日本の漁業が崩壊する本当の理由 片野歩

世界中で魚類資源が増えているのに、日本だけが減っている。
この現実を、恥ずかしいと思うべきである。

日本の漁業が崩壊する本当の理由.jpg

すべての漁協組合長、理事、参事、そして、任意の漁業団体の会長以下すべての役員たちは、この本を読むべきだ。
読みたくないならば、「日本の漁師は大バカものだ」を参照すること。
これを認識できないならば、役職に就く資格はない!

2017年04月11日

漁師の試験

みなさん、おはようございます。

「日本の漁業が崩壊する本当の理由」を読んで、昨夜は悔しくて、寝たような寝ないような気分だ。
さっそくこの本を紹介してくれた人から、「獲って獲って獲りまくるのが漁師の仕事」と思っている人が大多数ではないか、と指摘された。
ますます悔しくなって、眠れなくなった。

日本の漁師は大バカものだ」と書いたが、そう感じる人間と感じない人間の両極端な気がする。
感じない人間というのは、自分以外のことを考えることのない人間だ。
社会生活を営むにあたって、周りの人間を無視できるわけもなく、みんなと仲良くやっていこうとするのは、義務である。
「オレには関係ない」というのなら、すべての社会制度を利用するな。
トランプ大統領ならば、「自分のことは、自分で全部やれ。自分の周りのインフラは、自分でペイしろ」と言うだろう。
生まれたときから、社会制度を無意識に利用してきた私たちにとって、自分勝手な行動など許されるものではない。
漁師も、公共の海面を利用しているのだから、自分勝手など許されないし、「獲って獲って獲りまくる」影響というのも、考えなければならない。

漁業先進国ノルウェーでは、漁師に試験を課しているそうだ。
勝川俊雄さんの発言を引用する。

ノルウェーだと漁業者が漁業免許を更新するときに水産資源のテストを受けるんですよ。漁業者たる者、水産資源について勉強して知っておかなくてはいけないよねっていうことなんですね。
(「日本の漁業が崩壊する本当の理由」p106)


これは、いい方法だと思う。
まずは、漁師に、魚の管理は、漁師自らがやるんだよ、という意識を植え付けなければならない。
各漁業許可の更新の際でいいだろう。
ついでに、魚類資源増大を目指すため、どうやっていったらいいのか、ということを書かせて提出させる。

もう資源を管理するなどという生ぬるい感覚ではダメだ。
資源の増大を目指すべきである。
posted by T.Sasaki at 05:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 魚類資源の減少について | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年04月10日

日本の漁師は大バカものだ

こんばんは。

さっそく「日本の漁業が崩壊する本当の理由」を読んでしまった。
読んだ感想は、非常に○。
疑問はあるが、○どころか、三重丸以上!

これほどの本なら、水産庁の役人たちはすでに読んだと思うが、全国の漁協の組合長たちは、まだ読んでいないと思われる。
組合長だけでなく、理事、参事、指導課長、市場のある組合ならば、販売課長も読むべき本である。

 FAOや世界銀行の分析を見ると、日本の海とその魚の状態が、世界からどのように見られているのかよくわかります。2013年〜2015年の水揚げ量平均を元に、FAOが予測した2025年の水揚げ量によると、世界全体では17.4%の増加が予想されていて、各国が均衡もしくは増加となっている中で、日本は13.7%のマイナスと突出して悪く予想されています。次に悪いのが韓国で2.9%のマイナス。ちなみにノルウェーは18.9%の増加です。
 また世界銀行は世界の漁業について、2010年時点の漁獲数量と2030年の予測を海域ごとに比較しています。世界全体の水揚げは平均で23.6%増加していますが、表の中で1ヵ所だけマイナス9%を示している海域があります。それが日本周辺の海域なのです。
(「日本の漁業が崩壊する本当の理由」p43)


私は、これを読んで、少なからずショックを受けた。
魚が獲れなくなったのは、海況の変化によるものが大きいと思っていたが、そうではない。
もし、海況の変化だけならば、世界全体の漁獲も減少するはずだ。
日本は、魚を獲りすぎてしまっているのだ。
獲るのがなくなったから、小さいのを獲るしかない、という悪循環があり、そして、それを改善しようとしない日本人を見越して、世界の諸機関は、このような予測を立てている。

日本の漁業者、関連産業、それらを統括する水産庁をはじめ、研究機関まで、みんなバカなのだ。
こんなことも知らなかったのだから、私もバカの一員である。
そして、魚類資源の減少を感じながら、まだ何でも獲ろうとしている人間は、もっとバカである。

持続可能な漁業を行うことにおいて、日本は超後進国であり、大きな差が開いて、他は先進国である。
先進国の取り組みを簡単に書くと、成熟するまで小さい魚を獲らないこと。
そして、魚の再生産を妨げないこと。
集約すれば、ほぼこの二つに尽きる(ただし、するめいかのような短寿命の魚は、再生産のほうに重点を置かざるを得ない)。

それを達成するために、TACをたくさんの魚種に設定し、その消化率を100%になるように設定する。
つまり、常に低めに設定する。
消化しても、漁期中は増枠しない。
IQを有効に使い、IQの不正消化を防ぐため、小さい魚の投棄禁止。

もちろん、資源管理先進国でも、ダメな取り組みがないわけではないが、日本のそれとは、レベルが違いすぎるのである。
数年の禁漁もいとわないほどであり、日本海で行われたハタハタ禁漁を彷彿させる(しかし、その後、漁を再開した秋田では、漁獲量をごまかすことがあったらしい)。
水産行政トップの政治家のリーダーシップも強く、それ対する漁業者の猛反対は、もちろんどこの国にもある。
本の中の対談で、勝川俊雄さんという東京海洋大学准教授が言ったことを引用する。

いまは成功しているノルウェーやニュージーランドも、最初は大反対だったんです。俺たちの生活を破壊するのかって。でも「量より質」の考え方で規制が入って、5年もしないうちに漁業が儲かるようになると、両国で「え、日本って漁獲枠ないの?それはダメだよね。信じられない!」って言われる。オマエらも最初反対してただろって思うんだけどね。漁獲規制があることで自分たちが儲かるなんて経験をしたことがないわけだから、想像するのが難しいのかなって。
(前掲書p103)


TAC設定は、小型船を最優先に設定する。
これは、本の中で、成功しているノルウェーの事例を持ち出しているが、読んで、なるほどなあと思う。
資源量が減少傾向にあるときは、小型船の漁獲割り当ての減少比率を最小限に抑え、中型、大型の順に、減少比率を大きくする。
確かに、漁獲効率が大きい漁業ほど、減少比率を大きくするのは、資源管理のために理にかなった方法である。
そして、逆に資源量が増加傾向のときは、中型、大型の割り当てを大きくしてやるそうだ。
いか釣りをやってみて思うのだが、小型船は、いくら大漁でも、増枠分、獲った試しがないから、そんなものだろう。

岩手県沿岸漁船漁業いか釣り部会では、TAC設定に関し、まき網やトロールの減少比率を大きくすべきだと提案している。
これは、まさのこの事例に相当する。
その後、どうなったか知らないが。

さきほど、日本の漁業者はバカである、とけなしたが、これには、どうも恵まれすぎていることに理由があるようだ。
対談の中で、前述の勝川さんが言ったことを引用する(言われてみれば、その通り!)。

日本は漁場に恵まれすぎていて、漁場を守ろうという意識が低いですね。魚がいっぱいいる海って、世界を見てもそんなに多くないんです。地中海だってそんなにいない。日本は寒流と暖流がぶつかるなど条件がよくて、極めて豊富な水産資源があります。これはアラブの人たちが自分たちの土地から石油が涌いてくるのが当たり前だよねって言ってるのと同じで、日本人は海に魚がいるのは当たり前だって思ってる。でも実際は違って、世界でもこんなに豊かな海はないってことに、日本人は気づいていないんです。あと、豊かな漁場の漁業者ほど、資源を守ろうという意識が低い。いくら獲っても魚が涌いてくるって思ってる。ただしそれは昔の漁具を使っていたころの話。今の漁具では獲りきれてしまう。その点、昔からやせた漁場の人たちは資源を残す工夫をします。日本は恵まれすぎていて、資源を守る意識が全然育っていないんです。このままでは先がないですよ。
(前掲書p112)


つまり、私たち漁業者が、「いつかまた魚が涌いてくる」と勘違いしているわけだ。
本当にバカだ。

しかし、これくらい恵まれた海ならば、資源増殖の取り組みさえしっかりやれば、世界に向かうところ敵なし、ということである。

これを危惧しているのが、漁業先進国ノルウェーなのである。
再び引用する。

 ノルウェーサバの資源管理方法について漁業関係者に詳しく聞き始めた際、ああり教えたら日本のサバ資源が復活して、ノルウェーからの買い付けが不要になるのではないか?と心配されました。ノルウェーにとっては、それほど日本の魚が消えていく原因とその対策は、明白なものなのです。
(前掲書p143)


ヨーロッパから日本へ輸出するのは簡単であるが、逆は、大きな障害がある。
エコラベルである(これはずっと前からやっている。昔「地球白書」で紹介されていた)。
MSC、ASCなどがあるらしいが、これは、持続可能な漁法で獲った魚のみ流通できるようにしたしくみである。

http://www.wwf.or.jp/activities/nature/cat1136/cat1143/(「WWFジャパン」)

これだと、岩手の2そう曳きは、まるっきり対象外である。

ここで2そう曳きが出てきたから、この問題に触れないわけにいかない。
まず、日本のトロールに関する記述を2点引く。

 200海里漁業専管水域が設定されると、日本のトロール船はアメリカ・ソ連(当時)のEEZ内のスケトウダラ漁場から出ていかねばならなくなります。後に「ドーナツホール」と呼ばれるベーリング公海(公海とはEEZに入らない海域)でスケトウダラの好漁場を発見、年に約100万トンもの量を日本船が韓国、ロシア、ポーランド、中国船とせり合いながら1986年から1990年にかけて漁獲しますが、わずか5、6年で獲り尽くしてしまい、1994年以降、ドーナツホールでのスケトウダラ漁は停止となっています。
(前掲書p17)
 中層トロールの場合は問題ありませんが、網が海底に着底する場合は、海底の環境が荒らされることで砂漠のようになってしまい、資源がそれこそ「根こそぎ」いなくなってしまうことが問題になっています。
 たとえば、九州南部の海域で行われてきた「以西底曳き漁業」の水揚げは、1960年代には30万トンほどあったものの、近年では1万トン弱に激減しています。
(前掲書p84)


三陸沖漁場は、前述のように、私たちが平和ボケして感じなくても、世界屈指の好漁場である。
好漁場であるからこそ、かけまわしを2そう曳きにしても、今までもったのだ。
もし、好漁場でなかったら、今頃、岩手沖合いは、死の海になっていた。
このくらいのことは、自覚すべきである。

アメリカでは、トロールの混獲を、約1%としており、鮭を獲らないシステムもあるそうだ。
「サーモン・エクスクルーダー・デバイス」というものらしい。
2そう曳き業界に心あるならば、ぜひ、導入すべきものである。

その前に、かけまわしに、すべて戻すべきである。



次に疑問点。

p126に「投棄禁止断行でノルウェーのマダラ資源を救った漁業大臣」と題した章があり、小さいマダラを投棄禁止したのまではわかるが、それが、マダラ資源の維持につながるかどうかについての関連がわからない。
自分流に勝手に解釈するが、TACの割り当ての中に、小さいのをちゃんと含めて計算し、TAC消化した時点で、パッと終漁にする、ということだろうか。
小さいマダラの割合が多い場合も容赦なく。
なおかつ、TAC数量を大きくしないことが条件であれば、確かに資源量は上向く。
それとも、小さいマダラが、網を引き上げる前に抜けるよう、漁具の改良をしたというのだろうか。
マダラは、ある程度浮いてくれば、プカンと浮いてしまって、再び潜ることができない魚だ(まれに、産卵の終わったやせた奴は、潜ることがある)。
この点がはっきりわからない文章である。

みんな買って読んだほうがいい。
日本の漁師は、笑いものにされているのだ。
posted by T.Sasaki at 17:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 魚類資源の減少について | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年04月08日

魚類資源減少について 12

今夜は4回目の投稿となる。

いさだ漁の景気がいいのに、漁運丸は港に繋がりっぱなしで、こんな文章を書いているのは変じゃないのか?とみんな考えるかもしれないが、これには、しかたがない事情がある。
肝心の乗組員がいないからなのだ。
宮古でいさだ水揚げトップの先輩からは、乗組員を見つけてやったほうがいい、という助言を頂いたりしたが、できなかった。
この原因は、漁船経営者としての資質がない、の一言につきる。
あるいは、漁運丸がいさだを獲る能力がない、ということを、世に知らしめていることを証明しているようなものだろう。
この事実に関しては、甘んじて受け入れるしかない。

しかし、だ。
他の業界から嫌がられることを知っていながら、このような書き物をなぜやっているかという理由を考えるならば、それほど魚類資源の減少を危惧しているからにほかならない。

ここからは、あまりに子どもじみた話になるが、少し付き合っていただきたい。

例の毛がにの特別採捕に関わる件について、特別採捕の許可条件として、従来の許可条件に違反行為があった場合、特別採捕は即刻中止する、というのがある。
私は前述の通り、特別採捕なるものに反対であるから、ここで少し考えた。
私が、違反操業すれば、特別採捕は、中止になるのだ。
私自身、この通り、毛がに資源減少と将来の漁船経営とを考えて、漁を切り上げたから、故意に違反操業して、岩手県漁業取締船に電話して、捕まる手法もあった。
これにより、特別採捕が中止されれば、来年の毛がにはそれなりに漁獲は増える。
資源増殖に関する取り組みの一つである。
この行為で、トロール業界のメリットは、ほぼない。
なぜならば、毛がにを獲る漁法において、トロールはかご漁業に及ばないからである。

しかし、私が同業者の殺生権を握るほど偉くはないし、この行為が独善的であることは否定できない。
だから、考えるだけにして、やめた。
世の中なんて、そんなものだろう、と大人になった自分が勝手にそう思っている。

岩手の2そう曳きの親分は、宮古市の金沢漁業らしい。
その社長は、宮古高校の先輩でもある。
他界した私の叔父の同級生であるという。
同じ同窓生ならば、それも、宮古高校であるから、想うことはいっぱいある。
宮古高校の校歌を、もちろん同窓生ならば、忘れるはずはあるまい。
今は亡きミュージシャンが、CDに遺したほどの校歌である。
あの校歌を誇りに想う卒業生は、私だけではないだろう。
というより、ほぼ100%に近い割合で、想うところはある、と思う。
そんな同窓生だから、本当のところ、分かり合える部分はあるのではないかと、期待を持っている。

私は、金沢漁業の社長と会ったことも話をしたこともない。
もちろん、顔も知らない。
宮古漁協の理事であるからには、私の父と顔を合わせていたのだろう。
こんな文章を書いている私とは、話をしたくないかもしれないが、私は、徹底的に話をしたいと思っている。
何を話すかというと、もちろん、2そう曳きが魚類資源に与える影響と宮古市や岩手県に与える影響についてである。
もし、社長の心に余裕があるならば、私の彼の腹の底まで聞いてみたいと思っている。



岩手県沖合の漁業行政に変化が、このままないならば、きっと、いったん、みんな貧乏になって終わるだろう。
その先は見えたもので、増田前岩手県知事の人口予測より、沿岸地区の人口は減少する。
弱肉強食という学問的真実を、そのまま人間に適用するならば、社会制度など必要ない。
社会保障制度などというのは、その時点でやめたほうがいい。

しかし、そうではないだろう。
周りの人間と仲良く、たとえ一杯やったらその場で喧嘩することもあるだろうが、そういう機会があるのも、楽しいと思わないか?
社会保障制度、社会制度というのは、同じ地区、同じ国で、少々の小競り合いはあっても、仲良くやっていくためにあるのだ。

私は、公務員という職業に就いている人間を、本質的に好きでない。
しかし、若い時分の理想と現実とを比べて、なってしまった公務員たちも社会に対する葛藤はあると思う。
そういう人たちと正直に話をしていると、それを感じてしまうのだ。
むしろ正直でない、同類である漁業者のほうに、人間性、日本人性、という表現が正しいのかどうかわからないが、疑問を感じてしまうのである。
魚類資源減少について」のシリーズに関しては、以上をもって、いったん終わりにする。

私は、今でも自分のことを半分ぐらい大人で、半分ぐらいは子どもだと思っている。
子どもの疑問は、純粋だ。
その純粋な疑問こそ、みんなを仲良くする手段だと、私は考えている。
posted by T.Sasaki at 21:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 魚類資源の減少について | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

魚類資源減少について 11

再び。

昨年のロシア海域での漁獲量は、どの海域でも増加しているのだという。
これは、新聞記事だったと思うが、私も以前のようにマメではなくなっているので、記事転載できない。
が、最近の記憶だから事実である。

前述Nさんから聞いた話になるが、彼もただ年をとっているわけではなく、いろいろな経験をしているから、その話は貴重なものだ。
彼はロシアに漁業指導に行ったことがあり、その時のことを教えてくれた。

ロシアでは、日本のように、オカの受け入れ態勢が整っていないのだそうだ。
だから、あまりたくさん魚を獲っても、買ってくれない。
まるで、以前の宮古地区のいさだ漁業と同じだ(笑)。
そのため、たとえ密漁があっても、乱獲になるほど獲っていない。

その話から考えると、漁獲量が増加した、ということは、オカの受け入れ施設が増加したのであり、ロシアも魚をたくさん獲り始めた、ということになるだろう。

ここで思うのだが、三陸沿岸では、震災復興のいろいろな補助金活用で、加工工場の冷蔵庫がたくさん建てられた。
つまり、受け入れ施設が充実し、たくさん魚を獲っても、さばけるようになった。
だから、2そう曳きのトロールが、市場のタンクにたくさん入れるのを喜んでいる。
これをどう考えたらいいのか。

スルメイカは、大陸棚の斜面で産卵することがわかっている(今、事情があって別のPCを使っているので、論文のリンクは後で貼るかも)。
オカ寄りの斜面は、場所にもよるが、水深100mより浅いほうが、斜面の傾きが大きい。
それより沖合いは、170m以深から急に斜面がきつくなる。
だから、スルメイカが岩手沖で産卵する場合、100m以浅か、170m以深だと考えていいのではないか。

昨年、一昨年と、スルメイカが定置網で漁獲されないに等しい。
特に、秋鮭終盤から1月にかけての産卵期に、ぜんぜん入らない。
ということは、トロールの網の入らないオカ寄りで、スルメイカが産卵していないことになる。
その代わり、トロールは、秋から冬にかけて、スルメイカを獲っている。
今年は、2月まで獲った。
つまり、産卵場が沖合いに移動しているのに、それをいいことに、たくさん獲ったことになる。
これでは、三陸のローカル群は、発生しない。
事実として、夏イカが、近年ぜんぜん定置網に入らない。
これは、ローカル群の消滅を意味していると思う。

ここで加工業界に提案である。
1月以降の産卵期のスルメイカを、買わないことにするのだ。
あるいは、成熟割合が大きくなった場合、スルメイカを買わない。
それくらいやらないと、スルメイカのローカル群は増えないだろう。
魚類資源が減少する、ということは、各冷蔵庫が空の状態が続く、ということであり、いずれ、行き詰ることになる。
価格ばかり上昇し、中身は残らない。

魚類資源の減少は、地域経済に影響を及ぼすことにもなり、ますます過疎なる。
魚市場の仲買人たちも、どうやったら、魚類資源を増やすことができるのか、考えるべき時が来ている。
posted by T.Sasaki at 17:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 魚類資源の減少について | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

岩手の2そう曳きは操業日数も多い(魚類資源減少について 10)

再び、こんばんは。

八戸のトロールが全船かけまわしであることは、すでに記述していると思うが、彼らは、悪天候が予想される場合、すぐに休む。
私たちが、八戸にスルメイカの昼釣りに行っている時でも、あの独特の地鳴りのするエンジン音をたてて帰ってきたりする。
そんな中、小型のいか釣り船は、操業することもある。
トロールが出ない日は操業しやすいし、はやり網を使われる場合と使われない場合とでは、釣り針にスルメイカも乗りも違う。
冬は、1週間に1回か2回ぐらいしか出ないそうだ。
北ほど季節風が強いからしかたがない、ということである。

一方、岩手沖は、北上山地が迫っているせいか、八戸沖と比べて季節風は弱いし、南北に長い海岸線を擁するため、季節風が強い時には、県南を操業することができる。
小型船が操業できる日は、間違ってもトロール船が休むことはない。

したがって、八戸沖と岩手沖とを比較すれば、操業日数の点でも、魚類資源に脅威なのは、明らかに岩手沖のトロールである。
その上、全船かけまわしの八戸と違って、岩手は、ほぼ2そう曳きなのだから、資源増加など見込めるはずもない。
posted by T.Sasaki at 17:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 魚類資源の減少について | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

岩手の沖合底曳網漁業の歴史(魚類資源減少について 9)

みなさん、こんばんは。

岩手の沖合底曳網(トロール)漁業の歴史について、少々。
聞いた話で申し訳ないが、これは、ある小型船の船主Nさんが教えてくれたことである。

Nさんのお父さん(故人)が、トロール漁船の船頭を昔やっていたそうだ。
岩手県でも、八戸のように、かけまわししかなかった時代である。
その頃のトロール漁業は、1年の半分、つまり6ヶ月操業で、6ヶ月休漁だった(現在は10ヶ月操業で2ヶ月休漁)。
戦後なのか、高度成長期なのか、よくわからないが、日本の国が、とにかく食糧増産を推し進める政策を採り、そのため、6ヶ月操業を10ヶ月操業にしたのだという。
その後、日本は、貿易などの恩恵により、食糧難ではなくなった。
前出の船頭の話では、食糧難でなくなったその時に、元の6ヶ月操業に戻せば、それほど魚も減らなかっただろう、と述懐していたそうである。

ところがだ。
それを元に戻すどころか、最悪の2そう曳きをやり始めたのである。
2そう曳きのトロールは、宮城県で行われている開口板(オッターボード)使用の1そう曳きトロールより悪い。
これでは、ますます魚類資源が減って当たり前なのだ。

岩手で最初に2そう曳きをやった会社は、現在、辞めてしまって存在しない。
だから、全船かけまわしの時代を知っているのは、引退間近の船頭ぐらい。
今、かけまわしで残っているのは、金勘漁業の25勝運丸のみとなっており、この船頭の腕前は、確かなものなのだろう。
断言する理由は、いさだ漁で、正確に網を入れないと獲れない、というのを、私たち小型船は経験しているからである。
ところが、2そう曳きは、そんな正確さなど必要ないと思う(やったことがないから、こればっかりは「思う」としか書けない)。
だから、2そう曳きの船頭の優劣というのは、漁経験と漁場の選択のみ、と言っていい。
かけまわしの船頭と違って、まず、普通の人ならば、誰でもできる、と考えてよいだろう。

以上、トロール漁業の変遷を粗く記したが、昔、半年操業であったことなど、調べてもなかなか出てこない。
関係機関で出向いて調べるしかないが、ここでは伝聞による記述で許していただきたい。

2そう曳きトロールは、開口板使用の1そう曳きトロールの馬力アップ版と考えてよい。
曳き網は、曳いた瞬間から水圧がかかり、網の目は、皿の形のように潰れ、正方形の目ならば抜けてしまうような魚も入ってしまう。
アバ桁や足桁をつけて、目を広げる方法もあるとは思うが、曳く馬力により、魚が横になって網に付いてしまえば、抜けなくなる。
これは、私たちがかごを海中から挙げるとき、よく見る現象である。
本来、抜けてもいい小さい魚が、横になってしまうと抜けていかないのである。
一時、トロール業界も、小さい魚が抜けるような取り組みをやったことがあるらしい。
これは、私の父からの伝聞であるが、その取り組みは成功しなかったようだ。

2そう曳きトロールは、底魚を獲る漁法としては、非常に効率がいい。
効率がいいということは、それだけ資源減少を促進させる、ということだ。
したがって、特に、2そう曳きトロールの操業には、たくさんの制限を設けるべきである。
歴史を振り返れば、かけまわしのみの時代でさえ半年操業であった時代もあったのだから、それを元に戻し、2そう曳きは、漁獲能力の効率の高さから、その半分でもいいだろう。
あまりに操業期間が短くなるならば、盛漁期のみ稼動して、あとは休漁する、ということもできるはずだ。
そういう複雑な操業方法が嫌ならば、2そう曳きは廃止して、全船かけまわしにしたほうが、魚類資源にはいいと思う。

2そう曳きの船頭なら「まず、普通の人ならば、誰でもできる」と私は書いたが、書かれた当事者は、「このヤロー」と思うだろう。
それくらい元気があって自信があるならば、魚類資源の増大へ向けて、ぜひ、船主に向かって、「かけまわしにしよう」と提案してみてはどうか。
そのような気概のある船頭がいることを、私は期待する。



現在、60歳以上の船頭たちには、その父親から聞いた話というのがあると思う。
伝聞には、もちろん、記憶違いというのもあるが、一致した話は、貴重なものとなる。
その昔は、ブログはおろか、個人が記録を残しておく、という考えなどなかっただろう。
今は、それができる。
私自身、それをやってみたい気持ちもある。

八戸には、高齢から、「やめようかなあ」という小型いか釣り船の船頭たちがいる。
漁協の理事もやったこともあり、まき網漁業やトロール漁業などとの会合にもほぼ出席し、発言してきた人間を私は知っている。
彼は、八戸沖の漁業紛争の生き証人である。
時間があったら、いろいろなことを聞いて、全部記録しようかなあ、と考えたりもしている。
posted by T.Sasaki at 17:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 魚類資源の減少について | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年02月23日

魚類資源減少について 8

こんばんは。

私が「こうやるべきだ」と書くと、過剰反応なのか何なのかわからないが、ほかの人に告げ口したりして、私のことを「このヤロー」と呼ぶそうだ。
よく読みもしないで、「このヤロー」という人間は、それなりだとは思うが、問題は、「このヤロー」と誘導するような告げ口のしかたにもある。
私はその人に「あなたはどういう考えを持っているのですか?」と聞きたい。
ちゃんとしたいい大人なら、自分の考え、というものを持っているはずであり、いちいち告げ口みたいなことをするより、「いや、もっとこうやるべきだ」と積極的に考えを前進させてほしい。

私は資料を探し、それを読み解き、理由付けをして書いているつもりである。
それに対するちゃんとした反論なら、私も勉強になる。
しかし、そういう反論もなく、「このヤロー」「この若造」や「あのヤロー」だけならば、誰の利益にもならない。



世界の資源は、無限ではないことを誰でも知っている。
もちろん、魚類資源も例外ではなく、再生産量を漁獲量が上回れば、資源は枯渇する。
資源を使い果たす前に、増やす考えを持たないと、悲惨な結果が待ち受けることになる。
自分を中心に世界が動いているのではないのと同じように、海の中も、人間の都合のいいように動いているわけではない。

先日の資源管理型漁業かご漁業者協議会で言い忘れたことがある。
ミズダコ増殖に関することで、「3kg未満のミズダコは放流すべき」と。
でも、どっちみち反対されるに決まっているから(笑)、おまけして、「全県2kg未満を放流すべき」にする。

現在、岩手県九戸地区だけが、2kg未満放流をしていて、他の地区は、1kg未満を放流している。
なぜそうなのか、というと、宮古下閉伊地区から南は、「ご飯を食べていけない」という理由で、1kg以上2kg未満のミズダコを獲っているのだそうだ(私の父が現役の頃にそう決まったらしい)。

「ホントにこれを獲らなければ、ご飯を食べていけないの?」
「君たち、頭おかしいんじゃないの?」

と思ってしまう私である(ところが、かご漁業者以外は、みんなそう思っているのだ!)

岩手県水産技術センターの説明では、ミズダコは非常に成長が速い。
1年で体重が7倍にもなる。

ミズダコ1.jpg

2kgのミズダコは、1年で14kgになる。
3kgのミズダコは、少し放っておくだけで、すぐに10kgを超えるくらいに成長する。
1kgや2kgのミズダコを放流していれば、成熟する割合も多くなり、産卵量も多くなる。
したがって、ミズダコ資源はもっと増えるだろう。
これくらいのことは、誰でも理解できる。
しかし、ミズダコ資源増加を阻む要因である高水温の傾向が顕著になりつつある。
だから、今から、資源を増やす取り組みをすべきなのだ。

ミズダコ2.jpg

さて、岩手県沿岸漁船漁業組合かご部会の総会が、5月か6月に開催されるはずだ。
私は、日本海に行っているから出席しない。
この時、ミズダコ放流基準の変更を言い出す人がいるだろう、と期待する。
もし、誰もいなかったら、この部会は、救われない。
水産技術センターの職員が、これだけの資料を作ってくれたのだ。
理解できないならば、バカと言われてもしかたがない。



先日、私のヨット部の後輩が、世界の人口と食糧のバランスについて、危惧していた。
話の発端は、魚類資源の減少を私が口にしてからだ。
世界人口は、70億を超えるらしいが、それに対し、食糧が減少するのは大問題である。
私にすれば、そんな人口問題など、30代に卒業している。
あの頃は、環境問題の本をたくさん読んだ。
今でもあるのだろうが、ワールドウオッチ研究所の年次刊行物を毎年読んでいた。
それでも足らず、同研究所の隔月発行の書物も読んでいた。
しかし、人権や人間を信じすぎている部分があり、読むのも嫌気が差してきたので、購読をやめた。
恐らくは、そんなに変わっていないだろう。
そんな私だから、漁業の持続可能性を考えざるを得ないのだ。



(ここからは、オマケ)

私は後輩に言った。

「そんなものは、オレ的には、終わった話だよ」
「それより、身近な問題を考えたほうがいいよ」
「あのトランプ大統領は悪いとは言うけれど、悪いことばかりじゃない。例えば移民問題騒動。移民なんてものは、自分の国がしっかりとしていれば、ありえないと思わないか」
「そんな基本的なことにこそ、目を向けるべきじゃないのか」

後輩いわく、「そう言われれば、そうですよね」。

人口問題なんてものは、すべて、おのおのの自己責任に起因する。
自分の責任で養えない子どもは作るべきでない。
たとえ、それで日本の人口が減ってもだ。
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2017年02月21日

魚類資源減少について 7

こんばんは。

今月19日の日曜日、資源管理型漁業かご漁業者協議会の会合に出席してきた。
ミズダコ資源は上昇傾向であるが、水温上昇により減少に転じる可能性があるようだ。
一方、毛がに資源は減少傾向にあり、来年から甲長8cm未満の毛がには、放流することに決まっている(現在は、7cm未満を放流)。
今年の毛がに漁は、史上最低を記録するかもしれない。
そして、今後、数年間は、そのまま推移するのではないか、と私は思っている。

岩手県水産技術センターでは、2年後以降に漁獲できるほどの小さい毛がにはいる、としているが、私の実感として、異常といえるほど、小さい毛がにが少ない。
むしろ、昨年のほうが、たくさんいた。
かご部会の副部会長は、マダラが毛がにを食べたのではないか、という意見を言っていたが、それには、私も同感である。
マダラは、獰猛な魚だ。
何でも食べる。
釣り上げられたマダラの口からは、タコやカニが吐き出される。
6尾入れサイズのマダラなら、5cmくらいの毛がになど、容赦なく食っているだろう。
そこで、マダラ資源と毛がに資源の増減に相関関係があるのか、質問してみたが、今のところ、そのような研究論文はないらしい。

私は、昨年までたくさんの小さい毛がにがいたから、7cmの毛がにも獲っていいと思っていた。
だから、8cm未満の放流には、あまり賛成できなかった。
しかし、現実に、異常なほど少ない資源を目の当たりにすると、放流して資源を増やしていくしかない。
昨年のこの会合でも言ったことだが、私は、資源を増やすために、4月の試験操業(特別採捕)もやめたほうがいいと思っている。
来年はあきらめるとして、再来年以降に望みをかけるためにも(昨年は4月初めには道具を揚げたし、今年も実質3月末でやめる予定)。

私は、「かご漁業の周年操業はよくない。地区ごとでいいから、2ヶ月か3ヶ月くらいは、休漁すべきではないか」と言ってきた。
これが今回出席するにあたって、絶対に発言しようと思っていたことだ。
かごに入るのは、毛がにやタコだけではなく、かごの入り口から入り得る魚は、全部入る。
それらの魚類資源にとって、いいはずがない。
これは断言できる。
「資源管理型漁業」と銘打つなら、これぐらいはやってほしい。

今や、魚類資源は、減少する一方である。
岩手県は、再び、10万トン割れ。

http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20170207_5(「岩手日報 Web News」)

天下の北海道も100万トン割れ。

http://mainichi.jp/articles/20170202/k00/00m/020/023000c(「毎日新聞」)

震災年を除けば、どちらも統計史上最低の漁獲高である。
環境の変化を理由にあげたりしているが、私は、それだけではないと思う。
きっと人間が獲りすぎている。
今後、以前の環境が戻るという保証はないし、もっと悪くなるかもしれない。
その中で、各漁業が、どうやったら資源を増やしていけるのか、考えるべきである。
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2016年11月04日

魚類資源減少について 6

みなさん、こんばんは。

こんな写真を掲載するのは気分悪いのですが、いか釣り最終日の魚探映像です。

2016年いか釣り最終日の魚探映像.jpg

両側海底に、ポツンとした反応がありますが、たぶん、これはするめいかの反応。
いかの食欲の旺盛な年は、これで、やなであるワイヤーが音をたてて上がってくるほど、食いついてきます。
それが、今年は、まるっきり食ってこない。
何度チャレンジしても、たまに1匹か2匹。

2そう曳きのトロールは、映ったものを全部獲っているのではないか、と思われる(と慎重に書いておきます)。

2そう曳きのレーダー反応.jpg

2そう曳きのトロールは、レーダー映像からもわかるとおり、前のトロールが曳いた場所より微妙にずらして、曳く場所を変えています。
解説すると、前のトロールが曳いた場所には、獲物が残っていないから、沖側か陸側へずらして曳きざると得ない、ということなのです。

1年10ヶ月、時間を決めて、こんな感じで岩手沖を曳いているわけですから、魚がいなくなるわけです。
彼らには、魚種を特定して獲る、という考えは、微塵もない。
ましてや、魚のサイズを特定するなど、漁法の時点で無理。

小さい魚を、仮に一網、1トン漁獲したとします。
2そう曳きは、当日売りなら、2回網を使って、2トン。
掛ける25日(1ヶ月の仮定操業日数)、掛ける10ヶ月で、500トン!
数百グラムしかない魚が、育って10倍の目方なったら、その生産量は、10倍の5000トン!(例えば、マダラなど、とんでもなく大きくなる)
しかも、大きくなってから獲れば、成熟する割合が大きくなり、その相乗効果は非常に大きく、魚類資源は確実に増大します。

トロールの2そう曳きは、やめたほうがいい。
次に、開口板(オッターボード。日本語で言ったほうがいい。日本人なんだから)トロールが良くない。
今一度、すべてのトロールは、かけまわしにすべきです。

大学の水産学系や水産研究所は、はっきり言うべきだ。
君たちが、それをはっきり提言しないのは、ずるい。

(強烈だなあ)

(嫌われて、結構)

勝手にやれば〜
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2016年10月20日

魚類資源の減少について 5

みなさん、こんばんは。

昔々、私が生まれる前、私の父がまだ小学校に通っている時代、地先の宮古湾は、魚が豊富でした。
戦争もあって、私の父は、小学校に通いながらも、魚を獲って生計を立てなければならなかった。
小学校4年生から、スズキ縄に行ってスズキを獲っていた。
この時から、「漁運丸」を名乗っていたそうです(今年で、70周年!)。

とにかく、貧乏でも、スズキ縄で何とかご飯を食っていた(本当に貧乏だった)。
父の回想では、その当時、漁船の数も少なく、魚のほうが多かったのでは、とのこと。
そして、獲る魚種を変え、旬の魚を獲ることが多かったらしい(旬でない魚を獲らなかった。だから資源を維持できた)。
マツカワなど、両腕で抱えるような大物が、宮古湾には普通にいた!

しかし、スズキ資源は長くは続かず、今や、スズキなどという魚は、めったに見ません。
刺網で撮り尽くしたのではないか、と父は疑っている。
それほど、網という漁業は、魚類資源に対して、脅威なのかもしれません。

時代が変わって、三陸するめいかの大豊漁の時代です。
山田湾だけでも、100隻ものいか釣り船がいたそうです(山田の御箱丸も無線機で言っていた。彼は震災後に船を売ってやめました)。
それが、三陸でするめいかが獲れなくなり、いか釣り漁業は大倒産時代となりました。
その頃、漁運丸は、福島の松川浦から買ってきた14トンくらいの木船で、日本海へいか釣りに行き始めました。

その後、日本海いか釣り漁業もパッとしなくなり、またまた転機が訪れます。
私が学校を卒業する前後あたりから、鮭の大漁期で、春にしろ、秋にしろ、鮭が余っていた時代になります。
そして、その頃、毛がにやミズダコも余っていた。
うまく転業したり兼業したりして、いかの大不漁を乗り切ったらしい。

その後再び、三陸するめいかが復活し、日本海へ行かなくていい年が続き、前沖だけで操業できたりした。
前沖で何でも獲れた、良き時代でした。
ピークはいつだかわかりませんが、それからは、いか釣りで釣れるするめいかは、年々減少傾向になり、なぜか、どの魚種も減少傾向。

今、山田湾で稼動しているいか釣り船は、昼いか専用船が2隻のみ。
海洋環境が変わったのが一つの要因かもしれませんが、私は、獲りすぎ漁業(ハイテクまき網漁業や沖合底曳網漁業)の野放し、そして、それらへの政府による支援に、大きい原因があると思う(山田町大沢小学校の「海よ光れ!」という劇を観てほしい。今でもやっているらしい)。

「漁運丸は、何でも獲り、それが悪い」という人もいる。
しかし、「何でも獲る」のは、旬の魚であり、ご存知の通り、毛がにの旬の時期には、毛がにを獲り、いさだが来遊すればいさだを獲り、夏はするめいかを獲り、秋は鮭を獲る(昔は秋鮭の前にたら縄でまだらを獲った)。
定着している魚を獲り尽くすのではなく、艤装や道具を変え、旬の魚を獲る。
旬の魚を獲る、ということが、資源維持のために、本当は必要なことではないか、と思います。
中には、何でも獲る人間より専業者のほうがエライ、という人もいますが、専業者は、1年中、その魚種ばっかり獲ってしまい、育つ時間や増える時間を魚に与えていないと思う。

するめいかやその他の魚類資源減少の中、「魚類資源の減少について」で紹介したあの論文を読んでからというもの、どうしてもこのように考えるようになりました。
やっぱり漁師たちは、魚を獲り過ぎているのかもしれない。
特に、定着魚は、養殖漁業のように、育つのを待つ、という考えを持たなければならないような気がする。

市場も仲買人も、目先の利益だけでなく、将来を考えたほうがいい。
資源が少なくなれば、取扱量が少なくなって、浜値だけが高くなり、経営が大変になります。
消費者のほうも賢いのだから、高すぎると、魚離れがますます多くなります。
現状をこのまま放っておけば、みんな苦しくなるだけ。
水産加工会社などを含め、水産関係者は、積極的な提言をすべきだと思います。

偶然にも、ほぼ1年前に書いた「税金が魚類資源を減らす?」が、するめいかに関しては、ほぼ現実になってしまった。

だから最近、私は、「岩手の2そう曳きは、海のために一番良くない」と、みんなに言い始めたのです。



以上、ネット上にある論文を少し勉強し、啓発したつもりです。

公開されている論文が多すぎて、特に、するめいかの回遊経路に関して、あまりに自己流に書いてしまった感じもします。
しかし、昼いかをやっている人はわかるのですが、するめいかは、「潮のぼせ」をするのです。
太平洋の夏いかは、1日で10マイルくらいは平気で潮に逆らって北上したりします。
例えば、岩手県の八木沖に入ったいかが、翌日には、八戸沖の大きな「根」まで北上したり、10年くらい前の岩手沖で大漁だった時は、閉伊埼から明神埼にいた大漁いかが、翌日には黒埼まで北上していた。(日本海のするめいかも、瀬の周辺に上がったいかは、潮のぼせをします)。

かごに関しては、もっと具体的に書きたいことはありましたが、まあ、あとは、かご部会のトップの人たちが考えることだと思います。
その手下(?)の人たちも、これを読んだりしているらしいので、反映されるかどうか、楽しみです。
再来年からは、岩手沖の毛がにも、北海道並みのサイズ規制が行われる予定です(甲長8cm以上)。

「あいつがこういうことを書いていた」と裏で噂したり、中には、「このやろー」と言ったりしている人もいると聞きます。
しかし、「このやろー」ではなく、必要なのは、資源増加へ向けて何ができるのか、ということを考えることだと思います。

(「魚類資源の減少について 4」を書いた後、茨城県のかごの許可はたったの2ヶ月である、ということを教えてくれた方がいました。いわてけ〜ん、少しは考えよう!)
posted by T.Sasaki at 20:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 魚類資源の減少について | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年10月19日

魚類資源の減少について 4

みなさん、こんばんは。

今回は、岩手県のかご漁業について。
岩手県のかご漁業は、周年操業です。
なぜ、そうなのかは、わかりません。
これでは、たこや毛かにの資源増加は、ありえないのではないでしょうか。

この周年操業について、実のところ、トロール業界からも意見されています。
トロール漁業は、7月と8月の禁漁期間があります。
しかし、かご漁業には、それがありません。
小型船の人たちは、私を含め「トロールが悪い」とは言いますが、自分たちは休漁期間も設けないで、海にかごを漬けて何でも獲っているのですから、文句を言われてしかたがない。
小型船漁業の中で、唯一、資源管理に対し、いちゃもんをつけられているのが、かご漁業なのです。

未だ、ミズダコの漁獲制限は1キロ未満。。
九戸地区だけ2キロ未満。
これでは、ミズダコ資源が増えるわけありません。
この辺は、最初の「魚類資源の減少について」で紹介した論文の示すところを、理解すればいい。
そんなケチなことを言わないで、3キロ未満放流とか、5キロ未満放流とかにすべき。

そして、毛がにの漁期のように(これも特別採捕期間など設けずに、1月から3月まででよい)、ミズダコも漁期を決め、休漁期間というものを設けて、ミズダコの育つ時間を与えたほうがいい。

何度も書きますが、私が学校を卒業してきた頃、かご漁業は豊漁で、特にミズダコは大豊漁でした。
海底を毛がにがたくさん歩いていて、それを狙って、ミズダコがウヨウヨしていたんだと思います。
みなさんも、その風景を想像してください。
そこまで資源回復を望まなくても、資源減少は食い止めるべきです。

資源減少で困るのは、より規模の小さい経営体ほど困ります。
どうやっても、水産庁の補助を受けた大資本に敵いません。
ならば、小型船のほうから率先して、資源増加への取り組みを示していくべきなのです。

(たぶん、これを読んだ関係者は、私のことを嫌な奴だと思っているでしょう。でも、その矛先を、私にではなく、獲りすぎる漁業団体の方へ向けてほしい。これは事実なのだから)。
posted by T.Sasaki at 19:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 魚類資源の減少について | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年10月18日

魚類資源の減少について 3

みなさん、こんばんは。

するめいか大不漁の今年、平成28年(2016年)は、忘れられない年になりそうです。
八戸では、トロール船の水揚げした木箱の史上最高値更新中で、10月5日に15200円を付けています。

さて、するめいかの回遊について。
海を大回遊する魚ほど、その回遊経路は謎が多く、完全にわかるものではありません。
しかし、今のところわかっていることがあります。

日本で漁獲される8割方のするめいかは、日本海南部から九州西部の東シナ海にかけての海域で産卵し、生まれます。
秋生まれ群は、日本海南部から九州北西部で生まれ、日本海を北上します。
冬生まれ群は、それより南の東シナ海で生まれ、太平洋を北上します。
このことを説明したわかりやすい図が、ネット上にあります(検索すれば、たくさん出てきます)。

季節の旅人スルメイカは海洋環境変化の指標種(「海洋政策研究所」)

資源量を維持するには、つまり、するめいかに再生産をさせるためには、ぜひとも、日本海南部から東シナ海まで、戻ってもらわないと困るわけです。
もう一つ、日本のするめいか資源の2割を担うローカル群も大事にすること。
先ほどの図の冬生まれ群の説明では、次のようにあります。

一方、東シナ海の大陸棚域を産卵場とする冬生まれ群は、幼イカは黒潮内側域に沿って房総半島沖からの黒潮の北側の北洋の海まで分布を広げ、次第に成長しながら、10月以降に北海道沿岸に移動し、宗谷海峡と津軽海峡を経由して日本海を南下する(図1右図)。

しかし、すべてが日本海へ戻るわけではありません。
秋から冬にかけて、太平洋を南下し、産卵する群が存在します。
それが、太平洋のローカル群です。
ローカル群に関する論文が、昔々、出されていたんですね。

http://jsnfri.fra.affrc.go.jp/publication/shuuroku/shuuroku-9,65-72.pdf

この論文の「4 考察」Bに、次のように書いてあります。

1979〜1981年の9月頃を中心に岩手県沿岸には秋生まれ群と思われる夏秋成熟群が1〜2割出現した(井ノ口,1982)。また1984年には出現しなかったが、1985年の9月に夏秋成熟群の雌固体が12%出現したことからも、冬生まれ群以外の群が目立つ傾向にあるのがわかる。

先日、宮古漁協冷凍工場の工場長さんが、「小さいするめなのに、成熟しているんですよ。これって、するめ自体が資源量の危機を感じて、早く成熟するのですかね」と言っていたことを思い出します。
今年は、早期成熟群が多いらしい。

この成熟群は、どこで産卵するのか?
津軽海峡を渡って、日本海南部まで我慢できるのか(笑)。
9月に三陸沿岸に入ったするめいかは、あまり北上しなくなります(夏のするめは、どんどん北上します)。
むしろ秋から冬にかけて、南下するのが多くなります。
だから、この成熟群は、岩手以南で産卵する、と思う。
水産技術センターでも、常磐海域あたりにローカル群の産卵場があるのではないか、と見解を述べていました(今や退職した後藤さんによる)し、冬から春にかけて、静岡県の下田まで行ってイカ釣りをする人もいますから、ローカルな成熟群は、ある程度南下しているものと思われます。

その南下する前に、秋から冬にかけて、岩手県沖合では、トロール2そう曳きが、そのするめいかの成熟群を根こそぎ獲っていることになります。
ここで提案。
獲ったするめいかの中に、成熟したものが、例えば5%以上入っていたら、トロール漁業のするめいか漁獲を禁漁とする、とか(理想は、かけまわしのみにする)。
まき網漁業も、もちろんそうしたほうがいいだろうし、特に、九州地区での成熟群は、まき網船の漁獲を禁止すべきです。

私たちいか釣り船は?
もちろん、禁漁しない。
それは、存在するするめいかの10分の1も獲れないからです。
するめいかの学習能力は高く、昼いかで同じ魚群に針を下ろした場合、一度針を見たするめいかは、次に食いつくのは、前回の1割か2割程度で、その次は、ほぼゼロです。
中型船では、10分の1の漁獲とされています。

http://www.jasfa.or.jp/contents/squid_hand_line.html(「全国いか釣り漁業協会」)

イワシやサバ、そして、タラ類が余っていた頃、まき網船やトロール船は、するめいかを獲らなくても困っていませんでした。
いか釣りが、資源量の10分の1しか獲れないのですから、獲りすぎというのはありません。
するめいかは、自身の体より大きな卵塊を生み、その中には、数万から数十万個の卵が入っているとされています。
もし、するめいかを獲ることのできる漁業が、いか釣り漁業と沿岸定置漁業だけならば、資源減少の一つの要因である漁獲圧に対しては、問題ないことになります。
したがって、漁獲圧を大きくしているまき網漁業とトロール漁業に対する資源管理対策が、非常に重要になってきます。

と、これだけ明確に書いて、わからない人は、もう漁業関係者をやめたほうがいい。
「まき網漁業とトロール漁業は、成熟群を獲らない」という提案、いいと思いませんか。



話は変わって、新潟の山津水産の元重役だった重茂さんという方がいます。
彼は、私にいろいろなことを教えてくれました。
その中で、興味を引くのが、やはり、するめいかの回遊経路について。
彼が山津水産にいた頃、とにかくするめいかの情報量がすごい。
小型から中型まで、どこでたくさんいかが獲れて、どこがダメなのか、机の上でわかっているんです。
そして、長年のデータを頭の中で整理した結果が、日本列島大回遊説。
秋生まれ群、つまり、日本海北上群は、日本列島を時計回りに大回遊しているの基本であり、あとは、何かの影響で、それが、太平洋まで回らないで、羅臼に全部入ったり、稚内で戻ったりすると。

ここで私が注釈をつけます。
日本海のするめいかは、潮流に乗って移動します。
太平洋のするめいかは、反対に、潮流に逆らって移動します、特に6月から8月にかけては。
日本海の潮流は、おおまかに言えば、北へ北へ。
オホーツク海の潮流も、やや、西から東へ行っているようです。

http://www1.kaiho.mlit.go.jp/KAN1/soudan/kairyu.html(「海上保安庁 海洋情報部」)

そして、太平洋に抜けたするめいかは、潮に乗って、花咲から釧路、十勝海区へと移動し、それは、三陸沖に来て、そのまま南下。
これが、太平洋ローカル群になる、きっと。

ちなみに、稀に、夏に太平洋を南下する群があります。
これには首をかしげるのですが、重茂さんの説を聞いて納得しました。
日本海から津軽海峡を抜けて、太平洋を八戸へ南下した場合、その群がどんどん潮に乗って南下したのではないか、ということです。
太平洋の常識では、夏いかは北上するからであり、その時期の南下群は、日本海産だったわけです。

こうなると、太平洋の北上群の回遊経路は、ますます明快。
ただ単に、潮に逆らって行くのみ。
太平洋のするめいかは、津軽海峡であろうが、オホーツクであろうが、日本海であろうが、とにかくどこまでも行って、行き着く先は、日本海南部から東シナ海へ。
以上は、重茂さんの説から、私が導いた仮説です。

ただ、腑に落ちないのは、太平洋北上群が、途中まで黒潮に乗って、北上していること。
もしかして、寒流に入った瞬間に、潮流に逆らって北上するのかも。
この辺の習性は、全くわかりません。
ますます謎です

高知県や和歌山県などの黒潮海域でも、するめいかの水揚げはあります。
興味深いのは、高知県のデータです。

http://www.pref.kochi.lg.jp/soshiki/040409/files/2012040400137/2012040400137_www_pref_kochi_lg_jp_uploaded_attachment_70727.pdf

ちゃんと地方群(ローカル群)として、夏いか漁があり、冬季には、産卵群が形成されている、ということ。
ローカル群も、資源量として、やはり無視できませんね。



北海道の羅臼海区に入るするめいかは、日本海回りと太平洋回りのどちらもいるのではないか、と話す人もいます。
仮説通りなら、潮に乗って移動する日本海北上群と潮に逆らって移動する太平洋北上群は、どちらも羅臼海区に入ることになります、たぶん。
羅臼でいか釣りに行ったことのある私の父の話では、「羅臼はいかの墓場と言われている。いったん羅臼に入ったするめいかは、出ることができない」のだそうで、資源的には、そこで死んでしまっては困るのです。
羅臼で、するめいかは産卵できない。
この大不漁の数年前まで、羅臼は大漁で、あそこで操業したいか釣り船は、短期間で数千万円水揚げしたそうです。
もしかして、羅臼の大漁が続いたら、するめいかの資源は要注意なのかもしれません。
何せ、日本海南部や東シナ海への成熟群の供給が少なくなるのですから。

こうなった場合、やはり獲る量を加減しないと、資源量は減ることになります。
上記の高知県のファイルには、次のようにあります。

スルメイカの資源量は、マイワシと同じように海洋環境の変化によって左右され、現在のように海洋が温暖な年代はスルメイカにとって好適な条件であると考えられています。

現在の温暖な好条件にもかかわらず、このありさま。
まき網業界やトロール業界の人たちも、どうやって資源維持していくのか、考えるべきです。

岩手県沿岸漁船漁業組合のいか釣り部会長も、次のように言っています。

 釣りは群れの1割も獲れないが、網なら丸ごと獲れてしまう。巻網はサバとイワシ、トロールはタラなど底魚を獲るのが基本で、イカに関しては資源が復活するまで考えてもらいたい。
(2016年10月3日付「週刊 水産新聞」14面)
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2016年10月17日

魚類資源の減少について 2

みなさん、こんばんは。

するめいかは非常に少なくなり、自主休漁しています。
1週間に1度くらい、様子見に出る程度かな。
切り上げてもいい状態。

さて、「魚類資源の減少について」のつづきです。
ご存知の通り、資源減少の原因を作っている最右翼は、まき網漁業と沖合底曳網漁業です。
近年、まき網漁業の魚探能力が向上し、彼らの船には、魚種や魚の大きさまで判別できる魚群探知機が搭載されています。
網を使う前から、その魚群がどんなものなのかがわかるらしい。
したがって、「大不漁なのに、今年もまき網はするめいかを獲るのか?」で書いたように、水産庁がまき網漁業にスルメイカの禁漁を申し付けた場合、スルメイカ以外の魚を、選択的に獲ることができます。
本当のところ、このような優秀な魚探がなくても、間違って入ったスルメイカを生きたまま逃がすことができますし、小さい魚ばっかりなら、同じように生きたまま放流できます。
このことは、次のリンクの説明図を見て、想像できると思います。

http://jamarc.fra.affrc.go.jp/work/makiami3.htm水産研究・教育機構「開発調査センター」


厳格な資源管理をするため、漁獲調整するならば、まき網漁業は、優れた漁法かもしれない。
しかし、船を動かす人間様のほうに、信用がない。

次に、沖合底曳網(トロール)漁業。
これには、1そう曳きと2そう曳きがあり、1そう曳きには、開口板(オッターボード)を使用するものと使用しないもの(かけまわし)に分けられます。

http://jamarc.fra.affrc.go.jp/work/okisoko.htm水産研究・教育機構「開発調査センター」

沖底の場合、どの漁法も、網を揚げた時点で、魚はすでに瀕死の状態なので、まき網漁業のように、選択的に、小さい魚などを生きたまま放流することはできません。
したがって、一度に大量に獲る漁法としては、良い漁法とは言えません。

かけまわしは、網を入れて、曳きロープの幅が狭くなれば、網の開口部も閉じたような状態になり、それ以上曳いてもあまり意味がないので、網を揚げます。
開口板を使用すると、いつまでも網の開口部は広がったままなので、ずっと曳いていることができます。
2そう曳きは、開口板を使用した状態よりもさらに開口部が広く、足を重くすれば、少々馬力を上げて曳くことができ、魚を逃がさない。

さて、どれが一番乱獲できる方法か?

以上の説明でも分かるとおり、答えは、2そう曳き。

しかも、岩手沖の小さい根や海底定着物を平らにしてしまった元凶とさえ言われていて、海底に生えている「ガマツ」と呼ばれる植物みたいなものをすべてなぎ倒し、小魚の育つ楽園を消滅させました(このことに関し、私は「岩手日報紙」に投稿したことがあります。水産庁に後ろ盾をもつトロール業界が、岩手日報紙上で、小型船と岩手県を攻撃しました。私は、たまたま足を骨を折っていて日本海へ行かなかったため、それを目の当たりにし、逆上して投稿。やっつけました)。
海底環境や魚類資源にとって、最も最悪の漁法である、と言えそうです。

この2そう曳きは、岩手以外にもあるようで、日本全国では、6県(山口,島根,岩手,愛媛,神奈川,徳島)。
岩手県は、2そう曳きが5カ統で、かけまわしが1隻。

沖合底曳船の説明が長くなりましたが、資源に関する記述は、ここからが本番。

2そう曳きは、よく、とんでもない小さいマダラなどを獲ってきたりします。
何十トンも。
さらには、キチジのミニ版も、万丈かごで市場に並んでいたりします。
曳く魚がいなくなると、何でも獲ってくる始末ですから、とにかく、魚類資源にお構いなし。
理由は、「獲るのがないから」と「他のTACをすぐに消化してしまうから」。

魚類資源の減少について」で紹介した論文からもわかるとおり、小さいマダラを獲らなければ、生産量は増大するのです。
トロール業界の社長たちは、このことをどう思っているのか。

そして、近年のスルメイカの大不漁。
私は、これにもトロール漁業の乱獲が関わっていると思います。
それは、「税金が魚類資源を減らす?」に記述している通りで、これには閉口します。

大不漁の今年、スルメイカの単価が異常といえるほど高い。
キロ単価600円を超えたとか。
つまり、たった2トン獲っただけで、120万円也。
彼らはもう、資源維持のことなど、ほとんど考えていないに等しい。
これでは、どんな魚類資源ももちません。

宮古魚市場の中で、2そう曳きの水揚げ金額は、無視できる量ではありません。
今まで、私は、「2そう曳きの水揚げが、宮古魚市場を支えてきたのだから、しかたないかな」と考えてきました。
しかし、もう、そう考える次元ではない、と思う。
2そう曳きはやめさせて、すべてのトロール漁業は、かけまわしにすべきです。
海のために良くない。

さらには、2そう曳きという漁法は、秋鮭のためにも良くない。
本来、鮭を獲ることのできる漁法は、定置網、河川捕獲、延縄の3つです。
だから、トロール漁業は、鮭を獲ってはダメ。
しかし、魚市場には、堂々と水揚げしています。
もちろん、入網して死んでしまった魚を捨てて来い、などと乱暴なことを言うつもりはありません。
そこで、トロール漁業の鮭の混獲を少なくするには、どうやったらいいのでしょう。
それは、かけまわしです。
かけまわしのトロールは、ほとんど鮭を水揚げしません。
だから、再度書きます。

2そう曳きはやめさせて、すべてのトロール漁業は、かけまわしにすべきです。
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2016年10月12日

魚類資源の減少について

みなさん、こんばんは。

スルメイカの今年の大不漁は、このままの状態で、年末を迎えそうな気配です。
各地区にある水産研究所の方に、この大不漁は何が原因なのか、聞いてみたい。
私だけでなく、水産加工関係者を含めて、みんなが聞いてみたいのではないでしょうか。
しかし、彼らに答えられるかどうか。

魚類資源の減少は、漁獲圧が大きすぎるか、あるいは、環境の変化によって魚がその海域で育たなくなったか、のどちらかです。
漁獲圧の大きな漁法は、何といっても、大型まき網漁業と沖合底曳網漁業。
魚を獲り尽すことにおいて、他のどの漁業も、彼らには敵いません。

漁獲圧が大きすぎる、ということは、つまり、魚の増加分よりも獲る量のほうが大きい、ということです。
こんなことは、誰でもわかりますよね。

そして、そのことを裏付ける論文が、発表されていたようです。
震災後のマダラの資源変動です。

東日本大震災以降の漁獲圧の減少がマダラ資源に及ぼした影響」(「東北区水産研究所」)

いろいろな理由で、福島沖のマダラの幼魚を獲らなかったために、その数年後、たらふく食べて育ったマダラは太り、でかくなった。
それを漁師が獲ったため、数倍の漁獲量となったのです。
つまり、大きくなってから獲った。

この論文の示唆するものは、漁獲圧に対し、魚類資源は、意外にも、敏感だということです。
私が、「意外にも」という言葉を使うのは、変に思われるかもしれませんが、本当に、意外でした。
実のところ、魚は、人間の知らないいろいろな所を回遊していて、全体の資源量はあまり変動しないし、減少しても簡単に回復するものだ、と考えていたからです。
しかし、現実は、違った。

スルメイカの極端な資源減少を目の当たりにしたり、岩手県水産技術センターから、毛がに資源への憂慮を伝えられたりしていて、最近、考えさせられるようになりました。
どういう漁業を行っていったらいいのだろうか、と。
今、いろいろと資料を探し、勉強している最中です。

ちなみに、この論文の図1は、2月末に行われた資源管理型漁業かご漁業者協議会の会合(「毛がに資源は、あまりよくない」参照)の会合で配られた資料の中にあり、水産技術センターの方が説明しています。

それにしても、この論文は、下手くそ!
私も下手だけど、プロにしてはお粗末。
(2)で、2010年、2011年にマダラがたくさん生まれたことを否定したいのなら、(1)の最後の文章を、「2010年および2011年に生まれたマダラが多かったために、資源が増加したことが明らかになりました。」と書かずに、「2010年および2011年に生まれたマダラが多かった、と推定されます」と書けばいい。
論文の流れが悪く、読んだ人は、さまようことになりますよ。
posted by T.Sasaki at 22:11| Comment(0) | TrackBack(0) | 魚類資源の減少について | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする