日本の漁業が崩壊する本当の理由 片野歩

世界中で魚類資源が増えているのに、日本だけが減っている。
この現実を、恥ずかしいと思うべきである。

日本の漁業が崩壊する本当の理由.jpg

すべての漁協組合長、理事、参事、そして、任意の漁業団体の会長以下すべての役員たちは、この本を読むべきだ。
読みたくないならば、「日本の漁師は大バカものだ」を参照すること。
これを認識できないならば、役職に就く資格はない!

2019年07月08日

失意のまま佐渡を離れる

こんにちは。

両津を離れて、2週間経った。
今は、北海道の岩内にいる。
何とか、細々と漁をしている。
昨年も大不漁であったが、今年の大不漁は、そのまた三分の一である。
「いくら送金できるか」ではなくて、「送金できるかできないか」という次元だ。

両津を離れる頃、佐渡いか釣り協議会(?)の会長と意見交換をしてきた。

現在は、瓢箪や向瀬でも、いくらか釣れたりするらしいが、私がいた時は、ヒラ漁場でしか釣れなかった。
ヒラ漁場とは、佐渡島の棚であり、北端は25マイルくらいの距離がある。
新潟県の出港時間は、午前7時と決まっているから、10ノットで走ったとしても、漁場に着くのは9時半である。
一方、山形県の鼠ヶ関港からは、正確にはわからないが、40マイルくらいあるのかな?
山形県は、出港時間に制限がないから、夜明けから操業できる。
仮に、彼らが5時から操業したとすると、4時間半も後になってから、佐渡島のいか釣り船は操業することになる。
こうなると、後回ったほうは、まったく釣れないのである。
数個しか釣れない状態で、魚群を探索したりしてウロウロしていると、帰りたくなるのが人間の心。
「漁がない」と言って、本当に帰ってしまう。
一方、すでに、朝のうちに数十個も獲っている船は、夕方まで粘り、70個とか80個とか獲って帰るようだ。

だから、私は、佐渡の会長さんにこのことを説明し、新潟県のいか釣り船も、出港制限を無くしたらどうか、と提案した。

佐渡島で昼いかをしている地元船は、姫津漁協の2隻のみであった。
ヒラ漁場へ行く場合、両津港より遠いから、30マイル以上はあるだろう。
そのことに関しても、出港制限を無くすれば、経済速力で走ってくることもできるから、佐渡島のいか釣り船にとって、良いことなのである。

会長と意見交換する前に、事務局の方に、こういう理由から出港時間を早くするように、私は要請した。
最初の回答は、6時ということで、1時間早くする、と。
私は、「たった1時間早くして、意味あるの?」と逆に問い詰めたら、再び電話が来て、「5時出港にします」と連絡が来た。
こんな有り様であった。

会長との意見交換では、各地の出港時間などの現状を報告した。
例えば、以前の青森県小泊地区は、12時出港であったのが、今や5時である。
ここは、1時間半もあれば、楽に漁場に着いてしまうから、これでいい。
また、北海道日高地区も、以前は、7時出港が5時出港になった。
ここも30分で漁場に着いてしまう。
それほど、各地で制限を緩くしている。
もちろん、昼いかの本場、本州太平洋では、出港制限はなく、夜明け操業開始である(津軽海峡はわからない)。

さらに、新潟漁協のことも言ってきた。
新潟にとって不利な出港時間の制限をするものだから、年々、入港船は減ってしまい、今年は、10隻もいなかったようだ。
新潟漁協は危機的であり、昨年私が行ったときですら、何人か、職員が退職させられたと聞く。
今年は、とんでもない大不漁のため、もう、そういう次元の話ではなくなっている。
だから、私は会長に、「佐渡の漁師たちで、新潟漁協を運営したらどうですか。こういう制限をしているのだから、それくらいやる必要があるんじゃないですか」と。
そしたら、彼は何と!「漁協って、倒産するんですか?」と私に聞くではないか。
唖然としてしまったが、「岩手では、すでに、山田漁協と大槌漁協が一度倒産していますよ」と教えた。
青森では、八戸漁連が倒産しているのは有名だし、探せば、もっとたくさんあるだろう。
倒産を防ぐために、経営内容の悪い漁協は、合併をする。
そうでなかったら、どこも合併しないで、理事たちは、ろくに仕事もしないで、報酬をがっぽり(?)もらう。

最終的に、会長の話では、出港時間の制限を撤廃するのは、不可能である、とされた。
理由は、佐渡の地元船が了解しない、ということらしい。
佐渡島のいか釣り船にとって、良いと思われることを意見したが、結果は残念であった。

今年はもう、新潟海区にいるのが嫌になり、北上した。


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2019年06月08日

新潟から佐渡へ移籍した理由

こんにちは。

これ、するめいか。

浮き上がったするめいか.JPG

水面に浮きあがって、針にとっつかない。
釣り漁業なんて、こんなものだ。
これらが生き残って、産卵するのである。
指定漁業(まき網やトロール、特に2そう曳トロール)の人たちは、これがわかるか。

相変わらず、新潟沖の大不漁は続いている。
こうなると、遊んで歩くしかない。
ということで、今度は、国中平野の北回りをドライブした。
ちょっとしたお見舞いも兼ねて。

国中平野の北側の西側を外海府といい、東側を内海府という。

外海府.JPG

外海府の海岸であるが、基本的に、このような岩礁は無数にあり、きっと魚や貝類や海藻類は、たくさんいると思われる。
しかし、意外にも、佐渡市場へ水揚げを見ていると、それほど量が多いわけではない。
今朝、市場の事務所で少し話を聞いたきたが、佐渡島には、正式な市場はここしかなく、ほぼすべての地区からここへ陸送されるようだ。
だいたい、島全体の漁獲のうち、4割程度が新潟市場へ送られ、残りが佐渡市場だという。
その他、直接東京市場へと送られるのもあるそうだ。
仮に、佐渡市場の水揚げ量に1.5倍掛け算しても、ちょっと少ないように感じる。

ここの魚市場は、悪いところは別に何もないのだが、不便なのは、イカ箱をパレットに積む際のアルバイトがいないこと。
したがって、荷揚げ料(リフト代ともいう)は、他の市場のようには徴収されない。
「これを支払ってもいいから、どうにかならないのか」とお願いしてみたが、人不足のため、できないのだそうだ。
以前は、やっぱり、新潟市場と同じように、定年退職した人たちが手伝っていたそうだが、悲しいことに、そういう人たちもいなくなり、今や、腰を曲げて、足を引きずっている人が、手伝う程度である。
こうなると、自分で探して、確保するしかない。
全然、漁がないから、今は構わないが、100箱とか200箱とか獲れた時の重労働が思いやられる。
「とんでもない所へ来たものだ」と乗組員と話をしている。

私は、先日、新潟漁協に電話をして、ちょっとしたことを聞こうと電話したのだが、その時、「裏切り者の岩手の漁運丸ですが、」と言ったら、「いえ、そんなことないですよ。また来てください」と言われた。
まあ、気分は悪くないが、新潟漁協側としては、気分悪いだろうなあ。

なぜ、新潟漁協から佐渡漁協へと移籍したか、というと、漁場が近くなる分、燃油代が違うからだし、体力的にも楽だから(新潟県は、1隻1港のみ)。
そして、乗組員にも言っていることだが、浮いた燃油代で、新潟へ遊びに行くジェットフォイル代やフェリー代を支払っても、おつりがたくさん来る、という話。
その金を乗組員にあげようと思うのだが、今のところ、そんな水揚げもないから、お預け状態ではある。



こんな大不漁だと、いさだ許可騒動が非常に惜しい。
今年のいさだ漁は大漁で、最終的に値崩れを起こし、予定生産量を消化せずに、岩手宮城両県で切り上げた。
来年のいさだ漁は、最低保障の給料で終わる可能性が高く、仮にいさだ許可が下りても、もう、下北から応援に来てくれる人はいないかもしれない。
そして、乗組員を確保できない、ということは、さらに、許可失効してしまうことになる。
タイミングを逃せば、こんなことになってしまう。

すべてを自己責任にするのは、簡単だ。
自己責任主義を徹底するならば、行政機関など要らなくなり、弱肉強食の世界になる。
この意味を、今回関与したM課長、退職したI課長、および岩手県沿岸組合の組合長は、よく考えるべきである。


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2019年01月08日

するめいかの厳しすぎる再生産

こんばんは。

少し暇だったので、昼食後、漁業情報サービスセンターに電話して、するめいかの産卵のことを聞いてみた。
これは、「スルメイカ資源の意見交換会」に端を発する。
会合が終わった後、私が変な発言をしたためか、後から呼び止められた。
会合の司会者であったが、その彼に、「聞きたいことはたくさんあった」と言ったら、「どうぞ、電話でもメールでもいいですから」と名刺を渡されたのである。

東シナ海の産卵場の環境変化について、一つの疑問点を問うた。
次がその結果。

するめいか産卵の好環境は、水温18から19度くらい(16度から19度くらいかも。手元に論文がないためにはっきりした回答はできなかったようだ)で、その水帯の幅が近年狭い範囲でしか形成されないのだという。
そのため、仮にするめいかが産卵しても、そのまま死んでしまうらしい。
その他もある。

するめいかの卵は、1mくらいもあり、つまり、自身よりも大きな卵を生む。
このことは、よく知られている(私でさえ知っている)。
比重は水よりも大きいから、海底に沈んでしまうのであるが、沈んでしまうと、壊れて死んでしまうのだそうだ。
つまり、湧昇流などが発生する海中を漂っていないと、するめいかは生まれない。
その辺のゴミに引っ掛かっても、卵が壊れてダメなのである。
だから、非常に条件が厳しいようだ。

したがって、資源を増やすには、親魚が多ければ多いほど、良い。
これは、理論上、彼らも認めざるを得ないのである。
TACの数値を下げて、親魚の生き延びる量を大きくすれば、資源は大きくなる。

岩手の2そう曳きの件は、彼らも、疑問であるそうだ。
先日の会合での発言は、最終的に、報告書という形で、水産庁に送られるらしい。
期待はしていないが、それでも、みんなで声を上げることは意義があるのではないか、と思う。
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2019年01月02日

スルメイカ資源の意見交換会

こんにちは。

これまた、昨年暮れの話であるが、12月20日、八戸市水産会館で漁業情報サービスセンター主催の意見交換会が行われた。
「スルメイカ冬季発生系群の資源状態と漁況予報をめぐって」というテーマ。
冬季発生系群というのは、太平洋回りの群れで、東シナ海で生まれたスルメイカは、はるばる常磐沖から三陸沖、北海道沖まで北上し、秋から南下をはじめ、八戸沖から三陸沖にウロウロしているスルメイカは、津軽海峡から日本海へ抜け、再び、東シナ海の産卵場へと南下するのだという。
東シナ海で生まれるスルメイカは、スルメイカ資源の8割を占めるとされ、残り2割はローカル群である。
冬に各地にいるスルメイカはローカル群であり、これらも重要な資源である。

発表した研究者は、北海道区水産研究所、青森県産業技術センター水産総合研究所、岩手県水産技術センターである。
主に、東シナ海の水温低下による産卵場の環境変化と大和堆での北朝鮮船の違法操業などの影響で、スルメイカ資源は減少しており、資源量は、ほぼ史上最低に近いことなどを話していた。

この意見交換会は、毎年行われているようで、今回、初めて、岩手県沿岸漁船漁業組合から案内が届いた。
もちろん、出席も初めてなので、質問のタイミングがわからず、一番最後に質問した(ただ騒いだだけかも)。

要旨は、資源減少要因を、環境変化と北朝鮮ばっかりに押し付けて、日本でできる取り組みをしていないことを指摘し、特に、岩手の2そう曳きトロールの悪質な操業への非難である。
これに対し、研究者は、TACという取り組みが、積極的な方法である、とした。
そのTACは、近年、スルメイカでは、上限に達することはなく、TACの設定が高すぎることも言ってきた。
それでも、今回の設定は、資源回復措置で低めに設定するそうだ。
私は、TAC配分でも、漁獲圧に応じて、各漁法の減少割合を考えるべきだと、特に、2そう曳きトロールの漁獲圧は、とんでもなく高いのだから、これらの漁法に対しては、もっと低く抑えるべきであると言ってきた。
来場者は、ほぼ9割方、青森県の関係者だと思うが、私の目の前に座っている人たちだけでも、何人かうなずいていた。
この点に対しては、「水産庁に伝えておきます」と言っていた。

関連して、今、思いついたことなのだが、型のいいサバ資源が増加しているし、イワシ資源も回復していることを考えると、まき網漁業のスルメイカTACは、ゼロでいい。
もともと、闇混獲以外は、まき網漁業の漁獲対象とはなっていなかったからである。

北朝鮮、韓国、中国の船が、漁獲しているスルメイカは、10万トンから20万トン獲っているのではないか、という話もしていたが、はっきりわからないようだ。
それにしても、けっこう莫大な量である。
海洋環境の変化や外国船の漁獲などの外的要因は、そう簡単に解決できるものではない。
したがって、できることから、やらなければならない。
どの魚種についても同じことだが、親魚の確保である。

研究者は、スルメイカの資源回復措置水準にするためには、親魚を5.3億尾必要なのだという。
つまり、獲りすぎるな、ということなのだ。
2そう曳きトロールを私が非難するのは、獲りすぎる漁法だからである。

意見交換会の冒頭で、会合ではつきもののエラい人たちの挨拶があったが、そこで良いことを言った人がいた。
「今だけ」「オレだけ」「カネだけ」
この、3だけ主義が、魚類資源減少を促すのだと。
岩手県の2そう曳きトロールは、この3だけ主義そのものである。

今回の会合では、GFWというサイトを紹介していた。

Global Fishing Watch

これにより、膨大な数の韓国や中国船の数を追跡できるそうだ。
posted by T.Sasaki at 14:49| Comment(0) | いか釣り漁業 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年08月05日

するめいかローカル群を大事にする施策を

こんにちは。
私は、自分の腕の悪さに感動している。
太平洋昼いかに来て、まだ100箱という数字を見ていない。
岩手県に水揚げされたするめいかは、昨年同期比で、4.8%である。
昨年の何割減というのではなく、95%減である。

http://www2.suigi.pref.iwate.jp/research/20180802fishery_during

非常に深刻な大不漁である。

青森県の統計はどうなっているのかわからないが、八戸の最初の漁が遅く、また、昨年より最初の漁も悪かった。
だから、こちらも、かなりの減少となっているはずだ。

日本海も、石川県をはじめ、昨年より不漁であり、北海道も、沖合い漁場(凍結船)の不漁から、稚内なども単発的な漁となるのではないか、と噂されている。

こうなると、太平洋ローカル群や新潟、山形沖のローカル群が重要だ。
八戸前沖のするめいかは、たぶん、ローカル群である。
早い段階から、バラいかを八戸のトロールが獲っているから。
もし、冬生まれ群が回遊してくるのなら、もっと水温が高くなってからのはずであり、実際に、水温の低い時期の三陸いさだ漁で、するめいかの稚魚が混じることがある。
3月に、東シナ海の冬生まれ群がここに到達しているとは考えられない。
したがって、1月以降は、太平洋ローカル群に産卵機会を与えるために、するめいかの禁漁を実施すべきである。
特に、トロール漁業は、そうすべきである。

今年の新潟、山形沖の漁は、かなり遅く始まった。
先発隊は、5月初日から操業しているが、初日は皆無だったらしい。
その後、ヒラ瀬と呼ばれるところで少し釣れたが、その後は、するめいかの顔を見るのが大変だったようだ。
私は5月13日から操業しているが、その日、知っている船に連絡をとってみると、ベタ凪だから、しかたなく中瀬で針を下げているだけだという。
こうなると、沖合いの瀬の調査しかなく、その日は、鎌瀬で7尾、向瀬で2尾、瓢箪瀬で8個であった。

ここで尊敬すべきは、C丸である。
彼は、とにかく広範囲に調査することで有名である。
今年も、誰も出漁しない時に、すでに佐渡島を一周している。
こういう人が、漁模様を作るのである。
実際、かすかな8個という模様で、その数日後、彼だけが瓢箪瀬に出漁し、数十個獲ったのをきっかけに、翌日から急に漁が出たのだ。
それでも、彼のことをよしとしない人間がいるらしい。
そういう人間が、世の中の憎悪を生むのである。

話が脱線したが、新潟、山形沖のバラいかもローカルではないか、と私は思っている。
先行する石川県では、すでに同時期、新潟沖のするめいかより、かなり型がよい。
また、北上群の獲れる北海道では、同時期の新潟沖のするめいかより、やはり型がよい。
これをどう説明したらよいのだろうか。
もし、東シナ海秋生まれ群が北上して、南から順番に獲れるのなら、各地、小さいサイズから、大きいサイズが順番に獲れるはずであるが、実際には、新潟、山形沖のするめいかは、他の地域より小さい傾向にある。

これは、地元のS丸さんから聞いた話であるが、佐渡島のいか釣り船は、1月と2月で、1000万円くらいは水揚げするようだ(県外船は1月から4月まで禁漁)。
ということは、新潟、山形沖の瀬で、この時期に、するめいかは産卵しているだろう。
だから、この海区で獲れるするめいかは、小さい傾向にあるのではないか。

結論。
東シナ海の産卵群に期待できない現在、日本各地のローカル群の資源を大事にするしかないのである。
この考えを基本とし、どの漁業に制限を加えるべきか、検討すべきである。

八戸昼いかは、今週末まで天候があやしい。

http://www.bioweather.net/chart/pressure.htm

今年の傾向は、悪天候が長続きする。
たった数十個の水揚げで、操業日数が減ってしまうのは、かなりの痛手である。


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2017年05月23日

昨年とは違う「大不漁」

久しぶりに、こんにちは。

前沖の資源管理に絶望感を感じたので、いつもより早く日本海へいか釣りに来ている。
日本海長期予報では、大不漁の昨年並みとされているが、いかのサイズがまだ小さいので、昨年とは違うのではないかと思っている。
私のいる新潟は、まだ漁が少ないが、先行する石川県では、何日か1万箱超えを記録している。
これは、昨年ではなかったことだ。
以前、大漁だった頃は、小さいいかから、大きくいかへと漁獲が変化していったものだ。
昨年の場合、最初から30入れ主体であり、心配していたら、案の定、すぐに漁が切れ、私は6月中旬過ぎには、逃げるように誰もいない八戸へ回航した。
結果的に、それは悪くはなかったが。

今年の場合、新潟沖ではまだバラいか主体だから、7月までここにいそうな気がする。
どっちみち、太平洋の漁は期待薄だし、少々漁がなくても、我慢する覚悟でいる。
八戸沖のトロールが獲るバラいかは、昨年より極端に少ないらしく、太平洋ローカル群は危機的である。
あとは、太平洋各地の定置網に入るバラいかの全体量がどれほどになるのか、それ次第だと思う。


以前の太平洋するめいかは、秋から冬にかけて、定置網に入網していたから、成熟群は、オカ寄りで産卵していただろう。
それが、近年、秋から冬にかけて、太平洋のするめいかは沖寄りに分布し、そこで産卵しているものと考えられる。
前述の通り、それを根こそぎ、2そう曳きが獲るものだから、ローカル群の再生産など期待できない。
私の父の時代の小型するめいか漁業は、ローカル群だけでも、十分に飯が食えていたのだ。
ローカル群の再生を期待したいが、それを阻む人たちがいるから無理かもしれない。
絶望の資源管理である。

私は、昨年に続き、太平洋のするめいかは、大不漁ではないかと思っている。
もっと大不漁かもしれない。
ローカル群の再生産はこの通りのありさまだし、東シナ海や九州西部の冬季発生群の少なさから、すでに太平洋回りのするめいかは苦戦するのではないか、と予測もある。

しかし、大不漁の予測が外れる可能性もないわけではない。
日本海回りの秋季発生群も少なかったから、大不漁予測がなされたが、もし、このままで、大漁群が成長しながら北上すれば、日本海はそれほど悪いわけではないだろう。
北上したするめいかが津軽海峡を通過し、太平洋へたくさん抜ければ、少しは好転するかもしれない。
また、前述、ある水産会社の重役さんだった人の説、日本大回遊説をとれば、日本海からオホーツクに入り、羅臼に入らないで、そのまま太平洋へ抜ければ、これは、秋季から冬季にかけて、太平洋を南下するかもしれない。
もう一つ、冬季発生群の少なさから、太平洋するめいかは、悪かった昨年並みの予想も、はずれるかもしれない。
なぜなら、現在の日本海するめいかは、今のところ、昨年よりは悪くはないからだ。
したがって、太平洋の予測も外れる可能性もある。
posted by T.Sasaki at 17:08| Comment(0) | TrackBack(0) | いか釣り漁業 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする