日本の漁業が崩壊する本当の理由 片野歩

世界中で魚類資源が増えているのに、日本だけが減っている。
この現実を、恥ずかしいと思うべきである。

日本の漁業が崩壊する本当の理由.jpg

すべての漁協組合長、理事、参事、そして、任意の漁業団体の会長以下すべての役員たちは、この本を読むべきだ。
読みたくないならば、「日本の漁師は大バカものだ」を参照すること。
これを認識できないならば、役職に就く資格はない!

2024年02月05日

新製品はできるだけ買わない主義

ふたたび、こんにちは。

景気の良かった頃の漁運丸は、6年ごとにエンジンを交換していた。
いか釣り機も、新型が出ればすぐに飛びついた。
しかし、今や不景気なので、オーバーホールしながら、壊れるまで使うことにしている。
私のお世話になっている船関係の業者は、みんな腕がいいから、トラブルが有っても、すぐに直してくれる。
いか釣り機など、新台よりオーバーホールしたほうが調子がいいほどだ。

無線屋さんには、「そろそろ、〜」といわれるが、ボロソナーもちゃんと動くし、映ったものを狙えば、漁獲もできる。
新台を買ったとしても、今の漁では、掛けたカネを回収できるほどの水揚げはない。

それから、技術の進歩というのがある。
急いで新発売を買うのはいいが、後で買うほど、その性能は進歩している。
例えば、「この高水温、どうにかして!」に登場したフルノ製潮流計は、せいぜい50mくらいの水深しか測定できず、どうにかすれば、50mでもエラーが出る。
それが、今の同型は、100mくらいまではデータを取れるそうだ。
だから、自分のやっている商売に影響を与えるくらいに性能が良くならない場合、壊れるまで使ったほうがいいと思う。
後に出てくる改良型の製品のほうが、優秀だからである。

この潮流計、いわしなどの濃い反応が映ると、使い物にならない代物だ。
進路を変えても、流向、流速は変化する。
万能ではない。

ついでに、上記の新台購入について参考になる話。

税金控除の部分で、減価償却というのがある。
減価償却が全くなくなると、水揚げが大きく伸びた場合に、経費だけで、節税できるほど単年度の控除額を大きくすることはできない。
そこで、大型の設備投資で、減価償却費をある程度確保しておけば、税金を納めすぎるのはなくなる。
つまり、少々景気が悪くても、先行投資する、という形である。
ただ、つまづいた場合を考えると、これはリスクとなる。
その辺のさじ加減が、漁船経営では重要だと思う。
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2023年05月20日

風力計(ウエザーステイション)

ふたたび、こんにちは。

私は、船に風力計が欲しかった。
しかし、意外に、これが高価なので、おもちゃを付けてきた。

ウエザーステイション.JPG

華奢な取り付けなので、いつまでもつか。
ピッチングがあっても耐えられるように、細い綱で一応結んでおいた。

ネット通販で、ウエザーステイションで検索すれば、出てくる。
まあ、いろいろやってみて、ようやく使い方がわかった。
説明書は付いてくるが、英語。
日本語は、販売元からダウンロードするようになっている。
あ〜、めんどくさい。

モニターがこれ。

ウエザーステイション2.JPG

風力はもちろんだが、その他、いろいろある。
二酸化炭素濃度やPM2.5なども測定できるらしいが、信用できるのかね(笑)。
まあ、おもしろい。
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2022年12月18日

水温計の誤差調整

ふたたび、こんばんは。

異常海水温」を表示した水温計のセンサーを交換したので、一応、実測値を計って、誤差調整しようと思った。
津波の前だったか、「宮古漁協」の高浜増殖研究センターからいただいた水温計を用いる(宮古漁協でも、いつのまにかWebサイトを作ってたんだ〜。知らなかった)。

アルコール水温計.JPG

船の水温計センサーの水深を測ると、だいたい1m。
そこまで水温計を下げて実測。
しかし、そのまま引き揚げても、すぐに温度は上昇する。
そこで、菱屋酒造の千両男山赤ラベルの登場(私の定番)。

男山赤ラベル.JPG写真

ビンの口にひもをしばって、そこから1mのところに、印として青いビニールテープを巻く。
これに、水温計を入れて、印まで沈めてやる。

男山赤ラベル2.JPG

何分か経ってから、海水の入ったままの男山を引き揚げて、水温計を読む。

アルコール水温計2.JPG

こうすれば、深さ1m程度の水温なら、ほぼ実測できる。

誤差は、0.1度程度だったので、調整しない。
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2022年12月17日

ソーラーパネル充電

ふたたび、こんばんは。

監視カメラの映像記憶装置は、意外にも、電気を食う。
ずっとエンジンを休ませておいたら、バッテリーが完全にあがっていた。
完全にあがると、どの充電器でも充電できるわけではない。
しかたがないので、無線屋さんから借りてきて充電した。

いつもこんなことをしているのも嫌なので、ソーラーパネル充電!

バッテリー充電用ソーラーパネル.JPG

ラムダ型にパネルを組んだ。
1枚のパネルを片方に傾ければ、船の向きによって、いちいち角度を変えなければならない。
それを機械屋さんに言ったら、どこかの船は、逆Vの字、つまりΛ型にしている船がいるとのこと。
これだと、確かに、どの方向でも太陽光が当たるだろう。
水平案もあったが、カモメやカラスのウンチが積もる。

結果は上々。
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2022年11月30日

亜鉛の価格

こんばんは。

先日、船のペンキドッグを兼ねて、水温計のセンサー交換した。
水温計本体は、壊れていなくて助かった。
あとは自分で微調整する。

不要だと思って切り落とした」ところの亜鉛は、ちゃんと付いていた。
亜鉛は効いていて、腐っていた。

この「B-2」という亜鉛は、8年前、1枚1740円で買っていたが、今年の春には、2900円もした。
差額が1000円以上にもなると、チャーシュー麺を食える。
私の船には、船尾に8枚、キングストンに3枚ついていて、チャーシュー麺を10杯以上食えることになる。
恐ろしい時代になってきた。

亜鉛の金属価格は、5年間、上下変動はあるが、それほど上がっているわけではない。

https://zinc-market.seesaa.net/

製造過程で、エネルギー価格や人件費などの経費上昇などが転嫁されるから、どうしても製品価格は上がっていく。
上記のページでは、在庫水準が下降傾向にあるから、製品の末端価格は、もっともっと上がるだろう。

posted by T.Sasaki at 16:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 漁船設備 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年07月12日

水温計が壊れていた

ふたたび、こんばんは。

みずだこの不漁」で記した水温「11度台」というのは、間違い。
他船に聞いたら、13度といわれたが、「この水温計は、2度くらい低いのだろう」という程度にしか考えていなかった。
昨日の水温が、これ(笑)。

異常な水温計.JPG

無線屋さんの話では、センサーが壊れたか本体の寿命かどちらかだ、と。
付属の電圧計は、正常。

異常な水温計2.JPG

魚探にも、おまけの水温計が付いていて、なぜ、これと比べてみなかったのかと、今さらながら、自分がボケ始めているのに気づく(物忘れが激しいんだから、自覚はしているが)。

魚探水温計.JPG

だから、最近は電圧ばかり見ている。
電圧を見たって、何にもならないよ。

直すのは、いつになるのやら。
posted by T.Sasaki at 20:06| Comment(0) | TrackBack(0) | 漁船設備 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年06月10日

つまみの可変抵抗の交換

ふたたび、こんばんは。

これは集魚灯用の自動電圧調整器で、電機屋さんはAVRと呼んでいる。

自動電圧調整器.JPG

30年モノだから、もう交換かな、と思ったら、メーカーに送ってオーバーホールしてもらった。
近年、つまみを少し回しただけで急に電圧が変わり、微調整が効かない。
これは、つまみの可変抵抗がイカレ気味だからだそうだ。
その部分を交換してくれた。
いか釣りは盆過ぎからやると思うから、試運転はまだ先。

こういうつまみの不具合は、もっとある。
充電器のつまみもそういう現象が起きているので、これもやってみる。

まあ、参考にしてくだされ。
posted by T.Sasaki at 21:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 漁船設備 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年06月09日

プロペラにラッカースプレー

ふたたび、こんばんは。

暇なので、プロペラ磨き。

予備プロペラ.JPG

ピカピカにして、ラッカースプレーを噴いた。
なぜ、そんなことをしたか、というと、酸化させないため。

つまらない検挙 2」で、予備のプロペラを付けた時、そのプロペラは、少し腐食が目立っていた。
一番最初のプロペラで、もう30年も経つのだから、腐食してきて当たり前という感覚なら問題ないが、私の場合、陸に揚げておいて、こんなになるものかなあ、という感じ。
それで、曲がったプロペラを八戸のプロペラ屋さんに持って行った時、相談したら、「陸上保管なら、クリアのラッカースプレーでいいよ」ということで、やってみた。
数年後、どうなっているのか楽しみ。

その最初のプロペラは、ほしい人にあげた。
この磨いたプロペラは、2枚目。
現在の4枚ヘラは、3枚目。
倉庫の邪魔になるから、あげた。

先ほどのプロペラ屋さんは、すごい職人だ。
機械屋さんでさえ、計測しなければわからないような曲がりでも、指をなぞっただけで、「これとこれが曲がっています」と。
4枚のうち2枚が曲がっていた。
あんなのを見せられると、言うことを全部信じてしまう。

多田工業。
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2022年05月27日

漁労機械にペンキをいつ塗るべきか

こんばんは。

今日は雨降りだが、昨日までは、船や漁労機械のペンキ塗りをやっていた。
これは、パラシュートアンカーを巻き取る機械の油圧ハンドルであるが、中古品を手入れしながら使っているため、表面がボロボロである。
かなりの年代ものだと思う。

切換え弁.JPG

いさだの機械類のモーターにも塗った。

モーター.JPG

これに関して、乗組員たちに聞いたことなのだが、漁期の初めに塗るのが正解なのか、それとも、漁期が終わってから塗るのが正解なのか。
まあ、誰も深く考える人はいなかったが、今、自分で塗りながら考え、結論は、漁期が終わってからがいい。

漁期初めに塗ったとしても、どうせ、乗組員たちの気性の荒さから、ボカボカと物をぶつけるから、ペンキは剥げる。
そして、そこから錆びる。
この剥げた状態で、来年のいさだ漁期まで放っておくと、10ヶ月間、空気中の酸素と反応し、錆びていく。
一方、漁期終わりに塗れば、10ヶ月間、中の鉄部は空気に触れない。
取り付ける時には、やっぱりその辺にボカボカぶつけるから、ペンキは剥げるのだが、それでも、錆が進行するのは、2ヶ月間だけである。

漁期終わりに塗るほうが、正解のように感じる。
posted by T.Sasaki at 19:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 漁船設備 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年05月25日

不要だと思って切り落とした

こんばんは。

ついに、やった。
不要かもしれないキングストンボックス」を、スパッと切り落とした。
私はFRPの粉だらけになり、肺の中に、思いっきりマイクロプラスチックを吸い込んだ(笑)。

裸のキングストン.JPG

何も引っ掛からなければ、これでいいと思う。
新造の時は、亜鉛が付かないキングストンだけだった。
取り舵側は、新造の時から亜鉛は付いていて、ボックスも付いていた。
亜鉛の腐り方を見て、取り舵側も取ろうかな。

今や、バウスラスタにも、平気で船底塗料を塗っている。
以前は、真面目にビニール袋をかぶせて塗らなかったが、面倒くさいので、ここ近年は塗っている。
良いのか悪いのか、わからない。

真っ赤なスラスタ.JPG

プロペラ亜鉛は、ダブル。
二つも付ければ、新品のほうが少しは長持ちするかと。
古いほうが残っているときもあるし、ない時もある。
他船の真似。

新品+ボロ.JPG
posted by T.Sasaki at 20:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 漁船設備 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年05月18日

静電気を逃がせ!

3回目。

ヤンマーの9.7トン用エンジンのクラッチ。

クラッチ循環水配管.JPG

新台を入れて、何年か経った後、写真のUボルトで固定してあるクラッチ循環水の銅配管から海水が漏れ出し、気がつくのが遅かったら、船がどうなっていたかわらかない。
たまたま、着岸してエンジンを止めるため、機関室に入っていったら、海水スプレーが吹いていた。
この両側はゴムホースでつないであって、ホースバンドで固定してあった。
その付け根の部分の電蝕である。
あまりに早い腐り方には驚いてしまい、今まで10年以上経ったエンジンでも、こんなことはなかった。

この時は、八戸ヤンマーにお世話になったが、その見解によると、次のようなものである。
この写真では、Uボルトの固定部分に何もないが、新台の時には、機械屋さんの取り計らいで、振動による擦れ止め防止のゴムを付けていた。
しかし、これがあだとなり、配管内に発生した静電気の逃げ場がなくなって腐ったのではないか、ということ。
このように直接、金属同士が接触していれば、クラッチ側からエンジン全体に静電気が逃げていき、亜鉛で消化されるか、船外のアース版へ逃げていく。
ところが、両側はゴムホースで、Uボルトの間にもゴムを挟んでいるとなると、静電気の逃げ場がない。
よって、配管に発生した静電気は逃げ場がなくなり、銅と海水が反応して少しずつ腐っていった、ということらしい。

もう一つの原因は、単純に、不良品。

どっちなのかわからないが、あの後、何のトラブルもない。
まあ、こういうことがあった、という報告である。

すべてのトラブルを経験できるわけはないから、他船のトラブルとその原因を頭の中に入れておくことは、重要なことだと思う。
posted by T.Sasaki at 20:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 漁船設備 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

高澤製海水こし器

ふたたび、こんばんは。

もろもろの亜鉛を交換しようとして、海水こし器も掃除しようとしたら、こんなに汚い。
よく海水が通っていたものだ(笑)。

海水こし器.JPG

以前、「海水配管の防食亜鉛」で、海水こし器の亜鉛の位置まで海水が上がってこない問題を書いたが、摂待鉄工所の社長のアイディアで、亜鉛の付いている棒のねじ山をもっと下まで切ってもらい、その問題は解決した。
しかし、以前の高澤製のこし器は、高さが低かったのに、なぜ新型は高くしたのか、わからなかった。
昨年だったか、このように汚くなって詰まりそうなこし器を見て、その理由がわかった。

最初のうちは、きれいだから、こし器の高さが低くても問題ない。
が、だんだん汚れてくると、その状態では、海水の流れが窮屈になり、エンジンの海水ポンプに負荷がかかる。
そこで、高さを高くして、下のほうが詰まってきたら、だんだん上のほうへ海水が上がっていくようにし、海水の流速がにぶっても、高くなった分、こし器の断面が大きくなっているから、配管内の流量はそれほど減少してはいない、ということだと思う。
だから、きっと、こし器の高さを高くした。

さすが!高澤!
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不要かもしれないキングストンボックス

こんばんは。

これ、いつだったか自分で工事した面舵側のキングストンボックス。

要らないキングストンボックス.JPG

このブログでは、最初に、「FRPの基礎」で登場したもので、後に、取り舵側のカバーもボルトで固定し、簡単に取り外せるようにした。
このアイディアは、八戸の長久丸からいただいたもの。
しかし、その船体は、すでに震災で他界。
船主のほうは、悠々自適に暮らしている。

なぜ、わざわざ、この写真を載せたかというと、キングストンボックス自体、意味があるのかどうか、わからなくなっているから。
キングストンに防食亜鉛を付けるのは、間違いないのだが、こんな出っ張ったボックスが、本当に必要かどうか。
実は、このボルト相手のナットの溶接が、1つ剥がれていて、ナットがない。
だから、その部分のボルトはもちろんやっていない。
そして、もう一つ、取れそうになっている。
どんどんナットが剥がれ落ちて、半分くらいになったら、カバー自体を全部切り取ろうと考えている。
たぶん、カバーがなくても、亜鉛には何も引っ掛からないだろう。

考えてみると、カバーをつけることによって、水の対する抵抗は出てくるだろうし、カバーを通過する海水も、うずをまくから、循環水の配管にうず電流が起きていいことはない。
この2点が解消されることになる。
いっそのこと、切り取ったほうがいいかもしれない。
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2022年05月17日

操舵機シリンダーのペンキ塗り

こんばんは。

曲がったプロペラシャフトを引き抜いて、無残な姿。

シャフト消滅.JPG

シャフトが出来てくるまで暇なので、舵箱のシリンダーなど鉄部にペンキ塗り。
この船を造ってから初めてかと思ったら、銘板にすでにペンキが付いていたから、たぶん2回目。
ますは、下塗りから。

舵箱1.JPG

そして、サビが目立つように、目が覚めるように、黄色!

舵箱2.JPG

無線屋さんからは、シャフトには、一滴も塗ったらダメ、と念を押される。

機械屋さんの話では、「マシなほうだ」と褒められたのか、貶されたのか、微妙な回答。
あと、10年もてばいい(10年もやれるのかな)。
posted by T.Sasaki at 19:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 漁船設備 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年04月28日

ネオランバー使用レポート

ふたたび、こんばんは。

昨年暮れに、恣意型コロナ病で県外へ出るな、という変なお触れをかいくぐり、ネオランバーを県外から買ってきた。
それを引っ張り出して、残してあった仕事をやった(「ネオランバー」参照)。

ネオランバー2.JPG

いさだの切り上げで、板子の下にあるネオランバーがどれくらい水を吸っているかどうか、船洗いの時に確かめてみた。
結果は、上々!
繊維質なのに、水を吸っていない!
重さは、木と違って、そのまま。
これは、いい素材だ。

正直に書くと、一つ問題が。
加工の時に、どうしても、粉が出る。
もちろん、ほうきで回収して、ゴミに出すのだが、環境中にはどうしても排出される。
FRPの粉と同じように、これは、マイクロプラスチックというものなのだろう。

このマイクロプラスチック、今のところ、人体に対する影響というのは、まだよくわかっていない。

https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/22/042700196/(「ナショナルジオグラフィック日本版」)

私は、高校時代にヨットでFRPをいじってから、ずっとFRPの溶剤などと慣れ親しんでいる。
家の船に乗ってからというもの、FRPの粉は、肺から吸入し、口からもたぶん食べているだろうし、目や鼻の粘膜からも吸収されているだろう。
おそらく、FRPの粉は、血管や内臓その他、体の中のあちこちに突き刺さっているはずである。
重度にマイクロプラスチック汚染しているはずの私の体は、不思議に、なんともないのである!
経験的にいえば、この記事に書かれているとおり、過度に恐れる必要なないと思う。
posted by T.Sasaki at 22:07| Comment(0) | TrackBack(0) | 漁船設備 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年10月15日

LED船尾灯

ふたたび、こんにちは。

船尾灯がいよいよダメになって、交換することにした。
どうせならLEDにしようということで注文したら、納品が2か月もかかった。
受注生産らしい。
しかし、2か月なんて、あんまりだ。
2か月間、船尾灯の代用として、投光器を点けていた。

LED船尾灯.JPG

LED船尾灯2.JPG

従来のマスト灯や航海灯は、よく球切れを起こし、一箱なくなるのにあまり時間がかからない。
これにLED球も取り付けることは可能なのだが、定期検査などでは、LED球は許可されない。
純粋なLED航海灯などでないと、許可されないのである。
しかし、こんなに納品に時間がかかるのなら、LED球を許可してもらいたいものである。
もちろん、もう少し、明るいLED球で。
posted by T.Sasaki at 09:59| Comment(0) | 漁船設備 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年09月17日

鏡がくもらないフィルム

みたび、こんにちは。

お馴染みの「g.moth」は、塩水が付いて乾いたら、塩がそのまま析出し始めた。

ハイテクフィルムの末路.JPG

拭かないと視界が悪いので、結局、はがした。
そこで、「使用レポート 2」で書いたとおり、ホーマックで見つけた鏡がくもらないフィルムを試してみる。

鏡がくもらないフィルム.JPG

鏡がくもらないフィルム2.JPG

かぶった海水は流れる感じで、そこそこの視認性かな。
下側三分の一が、能のなくなった「g.moth」で、水をはじくだけ。
これも、いずれ塩が析出するようになる。
塩造フィルム?

せめて、半年はもってほしい。
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2021年08月25日

新設した防食亜鉛の効果


こんにちは。

盆の前後、漁もパッとしないので、思い切って船を上架した。
いさだ乗組員の要求で、来期までにちょっと工事(ハッチコーミングを低くする)もやっておかなければならないので。
そうしたら、八戸でちょっとした大漁があった。
今月は、完璧な赤字である。

エンジンのオーバーホール後、エンジンやクラッチなどの防食亜鉛を交換したが、エンジンの亜鉛は、思ったよりも腐っていなかった。
8個のうち、2個は磨いて再利用。
意外に腐っていたのが、発電機側のクラッチ循環水の新設した防食亜鉛。
排水配管の防食亜鉛」で新設したもので、腐っているということは、それだけ海水の渦電流が発生していることであり、現状の銅配管も、少々薄くなっていると思われる。
付けて良かった。

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2021年08月18日

使用レポート 2

こんばんは。

窓に貼った「g.moth」。
一ヶ月目は、性能が落ちずにいた(「使用レポート」参照)が、3ヶ月経ったら、いつの間にか効き目が悪くなっていて、超撥水はまばらで、ほとんど普通の撥水になってしまった。
紫外線のせいなのか、高温のせいなのか、原因はよくわからない。
今のところ、やっぱり回転窓は必要である。
今度は、気温の低くなる年末に貼ってみることにしよう。

それから、風呂の鏡に、曇らないフィルムをホーマックから買ってきて貼ってみた。
これは、今のところ好評で、船の窓にも貼ってみようかなあ、と考えている。
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2021年06月19日

使用レポート

こんにちは。

まずは、窓の貼った“g.moth”(「ハイテクフィルム」参照)。
今のところ、異常なしに性能を発揮している。
このブログで取り上げたら、回転窓のない船外機の人たちが着目したようだ。

今年の新潟海区では、するめいかの魚探反応が非常に少なく、運だよりの夜いか操業が続く。
集魚灯の光は、太陽光の数倍の紫外線であるから、“g.moth”の耐久試験には、いい環境だと思う。
この使用状況で、どれくらいの期間、性能を発揮できるのか。

次に、ケブラーロープについて(「ケブラーロープ」参照)。
これもいい。
ぜんぜん長いほうの流しが動かない。
しかし、本体の根っこのほうが、私のは弱いので、シャクるたびに、本体側のほうが振動している。

ケブラーロープも、擦れに対する耐久性の問題のみとなる。
posted by T.Sasaki at 13:23| Comment(0) | 漁船設備 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年05月25日

200V陸電設備

みたび、こんにちは。

昨年、北海道へ行ったとき、200Vの陸電設備を使えなくて、船のバッテリーが消耗する場面があった。
そこで、現在の100V仕様の電気製品をそのまま使えるようにするため、200Vから100Vへ電圧を返還するトランスを設備した。

200-100トランス.JPG

このトランスは重くて、3kw仕様で、30kgくらいはある。
最近、陸電をとった場合の火事が多いような気がする。
中には、おもちゃみたいに非常に軽いトランスで電圧変換している人もいるが、それが原因かもしれない。
密閉するから、一応、冷却ファンを付けた。

フタの秘密.JPG

写真ではわかりにくいかもしれないが、天板を傾斜をつけて貼ってある。
天板を水平にすると、水滴がそのまま落下し、機器を腐食させる。
そこで、ある程度の傾斜をつければ、水滴は、天板を伝わって流れ落ち、機器に直接落ちない。
これは、数年前に設備したエアコン電源箱で実証済みである。

各地の200V陸電設備には、2種類のプラグがあり、それに対応できるように変換プラグも準備した。

200Vプラグ.JPG

この写真で変なのは、2本の線があることだろう。
以前、集魚灯に使った3.5スケア―(スクエアの略。㎟)の電線がたくさん余っているので、これを活用した。
ただ、プラグに2本入らないので、外皮を向いて通した。
あとは、スコッチ117のテープ(このテープはいい!)できれいにまいて、プラグの線の入り口にシリコンを詰め込んだ。

この設備では、畠山無線の社長及び従業員に、非常にお世話になり、感謝します。
posted by T.Sasaki at 12:09| Comment(0) | 漁船設備 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ハイテクフィルム

こんにちは。

何をやっているんだか、貧乏暇なしで、ようやく、読書やパソコンをいじれる時間ができた。

それでは、ハイテク製品の紹介。

回っていない回転窓.JPG

これは、雨の中を走っている最中の回転窓を回していない状態。
水滴がたくさんついていて、視認性が悪い。

g.moth.JPG

これがハイテクフィルムを貼ったもの。
アサヤ宮古支店の口の上手なセールスが、勝手に貼っていった。
半信半疑だったが、性能はすごい!
ご覧のように、水滴がついているところが貼っていない部分で、水滴のついていないところが貼ってある部分。
この窓の内側には、紫外線をカットするフィルムを自分で貼ってあるが、それがなければ、もっとはっきり見えるだろう。
アサヤさんのセールスの話では、海で使う場合、まだ耐久性の自信がないそうだ。
これを開発したのが、ジオマティックというハイテク企業である。

https://www.geomatec.co.jp/

ハイテクフィルムの製品名が、「g.moth」。

https://www.geomatec.co.jp/products-and-solutions/optical-control/anti-reflection-and-anti-glare/gmoth/

親水フィルムかと思ったら、超撥水フィルムのようだ。

下北の友の所へ寄ったら、すでに貼っていた(この時に見せられたスマホ動画は、悪天候で海水をかぶっていて、それでも素晴らしい視認性を確保していた)。
どうやら、宮城工場製のようであり、東北一円をセールスしているらしい。

私たちは、視認性の悪い時、窓を開けて見ることが多い。
その場合、海水の水滴がブリッジ内に入ることがあるが、それにより、結果として、様々な機器が腐食する。
「g.moth」は、それを軽減する。

耐久性が実証されれば、素晴らしい製品であり、回転窓すら要らなくなる。
それにより、ますます視認性は向上するだろう。
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2021年05月10日

ネオランバー

こんばんは。

暇なはずが、・・・、忙しかった・・・。

まずは、ブリッジ上のレーダーやぐらの修繕。
2ヵ所は溶接してもらったが、1ヵ所は、FRPが焼けてしまうくらい近い場所だったので、プラを貼ってごまかした。
以前にも、船首マストに小さい穴があき、造船所に直してもらったことがあり、それが、まだ何ともない。
だから、大丈夫だろうということで、貼った。
その他、乗組員の要求から、何箇所か、FRP加工。
また、次年度のいさだ漁のため、弱かった部分を補強工事、など。

その後、いか釣りの艤装をやり、集魚灯、いか釣り機械とも、無事に試運転完了。
特に気を使ったのが、集魚灯試運転。
エンジンオーバーホールの際、ブレーカーの配線をばらして、再び結線したのは、電機屋さんではなく、私。
不安一杯で集魚灯を点けたが、大丈夫だった。
間違えば火事を起こすのだが、まあ、何とかなった。
事後にブレーカーの扉を開けて、線や端子をさわってみたが、熱もないので大丈夫だろう。

そして、板子の下のネオランバー。
ネオランバーとは何か?

https://www.eslontimes.com/system/items-view/94/(「SEKISUI エスロンタイムズ」)

積水化学でしか作っていない合成木材のことで、これがとんでもない高価な材料。
厚さ30mmの幅60cm長さ4mで、お値段が、税込み7万円を超える。
これを3枚買って、加工。

ネオランバー.JPG

あまりに高価なので、失敗すればとんでもないことだから、最終調整は、“切る”のではなく、サンダーで削り取る作業。
何度も合わせてみては、サンダーかけ。
出来上がりがこれ。

デッキがめ.JPG

いかをこのマスに入れて、バラで水揚げ。
というような大漁に当たればいいけれど。
「いけす」という人もいるが、宮古では、「デッキがめ」と呼ぶ。
昔々の木造船の時代は、箱詰めなどせず、これが主流だったそうだ。
その名残がまだあって、大漁の時は、このデッキがめに入れ、海水を循環させて、鮮度を保つ、という話のようだ。
実際には、氷を使ったほうが鮮度はいいのだが、このデッキがめのいかは、キュッと丸くなり、いかリングを作る場合、好まれるらしい。
本当のところはわからないが。

なぜ、高価な材料を使ってまでこんなことをやったのか、というと、従来の木だと、腐ってしまい、再び交換しなければならないから。
すでに、10年くらい前に交換したが、もう手間をかけるのも嫌なので、思い切った。
一部、まだ交換しなければならないところがあるが、結果がよかったら、あと2枚ほど買って全部やる。

ネオランバーの加工で気をつけなければならないことは、防護メガネを絶対にやること。
FRPよりも、悪い。
FRPのサンダー加工は、粉でイガイガするだけだが、ネオランバーは、粉ではなく、繊維質が刺さる感じ。
手にとげが刺さるのは、いつものことで、軍手ではなく、ゴム手袋が必需品。
私はメガネをかけているからいいが、裸眼だと、たぶん、大変なことになるかもしれない。
posted by T.Sasaki at 20:32| Comment(0) | 漁船設備 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年04月19日

クラッチオーバーホール完了

こんばんは。

発電機などの汎用油圧クラッチのオイル漏れを、今日ようやく直してもらった。
これで、安心して日本海へ行ける、かも。

スカライキを開けてクラッチを陸揚げするとなると、電気設備をもう一度やり直さなければならない。
それが嫌なので、機関室でやってもらった。

油圧クラッチ.JPG

エンジン側のシャフトが、少々経年劣化で減ってしまったのが原因。
このクラッチは、船を造った時からのもので、船齢は今年の秋で30年だから、クラッチも30歳(200k発電機、40k定周波発電機、操舵機なども、30歳)。
やっぱり機械も年をとる。

そして、実は、エンジンオーバーホールの時、余計にカネがかかったのが、これ。

カップリング.JPG

油圧クラッチのエンジン側のカップリングが消耗しすぎて、結局交換でした(泣)。
緩衝材としてのゴムが無くなってしまい、「もうちょっとでオーバーホールだから、我慢して使え!」とやっていたら、金属音がしてきて、さらには、鉄粉が漂うようになり、終わっていた。

一昨年は、史上最高の不景気だったので、オーバーホールを1年先延ばしにしたら、このありさま。
借金してオーバーホールすればよかったなあ、と今さらながら思う。
でも、これもいい経験、いい薬。

ほぼ完璧にオーバーホールは終わったので、6年間は安心だと思われる。
そして、今から6年後のオーバーホールの向けて、貯金することになる。
これに、毎度交換するオイル、フィルター類、亜鉛類などをプラスして、6で割れば、エンジン系の本当の年間経費が算出される。

厳密にここまでやらなくても、もちろん漁船経営はできるが、基本的には、これで間違いない。
posted by T.Sasaki at 21:18| Comment(0) | 漁船設備 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年03月03日

オーバーホールのススメ

こんばんは。

今日は、オーバーホールの請求書が揃ったので、一気に支払いをやってきた。
一般の金融機関で、ちょっとした金額を引き出すと、必ず、「何に使用なさるのですか?」と尋ねられる。
詐欺が多いから心配してくれるのか、あるいは、引き出されたくないため、言うのかわからない。
そうだ、いつか理由を聞いてみよう。
地元の信漁連だと、私が何をやっているのか、たぶん把握されているだろうから、何も聞かれない。

その支払いの途中で、岩手県沖底組合の事務局長と偶然すれ違い、「こんにちは」と挨拶したら、びっくりしたのか、嫌々ながらなのか、頭を下げた。
普通に、素直な話をすれば、誰も何も文句を言うわけでもないのになあ、と、沖底の人たちに言いたい。
いっそのこと、沖底の船主や船頭たちと懇談会でも開けばいいのに、と思うのだが、まあ、いつものごとく、拒否されるだろう。
以前、八戸では、沖底の船頭会と小型いか釣りとで、話し合う機会があるとは聞いていたが、岩手では、そういうのは一度もないだろう。

オーバーホール後のエンジンは、すこぶる快調である。
前のエンジンのオーバーホールより、うまくいった感じがする。
オーバーホールは、機関換装より時間がかかり、信頼性に乏しいとは言われ、交換部品が多くなる場合、機関換装のほうを選択する船主もいる。
特に景気がいい場合、そうだろう。
先代の時代は、6年ごと、新台だった。
でも、長い時間、機械屋さんのお世話になるのも悪くない。
「あ〜だ、こ〜だ」と話をするから、勉強にもなるし、昔話もおもしろい。
他船のトラブルの事案も、勉強になる。
そのトラブルを聞いておけば、いざ、自分がなった時、もしかしたら自分で復旧できるし、出来ない場合でも、スケジュールと金策を考えることができるのだ。

今回は、途中で、機械屋さんの従業員が一人ダウンしてしまい、ほんの少しだが、復旧作業を、私も手伝ったりした。
手伝ってみれば、機械屋さんや電機屋さん、無線屋さんの苦労がわかる。
10年くらい前だったか、この船の生まれた造船所の社長に言われたことが身にしみる。

「どんな仕事も、簡単ではない」

そう、簡単そうに見えても、裏側には、いろいろな苦労やドラマが潜んでいるのだ。
posted by T.Sasaki at 19:44| Comment(2) | 漁船設備 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年02月27日

排水配管の防食亜鉛

こんばんは。

エンジンをオーバーホールしたため、いさだ漁の前は、エンジンの慣らし運転を兼ね、近所に生魚をあげるため、どんこかごを入れて操業した。
エンジンの仕上がり具合は、非常にいい。

ついでに、発電機などの油圧クラッチ循環水の銅配管(排水側)に防食亜鉛をつけた。

排水配管の防食亜鉛.JPG

中央の排水管がそれで、左側のがエンジン循環水、右側のがビルジ排水管。
5年前に、エンジン循環水の配管(排水側)に防食亜鉛を付けた(「八戸からバックしてしまった」参照)が、今のところ、異常ないので、同じように、ステンレスに防食亜鉛を組み込んだ。
銅パイプに直接亜鉛を組み込んでもいいと思うが、銅素材が柔らかいので、作る側が嫌がる。
そこで、中間にステンレスをかませて、亜鉛をつけた。
これで、海水の循環する金属製の配管には、すべて防食亜鉛が付いたことになる。

そして、目玉が、この煙突。

煙突の耐熱ペンキ.JPG

新品!

ではなく、ペンキを塗った。
昨年、日本海へ行った時、異常に煙突の立派な船があったので、お話しをしたら、ただペンキを塗っただけ。
何のペンキかというと、ホームセンターで売っている耐熱スプレーだそうだ。
「それで十分役に立つよ。」と笑っていた。
ぜんぜん磨かないでスプレーした。

昨年のいさだ漁のとき、エアコン配管が邪魔になったので、それもやり直し、不評だった水揚げのためのボンブも軽くして、リールも新品。

リール.JPG

準備ばかりはしっかりやったつもりだが、まだ、いさだの反応なし。
網の試運転をやっただけで、一度も網を使っていない。
すでに赤字の覚悟はしているが、それにしても・・・・。

posted by T.Sasaki at 16:12| Comment(0) | 漁船設備 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年10月25日

陸電設備について

ふたたび、こんにちは。

いか釣りで旅歩きしていると、最近は、各港で陸電設備を見かける。
佐渡両津港では、立派な陸電設備が設置された。
西側の高千港にも、貧弱ではあるが、ある。
船内で電力が必要な場合、主機発電、及び、補器発電の電力供給よりも、陸電からの供給のほうが、効率がいい。
これに関する論文は、過去、いろいろあったと思うが、代表的なものを下に記す。

https://thesis.ceri.go.jp/db/files/GR0002900168.pdf

論文にあるとおり、窒素酸化物や二酸化炭素の無駄な排出はなくなり、また、船側の補器機関などのランニングコスト、メンテナンスコストを計算すると、陸電を使ったほうが、明らかに有利である。
しがたって、社会全体を考えた場合でも、陸電設備は、必要な設備と言える。

さて、私も、陸電設備を自分の船で利用できるようにしたのは、昨年からであり、それ以前は、陸電など使用したことがなかった。
近年の温暖化で、夏場のエアコンが必要になったからであり、加えて、非節約的な乗組員を乗せた場合でも、陸電があれば、バッテリーがあがることもない。

船舶用のエアコンもあるらしいが、家庭用エアコンとの寿命の差は、あまりないと言われる。
したがって、小型船は、ほぼ家庭用エアコンを備えていると言っていいだろう。
そうなると、必要電源の電圧は、100V。
今年、陸電からバッテリーも充電できるように装備した。
いちいち、100V用の照明を設備するのも複雑になり面倒くさいので、もともとある24Vの照明設備を使えるようにしたい。
そういうことで、それなら、24Vバッテリーを充電してやったほうがいい、となった(「バッテリー充電器の親子」参照)。
ここまではいいとして、私は世の中を知らなかった。

直接100Vを用意している港なら、ただ、線を引くだけで問題ない。
しかし、今年道東へ行ってわかったことだが、3相200Vの陸電しかない所もある。
こうなると、陸電が使えない。
まさか、100V用の機器に、200Vの電気を使うわけにもいかない。
そこで、反省し、3相200Vを単相100Vに変換するトランスを設備することになった。
これは、宮古へ帰ってからやる。
以上が、自分の船で、ベストな設備だと思う。

中には変なのがいて、100Vしかないのに、200Vを設置せよ、と要求したり、逆の要求もあったりする。
各港とも、それなりのカネをかけて設備しているのだから、わがままな要求は良くない。
それよりも、その港に対応できるように、自分で考えて設備するべきである。
posted by T.Sasaki at 10:18| Comment(0) | 漁船設備 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年10月10日

回転窓の交換

再び、こんにちは。

宮古に帰ってから、やることはたくさんあるので、今のうちにできることを。
旅先での休みを活用。

回転窓にひび割れが入り、それを交換する作業をやる。

ひび割れた回転窓.JPG

回転窓の予備を積んでいて、何度も交換しているから慣れっこ。
はずした回転窓は、再度メーカーへ送って修理し、それをまた予備として、積んで歩く。
素材のアルミのねじ山部分がだんだんと腐食して、特に、下側のねじをはずすのが大変になる。
根気強く、スプレー潤滑剤とインパクトドライバーで外した。
何度も交換しているから、線もギボシ端子を使い、簡単に交換できるようにしてある。
はい、終わり。

交換した回転窓.JPG

posted by T.Sasaki at 15:46| Comment(0) | 漁船設備 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年06月08日

船火事と浸水防止

こんにちは。

佐渡に来てから、電気屋さんをやっている。
買ってまもなく壊れたチャイナ製の電気ストーブを、暇な時に直そうと船に積んできた。
さっそくばらす。

電気ストーブ.JPG

原因は、線と線の圧着不良。
途中の線を、1.25スケアのダブル、つまり、2.5スケアの線で代用交換。

電気ストーブ2.JPG

使えるようになったので、船底にしまう。

昨日は昨日で、ブリッジの電気ストーブの電源を入れたら、コンセントから煙が・・・。
以前から、錆があがってきているから、交換しようと思っていたが、まさか昨日の朝、いかれてしまうとは思わなかった。
これが、船火事の原因。
接触不良でも、電流が通っていれば、その部分が発熱し、線のカバーや差し込みのプラスチック部分が融けてきて、火がつく。
圧着不良も同じ。

圧着不良と言えば、昨日の夕方、200mほど針を下げたら、2本もワイヤが落ちていった。
圧着不良である。
圧着ペンチを新品にしたら、ステンレス圧着スリーブのサイズより微妙に大きい。
集魚灯を点ける前に、すべてのワイヤーをつぶしなおした。
この不景気に、全部落としたら、とんでもないことである。

船で一番怖いのは、船火事だが、これに並んで怖いのが浸水。
年数が経ってくると、エンジン循環水や散水の配管に穴があくことがある。
これを知らないでいると、エンジンルームは水浸しになり、最後は沈没する(かもしれない)。
それを防ぐために、あかダメに警報器を付けた。

ビルジ警報.JPG

これ、津波の時に、無線屋さんが私の要望に応えてちゃんと注文しておいたものを、今年になってようやく付けてくれた。
彼らは、在庫負債を、ようやく解消しただろう。

一応、船にかけるカネは、もう充分にかけたように思う。
しかし、来年の冬には、エンジンのオーバーホールが待っている。
常に現金が必要なんだなあ。
はぁ〜。
posted by T.Sasaki at 15:36| Comment(0) | 漁船設備 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年05月20日

バッテリー充電器の親子

ふたたび、こんばんは。

昨年、エアコンを設備して、陸電からエアコン電源をいただいたが、長く休んでいると、船内灯をまかなうバッテリーがあがってしまう。
そこで、今年は、陸電でバッテリーも充電できるようにした。

バッテリー充電器.JPG

下のでかいのは、今はなきSAWAFUJI製の220V定周波入力のバッテリー充電器である。
60Aも充電するのだから、でかいし重い。
その上の小さいのが、市販されている100V入力の普通の充電器。
小さく非常に軽い。
切り替えスイッチで、バッテリーへの充電を切り替えるようにしている。

少々気になるのが、耐熱性である。
でかいのは、もう30年近くなるが、一度も故障がないから信頼していいのだが、小さいほうは、どうかわからない。
設置条件としては、悪い。
この場所は、煙突のそばであり、下にはエンジンのターボがある。
港に来て、エンジンを止めても、エンジンルームの気温は、40度以上はあるだろう。
安全装置が働いて、充電が止まるかもしれないし、壊れるかもしれない。
やってみなければわからない。
ダメなら、対策する。

ブリッジ用エアコン電源は、昨年、何度もダウンした。
電源箱に熱がこもって、安全装置が働いた。
そこで、今年は対策し、小さいファンを付けた。
インバータが動けば、その電気でファンが回るようにした。
これで集魚灯を点けていても、たぶん、涼しいのではないか。

おまけで、結束バンドの切り方。

結束バンド.JPG

ニッパをこのように使えば、結束バンドの切り口が滑らかになる。
工事業者は、ここまでは気を使わないから、結束バンドで、よく傷を負う。
試しにやってみてほしい。

この白い結束バンドは、昨年あたりから出回り始めたもの。
黒よりも、耐候性に優れているようで、今のところ、丈夫みたい。
posted by T.Sasaki at 21:18| Comment(0) | 漁船設備 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年05月05日

圧着作業

ふたたび、こんばんは。

好天続きで、一気に集魚灯設備を完成。
本当は、一気に、というわけにはいかず、老眼との闘いである。
昨年までは、メガネを外せば、十分仕事ができたのだが、もう自信がなくなってきた。
特に、ワイヤーストリッパーを使って皮むきする時、よく見えないので、線を断線しているのがわからなくなった。
近眼でも老眼鏡が必要になっては、とんでもない時間がかかる。

まずは、電線を切る。

圧着作業.JPG

カッターナイフで、軽く一周傷をつけて、写真のように、電線を折り曲げて、皮むきをする。

圧着作業2.JPG

これは、2芯線であるが、このほか、3芯もあれば、4芯もある。
見えている工具が、ワイヤーストリッパー。

圧着作業3.JPG

ピンボケではっきりわからないが、何十本も細い線が入っていて、これを1本でも切断したら、やり直し。
老眼では、これが見にくくなってしまった。
ワイヤーストリッパーの作業感覚で、線に刃が当たったかどうかわかるが、一応、目で確認しないと不安である。
私は、8スケア(square)のワイヤーストリッパーを持っていないので、8スケア以上は、ニッパでやる。
ニッパは少し時間がかかるが、慣れれば、断線することはない(と思う)。

圧着作業4.JPG

圧着工具で、丸端子を圧着完了。

圧着作業5.JPG

絶縁キャップを用意していなかったので、絶縁テープとビニールテープで、端子の圧着部を絶縁。

圧着作業6.JPG

集魚灯トランスにビス止めで完成!

圧着作業7.JPG

今回は、変更した場所が、10本程度なので、時間的にそんなにかからないが、これを30本とか40本とかになると、二人でやったほうがいい。
流れ作業だと、短時間でできる。
圧着は、誰でもできると思うが、皮むき作業は、信用の問題があるから、自分でやる。
慣れれば、簡単な作業である。

集魚灯設備で時間がかかるのは、線の長さを合わせたり、場所から場所へ線を引く作業である。
これらの作業を電機屋さんに頼むと、とんでもない請求書が来る。
私のようにカネがない時は、自分でやる。
posted by T.Sasaki at 21:36| Comment(0) | 漁船設備 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年08月10日

エアコン電源の熱問題


もう一回、こんばんは。

スカライキ上に載せた電源装置(ブリッジエアコン用)が、熱でダウンしてしまった。
インバータの安全装置が働き、高温になると、止まってしまうのである。
その安全装置があるおかげで、インバータそのものは壊れずに済んだが、ブリッジの中は、集魚灯を点けるとサウナである。
今度は、これに、小さなファンを付けてみる。
これで解決するなら、バッテリーインバータ電源は有用だ。


八戸港には、陸電設備がない。
したがって、極力、エアコンを使いたくない。
が、どうにも暑くて、夜の睡眠不足は、次の日の操業に影響する。
そこで、乗組員に、「バッテリーがあがってもいいから、使っていいよ」と許可した。
そしたら、何と、8時頃寝るとして、朝の3時までエアコンを稼働させても、ちゃんと動いているではないか。
そこで、ブリッジのも試してみた。
ブリッジのは、一回り小さいバッテリーだから不安だったが、それでも大丈夫だった(しかし、あまりに暑い夜は、やはり止まってしまう)。
今のエアコンの冷房は、電気を食わないとは聞いていたが、なるほど、かなりの省エネ装置になっていると思う。

できれば、エアコン1台に対し、3kwのインバータを薦める。
猛暑のはずの機関室に置いてあっても、ちゃんと駆動する。
一方、ブリッジ用の2kwインバータは、環境が悪いせいもあるだろうが、上述のようにすぐに止まる。
ケチらないで、3kwにすれば良かったのか?

無線屋さんと相談して、いろいろとやってみる。

バッテリーインバータ電源方式のエアコンは、〇としたい。
posted by T.Sasaki at 20:47| Comment(0) | 漁船設備 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年06月08日

面倒だったエアコン設置

再び、こんにちは。

忙しかった理由の一つの、エアコン設置の件。
これが成果。

エアコン室外機.JPG

室外機のカバーは自作のFRP製であり、八戸の友だちからは、囲い過ぎじゃないのか、と言われたが、2畳程度の部屋に、6畳用エアコンを使うのだから、たぶん、大丈夫じゃないかなあ。
それも、天井は低いから、容積は、1畳用の部屋にも満たない。
暖房よりも冷房のほうが、消費電力も少ないし、たぶん、大丈夫だ。
今のところ、暖房を使ったりしているようだ(まだ水温が低いから、夜は寒いくらいだ)。

最初に悩んだのが、室内機の寸法。
船員室は壁に余裕があるから、どのメーカーでもいいのだが、ブリッジは、計器類などがぎっしりあるから、小さいほど良い。
国内最小エアコンは、富士通製であり、横幅72p。
ちょっと見では、わからないところに付けた。
まさか寝台ではない。

次に悩んだのが、電源。
定周波電源は、基本的に60Hz220V矩形波だから、これを100V正弦波に直すには、変圧器と波形フィルターが必要。
電機屋さんに聞いてもらったら、大洋製4kwで80万もするという。
重さも100sあり、大きさも40kw発電機ぐらいはありそう(T丸さんのものを見せてもらった)。
無線屋さんに相談したら、インバーター方式もあるとのことで、それから、基本設計。

バッテリー24V電源をインバーターで60Hz100Vに変換し、それをエアコンに供給。
これにより、電気炊飯器や電子レンジも使えるようになるが、乗組員の話では、今のところ、要らないそうだ。
バッテリーは、もともと、無線用電源として、2系統あったから、その1系統をインバーター電源にし、それを船員室用のエアコン電源とした。
そして、ブリッジ用は、新たにバッテリーを設置し、そこに、インバーターと充電器を詰め込んだ。
無線屋さんには、できれば、バッテリーとインバーターは、近いほういいと助言され(線の太さの問題)、無線用のバッテリーは機関室の船底にあるから、集魚灯トランスの奥のほうに設置した。

インバーター.JPG

問題は、ブリッジエアコン用の新しいバッテリーをどこに置くかだったが、スカライキの上にした。

電源ボックス.JPG

この電源ボックスに、バッテリー2個とインバーター、充電器が入っている。
そして、このバッテリーは、非常用無線用バッテリーにもなる。
万が一、機関室が浸水しても、電源を切り替え、船舶電話や位置情報をとれるGPSプロッタを使える。

電源系統の設計は比較的かんたんに決まったが、面倒だったのが、電源箱の設計。
これは、FRPで自分で作ることになり、スカライキ上に載せる、ということは、つまりは、取り外しできるようにしなければならない。
エンジンオーバーホール、またはエンジン換装する場合、スカライキをはずさなけえればならないからである。
それから、室外機の台の設計も面倒だった。
いったん付けたが、近くの送風機にあたり、また溶接しなおしたり、室外機の取り付け穴寸法の誤りもあり、穴をあけなおしたり。
何もない所に付けるのは簡単だが、いろんなものがあり、かつ、取り付ける空間に制約がある場合、面倒になる。
設計図に、1pの違いがあっても、入らなくなる。

なぜ、船員室とブリッジの電源を別系統にしたか、というと、単に、みんな自信がなかったからである。
新設の電源ボックスが壊れても、せめて船員室だけでも使えるようにと、船員室側のインバーターは3kwと容量の大きなものとした(ブリッジ側は2kw)。
無線屋さんは腕の立つ人だが、彼でも、電源には悩んだ(この無線屋さんは、ヤンマーエンジンの外部警報装置を自作してくれた人だ)。
やったことのない仕事だから。
何より、定周波電源の矩形波に悩んだ。
船底にあるバッテリー充電器は、3相交流220V用のもともとある充電器で充電しているから問題ないのだが、新たな電源ボックスの充電器は、定周波電源には対応していなくて、充電できない。
そこで、どうしたらいいのか、考えた。

昨年暮れに、12V縄揚機械のバッテリー充電が難なく使えたのを思い出し、それは、単なる船内灯用100V電源である。
船内灯は、電源周波数の制約を受けない。
これでわかったことは、充電器も周波数の制約を受けないことだ。
したがって、定周波装置を通さない、発電機からの生の電気を使えることになる。
やってみたら、正解。

結論。
矩形波電源は、モーターにしか使えない。

こんなことを繰り返しながら、問題解決したため、非常に時間がかかった。
いか釣りの艤装など、ちゃんとした乗組員を一緒になってやれば、3日でほぼ終わる(かも?)が、機械システムなどの新設には時間がかかる。
室外機のFRPカバーなど、八戸へ来てから切り合わせし、白ペンキを塗ったくらいである。

そして、陸電の差し込みボックスや陸電への切り替えスイッチを付けたのは、両津に来てからである。

あ〜、疲れた。

しかし、漁がないのは、もっと疲れる。
posted by T.Sasaki at 17:11| Comment(0) | 漁船設備 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年10月04日

プロペラの選択 2

こんばんは。

先日、丸竹造船所に上架してきたのであるが、秘密にしていたプロペラの公開。
いろいろなプロペラを試してみたが、船の振動を極力おさえたいなら、これ(昨年の写真で、新品のピカピカ)。

4枚ハイスキュー.JPG

4枚ハイスキュー。
ナカシマプロペラ製

昨年の春、これに交換し、日本海デビュー。
小泊から来た乗組員が、振動のなさにビックリし、「ゴウヘイ(go ahead)」しているのか、「アスタン(go astern)」しているのかわからない、と言ったほど。
しかし、慣れてくればくるほど、ほんの少しの振動も気になるようになってしまう。
欲に限りがないというのは、このことなのかもしれない。

今年の乗組員は、鈍感な人間だが、それでもやはり振動がない、という。
船齢が25年にもなると、FRPの場合、どうしても船は重くなる。
だから、スピードのほうはあきらめて、乗り心地をとった。

メーカーの計算よりも、ピッチを10mm大きくしたが、それでも最大回転が前のプロペラと同じなのだから、高回転ほど効率がいいと思う。
あと10mmピッチを大きくすればよかったかな、と思ったが、この前の3枚ハイスキューでは、ピッチを大きくしすぎて、舵を切ったときに振動が起こり、ハロゲン球を何個もお釈迦にした。

私は、前のプロペラでは、ダイヤを小さくして、ピッチを大きくした。
ダイヤを小さくすれば、その分スリップするから、船速は変わらないような気がするが、実際には、仮にスリップしても、ピッチを大きくしたほうが、船速は出る。
しかし、上記の通り、いくらハイスキュープロペラでも、大舵を切ったときが難点である(船の舵の形式によるかもしれないが)。
posted by T.Sasaki at 21:16| Comment(0) | 漁船設備 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年05月06日

電源切り換えスイッチ

今晩4回目。

せっかくだから、定周波装置を入れている人のために。

定周波装置は、定周波用発電機(俗に3倍速発電機とも言われる)に付属するものだが、小型船では、主機エンジンに直接ベルトをひいて発電機を回すから、発電された電気の周波数は一定しない。
それを一定の60Hzにする装置が、定周波装置である。

モーター類、例えば、ポンプやいか釣り機械などは、周波数が一定でないと、正確には駆動しない。
私の場合、操舵機もモーター駆動だから、定周波装置は必需品と言える。

しかし、もし、定周波装置が故障すれば、操舵機の油圧ポンプが回らなくなるから、超重いハンドルで操縦しなければならなくなる。

そこで、電源切り換えスイッチが必要になる。

電源切り替えスイッチ.JPG

定周波装置を通す側と、発電機から電気を直接使う側とを、切り換えるようにしておけば、万が一、定周波装置がストップしても、操舵機やその他のモーターを使用できる。
少しぐらい周波数がずれても、大丈夫動くことは確認してある。

ほかのメーカーは知らないが、太洋製の定周波装置は、冷却ファンが一つでも故障すれば、定周波装置が止まるように設計されている。
これは、前の世代の装置が、よく焼けたから。
原因は、冷却ファンが壊れてしまったことによる。

そういうわけで、定周波装置を入れている人は、切り換えスイッチをつけたほうがいいと思う。
posted by T.Sasaki at 22:02| Comment(0) | 漁船設備 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

遠隔指示器の切り換えスイッチ

再び。

私の年も考え、また、少人数でもできるようにといろいろ考え、正月に、操舵装置のアンプを交換した。
しかし、純正だと、安全面で劣る。

漁運丸の操舵機は、トキメック製(旧東京計器であるが、何と!また東京計器になった)であるが、25年も前に入れたものだから、目的地航法というのがない。
そこで、マロール製のアンプを導入したが、リモコンの切り換えや自動操舵が、かなり危ない。
船混みで、遠隔の指示器に触ってしまうと、とんでもないことになる可能性がある。
そこで、またもや、無線屋さんに、切り換えスイッチをつけてもらった。

操舵装置.JPG

自動操舵中であっても、遠隔の指示器を5度以上回せば、自動的に遠隔側に切り換わる。
また、複数の遠隔指示器を付けている場合(ほとんどそうだと思う)、どちらの指示にも従うため、意図した方向へ行かないことがある。
これを解消するため、写真のように、3つの切り換えスイッチをつけた。

信号無しは、自動操舵の時に使う。
何時間も走る場合、どうしても、ブリッジから離れてしまう時もある。
もし、離れる時に、外部リモコンに触ってしまったら、変な方向へ走ってしまうことになるのだ。
だから、信号無しも必要だと思い、つけてもらった。
その後、快調であり、安心を一つ買った。

ちなみに、東京計器製の操舵機は、25年間、一度もトラブルがない。

が、部品がとんでもなく高価だ。
写真の右側にダイヤルがあるが、これは、つい先日、交換したばっかりのものである。
これが、何と!9万数千円もするのだ。
無線屋さんもビックリで、「こんなもの、原価いくらしてんだ?」と怒っていた。

東京計器製は、とにかく高い。
posted by T.Sasaki at 21:42| Comment(0) | 漁船設備 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年04月25日

配管漏水の止め方

みなさん、再び、こんばんは。

ちょっとFRPの仕事をしようかなあ、と考えていましたが、そこで、思い出したことを書きます。

昔々、春の鱒縄をやっていた頃(10号漁運丸の時代)、沖出し中、船首楼の中にアカが浸み出してきました(外部からの不要な水。アカがきた、などと使う)。
防舷材を固定しているボルトから。
船を造る時、これらのボルトからアカが来ないように、しっかりシリコンを注入するとか対策をしていないとこういうことになります(でも造船業界ではそこまではやっていないと思う)。

私の船でも、船を陸揚げした時、なぜか、機関室にアカがほんの少しずつ浸み出していました。
なめてみると、真水。
いろいろ考えてみましたが、舷側の内側にたまった雨水が、同じく防舷材のボルト穴から、FRPの貼りあわせたところを伝わって、機関室へと浸み出していった、と解釈しました。
船齢が20年を超えると、こんなものなのでしょう。
対策として、ここ数日、晴天であることから、ほぼ乾燥したと考え、防舷材固定ボルトに、シリコンをごったりと被せました。

話を戻して、春鱒縄の時、どうやったか、というと、少しぐらい濡れていても、シリコンは、効きます。
ゴタゴタに塗ったら、シリコンに親水性があるのか、そのまま固定され、アカが来なくなりました。

前後バラバラになりますが、その後ことも少々。

今の船で、いさだ漁の準備中、たまたま、飲料水の漏水を発見!
この時は、まだ、私は船頭という地位ではなく、ただの平社員、兼、船主のドラ息子。
漏水の場所が、船尾の舵箱の中。
船尾は、いさだ漁では、網の積み下ろしの場所であり、要の場所。
解禁直前だったので、例のごとく突貫工事(この時代から突貫工事だった)。
船主の息子というのは、いざとなると、夜があるのかどうか。
夜を必要とする新郎新婦とは縁がなかったから、余計に不幸にならなかった(笑)。
10時頃まで操業。

飲料水の配管は、ただの塩ビだったので、凍ってしまえば、破裂する運命にあります。
この時は、水抜きしないまま造船場へ陸揚げしたので、凍ってしまいました。
通常のように海に浮かべてあれば、凍らないのに。
でも、破裂せず、ひび割れで済んだのは幸い。

漏水をどうやって止めたか、というと、過去の経験から、これもシリコン。
シリコンで亀裂の周りを覆い、乾いてから、FRPのパテを塗る。
これも乾いてから、ヤスリで粗い傷をつけて、その上にFRP加工。
以後、修理した配管からの漏水はありません(というより、冬季に造船場に上げる場合、水抜きをやっている)。

しみ出る程度ならば、シリコンで漏水は止まります。
止まればしめたもので、その後の対策は、たくさんあります。

海の上では、シリコンとシリコンガンは、必需品ですよ。



先日、岩手大学工学部を褒めましたが、逆に、「これはちょっと・・・・」というのもあります。

岩手大学の漁業貢献」に反する部分になってしまいますが、これって・・・・。

岩手大学工学部社会環境工学科の地域防災研究センター防災まちづくり部門というところで、FRPを陸上の土木に活用しようという研究をしています。
こうなると、ますます、FRPの材料が高騰するでしょう。
これは、小型漁船漁業にとって、非常に大きな問題となります。
私は特に、FRP製の船ですから、修理などで、負担が大きくなります。
お先真っ暗、とまでいかなくても、あまり気持ちのいいものではありません。

私は、“復興”という錦の御旗を、どんどん嫌いになっています。
復興事業は、土木事業のことです。
土木事業は、沿岸漁業の敵です。
いろいろな場面で、沿岸漁業の労働者を奪っているからです。
その労働者が、漁業関連産業に戻ってくる前に、漁業者たちが、もつかどうか。

岩手大学は、頭のいい人たちがいるのだろうから、その辺を勘案して事業を行ってほしい。
私には、もう卒業証書とか、いろいろな資格とか、それを証明するものは残っていません。
しかし、卒業生として、その辺は、もうちょっと何とか考えられないのかなあ、と常に疑問に思っています。
土木事業は、国を滅ぼすか!

「君は本当に岩手大学の卒業生なのか」と問われれば、それは、「はい!」と。

だって、私の名前は変わっていますから、大丈夫、それだけで証明できます。
こういう時は、変な名前も役に立つものだ(笑)。
posted by T.Sasaki at 22:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 漁船設備 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年02月02日

Y端子は使わないほうがいい

みなさん、こんばんは。

エンジン交換したついでに、その他いろいろとメンテナンスしていますが、「私、失敗しないので」と言うには程遠く、やっぱり失敗します。

移動ポンプ.JPG

この移動ポンプ、立派でしょ!
整備しました。

もともと、カメ(船倉)のビルジ上げ用に固定ポンプとして使っていたもの。
これは2年前に買ったばかりで、その時はもっとピカピカに光っていました。
つまり、前のがイカれたために新品を買ったわけです。

その他にもう一つ、緊急用の移動ポンプを積んでいますが、それがイカれたポンプと同型なため、緊急用と固定用を交換しました。
したがって、写真のポンプは、ちょっと前までは船に固定してあったもので、これが今回、緊急用移動ポンプに昇格!
新品だったから、もったいない。
ところが、スイッチのところを開けてみたらビックリ。
海水が入っていたのか、錆びていました。
中を綺麗にしてペンキを塗り、あわせ目にシリコンをひき、ボルトを締めてから、その接合部分にシリコンを盛りました。
今度は海水が入らないでしょう。
交換して良かった。

そこまではいいのですが、緊急用から固定用に降格したポンプが動かない。
電源を入れても動かないんですよ。
困った困った。
1時間くらいで軽く作業を終わるかなあ、と思いきや、翌日までかかりました。
スイッチを入れると、モーターが動く音はします。
しかし、インペラが動かない。
インペラを外して、モーターのシャフトの動きを観察すると、行ったり来たり。
やっぱりこれも壊れたのかなあ、と覚悟し、伊手屋電機さんに持っていきました。
調べてもらったら、モーター自体は正常。
そこの職人さんの見解では、たぶん、220Vの3本の線のうち、どれかが接触不良だから、右に回ったり左に回ったりしたんだ、と。
船に戻ってきて、ブレーカーのモーター側端子を外してみると、いや、調べてみると、外す前に端子が1本外れかけていた。

このブレーカーには、もう1本、緊急用移動ポンプのコンセント電源が入っていて、それと一緒に端子を止めているのです。
そして、今回、丸(R)端子がなかったので、固定用電源にY端子を使いました。
これが、そもそもの元凶。

以前、畠山無線さんに、「Y端子は使わないほうがいいよ」と忠告されていました。
失敗してみて、「なるほど」。
丸端子ならば、ビスで穴を通すわけですから、締めるだけで確実です。
ところが、Y端子だと、端子がはずれないように線を押さえながら作業するわけですから、ちょっと面倒。
しかも、別の電源端子と一緒に締めなければならず、船の狭い場所での作業なら、なおさら不確実。

と書いても、やったことのない人はわからないか。
端子の写真を載せておきます。
左がY端子で、右が丸端子(R端子)。

圧着端子.JPG

持っていたY端子、「このチクショー」と言いながら捨てました。
posted by T.Sasaki at 20:10| Comment(0) | TrackBack(0) | 漁船設備 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年02月01日

エンジンメンテナンスに必要な工具

再び、こんばんは。

舶用エンジンメーカーであるヤンマー、大丈夫でしょうか?

写真を見てください。
この貧弱な工具箱。

使えない工具.JPG

船主ができるエンジンメンテナンスは、せいぜい、オイル交換、フィルター交換、亜鉛交換などなど。
その作業で使える工具が一つもない(笑)。

オイル交換では、まず、オイルをエンジンから抜くポンプが必要です。
コマツのエンジン(最初はコマツだった)では、ウイングポンプがエンジンに付いていたので、用意するのは廃油缶だけだった。
ヤンマーエンジンになってからは電動ポンプが必要で、それには電源も必要。
軽油仕様の発電機は30年モノ(ウイスキーみたい)を持っていて、これがまだ現役バリバリ。
先日、バッテリーを交換し、エンジンオイルも交換しました。
この発電機で、摂待鉄工所仕様の電動ポンプ(うまくセールスされて買わされた!)を動かし、オイルを抜きます。
私が不思議に思うのは、なぜかオイルフィルターを回す工具を、ヤンマーで提供しないこと。
オイル交換まで「機械屋さんにやってもらいなさい」と言っているようなもの。
私の場合、コマツのフィルター回しを使っています。
もちろんクラッチフィルターもこの工具で回します。

次、燃料フィルター交換は、フィルター内の燃料を抜いてから交換しますから、その時、サイズ22と24のスパナを使います。
写真を見てください。
最大19のスパナですから、ぜんぜんトンチンカン。
13のスパナは、一番下にある燃料抜きに使いますが、私の場合、周りにゴミ袋をガムテープで貼って、重油がこぼれてもいいようにしてからフィルターケースを抜くので必要ありません。
だから、ここで必要なのは、22と24のスパナ。

エンジン亜鉛交換では、サイズ14のスパナです。
しかし、万が一、亜鉛を抑えているボルトの頭がなめってしまうと大変ですから、メガネスパナを使います(機械屋さんのアドバイス)。
これが入ってない!

クラッチ亜鉛の方は、24のメガネスパナ(21だったかなあ?)を使いますが、それも「ノの字スパナ」。
ハンマーでコンコンと叩かなければ、取りにくいボルトのためです。

もう一つ。
亜鉛交換するために、クラッチ側から海水を抜く時、小さいレバーを回すため、モンキースパナが必要です。
最初は手でも回りますが、そのうち硬くなってきて、もっと硬くなれば、グランドパッキン締め付けナットも緩めなければならず、絶対にモンキースパナが必要になります。

まだある。
亜鉛交換するとき、防食亜鉛自体をおさえるスパナが必要です。
27だったか30だったか。
ヤンマーのエンジン亜鉛は大きい。
クラッチ亜鉛は、19か21。

以上、最低限必要なのは、フィルター回し、スパナ22、24、メガネスパナ14、ノの字スパナ24、モンキースパナ。

この工具箱には、必要な工具が入っていない。

ヤンマーさん、大丈夫?
posted by T.Sasaki at 21:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 漁船設備 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年01月19日

海水配管の防食亜鉛

みなさん、こんばんは。

眠いですが、工学的なこと、忘れないうちに、書いておきます。
漁船漁業を志す方、参考にしてくださいね。

宮古漁協造船工場でキングストンボックスの改造工事をやりましたが、聞いてみたところ、キングストンに直接、防食亜鉛を付けている船はあまりいないようです。
理由は、今のキングストンが丈夫になっているから、とのこと。

エンジン循環水の場合、キングストンから入った海水は、海水こし器という、粗いゴミを取り除く装置を通りますが、これにも防食亜鉛が付いています。
しかし、よくある話で、この防食亜鉛まで海水が上がっていない環境の船が多いらしい。
海水の浸からない亜鉛など意味がなく、結局、亜鉛自体が腐らないから、回りの配管は徐々に溶けている。
だから、やっぱりキングストンに亜鉛を付けることに意味がある、と私は思います。
実際、キングストンに付けた防食亜鉛は、ちゃんと腐っていますから。

とエラそーなことを書きましたが、私の船も走ると、こし器の上まで海水が上がってきません。
止まっている場合は、ちゃんと上がってくるのに。

二つあるエンジン取水キングストンのうち、元々片側にはキングストン亜鉛が付いていなかったのですが、その頃は、海水こし器の上までいっぱいいっぱいで理想的な環境でした。
ところが、亜鉛を付けてカバーを付けたら、上まで来なくなったのです。
今回、カバーの穴が足りないのかなあ、と考え、穴を1.5倍くらい多くしましたが、こし器を観察すると、気泡が多い。
次回に上架した時は、穴を思い切って10mmくらいにし、海水の入りやすい方向へ穴の傾斜を開けるつもりです。
それでもダメなら、カバーを取っちゃえ!

書いてあること、わかるかなあ?
漁船に乗っていない人は、たぶんを何書いているのかわからないと思う。

エンジンやクラッチにも防食亜鉛が付いていますが、もちろんこれらも定期的に交換します。
交換時、ちゃんと腐っていれば安心するものです。
もし、防食亜鉛が腐っていなかったら、エンジンやクラッチが腐っていると考えて間違いなし。

散水ポンプにも防食亜鉛が付いていますが、この亜鉛の効きは、近くの配管にも及びます、たぶん。
例えば、散水ポンプにつながっている配管で、ポンプから遠いほど配管が腐っています。
近いところを外して試しに切ってみたことがあるのですが(この時、外側が錆で汚れていたから)、バリバリの新品同様に中身は立派でした。
しかし、途中をゴムホースなどで連結していると、亜鉛は効きません。
フランジをボルト連結している場合のみ、防食亜鉛はある程度効いているのではないでしょうか。
だから、散水配管の場合、結論として、デッキ上などの配管の何箇所かに、防食亜鉛を取り付ければいいかなあ、と考えています。

先日、小本の長宝丸という新造船の散水配管を見せてもらいました。
ステンレス配管で、所々に防食亜鉛が付いていました。
ステンレスは、ピンホールができやすいので、亜鉛が必要です。
私の船の生まれた丸竹造船所でも、今の新造はすべてステンレス配管で、やはり防食亜鉛が付いていました。
ということで、いずれ、デッキ上の散水配管に亜鉛を仕込みたい。
私のは、亜鉛メッキの鉄配管ですから、錆だらけ。

いろいろ防食亜鉛のことを書きましたが、今回のキングストン関係の工事で、あと20年は大丈夫。
船体のほうは、丸竹造船所の社長から、「50年はもつだろう」とお墨付きをいただいています。
材料をかなり使っているそうですから。

私は公称45歳。
20年経ったら、あとは遊んで暮らします。

でも、性格的な問題から無理(笑)と、よく言われんですよね。
posted by T.Sasaki at 19:21| Comment(7) | TrackBack(0) | 漁船設備 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする