日本の漁業が崩壊する本当の理由 片野歩

世界中で魚類資源が増えているのに、日本だけが減っている。
この現実を、恥ずかしいと思うべきである。

日本の漁業が崩壊する本当の理由.jpg

すべての漁協組合長、理事、参事、そして、任意の漁業団体の会長以下すべての役員たちは、この本を読むべきだ。
読みたくないならば、「日本の漁師は大バカものだ」を参照すること。
これを認識できないならば、役職に就く資格はない!

2025年01月26日

いか箱の3桁の浜値は、10年前の値段

ふたたび。

今朝から天候が悪く、仕事もできないので、昨年の漁獲や平均単価などを集計してみた。
昨年のいか箱は、平均単価で4381円、一昨年が4924円。
600円近く安くなったようだ。
そして、震災後、毎年の水揚げデータを記録しているので、「2つの訂正」にある、いか箱の超安値を調べてみた。
そうしたら、1箱3桁の値段は、今から10年前までさかのぼる。
平成27年(2015年)に深浦市場に揚げたバラいかが759円だったのが最後。
これ以降、するめいか1箱の単価に、1000円以下というのは、ない。

こんな値段をつけるなら、買わなくていいし、あげてもいいよ。
市場で、「ふだが入らないから取りに来い」というなら、はい、取りに行きます!
ほしい人は、いっぱいいるからね。


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2024年05月21日

ネジのパッキン交換

こんばんは。

先月かな?今月かな?
いか釣り機のパッキンを取りに八戸へ行ってきた。
今月だ。
その時、機械屋さんから、「そろそろオーバーホールだよね。新台は無理だろうからオーバーホールしたら?」と言われ、私は「まだあと3年くらいあると思うよ」と答えたら、「そうかなあ?」と言われた。
サンメイSXの改良型で「-S」が付く型番。

帰ってから調べてみたら、購入が平成26年。
オーバーホールしたのが、平成31年、つまり、令和元年。
あれまあ!
再び、オーバーホールしてもいい年頃になっていた。
来年だ、オーバーホールは。
自分の年も取っているのだから(笑)、やっぱり機械も年を取っていた。
私は、新台を買えない!

毎年、いか釣り機械を積んでは降ろししているものだから、配線口のネジのパッキンがついに役に立たなくなっていた。

配線口.JPG

そこで、パッキンの交換。

ネジ パッキン.JPG

機械屋さんの話では、パッキンがなくても、そんなに水は入らないと言うが、船を辞めるまでこの機械を使うことになるかもしれないから、交換した。
一応、試運転では完全に動いたが、来年のオーバーホールの時は、端子も全部交換する予定だ。
もちろん、自分がやる。
無線屋さんに、専用の圧着工具を買わされたから(笑)。

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2024年05月19日

極端なことには理由がある

こんばんは。

いよいよ、今年もバカの一つ覚えで、いか釣をやろうと準備している。
私のことを理解してくれている乗組員、無線屋さん、機械屋さんをはじめ、もろもろの人の応援をいただいて、いか釣の艤装も順調だった。
が、集魚灯の試運転で、問題が。

光らない電球.JPG

光るはずの電球が、極端に光らない!
同じ回路だから、同時に光るはずなのに!
いろいろと同業者に聞いたら、これは集魚灯トランスのコンデンサーがいかれている、とのこと。

私は今までこんなことは経験したことがないので、ソケットの圧着スリーブを取り換えてみたり、トランスのランプ側や電源側を他の端子と交換したり、やってみた。
先輩方の助言が正しかった。

9.7トン型の機関室では、いちいちトランスを引っ張り出して修理するのは、余程暇がないとできないと思う。
だから、今季は、点かない電球の回路は、オフにして使う。

こんなトラブルに遭わなかった私は、今まで運が良かった、と思うことにしよう。
いろいろと聞いたが、どうやら、トランスの配置条件によるところが大きいらしい。
参考までに。
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2023年12月22日

いか釣りのワイヤー

3回目、こんばんは。

いか釣りのやなであるワイヤーは、インフレのあおり受け、倍近くの値段になったそうだ。
私は、何年も前から、その対策をやっている。

今やほとんどのいか釣り船が採用している皮膜付きのワイヤーは、普段使わない水深を操業する時、ドラムの固定されている側ほど、切れて落ちやすい。
海水に浸からないと、その部分に発生した電気が滞留し、ステンレスワイヤーでさえ、腐るのではないか。
そこで、ドラムに固定されている側の50mを、裸ワイヤーにしてみた。

裸ワイヤー.JPG

これが好結果を生み、相当痛んだワイヤーでない限り、切れて落ちることはなくなった。
いろいろと実験しているが、グリスを強く仕込んだワイヤーほど切れにくい。
これは予想されていたので、私は、漁期を終えると皮膜付きのワイヤーを外して、いったん廃油に漬け、それからぶらさげて油を切り、翌年にまた長さを合わせてドラムに巻く。
皮膜付きワイヤーは150mだけ巻き、合計200mしか巻かない。
針の分を30mとし、水深230mまで操業できれば十分。
下北の人たちは、300mまで針を下げる、と威張っているが、私は、それに付き合いつもりはない。
下手くそだからだ。

この裸ワイヤーをドラム側に使い始めたのは、私が知る限り、八戸の長久さんが最初である。
私が最初だと思ったら、ちゃんと先輩がいた。
彼は、大不漁が来る前にやめたから、非常に上手だったと言える。
そういう年齢だったから、というのが最大の理由ではあるが。

皮膜付きワイヤーで最悪だったのは、ダイワレッドである。
ひどいものは、1年もたないらしい。
2年目で、たいていは切れる。
良かったのは、昔の深緑色のワイヤーだったが、このメーカーは撤退した。
最近では、ニューマルチオイルというワイヤーが良いように思う。
ただし、このワイヤーは、磁石にくっ付くそうで、ステンレスの純度が低い、と指摘する人もいる。
が、今のところ、はずして廃油に漬けなくても、切れない。
何年持つか実験しているが、すでに5年巻きっぱなしでも切れない。

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2023年12月13日

やりいかのアンカー場は、極めて少ない

こんばんは。

宮古前沖は、いかのおかず獲りには困らない。
珍しく、やりいかが続いて釣れている。
大漁なわけではないが、異常に単価が高く、赤字にならないので沖に通っている、という感じかな。

先月、北海道から帰ってきて、しばらく休んでいたが、遊漁船がやりいかを釣っているというので、その沖合いに電気を点けてみた。
これが始まりである。
彼らが困ると思うので、最低1マイル以上離してパラアンカーを投入した。
集魚灯も、18灯しか点けない。
潮流が非常にゆっくり流れるので、どっちにいくのか定まらない。
沖合いに出たり、陸上に上がりそうになったり。
そうしたら、やりいかではなく、するめいかが揚がってきた。
たまに、やりいか。

この時点で、私は、やりいかの道具を買いに行ったり、釣り方を聞いたりした。
やりいかなんて、釣ったことがない!

そのうち、パラアンカーでは皆無に近くなり、岸寄りにアンカーを入れてみた。
するめいかも揚がるには揚がるが、やりいかも揚がるので、やりいかの針を使い始めた。
試行錯誤で、ナイロンの長さや太さをいろいろと変えてやってみた。
ガラ針をまぜたほうがいいのか、やりいか針を何本使ったほうがいいのか。
そのうち、プロの人たちがやりいかを釣り始めた。
私は、教えてもらった。

やりいか.JPG

氷の上に、死なないうちに並べると、真っ白なんだなあ。
20入れサイズ。

やりいか2.JPG

たまに混じるするめいか。

するめいか20231204.JPG

ナイロンを細くしすぎて、鉛の分銅を何個も落とした。
もったいない。
もう、どうやったら大漁できるのか、頭がおかしくなりそうだ。

まさか、この年で、こんな試行錯誤をやるとは思わなかった。
しかも、やりいかの場合、するめいかよりも釣れる場所は限られている。

地元のT丸は、何十年もかけて、釣れる場所を見つけ出した。
私も1ヵ所だが、彼にだいたいの場所を教えてもらった。
感謝しかない。
もう1ヵ所見つけたと思うのだが、そこにやりいかがあまり回遊していないので、正確な場所が、まだはっきりわからない。
もう少し広範囲にやりかの漁場が広がれば、もっとアンカー場所はあるのだろう。

この何十年もかけて見つけ出した場所は、今や簡単にコピーできる。
やっている人の場所に船を寄せて、GPSの緯度経度を記せばいいだけだ。
先に来てアンカーを投入すれば、その人の苦労を一瞬にして、簡単に奪うことができるのである。

私には、そういうことはできそうもない。
posted by T.Sasaki at 20:24| Comment(0) | TrackBack(0) | いか釣り漁業 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年10月29日

いか釣り船頭の高齢化

3回目。

登別港の親分に入港船が招待され、一杯やってきた。
そこで、愕然としたことがある。
船頭の高齢化である。
その中で、最も高齢だったのが、何と!私であった。
知らないうちに、年寄りになっていた(笑)。
だから、特に夜いかの場合、私は邪魔な老人だから、一番最後にパラシュートアンカーをやるようにしているし、それで獲れなくなれば帰ってくるしかない。
事実、もう帰ってきた(その後、何日も続かなかったらしい。漁が続かないのは、資源不足のためであり、今年はどこも同じ)。

集まった船頭は十数人だが、最低年齢が50歳とは驚いた。
船も新しそうで、たぶん、補助事業か何かで買ったか作ったんだろうな、と思っていたから、年齢も相応に若いと思った(補助事業は若者に厚遇だから)。

私が、いか釣りの船頭をやったのは、27歳の時である。
たまたま、今乗っている船を作るため、父とその弟は気仙沼へ行き、「お前の好きなように船を動かせ!」と、もう一隻の漁運丸を預けられた。
船を操船するのも初めてみたいなもので、岸壁につける時など、非常に緊張していた。
ぶつけたりすれば、とんでもなく怒られるのは、わかっていたから。
ただ、運よく、大漁してしまった。
あの年は、異常だった。
夜漁しかなかった時代で、あんな電気(93Kw)で釜石以北の岩手では、一番になってしまった。
当時、山田の鉄船たちは、200Kwも電気を点けていたのに。
一応、それからは、いか釣りの時だけ、船頭をさせてもらった(どの漁業も預けられたのは津波の2年前で、40代後半)。

私は特に若かったが、それでも、30代の船頭は、ざらにいたと思う。
それが、今、岩手、青森、北海道のいか釣り船で、20代、30代の船頭は、どれほどいるのだろうか。
私は、そんな若い船頭をほとんど見たことがない。
これは、日本の人口問題に匹敵する大問題である。
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2023年09月26日

原始的な手釣り用道具

ふたたび、こんにちは。

これ、先代の木船の時代の手釣り用前ローラー。

手釣り用前ローラー.JPG

木製だから、釘が腐って分解寸前。
どうせだから、寸法をとってFRPで。

手釣り用前ローラー2.JPG

するめいかの1箱の値段が、1万円もしたりする。
船を小さくして、LED照明で手釣りをする時代が来るかも?
posted by T.Sasaki at 11:48| Comment(0) | TrackBack(0) | いか釣り漁業 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年09月16日

山が当たった!

こんにちは。

調査できず」で悔しい思いを書いたが、トロール解禁初日、岩手の2そう曳きは、するめいかを獲った。
私は八戸で、惨めにも、ぜんぜん獲れなくて、嫌気がさしていた。
そこで1日休んで、大田名部港(普代)に回航し、翌日から黒埼沖を調査することにした。
夕方、地元船のいか釣り船が帰ってきたので水揚げを手伝いに行ったら、大漁だ。
3桁の水揚げは何年ぶりだろう、とみんな喜んでいた。
この船の人たちも、八戸で嫌気がさして、私と同じような考えだった。

今年は私も、3桁の水揚げができないのかもしれない、と思っていたが、翌日、3桁の水揚げとなった。
その後もある程度獲れたが、おとといは、ついに皆無に近く(6箱)、10時頃に切り上げて早帰り。
連休をしている。
絶望的な今年のいか釣り漁業」の長期予報にあるとおり、資源量としてはこんなものかもしれない。

近年、トロールが獲っても、いか釣りの針に、いかが付いてこない。
だから、ほとんど期待していなかったのだが、今年は以前のように付いた。
八戸で形を見るのに苦しかったから、この日、他船から「いかが、こんなに簡単に揚がってくるとは!」と無線で言われた。
山を掛けたのが当たった形だ。
昨年までは、調査しても無駄足だった。

私は下手くそなのだが、それでも船の動かし方が少しはマシなので、何とかやっている。
今年のような超大不漁だと、行った先で漁に当たらないと悲惨を極める。
次はどこへ船を動かしたらいいのだろう。
うまくいくかどうか。
いつでもそうなのだが、山の掛け方で成否が分かれる。

明日、沖に出てみてから考えよう。
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2023年08月30日

調査できず

ふたたび、こんばんは。

八戸沖の昼いかも、そろそろ下火になりつつある。
八戸港の水揚げは、ほとんど北東海区の根からオカ側だけである。

そこで、岩手沖を調査したいのだが、南風のオンパレードである。
本当は、トロール解禁前に一度走ってみたかったが、無理みたいだ。
盆過ぎ、久慈沖から北上調査したが、形を見たのは、八木沖で数個獲ったのみ。
黒埼周辺から南を見てみたかったが、トロールが操業してからになってしまった。
悔しい!

posted by T.Sasaki at 19:53| Comment(0) | TrackBack(0) | いか釣り漁業 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年08月15日

絶望的な今年のいか釣り漁業

こんにちは。

日本海のするめいかの前半戦は、おそらく史上最低であろう。
そして、今後も上向く気配はない。

https://www.fra.go.jp/home/kenkyushokai/press/pr2023/files/20230731press_srm-n.pdf(「水産研究・教育機構」)

岩手の定置網で、近年になく、するめいかの入網があったので、私はいち早く家に帰ってきて操業し、今後を楽しみにしていた。
しかし、漁は上向かず、今後も上向く気配はない。
この長期予報を見て、愕然とした。

https://www.fra.go.jp/home/kenkyushokai/press/pr2023/files/20230731press_srm-t.pdf(「水産研究・教育機構」)

今年のするめいか漁は、壊滅的な結果となる。

今年6月、八戸沖でトロールは、ミニのするめいかを、ほぼ全船満タン(発砲スチロール箱で200箱)で獲っていた。
小型いか釣りが、そこへ行って針を下ろしてみても、形すら上がらない。
トロール船が切り上げる7月になれば、きっと釣りの針にも、いかが付くようになると期待したが、たまに、平均で二桁の水揚げになるだけで、ほぼ一桁の日が続いた。
底曳き網のパワー、漁獲圧というのは、それほど非常に大きいものだというのが実感できる話である。

9月から操業の始まるトロール船に、このまま、するめいかを獲らせれば、次年度のするめいかは、もっと減るだろう。
ここで、何の措置も水産庁が獲らなければ、いか釣り漁業は存続できなくなる。

水産庁職員の心の中は、「そんなこと、知ったことではない」と思っている。
何かの会合で聞いてみたらよい。
必ず否定するだろうが、「そうでないなら、何かやれよ!」と言われるのが目に見えている。
きっと何の会合も開かない。
税金ドロボー!


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2023年08月04日

手っぴが短い

こんにちは。

するめいかを獲っていても、例えば、足、この正式名称すら知らなかった。
足ではなく、腕なのだそうだ。

https://www2.suigi.pref.iwate.jp/others/tips_squid(「岩手県水産技術センターWeb」)

まあ、「手っぴ」とは言うが、たいていは、たこと同じように足と言っているように思う。
その腕の中でも、長い腕が二本ある。
これを触腕という。
水技の写真ではわかりにくいので、ぼうずコンニャクさんに頼る。

https://www.zukan-bouz.com/syu/%E3%82%B9%E3%83%AB%E3%83%A1%E3%82%A4%E3%82%AB(「市場魚介類図鑑」)

最近、宮古近郊で釣れているするめいかは、この触腕が短いのが多い。
これは25尾入れのするめいか。

するめいか短触腕.jpg

よく「戻りするめ」に多いというが、今は北上群の盛漁期であるから、戻りするめ、ということではないだろう。
以前にも、夏の盛漁期にこういうことがあったのを記憶しているが、これは何を表しているのか。
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2023年07月30日

まぐろより青太のほうがいい

ふたたび、こんにちは。

県のいか釣調査に意味はあるのか」に書いてあるように、私は、釜石湾で操業していた。
最初は山田湾でやってみたのだが、小さいするめいかばっかりだったので、南ほど大きいのではないか、ということで、釜石を拠点にした。
地元船が出る前はこれでよかったが、釜石地区の船が出揃ったところで、私は撤退した。
ずっと地元にしかいない船にすれば、私は邪魔だろうな、という考えがあったからである。
その後は、ほぼ、御箱埼から北ばっかり操業し、釜石湾には行っていない。
なぜか、今年の船越湾はパッとせず、結局、山田湾を中心に操業している。
少しばかり大きくなったが、漁は終わりに近いような気がする。

どこを操業しても、突然、いかが揚がらなくなることがある。
まぐろ様の登場である。
まぐろ様が登場しなければ、朝まで形はあるのだが、登場すれば、その晩は終わり。
まぐろ様の意向が、いか釣り漁業者の殺生権を握っている、といい。

これは、宮古樫内沖(通称トンガリ沖)で操業した時の写真だが、中層に赤黄色い帯が映っている(被害報告の写真として提出予定)。
まぐろである。

IMG_0648.JPG

日本海とは映りが違う。
日本海のは、山型に映る。
まぐろ様の登場前は、海底からの40mくらい盛り上がったプランクトンの反応があったのだが、このように、薄く海底にねっぱった反応しか映らなくなった。
当然、するめいかは揚がらなくなる。

青太(宮古弁かな?オアザメのこと)が来れば、針を持っていくが、するめいかも揚がる。
まぐろに比べれば、まだ青太のほうがいい。

今では、他業種の漁師たちに、お願いしている。
まぐろを駆除してくれ、と。
まぐろは増えすぎて、害獣である。

posted by T.Sasaki at 11:44| Comment(0) | TrackBack(0) | いか釣り漁業 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

かっかべ襲来

こんにちは。

前沖の夜いかも、下火になった。
なぜか、かっかべ(宮古弁で蛾のこと)の襲来も収まった。
外来船が来る前は、集魚灯を点けると、かっかべが大群で寄ってきた。
かもめもそれを食べるために、船の周りにたくさん集まってくる。
かっかべが機関室に入るのを防ぐため、送風機には網をかぶせておく。

送風機の網.JPG

しかし、網をくぐる小さいかっかべや羽は、機関室へと侵入する。
ごらんの通り、集魚灯トランスやクラッチ周辺には、羽だらけ。

かっかべ.JPG

かっかべ2.JPG

今朝、暑くなる前に、掃除機で吸い取ってきた。
もちろん、ターボフィルターからも掃除機で吸い取った。
posted by T.Sasaki at 09:16| Comment(0) | TrackBack(0) | いか釣り漁業 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年06月30日

県のいか釣調査に意味はあるのか

こんばんは。

岩手県には、漁業調査やその他の観測をする北上丸というのがある。
先日、釜石尾崎で操業中、コンマ8マイルで、北上丸が集魚灯を点けた。
いか釣調査である。
この調査に、意味があるのか。

その数時間前には、三貫島のオカ側に電気を点けた。
前日、私ともう1隻の船が操業したところだ。
この調査にも、意味があるのか。

彼らが集魚灯を消して帰港する時、釜石漁業無線局に連絡したのだが、それに続いて、私は北上丸に声を掛けた。
「どういう考えで、このような調査をやっているのですか?」と。
非常に回答に困る質問だったろうが、しかし、彼らは、ちゃんとした目的というのを持ってやっているのではなく、ただ、やっているだけの調査なのである。
カネやエネルギーの無駄遣いである。
そのことを指摘して、「いか釣り漁業者と話をしながら、調査をしたらどうか」と提案しておいた。

県の水産部署というのは、アホばかりいるのではないか、と思う。
以前、いさだ漁業許可の失効に関する件で、県庁にいたM課長と話をしたが、あの時でさえ、水産振興課という部署の目的からして、失効した許可を出してもよさそうなものを、ずっと以前の文書を持ち出してごり押しされ、拒否された。
何を考えて水産行政を行っているのか、という疑問が、そのまま何年も変化しないままなのだ。
数年前、沖底のするめいかTACに関する違法操業に関する件も、本当のところ、県の共通理解になっているのかどうかさえ、怪しい。
あんなのは、県にとって、屈辱ではないのか。

このような大不漁の原因は、自然環境に由来するとはいうが、原因そのものは、資源不足を招いた水産行政である。
水産庁の施策に対して、県が何の意見も言えないのなら、少なくとも、漁業調査で役に立とう、という考えが全くない。
他船がいない所を調査し、「タネがありますよ」でいい。
税金で動いている船は、どうやって、その税金を還元できるか、考えて動かすべきである。
posted by T.Sasaki at 18:56| Comment(0) | TrackBack(0) | いか釣り漁業 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年06月16日

ストレスがたまらないうちに、家に帰る

こんにちは。

日本海には嫌気がさして、太平洋に来た。

途中、秋田向瀬や新礁で針を下げてみたが、たまに姿を見る程度で、性格的にやってられない。
下手くそだし。
しかし、上手い、下手ということを言っていられない、次元の違う大不漁だ。

漁がない時は、休む。
漁がないから、今年は休みがいっぱい!(笑)。

また北上して、小泊沖にたくさん船がいた。
たった3個獲って、どうせ私は邪魔になるだけなのだから、10時頃、津軽海峡に向けた。
その後、いかが付きだして、夕方までには100個超の船が続出したそうだ。

大畑港に初めて入って、獲ったいかを知り合いにあげた。
一昨年までは、K丸という船でいか釣りをやっていたが、年も年だし、ということで、辞めた。
ちょうどいい辞めごろである。
この人は、お兄さんの下で、ずっと乗組員をやっていたが、そのお兄さんが突然亡くなったことから、しかたなく見様見真似で船頭として舵をとった。
昼いかはできなかったから、その分、大きなハンディだった。
でも最後は、ちゃんと自力で船を解体して、身を汚さずに辞めた。
理想的である。
どこかの誰かさんのやったような、詐欺まがいのことに比べると、雲泥の差だ。

夜が明けて、尻屋から八戸前まで調査したが、何個か獲っただけで、帰りの燃料代は丸々赤字だった。
こういうことばっかりやっていると、ストレスだらけになる。
あとは宮古に帰って、船のメンテナンスやいさだの道具の手入れなどをやって、温泉にでも行ってくるかな(笑)。
ストレスは、病気の元。
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2023年06月09日

まぐろはえ縄の期限付き限定許可

こんにちは。

あまりに漁がないので、D親分のところへ、まぐろはえ縄の見学に行ってきた。
写真や活〆や神経〆の動画をいろいろと撮ってきたが、カメラマンは下手くそで、公開できる代物ではない。
それでも、経験として役に立った。

今でこそ、佐渡のまぐろ、と言ったらD親分なのであるが、最初の頃は、来る日も来る日も獲れなくて、ようやく大物が1匹来たと思って、電気ショッカーを投入した時、外れていってガクッと来た、という想い出を、彼は語ってくれた。
D親分のところの随一の乗組員M君には、非常に迷惑を掛けてきたが、彼は優しい人柄なので、私に何にも言わなかった。
邪魔ばかりしてきたように思う。

それにもかかわらず、帰港してからは、みなと荘というところで反省会をやってもらい、非常に楽しかった。
D親分の人柄もあって、次から次へと客が飛び入り、いろいろな話を聞かされた。
しかし、最近の私は、アルコールを少し余計に飲むと、記憶に自信がない。
ほとんど忘れた(笑。昼から夕方まで飲んだだけだが)。
徳島から来ている乗組員が、アホになったのだけ覚えている(笑)。
D親分の取り計らいで、みなと荘にそのまま泊めてもらった。

翌朝、両津まで帰路で、車を運転しながら、いろいろと考えた。
するめいかの超大不漁だからこそ、経験できたことだ。
もし、30個でも50個でも獲れる確信があるのなら、遊んで歩かない。

D親分は、いか釣もやるし、まぐろ釣りもやる。
夜に獲ったするめいかを餌とし、夜明け前に、まぐろ縄の投縄をする。
特に近年、まぐろ資源の増大が顕著で、いか釣り漁業の困難さは年々増している。
D親分の場合、いか釣がダメな場合、すぐにまぐろ縄に切り替える。
この戦略は正しい。

まぐろだけ突出した資源回復は、何をもたらすか?
他魚種の減少である。
まぐろは、たくさんの餌を食べる。
まぐろ養殖では、1kg太らせるのに、13kgから14kg必要だ。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO24138410R01C17A2X11000/(「日本経済新聞」)

自然界のまぐろ資源が、どれくらいあるのか実数でわからないが、まぐろに食べられる魚の数量は、年間まぐろ資源増大量から、年間漁獲量を引いて、これに13kgを掛け算すれば、計算できる。
特に、いか類、いわし類、さば類への圧力が大きいと思われる。
これらの魚種は、一応、TACと言って、年間漁獲数量を割り当てているが、異常に多くなったまぐろの捕食分を勘案して割り当てないと、他魚種の資源回復は、まず、見込めない。
バランスよく魚類資源の増大を目指さないと、このようになってしまうのである。
国際条約ばかりを気にし、国内生産者の意見を聞かない水産庁は、無能である。

このまま同じことをやっていては、目も当てられない。
そこで、だ。
まぐろが増えすぎて、特に困っているいか釣漁業に対して、優先して、まぐろ釣りの許可を与え、TACも配分する。
ただし、まぐろ資源のバランスのとれた減少、および、するめいか資源の復活がなされた場合までの限定許可とする。
現在のところ、まぐろTAC以外は機能していないが、この辺の数値目標は、水産庁の得意のするところだろう。(笑)

という結論に達したところで、ドライブは終わった。



先ほど、D親分のところへ徳島から来た若者の話を書いたが、D親分は、たくさんの若者に漁業体験をさせて、一生懸命若者を育てている。
が、非常に難しいという。
言葉は悪いが、アホばっかりなのだそうだ。
教えてもすぐに忘れるし、言うことと成すことが違う。
元海上自衛官を乗船させた時など、日本の自衛隊を心配したほどだ。
一説には、「自衛官募集」で応募する人は、アホが相当数いるらしい(相当数と控えめに書いておく)。

その中で、前述M君は、逆に素晴らしい乗組員である。
体格は、私と同様に貧弱に見えるが、何でもやる。
ところが、悲惨なことに、今度の毒ワクチンで、1年くらい体がおかしくなって、D親分のところから去った。
運よく回復し、現在に至る。

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2023年06月05日

バラいかの成熟

こんにちは。

もう、驚き!
バラいかが、成熟している。

バラいかとは、30尾入れより小さいするめいかを、数を勘定しないで箱に入れる規格の小さいもの。
今や、これでも5000円する時代だ。
それだけ、全国的に水揚げが少ない証でもある。
30尾入れの規格は、太平洋や北海道よりも1p小さい。
ということは、太平洋の40尾入れ、ということだ。

資源状況が危機的になると、小さくても成熟し始まる、という話を聞いたことがある。
そんな中、国の指定漁業である沖底に、いつまでもするめいかを獲らせるような状況を続けていると、いか釣り漁業は、一つの産業として終焉を迎えることになる。
来年も、このまま、同じようなことをやるのだろうか。
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2023年06月01日

令和5年の日本海するめいかは、超大不漁

ふたたび、こんばんは。

今年の日本海するめいかは、異常だ。
先行するはずの石川県が、1日の水揚げで、まだ4桁の箱数が上がっていない。
もちろん、どこも漁は薄く、少し漁があっても、翌日はダメになるパターンが続く。
私は気をつけていなかったが、「第1回 日本海スルメイカ長期漁況予報」が出ている。
ショックを受けた。
4月の1調査地点あたりの平均で、1尾。
昨年の10分の1である。
これは、各地の水揚げに反映されている。

https://www.fra.affrc.go.jp/pressrelease/pr2023/20230512_surume/20230512press_srm.pdf(「水産研究・教育機構」)

お先真っ暗!
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2022年12月05日

30年ぶりくらいの手釣り

こんばんは。

今の船を造る前(30年以上前)に使っていた手釣りの道具を倉庫から引っぱり出して、ナイロン交換して使ってみた。

手釣りブラブラ.JPG

手釣りには、ブラブラ針、投げ針、さお釣りなどがあるが、写真のは、通称ブラブラ。
これに水中ライトをつけて、手でシャクる。

投げ針は、長い筒状の針にアルミホイルを透明ビニールテープで巻き、ブラブラさせないよう連結で結ぶ(普通のいか釣り機用の針のように連結で結ぶ)。
それを船から水平に遠くの海面へ投げ、シャクる。
真下に沈んできたら、何も食わなくても上げて、また水平へ投げる。
投げ針は、いわしの群れが船の周りに付いて、その中にするめいかがいる場合、非常に効率がいい。

前日、8匹でしかも、赤ちゃんするめいかしか釣れず、人のご馳走にしかならない。
その翌日は、25入れを23匹、30入れを2匹、ヤリイカを3匹。
アタリの強い時だけ、針を上げ、弱い時には、かかったするめいかを逃がす作戦。

でも、商売になるような水揚げではないから、さっさと切り上げ。
電気をハロゲンに切り替えると、赤ちゃんいかが浮き上がり、針にかかる。
こんなものを釣るより放っておけば、たぶん、どこかで大きくなり、産卵するだろう。

2日続けて、一桁の水揚げ。
そして、道具上げ。
や〜めた。
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2022年10月20日

またムラサキイカか

こんばんは。

北海道から帰ってきて、4日前の晩、前沖の夜いかで、するめいかを釣るはずが、ムラサキイカがあがった(笑)。
県の調査船みたい」は、今から4年前に書いたものだが、同じ状況。
暇なので、また、チャレンジしようと思っている。
次も赤字だったら、当分、船を休めて、別なことをやろう。

本当は、県の水技で、トロール大漁で、なぜ釣りにつかないのか、研究してほしいのだけれどね。
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2022年10月04日

昼いかの水中ライトについて

こんにちは。

昼いか漁では、水中ライトを付けて操業するのが大流行している。
付けていないほうが珍しく、近年では、非常に明るいLEDライトも発売されている。

LED水中ライト.JPG

点滅するものもあり、八戸港などでは、夜の港を彩っている。
私にすれば、あの点滅は、睡眠障害となる。

八戸にいたときは船じゅうで2個ほど付けていたが、北海道に来てからはサメの餌食となるから外して、それ以来、付けていない。
今やサメはどこかへ行ってしまい、付けてもよいのだが、これから付けないことにした。

近年、するめいかなのか、さばなのか、とにかく魚探反応が海底にくっ付いている。
通称「ねっぱり反応」という。
水中ライトを針の上端に付けると、ねっぱり反応が起き上がってきて、するめいかが針に食い付くという話である。
これが事実なのかどうかは、海底にもぐって、水中ライトを付けた場合と付けない場合とを、同じ条件で比較してみないとわからない。
しかし、そんなことは不可能である。

水中ライトを付けた場合の問題点。
針がサメの餌食になりやすい。
マグロにも針をやられやすいような気がする。
水中ライトの価格も高くなっている。

私は、水中ライトの効果を、神話だと思っている。
来年は、日本海からずっといか釣りをやるつもりだが、昼いかでは、通年、水中ライトを付けないでやってみようと思う。
これで他船との水揚げ比較し、大して変わらないようなら、神話である可能性が高い。
毎度のことだが、やってみることにする。
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2022年01月28日

するめいかのパブリックコメント

こんばんは。

先日、パブコメの要請があり、さっそく投稿した。
この背景には、どうやら、指定漁業、すなわち、沖底やまき網の思惑が働いているらしい。
詳しくは、ここ↓。

https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=550003419&Mode=0

2月4日が締め切りだそうだ。
読んでも、何が書いてあるのか、さっぱりわからない。
これが、パブコメか、というくらい難しい。
今日行なわれた小型船の別の会議で、組合長と話をしたが、彼でさえも理解するのが難しい案件だということらしい。
こんな難しいことを理解せよ、というほうが間違っているのだ。
何が目的か?
難解なことをパブコメで募集して、指定漁業のいいように法律を変えていく、ということなのである。
そこはみんなで見抜いたほうがいい。
私は、来週初めに、また、水産庁に電話するつもりだ。

まずは、何日か前の第1回目のパブコメ投稿。

水産庁という組織は、何を考えているのか、さっぱりわからない。
「禁漁水準値」という項目を設けているが、これは、まき網漁業とトロール漁業のみに使う言葉ではないか。
禁漁措置は、釣りには適用せず、大臣許可漁業のみに適用すべきものである。

昨年の太平洋のするめいか大不漁は、その前年、岩手の2そう曳きトロールが、自家消費分を、何百トンもオーバーして獲ったことにも原因がある。
ローカル群の消失である。
これは、宮古魚市場関係者なら、みんな知っている。
ばちが当たったのだ、と言う人もいるが、我々零細ないか釣り漁業にとっては、とんだとばっちりである。
岩手県に「調べろ」と進言しても、調べようとしない。
そして、私は昨年、水産庁に電話し、何度も、自家消費分のオーバーは、「違法行為ではないのか」と問いただしても、まともな回答がない(県の許可漁業に対しては自家消費分も報告を求めているくせに)。
君たちは、行政組織の人間である。
決められたことを法律や規則通りに運用する立場の人間だ。
なぜ、当たり前の回答ができないのか、
そんな人間たちに、TACの決定方法云々という資格があるのか。
トリガーもくそもない

漁業法第一条には、こう書かれてある。

第一条 この法律は、漁業生産に関する基本的制度を定め、漁業者及び漁業従事者を主体とする漁業調整機構の運用によつて水面を総合的に利用し、もつて漁業生産力を発展させ、あわせて漁業の民主化を図ることを目的とする。

「漁業者及び漁業従事者を主体とする」という部分は、「大臣許可漁業を主体とする」と読み換えていいくらいだ。
岩手県沖底組合の金沢会長は、卑怯な人間であり、小型船との話し合いを持とうともしない。
間に、あなたたち水産庁が入らないと、話し合わないという。
昨年は、私が、するめいかの過大な自家消費をやめさせるために積極的な提案を行なっても無視し、せっせと自分の冷凍庫へするめいかを入れていた。
彼は、そういう人間なのだ。
なぜ、こういう違法行為をする人や業界にペナルティがないのか、私は理解できない。
水産庁の人間は、それが、当たり前だというのか。

少なくとも、岩手県の沖底2そう曳き分のTACは、ペナルティとして、没収すべきものである。

TAC数量は、小型船の意見を最大限尊重すべきである。
もともと、漁業というものは、釣りから始まった。
漁業法の性格上、先住民主義であり、先にやっていた漁業者の意見が最も大事なのである。
小型船が栄えれば、資源は増加したことになり、それでもって、大臣許可漁業も栄えることになる。
資源が少なければ、みんなが苦しむだけだ。
特に、加工業者、それを買う一般市民まで苦しむのだ。


そして、今日、第2回目のパブコメ投稿。

昨年11月18日に行なわれた「令和3年度 スルメイカ資源評価会議」の資料によると、秋季発生群(日本海)の親魚量と冬季発生群(太平洋)の親魚量とでは、一桁の違いがある。
したがって、日本海と太平洋に分けて、指定漁業のTAC設定をすべきである。
この場合、もちろん釣り漁業は除外。
このように設定すれば、仮に、日本海北上群で、津軽海峡を通過して、太平洋が大漁になったとしても、獲らない分は、次年度のローカル群、あるいは、主群の資源増加分となる。
資源量を増加を目指すならば、追加配分ルールなどというのも廃止すべきである。


1回目は、ちゃんと実名投稿。
水産庁に「違法行為かどうか」と電話で聞いているから。
2回目は、無記名。

どうせ、今の時期、みんな暇だ。
ダメもとで、みなさんもやってほしい。

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2021年07月28日

史上最低ペース

ふたたび、こんばんは。

帰って来れば、いろんな書類が山積みになっていて、ざっと目を通すだけで2日ぐらいかかった。
その他、煩雑な用足しもあり、排気ガスを撒き散らして、行ったり来たり。

不景気のため、定期購読を中止していた週刊水産新聞を今年春からまた読むようになり、それらも目を通したが、みなさん、ご存知のとおり、するめいかは大不漁、という記事が目に付く。
現時点は、史上最低を更新するのではないか、という情勢である。
一昨年が史上最低だと思っていたが、それに比べて話にならない。

こんな状況で黙っているわけにもいかず、佐渡にいた時、水産庁へ電話して、岩手の2そう曳きのTAC運用は間違っている、と指摘した(これで2回目)が、今日は今日で、岩手県沿岸組合にも電話して、岩手の2そう曳きトロール業界と対話をもつよう努力しなさい、とハッパをかけた。
今、トロールは休漁期だから、話し合いの時間は作れるはずだ。
水産庁がいようがいまいが、問題があったら、まず、当事者同士で話し合いをするのが筋。
まずは、そう考えなければならない。

ということを、いちいち言わなければ動かないのだから、こっちのほうが疲れる。
あんなTAC運用で、するめいかが増えるわけがないだろうに。
posted by T.Sasaki at 20:39| Comment(0) | いか釣り漁業 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年06月12日

乱獲に対する漁業補償請求

こんばんは。

ようやく、なんとか赤字をカバーできるようになりつつある。
日本海への回航燃料代を稼ぐのに、2週間もかかった。
新潟近海を操業するようになって、こういうのは、初めてだ。
回航燃料代は、たいてい、その日か、遅くても3日もあれば回収できていた。

先行する石川県でも、イカ釣り船たちは非常に苦労している。
もし、このままの状態が続けば、いか釣り漁業は終わりである。

昨年秋、岩手の2そう曳きトロールのやったことを、彼らは反省するだろうか。
親魚を大幅に獲りすぎるから、子が育たない。
小型船、中型船とも、全国のいか釣り船は、2そう曳きトロールの乱獲に対し、漁業補償請求してもいいように思う。
posted by T.Sasaki at 20:34| Comment(0) | いか釣り漁業 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年05月25日

手元スイッチの増設

本日、4回目。

昨年暮れ、いか釣りの艤装のまま、鮭はえ縄をできるように、とも面舵側の側板、兼バックネットを作った。

手元スイッチ.JPG

乗り組員に相談したら、これをそのまま付けていこう、ということになったが、そこで、要求される。
いか釣り機の手元スイッチを増設してほしい、と。
彼は私に要求が多く、そのわりに、それを設備する際、あまり手伝わない。
ましてや、たまに無理な要求されたりすることもあり、そういう時は、「ダメ」の一言で終わる。
小型船の造作には、こっちのほうに年季が入っている(笑)。

しかし、今回は、まあ、彼の言うことも理解できるから、船尾のいか釣り機と2台分、増設した。

ところが、・・・・。
八戸で付けてもらったはいいが、手元スイッチの線が短すぎる。
ぶら下げる場所まで一直線でようやく届く状態。
純正品の半分よりは少し長いが、とにかく短い。
そこで、送ってもらって、結局、取り換え工事は、ワタシ。

あ〜、なぜ、私から、こんなに時間を奪うのだ!

フタを取りはずし、一応、間違いないように、写真でパチリ。

手元スイッチ2.JPG

側板といか釣り機の間に挟まりながらの作業は、窮屈だった。
こんなことばっかりやって、肝心の魚を獲らないんだから、私は間違っている。


posted by T.Sasaki at 13:18| Comment(0) | いか釣り漁業 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ケブラーロープ

ふたたび、こんにちは。

今度は、ケブラーロープ。
私がディンギーに乗っていた時代、高校だったか高校だったか忘れたが、その当時、ケブラーのシート(ヨットではメインシートとかジブシートとか、セールを操るロープをシートという)を使い始めた。
確か、1本1万円はしたと思う。
強度はワイヤー並みで、伸びない、という利点があった。

そして、いさだ漁期中、つり上げボンブのワイヤーの話になって、乗組員の一人は、ワイヤーの代わりに、ケブラーロープを使ったことがある、と。
そこで、いか釣りの長いほうの流しの張りロープを、ケブラーを使ったらどうか、という話になり、ほぼ「いい」という意見に固まる。
今まで、張りロープはハイクレーを使っていたが、どうしても伸びてきて、何度も結び直さなければならなかった。
そのため、ワイヤーを使っている人もいる。
しかし、そうなると、ワイヤーのほか、流しをたたむためのロープも必要になる。
そこで思いついたのが、ケブラーロープである。

ケブラー.JPG

これが送られてきたケブラーロープ。
八ツ打ちでも嫌なのに、十二打ち!
非常に甘い撚りで、端止めしてあるテープを取ると、バラバラと撚りがほごれる。
端を焼いても、溶けずに焦げるだけ。
だから、アイを作る場合、各ストランドの端をテープで止めるしかない。
あ〜、面倒くさい。

いつも手伝ってくれる定置網の乗組員に、十二打ちのさし方を教示してもらったら、八ツ打ちと同じ要領でいい、とのことで、チャレンジ。
最初に、左側から。

ケブラー2.JPG

次に、右側。
先ほどさしたストランドが、次にかぶさるように。

ケブラー3.JPG

出来上がりがこれ。

ケブラー4.JPG

ケブラー5.JPG

正解かどうかしらないが、とにかく面倒くさい。
八ツ打ちのようにリズムよくできないが、最後のほうにようやく慣れてきた。
が、次にやる時は、きっとまた悪いリズムで、「面倒くせえ」と文句を言いながら、さすに決まっている。

ケブラー6.JPG

東京製綱繊維ロープ製で、エースラインという製品。

https://www.fiber-tokyorope.jp/products/cat3/(「東京製綱繊維ロープ株式会社」)

私は12oを使ったが、強度はもっと細くても十分だろう。
ただ、乗組員が流しを起こす時、細いと手が痛くなる、というので、太くした。
高かった〜。

何度も問い合わせてくれたり、行ったり来たりしてくれたアサヤ宮古支店のN君には感謝します。

たった8台分のアイスプライス加工をするのに、丸一日かかった。
細い糸で端止めする手もあったが、超甘撚りのため、端止めはアイスプライスが確実だと思うので、結局、両端をやった。
そのため、長さが1mほど足りなくなり、高価なロープのため、涙が出てきた。
まあ、初めてのことなので、こんなものだろう。

posted by T.Sasaki at 11:28| Comment(0) | いか釣り漁業 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年11月05日

佐渡のするめいか規格

ふたたび、こんにちは。

昨年もこのことを書いた(「友だちの嘆き」参照)が、今日は、佐渡島の将来に対する要望である。

佐渡の地元船は、この規格をちゃんと守っている、というので、私の船も右にならって、ちゃんと並べた。
一方、県外船は、いつもいるわけではなく、代わる代わる入港してくる船もあるので、必ずしも規格通り、いかを並べているわけではない。
中には、故意に小さくならべ、大きな規格のするめいかをたくさん出して喜んでいる。
本人たちは無自覚かもしれないが、地元船が、佐渡産のいかをいいものとして売り出したい心境を考えると、私は、それを良いことだとは思わない。

八戸港の魚市場は、昨年までは、八戸みなと漁協市場と八戸魚市場の2つがあったが、八戸みなと漁協市場は撤退し、八戸魚市場だけになった。
そのため、規格指導をしっかりやるようになったそうだ。
以前は、指導すると、別のもう一つの市場へ鞍替えする船がいたりしたので、思い切った指導ができなかったが、今はそれができる、という強みがあるのだろう。
これにより、八戸魚市場のするめいかの値段は、良くなったように思う。

佐渡市場も、佐渡島の漁協連合体による経営なのだから、地元船が、「ちゃんと規格を守れ!」と指導してよい(「するめいかの規格」にあるように文書を配る)。
もし、小規格化が進めば、安値安定が常態化してしまうかもしれない。
新潟魚市場が、残念ながら、そうなってしまった。
以前は、新潟の単価は、日本海でも高いほうだったが、今や、日本海で最低にランクするようになってしまった。

これは、仲買人にも責任の一端がある。
以前にも書いたことだが、良いいかも、悪いいかも、ほとんど同じ値段で買ったからだ。
良いいかと悪いいかの値開きをもっと極端にしないと、良心的な漁業者でない人は、どんどん小規格に並べていき、甚だしいのは、下氷が見えたり、それを隠すため、もう1匹並べたりと、いろいろとやり始める。
もうこうなると、詐欺師に近い。

これを防ぐためにも、佐渡地元船は、一致団結して、規格を遵守するよう、県外船に求めるべきである。
posted by T.Sasaki at 16:34| Comment(0) | いか釣り漁業 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年10月30日

サンメイイカ釣り機を壊さないために

ふたたび、こんにちは。

サンメイいか釣り機のただ一つの弱点、それは、頻繁にグリスをひかなければならないこと。
これは構造上の問題であるから、しかたがない。

サンメイイカ釣り機.JPG

サンメイいか釣り機は、ドラムをつけるシャフトに直接トラバースがついている。
それをモーター減速機からのチェーンで動かす。
そのため、1軸駆動である。
一方、ライバルメーカーのはまでいか釣り機は、ドラムをつけるシャフトの下に、トラバースがあり、それをチェーンでつないでいるので、モーター減速機から直接シャフトをまわしているわけではない。
すなわち、2軸駆動である。
ここが、はまでとサンメイの違いである。

サンメイのいかとりくん2000とSXは、モーターをダメにしてしまうことがよく起こった。
これは、グリッスアップ不足によるものである。
シャフトにトラバースを止めている六角ボルトは、2点(両端で4点)であり、それも対角にあるわけではない。
したがって、トラバースは、ほんの少し楕円を描いて回転する。
シャフトの芯が狂っていると、トラバースのコマが入っている軸受けに当たってしまい、摩擦熱も発生して、すぐにグリスは切れてしまう。
これでトラバースは熱膨張して、余計にモーターに対して負荷が大きくなる。
だから、モーターがダメになったいか釣り機のフタをあけて中をのぞいてみると、トラバースが錆びたような状態になっている。
ユーザーのグリスアップ不足が原因である。
この楕円回転をなくすために、新型のサンメイいか釣り機(青い機械で、型番は知らない)は、六角ボルトを3点止めにしたようだ。
それにより、芯が狂うこともなくなり、グリスの切れもなくなったようだ。

しかし、トラバースのついたシャフトは、所詮、いか釣り機両側のブッシュが受けている。
ブッシュが減ってくると、芯は、必ず、下がる。
このブッシュの消耗を放っておき、芯だしをしないと、同じようにグリスが切れてしまう。

一方、はまでのいか釣り機は、トラバースとシャフトは独立しているから、ブッシュが減ったとしても、モーターへの負荷が大きくなることはない。
トラバースの両端は、ちゃんとベアリングで受けている。
チェーンにグリスがある限り、モーターが壊れることはない。

それでは、なぜ、サンメイがこのようにしたか、というと、おそらくは軽量化にあると思う。
プラス、構造の簡素化、それによるモーターの機敏な動きをドラムに伝えること。
まあ、一長一短、ということか。

今や、いかを釣る能力は、これ以上、伸びることはない、と思う。
これからは、安全面やトラブル防止の機能の向上が求められるだろう。
(私は、サンメイに画期的なアイディアを提供しているのだが、なかなかできない。これができれば、いか釣り機械のシェアが逆転する可能性もあるのだが。ソフト開発の問題である。)

私は、サンメイSXをオーバーホールして、今年で2年目である。
八戸の正和産業にやってもらった。
芯だしが非常に上手で、2年目でも、グリスアップが少なくて済んでいる。
新台で買った時より、優秀だ。
つまるところ、メーカーの芯だしのほうが、正確ではないのだろう。
大メーカーは、町工場から学ぶところは謙虚に学んで、良い製品を作ってほしいものである。

とにかく、サンメイユーザーは、トラバースのグリスアップを怠らないこと。
また、ブッシュの消耗を防ぐため、シャフトのグリスアップもちゃんとやること。
特に、秋から冬にかけて、乾燥しやすいから、余計に注意を払わなければならない。
そして、5年に1回ぐらいは、オーバーホールしてもらうこと。
それがどうしてもできない、というならば、せめて、ブッシュ交換と芯だしはやってもらうこと。

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2020年10月25日

4県協議に意味はあるのか

こんにちは。

この新潟、山形海域は、するめいか漁において、4県合意(正式名称は知らない)というのが存在する。
4県とは、石川、富山、新潟、山形である。
私が新潟魚市場に水揚げしていた頃、新潟海区で何かあれば、難癖をつけてくるのは、常に石川県であった。
しかし、彼らは、新潟県や山形県が不漁で苦しんでいても、何も手を差し伸べることはしてこなかった。
クレームをつけるのは、一人前なのに。

今年、不漁予測でも、石川県では、大漁が続いた。
毎日4万ケース水揚げされ、そうなると、当然、単価は下がる。
大漁の石川県は、単価が少々下がっても苦にしないが、まだ漁がなくて四苦八苦している新潟や山形で単価が下がるのは、致命的だった。
それでも石川県では、そんなことはお構いなしだ。

不思議に思うのは、このするめいか資源不足の中、この4県は、漁獲上限を増やしたていること。
以前、私がまだ新潟にいた頃は、5トン以上10トン未満の上限漁獲は、250箱であった。
しかし、現在は、300箱である。
一方、岩手県では、5トン以上10トン未満の上限漁獲は、350箱から250箱へと減らしている。
資源不足なら、漁獲上限を減らすのは、論理であると思うのだが、この4県にやっていることは、意味がわからない。
結果をみれば、石川県の水揚げが突出している。
自県沖合の大漁のため、上限漁獲を増やしたのではないか、と疑われてもしかたがないだろう。

ここで、新潟県や山形県は、4県協議に参加する意味があるのかどうか、考えなければならない。
石川県と新潟、山形では、いか釣りに関して、かなり文化が違う。
特に、近年、これほどの格差がついてしまうと、いちいち4県協議なんか、しなくてもいいと考えるのが筋ではないのか。
石川県のいいなりになっていると、新潟、山形の各漁協、及び、所属漁船、外来船は、苦しくなる一方である。

新潟県と山形県は、4県協議から脱退すべきである。
自分たちの生活を守るためにも、これは必要なことである。
posted by T.Sasaki at 10:05| Comment(0) | いか釣り漁業 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年10月23日

新潟漁協の命運

ふたたび、こんにちは。

佐渡島の命運」で佐渡汽船のことを書いたが、ここで、瓢箪礁、向瀬、ヒラ瀬などの沖合漁場で釣ったするめいかを、佐渡汽船で運ぶことは必要なことだ。

これらの漁場で釣ったするめいかを、小型いか釣り船が新潟港まで運ぶのは、体力的にも金銭的(燃油代)にも負担が大きい。
近年、特に、二酸化炭素抑制策を進めるため、燃油代の節約は必要なことである。
一方、佐渡汽船は定期便である。
必ず運航されるから、空荷は避けたい。
だから、沖合にするめいかの漁場が形成された場合、すべてのするめいかを佐渡汽船の積んで運ぶ。
これにより、明らかに、全体的な燃油の節約になるだろう。

こうなると、困るのは、新潟漁協市場になってしまう。
中瀬や佐渡海峡に漁場ができれば、新潟港のほうが有利になるが、それでも、通年を考えると、明らかに沖合漁場のほうが釣れる。
新潟漁協市場もつぶすわけにはいかないから、残るは、漁協合併して協力し合うしかない。
どっちみち、新潟県には、漁船が少ない。
青森や岩手に比べれば、あまりに少ない。
だから、新潟県漁協とし、新潟漁連も吸収すればいい。
これにより、すべてが解決されるように思う。

新潟県にとって必要な佐渡島、そして、佐渡汽船を中心に考えたら、こうなってしまった。
大風呂敷と思って読んでいいが、私は、大風呂敷とは思っていない。
奇跡の10月」にあるように、「新潟にいた頃は、ただの島にしか見えなかったが、今や、愛着が湧きつつある」から、ついつい、いろいろなことを考えてしまう。
私のことをバカだと思って差し支えない。

posted by T.Sasaki at 19:40| Comment(1) | いか釣り漁業 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

佐渡島の命運

こんにちは。

佐渡島の生命線である佐渡汽船が窮地に陥っている。
普通なら、倒産してしまう事業内容である。

https://www.sankeibiz.jp/business/news/201014/bsd2010140700001-n1.htm(「SankeiBiz」)

https://www.niigata-nippo.co.jp/news/economics/20201017575355.html(「新潟日報モア」)

このことを、地元のS丸と県外船K丸に話をしたら、「大丈夫、どこからかカネが来て、ずっとフェリーは動くよ」と楽観的である。
彼らは、どちらも引退間際の船頭であり、往々にして、年配の人ほど、「誰か助けてくれるさ」的に考え、自分たちで何とかしようという気概に欠けている。

佐渡島は、新潟県にとって、自慢の島である。
世界農業遺産にもなっているし、金銀山の世界遺産登録も目指している。
そこで、私は提案する。
農産物の宣伝のやり方である。
新潟県のこしひかり、特に、魚沼産こしひかりは、知名度日本一である。
これを引っ込めて、佐渡産こしひかりをトップブランドとする。
新潟、といえば、佐渡産こしひかり。
なぜ、こんなことをやらねばならないか、というと、米に代表されるような農産物を、少しでも多く、佐渡汽船を使って運ぶ、ということだ。
とにかく、佐渡汽船をどうやって使うか、ということ。

私は、釣ったするめいかを佐渡市場に水揚げしているが、これらは、佐渡汽船を使って、新潟県各地を運ばれているだろう。
全国的に漁がなければ、高値で買い付けられ、東京市場へと送られる。
だから、県外船を誘致して水揚げを増やし、それをフェリーで運ぶ、ということを考えなければならない。
なぜ、県外船か、というと、地元いか釣り船は、あと5年もすれば、高齢化により、5隻くらいしかいなくなるからである。
ところが、地元船は、県外船が少なければ、漁が少なくなるから高値で売れる、ということしか考えていない。
その考えもわからないではないが、島の今後のことを想うと、そういう呑気なことを言ってられない状態ではないか。
2000ケースから3000ケース水揚げしたからといって、せいぜい大型トラック3台程度で、佐渡汽船に対する貢献度は大したことはないかもしれない。
しかし、事業というのは、そういう小さいものの積み重ねで成り立っているのである。

佐渡島では、毎年、1000人ずつ人口減少が続いていると言われる。
現在もそうなのかどうかはわからないが、そうなると、島民のフェリー利用というのは、減少していく。
結果、佐渡汽船の生命線は、観光客と物流の二つしかないのである。
いかに観光客を増やし、物流を増やすかに、佐渡汽船、佐渡島の命運はかかっている。

佐渡汽船がフェリーをやめた時、佐渡地元いか釣り船は初めて、新潟港に入港するいか釣り船の気持ちがわかるだろう。
毎日、往復80マイルから100マイルも寝ないで走って操業し、いかを新潟へ運ぶ。
今でもいい。
佐渡の地元いか釣り船は、これを1か月もやってみればわかることだ。

これは、新潟のA親分が言っていたことだが、佐渡島へ落ちてくる国や県の補助金を、佐渡島の人たちは、当然のことと思うだけで、本土側に協力するという姿勢が少ない、という。
私も、そのことを感じる場面がある。
少なくとも、感謝の意を口にしてもいいと思うのだが。

結局は、佐渡汽船も、国や新潟県の税金を使って存続されるだろう。
これに対し、「ありがたい」「何かに協力する」というように返礼できなければ、人して最低である。


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2020年10月22日

奇跡の10月

こんにちは。

今から7年前、津波の2年後、平成25年に、奇跡の11月と言われる前沖のするめいか大漁があった。
この時、11月にしては天候に非常に恵まれた。
そうでなければ、奇跡とは言えない。
11月ともなれば、黒崎沖でさえ、2日に1日、漁ができればいいほうなのだから。

そして、ここ佐渡沖でも、奇跡が起きた。
何と、1週間毎日操業できた。
私は日曜日に休んだが、休まない船は、10日連続で操業した。
10月の日本海で、こんなことは奇跡だろう。

3年くらい前までは、まさか、私自身、日本海にいるなんて考えられなかった。
私が30歳くらいまでは、10月といえば、鮭が釣れ始まる時期だった。
解禁初日の10月16日から釣れたこともあった。
それが、今や、定置網ですら、鮭の大不漁に悩んでいるのだから、はえ縄など商売にできるような状態ではない。
こんな状況では、鮭漁から撤退するしかなく、また、太平洋各地も、するめいかの漁はパッとしたものではない。
たまたま、船の向いた先に漁があった。
ただそれだけだ。
だから、令和2年の奇跡の10月としたい。

ヒラ漁場からの佐渡島.JPG

これは、ヒラ漁場からの撮った佐渡島。
新潟にいた頃は、ただの島にしか見えなかったが、今や、愛着が湧きつつある。
新潟の人たちや新潟入港船から、「戻ってこい」と言われたりするが、D親分に恥をかかせるわけにはいかないから、せめて、3年目の来年までは、佐渡へお世話になることにする。
その後は未定だが、たぶん、佐渡にいると思う。
(としてしまうと、新潟のI親分が、「新潟を見捨てるんですか?」と言い始める。酔っ払うと、こんなことをみんな言い始める)
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2020年08月23日

大集結の八戸沖

こんにちは。

八戸沖の昼いかは、たいして漁もないのに、船だけは非常に多い。
日本海から帰ってきた初日、私は成績が悪く、21箱しか水揚げしなかった。
この日の平均が33箱だったように、極めて漁が薄かった。
翌日からは50箱以上は水揚げしており、盆前後は、100箱くらいは釣れた。
盆過ぎ、一気に船が集結して、この海区に、250隻、いや、300隻近い船がいるかもしれない。

いか釣り船のレーダー画像.JPG

3日ぐらい前には、八戸入港は85隻であり、三沢でも80隻を超えていると聞いた。
北からは、泊や白糠からも来るし、南からは久慈からも来る。
理由は、北海道や津軽海峡で、ほぼ皆無に近い状態であるから、たいした漁でもない八戸へ集結しているのである。
常連以外の船が、今年は非常に多い。
しかたがないことだが、こうなると、分け合って、1隻あたりの水揚げが少なくなる。

そこで、一昨日のように、まき網漁船が、一気に100トンのさば混じりのするめいかを水揚げすると、小型いか釣り船は、ますます苦しくなる。
まき網漁船は、いわしやさば、まぐろなど、他の魚種で儲かっているのだから、するめいかを獲るのを遠慮すべきである。
TAC制度導入以前は、獲ってはならん、という魚種だったのだから。

TAC以前は、専獲はダメだが、するめいかの混獲は認められていた。
しかし、95%するめいかでも混獲と認められた。
そのことを水産庁の漁業調整官に問いただしても、まともな回答をできないでいる。
これでは、TAC制度を決めた当時の水産庁は、犯罪まがいのことを行ったことになる。
だから、ある会議で、漁業調整官に「その退職した連中の退職金を返還させろ」と私は叫んだことがある。
まわりからは、発言を止められた(笑)。
posted by T.Sasaki at 13:12| Comment(0) | いか釣り漁業 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年08月09日

佐渡から逃げてきた理由

こんにちは。

佐渡から、いきなり八戸で操業している。
もちろん昼いか。
来た日が、ほぼ赤字みたいな漁であり、翌日からそれでも、50箱以上は獲っているが、昨年より、悪いような気がする。
盆まであと3日。
50個ずつでもいいから、何とか獲れてほしい。

ここでちょっと、佐渡で聞いたこと。
私たち県外船は、佐渡島の6マイル以内で操業できないことになっている(事務局によると、この6マイル制限は平成19年からであり、確かに、私が新潟へ行き始めた頃は、制限はなかった)。
保護海域と称しているが、保護海域なら、地元船も操業自粛すべきだと思うが、結局、海を保護しているのではなく、地元船を保護している、という規則である。
最初から、「地元船保護のため」と書けばいいのに。
凍結船、すなわち、中型いか釣り船にも、この佐渡周辺には制限があり、7月20日までは、島から20マイル以内を操業できない。
しかし、7月20からは、島から5マイル以内で操業できない。
ここで疑問点。
なぜ、中型いか釣り船の制限は5マイルなのに、小型いか釣り船は6マイルなのか?
さらに、中型いか釣り船は昼夜操業をするが、小型船には、6時出港という制限を加えている。
これでは、まるで、小型船より中型船の肩を持っているようなものである。
佐渡のいか釣り組合の会長に、このことを少しきつく電話で言ってきた。
来年、改善されていることを望む。

私が八戸へ移動する頃、昼いかはまったく釣れず、夜のみとなる。
佐渡島6マイル以内の海域が大漁であり、6マイルの外は、瓢箪礁と佐渡島の間の一部だけに漁があった。
自分は20箱でも、隣の船は200箱とか、そんな極端な漁である。
場所取りのために、早く出港し、当たりは、1隻か2隻。
私の出る幕ではなく、さっさと八戸に来た。
私は、どちらかと言えば、余った場所で操業するほうなので、こうなると、大漁できない。
posted by T.Sasaki at 15:55| Comment(0) | いか釣り漁業 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年12月10日

新聞は、ウソをつく

再び、こんばんは。

先週土曜日の岩手日報に、「サンマ史上最低見通し」という見出しの記事があった。
この記事の下ほうに、小さく、「イカや秋サケも不漁深刻」という記事があり、これを一部転載する。

 今年のスルメイカの4月〜10月の漁獲量は1万4千トンで、記録的な不漁となった前年同期より、さらに2割少ない水準に落ち込んだ。産卵場所である東シナ海の水温低下などの影響が指摘される。
(2019年12月7日付け「岩手日報」2面)


これは、ほら吹き記事である。

するめいか資源にとって、今年度の東シナ海は、好環境だった」で書いたとおり、今年の東シナ海は、するめいかが増えるのに、適した水温だったのである。
だから、これを書いた記者は、取材していないで書いたか、トロール業界からカネをもらっているか、どちらかである。
記事のことは、すでに、久慈の親分と話をし、私が岩手日報に談判することになった。
電話をした結果、これは、岩手日報が書いた記事ではなく、共同通信から配信記事なのだそうだ。
電話で対応した人は、「伝えておきます」と言っていたが、・・・。

それなら、最初から、「共同通信」と引用先を示せよな。

新聞業界、大丈夫か?
posted by T.Sasaki at 21:24| Comment(0) | いか釣り漁業 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年10月06日

友だちの嘆き

こんにちは。

ラグビーワールドカップ日本代表の快進撃は続く。
このまま決勝まで行ってほしい。

本当は、その話題の電話を、新潟にいる友だちとしていたが、途中から話題が変わった。
彼は、私の船よりも大きないか釣り船に乗っているのだが、するめいかを箱に並べるのに、大きな不満や不安を抱いている。
これは、彼に限ったことではなく、みんなそうなのであるが。

いかの定規.JPG

この写真は、するめいかを箱に並べる際、20尾入れ、25尾入れ、30尾入れ、というような規格を示す定規であり、各県、各市場で配布しているものである。
新潟県のものは、石川県、山形県と共通の規格であり、宮古魚市場のものは、北海道から青森県、岩手県の共通の規格である。
この二つの定規を比較すると、25尾入れより小さい規格は、新潟県のものは、1p小さい。
ということは、同じ規格なら、北海道、青森県、岩手県のするめいかを買ったほうがお得、ということになる。

ところが、実際の現場は、規格など無視し、恐ろしいほど小さく並べている。
そのことを、私の友だちは嘆いているのである。
彼は、「これは詐欺だ」とまで電話で言っていた。
その彼も、しかたなく小さく並べていて、「心が痛い」とも言ったいた。
その他ほとんどの船も、そのように小さく並べているのであって、各産地とも、小さく並べられたするめいかであふれている(大不漁なのだから、あふれている、という表現は適切ではない)。
なぜ、そのようなことをやり始めたのかというと、小さく並べれば、その分、値段の高い規格の箱が多くなり、なおかつ、1箱あたりの尾数も減減り、箱数は増えるから。

極端に「いかに小さく並べるか」という競争をしている強者もいる。
「これ以上はいくら何でも無理だ」という人は、まだいいほうであり、明らかにバラするめ(40尾入れ以下の規格)を作らないで、それらをすべて30尾入れにしてしまう、ということをやっているのだ。

先日、佐渡沖で、まぐれで140個とった時、彼の乗っている船の船頭から、「その分量なら、180個は超えているよ」という話を聞いた。
しかし、私は、そのように並べるわけにはいかない。
佐渡魚市場のするめいかの商品価値を下げたくないために、地元船が真面目に規格を守っているからだ。
既出の組合長の船は、ちゃんと規格を守っていて、さらに、下氷にすると、するめいかは短くなるから、少し大きめに並べているという(私は短くなっていないと思うのだが)。
実際に、彼のするめいかは、佐渡市場では、常に最高値である。
一方、外来船の中には、ひどい船があるのだそうだ。
これは、現状を市場から聞いた組合長が嘆いていたことである。

私の母港である宮古魚市場では、みんなしっかり規格を守っているし、おそらくは、岩手県の市場は、そうだと思う。

がっかりしたのが、するめいか日本一の水揚げを誇る八戸港である。
私は、市場を信じて、全量、真面目に規格を守って並べていた。
少なくとも、8月までは。
しかし、市場発表の相場を見ていると、真面目に並べている割に、高値はとれないし、中値より安い時もある(それでも高値のほうだが)。
あきれ返って、箱屋の助言もあり、新潟規格で並べてみた。
それでも、市場発表の規格の割合を見ると、自分と比較して、みんなとんでもなく小さく並べているのがわかるのである。
だから、すでにここでも、「いかに小さく並べるか」を競っている。

ここに、八戸の市場の相場を示す。

http://jf-hachinohe-m.or.jp/freepage_13_1.html(「八戸みなと漁協」)

このような買い方では、みんな「小さく並べる」競争をするのである。
ここで、20尾入れの規格外のいかを、25尾の高値の半値で買ったとしたらどうだろう。
それならば、みんな真面目に並べ始めるはずだ。
ある産地市場では、地元のいかの商品価値を下げたくないために、規格外のいかをすべて700円で買ったという話も聞いた。
平均3000円している時にである。
それくらい、痛い目に遭わないと、「小さく並べる」競争は、おさまらない。

日本人には、ほどよい良心というものがある。
「いくら何でもそこまでは・・・」
私の船の乗組員や私の友だちは、みんなそういう心を持ち合わせている。
しかし、そういう心を持ち合わせてないのかどうかわからないが、極端な人がいるのは事実であり、これは、日本人としての人間性を疑うものである。

いずれにしろ、これを修正できるかどうかは、産地市場の方針と仲買人たちの買い方にかかっている。


posted by T.Sasaki at 10:50| Comment(0) | いか釣り漁業 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年10月05日

今度は組合長と会う

こんにちは。

今は、すでに八戸に帰ってきているが、佐渡遠征に行った理由は、二つある。
一つは、9月末にしては珍しく、凪がずっと続く週間予報であったこと。
八戸から岩手沖でのするめいかは、かなりの薄漁であり、100個獲る可能性は、ほぼゼロに近い。
それに比べ、佐渡近海だと、いくらか可能性は残っている。
短期で行って帰ってくる燃油代を考えると、大失敗を覚悟していた(なぜ短期かというと来週末には、私の地元のお祭りがあるから)。
下前港から八戸に戻るか、それとも佐渡へ行くか、の判断は、このように難しかった。
結果は、100個超えを2回ほどやったから、まあまあの成功といえる(最低48個)。

もう一つの理由は、懸案の出港時間制限の話(「失意のまま佐渡を離れる」参照)。
今度は、姫津漁協の組合長と話しをしてきた。
高千に入港して、D親分と飲んでいた時、私が「組合長と話しがしたい」とポロっと言った。
D親分は、「じゃあ、明日行きますか?」と簡単に言う。
まさか、知らないよそ者に、組合長という地位のある人間がすぐに会ってくれるとは思っていなかったが、翌日、D親分から電話があり、「午後行きますよ」という話。
これには少し驚いた。
自宅まで行って、お茶とコーヒーをいただいてきた。

想像していたよりも、穏やかな人であり、いい人であった。
そこの息子さんも、非常にいい人。
組合長は、東日本大震災の時、気仙沼に炊き出し支援に来たそうで、ますますいい人。

その週の日曜日、彼は、両津に何かの用事があったついでに、私の船の所まで来て、1時間くらい雑談していった。
佐渡の漁業者のことなど、裏話をいっぱい聞いた。
人は見かけによらないもので、つくづく私の眼力のなさを痛感した。
こんなこともあり、今回の佐渡遠征は、非常に有意義であった。

出港時間制限の撤廃に関して、私はもうこれ以上のことはできない。
あとは、来年度のことを、地元漁業者や関係者がどう考えるか、にかかっている。

3度も佐渡まで行くなんて、以前なら「狂気の沙汰」と言われてもしかたがないが、実は、それをやっているのは私だけではない。
それでも私は、行く先でいくらか漁をしているからいいようなものの、道東から日本海まで行ったり来たりで、漁にあたらない船もあるそうだ。
みんな苦しんでいる。
小型いか釣り業界は、もがき苦しんでいる、と表現したほうが適格だと思う。

もがき苦しみながら、再び、私はハシ針の修行である。


posted by T.Sasaki at 12:36| Comment(0) | いか釣り漁業 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年09月19日

箸針

こんにちは。

いか釣り漁業を何十年やっていても、まだまだ修行中である。
今月は、針交換ばっかりやっている。
箸針(ハシパリ)を使ってみたり、ガラ針(ガラパリ)を使ってみたり。
そして、また箸針を巻いて。
その箸針が、15年以上前に使ったものであるため、すでに時代遅れになってしまっていた。
隣に着いた船の親方には、バカにされた。
それで、また、箸針を作り直して、巻いた。

箸針.JPG

これで、せめて、先生たちの70%くらい獲れれれば、成功といえる。
今までは、「箸針はもう使わないだろう」と考えていたが、とにかく、漁が薄くなっている現在、この針を使えるようになったほうがいいと思い、いろいろと勉強している。
posted by T.Sasaki at 17:11| Comment(0) | いか釣り漁業 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年09月05日

非力ないか釣り漁業

再び、こんにちは。

これを見てほしい。
八戸みなと漁協の水揚げ相場である。

http://jf-hachinohe-m.or.jp/freepage_13_1.html(「八戸みなと漁業協同組合」」

いか釣り漁業というのは、非力であることがわかると思う。
トロールの木箱は20kgだから、3000箱を掛け算すると、60トンである。
いか釣りの発砲入りのスルメイカは、5kgとされているから、これは、12000箱に相当する。

まき網漁船のするめいかは、マジリである。
これに何割まじっているのかは、あまり公開されない。
これを、みんなにわかるように公表すべきだ、と、先日の意見交換会でも指摘されている。
9月3日までは、順調に、マジリを獲っていたが、最近、獲り尽くしたのか、水揚げが減少した。

この相場のページを観察するだけで、いか釣り漁業が資源に対し、優しい漁法であることは理解できると思う。
逆に、法律の定めるところによる指定漁業、すなわち、国の管理するまき網漁業とトロール漁業は、漁法としては、資源に対し、非常に大きな脅威である。


このことを、水産庁が理解できないわけがない。
posted by T.Sasaki at 16:55| Comment(0) | いか釣り漁業 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

するめいか資源にとって、今年度の東シナ海は、好環境だった

こんにちは。

先月24日、盛岡で、再度、水産庁と「するめいか資源に係る意見交換会」が行われた。
結論から言えば、何の進展もなかった。
特に、岩手県の2そう曳きトロールとの漁業調整について期待したのだが、ただ話をしただけ、だったようだ。
時間の無駄。
最初から荒れ模様の会議であったが、一応、研究者の話もまじえて報告する。

昨年暮れから今年初めにかけて、東シナ海の水温分布は、するめいかの産卵に良い環境であった、と報告された。
しかし、今年の漁は、昨年よりさらに悪い。
その原因は、親魚不足である。

このブログでも報告している通り、昨年暮れに八戸で行われた「スルメイカ資源の意見交換会」では、秋に三陸沖に回遊するするめいかは、南下するか、しない場合は、津軽海峡を通って、結局は日本海へ戻って行って、南下し産卵する、としていた。
これは研究者らの共通認識であるようだ。
このことを前提として、私は、質問した。
秋に2そう曳きトロールがするめいかを獲らない場合、東シナ海の水温状況が良好だったことから、資源はきっと増えた、と考えていいですか。
研究者は、「その通り、増えると考えます」と言った。
そこで、今度は、水産庁の職員に向かって、「聞いての通り、あとは、漁業調整をどうやるかにかかっています。どうですか?トロールを管理しているのは、水産庁なのだから、ここのところを獲らないよう調整すべきではないですか」
しかし、これに、応えることは、もちろんない。

今年度は、するめいかの産卵海域は、非常に好環境だったのだ。

もう一つ、みなさんに報告することがある。
5月から6月頃、下北半島の尻屋沖で、八戸のトロール船が、非常に小さいするめいかを獲ってきて喜んでいる。
あれをどう考えればいいのか。
いいことではないと思う。
何かの関連で、「あの時期に尻屋にいるするめいかは、ローカル群ではないのか」と聞いたところ、あれは、東シナ海で生まれたするめいかが、はるばる回遊してきた、との回答であった。
これには、参加者は、みんなびっくりしていた。

本当にそうなのか。

春先の水温が低い時期に、岩手のいさだ漁では、小さいするめいかが混じることがある。
このことは、漁業者ならみんな知っていることである(今年のは、調べてもらったら、ひいかだったようだ)。
だから、低水温でも、するめいかは生存しているのは確かだ。

するめいかの研究は、まだまだ雲をつかむような話の段階なのかもしれない。

事前に、いか釣り部会と水産庁との間で意見交換した話から、ぜんぜん進んでいなかった(4月に行われた「水産庁は、現状維持が大好きなようだ」参照)。
漁業者側からの意見は、ほとんど、事前に意見してあったものである。
だから、わざわざ八戸から出向いた人たちは、怒っているそうだ。
怒りの矛先は、いろいろとあるようだが、準備不足で意見交換会に臨んだ水産庁が、私は一番悪いと思う。




以上が、報告である。
私は、重要なことを、もう一つ質問して、水産庁側の回答に頭がカッとなってしまったが、そのことは書かない。
これは、またあとで使えるものである。
その他、2つくらい、会議で言わなかったことがある。
ここで先のことを書いてしまうと、へんな理屈を用意する人たちもいるから、今後、そのようなことは書かず、報告だけをする。
特に、権力に対する場合は。
いさだ許可に関する顛末でも、言っていないことも、ある。

心の中には、誰しも、強いものに対して、牙をもっているのである。

posted by T.Sasaki at 16:41| Comment(3) | いか釣り漁業 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする