみ、エネルギーに変換するのを異化という。
異化は、すなわち、体を分解していると言えるから、たくさんの炎症を伴うことになる。
この異化の一つである脂肪の燃焼は、サーチュインというタンパク質の活性化によるものであり、よく若返りとはいわれるが、その正反対に進む。
脂肪ではなくタンパク質をエネルギーとして利用する異化の場合、脳に良くないアンモニアを発生する。
アンモニアを無毒化するため、肝臓ではたくさんのエネルギーや二酸化炭素を必要となるが、糖が少ない状態では、無毒化も難しくなる。
そして、筋肉のタンパク質を消費するようになると、やがて甲状腺機能も低下していく。(※3)
がんへの道に、まっしぐらである。

がんは、脂肪中毒であり、糖を脂肪に変えるため、糖をたくさん消費するのである。
できた脂肪は、がんの成長、進行、転移に、非常に役立つ。
プーファは、脂肪新生と脂肪備蓄にも貢献する。(※4)
グルタミン、アルギニンやメチオニンなどは、がんが生きるためのエサとなっている。
これらのアミノ酸を抑制することによって、抗がん作用が働くことがわかっている。(※5)

体内の毒素であるエンドトキシンは、本来は、必要だから存在する毒物である。
しかし、高脂肪食やストレスによって、有害な毒に変化する。
病気では、エンドトキシンが炎症にかかわるが、やはりがんでも、エンドトキシンがポイントとなる。(※6)
増粘剤は、腸内のバクテリアを増殖し、充満すると小腸にまで到達する。
これによって発生するエンドトキシンは、血液中へと移行し全身へ循環する。
腸内のバクテリアの過剰な増殖を防ぐには、ニンジン、キノコ類、タケノコを摂取するとよい。
抗エンドトキシンとして、ライボフレイビン(ビタミンB2)、ナイアシノマイド(ビタミンB3)、ビタミンA、ビタミンDなどがある。(※7)

がんだけにかかわらず、炎症を引き起こすストレスホルモンを抑制する物質がある。
ビタミンA、B1、B2、B3(ナイアシノマイド)、B6、D、E、K、カフェイン、メチレンブルーなど。
もちろん、糖や果糖も、ストレスホルモン抑制に効果がある。
食塩も1日に15gくらい摂取しないと、ストレスホルモンが上昇する。
逆に、エストロゲン作用の強い大豆、農薬、タバコの煙などは、忌避すべきである。(※8)

がんの大好きな脂肪新生を抑えるものとして、クワイノンやアスピリンがある。
リポリシス(脂肪分解)を抑えるだけでも、がん細胞は死滅していくので、それを抑えるナイアシノマイド、アスピリン、そして、脂肪燃焼をブロックする、パルミチン酸(飽和脂肪酸)、アスピリン、ミルドロネイトが有効である。
アスピリンの有効成分であるサリチル酸は、果物に豊富に含まれている。
ミルドロネイトは、テニスのマリア・シャラポア選手が使用されたとされているが、がんの縮小効果があっても、不思議にも西側では認定されていない。
したがって、研究費用も出ない。(※9)
やってみたら〜、という感想。

乳酸の発生や還元ストレスを止めるためには、糖のエネルギー代謝を高めるために、ピルビン酸脱水素酵素を活性化させたほうがよい。
この酵素は、果糖、サイアミン(ビタミンB1)、ライボフレイビン(ビタミンB2)、パルミチン酸などを必要とする。
還元ストレスを避けるのに、二酸化炭素を高める方法もある。
過呼吸を防ぎ、おしゃべりもほどほどにして、たまには沈黙する。
気分が悪くならない程度まで「バッグ呼吸」をする、というのも一つの方法である。(※10)

ノーベル賞を受賞した京都大学の本庶佑特別教授の功績から、免疫チェックポイント阻害剤が開発された。(※11)
残念ながら、これにもマイナス要素がある。
自己免疫反応を起こしたり、免疫チェックポイント阻害剤にさえも、がんが耐性を持つようになることがわかってきた。(※12)



(※1)
 健康な場であれば、たとえ細胞がダメージを受けたとしても、それを修復するか、修復不可能な場合は細胞が自発的に消失(アポトーシス:apoptosis)し、綺麗に掃除されます(これを食作用[ファゴサイトーシス:phagocytosis]という)。そして新たな細胞(幹細胞)が補充されて組織が再構築されます。
 キャンサー・フィールド(ガンの場)の場合は、細胞のダメージを修復するエネルギー量が不足しているためにさらに無秩序に分裂・増殖を繰り返すことになります。ダメージを受けた細胞を補充しようとして、新たにリクルートされた細胞も適切な指示が出ないために無秩序に成長・分裂するしかありません。
 これでは組織再構築どころか、さらに構造・機能が変質していきます。
 あくまでも、ガンは無秩序に増殖を繰り返すことで、その構造・機能が変質していく過程(process)を見ているのに過ぎません。そのため、「ガンはいつまでも治らない傷」「ガンは組織形異常」と優れた先駆者たちから提言されているのです。
(「ガンは安心させてあげなさい」p109)
 健康な場の細胞にとって、細胞間のコミュニケーションは最重要部分です。
 生命場で起こった変化は、一つの細胞からすぐさま近隣の細胞へと情報が伝達されます。このときに情報の受け渡しを担っているのが細胞間の「接着分子」といわれる物質です。もしある細胞に修復できない異常があった場合は、その接着分子を溶かしてその異常細胞だけを切り離して処理します(アンドッキグ&アポトーシス:undocking & apoptosis)。
 生命場では、こうして細胞間の接着分子を介して脳の指令がなくとも全体に影響が及ばないようにいくつも注意深く自己監視(セルフ サーベイランス:self-surveilance)しています。
(前掲書p112)
 一般に正常細胞を体から取り出して、シャーレ(ペトリ皿)上で培養すると自然にガン化していきます。これも、細胞が体内にあったときの周囲との相互コミュニケ―ションがシャーレ上でなくなったからです。
 正常細胞は相互コミュニケーションという自己監視機能が完全に失われ、生命場を維持するための手がかりをなくしてしまった結果、ガン細胞へと変化せざるを得なくなったのです。
 生命場(形態形成場:morphogenetic field)を維持するのに、細胞間の、あるいは細胞と周囲組織との相互コミュニケーションは最重要ファクターであることを、この実験結果が示しています。もちろん、このような相互コミュニケーションを成立させているのも十分なエネルギーがあってのことです。
(前掲書p114)

(※2)
「ガンの場の理論」では細胞とその周囲の環境をひっくるめて“場(生命場)”と捉え直すことから始まります。そしてそれぞれを分離するのではなく、あくまでも細胞と周囲環境との相互作用がキャンサー・フィールド(ガンの場)を作ると考えます。
 そしてその相互作用を決定づけるのが「エネルギー代謝」です。この視点が今までの理論にはない新しい統一理論としての「ガンの場の理論」の支柱となります。
 なんらかのストレスで細胞(周囲環境の細胞も含める)のエネルギー代謝が低下すると、それは生命場全体に影響を及びます。
 生命場(形態形成場:morphogenetic field)を決定する「エネルギー代謝」に影響を与える因子は栄養(糖、タンパク質、脂質)、ミネラル、酸素など以外にも、
  ・機械的刺激(mechanical force)
  ・生体電気的信号(bioelectric signal)
  ・位置情報(positional information)
なども生命場に大きな影響を与えます。
(前掲書p117)
 ガンに関係する重要なものとしては、まず細胞の周囲の間質が硬くなるという機械的刺激(過剰な負荷)です。これを繊維化といいます(線維化をもたらす原因物質はセロトニンとエストロゲンのシックネス・サブスタンスである)。細胞の周囲が硬くなるという過剰な機械的刺激を受けて最終的に細胞自体も硬くなっていきます。これは典型的なガンの特徴です。乳ガン検診で触診もガンやガンが転移した先のリンパ節の“硬さ”を見ているのです。
 この線維化を起こして間質が最初に硬くなるというのは、実は慢性炎症の特徴(hallmark)です。慢性炎症はキャンサー・フィールドを作り上げる一つの重要なファクターです。
 電気的信号(bioelectric signal)が場に与える影響としては、細胞内外での電圧を変えることで正常細胞をガン細胞に変化させることができます。
 正常細胞では、細胞内外は電気的にプラスマイナスに分極していますが(細胞内がマイナス)、ガン細胞ではこの分極がなくなることが知られています。これを「脱分極」といいます。つまり、ガンでは細胞内外でプラスマイナスの電位差がなくなるということです。ちなみに、刺激を受けて興奮した細胞もガンと同じく電位差がなくなります。
(中略)
2017年に米国カリフォルニア州では公式に携帯の電磁波が脳腫瘍を引き起こすと公表しました。携帯機器の電磁波によって有意に脳腫瘍が発生することがヒトでも判明したためです。
 実際にWifiや電子レンジの電磁波によってエネルギー代謝が変化し、病気の場(シックネス・フィールド)の主要なプレーヤーの一つであるセロトニンの分泌が上昇することが分かっています。
(前掲書p119)

(※3)
ヘルスネス・フィールド(健全な場)にいる細胞では、外部から必要な栄養源を取り入れてエネルギー源や構成材料に変えることをしっかりと行っています。この営みを「同化」(anabolism)といいます。
 ところが、ここに過剰なストレスがかかると、それに適応するためのエネルギー源としての糖が欠乏していきます。そこで、ストレスホルモンが作動します。ストレスホルモンの代表がアドレナリン、コルチゾールという物質です。
 これらは体内のタンパク質、脂肪を分解してエネルギー源に変換します(最初は糖の貯蔵体であるグリコーゲンを分解しますが、数時間しか持ちこたえられない)。過剰なストレスに対しては、体内の組織まで分解しないとそれに適応するだけのエネルギー量を確保できないからですが、この体内のタンパク質、脂肪の分解を「異化」(catabolism)といいます。
 つまり、ヘルスィネス・フィールド(健全な場)でもストレスが過剰にかかると、通常の同化(外部からの摂取・体内合成)から異化(体の分解)へとエネルギー代謝がシフトするのです。
 ストレスが収まれば、また平常の「同化」のエネルギー代謝に戻ります。しかし、ストレスが慢性的に続く状態では、糖・果糖を十分に補給し続けない限りは「異化」のエネルギー代謝が続きます。したがって体のタンパク質や脂肪が分解され続けるということになります。
 体内の脂肪を分解することを「リポリシス」(脂肪分解)といいます。現代人の体内に蓄積している脂肪(脂肪酸)で問題なのは、プーファ(PUFA:長鎖不飽和脂肪酸、オメガ3とオメガ6がある)が多いことです。リポリシス(脂肪分解)では、非常に毒性の強い「アルデヒド(RCCs)」をもっとも形成しやすいオメガ3系のプーファが真っ先に放出されます。
 オメガ3やオメガ6といったプーファ(PUFA・長鎖不飽和脂肪酸)は、エネルギー源となる前に体内で容易に酸化されて、アルデヒド(RCCs)を放出します。
 このアルデヒド(RCCs)は、私たちのエネルギー代謝を担うタンパク質あるいは遺伝子(DNA)に結合して、その構造・機能を直接的にも間接的にも破壊していきます。
 したがって、わたしたち現代人に蓄積されている脂肪のプーファ(オメガ3&6)を分解して放出させるリポリシス(脂肪分解)は生命体にとって大きな脅威になるのです。リポリシスが起こっている状態では、糖・果糖を入れても不完全燃焼しか起こさず、前述した乳酸という毒性物質が蓄積していきます。その理由は、リポリシスによって放出されたプーファ(オメガ3&6)が糖・果糖の代謝をブロックするからです。
 このように、糖が欠乏してくるとエネルギー源が糖から脂肪(あるいはアミノ酸)へシフトしていきます。糖が欠乏するとサーチュイン(sirtuin 1)というタンパク質が活性化されますが、サーチュインは脂肪の燃焼(ベータ酸化)を高めます。一時は、サーチュインは若返りのタンパク質といわれましたが、事実はその反対で、シックネス・フィールド(病気の場)のエネルギー代謝へシフトさせる物質です。
 またプーファ(オメガ3&6のいずれも)は、ミトコンドリアの電子伝達系をもブロックしますから、電子の渋滞⇒還元ストレスを引き起こす大本でもあります。
 またタンパク質を分解してエネルギー源にした場合も、問題を引き起こします。タンパク質は分解されると、特に脳にとっては毒性が非常に強いアンモニアが産生されます。アンモニアは肝臓で無毒化されますが、それには多大のエネルギーと二酸化炭素が必要です。「異化」が進んでいる状態では、エネルギーおよび二酸化炭素の両方が欠乏するためアンモニアが蓄積しやすくなります。
 さらにエネルギー源として分解するタンパク質は主に筋肉組織(その他、胸腺、皮下組織)です。筋肉タンパク質のアミノ酸組成にはトリプトファン、メサイオニン(メチオニオン)、システィーン(システイン)が多く、これらが遊離アミノ酸となって血液中を循環すると甲状腺機能が低下します。また、トリプトファンはシックネス・サブスタンス(病気の場の物質)の代表で、ガンの増殖(およびバイスタンダー効果)に不可欠なセロトニンの材料です。
(前掲書p128)

(※4)
 ガン細胞の糖の取り込み(解糖系、発酵)は、正常細胞の200倍にも達しますから、ガン細胞があたかも“糖中毒”のように見えるのは必然です。
 しかし、ガン細胞の糖の取り込みは、エネルギー産生目的ではなく、主に「脂肪新生(de novo fatty acid synthesis)」(あるいは還元物質の備蓄)に使用されていることが分かりました。「脂肪新生」とは、細胞が糖、アミノ酸、脂肪酸などを材料として、細胞内で脂肪を新たに作ることをいいます。
(前掲書p138)
 ガンは“脂肪中毒と言ってよいくらい、脂肪が大好きで、脂肪の備蓄を怠りません。
(前掲書p150)
 ガンの同化では、外部から摂取される糖、アミノ酸、脂肪酸のいずれもが使用されますが、中でも脂肪は特にガンの成長・増殖・転移にとって必須の栄養素です。
(前掲書p153)
 プーファのオメガ6に関しては、直接的なガンの増殖作用およびエストロゲンの動員によって乳ガンリスクを高めることも分かっています。このプーファによって動員されたエストロゲンの影響(エピジェネティックス)は子孫にまで伝わります。
(前掲書p158)
 代謝の側面からは、プーファ(オメガ3&6)はダイレクトにペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPARγ)を活性化して脂肪酸新生と脂肪備蓄を促進します。つまり、プーファはガンの脂肪中毒を促進する物質でもあるのです。
(前掲書p159)

(※5)
1960年代からグルタミン、アルギニンやメチオニンなどのある種のアミノ酸制限食が細胞実験や動物実験を中心に抗ガン作用(骨肉腫、肝細胞癌、膵臓がん、前立腺がん、白血病、悪性リンパ腫、悪性黒色腫など)を持つことが報告されています。
 2019年の扁平上皮癌の細胞実験でも明らかになっていますが、ガン細胞の増大には砂糖は必要なく、グルタミンなどのアミノ酸を餌にして増大することが明らかになっています。ガンの増大がグルタミンというアミノ酸などに依存していることは、近年の悪性黒色腫、肺線癌、乳がん細胞の実験でも確かめられています。実際にグルタミンの利用をブロックすることでガンの増大を抑制できることも報告されています。
 ガン細胞では、糖のエネルギー代謝がブロックされているため、成長に十分なエネルギーが確保できません(これをウォーバーグ効果[Warburg Effect]という。解糖系のエネルギーには限界がある)。したがって、グルタミンを代替エネルギーとして使用しているのです(グルタミンからαケトグルタル酸に変換してTCA回路に入れる)。グルタミンは糖の細胞内取り込みをブロックするので、脂肪がガンのエネルギーの主要な栄養素になります。したがって、糖質をフリーにしてもガンの増大を止めることはできません。
 ガンの本当に死因は、腫瘍そのものではなく、筋肉(脂肪も)がなくなる悪質液(cachexia)や抗がん剤・放射線治療などの副作用がほとんどです。
がん悪質液では、慢性的ストレスによるコルチゾール上昇あるいはそれによって誘導される炎症性物質(TNFα,NF-kB,myostatin)などによって筋肉が分解されます。その筋肉の分離で血液中にグルタミン酸が増加し、さらにガンの増殖を促すのです。
 グルタミンの他には、アルギニンというアミノ酸もガンの増大や転移のための“エサ”になっています。これは、アルギニンからグルタミンが体内合成されるためです。さらに、アルギニンから生成される一酸化窒素(NO)が脂肪の代謝(脂肪のβ酸化)を高めるためにガンが増大・転移します。さらにアルギニンは細胞増殖作用を持つポリアミンの前駆体でもあります。
 ガンは、「砂糖中毒」ではなく、本来は脂肪をエネルギーとし、また脂肪合成をアップして脂肪を溜め込む「脂肪中毒」です。がん細胞はその脂肪の中でも、とりわけプーファに依存しています。そして、脂肪の中でもプーファをより好んで取り入れます。ガン細胞は、外部からプーファを取り込むだけでなく、自らの細胞内脂肪合成を高め、プーファを産生(upregulation of genes involved in FA synthesis,elongation,and desaturation)して溜め込んでいます。これは、ガン細胞がプーファを細胞増殖に利用するからです。
(「ハチミツ自然療法の最前線」p176)

(※6)
 エンドトキシン(内毒素)は、腸内微生物の中でも大腸菌のようなグラム陰性菌の細胞壁成分です。本来はこのようなバクテリアが自分の身を守るために内臓している毒素成分です。種子の胚の周囲に毒が仕込まれているのとまったく同じです。私たちの血液中にも腸、口腔内、肺、尿生殖路から移行したエンドトキシンがある一定数存在しています。
 高脂肪食やストレスがかかると、血液中にエンドトキシンが高濃度になることが分かっています。これによって慢性的に全身の炎症が持続する慢性炎症の状態になります。もちろん、急激にエンドトキシン濃度が高まるとショック(エンドトキシン・ショック、敗血症ショック)になり、命を落とします。
(「ガンは安心させてあげなさい」p93)
 主に腸内で増殖したグラム陰性菌あるいはそのエンドトキシンの血液内濃度が高くなることは、プーファと同じく還元ストレスを引き起こし、発ガンを促進します。全身を循環する血液中には直接エンドトキシンが増加しなくても、グラム陰性菌が増殖(実際に人の血液中1ml中には一千個のバクテリアが存在している)すれば、鉄の存在下で容易に血液中にエンドトキシンを産生し始めます。
 近年になって、ガンを含めた慢性病の根本原因がプーファ、鉄、エンドトキシンであることがかなり解明されてきています。
(前掲書p97)

(※7)
 キャンサー・フィールド(ガンの場)を強化する暴徒の一つであるエンドトキシン(内毒素)にも留意しないといけません。
 エンドトキシンが増加するのは、私たちの消化管が消化できなくて、かつ腸内微生物(バクテリア)が発酵できるタイプの食べ物です。
 穀物や豆類に含まれる食物繊維や紅藻類から抽出したカラギナン(carrageenan:キャラジーナン)、グアガムなどの増粘剤などは、私たちの消化管が分解・消化できないために、腸内バクテリアの恰好のエサになります。
 腸内バクテリアが増殖すると小腸細菌異常増殖症(Small intestinal bacterial overgrowth [SIBO])が起こります。通常、特に上部小腸にはほとんど細菌はいませんが、バクテリアは大腸での増殖によって小腸内まで充満してきます。これによって発生するエンドトキシンが小腸から全身の血液循環に入っていきます。
 したがって、消化の悪い食物繊維の摂取は控えるようにしましょう。その一方でセルロースは、微生物でも発酵できません。したがって、セルロースを豊富に含むニンジン、キノコ類、タケノコなどは、小腸内のバクテリアの増殖を防ぎ、むしろエンドトキシンを吸着してくれるため小腸内のバクテリアの増殖を防ぐのに非常に有効です。
 抗エンドトキシンの物質としては、ライボフレイビン(ビタミンB2)、ナイアシノマイド(ビタミンB3)、ビタミンA、ビタミンDなども有効です。
(前掲書p171)

(※8)
 場をかき乱す暴徒のトップバッターは、アドレナリン、コルチゾール、エストロゲン、セロトニン、アルドステロン、そして下垂体ホルモン(成長ホルモン、乳汁分泌ホルモンなど)といったストレスホルモンです。
 これらのストレスホルモンはリポリシス(脂肪分解)を起こして、プーファを遊離脂肪酸(FFAs:free fatty acids)として血液中に放出します。これは「場」をさらに刺激・興奮させてキャンサー・フィールドを強化します。
 ちなみにプーファは、コルチゾール、エストロゲン、セロトニンといったストレス物質の細胞レベルでの産生をアップさせるのでまさに悪循環です。プーファの害悪は、自動酸化されて発ガン物質のアルデヒド(RCCs)を産生するだけではありません。プーファの存在自体がストレスホルモンという“暴徒”を呼び起こすのです。
 このストレスホルモンという暴徒を抑えるのは、意外に思われるかも知れませんが、ビタミン類、特に脂溶性ビタミンが大変有効です。
 抗コルチゾールで有効なビタミンとしては、ナイアシノマイド(ビタミンB3)、ビタミンB6、ビタミンA、ビタミンDがあります。
 抗エストロゲンとしては、ビタミンB1、B2、B3(ナイアシノマイド)、ビタミンA、D、E、Kが挙げられます。あるいはカフェイン、メチレンブルーなども抗エストロゲン作用を通じてガンの増殖を抑えます。
 もちろん、エストロゲン作用の強い大豆(genistein:ジェネスティーン)、農薬(DDT)、グライフォセエイ[ランドアップ]、タバコの煙などにも留意しましょう。
 抗セロトニン作用をもつものにはビタミンB2があります。また、カフェインにも抗セロトニン作用があります。
 抗アドレナリンとしては、やはり糖・果糖をしっかり摂取することにつきます。糖・果糖は最大のストレス防御物質です。
 私にとってビタミンは単なるサプリメントではなく、根本治癒物質としての認識があるのは、このような作用があるためです。
 また、抗アルドステロンとしては、塩をしっかり摂取することが肝要です。ナトリウムの摂取量が4〜5g/日(食塩として12〜15g/日)を下回るとアルドステロンだけでなく、セロトニンもたちまち上昇します。
(前掲書p169)

(※9)
 脂肪新生を抑えるには、コック博士が研究していたクワイノン(quinones)、アスピリンが有力です。クワイノンはハーブに多く含まれる成分で、アロエの抹消、ルバーブ(Rhubarb)、センナ、大黄やセイヨウオトギリソウ(ハイペリカム:Saint John' wort)に含まれています。ビタミンK(MK-4)やテトラサイクリンもクワイノンの仲間です。
 長年みなさんの脂肪に蓄積したプーファが血中に放たれて遊離脂肪酸(FFAs:free fatty acides)になる脂肪分解(リポリシス:lipolysis)もブロックしなければなりません。リポリシスを抑えるだけでもガン細胞が死滅していくことも報告されています。リポリシス(脂肪分解)を抑える物質としては、ナイアシノマイド、アスピリンが有力です。
 脂肪の燃焼(ファットバーン)のブロックについては、パルミチン酸(飽和脂肪酸)、アスピリン、シャラポア選手で話題にのぼったミルドロネイト(Mildronate)が有効です。
 ちなみに、アスピリンの有効成分であるサリチル酸は果物にエステル体(サリチル酸メチル)として豊富に含まれています。アスピリンはガン細胞を正常化させることが近年注目を浴びるようになっています。これはアスピリンがガンの脂肪中毒というアキレス腱を絶つことができるからです。ただし、医薬品業界では特許の切れた古い薬なので、アスピリンの抗ガン作用の研究には資金が下りません。
 また発ガン物質であるアルデヒドの発生において、プーファとセットである重金属、特に鉄、水銀、カドミウム、ヒ素などにも留意しておかなくてはなりません。これらは、すべてミトコンドリアの電子伝達系をブロック(TCA回路もブロック)することで、前述したように還元ストレスをもたらすからです。
 鉄は還元状態で、プーファの自動酸化を促進していきます。さらにはエンドトキシンを発生させるバクテリアのエサにもなります。鉄分の多い食べ物の過剰摂取は避けてください(鉄剤はもってのほかです)。鉄なべや鉄のフライパンなども使用は控えましょう。
(前掲書p176)
 2016年にテニス界の妖精と呼ばれていたマリア・シャラポア選手が、世界反ドーピング機関(WADA)指定の禁止薬物に陽性が出たことで二年間の出場停止の処分を受けました。
 その指定薬物こそは脂肪の燃焼(ベータ酸化)をブロックする「ミルドロネイト(Mildronate,Mildonium)」です。ミルドロネイトは、ロシア、東欧圏では、心臓血管疾患、糖尿病に治療薬として公式に使用されている物質です。ロシア、東欧圏のアスリート、特に耐久性スポーツのアスリートには疲労が蓄積しないという効用のためミルドロネイトはサプリメントとして使用されていました。
 このミルドロネイトはガンの治療においても使用されている歴史もあり、ガンの縮小効果があるはずですが、なぜかより毒性の強い薬剤についてしか研究論文が出ていません。しかも不思議なことに欧米諸国では医薬品として認められていません。
(前掲書p154)

(※10)
還元ストレスを止めるためにも、糖・果糖のエネルギー代謝(ミトコンドリアまでの完全燃焼)と高めなければなりません。甲状腺ホルモンはその中心です。そして、糖・果糖の代謝で重要な細胞質⇒ミトコンドリアに入る関門であるピルビン酸脱水素酵素(PDH)を活性化することが肝要です。細胞内での過剰な糖の発酵(解糖系)を防ぐことで乳酸の蓄積をなくすことができます。
 ピルビン酸脱水素酵素(PDH)は、果糖、サイアミン(ビタミンB1)、ライボフレイビン(ビタミンB2)などが代表的な物質です。またパルミチン酸(飽和脂肪酸:糖、果糖を500g/日以上摂取した場合に転換されるココナッツオイルにも含まれる)は、糖の発酵を抑えて糖・果糖のエネルギー代謝を高めます。
 またミトコンドリアでの電子伝達系での電子の渋滞(それによるフリーの電子の漏出⇒プーファの自動酸化)を防ぐためにも、電子を受け取る物質「電子受容体(electronacceptor:エレクトロン・アクセプター)」は非常に有効です。
 コック博士のクワイノンをはじめ、メチレン・ブルーなども有効な電子受容体であり、糖・果糖のエネルギー代謝あるいは甲状腺ホルモンの働きをスムーズに高めてくれます。電子受容体は細胞内還元状態を初期設定の酸化状態に戻してくれるのです。
(前掲書p178)
 キャンサー・フィールド(ガンの場)では、乳酸が蓄積します。この乳酸蓄積(「代謝性アシドーシス」という)によって、代償的に過呼吸になるため細胞内および血液中の二酸化炭素(CO2)濃度が低下します。二酸化炭素(CO2)濃度は細胞内を弱酸性にキープする役割を持っていますから、乳酸蓄積では細胞内がアルカリ性に傾きます。これで「還元ストレス」が加速します。
 しかし、体内(細胞内)の二酸化炭素(CO2)濃度を高めると、細胞内が還元状態から酸化状態に変わります。さらに、二酸化炭素(CO2)は、病的な脂肪新生をストップさせ、細胞のエネルギー代謝を糖の燃焼へと切り替えます。
 二酸化炭素(CO2)は、健康の場で、細胞・組織への血流を増やす(血管を拡張させる)物質ですから、エネルギー源になる糖・果糖を充足させてくれます。まさに健康の場(ヘルスィネス・フィールド)の中心物質です。
 二酸化炭素(CO2)濃度を高める方法としてはゆったり鼻呼吸することを意識してください。口から息を吐くような激しい運動は禁物です。また、あまりおしゃべりをしないことも大切です。コミュニケーションの問題に支障を来さない範囲で、一週間に何度かは意識して口を閉ざす日を設けてください。文字通り「沈黙は金なり」です。
 過剰に話すことは、体内の二酸化炭素濃度を低下させるだけでなく、脳細胞を興奮させてセロトニン(病気の場の主要ファクターの一つ)を増やす原因にもなります。
 また定期的なバッグ呼吸(bag breathing)も、ガンに限らず、あらゆる慢性病に大変有効です。これはよく救急車で運ばれるパニック障害で過呼吸になっているときの治療法でもあります。バッグ(紙バッグ)の中に自分の吐いた二酸化炭素が蓄積していくために、高濃度の二酸化炭素を吸い込むことが可能になります。バッグ呼吸で酸素濃度が低下していきますから、低酸素で気分が悪くならない程度まで行ってください。
 薬剤では高山病などに使用される「アセタゾラマイド(acetazolamide)」は、還元ストレスで上昇する炭酸脱水酵素(CA:carbonic anhydrase)をブロックし、細胞内CO2濃度を高める作用があります。これと同じ作用をもつものがビタミンB1(サイアミン)です。
(前掲書p173)

(※11)
 エイズウイルス感染、B、C型肝炎ウイルス感染などにみられるように感染刺激が繰り返される場合(慢性感染)やガンの場では細胞障害性T細胞の動きが抑えられます。この現象は「T細胞疲弊(T cell exhaustion)」と呼ばれています。私たちの細胞は刺激がマンネリ化すると、それに対する反応が次第に低下していきます。(閾値が高くなある。専門用語では「ダウンレギュレーション」という)。これは日常生活レベルでも経験しますよね。薬物中毒も同じ原理です。慢性的な薬物摂取(刺激)に対する快感(反応)が次第に低下してくるので、さらに多くの薬物(刺激)を与えないと以前と同じようなフレッシュな快感が得られません。
(中略)
 細胞障害性T細胞(CD8+)が疲労困憊状態になると、プログラム細胞死1(PD-1,Programmed cell death)、TIGIT(T cell immunoreceptor with Ig and ITIM domains)、リンパ球活性化遺伝子3(LAG-3,Lymphocyte-activated gene-3)などの「免疫チェックポイント分子(immune checkpoint molecule)」とよばれる免疫抑制タンパク質を発現します。免疫チェックポイント分子は、細胞のアポトーシス(自然細胞死)などの形態形成維持に重要な分子として認識されていました。細胞の「ドント・イート・ミー(don't eat me)」あるいは「ドント・キル・ミー(don't kill me)」の意思表示をする分子です。
 これらの免疫チェックポイント分子はゴミ(mess)に対する細胞障害性T細胞の反応を低下させて、免疫寛容状態にします。さらに細胞障害性T細胞が疲労困憊状態では、インターフェロン(IFN-γ)や腫瘍壊死因子(TNF-α)などのサイトカインの産生も低下します。
 C型肝炎などの慢性肝炎で使用されるインターフェロン(IFN-α)やリバビリン(ribavirin)は、この免疫チェックポイント分子であるプログラム細胞死1(PD-1)の発現を低下させて、免疫細胞の疲労状態を回復させる目的で使用されます。
 さらにガン領域では、この免疫チェックポイント分子をブロックすることで細胞障害性T細胞を疲労困憊状態から活性化状態にし、ガンに対しての攻撃を高める目的で「免疫チェックポイント阻害剤」(immune check point blocker)が開発されました(日本では「オプシーボ」という商品が使用されている)。
(「新・免疫革命」p151)

(※12)
 免疫細胞のやる気をなくすこれらの免疫チェックポイント分子は、細胞障害性T細胞(CD8+)だけでなく、マクロファージ、樹状細胞のような食細胞やナチュラルキラー細胞、ヘルパーT細胞(CD4+)にも発現しています。
 そうするとガンの治療目的で開発された「免疫チェックポイント阻害剤」は、生体内で細胞障害性T細胞以外の上記の細胞にも影響を及ぼし、形態形成維持に影響を与えるということになります。特にこの薬剤は免疫チェックポイント分子をブロックすることから免疫寛容がなくなり多臓器にわたって自己免疫反応(自分の体を攻撃する)を引き起こします。これは「免疫関連副作用(IRAEs,immune-related adverse effects)と呼ばれています。免疫チェックポイント阻害剤の投与を受けている人の約70%〜90%に起こると報告されています。
 特に細胞分裂の盛んな腸粘膜、皮膚、肝臓、骨髄系には影響が出やすいことが分かっています。
(前掲書p155)
さらにはこの免疫チェックポイント阻害剤にもガンは耐性を作ることが分かってきました。また免疫チェックポイント分子をブロックしても、細胞障害性T細胞(CD8+)の活性化が長続きしません。免疫チェックポイント阻害剤の作用がなくなると、すぐに疲労困憊状態に戻るのです。これではガンが消失するまで薬剤を投与しないといけない羽目になります。
(前掲書p158)
 ガン細部は免疫チェックポイント分子を出したり、死滅した細胞からT細胞疲弊(T cell exhaustion)を引き起こすゴミ(mess)を放出したりすることで、形態形成維持の自己監視機能を逃れています。何度も繰り返しますが、これらはガンが“自分の細胞”であることの証左ともいえるのです。
 前述した放射線治療後の死滅ガンによって周囲のガン細胞が増殖する現象(レベス現象、the Rsvesz phenomenon)なども、死滅したガン細胞からダンプス(DAMPs)であるプルスタグランディンE2(PGE2)や低酸素因子が放出されることが原因です。死滅したガン細胞から放出されたプロスタグランディンE2(PGE2)は、食細胞に対して腫瘍壊死因子(TNF-α)などのサイトカインの分泌を低下させて、M2型のマクロファージを増加させて腫瘍増大に働きます。
 逆に死滅したガン細胞から放出されるリン脂質(phosphatidylserine)によって各種の炎症性サイトカイン、ケモカイン(TNF,IL-6,IL-8,CCL4,and CCL5 etc)が食細胞から放出されることでガンの場が形成されてガンが増殖することも報告されています。
(前掲書p179)


2023年11月4日改稿
posted by T.Sasaki at 15:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 免疫について | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

病気にならない方法(免疫について 12)

ふたたび、こんにちは。

健康の話というのは、最終的に、病気にならないようにしなければ、意味がない。
病気にならない、つまり、炎症を起こさないようにするには、どうすればいいか?
それは、体の中に毒を入れないこと。
劇物的な毒は、もちろん、ものすごい炎症を起こして死に至るだろう。
死に至らないような炎症でも、体にかなりの負荷をかける。
例えば、重金属などはそうであるし、腐った食べ物などなど。
効果のないワクチンも毒の一つである。
とにかく、炎症を起こす物質を、体の中に入れない。
そうすれば、「免疫について」に記したように、自身の免疫に余力ができて、感染症に対処できる。

免疫と抗体」で胸腺の重要さを紹介したが、その胸腺ラインを弱体化させないようにすることが肝要である。
精神的ストレスを抑え、穏やかに生きる。
朝起きたら、紫外線の弱いうちに太陽を眺める。
ストレスホルモンであるエストロゲンを抑制するための物質として、クワイノン、ナイアシノマイド、ビタミンA,E、カフェインを摂取する。
発酵されたもの以外の大豆製品やプーファは、摂取しない。
特に、プーファと鉄は、最悪である。
胸腺を死滅させる物質として、二酸化チタンという着色料がある。
これは、乳製品やホワイトチョコレートに含まれている。
胸腺の委縮を止める物質としては、亜鉛やビタミンEがある。(※1)

リーキーガット(「腸内環境」参照のこと)による全身炎症を防ぐためには、アルコールなども控えること(断つことがベストだが。笑)
すでに紹介してあるように、リーキーガットとは、腸内にある毒物が、腸から血管に漏れ出すことを言う。
血液に混ざって、全身へ毒物が回るのだから、炎症は全身のあちこちで起こる。
意外にも、アルコールによって乱れた腸内環境は、長鎖飽和脂肪酸で改善される。(※2)

今や、乳化剤は、ほぼすべての加工食品に含まれていると言っていいほどだ。
お菓子も、和菓子以外は、すべて乳化剤入り。
これも腸粘膜を破壊し、リーキーガットを起こす。
医薬品もこの性質を利用して、腸から血管へ薬の成分を移動させるため、乳化剤を混ぜているのである。
したがって「要らない薬を飲むな」というのは、理にかなっている。(※3)
医師に聞いたことはないが、胃腸薬を添える処方は、乳化剤入りの薬剤によって荒れた腸を整えるためであろう。

リーキーガットを防ぐだけでなく、腸内環境の維持は大切だ。
果糖ブドウ糖液糖などを含む人工甘味料は、すべてダメ。
砂糖のほうが、ずっといい。
乳化剤と同じように、増粘剤もあらゆる食品に含まれている。
カラギーナンやグアーガムなどは、増粘多糖類と表記されているのを見たことがあるだろう。
これらは、メタ炎症のほかリーキーガットも引き起こす。(※4)
腸のほか、毒物が血管に入り込むルートは、口、肺、尿路などがある。(※5)

炎症期から回復期へ向かう時に、気をつけて食べ物を食べよう!
きっと早く回復する。
ココナッツオイルなどの飽和脂肪酸を上手に使い、タケノコ、生ニンジン、キノコ類などのセルロースを摂取する。
そして、ビタミンB2、ナイアシノマイド(ビタミンB3)、ビタミンA、ビタミンD。(※6)

不飽和脂肪酸より飽和脂肪酸の摂取のほうが、炎症は起きにくいが、飽和脂肪酸でさえも摂りすぎは良くない。(※7)

一般に血の含まれる肉は鉄が多く、内臓ではレバーが多い。
牡蠣やダークチョコレートも多い。
鉄の吸収はビタミンCが強化し、逆に、オレンジジュースやコーヒー、お茶に含まれるポリフェノールは、過剰な鉄の吸収を防ぐ。
鉄鍋を使用する中華料理天国の中国で、感染症が流行る理由が、ここにあるのではないだろうか。
プーファ、プラス、鉄。
過剰な鉄は、本当に良くない。
女が長生きする理由も、ここにあるらしい。(※8)

運動をすれば、体内毒素であるエンドトキシンが減少し、保護ステロイドも働く。
関連して、ステロイドは、短期服用は良いが長期服用は厳禁である。(※9)
副交感神経には、リラックスの働きがあるとされている。
だからといって、刺激するのは避けるべきである。
毒物が発生してしまうし、がんの進行や転移を促進する。
リラックスしすぎても良くなく、硬くなりすぎても良くない。(※10)
何ごとも、ほどほどに。

断食(ファスティング)はデブの解消に役立ちそうだが、実際には、メタ炎症を起こす。
ファスティングをすると、体内が飢餓状態ということから、脳が緊急的に糖を欲しがる。
したがって、脳以外ではインシュリン抵抗性を示し、脂肪を利用し始めることになる。
よって、高プーファ食と同じ炎症を起こし始めるが、これが脳を守るための防御機構の一つなのである。
極端なことをせず、大気汚染物質などの毒物を排除し、睡眠をよくとるなど、しっかりとした生活が最も大事なのである。(※11)

現代人には、自己免疫疾患が非常に多くなっている。
抗生剤やワクチンなどにも、その原因はあるが、実は、自己免疫疾患を防ぐには、子どもの頃にポイントがあったのだ。
残念ながら、すでに逃してしまった。
基本は、その辺で、土まみれ、泥まみれになって遊んでいればいいだけの話だったのである。(※12)
私の子どもの頃は、まだ、土や泥の上で遊んだ。
いつの時代からだろう?遊ばなくなったのは?

バクテリアやばい菌と呼ばれるものは、もともと共生してきたものであり、これを攻撃する薬剤を使えば、自分の正常な細胞も攻撃することにもなる。
これでは、健康維持などできるわけがない。
結局のところ、良い糖質を摂取することが、病気にならない方法なのである。(※13)

私は日本酒が好きだが、飲まなくなると、全く飲まない。
そうすると、体の調子が良くなると感じる。
普段から、プーファや乳化剤を極力とらないようにしているため、調子が悪くなったら、その原因物質を絶ってみる。
大体は、それで調子が良くなる。
良くならないときは、別の原因を考える。

アクロレインという物質は、タバコの煙や排気ガスに含まれ、さらに植物油で揚げ物をすれば発生する。
それらを吸い込めば、肺から体じゅうを巡回することになる。
したがって、全身のあちこちで炎症を起こすことになる。
医師たちは、「タバコをやめなさい」とは言うが、「揚げ物をやめなさい」とは言わない。
そして、「全身で自覚しない炎症を起こしているのですよ」とも言わない。
本当は、言ってくれればいいのに。



(※1)
胸腺は脊椎動物にとっては、リンパ球系の形態形成維持の要になっている組織です。胸腺にダメージを与える物質を抑えて、かつ胸腺を活性化させる物質に目を向けることが、リンパ球系の形態形成維持には必要です。実際に胸腺はダメージを与える物質を除去すれば再生可能です。したがって、胸腺にダメージを与える物質(およびネガティヴ・エネルギー)を極力避けるようにしていくことは実践可能かつ根本治療になります。
 まずは胸腺にダメージを与えるストレスホルモンであるコルチゾール、エストロゲンの過剰な分泌を抑えることは必須となります。ステロイドの慢性投与がなくても体内でコルチゾールが過剰に分泌されると同じ結果になります。慢性的な精神的ストレスに限らず、ファスティング、糖質制限やケトン食などのキィトーシス(ketosis)を起こさせる食事法を長期間行うことも慢性的にコルチゾールの分泌を高めて胸腺を委縮させるため禁物です。また低タンパク質食なども胸腺や骨髄の構造・機能にダメージを与えるために良質のたんぱく質(良質のアミノ酸組成)を摂取することが形態形成維持には必須です。
 エストロゲンの抑制に関しては、拙書『がんは安心させなさい』で述べたとおり、クワイノン(napthaquinone)、ナイアシノマイド、ビタミンA,E、カフェインなどが有効です。実際にエストロゲンを産生するアロマテース(aromatase)をブロックすると胸腺組織が回復します。
 そして発酵を十分に行っていない大豆製品を避けること。大豆に含まれるアイソフラボン(isoflavones)は、ごく微量でエストロゲン受容体に結合するため強力なエストロゲン作用を持ちます。これらの植物性エストロゲンは胸腺にダメージを与えて自己免疫疾患を引き起こします。
 もちろんプーファ(多価不飽和脂肪酸)はコルチゾールとエストロゲンの両方を高めるので胸腺には甚大なダメージを及ぼします。そしてコルチゾールとエストロゲンは脂肪組織からのリポリシス(脂肪分解)を促進するために、プーファの血液濃度が高まるので胸腺には甚大なダメージを及ぼします。そしてコルチゾールとエストロゲンは脂肪組織からのリポリシス(脂肪分解)を促進するために、プーファの血液濃度が高まるという悪循環をもたらします。
 またプーファと鉄はミトコンドリアにダメージを与えて活性酸素種・窒素種(まとめて「フリーラジカルズ」(free radicals)という)を発生させます。胸腺の間質は他の組織と比較して抗酸化物質(酵素)が少ないため、これらのフリーラジカルズによって容易にダメージを受けます。鉄とプーファの摂取は要注意です。
 現代医学のガン治療にも留意しないといけません。放射線では著明に胸腺の上皮細胞のみならず、間質までダメージを受けます。サイクロフォスファマイド(cyclophosphamide)などの抗ガン剤も胸腺を死滅させることが報告されています。自分の細胞であるガン細胞を死滅させる細胞毒性を持つものが抗ガン剤ですから、胸腺もそのターゲットになるのは当然です。
 食事に関しては、プーファ、大豆、鉄の他に加工食品にも留意してください。乳製品やホワイトチョコレートなどの着色料として使用されている二酸化チタン(TiO2,Titanium dioxide)は、胸腺細胞を死滅させることが報告されています。
 前述したDHEAと同じく保護ステロイドであるプロゲステロン(一般に妊娠ホルモンといわれている)は、コルチゾールやエストロゲンによって破壊された胸腺を回復させます。動物実験およびヒトのデータでは亜鉛やビタミンEは胸腺の委縮を止めることが報告されています。
 そして形態形成維持に重要な胸腺-甲状腺-脳下垂体-視床下部-松果体の上部チャクラ軸(axis)を同時に活性化できるのは可視光線・近赤外線領域のライトです。
 紫外線が弱い早朝や夕方の太陽を見つめる(sun gazing)ことによって、このチャクラ軸が活性化します。早朝のアーシング(earthing,グラウンディング〈grounding〉ともいう。裸足で土に接地すること)しながら太陽を見つめるだけで、現代人の詰まっているチャクラのフローを流してくれるでしょう。
 そして過呼吸は生命場を乱す要因になりますので、体の中心軸にあるチャクラを意識して、ゆっくりと呼吸を整えること(呼吸回数をゆっくりにしておとしていく)。私たちの日常はストレスの連続です。そのストレスを受けたときにいつもニュートラルに戻り、チャクラを意識しながら呼吸を落ち着けること。
(「新・免疫革命」p210)

(※2)
 まずアルコールはリーキーガットを起こし、エンドトキシンよる全身の炎症を招来する代表選手です。アルコールは、小腸内最近異常増殖(SIBO)や腸内バクテリアの多様性を低下させます。
 興味深いことに、アルコールによる腸内バランスの異常は長鎖飽和脂肪酸で改善されます。アルコールによる肝障害も改善します。さらに抗生物質の投与によっても、アルコールによる腸内バランスの乱れや肝臓障害が改善されます。これは、小腸内に異常増殖したバクテリアの量が抗生物質によって少なくなることによるエンドトキシン負荷の減少によります。
 そして、アルコール(エタノール)は腸内に共生している乳酸菌、大腸菌、イーストなどからも産生されます。このような、アルコールを産生するバクテリアの過剰増殖によってもリーキーガットになるのです。少なくとも、エンドトキシン、鉄、プーファ、エストロゲンといったシックネス・サブスタンス(病気の場を作る物質)が蓄積している成人、心身の調子が悪いあるいは慢性病をすでに患っている人は、アルコールの摂取は控えてください。
  私たちの日常的に摂取する食品、特に加工品にリーキーガットを引き起こす添加物が混入されていることに留意しましょう。食材を加工すればするほど、その過程でエンドトキシン(バクテリア)が混入します。エンドトキシンは食品加工過程の加熱にも耐性があります。つまり、加工食品はフレッシュな素材よりもむしろエンドトキシンが多く、リーキーガットを引き起こすのです。
(「慢性病は現代食から」p144)

(※3)
 乳化剤は洗剤でいうところの界面活性剤のことです。界面活性剤とは、水と油という互いに反発し合う液体を混ぜる役割をもつ物質です。したがって、普段は反発し合って溶け込まない物質を浸潤・浸透させてしまいます。乳化剤とは、食品に混入している界面活性剤を呼び直しているだけにすぎません。
 食品に含まれる乳化剤の代表は、カルボキシルメチルセルロース、ポルソーベート80(Tween)などです。これらの物質を摂取すると、血液内のエンドトキシンが増加して肥満、糖尿病(高血糖)、腸の炎症を加速(クローン病などの大腸炎)、発ガンなどを引き起こすことが分かっています。ヒトの腸粘膜細胞実験でも同じように炎症を引き起こすことも報告されています。
 また、ラットおよびヒトの細胞を使った実験で、これらの乳化剤が腸粘膜の粘膜バリアおよび細胞間のバリアを破壊して、大腸菌やナノ粒子が血管内に速やかに移動することが報告されています。
 つまり、界面活性剤=乳化剤は「リーキーガット」を引き起こし、バクテリアそのもの、あるいはエンドトキシンや大気汚染物質などの毒性物質が小腸から体内に侵入するということです。これがマンプス(MAMPs)、ダンプス(DAMPs)となって、マクロファージなどの免疫細胞を刺激して全身に炎症を引き起こすのです。
 さらに、乳化剤は小腸での脂肪の吸収を高める作用があるため、結果的に高脂肪食となり、メタ炎症を起こします。
 乳化剤は、ワクチンにもしっかりと含まれています。組織を破壊して炎症を引き起こす必要があるからです。組織内のゴミを速やかに侵入させる役割を乳化剤は持っています。
 医薬品には可塑剤、基剤、結合剤、コーティング剤や崩壊剤など、多くの目的で界面活性剤が使用されています。もちろん、医薬品中の乳化剤は、リーキーガットを起こして(腸粘膜バリアを破壊して)医薬品成分を血液内に速やかに吸収させることが最大の目的です。
(前掲書p146)

(※4)
 サッカリン(Saccharin)、サクラロース(Sucralose)、アスパラテーム(Aspartame)などは腸内環境にダメージを与えて、メタ炎症を引き起こします。その結果、糖尿病などの慢性炎症疾患に発展します。
(中略)
 クエン酸は、酸味を出すため、あるいはpH(ペーハー)調整(防腐剤)などのために食品添加物として使用されています。このクエン酸もエンドトキシンの血液流入およびマクロファージの活性化を加速させて、メタ炎症を引き起こします。
 そもそもクエン酸は糖のエネルギー代謝を止める作用(解糖系をブロックする)があるため単体での過剰摂取はお勧めしていません。
 最近、食品添加物の中でも頻用されている増粘剤も腸内環境のバランスを崩す(dysbiosis)代表的物質です。増粘剤は食品のとろみをつける目的に加え、乳化作用を持つために加工食品の大部分に使用されています。
 この増粘剤には、海藻から抽出したカラギーナンやグアー豆から抽出したグアーガムなどの多糖類が用いられています。これらの多糖類は消化が難しく、容易に腸内微生物のエサになって、腸内微生物の過剰増殖を引き起こします。しかも乳化作用でリーキーガットも引き起こします。また高脂肪食と同じく、マクロファージなどのアンテナ(TLR4)を刺激して炎症を加速させます。その結果、メタ炎症、ガン、奇形(妊婦の摂取)を引き起こすのです。
 最後に、食品だけでなく医薬品にも添加されている白い着色料、二酸化チタンです。二酸化チタンは腸内および全身に炎症を引き起こすことが報告されています。
 チタンはいわゆる人体に必要とされている微量元素ではありません。
(中略)
 酸化チタンは今では食品、医薬品の他にも化粧品、塗料、プラスチック、紙、歯磨き粉などに広く使用されています。ちなみに、50年以上前には白色の着色料で何が使われていたかご存じでしょうか?意外や意外、鉛だったのです。
(前掲書p148)

(※5)
腸は、微生物が血液内に流入するメインルートです。そして、腸の他にも、これらのバクテリアやその成分が血液内に流入するルートがあります。
 まずは口腔内です。歯周炎を起こすと、必ずバクテリアやその成分が血液内に流入します。歯周炎と関節リウマチに代表される自己免疫疾患あるいは動脈硬化などの深い関係は、このようなメタ炎症と同じメカニズムで起こっているのです。
 歯ブラシで不用意に強くブラッシングすると、出血することがありますが、このときにもバクテリアなどが血液内に流入します。
(中略)
 その次に、バクテリアが血液内に流入するルートとして重要なのは肺・気管支および尿路系です。肺・呼吸器系に関しては、タバコの煙や大気汚染が炎症を引き起こし、バクテリアの血液内流入を容易にします。
(中略)
 尿路系に関しても血液内へのバクテリアの流入があります。特に女性は男性の3.5倍も尿路感染症になりやすいです。排尿を我慢したり、あるいは脱水傾向になるとバクテリアが尿路で繁殖しやすくなるので留意してください。
(前掲書p153)

(※6)
 プーファ・フリーは大前提ですが、もう一歩踏み込んで、炎症の極期には飽和脂肪酸(短鎖・中鎖を含めた脂肪)を過剰摂取しないこと。徐々に飽和脂肪酸量を増やしていく方法が、辛い症状をコントロールする上でもベストです。
(前掲書p155)
 炎症状態が落ち着いてきたら、ココナッツオイルなどの飽和脂肪酸の摂取量を増やしましょう。ココナッツオイルは、摂取すると、腸内においてメタンガスや硫化水素を出すようなバクテリアや病原性バクテリアの過剰増殖を防ぎます。
 その他にも腸内バクテリアのエサにならない食物繊維が有効です。バクテリアがエサにできないセルロースを豊富に含むタケノコ、生ニンジン、キノコ類などです。
 これらのセルロースを含む食材は、小腸でのバクテリアの過剰増殖(小腸細菌異常増殖症:SIBO)を抑えることで、エンドトキシンなどの炎症ゴミの体内への流入を防ぎ、インシュリン感受性を高めたり、脂肪蓄積を防いだりします。
(前掲書p156)
 エンドトキシンによって引き起こされる炎症に対して有効なビタミンがあります。この中には、ダイレクトにエンドトキシンの白血球のアンテナをブロックするものもあれば、エンドトキシンによる一酸化窒素(NO)や炎症性サイトカインを抑制するものもあります。
 水溶性ビタミンでは、ビタミンB2、ナイアシノマイド(ビタミンB3、ナイアシンとは違うので留意)です。そして脂溶性ビタミンでは、ビタミンA、ビタミンDです。
(前掲書p157)

(※7)
 脂肪組織には褐色(ブラウンとベージュ)と白色(ホワイト)がありますが、炎症に関与しているのは白色のホワイト・ファットの方です。ホワイト・ファットは、主に皮下組織と内臓に存在しています。そして、その脂肪組織に起こるメタ炎症(高脂肪食で起こる慢性炎症)は、脂肪の中でもプーファ(多価不飽和脂肪酸)があらゆる飽和脂肪酸よりも強く引き起こしているのです。
(前掲書p63)
パルミチン酸(C16)は単独でマクロファージなどのアンテナ(TLR4)や細胞内アンテナ(インフラマソーム)を活性化しないことが、2018年の研究論文で明確にされたからです。パルミチン酸より短鎖のミリスチン酸(CL4)でもアンテナ(TLR4)を活性化できません。つまり、飽和脂肪酸はマクロファージなどによって炎症ゴミとしては認識されないということです。
(前掲書p97)
 ちなみに、エネルギーにすぐ変わると喧伝されている中鎖脂肪酸(MCTオイル)でさえも、長期的に摂取するとインシュリン抵抗性を引き起こします。これはランドル効果を示したものです。やはり、飽和脂肪酸でも不飽和脂肪酸でも脂肪をエネルギー源にすることは得策ではありません。
(前掲書p92)

(※8)
 牛肉、豚肉、鶏肉に含まれる全体の鉄の量は12〜14r/100gで大差はありません。鉄含有量は臓器別では脾臓に最も多いのですが、脾臓は一般的に提供されていません。私たちが日常的に摂取できる中ではやはりレバー(肝臓)は鉄含有量が最も多い臓器です。鶏のレバーは8r/100g、牛のレバーで6r/100gも含まれます。それ以外に鉄含有量の多い食材は牡蠣(オイスター)とダークチョコレートです(レバーの1.5倍量)。
 これらの食材よりも一桁多い鉄含有量の食品があります。それは、鉄強化(硫酸第一鉄添加)のシリアル類です。ビタミンCは小腸から鉄の吸収を著しく高めます。ビタミンCのサプリを朝食と一緒に摂取すると2倍の鉄の吸収率になります。朝食と夕食のいずれもビタミンCのサプリを一緒に摂取すると、鉄の吸収量は3倍以上に跳ね上がるので要注意です。
 高プーファ食、レバー(あるいは鉄剤)とビタミンCサプリの組み合わせは、激しいメタ炎症を引き起こすのです。オレンジジュースもビタミンCが豊富なので鉄の吸収を高めるはずですが、高プーファ食と一緒に摂取すると、むしろエンドトキシンの害を軽減することが報告されています。オレンジジュースに含まれるポリフェノールは小腸からの鉄の吸収を防ぐからです。さらには、オレンジジュースに含まれる果糖、ブドウ糖は鉄による炎症を抑える最重要物質です。
 メタ炎症の観点から、肉類を食べるときは過剰な鉄吸収を防ぐためにも、コーヒーやお茶などのポリフェノールを含むものを食後に摂取しましょう。レバーは週に1回程度にし、鉄強化の加工食品は絶対摂取しないことが大切です。
 最後に、料理は鉄鍋を使用しないことです。中華料理のお店では大きい鉄鍋に大量のプーファをしいて調理します。これがどういったことを引き起こすのかを、メタ炎症の観点から再度考え直してみてください。
(前掲書p159)
女性の生理は余分な鉄を放出する重要な戦略でもあります。献血をすると健康状態が良くなる(脳卒中、心臓血管疾患が低下)のも鉄の排出ができるからです。「瀉血療法」という血を抜く治療が19世紀までのメインの治療法であり、2000年の歴史をもつのもうなずけます。
(前掲書p159)

(※9)
 これはマウスの実験ですが、運動をさせないグループと運動をする(トレッドミルを漕ぐ)に分けて、三ヵ月後にエンドトキシン(内毒素)を注射した実験があります。三ヵ月運動したグループでは肝臓にある食細胞(クッパ―細胞、Kupffer cell)の食作用が活性化し、エンドトキシン濃度を低下させました。一方の運動しないグループでは、エンドトキシン、およびそれによって産生される炎症性サイトカインが上昇しました。
 さらに運動したグループでは血液中の保護ステロイドであるDHEAが上昇していました。食細胞にDHEAを加えると濃度依存的に食作用が高まることも確認されました。保護ステロイドとは、まさに体をストレスから守るステロイドであり、ミトコンドリアの機能を高めてエネルギー代謝を保護する作用を持っています。DHEAの他に、プロゲステロン、プレグネノロンがあります。
 定期的な運動が保護ステロイドであるDHEAを誘導し、食細胞のゴミ掃除機能を高めることが示唆されています。ちなみに、ヒトでも毎日運動しているグループ(サイクリング競技をしているアスリート)と運動をしないグループを比較すると、運動をしているグループは有意にエンドトキシン濃度が低いことも報告されています。
 定期的な運動は腸内微生物の多様性を増加させ、腸の壁のバリア機能を高めることも血液中のエンドトキシン濃度低下に寄与しています。
(「新・免疫革命」p207)
 関節リウマチ、多発性硬化症などの自己免疫疾患は、妊娠中は症状が軽快(寛解)し、出産後に炎症が悪化することが知られています。その一方で、妊娠中はインフルエンザウイルスなどの感染症に罹りやすくなることも報告されています。
 妊娠にともなって食細胞の食作用などの働きは活発になりますが、免疫記憶などの新しいリンパ球系の働きは抑えられます。これが妊娠中には自己免疫疾患は抑えられますが、感染症には罹りやすくなる理由です。
 それでは、なぜこのようなことが起こるのでしょうか?
 それは妊娠中に上昇するプロゲステロンという保護ステロイドの作用がもたらしています。プロゲステロンが妊娠中に十分産生されると、新しいリンパ球であるB細胞(B2 cell)の分化・増殖および特異抗体の産生を抑制します。ちなみに妊娠に必要な受精卵の着床は同じ保護ホルモンのDHEAの働きにより可能になります。
 反復性妊娠喪失(流産、死産、子宮外妊娠など)、不妊、子癇前症、早産などは、現在、体内の胎盤や胎児細胞成分をリンパ球が攻撃することで引き起こされる自己免疫疾患と考えられています。
 実際に保護ステロイドであるプロゲステロンはリンパ球の自己組織炎症反応を抑えることで、これらの妊娠関連問題の抑制に寄与します。新しいリンパ球系が制御不能になる自己免疫疾患には総じてプロゲステロンは効果があるということがお分かりになるでしょう。ちなみに病気の場(シックネス・フィールド)において、アレルギー疾患や自己免疫疾患を悪化させるエストロゲンの作用を抑えるのに最も効果のある物質(=抗エストロゲン作用)は、プロゲステロンです。
(前掲書p209)
 炎症を速やかに止める物質はコルチゾール(一般に言われているステロイド、正式には「糖質コルチコイド」)をおいて他にはないでしょう。
 それでは長期的に摂取するとどのような問題を引き起こすのでしょうか?
 インフラマソーム(Inflammasomes)という食細胞の内部にある危険(細胞にダメージを与える危険)を察知するアンテナ(PRRs)を活性化し、炎症を促進することが報告されています。実際にコルチゾールの体内産生を促す酵素(11β-HSD1:11β-hydroxysteroid dehydrogenase-1)をブロックし、コルチゾールの産生を抑えるとインフラマソーム(Inflammasomes)を抑制して炎症が抑えられます。
 つまり、長期間ステロイドを使用していると逆に炎症をオンにしてしまうのです。ステロイド以外にも炎症を促進させる転写因子NF-kBを意図的にブロックすると、インフラマソームを活性化して炎症を引き起こすことが分かっています。
 もちろん、長期間のステロイド投与は慢性的にリポリシス(脂肪組織からの脂肪分解、血液中への放出)を起こすため、これによっても炎症を引き起こします(血液中の脂肪、遊離脂肪酸によって炎症が引き起こされる。これを「メタ炎症」という)。
 さらにコルチゾールの長期投与によって、自己免疫疾患に罹りやすくなります。自己免疫疾患の治療に使われるはずのコルチゾールでなぜ自己免疫疾患を作り出すのでしょうか?
 胸腺はリンパ球系のコントロールセンターです。特に前述したようにT細胞の成熟・成長にダイレクトに関わっています。コルチゾールによって胸腺がダメージを受けるとT細胞の異常を通じてB細胞へのコントロールも効かなくなります。その結果、B細胞の病的な自己抗体産生が起きます。あるいは、B細胞が産生した抗体に結合した抗原抗体が、無秩序に肥満細胞や血小板を刺激して炎症性物質を放出させます。その結果が自己免疫疾患、ガンへとつながります。動物実験では、胸腺を移植したりしてその機能を回復されるとガンが消褪していき、寿命が延長することが報告されています。
 またコルチゾールは、胸腺を活性化させる甲状腺ホルモンの合成(肝臓でのT4→T3)をブロックします。
 したがって、炎症を抑えるために使用したステロイドが長期的には逆に制御不能な炎症をオンにし、自己免疫疾患やガンさえ引き起こしかねないのです。すでに長期のステロイド療法によってリンパ腫などが併発することが報告されています。
(前掲書p198)

(※10)
 自律神経には交換神経と副交感神経があり、前者が興奮(闘いか逃避か)、後者がリラックスの働きがあるとされてします。リラックスすることが良いという思い込みから、「副交感神経を刺激しましょう」というとんでもないデマが流布しています。
(中略)
 副交感神経が刺激を受けると、猛毒の一酸化窒素(NO)、セロトニン、ヒスタミンなどのシックネス・サブスタンス(病気の場の物質)が放出されます。
 したがって、副交感神経を刺激するとガンの進行・転移を促進します。反対に副交感神経を遮断すると、ガンの増殖を抑えられます。あるいは交感神経を刺激することでもガンの増殖を抑えられます。あるいは交感神経を刺激することでもガンの増殖を抑えることができます。ヨガ行者にガンが多いという話を聞いたことがありますが、副交感神経優位に傾いていることがその一因になっている可能性があります。
 生命場においては、自律神経ではむしろ交感神経優位の方がよいのです。問題は過剰に自律神経が交感・副交感にと大きく振れることです。興奮しすぎてもいけませんし、リラックスしすぎてもいけません。ちょうど、筋肉が興奮して硬くなっても(交感神経)、リラックスしすぎても(副交感神経)、どちらも体が動けなくなるのと同様、自律神経は過剰に刺激しない方がよいのです。
(前掲書p115)

(※11)
 健康人でも60時間のファスティングを行うと、遊離脂肪酸が上昇し、血糖・インシュリン値がが低下します。そして、エネルギー代謝が糖の燃焼から脂肪の燃焼(シックネス・メタボリズム:病気のエネルギー代謝)へとシフトしていきます。
 さらに、筋肉内では脂肪蓄積が上昇(インシュリン抵抗性、炎症)し、ミトコンドリア機能低下が起こります。
 見事にファスティングはメタ炎症を体内で作り出しているのです。
 健康人にプーファ(10%サフラワー油10%大豆油)の点滴を4時間行った実験では、遊離脂肪酸が上昇し、脂肪のエネルギー代謝が高まり、糖のエネルギー代謝が低下します。シックネス・パターンの代謝へとスイッチするのです。
 さらに糖の貯蔵体であるグリコーゲン(グライコジェン)合成も低下していきます。グリコーゲン(肝臓と腎臓内に蓄積)は、特に夜中の低血糖状態のときに、脳と赤血球に糖を補充する重要な役割をしています。
 以上から、ファスティング、プーファの健康人静脈内投与のいずれも血液中の遊離脂肪酸を上昇(肥満の人が筋肉内に脂肪蓄積して炎症・インシュリン抵抗性を引き起こすレベル)させ、インシュリン抵抗性、アルデヒド発生、ミトコンドリア機能障害を起こすことが分かります。
 高プーファ食(大豆油、ラード)では、エンドトキシンが増加することも明確になっています。これは高プーファ食によって、リーキーガットが起こり、カイロミクロン(脂肪の吸収型)にエンドトキシンが組み入れられて、血液内に吸収されるからです。血液中のエンドトキシンの増加は、さらに免疫細胞(マクロファージなど)のアンテナ(TLR4)を刺激して脂肪組織の炎症(メタ炎症)を加速させます。
 高カロリーの高プーファ食および低カロリー(カロリーオフ)のファスティング、いずれでもメタ炎症を引き起こされます。
(「慢性病は現代食から」p108)
 高脂肪食(プーファ食)や食品加工で使用される様々な物質に加えて、私たちの心身にストレスを与えて、腸内バランスを崩すものがその他にもたくさんあります。 
 まずはエストロゲン様物質です。アルコール、タバコの煙、排気ガス(ダイオキシンを含む多環式芳香族炭化水素、PAH)、フタル酸、パラベン、トリクロサンなどはエストロゲン作用を持ちます。これらの物質への暴露でメタ炎症が引き起こされ、腸内バランスが崩れる(dysbiosis)ことが分かっています。
(中略)
 大気汚染の原因物質としてはオゾンやPM2.5がよく研究されています。これらの物質は、炎症ゴミ(ダンプス)となってマクロファージのアンテナ(TLR)に作用して全身に炎症を加速します。それによって、体内のプーファの酸化が進み、オメガ3の過酸化脂質であるMDAやオメガ6の過酸化脂質である8-アイソプラストンなどの血液濃度が高くなります。最終的に脂肪蓄積、インシュリン抵抗性などのメタ炎症のサインが現れます。
 そしてライフスタイルです。過量のアルコール摂取の他にも、運動不足や睡眠不足(昼夜逆転)なども私たちの心身にストレスを与え、腸内環境も変化させます。
(前掲書p151)
 インシュリン抵抗性は、私たちの細胞内の糖の取り込みをブロックします。そして、その貴重な糖を脳・赤血球にシフトします。なぜなら、脳と赤血球は実質的には糖しかエネルギー源として利用できないからです。
 つまり、インシュリン抵抗性は急性のストレスに適応する重要な生体防御反応なのです。問題は、その一時的な生体防御反応が慢性的にスイッチがオンになっていることです。このストレス反応の慢性化した状態があらゆる心身の慢性病を引き起こします。
(前掲書p123)

(※12)
形態形成維持にとって重要な働きをしている古いB細胞(B-1a cell)は新しいB細胞(B-2 cell)やT細胞の反応を調整しています。具体的にはB細胞がたくさんのゴミに暴露することで活性化し、たくさんの自然自己抗体(NAAbs)を作ります。これは新しいB細胞(B-2 cell)やT細胞の働きを抑えるために、自己組織に炎症を起こす自己免疫疾患やアレルギーを起こしにくくします。
 これは、衛生仮説(hygiene hypothesis)のメカニズムそのものです。衛生仮説とは、幼少時に感染性微生物の暴露が少ないほど、アレルギー疾患や自己免疫疾患のリスクが高まるというものです。
 幼少時から泥遊びをしてたくさんの微生物をはじめとしたゴミに暴露しているほど、古いB細胞(B-1a cell)の活動が盛んになり、アレルギー疾患や自己免疫疾患の原因となる新しいB細胞(B-2)やT細胞の働きを抑えることになります。
 日本のお家芸といえる発酵食品も形態形成維持に寄与すると考えていいでしょう。ただし、酸っぱい発酵食は生命場を乱す乳酸を豊富に含むため注意が必要です。ある種の共生腸内寄生虫(helminth)がアレルギー疾患や自己免疫疾患のリスクを低下させるのも同じ原理です。
(「新・免疫革命」p196)

(※13)
多種多様な細菌や真菌と私たちが共生する中で、ある腫の細菌が一時的に勢力を増し、私たちに悪影響を与える(病気として感じる状態)になる時というのは、こちら人間側の力が弱っていることを意味します。細菌や真菌そして私たちの体、ここにあるパワーバランスは日々変動しています。そのパワーストラクチャーの変化によって、それぞれのプレーヤーが活性されたり、抑圧されたりしながら、バランスの取れた均衡状態を保っています。
 そのダイナミックな変化と均衡の繰り返しが微生物と生命体である私たちの中で、ただ自然に起きています。今もし、微生物による感染症が私たちの致命傷になるダメージを与えているのだとすれば、それは間違いなく私たち側の力が落ちているからに過ぎないのです。
 無理をしすぎた時などに熱が出たりしますが、それは微生物のせいではありません。ストレスに対応するには体内の中性脂肪やタンパク質が分解され、その血中に遊離した脂質やアミノ酸が炎症を加速させ、発熱につながっているのです。
 また、弱っている時には、細菌に私たちの力が負けてしまう時もあります。ですが力が回復した途端にパワーバランスが対等に戻って症状は治まります。ここでいう「力」とは、エネルギー総量です。ブドウ球菌であろうと大腸菌であろうと、「悪い」とされているどんな菌も、私たちは仲良く共存しているということを理解すれば、抗菌力の高い薬剤や食物を摂取することに意味がないことが分かるのではないでしょうか。
(「ハチミツ自然療法の最前線」p218)
 近年、「悪いのは菌だ。だから菌によって病気になる」といった短絡的な概念が植えつけられてしまったが故に、「抗菌作用が高いものを食べれば私たちは病気にならない」、「抗菌作用が高いハチミツや、抗菌作用の高い薬を摂れば、悪い菌を対処できて健康な身体に戻る」といった結論に行きつくことになります。
 しかしながら、実際は物事に良いも悪いもないのです。同じものも、その場の環境によって、時には良いと認識され、時には悪いと認識されます。しかしその良いと悪いの定義はそもそも何なのか。誰によってのものなのか。どの視点でのジャッジなのかによって、答えはその都度違ってきます。
 つまり、「悪い特定の菌を殺します」といった記述がされている商品や物があれば、それは信用ならない、ということです。もちろん成分によっては対処しやすい菌というのは存在するでしょうが、ダメージを受けるのはその菌だけではなく、私たちの身体全体のバランスにも影響があるということを忘れないでください。
(前掲書p227)


2023年11月4日改稿
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2023年11月03日

オメガ3の真実(免疫について 11)

オメガ3の真実

「DHAやEPAを摂りましょう!」というポスターが病院に貼ってある。
これは、一部の細胞実験だけに着目しているだけである。(※1)
あんなもの、慢性病の患者を増やして、医者たちが儲けるための大嘘だ!

DHAやEPAは、オメガ3というプーファに分類される。
オメガ3というプーファは酸化し、アルデヒドという毒に変化する。
毒が基本的に体の免疫を奪うのは、前述している通りである。

プーファが脳の中でも悪さをするのは、「プーファとは」で記している通りだが、プーファの中でも、DHAは最悪だ。(※2)
EPAも空気中での酸化が激しい。(※3)
何が「青魚を食べれば頭が良くなる!」だ。
漁師に頭の良い人が多くなるはずなのに、そうでないのは、オメガ3を摂り過ぎているからなのだ。

DHAやEPAは、白血球の食作用を完全に止めてしまう。(※4)
つまり、体内のゴミ掃除ができなくなるのである。
ゴミは散乱し、病気へまっしぐら。(「形態形成維持と細胞のゴミ処理」参照のこと)。
網膜上にDHAが蓄積しすぎても、失明してしまう。(※5)
口臭の原因ともなる。(※6)

私は、このような事実を知らなかったし、もともと鮭を春と秋に獲っていたものだから、オメガ3をたくさん食べた。
しかし、偶然にも近年、鮭の大不漁で食べなくなった。
食べる魚類といったら、いかやたこ、たら類、どんこなど、脂の少ない魚のみになった。
父が倒れたのを機会に、外食もしなくなった(父は孫が来れば、よく回転寿司や蛇の目へみんなを連れて行って、オメガ3をたくさん食べていた)。
まったくの偶然で、オメガ3を食べなくなったのだ。
食べなくても、それほど頭は悪くならない(笑)。

寿司など、タバコと同じような嗜好品と考えていいだろう。
脂のある青魚は、たまに食べる程度にしたほうがいい。



(※1)
DHAは、細胞実験において食細胞(マクロファージ)ではインフラマソーム(inflammasome)という細胞内にあるパターン認識受容体(PRRs)を不活性化して炎症を抑える(=免疫抑制)と報告されていますが、一方でガン細胞の実験ではインフラマソームを活性化して壊死を起こさせる(パイロトーシス、pyroptosis)ことも報告されています。この研究を素直に受け取ると、DHAは作用する細胞によって正反対の働きをしています。これも「コンテキスト依存」ということになるでしょう。
 ガン細胞内で壊死を起こさせると、自分の破裂したガン細胞成分をターゲットに自己免疫反応が始まる可能性があります(腫瘍免疫ができて腫瘍を縮小する可能性がある)。しかし、まだこれは生体内の実験ではないのでDHAがガンに対して効果(腫瘍免疫)を示すかどうかは未定です。
 良いことばかりのDHA礼賛データばかりが散見されますが、最近になってDHAがミトコンドリアの電子伝達系を強力にブロックすることで糖尿病、肥満、心臓血管障害が出現する詳細なメカニズムが発表されています。
(中略)
 DHAのミトコンドリアの糖のエネルギー代謝低下作用は、形態形成維持にとって最重要である生命場のエネルギーフローに決定的なダメージを与えます。そうすると、いずれ前述したように自己免疫疾患、アレルギー疾患、ガンなどの発生につながります。慢性病はすべて形態形成維持(morphostasis)の失敗の過程・結果です。
 したがって、たとえ細胞実験(生体内とは環境が違う)である物質に効果があったということでその物資を治療目的で使用する場合(生体に応用する)にも、こういった再現性の高い基礎的な実験結果をしっかりと見つめないといけません。純粋な細胞実験は生体での(複雑系)の一部を切り取ったものを説明するものに過ぎません。
 たとえば、ペトリ皿に入れたガン細胞にDHAやフィッシュオイル(EPA)を投与するとそのストレスによってガンが死滅します。しかし、DHAを体内に投与すると正常細胞のエネルギー代謝もやられてしまうのですから、長期的にはガンの場を作ることになります。
(「新・免疫革命」p202)

(※2)
 頭によいと喧伝されたDHAはなんとプーファ(PUFA:多価不飽和脂肪酸)の中でも最も酸化が激しい物質。つまり最も猛毒のアルデヒド(過酸化脂質)を形成する物質なのです。
 DHA(22:6 n-3)はオレイン酸(18:1 n-9)より320倍酸化を受けやすく、リノール酸(18:2 n-6)より8倍酸化されやすい(=アルデヒドを形成しやすい)性質を持っています。
 アルツハイマー病の動物モデルでは脳へのオレイン酸の蓄積が発病に関与していることが示唆されています。
 そのオレイン酸より320倍もアルデヒドを作りやすいDHAが脳に蓄積するとどうなるかということです。
(「プーファ・フリーであなたはよみがえる!」p73)

(※3)
 フィッシュオイル(EPA)は、室温で空気に触れただけで、24時間以内にアルデヒドが5〜6倍、48時間以内に12倍も増加します。
 たとえ、食事の中にビタミンEなどの抗酸化物質を入れてもフィッシュオイル(EPA)からのアルデヒド発生の増加を止めることができません。
(前掲書p124)

(※4)
 魚油(EPA)やDHAから形成されるアイソプラストン、ニューロプラストンなどの過酸化脂質の最も恐ろしいのは、白血球(マクロファージ)の食作用(NF-k B Pathway)を完全に止めてしまうことです。
 白血球(マクロファージ)の食作用は、生命体の形態形成維持(morphostasis)の根幹をなします。私たちの細胞が健やかに育つ“場”(生命場)の汚れをきれいにクリーンナップするのが食作用です。
 食作用がオメガ3系のプーファ(PUFA)でダメージを受けると、生命の“場”が歪みます。
 このことがガンや自己免疫疾患の発生につながるのです。
(前掲書p75)

(※5)
 実際にDHAを利用している網膜でさえ必要以上量が蓄積すると、アルデヒドが網膜のタンパク質に結合して網膜を変性させ、光を検地する細胞が死滅していくことが分かっています。
(前掲書p135)
 プーファ(多価不飽和脂肪酸)が自動酸化されることで発生するマロンダイアルデハイド(MDA)や4-ハイドロキシノネナール(4HNE)などの過酸化脂質(反応性カルボニル化合物、RCCsあるいはアルデヒドともよぶ)は、細胞内掃除のオートファジー(自食作用)を妨害します。具体的には異常タンパク質などを分解するライソゾームにあるタンパク質分解酵素(proteinase)と結合して、分解作用をブロックします。
 網膜色素上皮細胞(RPE,retinal pigment epithelium)は食作用を持ち、ダメージを受けた光受容体細胞を掃除することで網膜の生命場を維持しています。この網膜色素上皮細胞内での食作用(オートファジー)が過酸化脂質によってダメージを受けると細胞外の食作用もうまくいかなくなるということです。
 網膜の光受容体細胞には、DHAが豊富に含まれています。DHAは何度も繰り返しますが、プーファの中でも最も酸化されやすい脂質です。したがって、光受容体細胞は酸化のダメージを受けやすい細胞です。このようなダメージを受けた網膜細胞を素早く処理するためにも血液中の食細胞だけでなく、網膜色素上皮細胞自体が食作用を発揮することで網膜の形態形成が維持できているのです。
 ところが、光受容体細胞が酸化されて形成された「過酸化脂質結合タンパク質(アルデヒド結合タンパク質)」は、食細胞に貪食されても分解されにくいことが分かっています。さらには食細胞内のタンパク質分解酵素の働きにダメージを与えて、他の変性タンパク質の分解をもブロックすることが分かっています。
 そして過酸化脂質(アルデヒド)によって、食細胞の食作用がうまくいかなくなると、食細胞の細胞内にリポファッシン(lipofuscin)という鉄と過酸化脂質の結合体が生命場に蓄積していきます。リポファッシンそのものが、生命場で酸素を奪い、活性酸素種(ROS)を放出しますので、リポファッシンの蓄積はさらに食作用を低下させます。過酸化脂質(アルデヒド)による網膜組織での形態形成維持異常が加齢性黄斑変性(AMD:age-related macular degeneration)という成人の失明で最も多い疾患の原因となっています。
 DHAなどの不飽和結合の多いプーファは、ミトコンドリアのエネルギー産生を低下させるだけでなく、自動酸化して産生する過酸化脂質(アルデヒド)によって形態形成維持に決定的なダメージを与えます。プーファの蓄積がほとんどない胎児では、胎内で骨折したり傷を負ったりしても線維化を起こすような傷跡を残すことなく完全に修復・治癒します。
(「新・免疫革命」p204)

(※6)
 また、口臭もプーファ(PUFA)蓄積と深く関係しています。
 口臭は、ローマ時代から病気の診断に用いられてきた経緯があります。
 漁業の盛んな地域の病院にかつて勤務したことがありました。よく外来で、夫婦で来られて、「夫の口臭がひどい」という訴えをされることがありました。歯の治療をしても口臭が治らないといいます。
 私はすぐにピンときて、「ご主人は何をよく食べられますか?」と尋ねると、決まって魚の刺身といいます。
 これは魚の油、つまりオメガ3系のプーファ(PUFA)が酸化してできるアルデヒド(ヘキソナール、アイソプラストンなど)がその口臭の原因です。
 口臭が魚臭い場合、昔から肝臓病があるといわれます。その原因がプーファ(PUFA)あるいはすでにプーファ(PUFA)が酸化して大量に形成されたアルデヒドの蓄積ですから、肝臓病のみならず、ガンを含めたあらゆる慢性病が隠れている、あるいは発症する可能性が高いと推測できます。
 糖尿病の直接の原因もプーファ(PUFA)の蓄積によるものです。
 実際に糖尿病の人の血糖値を判定するのにも、口臭に含まれるプーファ(PUFA)の酸化物(ケトン体、アルデヒド誘導体など)が指標になります。
(「プーファ・フリーであなたはよみがえる!」p89)

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2023年11月02日

プーファとは(免疫について 10)

こんばんは。

脂肪酸には、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸がある。
脂肪酸とは、油のことである。

飽和脂肪酸は、構造上安定しているので、酸化してアルデヒドに変化することはない。
細胞の構成成分としても使われている。
バター、ココナッツオイル、牛脂などに含まれている。(※1)

一方、不飽和脂肪酸は、構造上不安定なので、酸化してアルデヒドに変化する。
不飽和脂肪酸には、オメガ3とオメガ6がある。
これをプーファという。
特にオメガ3は、激しく酸化する。
魚油や植物油などに含まれている。(※2)

私たちの体を構成するタンパク質もダメージを受け、ゴミになったりするのだが、これを分解するのがタンパク質分解酵素である。
皮膚のしわは、コラーゲンなどの劣化でできてしまうが、劣化したコラーゲンはタンパク質分解酵素で分解し、新陳代謝を促す。
しかし、プーファで発生したアルデヒドが、これを阻害し、しわは増えていくことになる。
そして、シミ。
シミは、タンパク質にアルデヒドと鉄などが結合してできたものである。
これは、タンパク質分解酵素によっても分解されず、困ったことに、体内の各臓器にできる。
挙げ句の果て、アルデヒドによって血管にまでシミができてしまい、それを処理するはずのマクロファージでさえ、アルデヒドに負けてしまうのだから、どうにもならない。
老化すればするほど、このシミは多くなり、寿命に関わることになる。
したがって、プーファの過剰摂取は、老化が早くなることを意味する。(※3)

脳梗塞・心筋梗塞などのつまりを解消するのも、タンパク質分解酵素の役割である。
また、消化管の中でタンパク質を消化する場合も、タンパク質分解酵素が重要である。(※4)
この働きを阻害するアルデヒドを、体の中に発生させるような生活をすれば、健康を維持できない。

アルデヒドは、アミノ酸にも結合する。
これを私たちの細胞は異物と勘違いし、抗体を作り始めて、自己免疫疾患の原因となる。(※5)
さらに、アルデヒドの悪さは脳へも及ぶ。
脳は脂質が多く、この脂質が飽和脂肪酸ではなくプーファであれば、もちろん酸化し、アルツハイマー病などの脳の病を患ってしまう。
アルデヒドという毒の発生で、脳細胞は死んでいく。(※6)

次のプーファの悪さは、男も女も興味を引くものだ。
プーファの過剰摂取によって、体も臭くなる。(※7)
子どもを作る楽しみもなくなり、仮にあったとしても男の側に問題が発生する(笑)。
生まれてきた赤ちゃんもひどい目に遭う。(※8)

プーファの流行は、人為的なものである。
以前は、飽和脂肪酸のココナッツオイルで揚げ物も行われていたが、化学薬品を使って作られる植物油に置き換えられた。
植物油は180度に熱すれば、アクロレインという毒に変わる。
したがって、オメガ6の油類で揚げ物をする人は、毒を吸い込んでいるに等しい。
プーファを使った揚げ物の現場では、アクロレインが充満し、血液中のアルデヒド濃度が高くなる。
これが、油酔いという現象である。

いわしはオメガ3を含むから、いわしの揚げ物を食べるということは、オメガ3とオメガ6を同時に摂取し、体内でアルデヒドの大量生産をしているようなものである。(※9)
今や、豚やニワトリも、プーファを含む穀物で育てられているため、その肉もプーファまみれである。
悲しいことに、コンビニやスーパーで売られている食品は、プーファだらけである。(※10)
原材料を注意してみると、植物油、植物油脂という名称が、ほぼすべての食品に書かれてある。



(※1)
 脂肪酸というのは炭素をバックボーン(背骨:つらなったもの)として水素(および酸素)が結合しているものです。
 炭素が水素とあますことなく結合しているものを「飽和脂肪酸」といいます。
 そして、炭素が水素との結合の手があまっているものを「不飽和脂肪酸」といいます。
 したがって、「中性脂肪」とよばれるもの(以下「トライアシルグリセライド」と呼びます)は、三つの脂肪酸が飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸のさまざまなパターンがあるということです。
 飽和脂肪酸は、炭素の鎖の長さで「長鎖」「中鎖」「短鎖」という分類をします。
 長鎖の飽和脂肪酸(長鎖飽和脂肪酸)は、バター、ココナッツオイル、牛脂などに豊富に含まれています。その代表的なものには、パルミチン酸、ステアリン酸といったものがあります。これらの長鎖飽和脂肪酸は、細胞の骨格や細胞成分の材料に欠かせません。
 アルツハイマー病に効果があるといわれている飽和脂肪酸は、中鎖の飽和脂肪酸です。ラウリン酸、カブリル酸(caprylic acid)、カプリン酸(capric acid)がその代表です。これらの中鎖飽和脂肪酸は、ココナッツオイルや母乳(不飽和脂肪酸の摂取量の少ない母親)に豊富に含まれています。
 短鎖の飽和脂肪酸の代表が、バターに含まれる酪酸、プロピオン酸とよばれるものです。
 これらの飽和脂肪酸の特徴は、自動的に酸化されないこと。これにつきます。
 脂肪のバックボーンの炭素が水素とあますことなく結合しているため、酸素の入る余地がないからです。
 短鎖、中鎖飽和脂肪酸はエネルギー源として優先的に使用されます。バター、ココナッツオイルに豊富に含まれています。
 ただし、分裂盛んな細胞やガン細胞などを別として、エネルギー源の中心は「糖」ですから、短鎖・中鎖飽和脂肪酸が長期的に「糖」の代替をすることはできません。
(「プーファ・フリーであなたはよみがえる!」p56)
 長鎖飽和脂肪酸は、エネルギー源だけでなく、細胞の構成成分としても使用されます。
 たとえば肺の「サーファクタント」とよばれる重要な物質があります。肺は肺胞という小さい風船が多数集まった組織です。この風船が空気の出し入れで膨らんだり、しぼんだりします。しぼむときに肺がぺっしゃんこにつぶれないように働いているのが「サーファクタント」です。完全に肺胞がつぶれた状態はちょうど、完全に空気が抜けた風船の状態です。
 それでは、なぜ「サーファクタント」が風船の形状を保つことができるのか?
 それは飽和脂肪酸の構造にあります。飽和脂肪酸は構造がとても安定しています。
 もしこれが後述するプーファだとしたらどうでしょうか?
 プーファは不安定で折れ曲がる構造をしています。
 プーファが風船の「サーファクタント」であれば、空気が抜けたあとは完全に虚脱(ぺちゃんこになる)してしまいます。
 実は、これは人体で起こりうる事態です。生まれたばかりの赤ちゃんが同じ肺胞がつぶれることで呼吸ができなくなる病態があります。これを「新生児呼吸困難症」といいます。これは母体からの過剰なプーファの供給で、赤ちゃんのサーファクタントが飽和脂肪酸からプーファリッチに変わったことで起こるのです。
(前掲書p59)
 長鎖飽和脂肪酸は、バター、ココナッツオイル以外にも牛脂などの反芻動物の油に豊富に含まれています。
 これらの飽和脂肪酸は自動的に酸化しないので、猛毒のアルデヒドを産生することがありません。
 飽和脂肪酸は、私たちの体の中で安全で有益な脂肪といえます。
 しかし、たとえ飽和脂肪酸であったも過剰摂取すると、生命体のエネルギー源の柱である糖の利用を妨げますので、高脂肪食(たとえプーファが少ないものでも)はストレスとなります。
(前掲書p60)

(※2)
 第1章から問題になっている植物油脂や魚油などのPUFA(プーファ)は、長鎖の不飽和脂肪酸です。
 こちらは炭素数が18個以上の長鎖しかありません。それで不飽和脂肪酸と言えばプーファ(PUFA:多価不飽和脂肪酸)のことを指します。
 プーファ(PUFA:多価不飽和脂肪酸)の分類については、炭素の手が余っている場所(炭素どうしが二重結合している位置)によって、呼び方があります。
 具体的には、カルボキシル基から最も離れた端の炭素から数えて何個目に炭素の二重結合があるかで、n-3、n-5、n-6、n-9不飽和脂肪酸などと呼びます。
 n-3は、ギリシャ文字を使用してオメガ3(ω3)とも表記します。同じくn-6はオメガ6(ω6)とも表記します。
 私たちが主に食品から摂取しているプーファ(PUFA:多価不飽和脂肪酸)はこのオメガ3とオメガ6の二つです。
 オメガ6系統は高リノール紅花油やひまわり油、大豆油、菜種油などです。オメガ3系統は亜麻仁油や魚油などです。
(前掲書p62)
 オメガ3には、紫蘇油、亜麻仁油、魚油などが含まれます。
 一方のオメガ6には高リノール紅花油、高リノールひまわり油、大豆油、コーン油、菜種油、月見草油などのいわゆる植物油脂が含まれます。
 オメガ3とオメガ6はいずれも室温でも容易に酸化され、アルデヒド(過酸化脂質)を形成します。特に炭素のバックボーンに結合の手が余っているオメガ3は酸化が激しいプーファ(PUFA)です。
(前掲書p69)

(※3)
 生命体にはタンパク質を吸収したり、ダメージを受けたタンパク質を分解したりする酵素が備わっています。
 これを「タンパク質分解酵素(protease:プロティース、プロティエイス)」といいます。代表的なものとして、トライプスン(trypsin:トリプシン)、カイモタライプスン(chymotrypsin:キモトリプシン)などがあります。
 この酵素は新陳代謝にとって非常に重要なキープレイヤーです。古くなって錆びついたタンパク質や異常なタンパク質を分解する作用を持ちます。また、それによってまた新しいタンパク質を作る材料を提供してくれます。
 つまり、タンパク質の新陳代謝にはタンパク質分解酵素(protease:プロティース、プロティエイス)は欠かせない存在です。
 皮膚の弾力性の主体はコラーゲン、エラスチンといったタンパク質です。 
 このコラーゲン、エラスチンといったタンパク質も、プーファ(PUFA)や放射線などによるダメージによって変性(老化)していきます。
 変性・老化したコラーゲン、エラスチンが蓄積すると、皮下組織が硬くなり、いわゆる「しわ」が目立つようになります。
 このようなダメージを受けたコラーゲン、エラスチンもタンパク質分解酵素(protease)で分解されて、新陳代謝することではじめて肌はいつまでもハリを保てます。
 このタンパク質分解酵素(protease)というタンパク質(酵素)にも、あのアルデヒド(過酸化脂質)が結合してその働きをブロックしてしまいます。
 そして、このタンパク質分解酵素(protease)というタンパク質(酵素)にアルデヒドが結合した物質は、他のタンパク質分解酵素(protease)によっても分解されません。
 これによって、変性・老化したコラーゲン、エラスチンの新陳代謝がブロックされることで皮膚のシワ、老化が目立つようになります。
 さらに、老化肌の指標ともなるシミ。
 シミは老人斑ともいわれるものですが、正式には「リポフシン(lipofuscin:リポファッシン)」といいます。
 「リポフシン」(lipofuscin)の名前は、濃い色の脂肪(dark fat)から由来しています。老人斑、セロイド色素、肝斑などはすべて「リポフシン」(lipofuscin)です。
 「リポフシン」(lipofuscin)は、タンパク質にアルデヒド、鉄、エストロゲンなどのが結合した変性タンパク質がその本体です。アルデヒドがタンパク質に結合した物質ですから、一度形成されるとタンパク質分解酵素でも分解されません。だから一度できたシミは消えないのです。
 この「リポフシン」(lipofuscin:リポファッシン)は、アルデヒドとタンパク質の結合体ですから、プーファ(PUFA)の摂取量を減らせば、それだけシミが減るはずです。実際に、プーファ(PUFA)を減らしたカロリー制限食などで「リポフシン」(lipofuscin)の蓄積が減少することが示されています。「リポフシン」(lipofuscin)は、肌のシミだけではありません。全身の臓器にも同じようにシミが形成され、組織にダメージを与えます。
 そのため、「リポフシン」(lipofuscin)の蓄積量が多いほど寿命が短くなります。
(前掲書p82)
 動脈硬化は、LDLコレステロール中のプーファ(PUFA)から形成される猛毒物質のアルデヒド(アクロレイン、MDA、4-HNEなど)が原因です。
 アルデヒドを蓄えたLDLコレステロール(酸化LDLコレステロール)は、場を乱す物質として判断されるため、ファゴサイト(食細胞:マクロファージ)によって貪食されます。
 しかし、このアルデヒドという猛毒物質はファゴサイト(食細胞:マクロファージ)に取り込まれても、消化されずに残ります。それによって、機能を失ったファゴサイト(食細胞:マクロファージ)は泡状に変性し(泡沫細胞といわれる)、血管の壁に集積します。
 これが動脈硬化の初期にみられる変化です。
 ファゴサイト(食細胞:マクロファージ)がアルデヒドを蓄えたLDLコレステロール(酸化LDLコレステロール)を処理できなくなると、次には抗体が掃除役として登場します。自己免疫疾患と同じく、この過程で激しく炎症を起こします。
 この反応が繰り返されることで、血管の壁が変性・膨張し、やがて血管を閉塞してしまいます。
 さらにアルデヒドは鉄、エストロゲンといった炎症性物質の存在下で、前述した「リポフシン(lipofuscin:リポファッシン)」というシミを形成します。
 この「リポフシン」(lipofuscin)は、肌のシミの本体ですが、血管の壁にも形成されます。
 この血管壁にできた“シミ”は周囲の酸素を奪うため、周囲の細胞が酸欠状態になります。これによってシミの周囲の組織もミトコンドリア機能が低下し、機能・構造がダメージを受けます。
 このシミを掃除しようと飲み込んだファゴサイト(食細胞:マクロファージ)もやはりアルデヒドに負けて変性し、泡沫細胞になってしまいます。
 実際に泡沫細胞になったファゴサイト(食細胞:マクロファージ)にも多数の「リポフシン」(lipofuscin)が形成されています。
 動脈硬化、溶けない血餅および血管の“シミ”という「アルデヒド相乗効果」によって血管の内腔が狭くなるのが狭心症、あるいは完全に詰まるのが脳梗塞・心筋梗塞・深部静脈血栓症の本態なのです。
(前掲書p93)

(※4)
脳梗塞・心筋梗塞などでは重要な血管が血餅(血液の餅。血液とタンパク質の凝固物)で詰まってしまいます。
 この血餅を溶かすのもタンパク質分解酵素(protease)の働きです。
 プーファ(PUFA)から自動的に形成されるアルデヒドによって、タンパク質分解酵素(protease)の働きがダメージを受けると、血管に血餅が詰まったままになります。
 これが脳に起これば脳梗塞。心臓の血管に起これば心筋梗塞。深層の静脈に起これば深部静脈血栓症(エコノミー症候群)であす。
(前掲書p92)
 消化管(小腸)の中でタンパク質分解酵素(protease:プロティース、プロティエイス)が働かないと食事中のタンパク質は、分解・吸収することができません。
 食事中にプーファ(PUFA)あるいはそれから形成されるアルデヒドが多いほど、タンパク質を分解する酵素の働きがブロックされますから、タンパク質の消化が悪くなります。
 小腸では、容易に消化できないデンプン質からもアルデヒドが発生しまう。これは、小腸に存在するバクテリアが難消化性のデンプン質を発酵することで産生されます。
 このアルデヒドによって小腸粘膜細胞がダメージを受ける(小腸粘膜細胞中のタンパク質にアルデヒドが結合して変性させる)と、栄養素の吸収障害が起こるだけでなく、アルデヒドが血液中に入って頭痛や慢性疲労などのさまざまな症状が出てきます。
(前掲書p96)

(※5)
 自己免疫疾患とは、変性した自分の細胞・組織に対して抗体ができ、慢性的に炎症が持続する病態です。
 細胞・組織を変性させるのはやはりプーファ(PUFA)が酸化されてできるアルデヒドです。
 アルデヒドはタンパク質を構成するアミノ酸のイオウ(thiol:サイオール)やアミンに強固に結合します。
 アルデヒドが結合した細胞内外タンパク質は変性する(抗原となる)ので、この“ゴミ”を処理しようと抗体が登場するのです。
 自己免疫疾患では、オメガ6系植物油脂のプーファ(PUFA)から形成される4-HNE(4-hydroxynonenal)というアルデヒド結合タンパク質の血液濃度が異常に高いことが以前から知られていました。
 自己免疫疾患の代表であるシェーグレン症候群や全身性エリテマトーデス(SLE)などでは、アルデヒドが特殊なタンパク質に結合して変性したものや、アルデヒドが遺伝子(DNA)結合したものに抗体ができることが慢性炎症の原因となっています。
 そしてこれらのアルデヒド結合タンパク質や遺伝子が多いほど、炎症・症状が強くなります。
(前掲書p98)

(※6)
 脳は脂質がリッチで、酸素消費も全体の20〜30パーセントにのぼる器官です。
 当然、脳にたまる脂肪がプーファであれば、酸素と反応してアルデヒドが大量に発生することは容易に想像できます。
 実際に、過剰なプーファの酸化が自閉症、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性硬化症(ALS)、ハンチントン舞踏病、ダウン症、クロイツフェルト・ジャコブ病(CJD)などで報告されています。
 アルツハイマー病では、変性したアミロイドというタンパク質が脳の神経細胞に蓄積します。これは、アミロイドタンパクにアルデヒドが結合して、分解できなくなった変性タンパク質です。
 このアルデヒドが結合したアミロイドタンパクはさらにプーファを酸化させて大量のアルデヒドを発生させます。
 これによって大量の脳細胞が死滅するため、記憶などの脳機能が失われていくのです。
(前掲書p100)

(※7)
 現代人は年齢と重ねると特有の体臭を発します。
 これは加齢とともに蓄積したプーファ(PUFA)が皮脂として皮膚上に分泌されて、それが酸化することで形成されるアルデヒド(「トランス2ノネナール」「ヘキサナール」など)のためです。
 これら皮膚上で形成されるアルデヒドは、揮発性有機化合物(VOCs:volatile organic compounds)といいます。プーファのクッキングオイルを使用した炒め物・揚げ物料理と同様に、揮発(気体となる)して空気中を漂うのです。
 この体臭の原因となるプーファ(PUFA)を分泌する腺を「アポクリン腺」といいます。
(前掲書p87)
 日本人は欧米人よりもこのアポクリン腺が少ないため、体臭がきつくないとされています。しかし、現代の日本人は、プーファ(PUFA)蓄積量が半端ではありません。そのため人によっては若いときから腋臭などの体臭が強いひとも多いです。腋臭もアルデヒドの揮発です。
 ちなみにアポクリン腺の多少は、耳垢の性質をみればわかります。
 乾いてかさかさの耳垢のひとはアポクリン腺が少なく、ベタッと湿っている耳垢の人はアポクリン腺が多いです。
 特にベタッと湿っている耳垢の人は、体臭の面からもプーファ(PUFA)の蓄積に要注意です。
(前掲書p88)

(※8)
 プーファは男性・女性の性機能を低下させます。
(前掲書p128)
 糖のエネルギー代謝の一つの指標として生殖能力があります。今や不妊の半分は、男性の精子の数や質が低下していたことが原因となっています。精子の産生には、ブドウ糖が必須です。そして、成熟した精子の質や活動性をキープするためには、フルクトースとグルコースが必要です。精子も脳と同じく、生成と維持に専らグルコースとフルクトースに頼っているからです。したがって、その精子の数や質も糖のエネルギー代謝の良い指標になります。
 現代人の精子の数や質の低下は、さまざまな毒性物質への暴露によりますが、共通している因子として肥満が挙げられています。肥満は高脂肪食(実際は高プーファ食、現代医学ではプーファには触れないことは不文律になっている)が主要な原因です。2019年に食事内容に白砂糖を増やした臨床試験が報告されています。試験開始当時は3分の1の被検者の精子の動きに問題がありましたが、1日450gの白砂糖を食事に追加すると、2週間ですべての被検者の精子の動きが正常化しました。食事のプーファ量がそのままでも、白砂糖を加えただけで精子の糖のエネルギー代謝が回復したのです。
(「ハチミツ自然療法の最前線」p175)
 母乳にDHAなどのアルデヒドを産生しやすいプーファ(PUFA)が含まれているほど黄疸がより発生しやすいのです。
 母親の食事内容が生まれてくる子供にとてつもない大きな影響を与えることにもっと意識を向けるべきです。
 一方の人工ミルク。これにはプーファが添加されています。そしてすでにプーファが酸化したアルデヒドが含まれていることが報告されています。
 赤ちゃんには、アルデヒドまみれの人工乳ではなく、母乳を与えることに限りますが、その場合でもお母さんの食事内容にプーファがないかをチェックする必要があります。
(「プーファ・フリーであなたはよみがえる!」p141)

(※9)
植物油脂(プーファ)の普及は調理法の革命も起こしました。
 ほんの数十年前までの調理法は、網焼きなどのグリル、煮るなどの油を使わない調理法が主体でした。
 それが植物油脂というプーファ(PUFA)をフライパン上にひて炒めるという「炒め物」や食材を植物油脂の中に入れて揚げるという「揚げ物」調理が発明されます。
 これらの新しい調理法に使用される植物油脂、(プーファ=PUFA)はのちに「クッキングオイル」と呼ばれるようになります(洗脳するにはとてもキャッチーなネーミングです)。
 具体的には、キャノーラ油、オリーブ油、菜種油、コーン油、大豆油、サフラワー油などのプーファ(PUFA)が使用されました。
 フライパンでの油を使った「炒め物」や「揚げ物」調理も、その油に牛脂・バターあるいはココナッツオイルなどの飽和脂肪酸を使用すれば、プーファの含有量が少ないので、実害は少なくて済みます。
 実際に「揚げ物」調理法にも最初は飽和脂肪酸であるココナッツオイルが使用されたのですが、1940年代頃から多価不飽和脂肪酸(PUFA=プーファ)である大豆油などの植物油脂に置き換えられていきます。
 「揚げ物」調理は、「炒め物」料理よりも高温でしかも、大量の植物油脂(プーファ)を使用するため、そこから発生するアルデヒド誘導体(過酸化脂質)の量は半端なものではありません。
 クッキングオイル(プーファ)を摂氏180度で使用した調理では大量のアクロレインという“猛毒”のアルデヒドが形成され、空気中にも拡散することがわかっています。
(前掲書p25)
 よく調理場で天ぷら、から揚げなどの調理を長時間行っていると気分が悪くなるといわれます。これは揚げ物に使用されるプーファ(PUFA:多価不飽和脂肪酸)の酸化が加熱によって進行することで発生するアクロレインなどのアルデヒド(過酸化脂質)を吸い込むことが原因です。
 これは「油酔い」といわれていますが、調理の過程で大量に産生されたアルデヒド(過酸化脂質)は、容易に蒸発(揮発)します。これを吸い込むことで血液中のアルデヒド濃度が高くなります。
(前掲書p28)
 プーファには植物油脂といわれるオメガ6系と魚油などのオメガ3系がありますが、イワシの揚げ物には、植物油(オメガ6系)そのものおよびイワシの油(オメガ3系)の二種類のプーファ(PUFA:多価不飽和脂肪酸)由来の、ダブルアルデヒド(過酸化脂質)が負荷されているのです。
 このダブルのアルデヒドを大量に含んだ食材を食べることは悲劇としか言いようがありません。
(前掲書p29)

(※10)
 私たちが日常的に摂取している豚、ニワトリなどは穀物で育てられているため、その畜産物もプーファ(PUFA:多価不飽和脂肪酸)リッチです。
 このような家畜を食べることでも私たちの体内でプーファ(PUFA)が蓄積していきます。たとえば、大豆を給餌されている豚の脂はなんと30%以上もプーファ(リノール酸、オメガ6系)を含有しています。
 動物の肉としっても、穀物、ドライフィッシュなどを与えられている家畜の畜産物はプーファまみれなのです。
 いまやラードは動物性脂肪ではなく、植物油脂(プーファ)といってよいでしょう。現代では、これに魚油のサプリメント推奨などが拍車をかけています。
(前掲書p31)
 ラード(ブタの脂)はオレイン酸(一価の不飽和脂肪酸)が最多で、その次に多い脂はプーファ(多価不飽和脂肪酸)です。プーファはブタが穀物とフィッシュオイルを摂取している量によって、オメガ6とオメガ3の比率が変わります。これを飽和脂肪酸といわれると眉をひそめたくなります。
(「慢性病は現代食から」p98)
 さらに調理方法の変化と加工食品の大量生産という現代のライフスタイル(食事法および食生活)の革命によって、植物油脂(プーファ:PUFA)の世界的な普及が起こりました。
 植物油脂(オメガ6系、リノール酸といいます)とはキャノーラ油、菜種油、サフラワー油、大豆油、コーン油、セサミオイル、亜麻仁(アマニ)油などに代表される、植物の種を搾って化学薬品を使って分離した油(プーファ:PUFA)です。
 この植物油脂はほとんどの加工品(コンビニ、スーパーで販売されている食品)に使用されています。
(「プーファ・フリーであなたはよみがえる!」p23)
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2023年11月01日

アルデヒドという毒について(免疫について 9)

こんばんは。

漁もなく暇なので、「免疫について」シリーズの「8」まで、読みやすくアップデートした。
今までプーファの説明なしに、いろいろと書いてきたが、ここで勇気をもって、それを明らかにする。
まずは、プーファが酸化してできるアルデヒドから。

崎谷先生は、医学生時代に、ホルマリンという標本を保存する溶液から嫌な経験をした。
これは、ホルムアルデヒドという毒であり、シックハウス症候群の原因となる。
タンパク質のアミノ酸を固定して標本を保存できる、ということは、生きた人間の組織も固定し始めるということであり、毒以外の何物でもない。(※1)

そして、アルデヒドといえば、アセトアルデヒド。
二日酔いの原因物質である。
飲み過ぎれば二日酔いになる。
これは、アセトアルデヒド脱水素酵素のカバーする領域を越えて、酒を飲み過ぎた場合に起こる。
日本人には、この酵素が少ないため、二日酔いはおろか、急性アルコール中毒で死ぬこともあり、これに関するがんも多い。
酒を飲んでいる中、タバコの毒は、それに追い打ちをかける。(※2)

アセトアルデヒド脱水素酵素には2種類あり、分解能力が高いN型と、分解能力が低下したD型がある。
基本的に、遺伝的に受け継いだNN型、ND型、DD型の3種類となり、酒の強い弱いは、酒に強い人、酒をある程度飲める人、全く飲めない人の3種類しかない。
この分布には特徴があり、大和朝廷を作ったといわれる大陸からの渡来人の多くいる地域はNN型が少なく、逆に辺境に追いやられた先住民(南方系)のいる地域はNN型が多いようだ。(※3)
つまり、先住民の血を濃くひく人たちは、酒が強い、と言えるのかもしれない。
私は、ある程度の飲める部類であり、ある意味、最も幸せである。
酒の強い人は、限界を知らずに飲むため、結局のところ病気になりやすいし、早く死にやすい。

プーファの登場は、1万年前の農耕が始まった時代であり、これ以降、植物油が酸化してできたアルデヒドに人間は、知らず知らずのうちに脅かされてきた。(※4)
人間の側も、飲酒の解毒作用をもつアルコール脱水酵素と同じように、アルデヒド脱水酵素などの解毒酵素で対抗できるが、これにも限界がある。
量の問題である。
プーファの過剰摂取で、さまざまな病気が発生する。

病気は、「免疫について」シリーズの第1回「免疫について」で記した「私たちの体は、自覚しない炎症をあちこちで起こしている」ということの、量の問題なのである。
したがって、免疫力を維持するとは、これらの毒物をできるだけ摂取しない、ということと同義なのである。(※5)



(※1)
 日本では医学部の三年生で解剖実習があります。私は、この解剖実習が嫌で仕方ありませんでした。人体を解剖することに激しい抵抗があったわけではありませんが、解剖実習の部屋に入ると気分が悪くなったのです。
 そして大学院のときには、病理解剖という死因を特定するための死体解剖を経験しました。このときは、学生時代の気分の悪さに比較にならないものがありました。
 臓器を保存するためにホルマリンという溶液に漬けるのですが、この物質が揮発して目や粘膜に激しい刺激をもたらしたからです。
 病理解剖の部屋を出て一両日中は両目の痛みが続き、充血していました。おそらく毎日この溶液に接している人は、かなり健康を害していたと思います。
 このホルマリンは、ホルムアルデヒドという猛毒の物質の溶液です。
 そのホルムアルデヒドがなぜ臓器標本の保存溶液として使用されるのでしょうか?
 それは、ホルムアルデヒドがもつホルミル基(-CHO)が、タンパク質のアミノ基(-NH2)と結合して次々と凝固させていくからです(架橋反応といいます)。標本を“固定”するには都合のよい物質なのです。
 ホルムアルデヒドは、もっとも単純な「アルデヒド」という物質の化合物で、「シックハウス症候群」の原因物質でもあります。
 さまざまなアルデヒド(本当は「アルデハイド」と表記・発音する方がよい)を総称して、アルデヒド誘導体(以下「アルデヒド」と略称します)といいます。これらのアルデヒド誘導体は、後述するように次々にタンパク質に結合して遺伝子などの構造・機能を編成させダメージを与えていくのです。
「プーファ・フリーであなたはよみがえる!」p14 

(※2)
 日本人(そして東アジア)に食道がん、上咽頭がん、胃がん、肝臓がん、大腸がん、さらにはアルツハイマー病などが多いのは、なんとこのアセトアルデヒドを分解する酵素(アセトアルデヒド脱水素酵素:ALDH2)が少ない、あるいはないことが関係していると報告されています。
(前掲書p16)
 毎年、コンパなどで学生が急性アルコール中毒で命を落としますが、それはこのアルデヒド化合物が蓄積して、全身、特に脳に急激なエネルギー代謝障害を起こすからです。お酒を飲んですぐ赤くなる人や気分が悪くなる人は、アルコールを避けるのが賢明です。
 また車の排気ガス、タバコの煙などにもこのアルデヒドの一種である猛毒の「アクロレイン」が含まれています。
 酒場ではお酒を飲んでタバコをぷかぷかふかしている人をよく見かけます。あれは、よく考えるとお酒とタバコの「アルデヒド」のダブルパンチをわざわざ食らっているのです。
 この「アルデヒド」は、実はお酒を飲まない人やタバコを吸わない人でも日々蓄積しています。
(前掲書p17)

(※3)
 体内に入ったアルコールは肝臓で分解されます。その際に発生するアセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH)により酢酸に分解され、最終的には水と炭酸ガスになって体外に排出されます。ALDHの働きが弱いと、わずかな量のお酒でも、顔面紅潮・吐き気・動悸・眠気・頭痛などのフラッシング反応を引き起こすことがあります。
 ALDHは数種類あるのですが、そのうちALDH2をつくる遺伝子の違いが、お酒に強いかどうかに大きく関係しています。
 ALDH2には分解能力が高いN型と、突然変異で分解能力が低下したD型があります。誰でも両親からいずれかの一つずつを受け継ぐので、人間にはNN型、ND型、DD型の3パターンあることになります。
 NN型に対してND型は約16分の1の代謝能力しかありません。さらにDD型にいたっては代謝能力を失っています。つまりND型やDD型は、一般的にお酒に弱い人、もしくはお酒を飲めない人ということになります。
 ALDHのタイプは生まれつきの体質ですが、人種によってその出現率が異なります。お酒に弱いND型とお酒が飲めないDD型は、モンゴロイド(黄色人種)に多く見られ、それぞれ約40%、約4%認められます。これに対しコーカソイド(白人種)とネグロイド(黒人種)はほとんどお酒に強いNN型です。
 ちなみに2006年に、全都道府県の5255人を対象にタイプ別の割合を調査、順位づけた報告があります。それによればNN型は中部、近畿、北陸、北九州など西日本で少なく、東西に向かうにつれて増加し、東北、関東、南九州、沖縄で多くなる傾向がありました。
(「日本酒の科学」p302)

(※4)
 約1万年前に農耕革命が起こってからの人類の心身の健康状態はかなり悪化しました。その原因は穀物、豆類の過剰摂取にあります。
 本書で何よりも指摘したいことは、穀物・豆類の最大の問題点がこの「アルデヒド」に関係しているということです。それは穀物・豆類に含まれている脂質(油)成分がアルデヒドに関係しているということです。
 その脂質とは「多価不飽和脂肪酸(Polyunsaturated fatty acid:略してPUFA(プーファ)とよびます。以下「プーファ」と略記)です。
(「プーファ・フリーであなたはよみがえる!」p18)
 さて、プーファ(PUFA:多価不飽和脂肪酸)が体内に摂取された場合、必ず酸化されて一部は変性していきます。
 この、体内でプーファ(PUFA:多価不飽和脂肪酸)が酸素に触れて(酸化して)変性したものを、内因性のアルデヒド(過酸化脂質)といいます。
 体内で形成される内因性アルデヒド(過酸化脂質)の代表的なものには、アクロレイン、ハイドロキシノネナール、(4−HNE)、ハイドロキシヘキサナール(4−HHE)、マロンディアルデハイド(MDA)などがあります。
 これらの過酸化脂質ことは、あの猛毒の「アルデヒド誘導体」なのです。
 これらのアルデヒドは、体内のタンパク質、遺伝子(DNA)などに結合して、その構造・機能にダメージを与え、ガンや糖尿病などのあらゆる慢性病をひきおこします。
 さらにはプーファ(PUFA)からできるアルデヒド誘導体以外の過酸化脂質としてアイソプラストン、ニューロプラストンなどの“猛毒”があります。
(「プーファ・フリーであなたはよみがえる!」p41)

(※5)
 私たちの体内で作り出すものは、原発や石油からできるような環境に負荷のかかるエネルギーではありません。
 それは「糖」を資源としたクリーンなエネルギーです(例外は安静時の筋肉は脂肪酸、分裂が盛んな細胞は糖、脂肪酸、アミノ酸を燃料とします)。
 そのエネルギー貯蔵体のことをATP(エーティーピー:アデノシン三リン酸)といいます。このエネルギー(ATP)があって機能―構造が安定します。
 実は、アルデヒド(過酸化脂質)は、この体内のエネルギー産生をダイレクトにブロックしてしまいます。
 具体的には私たちの体内のエネルギー産生所であるミトコンドリアの機能(電子の受け渡し、サイトクロムCオキシデースという酵素)にダイレクトにダメージを与えます。
 エネルギー産生がやられると、すべての機能そしてその相互関係にある構造までが崩れてきます。これが、アルデヒドが発ガン作用をもつ所以です。
 さらに植物油脂や魚の油由来のアルデヒドは、細胞内のタンパク質・遺伝子・リン脂質などと結合して構造を変化させ、機能を障害します。
 このアルデヒドはバクテリアやウイルスの遺伝子にさえも結合して破壊します。アルデヒドにかかるとインフルエンザウイルスでさえやられてしまいます。
 さて、私たち人体にも、この猛毒のアルデヒドを排泄する機構が備わっています。
 アルコール脱水酵素(ADH:alcohol dehydrogenase)、アルデヒド脱水酵素(ALDH:aldehyde dehydrogenase)、アルドケトレダクテース(AKR:aldo-keto redyuctase)あるいはグルータサイオン(glutathione)といった酵素です。
 しかし、このアルデヒドを処理する酵素でさえ、アルデヒドがある一定濃度以上になると、逆にこの酵素の一部にアルデヒドが結合して機能。構造を不可逆的に変化させてしまいます。こうなればもう猛毒のアルデヒドには手のほどこしようがありません。
 もちろんアルデヒドが細胞のさまざまな成分に結合して機能にダメージを与えることによって構造変化が起こる結果はガンだけではありません。
 プーファ(PUFA)から形成されるアルデヒド(過酸化脂質)によって身体全体の機能・構造が崩れていくのですから、糖尿病、脳・心臓血管病、自己免疫疾患、自閉症、神経難病、アルツハイマー病、消化器疾患などの慢性病や老化の最大の原因にもなっています。
(前掲書p45)

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2023年06月20日

各病気の本当の原因(免疫について 8)

4回目。

崎谷先生の「健康常識パラダイムシフトシリーズ」の本文中には、意外な病気の原因などが書かれてある。
ここを読むと、「お医者さん、ちゃんとしろよ」と言いたくなるだろう。

緑内障の原因は眼圧が高くなることにある、と言われていたが、その大元は炎症ゴミであり、プーファであった。(※1)
そして意外にも、危ない病原菌とされるものも常在菌も、その影響は、その人の健康状態に左右されるものであり、すなわち、コンテキスト依存である。(※2)
もっと意外なのは、結核が感染症ではなく、自己免疫疾患に分類される。(※3)

メタボリック炎症とは、メタボの人の体内で進行する炎症のことであり、脂肪分解(リポリシス)、すなわち、ダイエット時には特に炎症が進む。
急激なダイエットはしないほうがいいというのは、そのためである。
このメタ炎症は、インシュリン抵抗性により、さまざまな組織への糖の取り込みをブロックすることから始まる。
糖の取り込みをブロックされると、そこで脂肪を使い始めるが、困ったことに、活性酸素などの毒が過剰に発生し始め、炎症が加速する。(※4)
脳や心臓、血管、腸にまで、メタ炎症は影響を及ぼす。(※5)

鉄の摂取とストレスによって、休眠中のバクテリアやレトロウイルスは目覚め、プーファといっしょに炎症を引き起こす。
鉄の過剰摂取はやめて、ストレスフリーを目指せ!(※6)
再び、怒るな!悩むな!(笑)

虫歯は、口の中の病気である。
唾液中の重炭酸イオンがそれを防いでいる。
唾液が出にくくなっている人は虫歯になりやすい。
重炭酸イオンは、正常な糖のエネルギー代謝によってできる二酸化炭素が必要である。
したがって、糖質制限食は、唾液に影響を与え、
エストロゲン過剰でも、骨粗しょう症に関連して、虫歯になりやすくなる。
また、エンドトキシンとプーファ摂取の組み合わせでも歯は溶ける。
虫歯で発生するエンドトキシンは、全身炎症へと発展することもあるから、注意が必要となる。(※7)



(※1)
 欧米の眼科学会では、眼球の前部を循環している水(房水)がどこかで根詰まりを起こしてあふれかえるために、網膜(視神経)が圧迫されて失明するとしています。
 房水の流れを妨げるものは、排水路(シェレム管といいます)の狭窄・閉塞です。排水路の組織が癒着や線維化で変性することが原因ですが、それは炎症によって引き起こされます。つまり、眼圧が上がることも緑内障の発生と同じく炎症が先にあるということです。
 それでは原因のところの炎症がなぜ起きるのか?
炎症ゴミ(病的な炎症を引き起こすゴミ)が眼球組織にも溜まるからです。その炎症ゴミの最大の原因は、プーファ(オメガ3&6)でした。
(「慢性病は現代食から」p30)

(※2)
 黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)はアトピー性皮膚炎のひとつの原因とされています。それに対して表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)は、健康人の皮膚の主要な常在菌とされています。つまり、コレステロールの悪玉、善玉と同じように、皮膚の悪玉菌として黄色ブドウ球菌、善玉菌として表皮ブドウ球菌とされているのです。
 しかし、黄色ブドウ球菌は健康の人の皮膚にもコロニー(colony:集団)を作りますが、皮膚炎を起こしません。一方、善玉であるはずの表皮ブドウ球菌は、ときに感染症を引き起こします。実際に表皮ブドウ球菌は、集中治療室の血流感染(bloodstream infection)の少なくとも22%の原因であり、新生児、特に未熟児の感染症による死亡の主要な原因になっています。
 消化性潰瘍、胃がんなどの原因として除菌が勧められているピロリ菌(Helycobacter pylori)も悪玉菌のように宣伝されています。ピロリ菌は、世界人口の約半数の胃に共生していますが、実際に潰瘍や胃がんを引き起こすのはほんの数パーセントにも及びません。そればかりか、ピロリ菌との共生によって結核や小児喘息に罹りにくくなります。
 ちなみに結核菌や同じ種属のらい病菌(鼠らい菌 Mycobacterium lepraemurium)は、感染したとしても一生のうちで発症するのはたった5〜10%程度に過ぎません。感染症も感染する微生物の問題ではなくて、その土壌(宿主側)の問題であることを示しています。感染も「コンテキスト依存」であるということです。
(前掲書p40)

(※3)
 そして極めつけは、ステロイドという免疫抑制物質を全身投与すると結核感染症が改善することです。純然たる感染症であれば、ステロイドの投与ほど危険なものはありません。感染症を悪化させるからです。結核感染でステロイドが有効なのは、とりもなおさず結核感染による結核症は自己免疫疾患であることを物語っています。
(前掲書p53)

(※4)
 後に詳述しますが、食べ物(特に高脂肪食)は必ずマクロファージなどの白血球を活性化します(「食後炎症(postprandial inflammation)」といいます)。これは脂肪酸(とりわけプーファ)そのものが、炎症ゴミとなって免疫系を刺激することが理由です。その上に、高脂肪食は腸内微生物のバランスを壊して、エンドトキシン(内毒素)を増やすことでも炎症を加速させていきます。
 高脂肪食は、インシュリン抵抗性(メタボリック・シンドローム)、慢性炎症、自己免疫反応を高めます。その一方でファスティングや飢餓状態では、免疫細胞が糖を利用できないために、ステロイドやオメガ3投与と同じ免疫抑制状態になります。つまり、感染症に罹りやすくなります。
(前掲書p65)
高脂肪食(高プーファ食)では、使用されない余剰分の脂肪、とくにプーファ(多価不飽和脂肪酸)は脂肪組織に蓄積し始めます。(飽和脂肪酸はエネルギー源としてプーファよりも優先的に使用されます)。
 プーファの蓄積する脂肪組織において、自動酸化されて形成されるアルデヒドがまず脂肪組織の糖運搬体(GLUT4)に結合します。これによって、糖運搬体の機能・構造が破壊されて、脂肪組織において糖を細胞内に入れることができなくなります。つまり、高プーファ食では脂肪組織が全身の他の臓器に先がけてインシュリン抵抗性になります。
 脂肪組織がインシュリン抵抗性になると、インシュリンのリポリシス抑制効果(アンチリポリシス)がなくなるため、遊離脂肪酸(プーファ)が脂肪組織からリポリシスによって大量に血液中に放出されます。
 この脂肪組織のリポリシスによって筋肉や肝臓など本来の場所ではないところ(異所性)に脂肪(プーファ)が蓄積します。このプーファの蓄積によって、筋肉・肝臓そして脳などの組織が次々とドミノ倒しのようにインシュリン抵抗性になっていきます。
 実際に脂肪組織の糖運搬体(GLUT4)をブロックすると、筋肉・肝臓がインシュリン抵抗性になります。そしてメタ炎症が全身に拡大していきます。まさに「病はリポリシスから」なのです。
(前掲書p74)
 メタ炎症で重要な組織の一つが筋肉です。なぜなら、筋肉は私たちの体の40%近くを構成する最大の器官であり、かつ食後のインシュリンによる細胞内への糖の取り込みの80%を占めているからです。
 食事中の脂肪組織に蓄積できない余剰の脂肪(spill over)や、脂肪組織からリポリシスの結果放出される遊離脂肪酸のいずれも筋肉内に取り込まれます。この状態が霜降り肉にみられる“サシ”という脂肪部分です。ほとんどの高級な牛肉はメタ炎症を起こした牛の肉です。
 これら脂肪酸は、筋肉内で中性脂肪やセラマイド(ceramid)・ダイアシルグリセロール(DAG)として蓄積されるか、脂肪のβ酸化によって消費されます。このいずれもが、ミトコンドリアにストレスを与えて、最終的に炎症・インシュリン抵抗性・細胞障害などを引き起こします。筋肉がインシュリン抵抗性(脂肪と同じく筋肉の糖運搬体にアルデヒドが結合する)となって糖を筋肉細胞内に取り入れることができなくなると、本格的に糖尿病に代表されるメタボリック・シンドロームになります。
(前掲書p76)
 脂肪組織のインシュリン抵抗性から始まり、リポリシスによって肝臓もインシュリン抵抗性になります。肝臓のインシュリン抵抗性は糖新生という代謝に切り替わるサインとなります。肝臓の糖新生とは、特に脳や赤血球などの細胞が、糖欠乏を起こしているときに脂肪やタンパク質を砕いて糖に変換する代謝のことを指します。
 肝臓はこの時、同時に脂肪(遊離脂肪酸)からケトン体を産生して、筋肉などに供給します。これは低血糖という緊急事態に対する一時的なバックアップシステムです。この状態が慢性化した状態はまさに肝臓のインシュリン抵抗性が続く状態を意味します。つまり、全身のメタ炎症が起こっているということです。
 さらに、ミトコンドリアのエネルギー産生場である内膜(カルジオリピン)に脂質過酸化が起きることで、非アルコール性脂肪肝障害(NAFLD:Nonalcoholic fatty liver disease)が起こります。これが時間経過とともに肝硬変・肝細胞がんに発展していくのです。
(前掲書p80)
 今まで高プーファ食によって細胞内にセラミド、ダイアシルグリセロールの蓄積、小胞体ストレス、活性酸素・窒素種の過剰産生などがインシュリンのシグナルをブロックするということをお伝えしてきました。しかし、これらの原因はすべてミトコンドリアにストレスを与えて活性酸素・窒素種(ROS,RON)の過剰産生を引き起こします。高プーファ食によって、プーファそのものが糖の代わりにミトコンドリアの燃料として使用されることだけでも、過剰な活性酸素・窒素種の産生を引き起こします。
 この過剰な活性酸素・窒素種は、細胞内にある鉄と反応してハイドロキラジカルという最も反応性の高い活性酸素種を産生します。そして、近傍にあるプーファと反応してアルデヒドを作ります。このアルデヒドが糖の運搬体(GLUT4)に結合して機能・構造を破壊することが、真のインシュリン抵抗性の原因なのです。
 鉄の貯蔵態としてフェリチンというタンパク質があります。このフェリチンが高い人(肥満女性)ほど、インシュリン抵抗性およびリポリシスが起こることが分かっています。鉄によって脂肪分解酵素(HSL)が誘導されて、直接リポリシスが引き起こされることが報告されています。
 しかし、それよりも重大な要因は、鉄とプーファの反応によってアルデヒドが発生し、そのアルデヒドによるインシュリン抵抗性によってリポリシスが起こることなのです。
(前掲書p96)

(※5)
オメガ6から形成されるアルデヒド4-HNEがインシュリン受容体基質(IRS)に結合してインシュリン・シグナルをブロックすることも分かっています。オメガ3から形成されるアルデヒド4-HHEも4-HNEと同じ作用をしますので、調べれば同じくインシュリン・シグナルをブロックすることが分かるでしょう。
プーファは、インシュリン抵抗性などのメタ炎症を引き起こして、心臓血管系にも甚大なダメージを与えます。心筋梗塞や動脈硬化の予防および根本治療は、やはりプーファ・フリーです。
(前掲書p89)
最近では、脳が他の臓器に先駆けて炎症を起こすことが示唆されています。高脂肪食を与えたラットでは、三日後の脳の視床下部(ホルモン・自律神経のセンター)に炎症・線維化が起こりましたが、その他の組織にはまだ炎症反応が認められなかったのです。
 その他、今までの研究では脳の視床下部(ホルモン・自律神経のセンター)ばかりでなく、前頭葉(思考の中枢)や他の重要な脳組織に炎症が起こることが報告されています。
 エンドトキシンによるメタ炎症によって脳にも炎症が波及し、脳に異常タンパク質が蓄積するパーキンソン病やアルツハイマー病を引き起こします。口腔内バクテリアの暴露によってアルツハイマー病と同じ脳の炎症が起こることが報告されていますが、これも口腔内バクテリアが血液中に入ってエンドトキシンやリポテイコ酸(いずれもバクテリアの細胞壁成分)などが、脳内で炎症を引き起こすからです。
(前掲書p119)
高脂肪食では腸粘膜細胞に接着・侵入する大腸菌(adherent-invasive Escherichia coli)が増加することが分かっています。この大腸菌の増殖によって腸内に炎症が起き、腸のバリア破壊によってリーキーガットを引き起こします。
(前掲書p122)

(※6)
健康な人でも血液内を調べると、血液1ml中に1000ものバクテリアが認められるのです。特に赤血球内に共生していますが、白血球内にも共生しています。さらに言うなら、バクテリアは健康人のどの組織にも増殖もせずにひっそりと共生しています。
(前掲書p128)
 通常は血液を循環しているバクテリアは休眠状態にありますが、ここにフリーの鉄があると活性化し、エンドトキシン(LPS)やリポテイコ酸(LTA)を放出し始めます。健康な人であれば、血液内にフリーの鉄はほとんど存在しません。したがって、休眠状態のバクテリアが目覚めることもありません。
 フリーの鉄は、休眠しているバクテリアを活性化する以外にも、特にプーファと反応して大量のアルデヒドという発ガン物質を作り出します。したがって、私たちは注意深く鉄を扱っています。常に鉄をフリーにしないように細胞内においてフェリチンというタンパク質が鉄を抱きかかえています。あるいは、フリーの鉄は細胞内でミトコンドリアのエネルギー代謝の中間物質であるクエン酸やアデノシン二リン酸(ADP)に結合しています。しかし、炎症や外傷などがあって細胞が破裂(死滅)すると、フェリチンなどの鉄結合物質が血液中に漏れ出す結果、フリーの鉄が放出されます。
 今度はフリーになった鉄はプーファと反応して細胞を破壊するアルデヒドを大量に産生させますから、細胞が死滅します(アポトーシス、フェロトーシス、ネクローシスなど鉄による細胞死滅は様々な形態がある)。そして、死滅した細胞からさらに血液中にフリーの鉄が放出されるという悪循環を招きます。
 また、鉄を欲しいバクテリアは、炎症時にはシデロフォー(siderophore)という鉄タンパク質を産生します。フリーの鉄の奪い合い合戦が始まるのです。そして、このシデロフォーという鉄結合タンパク質そのものが炎症性物質を産生させて炎症を加速させます。
 赤血球もグロビンというタンパク質で鉄(ヘム鉄)を結合させて鉄がフリーにならないようにしています。しかし、炎症時には赤血球も死滅(eryptosis)を起こし、赤血球内の鉄がフリーで血中に出ます。
 このような赤血球死滅(eryptosis)は、糖尿病、パーキンソン病、関節リウマチのような慢性病の特徴です。実際に健康な人の血液に炎症物質(インターロイキン8、IL-8)を加えると、慢性病と同じように赤血球は死滅します。このような赤血球死滅による血液中へのフリー鉄の放出でも、休眠状態のバクテリアを活性化し、エンドトキシン(LPS)、リポテイコ酸(LTA)を放出させて、さらに炎症を加速させます。
 ヘモクロマトーシス(hereditary haemochromatosis)や頻回輸血を受けるサラセミア(thalassaemias)などでは常に鉄過剰状態(血液中のフリーの鉄濃度が高い)ですので、非常に高い感染率を示します。輸血を受けると免疫機能が低下することが知られていましたが、これは鉄、休眠バクテリアやエンドトキシンなどの量が増えることが原因だったのです。
 一度高脂肪食などでメタ炎症が起こると、フリーの鉄を得た休眠バクテリアが蘇り、さらにエンドトキシンなどの強い炎症性物質を放出して炎症が慢性化、劇症化していくのです。
(前掲書p129)
 自分の遺伝子の一部(トランスポウゾン)は、全身に循環することで、遠隔臓器の組織の遺伝子に組み入れられて様々な機能を持つようになります。この血液中を動き回る遺伝子(トランスポウゾン)の中でも重要なものがヒト内因性レトロウイルス(HERVs:Human endogenous retroviruses)です。ヒトDNAの8%を形成しています。
 通常は休眠(転写されない=タンパク質として発現しない)していますが、エストロゲン様物質、喫煙、炎症性サイトカインなどのストレスがかかると覚醒(転写(発現))し、実際にウイルス粒子となります。
 休眠状態の内因性レトロウイルスの発現はガンなどの病的状態で高まります。内因性レトロウイルスの発現が高いほど予後も悪いことが報告されています。ガンだけでなく、多発性硬化症、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス(SLE)、自己免疫疾患、発達障害、自閉症・統合失調症、エイズ脳症、多動症(ADHD)などでも内因性レトロウイルスが発現しています。
 筋委縮性側索硬化症(ALS)で亡くなったヒトの脳を調べると内因性レトロウイルスの濃度が高いことが分かっています。
 このように、私たちの遺伝子の一部となっているウイルス(内因性ウイルス)も、ストレスがかかると休眠状態が目覚めて様々な影響を与えるのです。
(前掲書p135)

(※7)
歯を溶かして虫歯の原因となる乳酸の作用を中和して虫歯を予防するのは、私たちの唾液です。唾液は乳酸を中和するバッファー(緩衝液)を担っているだけでなく、エナメル質の再石灰化(remineralization)作用や抗バクテリア作用を有するタンパク質も含んでいます。
 もちろん、唾液中の乳酸を中和するバッファーの主役は重炭酸イオンであり、これは糖のエネルギー代謝で産生させる二酸化炭素が元になっています。この唾液中の重炭酸イオンは、逆流性食道炎による食道粘膜損傷の主要な予防役も担っています。糖のエネルギー代謝の低下によって引き起こされるシェーグレン症候群(Sjogren's syndrome)では唾液腺に慢性炎症が起こるために唾液が出にくくなります。そのため、シェーグレン症候群では虫歯が多発します。
 この虫歯を予防する唾液分泌は、甲状腺機能やミトコンドリア機能、つまり糖のエネルギー代謝に依存しています。
 虫歯や歯周病には女性のほうがなりやすいことが知られています。この虫歯の性差にはエストロゲンというホルモンが関与しています。エストロゲンは、骨粗しょう症を引き起こしますが、歯ではいわゆる「loose teeth」(→下顎骨と歯根の隙間)となり、歯周病、虫歯も引き起こすからです。動物実験では、エストロゲンを産生する卵巣を除去すると虫歯の発生率が低下することが示されています。ピル(エストロゲン製剤)の服用によって歯周病になりやすいことも知られています。
閉経後に虫歯や骨粗しょう症になりやすいのは、閉経後にむしろ脂肪組織や皮膚を中心に全身の細胞からのエストロゲン産生が高まるからです。糖質とそのエネルギーから産生される保護ホルモンであるプレグネノロンには、骨を産生する能力があります。このプレグネノロン(一部はプロゲステロンに変換)は強い抗エストロゲン作用を持っています。
 その他に、虫歯に影響を与える因子として重要なものは、エンドトキシンです。痛みを伴う虫歯や壊死した歯根管にはエンドトキシンが存在することが示されています。また、痛みなどの症状を伴う虫歯にはよりエンドトキシン量が多いことが報告されています。
 腸内だけでなく、口腔内にもエンドトキシンを放出するグラム陰性菌が存在しています。ポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)というバクテリアもその一つで、口腔内でもエンドトキシンを放出して虫歯や歯周病の原因となっています。
口腔内に発生したエンドトキシンも、リーキーガットと同じく、口腔粘膜の上皮を破壊して血液内に入って全身のエンドトキシン血症から慢性病を引き起こします。また、口腔内のポルフィロモナス・ジンジバリスは小腸内に移行して、リーキーガットから全身性のエンドトキシン血症も引き起こすことが分かっています。
虫歯や歯周病に伴うエンドトキシンによって、全身で炎症反応、特に一酸化窒素(nitric oxide[NO])発生やプーファの脂質過酸化反応が高まり、うつ病を引き起こすことが報告されています。
(「ハチミツ自然療法の最前線」p151)
 エンドトキシンが虫歯や歯周病を引きこすのは、プーファの代謝産物であるエイコサノイド(プロスタグランディンE)が主要な働きをします。このプーファの代謝産物がなければ、エンドトキシンだけでは炎症によって歯を溶かすことはできませんでした。
(前掲書p157)
ケトン食などの糖質制限食は、骨組織を破壊して、骨粗しょう症を引き起こします。歯も糖質制限で弱まるということです。虫歯予防と治療にはプーファフリーと良質の糖質の摂取は欠かせないのです。
(前掲書p158)


2023年11月1日改稿
posted by T.Sasaki at 20:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 免疫について | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ワクチンと自己免疫反応(免疫について 7)

3回目。

例の新型コロナウイルス感染症対応の毒ワクチンを、常に話題にして申し訳ないがが、ワクチンそのものへの理解は、医師たちにも、あるのかないのか、わからないのだそうだ。
そこで、ワクチンに関して、知らない医師たちよりも、少し利口になるために引用していく(笑)。

ワクチンは、主に、生ワクチン、不活性化ワクチン、遺伝子組み換えワクチン(GMO vaccine)がある。
不活性化ワクチンには、基本的に、アルミニウムなどのアジュバントという毒が仕込まれている。
効果の薄いワクチンは、毒を打っているだけと言っていいい。(※1)

それでは、遺伝子組み換えワクチンである流行のmRNAワクチンについて。
ワクチン接種で起きるのは、影響を受けた細胞が、炎症ゴミ(mess)として認識され、炎症が進んでいく。
臨床試験がほとんど行われていない中、遺伝子組み換えであるからには、将来、それがどうなるか、まだ予測がつかず、影響が危惧されている。(※2)

さて、アジュバントを原因とする病気がある。
アジュバント誘発自己免疫症候群(ASIA,autoimmune/autoinflammatory syndrome induced by adjuvants)が、その一つ。
自己免疫反応が起こり、I型糖尿病、甲状腺炎や卵巣の機能低下など影響は多岐にわたる。(※3)
ワクチンによるメリットが、これらを上回るかは、運しだいなのだ。

ここで、自己免疫反応とは何なのか、と思わずにいられない。
特に、アレルギー疾患に悩む人たちには、大問題なのである。
バクテリアやウイルスは、人間の細胞とほとんど同じ分子構成をしている。
そのため、ゴミ処理をする際、間違って自分の細胞を炎症ゴミ(mess)と認識し、炎症を起こす。(※4)
だから、アレルギー疾患は、間違った認識による過剰反応ということになる。

実は、ワクチンに、防腐剤として水銀が含まれている。(※5)
びっくりした〜!

ワクチン接種による有害事象を否定されたりするが、その疫学的追跡調査というのは、ほとんどないらしい。
児童にワクチン接種はつきものだが、いろいろな弊害が起こっている。(※6)
やればいいのに!

最終的に、ワクチンの利用は、メリットとデメリットを考えて、ということ。(※7)
今まで発生しにくかった他の感染症や病気が、世界中で蔓延し始めている理由は、過剰なワクチン接種にあると言っていいだろう。



(※1)
 ワクチンの種類は、大きく三つに分類できます。
  ・生ワクチン(live attenuated baccine:弱毒化生ワクチン)
  ・不活性化ワクチン(inactibated vaccine)
  ・GMワクチン
これ以外にもペプタイド、ナノ粒子などを使用したワクチンもありますが、いずれのワクチンにおいてもその基本原理は、「炎症という“病的”状態を人工的に作り出す」ことです。
(中略)
生ワクチンはやはり微生物そのものを使用しますから、ワクチン自体による感染の危険性があります。その感染リスクを減らすために病原体とされているウイルスやバクテリアを死滅させた不活性化ワクチン(inactibated vaccine)も使用されています。毎年接種しているインフルエンザワクチンは、この不活性化ワクチンです。この他、不活性化ワクチンには、ジフテリア・百日咳・破傷風・ポリオ(DPT-IPV)、日本脳炎、B型肝炎ワクチンがあります。
 不活性化ワクチンは生ワクチンより安全性の面では上回りますが、不活性化ワクチン(死滅させた微生物)そのものだけでは接種しても炎症を引き起こすことができません(ゴミ〈debires〉として速やかに処理される)。
 そこで登場するのがアジュバント(adjuvant)とよばれる免疫賦活剤です。不活性化した病原微生物の構成成分に炎症を引き起こす物質を足すという戦略です。ここで大切なことは、食細胞を炎症で活性化させることです。なぜなら、リンパ球の免疫記憶、あるいは食細胞の免疫記憶を作るにはまず食作用の活性化が必要だからです。
(「新・免疫革命」p97)
エンドトキシンをアジュバントとして使用すれば、食細胞を刺激して炎症を引き起こすことは確実なので、1950年代のワクチンに使用されていました。しかし、エンドトキシンは全身に炎症を引き起こすという重篤な副作用を伴ったために、アジュバントとしてエンドトキシンそのものを使用することはなくなりました。その後、エンドトキシンを人工的に改良して、炎症を引き起こす程度を軽くした(免疫原性を低下させた)物質が使用されるようになりました。
 これらのエンドトキシン類似物質(monophosphoryl lipid A,glucopyranosyl lipid A)は、食細胞のToll様受容体に作用して炎症を引き起こします。現在、ワクチンで使用されているエンドトキシン以外のアジュバントには、水酸化アルミニウム(alum)、スクワレン乳液(MF59,AS03)などがあります。日本の不活性化ワクチンの大半にアルミニウムが入っています。
(中略) 
 広く用いられている不活性化ワクチンとは、病原微生物そのものの感染力(炎症を引き起こす力)はありませんが、そこに毒性の強い重金属などの物質をアジュバントとして添加することでゴミ(mess)を生命場にばらまいて人工的に炎症を引き起こす手段です。まさに「毒をもって毒を制す」アプローチです。
(前掲書p101)

(※2)
私たちの細胞のDNAやRNAはダイナミックに血液中を循環し、他の細胞に組み込まれています(DNA junping)。もし外からDNAやRNAを入れるとどうなるでしょうか?
 これらの外から注入した遺伝子は注射した筋肉細胞だけでなく、実際はあらゆる細胞に組み込まれることになります。一度炎症が引き起こされると遺伝子を組み込まれた自分の細胞そのものがゴミ(mess)と認識されターゲットになります。詳しくは後述しますが、炎症が引き起こされて細胞が破裂すると、外から与えられた遺伝子以外の内容物に対してもゴミ(mess)と認識して炎症が引き起こされます。つまり自己免疫疾患になる可能性があるということです。
 また、私たちの細胞の遺伝子に病原微生物の遺伝子が組み込まれると、正常の遺伝子の発現に狂いが生じる可能性も懸念されます。もちろん精子や卵子にも移行して次世代に引き継がれる可能性もあります。元々私たちの体内に存在する腸内微生物などにも外から与えられた遺伝子が取り込まれることで、体内微生物のバランスを崩す可能性も秘めています。
 さらに、ウイルス粒子の構成成分を産生するDNAやRNAを組み込んだ物質(プラスミド)は耐熱性にも非常に優れていて分解されにくいことがわかっています。このような物質が環境中に放出された場合起こる生態系の攪乱も、長期的影響としては考慮に入れなけらばなりません。このようにGMワクチンは環境も含めた生態系を攪乱させる可能性があるのです。
(前掲書p115)

(※3)
アジュバントで起こる激しい自己免疫反応は、ヒトパピローマウイルスワクチン(HPV)、ヒトB型肝炎ウイルスワクチン(HBV)、インフルエンザウイルスワクチン接種後に起こっていることが報告されています。その他、豊胸手術で使用される埋め込みシリコンやローション、化粧剤、充填剤に使用されるミネラルオイルもアジュバントとして自己免疫反応を引き起こします。ミネラルオイルは、命名からは想像し難いですが、原油を精製する過程で作られる石油であり、世界保健機構(WHO)が発がん性を認めている代物です。悲しいことにミネラルオイルは、動物のワクチンアジュバントとして実際に使用されています。
「アジュバント誘発自己免疫症候群(ASIA)」はMMRワクチンのような生ワクチンだけでなく、ヒトパピローマウイルスワクチン(HPVワクチン)のような不活性化ワクチンによっても引き起こされます。HPVワクチンによる自己免疫疾患としてはI型糖尿病、甲状腺炎、クローン病、関節炎などの報告がありますが、特に卵巣(卵細胞)に対する炎症反応で卵巣の機能低下(第一次卵巣機能不全、primary ovarian failure 〈POF〉)が起こり、生理不順や不妊を引き起こすことは特筆すべき点です。
(前掲書p108)
 アジュバント誘発自己免疫症候群(ASIA)がマクロファージ活性化症候群(MAS)といわれる理由も、過剰な食細胞の活性化によって引き起こされる炎症が制御不能になるからです。ワクチンが目的とする感染症への免疫記憶を得ることだけで終わるか、自己免疫反応を引き起こすかは、人工的に引き起こされた炎症を私たちの体がコントロールできるかどうかにかかっているのです。
(前掲書p110)

(※4)
 バクテリアなどの炎症を引き起こすものと自分の体の成分の構造が似ている場合に交差反応(自己免疫反応)が起こりますが、この構造が似ていることを「分子擬態/分子相同性(Molecular mimicry,モレキュラー・ミミックリー)」といいます。 
 不活性化ワクチンのアジュバントも体内の細胞の構成成分と分子構成が似通っている場合があります。アジュバントへの炎症作用(アジュバントをゴミ(mess)と判断)が自分の組織にも及びます。つまりアジュバントと同じ構成をもつ自分の細胞成分がゴミ〈mess〉と認識されて炎症を引き起こすのです。
 アジュバントだけでなく、リウマチ熱と同じくバクテリアやウイルスそのものの構造が自分の細胞成分と似ている場合にも、自己免疫反応が起こることが知られています。驚くことに、バクテリアのタンパク質(ヘプタペプタイド)のほぼ100%が、ウイルスのタンパク質(ペンタペプタイド)の90%が私たちの細胞と同じです。
 バクテリアやウイルスはほとんど私たちの体の構成成分と似ているので、本来は感染によって炎症は起きないはずです。つまり、ほとんどは共生するのです。あるいは感染しても速やかに食細胞によってゴミ処理されるために炎症は起こりません。
 しかし、インフルエンザウイルス感染のように実際の感染によって炎症が起こる場合があります(ほとんどは炎症は起こらない。これを不顕性感染という)。これは食細胞によるゴミ処理がうまくいかない場合や、過剰に食細胞が刺激される場合です。いずれも私たち側の糖のエネルギー代謝が低下している場合(=甲状腺機能低下)に通常では起こらない感染によっての炎症が引き起こされるのです。
 炎症が生命場で引き起こされると、細胞が破裂死し細胞内成分が生命場に散らばります。問題は、このときに炎症の場に散らばったバクテリアやウイルスの構成成分がほとんど私たちの細胞成分と相似しているため、分子擬態/分子相同性(モレキュラー・ミミックリー)によってバクテリア、ウイルスの処理と同時に自分の細胞構成成分も処理されるようになる。つまり、自己免疫反応が起こることです。
(前掲書p111)

(※5)
ワクチンに添加されている重金属である水銀(チメロサール〈thimerosal,サイメラソゥ:エチル水銀チオサリチル酸ナトリウム〉)は、ワクチンを開封後に細菌汚染から防止する目的として殺菌・防腐剤として添加されます。
 しかし、水銀自体が炎症を引き起こすことは意図的に見逃されています。動物実験ではすでにチメロサール(エチル水銀)が炎症を引き起こし、自己免疫反応を起こすことが報告されています。チメロサールはミトコンドリアにダメージを与えるため、生命場の形態形成維持に重大な影響を与えます。
(前掲書p103)
多くの動物実験やメチル水銀によるヒトの水俣病の発生などを総合すると、チメロサール(エチル水銀)は容量依存で(接種する量が多くなるほど)神経障害を起こすことはかなり「黒」に近いといえるでしょう。
 メチル水銀は水俣病(神経障害)の原因になった物質ですが、エチル水銀と同じ有機水銀で、ほぼ性質は同じです。メチル水銀などの有機水銀は細胞の小胞体にストレス(小胞体ストレス、ER stress)を与えます。小胞体ストレスは食細胞などの細胞内のアンテナ(この場合はインフラマソームという)を刺激して炎症反応をオンにします。
 細胞の小胞体(ER,Endoplasmic reticulum)は、タンパク質の折りたたみを通じて、機能をもつタンパク質を作り出す重要な場所です。ここが水銀をはじめとした重金属でダメージを受けるために、異常タンパク質というゴミ(mess)が蓄積します。これが炎症を引き起こすことは容易に想像がつきます。
(前掲書p104)
 無機水銀(塩化水銀)では、食細胞などのToll様受容体(endosomal TLR
)を介して炎症反応を引き起こし、B細胞の自己抗体の産生を引き起こす(自己免疫反応)ことが報告されています。さらに水銀などの重金属は、食細胞の食作用を止め、肥満細胞の脱顆粒(ヒスタミン、セロトニンやプロスタグランディンなどの炎症性物質)を放出させる作用もあり、生命場の形態形成維持を混乱させます。
(前掲書p106)

(※6)
6〜12歳の660名の米国の学童児においてワクチン接種グループとワクチン非接種グループを比較調査した研究が報告されています。以下にその驚くべき結果を紹介したいと思います。ワクチンを予防接種スケジュール通り接種した児童は、まったくワクチン接種していない児童よりも中耳炎、肺炎、アレルギー、発達障害(自閉症など)に罹る率が高いという結果でした。ワクチン非接種グループでは水疱瘡、百日咳の罹患率がワクチン接種グループより高かったようです。問題は以下です。
 ・ワクチン接種児童は、2倍の慢性病に罹っている。
 ・ワクチン接種児童は、4倍の学習障害、注意欠陥多動症、自閉症スペクトラム障害になっている。
 ・未熟児だったワクチン接種児童では、未熟児で非ワクチン接種児童よりも6倍の自閉症などの脳機能障害を患っている。
 以前より、ワクチン接種した児童は非ワクチン接種児童よりも様々な慢性病を患っているという報告がありましたが、研究論文自体が撤回されたり、医学雑誌への論文掲載を拒否されたりしていました。今回の研究論文も最初の医学雑誌への論文掲載が撤回され、違う医学雑誌に掲載された経緯があります。
 生ワクチンや不活性化ワクチンに含まれるアジュバントなどの炎症を引き起こす物質は慢性病のリスクを引き上げます。つまり、生ウイルスやアジュバントとよばれる炎症を引き起こすゴミは多ければ多いほど、炎症が拡大するのです。生ワクチン、不活性化ワクチンに微量に添加されている重金属などのアジュバントもワクチンの接種回数に比例して体内蓄積が増加していきます。
(前掲書p116)

(※7)
 病原微生物の感染による影響が甚大な場合(生涯にわたってダメージが残る)は、ワクチンを接種することは、デメリットをメリットが上回ると考えます。たとえば、妊婦が風疹に罹ったときに、胎児に稀に心疾患や白内障などの障害を引き起こすことがあります。この場合、妊婦の時点で風疹ワクチンを接種するより、子どものときに接種しておいた方が安全でしょう。
 しかし、一過性の感染で済むような多くの感染症では、生命場に炎症を引き起こすようなゴミ(mess)はデメリットが上回ります。特にエネルギー代謝が低下している場合は、炎症が拡大し制御不能になる(あるいは食作用が低下して形態形成維持ができない)ため、思いもよらない自己免疫反応・自己抗体の産生(自閉症、自己免疫疾患の発生)やガンの発生などの長期的影響を慎重に考慮しなけらばなりません。すべてはコンテキスト(生命場)依存です。
 したがって、甲状腺機能が低下していることが明らかな人(現代人の大半)にむやみにワクチンを接種することは厳禁です。糖のエネルギー代謝が低下している人へのワクチンは必要最小限にすべきです。
(前掲書p119)


2023年10月31日改稿
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2023年06月16日

腸内環境(免疫について 6)

3回目。

またまた「免疫について」シリーズ。

腸内環境とか腸内フローラとか、よく耳にするが、これは、もちろん大事である。
それをサイエンスの世界から説明しているのが、ドクター崎谷である。
形態形成維持と細胞のゴミ処理」の最後に、腸内のインフラマソームが登場しているが、これがアンテナの役割をしている。
食物繊維の過剰摂取はよくない。(※1)
それだけ食べさせようとする健康食品の宣伝は、何とウソの多いことか!
食物繊維も、ほどほどに。

エンドトキシンなどの毒物が、小腸粘膜から血液中へ放出される現象を、リーキーガットという。
毒物が血管を通じて循環するのだから、全身に炎症を促す。
これは、アルコールの摂取などで起きる。(※2)
したがって、酒は、あまり飲まない方がよい。
でも、無理かも(笑)。

抗生物質の投与は、もともと共生している体内のバクテリアを破壊する。
これにより、アレルギー疾患になる。(※3)
私は、小さい頃、体が弱く、病院に行けば、ペニシリンをたくさん打ったと聞いている。
だからなのか、アレルギー性鼻炎に毎年悩まされる。
30歳を過ぎてから、食物アレルギーにもなった。
私的には、薬害の一つに数えられる。
それから年を取ったら、極端な偏食を避け、腸内微生物のバランスを保つようにすること。
ボケたくないし(笑)。(※4)

腸内環境を良くするために、有益なバクテリアを摂取する療法があるそうだ。
プロバイオとか、呼ばれているらしい。
しかしこれは、逆に有害である。
体内で作られるL型乳酸と違って、投与されるD型乳酸は解毒が難しく、余計に体内のエネルギーを消費する。
バクテリアが消化できないセルロースを摂るほうが、ずっといい。(※5)

精神的ストレスも腸内環境を変化させる。(※6)
だから、再び、「怒るな!悩むな!」(笑)。

さらに、慢性的な騒音やWi-Fiや携帯などの電波も、腸内環境が変化させ、リーキーガットも起こすようだ。(※7)
必要とされるスマホの使用は、結局のところ、現代社会の淘汰圧の一つということになる。
電波に強い人間だけが、健康で生き残る、ということか。



(※1)
 私たちの腸で消化できない、あるいは消化が難しい食物繊維をエサとして、腸内のバクテリアは酢酸(acetate)、酪酸(butyric acid)などの短鎖脂肪酸(遊離脂肪酸)を産生します。
(中略)
 この短鎖脂肪酸は、好中球などの食細胞を刺激して活性酸素種(ROS)の放出や食作用を促します。これは食細胞の細胞内のアンテナであるインフラマソーム(inflammasome)に短鎖脂肪酸が処理すべきゴミ(mess)として認識されることになります。この小腸内の食細胞の活性化によって、他のバクテリアなどの微生物の侵入も防がれているのです。
 さらに、短鎖脂肪酸は、小腸粘膜細胞(上皮細胞)の細胞内にもあるインフラマソーム(inflammasome)も刺激します。その結果、小腸粘膜細胞からは持続的にインターロイキン18(IL-18)というサイトカインが放出されます。このサイトカインは腸粘膜細胞間にあるゴブレット細胞から粘液を腸管内に放出させたり、パネス細胞(Paneth cell)から抗菌ペプタイド(AMPs:antimicrobial peptides)を放出させたりして病原性微生物の侵入を防ぎ、腸粘膜のバリア機能をキープしています。
 一方、短鎖脂肪酸は小腸粘膜上皮細胞、食細胞のいずれのインフラマソームにも作用してインターロイキン1-β(IL-1β)を放出させます。このインターロイキン1-β(IL-1β)は持続的に放出されると慢性炎症を引き起こします。しかし、抗ガン剤治療時のように一過性に小腸粘膜にダメージが及ぶような場合には、リンパ球に作用してインターロイキン22(IL-22)が放出されてむしろ組織修復に働きます。インターロイキンのような生理活性物質もコンテキスト(生命場)依存で正反対になるのです。
 インフラマソームやToll様受容体(TLR)は、食細胞のアンテナ(受容体)です。バクテリア、ウイルス、脂肪酸などの刺激を受けて食細胞を活性化します。この活性化が弱いと腸粘膜維持のように組織の健康の場を維持(ホメオスターシス)できません。
 しかし、食細胞が活性化しすぎると、今度はリンパ球まで巻き込んで“病的”状態である「炎症」を引きおこしてしまいます。これが、私が消化の悪い食物繊維の摂取に警告を鳴らしている一つの理由です。消化の悪い食物は、腸内(大腸内)のバクテリアのエサになり過剰に増殖するとともに短鎖脂肪酸やエンドトキシン(内毒素)を過剰に放出し、炎症を加速することになります。
 それ以外にも酪酸などの短鎖脂肪酸(腸上皮細胞)は、腸粘膜の底にある幹細胞(腸粘膜幹細胞)の増殖を抑えます。腸粘膜細胞(腸上皮細胞)は、三〜五日で入れ替わる新陳代謝の激しい細胞です。したがって、過剰に酪酸があると幹細胞の増殖が抑えられて新陳代謝ができなくなります。また過剰な短鎖脂肪酸は、血液内に吸収されてランドル効果による糖のエネルギー代謝(生命の中心システム)の阻害を引き起こします。その結果、体内に余分な脂肪蓄積が起こります。
 つまり、過度の量の短鎖脂肪酸が産生されて、その結果適度に食細胞が活性化している状態がベストということです。
(「慢性病は現代食から」p16)

(※2)
近年、腸のバリアが壊れる(小腸粘膜上皮細胞間の結合に隙間ができる)ことで、重症の感染症や自己免疫疾患を引き起こすことが報告されるようになりました。
 腸のバリアは、小腸粘膜上皮細胞どうしが隙間なく結合することによって、無秩序に小腸粘膜から血管内に物質が移行することを防いでいます。この腸のバリアがあるおかげで、発がん物質や病原性微生物、あるいはそれに由来するゴミ(マンプス MAMPs、エンドトキシンがその代表)が血液の中に入って全身に循環することを最小限に抑えています。
 この腸のバリアが何らかの原因によって壊されることを「リーキーガット(leaky gut)」と呼んでいます。専門用語では「小腸の透過性亢進(increased intestinal permeability)あるいは腸管漏出症候群」といいますが、最近ではサイエンス誌などに掲載される医学論文でも「リーキー(leaky)(「漏れる」という意味)という単語を使っています。
 リーキーガットの原因は、オメガ3などプーファ(多価不飽和脂肪酸)、セロトニン、アルコールなど様々ありますが、バクテリアそのものでも引き起こされます。
(前掲書p21)

(※3)
 これは日本の研究ですが、五歳児において二歳までにペニシリンなどの抗生物質の使用経験のある子どもは喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎などのアレルギー疾患に有意にかかり易いことが報告されています。
 米国の最新の大規模調査では、生後六か月までに抗生物質の投与を受けると有意にアレルギー疾患になることが報告されました。この調査では、胃酸を止める薬(H2ブロッカー、プロンポンプ阻害剤)の投与を受けても同じように有意にアレルギー疾患になることも分かっています。
 抗生物質はバクテリアの増殖を止める物質ですから、抗生物質を服用すると体内に共生しているバクテリアも死滅します。そして投与した抗生物質に耐性のあるバクテリアのみが生き残ることになります。
 この状態は、もともと私たちの体内に共生していたバクテリアを壊した結果に他なりません。現代医療では、胃酸を抑えることでも消化管内の微生物バランスを壊すことになることまで意識が及んでいません。
 これはバクテリアの例ですが、私たちと共生している微生物のバランスが崩れると免疫異常(アレルギー疾患)を引き起こすことになるのです。共生微生物が私たちの免疫システムに大きな影響を与えていることを示しています。
 抗生物質で完全に腸内細菌を死滅させると、興味深いことに逆の効果が出ます。過去の研究で、完全に腸内の無菌状態のマウスは、通常のマウスよりも長生きであることが報告されています。
 これは腸内細菌によるエンドトキシン(内毒素)の負荷が低下することが要因になっていると考えられています。なぜなら増殖した腸内細菌から産出されるエンドトキシン(内毒素)は、血管に入って全身に炎症を引き起こすからです。慢性病や老化のほとんどにエンドトキシンが絡んでいます。
 また、腸内無菌状態のマウスでは、通常のマウスよりも各臓器に脂肪蓄積が少なく、体内産生の抗酸化物質も多い健康体であることも分かっています。実際に無菌マウスに通常に育ったマウスの便移植をすると、60%の体脂肪増加、インシュリン抵抗性および高血糖が起こります。
 アルコールによる肝臓障害も、腸内が無菌状態のマウスは、通常のマウスよりも起こりにくいことも報告されています。アルコールはリーキーガットを起こす代表物質です。リーキーガットが起これば、腸内細菌が産出したエンドトキシンは大量に血管内に移行して、肝臓(その他の臓器にも)に炎症を引き起こします。
(前掲書p25)

(※4)
  現実の社会では、腸内を完全に無菌状態にキープすることは無理ですから、腸内微生物の増殖を抑えること、多様性をいかにキープするか(単一のバクテリアを過剰増殖させない)が鍵になります。実際に加齢とともに腸内細菌の多様性が低下すると、認知機能までが低下していきます。
(前掲書p28)

(※5)
 プロバイオ、プレバイオは、最終的に無菌状態が初期設定である小腸に乳酸を産生するバクテリアを増殖させることで全身にダメージを与えます。(小腸は実際に大腸よりもバクテリアの数が少なく、多様性も少ない)。
(中略)
 なんと乳酸菌のプロバイオ(Lactobacillus species and Bifidobacterium)を摂取したグループで高率に判断力、記憶力、集中力の低下や意識混濁が認められたのです。
 これは過剰な乳酸菌が産生する乳酸が血液中に入り、脳に回ったからです。乳酸は生体毒で、特に脳神経細胞にダメージを与えるのです。
(中略)
 乳酸は単なる代謝産物ではなく、様々な生理活性機能を持ち、それが病気の場も作る原因になる物質といえます。その中でも糖のエネルギー代謝を止めることと、細胞内還元状態(細胞内アルカリ性=病気の状態)にすることは、プーファ(多価不飽和脂肪酸)に匹敵するといえるでしょう。
 慢性病の人では乳酸の値が高くなっています。この場合は糖の代謝が上手く行かずに(不完全燃焼して)、乳酸という廃棄物が作られているわけです。
 私たちの体内で産生される乳酸タイプはL型乳酸とよばれています。一方、乳酸菌が産生する乳酸は、これと違ってD型乳酸といいます。問題はここからです。D型乳酸はL型乳酸よりも解毒するのが難しいタイプなのです(L型乳酸の処理でも貴重なエネルギーを消費してしまうデメリットがある)。
(中略)
 過去にもプロバイオによって、特に状態の悪い人には真菌血症、バクテリア血症(バクテリア、カビが血液中に入る)、腸粘膜の虚血症状が起こることが報告されています。
 治療目的で使用されるプロバイオの代表はビフィズス菌、乳酸菌、サーモフィルス菌です。この三菌の十五種類を投与した動物実験においても、腸管感染症(クリプトスポリジウム症)を悪化させる結果に終わっています。
(中略)
 腸内細菌に関して、治療介入するのであれば、腸内細菌を過剰に増殖させないこと。そのためには、プロバイオや食物繊維(プレバイオ)のような消化の悪い食べ物(バクテリアのエサとなる)を避けて、エンドトキシンを減らすセルロースを含む食べ物(バクテリアが分解できない)の摂取を心掛けるようにしましょう。
(前掲書p34)

(※6)
ストレスが加わるとコルチゾール、エストロゲン、アドレナリン、成長ホルモン、エンドルフィン、オキシトシンといったストレスホルモンが私たちの体から産生されます。これらストレスホルモンこそは、腸内微生物の成長や機能に影響を与えて、腸内環境を変化させるのです。
 さらにストレスホルモンは、甲状腺機能を低下させることで消化管の蠕動運動や分泌液(胃酸や消化酵素など)の産生を低下させます。このことによって小腸内にバクテリアが過剰増殖することで、さらに慢性炎症を引き起こすエンドトキシンが血液中に流入するのです。
(前掲書p45)

(※7)
 慢性的な騒音はアルツハイマー病の発生に関与しています。興味深いことに、この慢性の騒音も腸内バクテリアの構成を変化させる(多様性を低下させる)ことが報告されています。この慢性騒音は、腸粘膜および脳血管内皮細胞のバリアを壊してリーキーガットおよび私が命名した「リーキーベッセル(leaky vessel:血管内皮細胞漏出症候群)」という状態を引き起こすことも分かっています。脳血管細胞のバリアが壊れると、脳神経細胞にフリーで鉄などの重金属や毒性物質が入り込みます。
 さらに、Wi-Fiや携帯などのマイクロ波(電磁波)に暴露すると、腸内バクテリアの構成が変化します。大腸菌やリステリアといったバクテリアが速く成長するようになります。これらのバクテリアは抗生物質耐性になっています。
 Wi-Fiや携帯などのマイクロ波は、歯の充填に使用されるアマルガムや口腔内に装着した歯列矯正器から毒性の強い重金属を放出させます(それぞれ、水銀、ニッケル)。これらの重金属は腸内に移行して、腸内細菌に影響を及ぼします。さらに、腸内細菌だけでなく、皮膚のバクテリアの構成も変化させます。
 Wi-Fiや携帯などのマイクロ波は、正式に国際ガン研究機関(IARC)で「ヒトに発ガンの可能性あり(Group 2B)」と認定されていますが、体内のアトピー性皮膚炎などの皮膚の慢性炎症疾患の大きな原因にもなっているのです。
 以上の例からもわかるように、慢性の騒音やWi-Fiや携帯などのマイクロ波(電磁波)は、目に見えないストレス”として、高プーファ食などと同じく確実に生体にストレスとダメージ(慢性炎症)を与える結果、腸内細菌までもが変化するのです。
(前掲書p47)


2023年10月31日改稿
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2023年06月10日

形態形成維持と細胞のゴミ処理(免疫について 5)

ふたたび、こんにちは。

免疫について」シリーズは、引用文の山である。
かかりつけ医を選ぶ場合や突然病院のお世話になった場合、医師の言うことが信用できるかどうか、の判断材料になると思う。
病気になる、ということは、基本的に、エネルギー代謝異常とゴミ処理異常であることを認識すべきである。

私たちの体の中では、常にゴミが生まれ、それを食細胞が処理している。
これらは、無自覚に自動的に、行われているのである。
その数は、何と!毎秒百万個!
これがうまくいかなくなっても病気になる。(※1)

ゴミの中でも厄介なのが、病的状態で発生するゴミ、すなわち炎症ゴミ(mess)である。
これらのゴミが処理されないで残った場合、それは、外部からの侵入者のエサとなる。
結果として、その侵入者は増殖することになる。
つまり、感染症に罹りやすくなる、ということだ。(※2)
食細胞は、ゴミの種類を判別し、リンパ球の攻撃の有無を決定する。(※3)
ここで、またプーファの登場となるが、プーファはミトコンドリアを傷つけ、電子、そして、ゴミを散乱させる。(※4)
もちろん、食細胞も死を免れない。
好中球にも、自然死と細胞死(壊死)の二つがあり、細胞死から炎症が引き起こされたりする。(※5)

炎症ゴミ(mess)の増加は、病気を作る。
食細胞による食作用が働きすぎると、逆に、炎症ゴミ(mess)が増えて困るから、ここで、T細胞やB細胞が活躍し始める。
つまり、従来の免疫細胞であるリンパ球が、ここからの炎症ゴミ(mess)の処理を担うことになる。
これが、抗体の正体である。
ゴミ処理が追い付かなくなり、体内にゴミが散乱して炎症物質が放出されると、やがて、がん化する。(※6)
したがって、素人考えでも、炎症を起こさないようにする、ということが重要であることがわかってくる。

新型コロナウイルス感染症と呼ばれるものの報道で、よく抗原という言葉出てくるが、抗原の正体というのは、炎症ゴミ(mess)のことだったのだ。
これには、ダメージ(傷害)関連分子パターン(DAMPs,ダンプス)と微生物関連分子パターン(MAMPs,マンプス)とあるが、どちらも、炎症、抗炎症の両方に働く。(※7)
炎症ゴミ(mess)は、本当に厄介なものであり、心配になってくるが、大丈夫、腸内のインフラマソームなどが、最終的にそれを解決する。(※8)

ここからは、余談的なメモ。

もうすぐ還暦世代の人へ(笑。私もなのだ!)。
加齢により、炎症ゴミが必然的に生まれてくる。
したがって、炎症ゴミの出現を抑制すること。
それには糖質の有効利用が必要であり、糖のエネルギー代謝を大事にすること。(※9)

それから、単細胞にも頭脳みたいなものがあるらしい。(※10)
単純な人に「単細胞!」と言うのはやめよう!(笑)。



(※1)
 細胞レベルで“ゴミ”と判断されたものは、食作用(phagocytosis:ファゴサイトーシス)を持つ白血球系の細胞(単球、マクロファージ、樹状細胞、好中球、好酸球など)によって処理されます。これらの食作用をプロとして行っている細胞以外にも、食作用を持つものに線維芽細胞、上皮細胞、血管内皮細胞、網膜色素細胞や精巣のサトリー細胞(sertoli cells)などがあります。
 食作用とは、文字通り“ゴミ”を食べることを意味します。食べられたゴミは白血球内で消化されて無害化されます。このようにゴミを食べて場を掃除する白血球のことを総称して「食細胞(phagocyte:ファゴサイト)といいます。
 様々なゴミに対して活性化した食細胞(phagocyte)はゴミを飲み込んで細胞内のゴミ処理場(phagolysosome:ファゴライソゾーム)で分解します。
(「新・免疫革命」p80)
私たちの血液中の赤血球の寿命は約百二十日といわれています。機能が低下した赤血球は“ゴミ”として食細胞の食作用によって処理されます。もし食細胞の食作用の働きが低下すれば、ダメージを受けた老化赤血球から鉄が血液中に放出され、鉄の様々な毒性によって多臓器がダメージを受けます。
 環境の変化に対応して生命体の姿を形成・維持していくことを形態形成維持(morphostasis:モーフォステイシス)といいます。形態形成維持は、環境に適応して生命体の姿を発展・維持していく営みです。その形態形成維持の中心が食作用(ゴミ処理)なのです。
 成人の体内の組織では毎秒百万個もの死滅した細胞(アポトーシス、自然細胞死)を処理しています。
(前掲書p81)
私たちは成長の過程で必要なくなった自分の細胞・組織を食作用で処理しています。病原性を持つバクテリアなどを処理するのも、この形態形成維持の食作用を利用しているにすぎないので、免疫というシステムは形態形成維持(morphostasis)の営み全体の一部分が応用された景色を眺めていると考えると理解しやすいでしょう。
 形態形成維持の基本単位は細胞です。私たちは受精卵という一つの細胞から多細胞に分裂して臓器が形成され、今の形になっています。この一つ一つの細胞が自分の状態を含めて周囲の細胞を監視しています。細胞同士はギャップ結合(GJ,gap junction)や細胞接着因子(CAM,cell adhesion molecule)と呼ばれるタンパク質で結合されています。細胞間は、ギャップ結合などを通じて、糖などの物質のみならず、電気信号などの情報のやりとりをしています(synchronization 同期、coherence コヒーレンス)。
 ここで、細胞の集団の中のひとつの細胞に変調が起こったとしましょう。この細胞は自ら、ギャップ結合などの周囲の細胞との結合を外して(undocking)、細胞集団から離れます。そして自決を選びます。こうやっていわば“自殺死”(アポートシス)を選んだ細胞はその細胞成分が破裂して漏れ出ないように、食作用によって細切れにされて食細胞あるいは近隣細胞にキレイに処理されます。
(前掲書p86)
 細胞内の小器官やタンパク質などの高分子も、日々新陳代謝されています。ダメージを受けたタンパク質や異常タンパク質、あるいはダメージを受けたミトコンドリア、ペルオキシソーム(peroxisome)などはゴミ(debris)と判断されて速やかに分解されて再利用されます。
 この細胞内リサイクルシステムを「オートファジー(autophagy:自食作用)」といいます。オートファジーは飢餓などのストレス下でも活性化します。機能の低下した分子をリサイクルして新しい材料として提供するのです。たとえば、異常なたんぱく質をオートファジーによって完全にアミノ酸レベルに分解すれば、そのアミノ酸は新たなタンパク質を作る材料になります。また、細胞内に侵入したバクテリア、ウイルスなどもゴミとして処理するのもオートファジーの働きによります。
 オートファジーの機能がダメージを受けるとβアミロイドなどの異常タンパクが神経細胞内に集積します。これはアルツハイマー病を引き起こします。このように細胞内外のゴミは速やかに処理されて形態形成が維持されています。
(前掲書p88)

(※2)
ゴミは細胞や間質組織の破片です。これらの破片は、侵入してきた微生物から見ればよだれが出るようなタンパク質、糖や脂肪などで構成された栄養素です。したがって、ゴミが生命場に散らかっていると競合関係にある微生物という“敵に塩をあげる”事態になりかねません。
(中略)
糖尿病や免疫抑制状態(オメガ3やステロイド投与、エイズ)などが危険な理由は、生命場(この場合間質)に糖、遊離脂肪酸(糖尿病)、鉄などの栄養素が浮遊していたり、免疫抑制状態(食作用低下)になったりすることによって、エサとなるゴミ(debris)が散乱することで侵入微生物の増殖に願ってもない環境を作るからです。
(前掲書p91)
同じゴミでも日常のエネルギー代謝によって排出されるゴミは「デブリス(deburis)」と表現しますが、炎症によって細胞が破裂したり、間質が分解されたりするような病的状態で産生されるゴミを「メス(mess)」と呼んで区別します。「メス(mess)」は炎症を引き起こすので「炎症ゴミ」と呼んでもよいでしょう。
 この形態形成維持が破綻した状態で放出されるゴミ(mess)は、後述するようにアレルギー疾患、自己免疫疾患、ガンなどを引き起こします。
 感染して機能を失った好中球などもゴミ(mess)として他の食細胞(マクロファージ)の食作用によって処理されます(その逆、機能不全のマクロファージが好中球に処理されることもある)。この機能不全の食細胞ゴミ(mess)処理に失敗するとエイズなどの免疫不全やSLEなどの自己免疫疾患を引き起こすことも報告されています。
 いずれのゴミ(debris & mess)も食作用によって掃除することは侵入微生物の増殖や炎症を防ぐという生命体の形態形成維持で最重要になってきます。
(前掲書p93)

(※3)
 形態形成維持の中心となる食細胞には以下の二つの働きがあります。
1. ゴミ(debris & mess)を見分ける(樹状細胞)⇒細胞内に取り込み(食作用)、リンパ球の免疫記憶・攻撃を助ける(「抗原提示」という)。
2. ゴミを本格的に処理する(食作用)。
 この二つの食細胞の働きを橋渡しをするのが、リンパ球系です。食細胞の樹状細胞は、ダメージを与えるゴミ(mess)を認識して、リンパ節にまで運び、リンパ球を喚起します。そのゴミ(mess)によって活性化されたリンパ球はマクロファージ、好中球などの食作用を活性化します(B細胞から産生されるIgG抗体は食作用を活性化させる)。
(前掲書p127)
 通常の生命場の維持においては、死滅した細胞は速やかに分解され、ゴミとならないように処理されます。その代表的なメカニズムがアポトーシス(apoptosis)です。このときに核酸(遺伝子)、タンパク質、脂質などの死滅細胞の成分は生命場に散乱することはないために、ダメージを与えるゴミ(mess,damaged debris)とは認識されません。そのために、自分の細胞の成分に対して激しい炎症が起きたり、抗体ができたりすることはありません。
 このようにゴミ(debris)の速やかな処理においては炎症は強く抑制されることが分かっています。炎症が起きないのでゴミとなった自分の組織に反応するリンパ球や抗体ができません。これが、現代医学が「免疫寛容(immnune tolerance)」(自分の組織には基本的にリンパ球g攻撃することはない)と呼んでいるものの本質です。免疫学的無視(immunological ignorance)と呼ばれることもあります。
 通常のアポトーシス(自然細胞死、natural cell death)のあとの処理、つまり形態形成維持の食作用では炎症が起きないメカニズムが、最近になって明らかになっています。たとえば、アポトーシス(「イート・ミー〈eat me〉」サインを出している)の細胞は、食細胞に食作用を受けた場合に、抗炎症へと誘導します(アポトーシスで死滅した細胞からインターロイキン‐10〈IL-10〉やTGF-βが産生される)。その他にもキレイに死滅した細胞成分には、リンパ球の攻撃や抗体産生が起こらないように様々なメカニズムが働いています。
 このように免疫寛容とは、「そのゴミによって炎症が起こらないこと」と理解するとよいでしょう。
(中略)
 しかし、病気の場ではどうでしょうか?
 激しい炎症が起きて細胞が壊死して破裂したような場合(破滅的な細胞死、violent cell death)を考えてみましょう。このような細胞死は壊死(ネクローシス、necrosis)と呼んでいます。ネクローシスでは自分の細胞が破裂します。それによって細胞内から漏れ出てきた細胞成分(spillage)は、生命場にダメージを引き起こすゴミ(mess)と認識されます。その例が細胞内にある熱ショックタンパク質90(HSP90)、HMGB1(high-mobility group protein B1)、ATP、インターロイキン(IL-1β)、遺伝子(DNA)、プーファ(その代謝産物のエイコサノイド)などです。これらの細胞の構成成分は自分の細胞構成要素ですから、自然死の場合ではダメージを与えるゴミ(mess)とは認識されないはずです。しかし、炎症の場で漏れ出したために「生命場にとってダメージを与える」と判断されるようになります(“ダメージ物質”とタグ付けされる)。
(前掲書p147)

(※4)
プーファ(多価不飽和脂肪酸)などによってダメージを受けたミトコンドリアを放置しておくと、過剰な活性酸素・窒素種(ROS、RON)が細胞内に放出されます。これによって、細胞内の炎症をオンにするアンテナが活性化し、炎症性物質を生命場にばら撒く結果になります。プーファ(オメガ3&オメガ6)はミトコンドリアの電子伝達系での電子(糖から取り出した)のフローをせき止めてしまいます。
(中略)
細胞内のミトコンドリアが機能不全に陥ると、電子というゴミが細胞内に散乱します。散乱した電子はその細胞を破壊するだけでなく、破壊された細胞から散乱したゴミ(mess)がさらに周囲の生命場に悪影響を与えます。したがって、ミトコンドリアに決定的なダメージを与えるプーファは形態形成維持の面からも最大の慢性病の原因といって過言ではありません。
(前掲書p94)

(※5)
 自然死した好中球をマクロファージが食作用によって処理すると、マクロファージ内でレゾリンヴィン(resolvins)、プロテクティン(protectins)、マレスィン(maresins)などの「イムノレゾルヴヴァント(immunoresolvents)」と呼ばれている局所ホルモン様物質(autacoids,pro-resolving mediator)が産生されます。こららは局所の炎症を止め、組織修復に働くように作用します。
(中略)
 その一方で、好中球が破裂する好中球壊死という状態があります。エンドトキシンやミトコンドリアからの活性酸素種によって活性化された好中球は、核内の染色体や顆粒の網目状の混合物を細胞外に放出することが発見されています。この網は好中球細胞外トラップ(NETs:neutrophil extracellular traps)と呼ばれています。
 好中球細胞外トラップは細胞内で消化(貪食)しにくい細菌、ウイルス、真菌を細胞外で網に捉えます。捉えられた細菌は好中球やマクロファージに貪食されやすくなります(NETsそのものにも殺菌作用がある)。この過程はネクローシスやアポートシスとは異なるタイプの細胞死ということで、好中球細胞死(NET osis)と名付けられています。
(前掲書p164)
 当初、この好中球のバースト(破裂)による好中球細胞外トラップ(NETs)および好中球細胞死(NET osis)はいわゆる自然免疫に働くと考えられてきました(もはや自然・獲得免疫の概念は意味がない)。しかし、この好中球細胞外トラップの成分そのものが後述するダメージ(傷害)関連分子パターン(DAMPs)となり、食細胞のパターン認識受容体(PRRs)に認識されて炎症を引き起こすことで自己免疫疾患の原因になっていることが分かりました。
(中略)
 血管に好中球細胞外トラップ成分への炎症が起こると血管炎が起こります(抗好中球細胞質抗体関連血管炎、anti-neutrophil cytoplasnic antibody(ANCA)-associated vasculitis; ANCA-associated vasculitis)。好中球細胞外トラップ(NETs)成分への抗体(ANCAs: anti-neutrophil cytoplasmic antibodies)ができることで診断されます。
 好中球細胞外トラップ成分中にヒストンなどのタンパク質にシトルリン化が起こることで、ゴミ(mess)になります。このシトルリン化したゴミによって炎症が起きるのは関節リウマチです(シトルシン化したタンパク質に自己抗体ができる)。糖尿病でも好中球細胞外トラップによる慢性炎症が認められることが分かっています。
 この好中球細胞外トラップ(NETs)の成分がゴミ(mess)になることで様々な慢性炎症疾患を引き起こすのは、生命場のエネルギー代謝低下(ゴミを処理する食細胞のエネルギー代謝低下)による不完全なゴミ掃除が原因です。
(前掲書p167)

(※6)
 食細胞が活性化されて炎症が激化していくと、白血球系の食細胞の過剰な興奮からリンパ球への刺激へとフェーズ(phase)が移っていきます。そして、リンパ球への過剰な刺激は、食作用を一層活性化させます。
 これ以上食細胞が活性化するとさらに炎症が激化して生命場が乱れることから、リンパ球が過剰に活性化されると食細胞の機能を抑えるように作用します。しかし、炎症の場で食細胞の機能が低下すると今度はゴミ(mess)が散乱する一方になります。それは形態形成維持(morphostasis)では一番困ることでした。
 そこでゴミ掃除(mess clearance)はT細胞やB細胞が担うようになります。B細胞の掃除役が「抗体」と呼ばれているものです。抗体といえば、病原ウイルスやバクテリアなどの病原体(pathogen)とよばれるものに対するミサイル(magic bullet)のようなイメージがありますが、本来の役割はやはり形態形成維持のためのゴミ処理です。ただし、抗体が出現するのは炎症などの「病気の場」です。
(前掲書p159)
 炎症が激化すると細胞(食細胞やリンパ球も含めたすべての細胞)に過剰なストレスがかかりストレス酵素の一つであるホスホライペースA2が活性化します。この酵素は細胞内のリン脂質に含まれるプーファ(多価不飽和脂肪酸)を遊離させます。そして、アラキドン酸などのプーファからイエコサノイド(eicosanoids)を大量に産生します。
 炎症が激化するとこれらの細胞内にあるプーファやエイコサノイドが生命場に散乱・溢れ出します(Eicosanoid Storm,エイコサノイドの嵐)。これが最も危険なゴミ(mess)になります。
(中略)
 このようなゴミ(mess)が散乱していると、食細胞が過剰に活性化して炎症を起こし、その炎症でさらに分解された自己組織に反応するリンパ球(B、T細胞)が活性化されます。その良い例が代表的な自己免疫疾患である全身性エリテマトーデス(SLE)です。遺伝子(DNA)、タンパク質(ヒストン)、ミトコンドリアの脂質(カルジオリピン)などの自分の細胞成分に頻繁に抗体ができます。
 処理できないゴミ(mess)の蓄積や、最も危険なゴミ(the most dangerous mess)といえるプーファやエイコサノイドが生命場にばら撒かれることが、自己免疫疾患の温床となるメカニズムの一つです。そのベースは生命場に強い炎症が起きてゴミ(mess)が出ることです。
 生命場にばら撒かれたエイコサノイドでもロイコトリエンE4(Cysteinyl leukotriene E4)やプロスタグランディンD2(PGD2)は、ヘルパーT細胞(Th 2)や自然免疫に関わるリンパ系細胞(ILC2s,innate lymphoid 2 cells)を活性化してアレルギー反応に関わります。プロスタグランディンD2は、いわゆる頭頂が禿げる男性型脱毛症の原因物質としても注目されています。毛根への炎症が脱毛の原因になっています。
 また自己免疫疾患でエイコサノイドによって活性化されるヘルパーT細胞(Th 17)は、炎症の場ではガンの形成、増殖、転移を促進します。プロスタグランディンE2(PGE2)はダイレクトにガンの増殖を促すこともよく知られています。
 さらに感染(炎症を引き起こすもの)や炎症の場では、白血球系の食細胞から細胞外小胞(Extracellar vesicles,エキソソーム(exosome)とマイクロ小胞(microvesicle)からなる、EMVsという細胞成分を入れた小胞が放出されます。この小胞の中にエイコサノイト(その他、タンパク質、核酸なども含まれる)があるため、生命場に炎症を促進するエイコサノイドが小胞から生命場にばら撒かれます。
(前掲書p160)
 炎症の激化では食細胞の食作用が抑制され、リンパ球系の働きが活性化していきますので、ゴミ(mess)は貯まっていく一方です。このゴミ(mess)は、上手くバトンタッチされたリンパ球系で処理できないと、自己免疫疾患やガン発生・増殖の温床となります。
 まさにゴミ(mess)の集積によるいつまでも消散しない慢性炎症(unresolved inflammation)によって、形態形成維持に大きな混乱を起こしている過程(process)、それがガンの正体です。
(前掲書p163)
 炎症の場(病気の場)では、通常は自分の細胞の構成成分に対して起こらない過剰な反応(炎症)や抗体の産生が始まるようになります。前者が自己免疫反応(自己免疫疾患、膠原病)、後者が自己抗体(autoantibody)とよばれているものです。
 実際に炎症の場では、食細胞である樹状細胞(DC,dendritic cell)は、これらの細胞成分に“ダメージを及ぼすゴミ(mess)”というタグ付けを強く行うようになります。炎症の場では、樹状細胞は細胞成分が免疫原性(immunogenicity)を高めるように働く、つまりそれらの構成成分に対して強く炎症が起こるように促すということです。
 自己免疫反応疾患が膠原病(コラーゲン病)とよばれるのは、炎症がコラーゲン線維の多い間質に及ぶからです。そして炎症によって分解される間質成分がゴミ(mess)と認識されて、自己の間質が攻撃を受けることになるからです。
(前掲書p168)

(※7)
 ゴミ(mess)と私が命名したものは、一昔前までの免疫学では一様に「抗原(antigen)」と呼ばれていたものです。その抗原という呼び方は、現代の免疫学ではダメージ(傷害)関連分子パターン(DAMPs,ダンプス)と微生物関連分子パターン(MAMPs,マンプス)の二つに置き換わろうとしています。
 抗原やマンプス(MAMPs)、ダンプス(DAMPs)と呼称するよりも、生命場に炎症を引き起こす場合は、ゴミ(mess)と統一するよりクリアーカットになります。なぜなら、マンプス(MAMPs)、ダンプス(DAMPs)と呼んでいるものも抗炎症(免疫抑制)に働く場合もあるからです。
(前掲書p171)
 微生物関連分子パターン(MAMPs,マンプス)には、エンドトキシン(内毒素)以外にもバクテリア由来の糖脂質、ペプタイドグライカン、ウイルス由来の遺伝子(ssRNA,CpGDNA)、糖タンパク質、カビ菌のべータ・グルカン、原生動物のリン脂質などたくさんの種類が同定されています。
(中略)
 アガリスクやメシマコブは、免疫賦活作用がある健康食品だと謳われています。これらのキノコ類には真菌由来のベータ・グルカンが微生物関連分子パターンとなるために炎症を引き起こす作用を利用しているのです。したがって、原理的にはガンのワクチンと同じで、このマンプス(MAMPs)による炎症によってガンを縮小することを期待しているのです(この作戦が吉とでるか凶と出るかも“生命場”次第です)。
(前掲書p173)
 急性ストレスによって、脳内のネクローシス(壊死)に見られる細胞破裂型の細胞死(神経細胞および脳内の食細胞であるマイクログリア細胞)によってHMGB-1(high mobility group box-1)というダンプス(DAMPs)=ゴミ(mess)が放出され、食細胞の細胞内にあるアンテナ(Inflammasome,インフラマソーム)を介して炎症反応を引き起こすことがすでに報告されています。
 また、精神的ストレスによって交感神経系が過剰に刺激されると、ノルアドレナリン、ニューロペプチドYが生命場に放出されます。これらの物質は食細胞(マクロファージ)に作用して、分裂促進因子活性化タンパク質キナーゼ(MAPK:Mitogen-activated Protein Kinase)のシグナルをオン(炎症、細胞分裂へ)にし、前述したHMGB-1というダンプス(DAMPs)=ゴミ(mess)を放出させます。このゴミ(mess)によってさらに他の食細胞が活性化し、炎症を加速させることで心臓血管疾患が引き起こされます。
 このように精神的という目に見えない“エネルギー”は、体内でゴミ(mess)という“物質”に変換されて生命場の形態形成維持にダメージを引き起こすのです。
(前掲書p181)

(※8)
 マンプス(MAMPs)、ダンプス(DAMPs)といったゴミ(mess)の信号をキャッチするアンテナとしてToll様受容体(TLR)、スカベンジャー受容体(SRs:Scavenger receptors)をはじめさまざまなパターン認識レセプター(PRRs)があります。
 その中で、いわゆる非感染性炎症(sterile inflammation)に深く関与しているインフラマソーム(Inflammasomes)という構造があります。骨髄性細胞(食細胞)の細胞質内に存在しています。微細粒子(microparticle,シリカ、アスベストなど)、ATP、コレステロール(尿酸)、クリスタル、エンドトキシン、βアミロイド、リポファッシン(lipofuscin、鉄とアルデヒドの結合体)などの様々なマンプス(MAMPs)、ダンプス(DAMPs)やミトコンドリアの活性酸素種(ROS)で直接・間接的に活性化されるとされています。ちなみにワクチンのアジュバントに使用される水酸化アルミニウム(alum)は、食細胞のインフラマソームを活性化して炎症を引き起こします。これらの細胞死は細胞が破裂してゴミが散乱するタイプのものですから、炎症を引き起こします。
(中略)
 このインフラマソームの活性化による炎症は関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、炎症性腸疾患などの様々な自己免疫疾患などの様々な自己免疫疾患と関連しています。
 その一方で、腸の粘膜組織ではインフラマソームの活性化は、組織修復などの形態形成維持に必須の働きをしています。この場合は、ダメージを受けて死滅した細胞から放出されたダンプス(DAMPs)=ゴミ(mess)によって、腸粘膜に存在している食細胞のインフラマソームが活性化します。その結果、放出されるサイトカインは組織修復(腸壁バリアーの形成、粘液分泌細胞の維持)、腸内微生物の維持に作用します。
 つまり、ゴミ(debris)に対する食細胞の処理機構(形態形成維持)としてインフラマソームという細胞内アンテナが存在していますが、炎症の場で放出された過剰なゴミ(mess)では、食細胞のインフラマソームに過剰反応が起こることで炎症を加速させる方向へ傾くのです。インフラマソームの活性化もコンテキスト依存ということです。
(前掲書p182)

(※9)
 加齢に伴う慢性炎症を「インフラメイジング(inflammaging=inflammation+aging)」と呼んでいます。その原因は、外来の病原性微生物にあるのではなく、むしろ自分の細胞が出すゴミ(mess)=ダンプス(DAMPs)が、加齢によるエネルギー代謝低下によるゴミ処理能力低下によって蓄積してくるからです。
 加齢にともなる慢性炎症の持続というインフラメイジングは、自分の細胞内の成分に対する制御不能の自己免疫反応といえるでしょう。もちろん、細胞の破裂や細胞内器官のダメージによって、細胞成分があるべき場所にない場合(misplced)に、つまり生命場に散らばった場合に、通常では起こりえない自分の細胞成分がダンプス(DAMPs)になります。
 現在までダメージ(傷害)関連分子パターン(DAMPs)と同定されたものはたくさんあります。これらのゴミ(mess)が危険信号となって、マクロファージ、肥満細胞などの白血球系細胞の受容体(アンテナ)に信号を送ります。このアンテナのことをパターン認識受容体(PRRs:pattern-recognition receptors)と呼びます。Toll様受容体(TLR)、インフラマソーム(inflammasome)、週末糖化産物受容体(RAGE,receptor for advanced glycation end products)などのアンテナがあります。このアンテナは骨髄系の白血球だけでなく、リンパ球、線維芽細胞、上皮細胞などにも備わっています。
 危険信号を受け取った白血球(リンパ球)は、様々なサイトカインやキモカイン(chemokine)を放出し、ダメージを受けている部位に他の白血球やリンパ球を集積させます。この場合、サイトカイン量が多いと、ホルモンと同じく全身に作用します。肝臓に作用してCRPというタンパク質(補体を活性化、炎症、血栓促進)を産生し、脳に作用すると発熱・倦怠感・食欲不振・性欲減退などを引き起こします。
 Tリンパ球もこれに加わって細胞障害に働きます。血液中の補体も動員して組織にダメージを与えます。そして最終的なゴミ処理としてBリンパ球が登場します。
 この過程で十分なエネルギーがないと、ゴミ(mess)がうまく処理できずに炎症が継続していきます。最終的には組織破壊が進むと、血管新生・線維化が過剰に起こり、組織の機能が失われます(炎症の終末像パターン)。ホスト(宿主)の状態によっては、この炎症の場合が自己免疫疾患やガンの素地にもなるのです。
(前掲書p175)
 リンパ球のコントロールに重要な働きをしている胸腺やリンパ節および白血球とリンパ球の産生器官である骨髄は、すべて糖のエネルギー代謝依存です。加齢に伴ってエネルギー代謝が低下してくると、これらの器官の委縮(構造と機能の崩壊)が起こることによって免疫系(形態形成維持)が影響を受けます。これが免疫系に加齢現象が認められることの最大の原因です。
 しかし加齢によっても糖のエネルギー代謝が十分であれば百歳を超えても慢性病に罹りにくいように、免疫系の老化によって機能しなくなることはありません。加齢によって免疫系の老化現象(Immunosenescence)というものが必ず見られるものではなく、むしろその個人のエネルギー代謝レベルによって個々の環境に免疫系が変化していく(modified/modulated immune system)と捉えた方がよいでしょう。
(前掲書p186)

(※10)
神経系を持たない単細胞生物や植物には学習や記憶というシステムがないと考えられてきました。しかし、単細胞生物でも「認識・学習・記憶」といった脊椎動物の神経系が担う働きを持っていることが近年明らかにされています。
(前掲書p132)
単細胞生物に苦味のある物質(マラリアの治療薬キニーネなど)を繰り返し与えると“慣れ”が生じて嫌逃行動が減少します。これは、私たちのような多細胞生物に同じ量の薬物を慢性的に投与した場合に、細胞レベルで起こる「ダウンレギュレーション(downregulation)が起こって薬効がなくなってくる現象と同じです。これはある刺激が繰り返し与えられるとやがて感覚が麻痺していくる現象と言い換えると理解しやすいでしょう。
 さらに記憶についても単細胞生物では、空間記憶や配置、形状に対しての記憶があることも分かっています。さらに単細胞生物が産生するホルモンによって自身の細胞膜構造がダイナミックに変化します。この細胞膜構造の変化が固定化したものが多細胞生物の細胞にも見られる受容体(receptor,本編ではイメージしやすいように“アンテナ”と表現している)と呼ばれるものです。
 ホルモンによって構造が変化するのは、エピジェネティックス変化(epigenetics modification)と呼ばれます。エピジェネティックス変化は、遺伝子の配列は変わりませんが、遺伝子の発現が変化することを指します。ホルモンによるエピジェネティック変化は、「ホルモン刷りこみ(hormonal imprinting)と言います。単細胞生物のテトラヒメナでは、このホルモンによる変化が千世代まで続くことが報告されています。単細胞生物も環境因子の記憶を次世代に伝えることができるということです。
(前掲書p133)


2023年10月31日改稿
posted by T.Sasaki at 15:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 免疫について | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年06月09日

炎症の行く末(免疫について 4)

ふたたび、こんにちは。

免疫について」シリーズ第4弾。
炎症について。

炎症には、急性炎症と慢性炎症がある。
まずは、急性炎症から。
急性炎症は、感染、組織の壊死、異物の侵入などで起こり、炎症性物質が放出されて、血管から血液成分が漏れる。
それにより浮腫ができる。
通常なら、いずれ治癒する。
しかし、糖のエネルギー代謝に異常があると、治癒せず慢性炎症へ悪化する。(※1)

慢性炎症は、組織破壊が進行し、線維化が起こる。
そして、血管新生を促し、がん化への道を歩む。
炎症が治る場面では、急性であれ慢性であれ、糖質という栄養素は重要な役割を受け持っている。(※2)

最も線維化を引き起こす物質はセロトニンで、次にエストロゲン。
炎症を起こしたら、この二つは要注意。(※3)

このエストロゲン、アメリカ国立衛生研究所で発がん物質として認めているし、つい最近でも、ハーバード大学で、乳がんの発がんの原因物質、ガン増殖物質である、としている。

https://ameblo.jp/nomadodiet/entry-12806575143.html(「ドクターヒロのリアル・サイエンス」)

乳酸やプーファは、血管新生を促す。
特にプーファは、糖のエネルギー代謝の敵であり、炎症全般に関わる。(※4)

ここで、メタ炎症について紹介する。
「組織形成場の理論」で触れているように、人間の正常なエネルギー源は、糖である。
しかし、糖からエネルギーを取れなくなると、脂肪からエネルギーを得るようになる。
脂肪からエネルギーを得るようになると、つまり、脂肪分解(リポリシス)するようになると、インシュリン抵抗性を示し、メタボリック炎症を起こす。(※5)

インシュリンの作用は、糖を細胞内で利用させることであり、その他、脂肪を合成する。
糖を利用するから、結果として血糖は低下する。
逆に、細胞が糖を利用できなるような状態を、インシュリン抵抗性といい、血糖は低下せず、メタ炎症が起きていく。(※6)
インシュリン抵抗性は、インシュリン・シグナルの流れのどこかがブロックされて起こる。
ブロックする主役は、炎症性サイトカインやプーファである。(※7)

脂肪は、ただのデブの象徴かと思われるが、何と!白血球に非常に似ているという。
マクロファージが活性化している場合、脂肪細胞はレプチンというサイトカインを放出する。
レプチン欠乏では、感染症に罹りやすく、レプチンの増加により、自己免疫疾患が発現しやすくなる。
メタボの人は脂肪細胞が多いのだから、レプチン過剰は必然的に起こり、自己免疫疾患が多くなる。(※8)

エンドトキシンなどの内毒素は、マクロファージのアンテナに作用してメタ炎症を引き起こすが、モルヒネ、アルコール、グルテンなども作用する。
逆に、マクロファージのアンテナをブロックして、炎症をストップさせる物質もある。
クルクミン(ターメリックの成分)、シナマルデヒアド(シナモン)、サルフォラフェイン・イソチアネート(ブロッコリーなどのアブラナ科)、ポリフェノールのカテキン(緑茶成分)など。
しかし、何でもやりすぎれば良い結果が出ることはなく、マクロファージなどが働かなくなれば、腸内のエンドトキシンなどが増加し、炎症を起こし始める。
したがって、これらの成分だけを抽出するサプリメントは、摂取すべきでない。(※9)


脂肪蓄積は、炎症の元だ。
貯めた脂肪を燃焼させようとダイエットする際にも、炎症が起こる。
炎症が慢性化すれば、さまざまな病気になり、最後は、がん化するのである。



(※1)
 急性炎症を引き起こす誘因としては、感染、組織のダメージによる壊死、異物の侵入、過敏性反応などです。急性炎症では好中球、マクロファージや肥満細胞などの白血球系の細胞(貪食作用を持っているので食細胞とも言われる)から様々な炎症性物質が放出されます。最初に起こる変化は、これらの細胞から放出されたエイコサノイド(多価不飽和脂肪酸〈プーファ〉から産生される)を代表とする炎症性物質によって、炎症部位での血管拡張とリーキーベッセル(血管漏出、血管から血液成分が血管外へ漏れる)です。
 リーキーベッセルを引き起こすのは、肥満細胞、好酸球などの脱顆粒で放出されるヒスタミン、プラディカイニン(bradykinin)、エイコサノイド(eicosanoid,
Leukkoireene リーコリトライイーン)といった物質です。リーキーベッセルによって血管内の血液が組織間質に漏れるため、浮腫が起こります。
 血管拡張を起こすのは、これらの物質から誘導される一酸化窒素(NO)です。血管拡張によって局所の血流量が上昇かつ血流速度低下のため、血液が粘稠になります。血小板、肥満細胞などから放出されるセロトニンは血小板を凝集させるために、さらに血栓を作りやすくします。
 急激なストレスが加わったり、ストレスが蓄積したりする状態になると浮腫が出やすくなります。それはストレスホルモン(CRH、副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン)が肥満細胞を活性化して血管拡張、リーキーベッセルを引き起こすからです。
 この急性炎症の過程では、リーキーベッセルが起こるために白血球の血管内から炎症部位への移行が同時進行で起こっています。
 急性炎症の終末では、ダメージを受けた組織の修復が行われます。しかし、糖のエネルギー代謝が回っていないと、組織修復に失敗するか、いわゆる慢性炎症状態に移行します。この場合の炎症の終末像は、線維化(組織の機能喪失)あるいはガン化になります。
(「新・免疫革命」p61)

(※2)
 慢性炎症の特徴は三つあります。それは組織破壊、線維化、血管新生です。組織に炎症が継続すると、次第に組織が破壊されます。破壊された部位を補うものは本来であれば、幹細胞です。糖のエネルギー代謝が回っている「場」であれば、幹細胞が破壊された組織に補充されて、組織の再構築を行います(これが治癒)。しかし、糖のエネルギー代謝が回っていない場では、破壊された組織に線維化が起こります。
(前掲書p64)
 炎症で破壊された組織の修復に失敗すると線維化(fibrosis ファイブロースィス)で組織をカバーします。したがって、線維化では細胞・組織の機能が失われます。
(前掲書p66)
 炎症やガンの場では低酸素に対応するために必ず新しい血管が作り出されます。これを血管新生(angiogenesis)といいます。
(前掲書p71)
新生血管は脆くてリーキーな状態になっているため、そこから組織に炎症細胞が移行しやすくなっています。
(前掲書p73)

(※3)
 セロトニンは線維化の他にも積極的に炎症に関わっています。肥満細胞、好酸球を炎症の場に誘導します。また、マクロファージ、単核球、樹状細胞に作用して、炎症性サイトカイン(IL-1β、IL-6、IL-8、IL12p40、TNF-β)を誘導します。
(前掲書p68)
 エストロゲンは、マクロファージなどの白血球(従来の自然免疫系)には炎症作用を及ぼします。炎症の場ではセロトニン、エストロゲンは白血球、リンパ球に作用し、炎症性物質を放出させます。つまり、炎症を加速させる方に働きます。
 しかし、エストロゲンさえも臓器、場によって抗炎症にも作用します。ホルモンが炎症に及ぼす作用もコンテキスト依存(場による)と言えるのです。
(前掲書p69)
 エストロゲンは炎症全般に関わるため、様々な病態の原因となります。特にエストロゲンが高値の場合は、ヘルパーT細胞がTh2に誘導されて、肥満細胞や好酸球の脱顆粒(ヒスタミン、エイコサノイド、セロトニンの放出)が起こります。そのため、初潮が早くて長期間エストロゲンに暴露されている場合や、生理前後のようにエストロゲン濃度が高くなる場合には、アレルギー疾患の代表である喘息がおきやすくなります。
 大豆のアイソフラボン、ビスフェノールA、フタレートなどの暴露も同じくアレルギー疾患を引き起こすことが分かっています。
(前掲書p70)

(※4)
 糖の不完全燃焼(発酵)では乳酸が産生されます。乳酸は、血管新生を誘導する二つの転写因子(低酸素因子およびNF-κB)を活性化します。
 オメガ3系のリノレイン酸、魚油(EPA)、DHA、オメガ6系のアラキドン酸などからできる過酸化脂質(HOHA)は、タンパク質と結合してCEP(ω-〈2-carboxyethyl〉pyrrole)という変性タンパク質(後述するゴミ〈mess〉にあたる)を形成します。CEPという変性タンパク質はToll様受容体(TLR)に結合して血管新生を促します。とくに脂質にDHAが含まれる場合は、CEPができやすいことが分かっています。
 プーファを細胞内や血液中に遊離させるホスホライペースA2(PLA2s:Phospholipases A2)という酵素(細胞のリポリシス)は、直接マクロファージに作用して(受容体結合)、血管新生およびリンパ管新生(lymphangiogenesis)を促進します。
(前掲書p75)

(※5)
 1960年代にランドル効果(糖‐脂肪サイクル)が発見されてから、メタボリック・シンドロームと炎症の関係が継続的に研究されてきました。ランドル効果とは糖がエネルギーとして使用されると脂肪はエネルギー源としては使用されず、脂肪がエネルギー源として使用されると、今度は糖がエネルギー源として使用されないという現象です。
 研究の結論を先に言うと、高脂肪食によって「リポリシス(脂肪分解)‐インシュリン抵抗性‐炎症」が相互依存して経時的におこりうることがわかってきました。もっと簡単に言うと、現代食のような高脂肪食は、それ自体で体内に慢性炎症を引き起こすということです。この食事によって起こる慢性炎症を「メタ炎症」(metaflammarion:metabolic inflammation)と呼んでいるのです。
 特に西側の先進国や東南アジアの現代食は高プーファ食(高脂肪食)になっているため、食事によって炎症とインシュリン抵抗性(高血糖、リポリシス)が同時に平行して起こります。つまり、現代食によって全身の組織に炎症とインシュリン抵抗性(高血糖、リポリシス)が引き起こされています。ちなみにインシュリン抵抗性という現象は、U型糖尿病と現代医学が呼んでいるものです。
 狭義には、脂肪組織における慢性・低レベルの炎症を「メタボリック炎症(metabolic inflammation = metaflammation)(メタ炎症)と呼んでいます。これは、脂肪組織のインシュリン抵抗性がリポリシスを引き起こすことが、全身のインシュリン抵抗性をもたらす開始サインになるからです。脂肪組織のリポリシスによって、インシュリンの作用する肝臓、筋肉、血管内皮細胞、消化管の細胞あるいは膵臓、脳(神経組織)などの全身の組織もメタ炎症を引き起こします。
 したがって、「メタ炎症」は高脂肪食(高プーファ食)による脂肪組織のリポリシス(脂肪組織が分解されて血液中に脂肪が放出される)によって、脳を含めた全身に慢性炎症を引き起こす病態を総称しているのです。全身の慢性病だけでなく、サルコペニアとよばれる筋肉減少症などの老化現象の直接の原因ともなるのです。
(「慢性病は現代食から」p60)

(※6)
インシュリンは膵臓のβ細胞から分泌されますが、作用する代表的な組織は脂肪組織、肝臓、筋肉、血管内皮細胞などです。
 インシュリンの基本的な作用は、糖の細胞内利用(血糖低下)と脂肪合成です。「インシュリン抵抗性」=「インシュリンに対する細胞の反応性の低下」、つまり、細胞のアンテナのインシュリンへの反応が低下した状態を指します。
 インシュリン抵抗性では細胞内に糖が入ってこないために、脂肪やタンパク質をエネルギーの燃料にせざるを得ません。脂肪(特にプーファ)をエネルギーの燃料にすると、電子伝達系から活性酸素種・窒素種(ROS,RNS)が過剰に発生することから炎症がオンになります。
 重要なのは、インシュリン抵抗性では脂肪組織においてリポリシスが起こること。そして筋肉・肝臓・心臓などに脂肪が過剰に蓄積することです。これはいずれも炎症をオンにしていきます。最近、アルコールを飲まない人に、肝臓に過剰に脂肪が蓄積する脂肪肝が増えています。これを非アルコール性脂肪肝といいますが、この状態では肝炎を起こし(非アルコール性脂肪肝炎:NASH/NAFLD)、やがて肝硬変・肝細胞癌に発展していきます。
 インシュリン抵抗性になるとリポリシスが起こり、全身に炎症が引き起こされるのは必然ということです。糖尿病が“万病の元”というのもこれで納得できるはずです。
 逆にリポリシスを止めるとインシュリン感受性が高まり、糖のエネルギー代謝が改善することも報告されています。リポリシスが止まれば、血液中の遊離脂肪酸がなくなるため、ランドル効果によって糖の細胞内利用が高まるので、これは当然の結果といえます。
(前掲書p69)

(※7)
インシュリン抵抗性で最もよく研究されているのは、インシュリンのシグナルのブロックです。
 インシュリンのシグナルは、
インシュリン+インシュリン受容体⇒インシュリン受容体のタイロシン残基リン酸化⇒インシュリン受容体基質のリン酸化⇒p85との結合⇒Aktのリン酸化⇒グルコース運搬体(GLUT4)活性化&グリコーゲン合成酵素の活性化
 という流れになっています。
 インシュリンは最終的に糖の運搬体を細胞表面に移動させて、糖を細胞内に取り込み、細胞内で糖をエネルギーの燃料として、あるいは貯蔵体として利用する役割をしています。このシグナルの流れのどこかに支障を来すと細胞内に糖を取り込めないようになります。これが「インシュリン抵抗性」です。
 インシュリン・シグナルの中でも、最もダメージを受けやすい部分が糖運搬体(GLUT4)とインシュリン受容体基質(IRS)です。この部位は、リポリシスや高脂肪食などによる過剰な細胞内脂肪蓄積、炎症(炎症性サイトカイン)、小胞体ストレス(プーファ)によってダメージを受ける結果、インシュリンのシグナルがストップします。つまり、インシュリン抵抗性になります。
 糖の細胞内運搬役であるアンテナ(GLUT4)は、プーファ(正確にはプーファから産出されるアルデヒド)によってブロックされます。インシュリンのシグナルのどこかにダメージを受けると、インシュリン抵抗性を引き起こします。そうすると、糖が細胞内で利用できなくなり、脂肪のエネルギー代謝(シックネス・メタボリズム)に変わります。また、インシュリンのシグナルが高脂肪食やリポリシスによってブロックされることによっても糖が細胞内に入れなくなります。
(前掲書p71)

(※8)
脂肪細胞はもともと、マクロファージなどの白血球と同じ作用をもっています。たとえば、いずれもエンドトキシン(内毒素)によって活性化されます。その結果、いずれの細胞も同じ炎症性サイトカインを放出することによってインシュリン抵抗性(インシュリンが細胞に作用しにくい=U型糖尿病の特徴)を作ります。
 この二つは類似しているということだけでも驚きですが、さらに驚くべき事実があります。それは、脂肪前駆細胞(脂肪細胞へ分化する手前の細胞)は、マクロファージへと変化することが可能なのです。
 この事実は、免疫系が活性化されるもの(エンドトキシンなど)は同時に脂肪細胞も活性化し、脂肪組織が活性化されるもの(高脂肪食)は同時に免疫系を活性化するということを意味しています。
(前掲書p64)
 感染症などでマクロファージが活性化している場合は、同時に脂肪細胞も活性化してレプチン(leptin)というサイトカインを放出します。発熱があるときに食事を摂りたくないのは、このレプチンの食欲低下作用によります。感染症で炎症が起きているときは、食事(高脂肪食)によって起こる炎症によってさらに炎症が加速して生命場にゴミが蓄積することを防いでいるのかもしれません。
(前掲書p66)
 レプチンというサイトカインは、脂肪組織から産生されました。ということは、脂肪細胞が多いほど、レプチンの産生量が多くなる潜在能力があるということです。肥満の人は実際にレプチンの血液濃度が高いことが分かっています。
 このレプチンは白血球およびリンパ球の成熟に必要な物質でもあります。レプチン欠乏では、免疫不全となって感染症を引き起こします。特にレプチンはリンパ球のT細胞(細胞障害性T細胞:Teff)を活性化して、過剰な自己免疫反応を引き起こすことで、甲状腺炎や関節炎を引き起こすことが分かっています。
 その一方で、肥満では脂肪組織での過剰な反応を抑制する制御性T細胞(Treg)の数が劇的に低下します。脂肪細胞が増えるごとに制御性T細胞が減るのです。
 したがって、肥満になると攻撃型T細胞(Teff)を刺激するレプチンが増加する一方で、過剰な炎症を止めるブレーキ型T細胞(Treg)が減少するので、このような自己免疫疾患になりやすくなるのです。
(前掲書p67)

(※9)
 エンドトキシンやリポテイコ酸などはマクロファージなどの細胞のアンテナ(Toll様受容体:TLRs)に作用してインシュリン抵抗性や慢性炎症を引き起こします。その他にも同じアンテナ(TLRs)を刺激する物質がたくさん同定されています。グルクロン酸(天然ガム)はその代表です。
 ガンの痛みに使用されるモルヒネも同じアンテナを刺激しますので、慢性投与によってメタ炎症が引き起こされます。お酒(エタノール)の代謝産物(エチルグルキュロナイド etylgrucuronide)も同じアンテナを刺激します。慢性アルコール中毒もメタ炎症を引き起こすということです。
 その他、リーキーガットの原因となる小麦のグルテンに含まれるグライァディン(gliadin)も同じアンテナを刺激しますから、小麦の過剰摂取は要注意です。
 その一方で、高脂肪食とは反対の作用をもつ物質も見つかっています。ファイトケミカルあるいは抗酸化物質ともよばれる成分は、このアンテナ(TLRs)をブロックします。クルクミン(ターメリックの成分)、ヘレナリン(北米および北ヨーロッパに分布するキク科のアーニカ)、シナマルデヒアド(シナモン)、サルフォラフェイン・イソチアネート(ブロッコリーなどのアブラナ科)、ポリフェノールのカテキン(緑茶成分)、パーテノライド(夏白菊)などです。
 これらの物質は免疫細胞のアンテナ(TLRs)をブロックしますので、メタ炎症を抑えるには有効です。しかし、これらの物質を抽出したものを投与すると、免疫抑制に傾きますので、ゴミが生命場に溜まることになります。
 実際に免疫細胞のアンテナ(TLRs)などそ遺伝子操作して欠損させた無菌マウスでは、エンドトキシンを増加させるようなバクテリアが腸内で増殖し、最終的にインシュリン抵抗性、肥満などのメタボリック・シンドロームへと発展します。
 つまり、免疫細胞のアンテナを高脂肪食で刺激しすぎても、ファイトケミカルでブロックしすぎても、同じ全身の炎症を引き起こすということです。まさに「陰陽(yin-yang)の関係です。しがたって、形態形成維持の面からもポリフェノールなどのファイトケミカルは抽出して摂取するものではありません。
(前掲書p85)


2023年10月31日改稿
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2023年06月05日

免疫と抗体(免疫について 3)

3回目。

免疫について」で紹介したリンク先を再び、どうぞ。

https://medipalette.lotte.co.jp/bodycondition/3141(「Medi Palette」)

ごらんのとおり、自然免疫と獲得免疫と分けて書いてあるが、自然免疫にも免疫記憶があり、獲得免疫が働く部分でも、自然免疫が重要な役割を担っている。
そのため、自然免疫と獲得免疫を区別することに意味はない。(※1)

外部から攻撃や毒物で炎症が起こると、T細胞が反応し、サイトカインという抗炎症物質が産出される。
しかし、このサイトカインは、抗炎症だけでなく、炎症促進になる。(※2)
よく聞くサイトカインストームは、炎症促進の嵐ということである。
また、場”、すなわち、その人の健康状態により(コンテキスト依存とも言う)、炎症にも抗炎症にも働く物質はサイトカインだけではない。(※3)
サイトカインを誘導させるための薬剤の処方は、医師によって行われる。
どう判断するかによって、患者の命運が決まることになる。
良い医者とヤブ医者の違いがここに表れるのである。

抗体の中でも、古いB細胞(B-1a細胞)から出される自然自己抗体は万能だ。
これは、ワクチンをしなくても、もともと人の体にある抗体である。
新しいB細胞(follicular B-2 cell)の抗体も確かに重要ではあるが、現在、非常に多くなっている自己免疫疾患を止めるには、古いB細胞(B-1a細胞)から作られる自然自己抗体が欠かせない。(※4)
したがって、ワクチン由来の抗体よりも、自然自己抗体を大事にするようが、ずっと健康を維持できるだろう。

T細胞の分化や成熟やB細胞の抗体産生に不可欠なホルモンは、胸腺で作られる。
胸腺という組織について、私はぜんぜん知らなかった。
しかし、感染症などの外部からの攻撃に対して、非常に重要なものである。
これを委縮させると、病気やがんになる。
人間は、加齢とともに胸腺は委縮する。(※5)

しかしその前に、ストレスを溜めると、胸腺が委縮する。(※6)
怒るな!悩むな!(笑)

胸腺ホルモンを作る甲状腺ホルモンは、糖のエネルギー代謝も司る。
甲状腺ホルモンは、コルチゾールなどのストレスホルモンの影響も弱めてくれるホルモンでもある。(※7)
したがって、胸腺‐甲状腺ラインを弱体化させることは、生命維持に重大な影響を与えることになる。

(※1)
 獲得免疫の“獲得”とは、「一回目の病原体の侵入で病原体を記憶し、その病原体に特異的に反応する」ということです。獲得免疫は、記憶(memory)と特異性(specificity)を持つことが自然免疫と区別される拠り所です。
 しかし、自然免疫を司る白血球(顆粒球、単球、マクロファージ、ナチュラルキラー細胞)にも記憶があり、二回目の病原体の侵入には速やかに対処していることが明らかになっています。
しかも自然免疫を司る白血球(マクロファージ、好中球)には、次項で詳述するように、パターン認識受容体(PRRs:pattern recognition receptors)があり、病原体関連分子パターン(PAMPs:pathogen-associated molecular patterns
)やダメージ(傷害)関連分子パターン(DAMPs:damage-associated molecular patterns)という、従来“抗原”と呼んでいたシグナルに特異的に反応することがわかっています。
 これは特別に自然免疫記憶(innate immune memory)、あるいはトレーニングされた免疫(trained immunety)と呼ばれています。自然免疫でも獲得免疫の特徴である記憶(memory)と特異性(specificity)を兼ね備えているのです。つまり、免疫システムに自然(innate)と獲得(acquired)に分類すること自体が、定義上も意味がないばかりでなく、サイエンスとして不適切なのです。
 自然免疫では、マクロファージ、好中球などの骨髄系の白血球が主役として働くとされています。しかし、近年になってむしろリンパ球が主役とされていた獲得免疫でのキープレイヤーがマクロファージ、好中球などの白血球であることが分かってきました。
 獲得免疫で働くリンパ球(B、T細胞)は、好中球やマクロファージによる長期の抗原提示(antigen presentation)やサイトカインによる活性化が必要です。つまり、リンパ球が働くのもマクロファージや好中球の様々なアシストがあって初めて可能になるということです。
(「新・免疫革命」p38)

(※2)
ヘルパーT細胞から放出される様々なサイトカインという物質も、“場”によって炎症・抗炎症のいずれにも作用します。サイトカインは炎症に関わる細胞の分泌する物質というイメージが強いですが、元々は胎生早期の器官形成に必須の物質です。
 ある細胞には増殖のトリガー(引き金)となって作用し、違う細胞には成長抑制に作用します。たとえば、TGFβ(transforming growth factor-β)というサイトカインがあります。このサイトカインは、制御性T細胞を誘導するため、従来は炎症を抑制する働きが主体と考えられていました。しかし、IL-6の存在下では、ヘルパーT細胞を炎症性サイトカイン(IL-17)を産生するように誘導(上皮細胞で炎症を起こす)します。つまり、TGFβというサイトカインも“場”によって炎症・抗炎症のいずれにも作用するということです。
 IFNγ(リンパ球)、TNF(どの細胞でも分泌)などのサイトカインも細胞の置かれた“場”によって炎症・抗炎症のいずれにも作用します。
(前掲書p48)

(※3)
 オメガ6系プーファのアラキドン酸に代表される多価不飽和脂肪酸(PUFA:プーファ)から誘導される生理活性化物質をエイコサノイド(eicosanoids)といいいます。
 エンドトキシン(内毒素)、IL-1β、TNF-αなどの炎症シグナルによって、COX-2(cyclooxygenase 2 : コックス・ツー)という酵素が誘導されます。COX-2は、アラキドン酸(オメガ6系プーファ)からプロスタグランジンE2(PGE2)というエイコサノイドを誘導します。当初PGE2は、炎症の初期には局所の血管拡張作用、好中球、マクロファージ、肥満細胞などを活性化するため、炎症や細胞増殖(ガン形成)を促進する物質として考えられていました。しかし、炎症が持続すると逆に抗炎症作用が強くなります。
 炎症性エイコサノイドのロイコトリエンから誘導されるリポキシン(lipoxin)というエイコサノイドは、
  ・エストロゲン受容体をブロック
  ・食作用・アポートシスを促進
  ・線維化を止める
  ・PPARγ(Peroxisome proliferator-activated receptor gamma)の活性化
などを通じて抗炎症に作用します。エイコサノイドも“場”によって、炎症・抗炎症のいずれにも作用します。
(前掲書p50)

(※4)
ワクチンをしていない人や魚などの他の脊椎動物の血液中には、自己抗体が普通に認められます。このような正常時にも認められる自己抗体は、「自然自己抗体(natural auto antibodies,NAAbs)」と呼ばれています。
 この自然自己抗体を作るB細胞(B-1a細胞と表記されている)は、進化の中でも食細胞に近い最も古いリンパ球です。このリンパ球はマクロファージなどの食細胞と同じく、食作用さえ持っています。みなさんのご存じのワクチンなどで免疫記憶するB細胞は比較的新しいリンパ球です。この古いB細胞(B-1a細胞)は免疫記憶の機能がないため、特定のゴミに反応(特異的に反応)することはありません。しかし、古いB細胞(B-1a細胞)から産生された自然自己抗体は、自己の組織、変性した組織そして外来の微生物などを見分けることができます。古いB細胞(B-1a細胞)は、胎児・新生児期に主に産生されますが、生涯を通じて骨髄から補充されています。
 一方の免疫記憶を持って特異的抗体を作るB細胞(follicular B-2 cell)は、加齢につれて発達し、自己組織以外のゴミに抗体を作ります。
 さて、古いB細胞(B-1a細胞)が自然自己抗体(Naabs)を作るのであれば、この抗体が自分の組織を攻撃していわゆる自己免疫疾患になることが危惧されます。しかし、「事実は小説より奇なり」です。この自然自己抗体(NAAbs)は、その逆の作用をするのです。
 自然自己抗体の働きについて現在までに分かっていることを列挙しましょう。
  ・バクテリア、ウイルスなどの病原性微生物に対する最初の防御作用(first line defense)
  ・自然死(アポトーシス)した細胞、死滅したガン細胞あるいは老化細胞などの掃除
  ・炎症による組織ダメージを最小限にする
  ・共生微生物の維持とコントロール
  ・自己免疫疾患を予防する
 このように自然自己抗体(NAAbs)は、自分の細胞、変性した自分の細胞あるいは外来のゴミ(ウイルス、バクテリア)も認識することができます。自然自己抗体が少ないほど自己免疫疾患の代表である全身性エリテマトーデス(SLE)の重症度が高くなります。自然自己抗体がないとSLEの症状が加速するのです。SLEだけでなく、自然自己抗体の欠損によって動脈硬化(これもプーファが引き起こす自己免疫疾患)も引き起こされます。
(前掲書p53)

(※5)
 胸腺という組織は約五億年前に軟骨魚類とともに誕生しています。これ以降はじめてリンパ球が登場します。胸骨の裏側でちょうど心臓の前方部に位置しています。チャクラ(エネルギーフローの大動脈)ではちょうど4番目にあたる部位にあります。ハーブのタイム(thyme)の葉の形に似ていることからthymus(胸腺)と呼ばれるようになりました。
 胸腺は脊椎動物にとって非常に重要な組織です。なぜなら、免疫および内分泌(神経伝達物質およびホルモン産生)の二つの顔をもつ唯一の器官だからです。
 内分泌では、胸腺が産生するホルモンおよび神経伝達物質はコルチゾール(グルココルチコイド)、ソマトスタチン、サブスタンスP、ニューロペプタイドY、成長ホルモン、オキシトシン、バゾプレッシン、カルシトニン、メラトニン、インシュリンなど広範囲に及びます。これらの胸腺から産生されるホルモンはT細胞によって全身の組織へ運ばれるのですから(packed transport)、まさに胸腺は立派な内分泌器官です。
 さらに胸腺はT細胞に作用するホルモン(胸腺ホルモン、thymic hormones)も産生します。サイマリン(thymulin)、サイモシン(thymosin)、サイモポエティン(thymopoietin)、胸腺液性因子(THF,thymic humoral factor)などが同定されています。これらは、T細胞の分化や成熟およびB細胞の抗体産生に不可欠のホルモンです。
 これらの胸腺ホルモンは、リンパ球に作用するだけではありません。視床下部、脳下垂体に作用してホルモンの分泌に影響を与えます。実際に胸腺を切除すると脳下垂体の前葉が委縮します。特に性腺ホルモンといわれる黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH,luteinizing horumone-releasing hormone)、黄体形成ホルモン(LH)は胸腺ホルモンがないと分泌が促進されないので、視床下部―脳下垂体―性腺系の働きは胸腺に依存しているといってよいでしょう。
胸腺が加齢によって委縮することないサメでは、ガンは人間のように加齢によって劇的に増えることはありませんし、ガンで死亡するこはほとんどありません。人間が加齢によってガンをはじめ様々な病気に罹りやすいのは、決して遺伝子変異が蓄積することが原因ではなく、加齢によって胸腺が委縮(あるいは機能低下)するからです。
(前掲書p135)
 胸腺との相互作用で最重要の組織が三つあります。前述した視床下部―脳下垂体の神経組織に加えて甲状腺と松果体です。
 甲状腺ホルモンは胸腺ホルモンの産生を促進します。また甲状腺機能低下では胸腺が委縮します。
 ラットの実験では新生児に松果体を切除すると胸腺が委縮し、体重減少、成長障害などの衰弱症候群(wasting syndrome)を起こすことが知られています。成人ラットでも松果体を切除すると胸腺は委縮しますが、松果体から分泌されるメラトニンというホルモンを補充すると胸腺は回復します。松果体のペプタイドホルモン(Epithalamin,epitalon)は、胸腺の委縮から守る作用があります。
 胸腺―甲状腺―視床下部・脳下垂体―松果体はこのように密接に関連し合っています。そして、第4チャクラ〜第7チャクラに相当する器官であることと一致してるのは大変興味深い事実です。この第4チャクラ〜第7チャクラのエネルギーフローが停滞すると形態形成維持に悪影響が出てきます。
(前掲書p139)

(※6)
 すでに1941年にストレス学説のハンス・セリエによって、コルチゾール(いわゆるステロイドホルモン)の投与で即座に胸腺が委縮することが報告されています。これは宇宙飛行士が地上に戻ってくると胸腺が著明に委縮していることが分かっています。これは宇宙ステーション滞在におけるストレスによってコルチゾールが大量に分泌されることが原因です。
急性ストレスでの胸腺の委縮は回復可能ですが、問題なのは慢性的なストレスによる胸腺の慢性萎縮です。
 慢性ストレスの特徴はコルチゾール(糖質コルチコイド)というストレスホルモンの上昇です。実際に、コルチゾールの長期投与によって胸腺組織が死滅していきます。
 低栄養も直接的な胸腺の委縮をもたらしますが、コルチゾールの上昇(ファスティングや極端な糖質制限)によって間接的にも胸腺の委縮をもたらします。実際にアフリカのウガンダにおいて、高度の栄養失調によって入院した子どもたちは超音波検査で胸腺を認めることができませんでした。
(前掲書p140)
 コルチゾールと同じくストレスホルモンであるエストロゲンもダイレクトに胸腺細胞や骨髄の未熟細胞を死滅させます。
 さらにエストロゲンは、コルチゾールを上昇させることで間接的に胸腺を死滅させる作用もあります。ちなみに男性でも自己免疫疾患に罹りやすくなるのは、ストレスによってテストステロンがアロマテースというストレス酵素によってエストロゲンに変換されるからです。
 これらの複数の胸腺へのダメージ作用で、エストロゲンの細胞内濃度が高い女性の方が自己免疫疾患に罹患しやすくなるのです。
(前掲書p143)


(※7)
 糖のエネルギー代謝を回すマスターホルモンは甲状腺ホルモンです。甲状腺ホルモンは骨髄での免疫細胞の産生を促します。甲状腺ホルモンを切除したオタマジャクシ(tadpole)の興味深い実験があります。甲状腺がなくなったオタマジャクシはどうなるのでしょうか?このオタマジャクシはいつまでもカエルに変態することなく、サイズだけ大きくなったのです。つまり、甲状腺ホルモンがないと食作用でしっぽをアポトーシスさせることができなくなったということです。このことからも、甲状腺ホルモンは食作用を高めて形態形成維持に重要な働きをしていることが分かります。
 また甲状腺ホルモンは、細胞内のゴミ掃除のオートファジーあるいはダメージを受けたミトコンドリアを処理するマイトファジー(mitophagy)を促進して、形態形成維持に寄与します。これによってミトコンドリアの機能が高まることが報告されています。甲状腺機能低下症では様々な感染症に罹りやすくなります。また、炎症の場では活性型甲状腺ホルモン(T3)の濃度が下がっています。マウスの実験では、活性型甲状腺ホルモン(T3)はエンドトキシンショックから守ってくれることが分かっています。
 甲状腺が機能して初めて炎症がコントロールできます。甲状腺ホルモンはコルチゾールなどのストレスホルモンの影響を低下させてくれますので、精神的ストレスによる炎症にも有効です。
(前掲書p215)


2023年10月31日改稿
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組織形成場の理論(免疫について 2)

こんばんは。

私は、下に記す文章を読んで、ちゃんとした免疫の働く健康な体ならば、がんにも打ち勝つと考えた。
1950年代に、アメリカニューヨークのソウサム医師が行ったショッキングな人体実験だ。
さまざまながん細胞の皮下注射実験である。
結果は、次の通り。

健常者の皮膚にガン細胞を注入した場合
局所に炎症反応が起こったが、2〜3週間で完全にガン細胞は消失した。

何らかの病気の人の皮膚にガン細胞を注入した場合
ガン細胞が消失するのに2倍の時間(4〜6週)がかかった。

ガンの人の皮膚に注入
ガン細胞が消失するのが極めて遅いか、その人が死亡しても残存していた。
(「ガンは安心させてあげなさい」p14)


この医師は、皮下注射した人たちの同意を得てなかったということで、1年の謹慎処分を受けたそうだ。
非道だ、といえば、その通り。
しかし、きっと、この医師に確信があったのだと思う。
そうでもなければ、いくらなんでも、こんな人体実験はやらない。
正常で余裕のある免疫力の下では、がん細胞でさえ太刀打ちできないのである。
この例から、免疫のイメージがわかったと思う。

がんのワクチンは、まだ成功していない。
そんなものは要らない。
ワクチンより有効なものは、正常な免疫力を保つことなのだ。

免疫について書き進める前に、場”の話を紹介する。
がんは、細胞の変異によるものではなく、病気の場で形成されていく、という理論が、19世紀にはすでに提唱されていた。

それは現在では従来の「体細胞遺伝子変異説」に代わる理論として、米国タフツ大学の生物学者であるソーネンシャイン(Sonnenschein)らによって「組織形成場の理論(TOFT:tissue organization field theory)」とまとめ直されています。
(「ガンは安心させてあげなさい」p46)


文字通り、ヘルスネス・フィールド(healthness field)とは健康の場であり、シックネス・フィールド(sickness field)とは病気の場である。
その促進形が、キャンサー・フィールド(cancer field)、がんの場。

それでは、健康の場とは、体内ではどのようになっているのか。

 健康の場(ヘルスネス・フィールド)では、エネルギーの源は糖(グルコース)あるいは果糖(フルクトース)です。このエネルギー源である糖、果糖が甲状腺ホルモンの助けをかりて酸素と完全燃焼して、最終的に多大なエネルギー(ATPという)と二酸化炭素(CO2)および水が産出されます。
 「糖の完全燃焼」で作り出される二酸化炭素(CO2)は、特に健康の場を形成・維持さらには発展させていくには必須の物質です。二酸化炭素(CO2)の生命維持作用は、組織に酸素を届ける(ボーア効果という)、細胞内外のミネラルバランス、タンパク質のアルデヒド結合のブロック、鉄によるフリーラジカル産生抑制、リッキーガット(腸管漏出症候群)の防止、血管拡張作用など多岐にわたります。
 この中でもとりわけ重要なCO2の働きは、細胞内を酸化状態にキープすることです。
 ミトコンドリアでの糖の完全燃焼で絶え間なく産生されるCO2の一部は、細胞内で炭酸イオンと水素イオンに分離して細胞内を弱酸性にキープします(さらに炭酸イオンとなって、ナトリウムやカルシウムといった細胞が過剰に刺激を受けたときに細胞内に蓄積するアルカリイオンを細胞外へ汲み出してくれる)。
 細胞内の酵素などの機能も弱酸性で働きます。また細胞内の水分も弱酸性の状態で秩序だって存在しています(これを分極した層状構造の水”という意味で polarized multilayer water [PM water]という)。
 細胞内が弱酸性でキープされているのがいわゆる細胞の初期設定状態であり、健康のバロメーターなのです。
(前掲書p53)


驚くことに、体内は弱酸性がベストなのだという。
だから、無理にアルカリ性食品を食べるのは間違っている。
そして、健康を維持するには、糖のエネルギー代謝を大切しなければならない、ということがわかると思う。

では、病気の場では、体内でどのようなことが起こっているのか、というと、要らないストレスに対応するため、糖や酸素を大量に消費している。
酸素が欠乏すると、結果的に乳酸が発生し、白血球やナチュラルキラー細胞の働きを阻害する。
これにより、炎症が加速し、細胞内はアルカリ性となる。
つまり、乳酸の発生が、体内を還元ストレスにさらすということになる。
還元ストレスを受けている状態が、病気の場なのである。(※1)
還元ストレスを引き起こす原因には、乳酸の発生のほかに、プーファ、一酸化窒素、鉄、水銀、ヒ素、カドミウムの重金属などがある。

還元ストレスという言葉は聞いたことがなかったが、酸化ストレスというのは、よく聞く。
これは、結局のところ、還元ストレスが引き金になるようだ。
悪いのは、プーファと鉄である。(※2)
その他、還元ストレスを増強する物質として、コルチゾール、アドレナリン、アルドステロン、エンドトキシンなどがある。

それでもやはり、プーファが、病気の場を作る物質としては最強だ。
正常なミトコンドリアからもフリーラジカルズが発生していて、プーファが近くにあるとそれと反応しアルデヒドを作る。
アルデヒドの発生は、細胞にとって大きなストレスになる。(※3)

これらのことは、細胞内の電子の流れでも説明できる。
ミトコンドリアでの酸素の受け渡しで、人間は生命維持のエネルギーを得ている。
これには電子が介在する。
酸素不足などで電子に渋滞が起こると、細胞内は還元状態、すなわちアルカリ性となり、鉄を触媒として、活性酸素種や活性窒素種を大量に生むことになる。
これらがプーファと結合し、アルデヒドという毒を生む。
結局、電子の受け渡しの渋滞とプーファの存在が、酸化ストレスを発生させている。(※4)
そして、この応用が、新型コロナ病の重症化阻止に役立つ。
メチレン・ブルーという色素が、活性酸素などを発生する前に、渋滞した電子を回収するのである。(※5)

冒頭で紹介した人体実験は極端な例だが、細胞レベルの実験は、世界中で行われている。
正常組織を異種の組織に移植すると、がん化する。
逆に、がん細胞を正常組織に移植すると、がん細胞は正常細胞に戻る。
したがって、がん細胞の増殖は、まわりの細胞環境による。(※6)

これらの考えを元に、病気をならない体、がんをならない体を作るために、何を食べたらいいのか、を考えているのが、崎谷先生である。
しかし、過去に「還元ストレス」ががんの原因である、と主張した人たちは、ひどい目に遭っている。(※7)
このような事実が一般人に認知されてしまうと、抗がん剤、その他の薬剤が売れなくなっては困るからだ。
だから、このようないじめが横行するのである。
崎谷先生が、いじめられないように願うしかない。

毒ワクチンには、SV40遺伝子というがん遺伝子をまぜているという。

http://takahata521.livedoor.blog/archives/19566680.htmlメモ・独り言のblog

お話になりません。



(※1)
 細胞は過剰なストレスを受けると、それに対処するために膨大なエネルギーを消費します。この状態が慢性化すると、次第にエネルギー源となる糖と酸素が欠乏してきます。
 酸欠の状態、あるいは酸素の細胞内利用がブロックされた場合(一酸化炭素中毒やシアン化合物中毒)、糖は不完全燃焼を起こし、乳酸に変換されます(これが「発酵」である)。糖は完全燃焼すると前述したように、二酸化炭素に変換されます。しかし、糖は不完全燃焼すると、エネルギー産生量が完全燃焼の7%程度しかなく、最終産物が乳酸になるのです。
 低酸素状態では、細胞から低酸素因子(HIF1:hypoxia inducible factor 1)というストレスタンパク質が放出されます。このストレス物質は、糖が代謝されてミトコンドリア内に入る際に必要とされる酵素(ピルビン酸脱水素酵素:PDH)をブロックすることで糖の不完全燃焼(=乳酸の産生)が起こります。
(中略)
 ガンの周囲環境に蓄積した乳酸は、生命場を維持していく中心となるゴミ掃除役の白血球(マクロファージ)の食作用やナチュラルキラー細胞(NK細胞)の働きをストップしてしまいます(これを一般的に自然免疫:innate immune と呼ぶ)。
 また、乳酸はリポリシス(脂肪分解)を起こさせます。それによって血液中の放出されたプーファ(オメガ3)は、食作用(=生命場のゴミ掃除)を根本的に止めてしまいます。これは「生命体の恒常性維持」(tissue homeostasis=morphostasis:モーフォステイシス)という基本設計を喪失してしまう最も重大な問題を引き起こします。
 その一方で、乳酸は局所に炎症を加速させ、ガンを増殖するシグナルを放出させます。
(中略)
さらにガンの増殖に必要な血流を供給するために、新しく血管を造生します(血管新生:angiogenesis という)。乳酸は最も強力な血管増殖作用をもっています。
 乳酸は、生命場を維持するための掃除役を妨害する一方で、炎症を起こさせて生命場を乱すのですから、病気の場(シックネス・フィールド)を形成する主要なファクターなのです。しかも、細胞内をアルカリ性(還元状態)にします。
 このように糖・果糖のエネルギー代謝障害(ミトコンドリアの酸素呼吸障害)によって細胞内に乳酸、NADHなどが蓄積し、最終的に細胞内が還元状態(アルカリ性)になることを「還元ストレス」といいます。
(「ガンは安心させてあげなさい」p56)

(※2)
 鉄は生体内でフリー(あるいはADPーFeなどのキレート体でも)になると、還元物質(ビタミンCなど)と反応して「ハイドロキシルラジカル」という最も危険な活性酸素(フリーラジカル)の産生を触媒します。(これをフェントン反応という)
 この危険を回避するために鉄はフェリチンというタンパク質と結合させて格納していますが、フェントン反応によって、フェリチンから遊離された鉄は還元物質(ビタミンCやスーパーオキサイド)によって、還元酸化反応を繰り返す過程でハイドロキシルラジカルを(・OH)を発生させるのです。
 細胞内が還元状態(アルカリ性)になると、フェリチンからフリー(あるいはキレート態)の鉄が放出されます。フェリチンから遊離した鉄はフェントン反応によってハイドロキシルラジカルを放出し、これがプーファと反応してアルデヒド(過酸化脂質、RCCs:reactive carbonyl compounds)を発生させます。
 これがいわゆる「酸化ストレス」の正体です。酸化ストレスとは、プーファとハイドロキシルラジカルの脂質過酸化連鎖反応(触媒として酵素を必要としないので「自動酸化」という)で発生したアルデヒド(RCCs)が生命体にもたらすダメージのことを言います。細胞内を還元状態にする還元ストレスが酸化ストレス(アルデヒドによるエネルギー代謝障害)を引き起こすのです(本当は還元・酸化ストレスと分けることに意義はない)。
 アルデヒド(RCCs)を産生する脂質過酸化反応というプーファの自動酸化は、還元状態で放出される鉄が必須です。実際に、鉄の利用をブロックする薬剤(デスフェラール)を投与すると、脂質過酸化反応を軽減することができます。
 また還元状態で遊離させる鉄によってトリプロファン・ハイドロキシレースという酵素が活性化します。この酵素はトリプロファンというアミノ酸から猛毒のセロトニンという物質を作り出します。セロトニンはストレスホルモンの一種で組織の繊維化、細胞増殖などに関わっています。
(前掲書p63)

(※3)
 アルデヒドは、タンパク質、遺伝子(DNA)に強く結合して機能・構造を変化させ、最終的にはエネルギー代謝を低下させるため、生命場は維持できないくなります。
 通常でもミトコンドリアでは活性酸素種・窒素種(ROS・RNS)といったフリーラジカルズが発生しています。このミトコンドリアから発生するフリーラジカルズは、細胞やミトコンドリアの増殖・分化、組織再生や生命場のクリーナップ(自然免疫とも呼ばれる)などに必須の物質です。ただし、ミトコンドリアから漏れ出るフリーラジカルズ(電子と酸素が反応したもの)でも、近傍にプーファ(オメガ3&6)があればアルデヒド(RCCs)を形成します。
 それよりも問題なのは、細胞内還元(アルカリ)状態で鉄との反応で強力なフリーラジカル(ハイドロキシルラジカル)が持続的に形成されることです。この反応性の高いフリーラジカルは、細胞内のプーファ(オメガ3&6)と反応し、アルデヒド(RCCs)を大量に発生させることが生命にとって危険な「酸化ストレス」を作ります。
(前掲書p88)

(※4)
量子レベルでみると、私たち生命体は糖質(グルコース、フルクトース)から、電子を引き抜いて、それをミトコンドリアで酸素に受け渡すという作業を行っています。この作業の間に、大量のエネルギー(ATP)や二酸化炭素を産出することで生命場を維持することが可能になっています。
 実は、エネルギー代謝だけでなく、外界の環境の変化(嗅覚、味覚、聴覚)、人体内での環境の変化(ホルモン、酵素反応)の感知・反応などの基本的な生命現象は、すべて電子(振動、波動)のやりとりが基本になっています。(生体内の反応を従来の「鍵-鍵穴説(lock and key hypothesis)」ではとても説明できない)。
 さて、乳酸が蓄積すると糖の完全燃焼はブロックされますが、実は乳酸を産生する糖の不完全燃焼(発酵、解糖系)さえも乳酸によってブロックされてきます。
 あるいは、その先のミトコンドリアの電子伝達系という、最終的に電子が酸素に受け渡される部分で電子に渋滞が起こると、ミトコンドリアから電子が漏れ出します。
 すると糖質からの電子は行き場がなくなり、渋滞して細胞内に蓄積します。電子が細胞内に蓄積した状態を還元状態といい、細胞内はアルカリ性になります。
 健康の場であれば、この電子は最終的に酸素が処理してくれます。しかし、ミトコンドリアで酸素への電子の受け渡しが遮断されている状態では、どこかに電子を預けないと漏電してしまいます。
 電子それ自体は非常に反応性の高い物質で、早く誰かと対[pair]になって安定したいと希求しています。過剰に細胞内に蓄積した電子を処理するために、乳酸に変換するのですが、前述したように乳酸自体がこの変換(糖の不完全燃焼、発酵、解糖系)をブロックします。そうすると行き場のなくなった電子(漏電)は、次第に細胞内のさまざまな物質と反応します。
 この漏電こそが還元ストレスから酸化ストレスへのスイッチの切り替えになります。
(中略)
 それでは具体的に、漏電によって還元ストレスから酸化ストレスが生まれるメカニズムを、電子の側面で説明していきましょう。
 漏電した電子と細胞内の鉄が反応して、最終的に細胞内の酵素を還元し、活性酸素種を放出させます。フリーの鉄(タンパク質に結合していない鉄)や細胞内でキレート状態になっている鉄(Fe2+ ADP,Fe2+ クエン酸)は活性酸素・活性窒素種(フリーラジカルズ)を作る強力な触媒です。
 細胞内にビタミンCのような還元物質が豊富にある場合も、同じく鉄と反応して、強力な活性酸素種(ハイドロキシルラジカル)を放出して、酸化ストレスに転換します。
 鉄が酸化・還元を繰り返すことで大量の活性酸素種を発生させますが、これは前述したように「フェトン反応」といいます。
 還元物質が鉄と反応することで、「還元ストレス」から「酸化ストレス」へと変換されるのですが、このときに大量に発生する活性酸素・窒素種が細胞内のプーファ(オメガ3&6)と反応することで、猛毒のアルデヒド(RCCs:reactive carbonyl compounds)が発生します。
 アルデヒドは、タンパク質、遺伝子(DNA)に強く結合して機能・構造を変化させ、最終的にはエネルギー代謝を低下させるため、生命場は維持できなくなります。
 通常でもミトコンドリアでは活性酸素種・窒素種(ROS・RNS
)といったフリーラジカルズが発生しています。このミトコンドリアから発生するフリーラジカルズは、細胞やミトコンドリアの増殖・分化、組織再生や生命場のクリーナップ(自然免疫ともよばれる)などに必須の物質です。ただし、ミトコンドリアから漏れ出るフリーラジカルズ(電子と酸素が反応したもの)でも、近傍にプーファ(オメガ3&6)があればアルデヒド(RCCs)を形成します。
 それよりも問題なのは、細胞内還元(アルカリ)状態で鉄との反応で強力なフリーラジカル(ハイドロキシルラジカル)が持続的に形成されることです。この反応性の高いフリーラジカルは、細胞内のプーファ(オメガ3&6)と反応し、アルデヒド(RCCs)を大量に発生させることが生命にとって危険な「酸化ストレス」を作ります。
(「ガンは安心させてあげなさい」p80)

(※5)
新型コロナウイルスを感染させた細胞実験では、ミトコンドリアの糖のエネルギー代謝を回復させるメチレン・ブルー(methylene blue)という色素で、ウイルスの増殖を抑制した結果が報告されています。この研究では、メチレン・ブルーがダイレクトに新型コロナのスパイクタンパク質と結合して、感染を防ぐとしています。しかし、メチレン・ブルーの主作用は、ミトコンドリアの電子伝達系において滞っている電子をフローさせることであり、サリチル酸(アスピリンの主成分)と同じく「アンカップラー」と呼ばれています。アスピリンが新型コロナウイルス感染症なる病態の重症度や死亡率を低下させるのも同じ理由です。新型コロナウイルスは、ミトコンドリアの電子伝達系複合体Tにダメージを与えるため、ここで電子が渋滞します。この電子をメチレン・ブルーやサリチル酸は回収して、過剰な活性酸素・窒素種が発生しないようにするのです。
 新型コロナウイルス感染だけでなく、脂肪のエネルギー代謝でもミトコンドリアの電子伝達系複合体Tが渋滞します。電子がここで渋滞すると、この部位で電子と酸素が反応してしまうことで、過剰な活性酸素・窒素種を産生します。これが鉄さらにプーファ(PUFA、多価不飽和脂肪酸)と反応することで脂質過酸化反応が起きます。このことによって、さらにミトコンドリアの糖のエネルギー代謝が低下します。
(「ハチミツ自然療法の最前線」p45)

(※6)
 ガンが徐々に形作られていく「病気の場」を私は特別に「ガンの場」(キャンサー・フィールド:Cancer field)と呼んでいます。ガンは細胞そのものに問題があるのではなく、その周囲の場”に問題がある、そのガンの形成する場”を特別に「キャンサー・フィールド」と呼んでいるのです。
 キャンサー・フィールド(ガンの場)を証明した興味深いいくつかの実験を紹介しましょう。
 ある正常細胞を異種の組織に移植するとガンができることが以前より知られています。たとえば、卵巣を脾臓に移植する実験では、卵巣にガンができるのです。移植された細胞にとっては、異種の環境であり、細胞間のコミュニケーションに齟齬があったと考えられます。そのために、新しい環境に適応するための十分なエネルギーを得られなかったことが、発ガンにつながったのです。移植された細胞が周囲から、エネルギーの源になるものを得られない状況に陥った場合は、ガンにすらなることができずに細胞死となって死滅していくでしょう。
 逆にガン細胞を正常細胞、特に発達過程の正常組織(胎児細胞)に移植すると正常細胞に戻ります。また、乳ガン細胞を正常の乳腺組織(あるいは乳腺組織を模した組織)に入れると、乳ガン細胞は正常の乳腺(上皮細胞)に戻ります。
 ガン細胞が正常細胞に戻るというのは驚きかも知れませんが、実験では過去数十年で何度も確かめられている事実です。これをガンの「再プログラミング(reprogramming)」といいます。
(「ガンは安心させてあげなさい」p46)

(※7)
 実は、二十世紀初頭から、細胞内に過剰の電子が蓄積する「還元ストレス」こそが、ガンの原因であるということは、ウイリアム・フレドリッヒ・コック(Wiliamu Frederick Koch)や、その研究を引き継いだアルバート・セント・ジョルジ(Albert Szent-Gyorgyi)らの先行する研究によって突き止められていた事実でした。
 その当時、米国の連邦捜査局(FBI)は、コック博士の還元ストレスを打ち消すガンの根本治療を止めさせるために二度も家宅捜索し、起訴までしました。この米国当局が後ろ盾になっている米国のメインストリーム医学界による執拗な嫌がらせによって同国を去らざるを得なくなったコック博士は、南米に移り住み、そこでガンの特効薬を開発しています。
(前掲書p90)


2023年10月31日改稿
posted by T.Sasaki at 11:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 免疫について | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年05月02日

免疫について

こんばんは。

まず、最初に、記しておきます。
崎谷先生の「新免疫革命」が、日本医師会などの主流免疫学を、アップデートする。

免疫といえば、白血球とかマクロファージとか、そんなものを聞いたことがあると思う。
これをまとめたサイトがあるので、参考までに。

https://medipalette.lotte.co.jp/bodycondition/3141(「Medi Palette」)

ここで、「人間の免疫は、無限なのか?」と考えてみると、もちろん、無限ではない。
上記サイトに書いてある、好中球、マクロファージ、NK細胞、T細胞などは、考えただけでも、無限なわけないじゃないか!ということになる。

以前、このブログで、私たちの体は、自覚しない炎症をあちこちで起こしている、と書いた。
崎谷先生の本から学んだことだ。
その炎症が重度になれば、症状となって現れ、病気と診断される。
感染症といわれるものも、過剰な炎症が起きているのである。
したがって、自分の体を、できるだけ炎症を起こさないような状態を保てば、免疫機構に余力ができ、感染症と対決しても、健康状態を保つことができる。

あとは、炎症を起こさないようにするには、どうすればいいか、ということを考えることになる。
それが、通常コロナ(風邪)や新型コロナ、インフルエンザ等に感染しない方法である(と思われる。笑)。
ワクチンなど、クソ食らえ!
ワクチンを打つ前に、自分の体から毒を排除するのだ!

(このシリーズは、今のところ、テキトーにさらっと書いているので、改稿すると思います。)

2023年10月31日改稿
posted by T.Sasaki at 19:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 免疫について | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする