こんにちは。
ラグビーワールドカップ日本代表の快進撃は続く。
このまま決勝まで行ってほしい。
本当は、その話題の電話を、新潟にいる友だちとしていたが、途中から話題が変わった。
彼は、私の船よりも大きないか釣り船に乗っているのだが、するめいかを箱に並べるのに、大きな不満や不安を抱いている。
これは、彼に限ったことではなく、みんなそうなのであるが。

この写真は、するめいかを箱に並べる際、20尾入れ、25尾入れ、30尾入れ、というような規格を示す定規であり、各県、各市場で配布しているものである。
新潟県のものは、石川県、山形県と共通の規格であり、宮古魚市場のものは、北海道から青森県、岩手県の共通の規格である。
この二つの定規を比較すると、25尾入れより小さい規格は、新潟県のものは、1p小さい。
ということは、同じ規格なら、北海道、青森県、岩手県のするめいかを買ったほうがお得、ということになる。
ところが、実際の現場は、規格など無視し、恐ろしいほど小さく並べている。
そのことを、私の友だちは嘆いているのである。
彼は、「これは詐欺だ」とまで電話で言っていた。
その彼も、しかたなく小さく並べていて、「心が痛い」とも言ったいた。
その他ほとんどの船も、そのように小さく並べているのであって、各産地とも、小さく並べられたするめいかであふれている(大不漁なのだから、あふれている、という表現は適切ではない)。
なぜ、そのようなことをやり始めたのかというと、小さく並べれば、その分、値段の高い規格の箱が多くなり、なおかつ、1箱あたりの尾数も減減り、箱数は増えるから。
極端に「いかに小さく並べるか」という競争をしている強者もいる。
「これ以上はいくら何でも無理だ」という人は、まだいいほうであり、明らかにバラするめ(40尾入れ以下の規格)を作らないで、それらをすべて30尾入れにしてしまう、ということをやっているのだ。
先日、佐渡沖で、まぐれで140個とった時、彼の乗っている船の船頭から、「その分量なら、180個は超えているよ」という話を聞いた。
しかし、私は、そのように並べるわけにはいかない。
佐渡魚市場のするめいかの商品価値を下げたくないために、地元船が真面目に規格を守っているからだ。
既出の組合長の船は、ちゃんと規格を守っていて、さらに、下氷にすると、するめいかは短くなるから、少し大きめに並べているという(私は短くなっていないと思うのだが)。
実際に、彼のするめいかは、佐渡市場では、常に最高値である。
一方、外来船の中には、ひどい船があるのだそうだ。
これは、現状を市場から聞いた組合長が嘆いていたことである。
私の母港である宮古魚市場では、みんなしっかり規格を守っているし、おそらくは、岩手県の市場は、そうだと思う。
がっかりしたのが、するめいか日本一の水揚げを誇る八戸港である。
私は、市場を信じて、全量、真面目に規格を守って並べていた。
少なくとも、8月までは。
しかし、市場発表の相場を見ていると、真面目に並べている割に、高値はとれないし、中値より安い時もある(それでも高値のほうだが)。
あきれ返って、箱屋の助言もあり、新潟規格で並べてみた。
それでも、市場発表の規格の割合を見ると、自分と比較して、みんなとんでもなく小さく並べているのがわかるのである。
だから、すでにここでも、「いかに小さく並べるか」を競っている。
ここに、八戸の市場の相場を示す。
http://jf-hachinohe-m.or.jp/freepage_13_1.html(「
八戸みなと漁協」)
このような買い方では、みんな「小さく並べる」競争をするのである。
ここで、20尾入れの規格外のいかを、25尾の高値の半値で買ったとしたらどうだろう。
それならば、みんな真面目に並べ始めるはずだ。
ある産地市場では、地元のいかの商品価値を下げたくないために、規格外のいかをすべて700円で買ったという話も聞いた。
平均3000円している時にである。
それくらい、痛い目に遭わないと、「小さく並べる」競争は、おさまらない。
日本人には、ほどよい良心というものがある。
「いくら何でもそこまでは・・・」
私の船の乗組員や私の友だちは、みんなそういう心を持ち合わせている。
しかし、そういう心を持ち合わせてないのかどうかわからないが、極端な人がいるのは事実であり、これは、日本人としての人間性を疑うものである。
いずれにしろ、これを修正できるかどうかは、産地市場の方針と仲買人たちの買い方にかかっている。
posted by T.Sasaki at 10:50|
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いか釣り漁業
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