日本の漁業が崩壊する本当の理由 片野歩

世界中で魚類資源が増えているのに、日本だけが減っている。
この現実を、恥ずかしいと思うべきである。

日本の漁業が崩壊する本当の理由.jpg

すべての漁協組合長、理事、参事、そして、任意の漁業団体の会長以下すべての役員たちは、この本を読むべきだ。
読みたくないならば、「日本の漁師は大バカものだ」を参照すること。
これを認識できないならば、役職に就く資格はない!

2022年12月05日

30年ぶりくらいの手釣り

こんばんは。

今の船を造る前(30年以上前)に使っていた手釣りの道具を倉庫から引っぱり出して、ナイロン交換して使ってみた。

手釣りブラブラ.JPG

手釣りには、ブラブラ針、投げ針、さお釣りなどがあるが、写真のは、通称ブラブラ。
これに水中ライトをつけて、手でシャクる。

投げ針は、長い筒状の針にアルミホイルを透明ビニールテープで巻き、ブラブラさせないよう連結で結ぶ(普通のいか釣り機用の針のように連結で結ぶ)。
それを船から水平に遠くの海面へ投げ、シャクる。
真下に沈んできたら、何も食わなくても上げて、また水平へ投げる。
投げ針は、いわしの群れが船の周りに付いて、その中にするめいかがいる場合、非常に効率がいい。

前日、8匹でしかも、赤ちゃんするめいかしか釣れず、人のご馳走にしかならない。
その翌日は、25入れを23匹、30入れを2匹、ヤリイカを3匹。
アタリの強い時だけ、針を上げ、弱い時には、かかったするめいかを逃がす作戦。

でも、商売になるような水揚げではないから、さっさと切り上げ。
電気をハロゲンに切り替えると、赤ちゃんいかが浮き上がり、針にかかる。
こんなものを釣るより放っておけば、たぶん、どこかで大きくなり、産卵するだろう。

2日続けて、一桁の水揚げ。
そして、道具上げ。
や〜めた。
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2022年10月20日

またムラサキイカか

こんばんは。

北海道から帰ってきて、4日前の晩、前沖の夜いかで、するめいかを釣るはずが、ムラサキイカがあがった(笑)。
県の調査船みたい」は、今から4年前に書いたものだが、同じ状況。
暇なので、また、チャレンジしようと思っている。
次も赤字だったら、当分、船を休めて、別なことをやろう。

本当は、県の水技で、トロール大漁で、なぜ釣りにつかないのか、研究してほしいのだけれどね。
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2022年10月04日

昼いかの水中ライトについて

こんにちは。

昼いか漁では、水中ライトを付けて操業するのが大流行している。
付けていないほうが珍しく、近年では、非常に明るいLEDライトも発売されている。

LED水中ライト.JPG

点滅するものもあり、八戸港などでは、夜の港を彩っている。
私にすれば、あの点滅は、睡眠障害となる。

八戸にいたときは船じゅうで2個ほど付けていたが、北海道に来てからはサメの餌食となるから外して、それ以来、付けていない。
今やサメはどこかへ行ってしまい、付けてもよいのだが、これから付けないことにした。

近年、するめいかなのか、さばなのか、とにかく魚探反応が海底にくっ付いている。
通称「ねっぱり反応」という。
水中ライトを針の上端に付けると、ねっぱり反応が起き上がってきて、するめいかが針に食い付くという話である。
これが事実なのかどうかは、海底にもぐって、水中ライトを付けた場合と付けない場合とを、同じ条件で比較してみないとわからない。
しかし、そんなことは不可能である。

水中ライトを付けた場合の問題点。
針がサメの餌食になりやすい。
マグロにも針をやられやすいような気がする。
水中ライトの価格も高くなっている。

私は、水中ライトの効果を、神話だと思っている。
来年は、日本海からずっといか釣りをやるつもりだが、昼いかでは、通年、水中ライトを付けないでやってみようと思う。
これで他船との水揚げ比較し、大して変わらないようなら、神話である可能性が高い。
毎度のことだが、やってみることにする。
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2022年01月28日

するめいかのパブリックコメント

こんばんは。

先日、パブコメの要請があり、さっそく投稿した。
この背景には、どうやら、指定漁業、すなわち、沖底やまき網の思惑が働いているらしい。
詳しくは、ここ↓。

https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=550003419&Mode=0

2月4日が締め切りだそうだ。
読んでも、何が書いてあるのか、さっぱりわからない。
これが、パブコメか、というくらい難しい。
今日行なわれた小型船の別の会議で、組合長と話をしたが、彼でさえも理解するのが難しい案件だということらしい。
こんな難しいことを理解せよ、というほうが間違っているのだ。
何が目的か?
難解なことをパブコメで募集して、指定漁業のいいように法律を変えていく、ということなのである。
そこはみんなで見抜いたほうがいい。
私は、来週初めに、また、水産庁に電話するつもりだ。

まずは、何日か前の第1回目のパブコメ投稿。

水産庁という組織は、何を考えているのか、さっぱりわからない。
「禁漁水準値」という項目を設けているが、これは、まき網漁業とトロール漁業のみに使う言葉ではないか。
禁漁措置は、釣りには適用せず、大臣許可漁業のみに適用すべきものである。

昨年の太平洋のするめいか大不漁は、その前年、岩手の2そう曳きトロールが、自家消費分を、何百トンもオーバーして獲ったことにも原因がある。
ローカル群の消失である。
これは、宮古魚市場関係者なら、みんな知っている。
ばちが当たったのだ、と言う人もいるが、我々零細ないか釣り漁業にとっては、とんだとばっちりである。
岩手県に「調べろ」と進言しても、調べようとしない。
そして、私は昨年、水産庁に電話し、何度も、自家消費分のオーバーは、「違法行為ではないのか」と問いただしても、まともな回答がない(県の許可漁業に対しては自家消費分も報告を求めているくせに)。
君たちは、行政組織の人間である。
決められたことを法律や規則通りに運用する立場の人間だ。
なぜ、当たり前の回答ができないのか、
そんな人間たちに、TACの決定方法云々という資格があるのか。
トリガーもくそもない

漁業法第一条には、こう書かれてある。

第一条 この法律は、漁業生産に関する基本的制度を定め、漁業者及び漁業従事者を主体とする漁業調整機構の運用によつて水面を総合的に利用し、もつて漁業生産力を発展させ、あわせて漁業の民主化を図ることを目的とする。

「漁業者及び漁業従事者を主体とする」という部分は、「大臣許可漁業を主体とする」と読み換えていいくらいだ。
岩手県沖底組合の金沢会長は、卑怯な人間であり、小型船との話し合いを持とうともしない。
間に、あなたたち水産庁が入らないと、話し合わないという。
昨年は、私が、するめいかの過大な自家消費をやめさせるために積極的な提案を行なっても無視し、せっせと自分の冷凍庫へするめいかを入れていた。
彼は、そういう人間なのだ。
なぜ、こういう違法行為をする人や業界にペナルティがないのか、私は理解できない。
水産庁の人間は、それが、当たり前だというのか。

少なくとも、岩手県の沖底2そう曳き分のTACは、ペナルティとして、没収すべきものである。

TAC数量は、小型船の意見を最大限尊重すべきである。
もともと、漁業というものは、釣りから始まった。
漁業法の性格上、先住民主義であり、先にやっていた漁業者の意見が最も大事なのである。
小型船が栄えれば、資源は増加したことになり、それでもって、大臣許可漁業も栄えることになる。
資源が少なければ、みんなが苦しむだけだ。
特に、加工業者、それを買う一般市民まで苦しむのだ。


そして、今日、第2回目のパブコメ投稿。

昨年11月18日に行なわれた「令和3年度 スルメイカ資源評価会議」の資料によると、秋季発生群(日本海)の親魚量と冬季発生群(太平洋)の親魚量とでは、一桁の違いがある。
したがって、日本海と太平洋に分けて、指定漁業のTAC設定をすべきである。
この場合、もちろん釣り漁業は除外。
このように設定すれば、仮に、日本海北上群で、津軽海峡を通過して、太平洋が大漁になったとしても、獲らない分は、次年度のローカル群、あるいは、主群の資源増加分となる。
資源量を増加を目指すならば、追加配分ルールなどというのも廃止すべきである。


1回目は、ちゃんと実名投稿。
水産庁に「違法行為かどうか」と電話で聞いているから。
2回目は、無記名。

どうせ、今の時期、みんな暇だ。
ダメもとで、みなさんもやってほしい。

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2021年07月28日

史上最低ペース

ふたたび、こんばんは。

帰って来れば、いろんな書類が山積みになっていて、ざっと目を通すだけで2日ぐらいかかった。
その他、煩雑な用足しもあり、排気ガスを撒き散らして、行ったり来たり。

不景気のため、定期購読を中止していた週刊水産新聞を今年春からまた読むようになり、それらも目を通したが、みなさん、ご存知のとおり、するめいかは大不漁、という記事が目に付く。
現時点は、史上最低を更新するのではないか、という情勢である。
一昨年が史上最低だと思っていたが、それに比べて話にならない。

こんな状況で黙っているわけにもいかず、佐渡にいた時、水産庁へ電話して、岩手の2そう曳きのTAC運用は間違っている、と指摘した(これで2回目)が、今日は今日で、岩手県沿岸組合にも電話して、岩手の2そう曳きトロール業界と対話をもつよう努力しなさい、とハッパをかけた。
今、トロールは休漁期だから、話し合いの時間は作れるはずだ。
水産庁がいようがいまいが、問題があったら、まず、当事者同士で話し合いをするのが筋。
まずは、そう考えなければならない。

ということを、いちいち言わなければ動かないのだから、こっちのほうが疲れる。
あんなTAC運用で、するめいかが増えるわけがないだろうに。
posted by T.Sasaki at 20:39| Comment(0) | いか釣り漁業 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年06月12日

乱獲に対する漁業補償請求

こんばんは。

ようやく、なんとか赤字をカバーできるようになりつつある。
日本海への回航燃料代を稼ぐのに、2週間もかかった。
新潟近海を操業するようになって、こういうのは、初めてだ。
回航燃料代は、たいてい、その日か、遅くても3日もあれば回収できていた。

先行する石川県でも、イカ釣り船たちは非常に苦労している。
もし、このままの状態が続けば、いか釣り漁業は終わりである。

昨年秋、岩手の2そう曳きトロールのやったことを、彼らは反省するだろうか。
親魚を大幅に獲りすぎるから、子が育たない。
小型船、中型船とも、全国のいか釣り船は、2そう曳きトロールの乱獲に対し、漁業補償請求してもいいように思う。
posted by T.Sasaki at 20:34| Comment(0) | いか釣り漁業 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年05月25日

手元スイッチの増設

本日、4回目。

昨年暮れ、いか釣りの艤装のまま、鮭はえ縄をできるように、とも面舵側の側板、兼バックネットを作った。

手元スイッチ.JPG

乗り組員に相談したら、これをそのまま付けていこう、ということになったが、そこで、要求される。
いか釣り機の手元スイッチを増設してほしい、と。
彼は私に要求が多く、そのわりに、それを設備する際、あまり手伝わない。
ましてや、たまに無理な要求されたりすることもあり、そういう時は、「ダメ」の一言で終わる。
小型船の造作には、こっちのほうに年季が入っている(笑)。

しかし、今回は、まあ、彼の言うことも理解できるから、船尾のいか釣り機と2台分、増設した。

ところが、・・・・。
八戸で付けてもらったはいいが、手元スイッチの線が短すぎる。
ぶら下げる場所まで一直線でようやく届く状態。
純正品の半分よりは少し長いが、とにかく短い。
そこで、送ってもらって、結局、取り換え工事は、ワタシ。

あ〜、なぜ、私から、こんなに時間を奪うのだ!

フタを取りはずし、一応、間違いないように、写真でパチリ。

手元スイッチ2.JPG

側板といか釣り機の間に挟まりながらの作業は、窮屈だった。
こんなことばっかりやって、肝心の魚を獲らないんだから、私は間違っている。


posted by T.Sasaki at 13:18| Comment(0) | いか釣り漁業 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ケブラーロープ

ふたたび、こんにちは。

今度は、ケブラーロープ。
私がディンギーに乗っていた時代、高校だったか高校だったか忘れたが、その当時、ケブラーのシート(ヨットではメインシートとかジブシートとか、セールを操るロープをシートという)を使い始めた。
確か、1本1万円はしたと思う。
強度はワイヤー並みで、伸びない、という利点があった。

そして、いさだ漁期中、つり上げボンブのワイヤーの話になって、乗組員の一人は、ワイヤーの代わりに、ケブラーロープを使ったことがある、と。
そこで、いか釣りの長いほうの流しの張りロープを、ケブラーを使ったらどうか、という話になり、ほぼ「いい」という意見に固まる。
今まで、張りロープはハイクレーを使っていたが、どうしても伸びてきて、何度も結び直さなければならなかった。
そのため、ワイヤーを使っている人もいる。
しかし、そうなると、ワイヤーのほか、流しをたたむためのロープも必要になる。
そこで思いついたのが、ケブラーロープである。

ケブラー.JPG

これが送られてきたケブラーロープ。
八ツ打ちでも嫌なのに、十二打ち!
非常に甘い撚りで、端止めしてあるテープを取ると、バラバラと撚りがほごれる。
端を焼いても、溶けずに焦げるだけ。
だから、アイを作る場合、各ストランドの端をテープで止めるしかない。
あ〜、面倒くさい。

いつも手伝ってくれる定置網の乗組員に、十二打ちのさし方を教示してもらったら、八ツ打ちと同じ要領でいい、とのことで、チャレンジ。
最初に、左側から。

ケブラー2.JPG

次に、右側。
先ほどさしたストランドが、次にかぶさるように。

ケブラー3.JPG

出来上がりがこれ。

ケブラー4.JPG

ケブラー5.JPG

正解かどうかしらないが、とにかく面倒くさい。
八ツ打ちのようにリズムよくできないが、最後のほうにようやく慣れてきた。
が、次にやる時は、きっとまた悪いリズムで、「面倒くせえ」と文句を言いながら、さすに決まっている。

ケブラー6.JPG

東京製綱繊維ロープ製で、エースラインという製品。

https://www.fiber-tokyorope.jp/products/cat3/(「東京製綱繊維ロープ株式会社」)

私は12oを使ったが、強度はもっと細くても十分だろう。
ただ、乗組員が流しを起こす時、細いと手が痛くなる、というので、太くした。
高かった〜。

何度も問い合わせてくれたり、行ったり来たりしてくれたアサヤ宮古支店のN君には感謝します。

たった8台分のアイスプライス加工をするのに、丸一日かかった。
細い糸で端止めする手もあったが、超甘撚りのため、端止めはアイスプライスが確実だと思うので、結局、両端をやった。
そのため、長さが1mほど足りなくなり、高価なロープのため、涙が出てきた。
まあ、初めてのことなので、こんなものだろう。

posted by T.Sasaki at 11:28| Comment(0) | いか釣り漁業 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年11月05日

佐渡のするめいか規格

ふたたび、こんにちは。

昨年もこのことを書いた(「友だちの嘆き」参照)が、今日は、佐渡島の将来に対する要望である。

佐渡の地元船は、この規格をちゃんと守っている、というので、私の船も右にならって、ちゃんと並べた。
一方、県外船は、いつもいるわけではなく、代わる代わる入港してくる船もあるので、必ずしも規格通り、いかを並べているわけではない。
中には、故意に小さくならべ、大きな規格のするめいかをたくさん出して喜んでいる。
本人たちは無自覚かもしれないが、地元船が、佐渡産のいかをいいものとして売り出したい心境を考えると、私は、それを良いことだとは思わない。

八戸港の魚市場は、昨年までは、八戸みなと漁協市場と八戸魚市場の2つがあったが、八戸みなと漁協市場は撤退し、八戸魚市場だけになった。
そのため、規格指導をしっかりやるようになったそうだ。
以前は、指導すると、別のもう一つの市場へ鞍替えする船がいたりしたので、思い切った指導ができなかったが、今はそれができる、という強みがあるのだろう。
これにより、八戸魚市場のするめいかの値段は、良くなったように思う。

佐渡市場も、佐渡島の漁協連合体による経営なのだから、地元船が、「ちゃんと規格を守れ!」と指導してよい(「するめいかの規格」にあるように文書を配る)。
もし、小規格化が進めば、安値安定が常態化してしまうかもしれない。
新潟魚市場が、残念ながら、そうなってしまった。
以前は、新潟の単価は、日本海でも高いほうだったが、今や、日本海で最低にランクするようになってしまった。

これは、仲買人にも責任の一端がある。
以前にも書いたことだが、良いいかも、悪いいかも、ほとんど同じ値段で買ったからだ。
良いいかと悪いいかの値開きをもっと極端にしないと、良心的な漁業者でない人は、どんどん小規格に並べていき、甚だしいのは、下氷が見えたり、それを隠すため、もう1匹並べたりと、いろいろとやり始める。
もうこうなると、詐欺師に近い。

これを防ぐためにも、佐渡地元船は、一致団結して、規格を遵守するよう、県外船に求めるべきである。
posted by T.Sasaki at 16:34| Comment(0) | いか釣り漁業 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年10月30日

サンメイイカ釣り機を壊さないために

ふたたび、こんにちは。

サンメイいか釣り機のただ一つの弱点、それは、頻繁にグリスをひかなければならないこと。
これは構造上の問題であるから、しかたがない。

サンメイイカ釣り機.JPG

サンメイいか釣り機は、ドラムをつけるシャフトに直接トラバースがついている。
それをモーター減速機からのチェーンで動かす。
そのため、1軸駆動である。
一方、ライバルメーカーのはまでいか釣り機は、ドラムをつけるシャフトの下に、トラバースがあり、それをチェーンでつないでいるので、モーター減速機から直接シャフトをまわしているわけではない。
すなわち、2軸駆動である。
ここが、はまでとサンメイの違いである。

サンメイのいかとりくん2000とSXは、モーターをダメにしてしまうことがよく起こった。
これは、グリッスアップ不足によるものである。
シャフトにトラバースを止めている六角ボルトは、2点(両端で4点)であり、それも対角にあるわけではない。
したがって、トラバースは、ほんの少し楕円を描いて回転する。
シャフトの芯が狂っていると、トラバースのコマが入っている軸受けに当たってしまい、摩擦熱も発生して、すぐにグリスは切れてしまう。
これでトラバースは熱膨張して、余計にモーターに対して負荷が大きくなる。
だから、モーターがダメになったいか釣り機のフタをあけて中をのぞいてみると、トラバースが錆びたような状態になっている。
ユーザーのグリスアップ不足が原因である。
この楕円回転をなくすために、新型のサンメイいか釣り機(青い機械で、型番は知らない)は、六角ボルトを3点止めにしたようだ。
それにより、芯が狂うこともなくなり、グリスの切れもなくなったようだ。

しかし、トラバースのついたシャフトは、所詮、いか釣り機両側のブッシュが受けている。
ブッシュが減ってくると、芯は、必ず、下がる。
このブッシュの消耗を放っておき、芯だしをしないと、同じようにグリスが切れてしまう。

一方、はまでのいか釣り機は、トラバースとシャフトは独立しているから、ブッシュが減ったとしても、モーターへの負荷が大きくなることはない。
トラバースの両端は、ちゃんとベアリングで受けている。
チェーンにグリスがある限り、モーターが壊れることはない。

それでは、なぜ、サンメイがこのようにしたか、というと、おそらくは軽量化にあると思う。
プラス、構造の簡素化、それによるモーターの機敏な動きをドラムに伝えること。
まあ、一長一短、ということか。

今や、いかを釣る能力は、これ以上、伸びることはない、と思う。
これからは、安全面やトラブル防止の機能の向上が求められるだろう。
(私は、サンメイに画期的なアイディアを提供しているのだが、なかなかできない。これができれば、いか釣り機械のシェアが逆転する可能性もあるのだが。ソフト開発の問題である。)

私は、サンメイSXをオーバーホールして、今年で2年目である。
八戸の正和産業にやってもらった。
芯だしが非常に上手で、2年目でも、グリスアップが少なくて済んでいる。
新台で買った時より、優秀だ。
つまるところ、メーカーの芯だしのほうが、正確ではないのだろう。
大メーカーは、町工場から学ぶところは謙虚に学んで、良い製品を作ってほしいものである。

とにかく、サンメイユーザーは、トラバースのグリスアップを怠らないこと。
また、ブッシュの消耗を防ぐため、シャフトのグリスアップもちゃんとやること。
特に、秋から冬にかけて、乾燥しやすいから、余計に注意を払わなければならない。
そして、5年に1回ぐらいは、オーバーホールしてもらうこと。
それがどうしてもできない、というならば、せめて、ブッシュ交換と芯だしはやってもらうこと。

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2020年10月25日

4県協議に意味はあるのか

こんにちは。

この新潟、山形海域は、するめいか漁において、4県合意(正式名称は知らない)というのが存在する。
4県とは、石川、富山、新潟、山形である。
私が新潟魚市場に水揚げしていた頃、新潟海区で何かあれば、難癖をつけてくるのは、常に石川県であった。
しかし、彼らは、新潟県や山形県が不漁で苦しんでいても、何も手を差し伸べることはしてこなかった。
クレームをつけるのは、一人前なのに。

今年、不漁予測でも、石川県では、大漁が続いた。
毎日4万ケース水揚げされ、そうなると、当然、単価は下がる。
大漁の石川県は、単価が少々下がっても苦にしないが、まだ漁がなくて四苦八苦している新潟や山形で単価が下がるのは、致命的だった。
それでも石川県では、そんなことはお構いなしだ。

不思議に思うのは、このするめいか資源不足の中、この4県は、漁獲上限を増やしたていること。
以前、私がまだ新潟にいた頃は、5トン以上10トン未満の上限漁獲は、250箱であった。
しかし、現在は、300箱である。
一方、岩手県では、5トン以上10トン未満の上限漁獲は、350箱から250箱へと減らしている。
資源不足なら、漁獲上限を減らすのは、論理であると思うのだが、この4県にやっていることは、意味がわからない。
結果をみれば、石川県の水揚げが突出している。
自県沖合の大漁のため、上限漁獲を増やしたのではないか、と疑われてもしかたがないだろう。

ここで、新潟県や山形県は、4県協議に参加する意味があるのかどうか、考えなければならない。
石川県と新潟、山形では、いか釣りに関して、かなり文化が違う。
特に、近年、これほどの格差がついてしまうと、いちいち4県協議なんか、しなくてもいいと考えるのが筋ではないのか。
石川県のいいなりになっていると、新潟、山形の各漁協、及び、所属漁船、外来船は、苦しくなる一方である。

新潟県と山形県は、4県協議から脱退すべきである。
自分たちの生活を守るためにも、これは必要なことである。
posted by T.Sasaki at 10:05| Comment(0) | いか釣り漁業 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年10月23日

新潟漁協の命運

ふたたび、こんにちは。

佐渡島の命運」で佐渡汽船のことを書いたが、ここで、瓢箪礁、向瀬、ヒラ瀬などの沖合漁場で釣ったするめいかを、佐渡汽船で運ぶことは必要なことだ。

これらの漁場で釣ったするめいかを、小型いか釣り船が新潟港まで運ぶのは、体力的にも金銭的(燃油代)にも負担が大きい。
近年、特に、二酸化炭素抑制策を進めるため、燃油代の節約は必要なことである。
一方、佐渡汽船は定期便である。
必ず運航されるから、空荷は避けたい。
だから、沖合にするめいかの漁場が形成された場合、すべてのするめいかを佐渡汽船の積んで運ぶ。
これにより、明らかに、全体的な燃油の節約になるだろう。

こうなると、困るのは、新潟漁協市場になってしまう。
中瀬や佐渡海峡に漁場ができれば、新潟港のほうが有利になるが、それでも、通年を考えると、明らかに沖合漁場のほうが釣れる。
新潟漁協市場もつぶすわけにはいかないから、残るは、漁協合併して協力し合うしかない。
どっちみち、新潟県には、漁船が少ない。
青森や岩手に比べれば、あまりに少ない。
だから、新潟県漁協とし、新潟漁連も吸収すればいい。
これにより、すべてが解決されるように思う。

新潟県にとって必要な佐渡島、そして、佐渡汽船を中心に考えたら、こうなってしまった。
大風呂敷と思って読んでいいが、私は、大風呂敷とは思っていない。
奇跡の10月」にあるように、「新潟にいた頃は、ただの島にしか見えなかったが、今や、愛着が湧きつつある」から、ついつい、いろいろなことを考えてしまう。
私のことをバカだと思って差し支えない。

posted by T.Sasaki at 19:40| Comment(1) | いか釣り漁業 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

佐渡島の命運

こんにちは。

佐渡島の生命線である佐渡汽船が窮地に陥っている。
普通なら、倒産してしまう事業内容である。

https://www.sankeibiz.jp/business/news/201014/bsd2010140700001-n1.htm(「SankeiBiz」)

https://www.niigata-nippo.co.jp/news/economics/20201017575355.html(「新潟日報モア」)

このことを、地元のS丸と県外船K丸に話をしたら、「大丈夫、どこからかカネが来て、ずっとフェリーは動くよ」と楽観的である。
彼らは、どちらも引退間際の船頭であり、往々にして、年配の人ほど、「誰か助けてくれるさ」的に考え、自分たちで何とかしようという気概に欠けている。

佐渡島は、新潟県にとって、自慢の島である。
世界農業遺産にもなっているし、金銀山の世界遺産登録も目指している。
そこで、私は提案する。
農産物の宣伝のやり方である。
新潟県のこしひかり、特に、魚沼産こしひかりは、知名度日本一である。
これを引っ込めて、佐渡産こしひかりをトップブランドとする。
新潟、といえば、佐渡産こしひかり。
なぜ、こんなことをやらねばならないか、というと、米に代表されるような農産物を、少しでも多く、佐渡汽船を使って運ぶ、ということだ。
とにかく、佐渡汽船をどうやって使うか、ということ。

私は、釣ったするめいかを佐渡市場に水揚げしているが、これらは、佐渡汽船を使って、新潟県各地を運ばれているだろう。
全国的に漁がなければ、高値で買い付けられ、東京市場へと送られる。
だから、県外船を誘致して水揚げを増やし、それをフェリーで運ぶ、ということを考えなければならない。
なぜ、県外船か、というと、地元いか釣り船は、あと5年もすれば、高齢化により、5隻くらいしかいなくなるからである。
ところが、地元船は、県外船が少なければ、漁が少なくなるから高値で売れる、ということしか考えていない。
その考えもわからないではないが、島の今後のことを想うと、そういう呑気なことを言ってられない状態ではないか。
2000ケースから3000ケース水揚げしたからといって、せいぜい大型トラック3台程度で、佐渡汽船に対する貢献度は大したことはないかもしれない。
しかし、事業というのは、そういう小さいものの積み重ねで成り立っているのである。

佐渡島では、毎年、1000人ずつ人口減少が続いていると言われる。
現在もそうなのかどうかはわからないが、そうなると、島民のフェリー利用というのは、減少していく。
結果、佐渡汽船の生命線は、観光客と物流の二つしかないのである。
いかに観光客を増やし、物流を増やすかに、佐渡汽船、佐渡島の命運はかかっている。

佐渡汽船がフェリーをやめた時、佐渡地元いか釣り船は初めて、新潟港に入港するいか釣り船の気持ちがわかるだろう。
毎日、往復80マイルから100マイルも寝ないで走って操業し、いかを新潟へ運ぶ。
今でもいい。
佐渡の地元いか釣り船は、これを1か月もやってみればわかることだ。

これは、新潟のA親分が言っていたことだが、佐渡島へ落ちてくる国や県の補助金を、佐渡島の人たちは、当然のことと思うだけで、本土側に協力するという姿勢が少ない、という。
私も、そのことを感じる場面がある。
少なくとも、感謝の意を口にしてもいいと思うのだが。

結局は、佐渡汽船も、国や新潟県の税金を使って存続されるだろう。
これに対し、「ありがたい」「何かに協力する」というように返礼できなければ、人して最低である。


posted by T.Sasaki at 16:53| Comment(0) | いか釣り漁業 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年10月22日

奇跡の10月

こんにちは。

今から7年前、津波の2年後、平成25年に、奇跡の11月と言われる前沖のするめいか大漁があった。
この時、11月にしては天候に非常に恵まれた。
そうでなければ、奇跡とは言えない。
11月ともなれば、黒崎沖でさえ、2日に1日、漁ができればいいほうなのだから。

そして、ここ佐渡沖でも、奇跡が起きた。
何と、1週間毎日操業できた。
私は日曜日に休んだが、休まない船は、10日連続で操業した。
10月の日本海で、こんなことは奇跡だろう。

3年くらい前までは、まさか、私自身、日本海にいるなんて考えられなかった。
私が30歳くらいまでは、10月といえば、鮭が釣れ始まる時期だった。
解禁初日の10月16日から釣れたこともあった。
それが、今や、定置網ですら、鮭の大不漁に悩んでいるのだから、はえ縄など商売にできるような状態ではない。
こんな状況では、鮭漁から撤退するしかなく、また、太平洋各地も、するめいかの漁はパッとしたものではない。
たまたま、船の向いた先に漁があった。
ただそれだけだ。
だから、令和2年の奇跡の10月としたい。

ヒラ漁場からの佐渡島.JPG

これは、ヒラ漁場からの撮った佐渡島。
新潟にいた頃は、ただの島にしか見えなかったが、今や、愛着が湧きつつある。
新潟の人たちや新潟入港船から、「戻ってこい」と言われたりするが、D親分に恥をかかせるわけにはいかないから、せめて、3年目の来年までは、佐渡へお世話になることにする。
その後は未定だが、たぶん、佐渡にいると思う。
(としてしまうと、新潟のI親分が、「新潟を見捨てるんですか?」と言い始める。酔っ払うと、こんなことをみんな言い始める)
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2020年08月23日

大集結の八戸沖

こんにちは。

八戸沖の昼いかは、たいして漁もないのに、船だけは非常に多い。
日本海から帰ってきた初日、私は成績が悪く、21箱しか水揚げしなかった。
この日の平均が33箱だったように、極めて漁が薄かった。
翌日からは50箱以上は水揚げしており、盆前後は、100箱くらいは釣れた。
盆過ぎ、一気に船が集結して、この海区に、250隻、いや、300隻近い船がいるかもしれない。

いか釣り船のレーダー画像.JPG

3日ぐらい前には、八戸入港は85隻であり、三沢でも80隻を超えていると聞いた。
北からは、泊や白糠からも来るし、南からは久慈からも来る。
理由は、北海道や津軽海峡で、ほぼ皆無に近い状態であるから、たいした漁でもない八戸へ集結しているのである。
常連以外の船が、今年は非常に多い。
しかたがないことだが、こうなると、分け合って、1隻あたりの水揚げが少なくなる。

そこで、一昨日のように、まき網漁船が、一気に100トンのさば混じりのするめいかを水揚げすると、小型いか釣り船は、ますます苦しくなる。
まき網漁船は、いわしやさば、まぐろなど、他の魚種で儲かっているのだから、するめいかを獲るのを遠慮すべきである。
TAC制度導入以前は、獲ってはならん、という魚種だったのだから。

TAC以前は、専獲はダメだが、するめいかの混獲は認められていた。
しかし、95%するめいかでも混獲と認められた。
そのことを水産庁の漁業調整官に問いただしても、まともな回答をできないでいる。
これでは、TAC制度を決めた当時の水産庁は、犯罪まがいのことを行ったことになる。
だから、ある会議で、漁業調整官に「その退職した連中の退職金を返還させろ」と私は叫んだことがある。
まわりからは、発言を止められた(笑)。
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2020年08月09日

佐渡から逃げてきた理由

こんにちは。

佐渡から、いきなり八戸で操業している。
もちろん昼いか。
来た日が、ほぼ赤字みたいな漁であり、翌日からそれでも、50箱以上は獲っているが、昨年より、悪いような気がする。
盆まであと3日。
50個ずつでもいいから、何とか獲れてほしい。

ここでちょっと、佐渡で聞いたこと。
私たち県外船は、佐渡島の6マイル以内で操業できないことになっている(事務局によると、この6マイル制限は平成19年からであり、確かに、私が新潟へ行き始めた頃は、制限はなかった)。
保護海域と称しているが、保護海域なら、地元船も操業自粛すべきだと思うが、結局、海を保護しているのではなく、地元船を保護している、という規則である。
最初から、「地元船保護のため」と書けばいいのに。
凍結船、すなわち、中型いか釣り船にも、この佐渡周辺には制限があり、7月20日までは、島から20マイル以内を操業できない。
しかし、7月20からは、島から5マイル以内で操業できない。
ここで疑問点。
なぜ、中型いか釣り船の制限は5マイルなのに、小型いか釣り船は6マイルなのか?
さらに、中型いか釣り船は昼夜操業をするが、小型船には、6時出港という制限を加えている。
これでは、まるで、小型船より中型船の肩を持っているようなものである。
佐渡のいか釣り組合の会長に、このことを少しきつく電話で言ってきた。
来年、改善されていることを望む。

私が八戸へ移動する頃、昼いかはまったく釣れず、夜のみとなる。
佐渡島6マイル以内の海域が大漁であり、6マイルの外は、瓢箪礁と佐渡島の間の一部だけに漁があった。
自分は20箱でも、隣の船は200箱とか、そんな極端な漁である。
場所取りのために、早く出港し、当たりは、1隻か2隻。
私の出る幕ではなく、さっさと八戸に来た。
私は、どちらかと言えば、余った場所で操業するほうなので、こうなると、大漁できない。
posted by T.Sasaki at 15:55| Comment(0) | いか釣り漁業 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年12月10日

新聞は、ウソをつく

再び、こんばんは。

先週土曜日の岩手日報に、「サンマ史上最低見通し」という見出しの記事があった。
この記事の下ほうに、小さく、「イカや秋サケも不漁深刻」という記事があり、これを一部転載する。

 今年のスルメイカの4月〜10月の漁獲量は1万4千トンで、記録的な不漁となった前年同期より、さらに2割少ない水準に落ち込んだ。産卵場所である東シナ海の水温低下などの影響が指摘される。
(2019年12月7日付け「岩手日報」2面)


これは、ほら吹き記事である。

するめいか資源にとって、今年度の東シナ海は、好環境だった」で書いたとおり、今年の東シナ海は、するめいかが増えるのに、適した水温だったのである。
だから、これを書いた記者は、取材していないで書いたか、トロール業界からカネをもらっているか、どちらかである。
記事のことは、すでに、久慈の親分と話をし、私が岩手日報に談判することになった。
電話をした結果、これは、岩手日報が書いた記事ではなく、共同通信から配信記事なのだそうだ。
電話で対応した人は、「伝えておきます」と言っていたが、・・・。

それなら、最初から、「共同通信」と引用先を示せよな。

新聞業界、大丈夫か?
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2019年10月06日

友だちの嘆き

こんにちは。

ラグビーワールドカップ日本代表の快進撃は続く。
このまま決勝まで行ってほしい。

本当は、その話題の電話を、新潟にいる友だちとしていたが、途中から話題が変わった。
彼は、私の船よりも大きないか釣り船に乗っているのだが、するめいかを箱に並べるのに、大きな不満や不安を抱いている。
これは、彼に限ったことではなく、みんなそうなのであるが。

いかの定規.JPG

この写真は、するめいかを箱に並べる際、20尾入れ、25尾入れ、30尾入れ、というような規格を示す定規であり、各県、各市場で配布しているものである。
新潟県のものは、石川県、山形県と共通の規格であり、宮古魚市場のものは、北海道から青森県、岩手県の共通の規格である。
この二つの定規を比較すると、25尾入れより小さい規格は、新潟県のものは、1p小さい。
ということは、同じ規格なら、北海道、青森県、岩手県のするめいかを買ったほうがお得、ということになる。

ところが、実際の現場は、規格など無視し、恐ろしいほど小さく並べている。
そのことを、私の友だちは嘆いているのである。
彼は、「これは詐欺だ」とまで電話で言っていた。
その彼も、しかたなく小さく並べていて、「心が痛い」とも言ったいた。
その他ほとんどの船も、そのように小さく並べているのであって、各産地とも、小さく並べられたするめいかであふれている(大不漁なのだから、あふれている、という表現は適切ではない)。
なぜ、そのようなことをやり始めたのかというと、小さく並べれば、その分、値段の高い規格の箱が多くなり、なおかつ、1箱あたりの尾数も減減り、箱数は増えるから。

極端に「いかに小さく並べるか」という競争をしている強者もいる。
「これ以上はいくら何でも無理だ」という人は、まだいいほうであり、明らかにバラするめ(40尾入れ以下の規格)を作らないで、それらをすべて30尾入れにしてしまう、ということをやっているのだ。

先日、佐渡沖で、まぐれで140個とった時、彼の乗っている船の船頭から、「その分量なら、180個は超えているよ」という話を聞いた。
しかし、私は、そのように並べるわけにはいかない。
佐渡魚市場のするめいかの商品価値を下げたくないために、地元船が真面目に規格を守っているからだ。
既出の組合長の船は、ちゃんと規格を守っていて、さらに、下氷にすると、するめいかは短くなるから、少し大きめに並べているという(私は短くなっていないと思うのだが)。
実際に、彼のするめいかは、佐渡市場では、常に最高値である。
一方、外来船の中には、ひどい船があるのだそうだ。
これは、現状を市場から聞いた組合長が嘆いていたことである。

私の母港である宮古魚市場では、みんなしっかり規格を守っているし、おそらくは、岩手県の市場は、そうだと思う。

がっかりしたのが、するめいか日本一の水揚げを誇る八戸港である。
私は、市場を信じて、全量、真面目に規格を守って並べていた。
少なくとも、8月までは。
しかし、市場発表の相場を見ていると、真面目に並べている割に、高値はとれないし、中値より安い時もある(それでも高値のほうだが)。
あきれ返って、箱屋の助言もあり、新潟規格で並べてみた。
それでも、市場発表の規格の割合を見ると、自分と比較して、みんなとんでもなく小さく並べているのがわかるのである。
だから、すでにここでも、「いかに小さく並べるか」を競っている。

ここに、八戸の市場の相場を示す。

http://jf-hachinohe-m.or.jp/freepage_13_1.html(「八戸みなと漁協」)

このような買い方では、みんな「小さく並べる」競争をするのである。
ここで、20尾入れの規格外のいかを、25尾の高値の半値で買ったとしたらどうだろう。
それならば、みんな真面目に並べ始めるはずだ。
ある産地市場では、地元のいかの商品価値を下げたくないために、規格外のいかをすべて700円で買ったという話も聞いた。
平均3000円している時にである。
それくらい、痛い目に遭わないと、「小さく並べる」競争は、おさまらない。

日本人には、ほどよい良心というものがある。
「いくら何でもそこまでは・・・」
私の船の乗組員や私の友だちは、みんなそういう心を持ち合わせている。
しかし、そういう心を持ち合わせてないのかどうかわからないが、極端な人がいるのは事実であり、これは、日本人としての人間性を疑うものである。

いずれにしろ、これを修正できるかどうかは、産地市場の方針と仲買人たちの買い方にかかっている。


posted by T.Sasaki at 10:50| Comment(0) | いか釣り漁業 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年10月05日

今度は組合長と会う

こんにちは。

今は、すでに八戸に帰ってきているが、佐渡遠征に行った理由は、二つある。
一つは、9月末にしては珍しく、凪がずっと続く週間予報であったこと。
八戸から岩手沖でのするめいかは、かなりの薄漁であり、100個獲る可能性は、ほぼゼロに近い。
それに比べ、佐渡近海だと、いくらか可能性は残っている。
短期で行って帰ってくる燃油代を考えると、大失敗を覚悟していた(なぜ短期かというと来週末には、私の地元のお祭りがあるから)。
下前港から八戸に戻るか、それとも佐渡へ行くか、の判断は、このように難しかった。
結果は、100個超えを2回ほどやったから、まあまあの成功といえる(最低48個)。

もう一つの理由は、懸案の出港時間制限の話(「失意のまま佐渡を離れる」参照)。
今度は、姫津漁協の組合長と話しをしてきた。
高千に入港して、D親分と飲んでいた時、私が「組合長と話しがしたい」とポロっと言った。
D親分は、「じゃあ、明日行きますか?」と簡単に言う。
まさか、知らないよそ者に、組合長という地位のある人間がすぐに会ってくれるとは思っていなかったが、翌日、D親分から電話があり、「午後行きますよ」という話。
これには少し驚いた。
自宅まで行って、お茶とコーヒーをいただいてきた。

想像していたよりも、穏やかな人であり、いい人であった。
そこの息子さんも、非常にいい人。
組合長は、東日本大震災の時、気仙沼に炊き出し支援に来たそうで、ますますいい人。

その週の日曜日、彼は、両津に何かの用事があったついでに、私の船の所まで来て、1時間くらい雑談していった。
佐渡の漁業者のことなど、裏話をいっぱい聞いた。
人は見かけによらないもので、つくづく私の眼力のなさを痛感した。
こんなこともあり、今回の佐渡遠征は、非常に有意義であった。

出港時間制限の撤廃に関して、私はもうこれ以上のことはできない。
あとは、来年度のことを、地元漁業者や関係者がどう考えるか、にかかっている。

3度も佐渡まで行くなんて、以前なら「狂気の沙汰」と言われてもしかたがないが、実は、それをやっているのは私だけではない。
それでも私は、行く先でいくらか漁をしているからいいようなものの、道東から日本海まで行ったり来たりで、漁にあたらない船もあるそうだ。
みんな苦しんでいる。
小型いか釣り業界は、もがき苦しんでいる、と表現したほうが適格だと思う。

もがき苦しみながら、再び、私はハシ針の修行である。


posted by T.Sasaki at 12:36| Comment(0) | いか釣り漁業 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年09月19日

箸針

こんにちは。

いか釣り漁業を何十年やっていても、まだまだ修行中である。
今月は、針交換ばっかりやっている。
箸針(ハシパリ)を使ってみたり、ガラ針(ガラパリ)を使ってみたり。
そして、また箸針を巻いて。
その箸針が、15年以上前に使ったものであるため、すでに時代遅れになってしまっていた。
隣に着いた船の親方には、バカにされた。
それで、また、箸針を作り直して、巻いた。

箸針.JPG

これで、せめて、先生たちの70%くらい獲れれれば、成功といえる。
今までは、「箸針はもう使わないだろう」と考えていたが、とにかく、漁が薄くなっている現在、この針を使えるようになったほうがいいと思い、いろいろと勉強している。
posted by T.Sasaki at 17:11| Comment(0) | いか釣り漁業 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年09月05日

非力ないか釣り漁業

再び、こんにちは。

これを見てほしい。
八戸みなと漁協の水揚げ相場である。

http://jf-hachinohe-m.or.jp/freepage_13_1.html(「八戸みなと漁業協同組合」」

いか釣り漁業というのは、非力であることがわかると思う。
トロールの木箱は20kgだから、3000箱を掛け算すると、60トンである。
いか釣りの発砲入りのスルメイカは、5kgとされているから、これは、12000箱に相当する。

まき網漁船のするめいかは、マジリである。
これに何割まじっているのかは、あまり公開されない。
これを、みんなにわかるように公表すべきだ、と、先日の意見交換会でも指摘されている。
9月3日までは、順調に、マジリを獲っていたが、最近、獲り尽くしたのか、水揚げが減少した。

この相場のページを観察するだけで、いか釣り漁業が資源に対し、優しい漁法であることは理解できると思う。
逆に、法律の定めるところによる指定漁業、すなわち、国の管理するまき網漁業とトロール漁業は、漁法としては、資源に対し、非常に大きな脅威である。


このことを、水産庁が理解できないわけがない。
posted by T.Sasaki at 16:55| Comment(0) | いか釣り漁業 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

するめいか資源にとって、今年度の東シナ海は、好環境だった

こんにちは。

先月24日、盛岡で、再度、水産庁と「するめいか資源に係る意見交換会」が行われた。
結論から言えば、何の進展もなかった。
特に、岩手県の2そう曳きトロールとの漁業調整について期待したのだが、ただ話をしただけ、だったようだ。
時間の無駄。
最初から荒れ模様の会議であったが、一応、研究者の話もまじえて報告する。

昨年暮れから今年初めにかけて、東シナ海の水温分布は、するめいかの産卵に良い環境であった、と報告された。
しかし、今年の漁は、昨年よりさらに悪い。
その原因は、親魚不足である。

このブログでも報告している通り、昨年暮れに八戸で行われた「スルメイカ資源の意見交換会」では、秋に三陸沖に回遊するするめいかは、南下するか、しない場合は、津軽海峡を通って、結局は日本海へ戻って行って、南下し産卵する、としていた。
これは研究者らの共通認識であるようだ。
このことを前提として、私は、質問した。
秋に2そう曳きトロールがするめいかを獲らない場合、東シナ海の水温状況が良好だったことから、資源はきっと増えた、と考えていいですか。
研究者は、「その通り、増えると考えます」と言った。
そこで、今度は、水産庁の職員に向かって、「聞いての通り、あとは、漁業調整をどうやるかにかかっています。どうですか?トロールを管理しているのは、水産庁なのだから、ここのところを獲らないよう調整すべきではないですか」
しかし、これに、応えることは、もちろんない。

今年度は、するめいかの産卵海域は、非常に好環境だったのだ。

もう一つ、みなさんに報告することがある。
5月から6月頃、下北半島の尻屋沖で、八戸のトロール船が、非常に小さいするめいかを獲ってきて喜んでいる。
あれをどう考えればいいのか。
いいことではないと思う。
何かの関連で、「あの時期に尻屋にいるするめいかは、ローカル群ではないのか」と聞いたところ、あれは、東シナ海で生まれたするめいかが、はるばる回遊してきた、との回答であった。
これには、参加者は、みんなびっくりしていた。

本当にそうなのか。

春先の水温が低い時期に、岩手のいさだ漁では、小さいするめいかが混じることがある。
このことは、漁業者ならみんな知っていることである(今年のは、調べてもらったら、ひいかだったようだ)。
だから、低水温でも、するめいかは生存しているのは確かだ。

するめいかの研究は、まだまだ雲をつかむような話の段階なのかもしれない。

事前に、いか釣り部会と水産庁との間で意見交換した話から、ぜんぜん進んでいなかった(4月に行われた「水産庁は、現状維持が大好きなようだ」参照)。
漁業者側からの意見は、ほとんど、事前に意見してあったものである。
だから、わざわざ八戸から出向いた人たちは、怒っているそうだ。
怒りの矛先は、いろいろとあるようだが、準備不足で意見交換会に臨んだ水産庁が、私は一番悪いと思う。




以上が、報告である。
私は、重要なことを、もう一つ質問して、水産庁側の回答に頭がカッとなってしまったが、そのことは書かない。
これは、またあとで使えるものである。
その他、2つくらい、会議で言わなかったことがある。
ここで先のことを書いてしまうと、へんな理屈を用意する人たちもいるから、今後、そのようなことは書かず、報告だけをする。
特に、権力に対する場合は。
いさだ許可に関する顛末でも、言っていないことも、ある。

心の中には、誰しも、強いものに対して、牙をもっているのである。

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2019年07月08日

失意のまま佐渡を離れる

こんにちは。

両津を離れて、2週間経った。
今は、北海道の岩内にいる。
何とか、細々と漁をしている。
昨年も大不漁であったが、今年の大不漁は、そのまた三分の一である。
「いくら送金できるか」ではなくて、「送金できるかできないか」という次元だ。

両津を離れる頃、佐渡いか釣り協議会(?)の会長と意見交換をしてきた。

現在は、瓢箪や向瀬でも、いくらか釣れたりするらしいが、私がいた時は、ヒラ漁場でしか釣れなかった。
ヒラ漁場とは、佐渡島の棚であり、北端は25マイルくらいの距離がある。
新潟県の出港時間は、午前7時と決まっているから、10ノットで走ったとしても、漁場に着くのは9時半である。
一方、山形県の鼠ヶ関港からは、正確にはわからないが、40マイルくらいあるのかな?
山形県は、出港時間に制限がないから、夜明けから操業できる。
仮に、彼らが5時から操業したとすると、4時間半も後になってから、佐渡島のいか釣り船は操業することになる。
こうなると、後回ったほうは、まったく釣れないのである。
数個しか釣れない状態で、魚群を探索したりしてウロウロしていると、帰りたくなるのが人間の心。
「漁がない」と言って、本当に帰ってしまう。
一方、すでに、朝のうちに数十個も獲っている船は、夕方まで粘り、70個とか80個とか獲って帰るようだ。

だから、私は、佐渡の会長さんにこのことを説明し、新潟県のいか釣り船も、出港制限を無くしたらどうか、と提案した。

佐渡島で昼いかをしている地元船は、姫津漁協の2隻のみであった。
ヒラ漁場へ行く場合、両津港より遠いから、30マイル以上はあるだろう。
そのことに関しても、出港制限を無くすれば、経済速力で走ってくることもできるから、佐渡島のいか釣り船にとって、良いことなのである。

会長と意見交換する前に、事務局の方に、こういう理由から出港時間を早くするように、私は要請した。
最初の回答は、6時ということで、1時間早くする、と。
私は、「たった1時間早くして、意味あるの?」と逆に問い詰めたら、再び電話が来て、「5時出港にします」と連絡が来た。
こんな有り様であった。

会長との意見交換では、各地の出港時間などの現状を報告した。
例えば、以前の青森県小泊地区は、12時出港であったのが、今や5時である。
ここは、1時間半もあれば、楽に漁場に着いてしまうから、これでいい。
また、北海道日高地区も、以前は、7時出港が5時出港になった。
ここも30分で漁場に着いてしまう。
それほど、各地で制限を緩くしている。
もちろん、昼いかの本場、本州太平洋では、出港制限はなく、夜明け操業開始である(津軽海峡はわからない)。

さらに、新潟漁協のことも言ってきた。
新潟にとって不利な出港時間の制限をするものだから、年々、入港船は減ってしまい、今年は、10隻もいなかったようだ。
新潟漁協は危機的であり、昨年私が行ったときですら、何人か、職員が退職させられたと聞く。
今年は、とんでもない大不漁のため、もう、そういう次元の話ではなくなっている。
だから、私は会長に、「佐渡の漁師たちで、新潟漁協を運営したらどうですか。こういう制限をしているのだから、それくらいやる必要があるんじゃないですか」と。
そしたら、彼は何と!「漁協って、倒産するんですか?」と私に聞くではないか。
唖然としてしまったが、「岩手では、すでに、山田漁協と大槌漁協が一度倒産していますよ」と教えた。
青森では、八戸漁連が倒産しているのは有名だし、探せば、もっとたくさんあるだろう。
倒産を防ぐために、経営内容の悪い漁協は、合併をする。
そうでなかったら、どこも合併しないで、理事たちは、ろくに仕事もしないで、報酬をがっぽり(?)もらう。

最終的に、会長の話では、出港時間の制限を撤廃するのは、不可能である、とされた。
理由は、佐渡の地元船が了解しない、ということらしい。
佐渡島のいか釣り船にとって、良いと思われることを意見したが、結果は残念であった。

今年はもう、新潟海区にいるのが嫌になり、北上した。


posted by T.Sasaki at 12:47| Comment(0) | いか釣り漁業 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年06月08日

新潟から佐渡へ移籍した理由

こんにちは。

これ、するめいか。

浮き上がったするめいか.JPG

水面に浮きあがって、針にとっつかない。
釣り漁業なんて、こんなものだ。
これらが生き残って、産卵するのである。
指定漁業(まき網やトロール、特に2そう曳トロール)の人たちは、これがわかるか。

相変わらず、新潟沖の大不漁は続いている。
こうなると、遊んで歩くしかない。
ということで、今度は、国中平野の北回りをドライブした。
ちょっとしたお見舞いも兼ねて。

国中平野の北側の西側を外海府といい、東側を内海府という。

外海府.JPG

外海府の海岸であるが、基本的に、このような岩礁は無数にあり、きっと魚や貝類や海藻類は、たくさんいると思われる。
しかし、意外にも、佐渡市場へ水揚げを見ていると、それほど量が多いわけではない。
今朝、市場の事務所で少し話を聞いたきたが、佐渡島には、正式な市場はここしかなく、ほぼすべての地区からここへ陸送されるようだ。
だいたい、島全体の漁獲のうち、4割程度が新潟市場へ送られ、残りが佐渡市場だという。
その他、直接東京市場へと送られるのもあるそうだ。
仮に、佐渡市場の水揚げ量に1.5倍掛け算しても、ちょっと少ないように感じる。

ここの魚市場は、悪いところは別に何もないのだが、不便なのは、イカ箱をパレットに積む際のアルバイトがいないこと。
したがって、荷揚げ料(リフト代ともいう)は、他の市場のようには徴収されない。
「これを支払ってもいいから、どうにかならないのか」とお願いしてみたが、人不足のため、できないのだそうだ。
以前は、やっぱり、新潟市場と同じように、定年退職した人たちが手伝っていたそうだが、悲しいことに、そういう人たちもいなくなり、今や、腰を曲げて、足を引きずっている人が、手伝う程度である。
こうなると、自分で探して、確保するしかない。
全然、漁がないから、今は構わないが、100箱とか200箱とか獲れた時の重労働が思いやられる。
「とんでもない所へ来たものだ」と乗組員と話をしている。

私は、先日、新潟漁協に電話をして、ちょっとしたことを聞こうと電話したのだが、その時、「裏切り者の岩手の漁運丸ですが、」と言ったら、「いえ、そんなことないですよ。また来てください」と言われた。
まあ、気分は悪くないが、新潟漁協側としては、気分悪いだろうなあ。

なぜ、新潟漁協から佐渡漁協へと移籍したか、というと、漁場が近くなる分、燃油代が違うからだし、体力的にも楽だから(新潟県は、1隻1港のみ)。
そして、乗組員にも言っていることだが、浮いた燃油代で、新潟へ遊びに行くジェットフォイル代やフェリー代を支払っても、おつりがたくさん来る、という話。
その金を乗組員にあげようと思うのだが、今のところ、そんな水揚げもないから、お預け状態ではある。



こんな大不漁だと、いさだ許可騒動が非常に惜しい。
今年のいさだ漁は大漁で、最終的に値崩れを起こし、予定生産量を消化せずに、岩手宮城両県で切り上げた。
来年のいさだ漁は、最低保障の給料で終わる可能性が高く、仮にいさだ許可が下りても、もう、下北から応援に来てくれる人はいないかもしれない。
そして、乗組員を確保できない、ということは、さらに、許可失効してしまうことになる。
タイミングを逃せば、こんなことになってしまう。

すべてを自己責任にするのは、簡単だ。
自己責任主義を徹底するならば、行政機関など要らなくなり、弱肉強食の世界になる。
この意味を、今回関与したM課長、退職したI課長、および岩手県沿岸組合の組合長は、よく考えるべきである。


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2019年01月08日

するめいかの厳しすぎる再生産

こんばんは。

少し暇だったので、昼食後、漁業情報サービスセンターに電話して、するめいかの産卵のことを聞いてみた。
これは、「スルメイカ資源の意見交換会」に端を発する。
会合が終わった後、私が変な発言をしたためか、後から呼び止められた。
会合の司会者であったが、その彼に、「聞きたいことはたくさんあった」と言ったら、「どうぞ、電話でもメールでもいいですから」と名刺を渡されたのである。

東シナ海の産卵場の環境変化について、一つの疑問点を問うた。
次がその結果。

するめいか産卵の好環境は、水温18から19度くらい(16度から19度くらいかも。手元に論文がないためにはっきりした回答はできなかったようだ)で、その水帯の幅が近年狭い範囲でしか形成されないのだという。
そのため、仮にするめいかが産卵しても、そのまま死んでしまうらしい。
その他もある。

するめいかの卵は、1mくらいもあり、つまり、自身よりも大きな卵を生む。
このことは、よく知られている(私でさえ知っている)。
比重は水よりも大きいから、海底に沈んでしまうのであるが、沈んでしまうと、壊れて死んでしまうのだそうだ。
つまり、湧昇流などが発生する海中を漂っていないと、するめいかは生まれない。
その辺のゴミに引っ掛かっても、卵が壊れてダメなのである。
だから、非常に条件が厳しいようだ。

したがって、資源を増やすには、親魚が多ければ多いほど、良い。
これは、理論上、彼らも認めざるを得ないのである。
TACの数値を下げて、親魚の生き延びる量を大きくすれば、資源は大きくなる。

岩手の2そう曳きの件は、彼らも、疑問であるそうだ。
先日の会合での発言は、最終的に、報告書という形で、水産庁に送られるらしい。
期待はしていないが、それでも、みんなで声を上げることは意義があるのではないか、と思う。
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2019年01月02日

スルメイカ資源の意見交換会

こんにちは。

これまた、昨年暮れの話であるが、12月20日、八戸市水産会館で漁業情報サービスセンター主催の意見交換会が行われた。
「スルメイカ冬季発生系群の資源状態と漁況予報をめぐって」というテーマ。
冬季発生系群というのは、太平洋回りの群れで、東シナ海で生まれたスルメイカは、はるばる常磐沖から三陸沖、北海道沖まで北上し、秋から南下をはじめ、八戸沖から三陸沖にウロウロしているスルメイカは、津軽海峡から日本海へ抜け、再び、東シナ海の産卵場へと南下するのだという。
東シナ海で生まれるスルメイカは、スルメイカ資源の8割を占めるとされ、残り2割はローカル群である。
冬に各地にいるスルメイカはローカル群であり、これらも重要な資源である。

発表した研究者は、北海道区水産研究所、青森県産業技術センター水産総合研究所、岩手県水産技術センターである。
主に、東シナ海の水温低下による産卵場の環境変化と大和堆での北朝鮮船の違法操業などの影響で、スルメイカ資源は減少しており、資源量は、ほぼ史上最低に近いことなどを話していた。

この意見交換会は、毎年行われているようで、今回、初めて、岩手県沿岸漁船漁業組合から案内が届いた。
もちろん、出席も初めてなので、質問のタイミングがわからず、一番最後に質問した(ただ騒いだだけかも)。

要旨は、資源減少要因を、環境変化と北朝鮮ばっかりに押し付けて、日本でできる取り組みをしていないことを指摘し、特に、岩手の2そう曳きトロールの悪質な操業への非難である。
これに対し、研究者は、TACという取り組みが、積極的な方法である、とした。
そのTACは、近年、スルメイカでは、上限に達することはなく、TACの設定が高すぎることも言ってきた。
それでも、今回の設定は、資源回復措置で低めに設定するそうだ。
私は、TAC配分でも、漁獲圧に応じて、各漁法の減少割合を考えるべきだと、特に、2そう曳きトロールの漁獲圧は、とんでもなく高いのだから、これらの漁法に対しては、もっと低く抑えるべきであると言ってきた。
来場者は、ほぼ9割方、青森県の関係者だと思うが、私の目の前に座っている人たちだけでも、何人かうなずいていた。
この点に対しては、「水産庁に伝えておきます」と言っていた。

関連して、今、思いついたことなのだが、型のいいサバ資源が増加しているし、イワシ資源も回復していることを考えると、まき網漁業のスルメイカTACは、ゼロでいい。
もともと、闇混獲以外は、まき網漁業の漁獲対象とはなっていなかったからである。

北朝鮮、韓国、中国の船が、漁獲しているスルメイカは、10万トンから20万トン獲っているのではないか、という話もしていたが、はっきりわからないようだ。
それにしても、けっこう莫大な量である。
海洋環境の変化や外国船の漁獲などの外的要因は、そう簡単に解決できるものではない。
したがって、できることから、やらなければならない。
どの魚種についても同じことだが、親魚の確保である。

研究者は、スルメイカの資源回復措置水準にするためには、親魚を5.3億尾必要なのだという。
つまり、獲りすぎるな、ということなのだ。
2そう曳きトロールを私が非難するのは、獲りすぎる漁法だからである。

意見交換会の冒頭で、会合ではつきもののエラい人たちの挨拶があったが、そこで良いことを言った人がいた。
「今だけ」「オレだけ」「カネだけ」
この、3だけ主義が、魚類資源減少を促すのだと。
岩手県の2そう曳きトロールは、この3だけ主義そのものである。

今回の会合では、GFWというサイトを紹介していた。

Global Fishing Watch

これにより、膨大な数の韓国や中国船の数を追跡できるそうだ。
posted by T.Sasaki at 14:49| Comment(0) | いか釣り漁業 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年08月05日

するめいかローカル群を大事にする施策を

こんにちは。
私は、自分の腕の悪さに感動している。
太平洋昼いかに来て、まだ100箱という数字を見ていない。
岩手県に水揚げされたするめいかは、昨年同期比で、4.8%である。
昨年の何割減というのではなく、95%減である。

http://www2.suigi.pref.iwate.jp/research/20180802fishery_during

非常に深刻な大不漁である。

青森県の統計はどうなっているのかわからないが、八戸の最初の漁が遅く、また、昨年より最初の漁も悪かった。
だから、こちらも、かなりの減少となっているはずだ。

日本海も、石川県をはじめ、昨年より不漁であり、北海道も、沖合い漁場(凍結船)の不漁から、稚内なども単発的な漁となるのではないか、と噂されている。

こうなると、太平洋ローカル群や新潟、山形沖のローカル群が重要だ。
八戸前沖のするめいかは、たぶん、ローカル群である。
早い段階から、バラいかを八戸のトロールが獲っているから。
もし、冬生まれ群が回遊してくるのなら、もっと水温が高くなってからのはずであり、実際に、水温の低い時期の三陸いさだ漁で、するめいかの稚魚が混じることがある。
3月に、東シナ海の冬生まれ群がここに到達しているとは考えられない。
したがって、1月以降は、太平洋ローカル群に産卵機会を与えるために、するめいかの禁漁を実施すべきである。
特に、トロール漁業は、そうすべきである。

今年の新潟、山形沖の漁は、かなり遅く始まった。
先発隊は、5月初日から操業しているが、初日は皆無だったらしい。
その後、ヒラ瀬と呼ばれるところで少し釣れたが、その後は、するめいかの顔を見るのが大変だったようだ。
私は5月13日から操業しているが、その日、知っている船に連絡をとってみると、ベタ凪だから、しかたなく中瀬で針を下げているだけだという。
こうなると、沖合いの瀬の調査しかなく、その日は、鎌瀬で7尾、向瀬で2尾、瓢箪瀬で8個であった。

ここで尊敬すべきは、C丸である。
彼は、とにかく広範囲に調査することで有名である。
今年も、誰も出漁しない時に、すでに佐渡島を一周している。
こういう人が、漁模様を作るのである。
実際、かすかな8個という模様で、その数日後、彼だけが瓢箪瀬に出漁し、数十個獲ったのをきっかけに、翌日から急に漁が出たのだ。
それでも、彼のことをよしとしない人間がいるらしい。
そういう人間が、世の中の憎悪を生むのである。

話が脱線したが、新潟、山形沖のバラいかもローカルではないか、と私は思っている。
先行する石川県では、すでに同時期、新潟沖のするめいかより、かなり型がよい。
また、北上群の獲れる北海道では、同時期の新潟沖のするめいかより、やはり型がよい。
これをどう説明したらよいのだろうか。
もし、東シナ海秋生まれ群が北上して、南から順番に獲れるのなら、各地、小さいサイズから、大きいサイズが順番に獲れるはずであるが、実際には、新潟、山形沖のするめいかは、他の地域より小さい傾向にある。

これは、地元のS丸さんから聞いた話であるが、佐渡島のいか釣り船は、1月と2月で、1000万円くらいは水揚げするようだ(県外船は1月から4月まで禁漁)。
ということは、新潟、山形沖の瀬で、この時期に、するめいかは産卵しているだろう。
だから、この海区で獲れるするめいかは、小さい傾向にあるのではないか。

結論。
東シナ海の産卵群に期待できない現在、日本各地のローカル群の資源を大事にするしかないのである。
この考えを基本とし、どの漁業に制限を加えるべきか、検討すべきである。

八戸昼いかは、今週末まで天候があやしい。

http://www.bioweather.net/chart/pressure.htm

今年の傾向は、悪天候が長続きする。
たった数十個の水揚げで、操業日数が減ってしまうのは、かなりの痛手である。


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2017年05月23日

昨年とは違う「大不漁」

久しぶりに、こんにちは。

前沖の資源管理に絶望感を感じたので、いつもより早く日本海へいか釣りに来ている。
日本海長期予報では、大不漁の昨年並みとされているが、いかのサイズがまだ小さいので、昨年とは違うのではないかと思っている。
私のいる新潟は、まだ漁が少ないが、先行する石川県では、何日か1万箱超えを記録している。
これは、昨年ではなかったことだ。
以前、大漁だった頃は、小さいいかから、大きくいかへと漁獲が変化していったものだ。
昨年の場合、最初から30入れ主体であり、心配していたら、案の定、すぐに漁が切れ、私は6月中旬過ぎには、逃げるように誰もいない八戸へ回航した。
結果的に、それは悪くはなかったが。

今年の場合、新潟沖ではまだバラいか主体だから、7月までここにいそうな気がする。
どっちみち、太平洋の漁は期待薄だし、少々漁がなくても、我慢する覚悟でいる。
八戸沖のトロールが獲るバラいかは、昨年より極端に少ないらしく、太平洋ローカル群は危機的である。
あとは、太平洋各地の定置網に入るバラいかの全体量がどれほどになるのか、それ次第だと思う。


以前の太平洋するめいかは、秋から冬にかけて、定置網に入網していたから、成熟群は、オカ寄りで産卵していただろう。
それが、近年、秋から冬にかけて、太平洋のするめいかは沖寄りに分布し、そこで産卵しているものと考えられる。
前述の通り、それを根こそぎ、2そう曳きが獲るものだから、ローカル群の再生産など期待できない。
私の父の時代の小型するめいか漁業は、ローカル群だけでも、十分に飯が食えていたのだ。
ローカル群の再生を期待したいが、それを阻む人たちがいるから無理かもしれない。
絶望の資源管理である。

私は、昨年に続き、太平洋のするめいかは、大不漁ではないかと思っている。
もっと大不漁かもしれない。
ローカル群の再生産はこの通りのありさまだし、東シナ海や九州西部の冬季発生群の少なさから、すでに太平洋回りのするめいかは苦戦するのではないか、と予測もある。

しかし、大不漁の予測が外れる可能性もないわけではない。
日本海回りの秋季発生群も少なかったから、大不漁予測がなされたが、もし、このままで、大漁群が成長しながら北上すれば、日本海はそれほど悪いわけではないだろう。
北上したするめいかが津軽海峡を通過し、太平洋へたくさん抜ければ、少しは好転するかもしれない。
また、前述、ある水産会社の重役さんだった人の説、日本大回遊説をとれば、日本海からオホーツクに入り、羅臼に入らないで、そのまま太平洋へ抜ければ、これは、秋季から冬季にかけて、太平洋を南下するかもしれない。
もう一つ、冬季発生群の少なさから、太平洋するめいかは、悪かった昨年並みの予想も、はずれるかもしれない。
なぜなら、現在の日本海するめいかは、今のところ、昨年よりは悪くはないからだ。
したがって、太平洋の予測も外れる可能性もある。
posted by T.Sasaki at 17:08| Comment(0) | TrackBack(0) | いか釣り漁業 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする