みなさん、こんにちは。
宮古は、今年一番の雪になりそうです。
春の湿った重たい雪が、宮古地方大雪の特徴であり、これによって、ご飯をたくさん消費します(笑)。
イサダ漁の準備もできず、今日は、珍しく休みで、ようやく風邪も治り、体力も余り気味。
久しぶりにパソコンの前で暇を持て余しています。
福島原発関連の本、その他は、いろいろ読んでいたので、それ関して、ちょっと長く。
ご存知の通り、私は、反核燃運動に参加しています。
あの六ヶ所村の核燃料リサイクルを、無駄な事業である、と断定し、反対してきました。
何ら利益もなく、ただ単に、放射性物質を海へ流す、ということに、一漁業者として反対せざるをえない。
あれは、もうダメだろう、と喜んでいた矢先、3.11大津波が発生し、1F(「ヤクザと原発」という本では、福島第1原発のことを1Fと記述しています。もちろん福島第2原発は2F)が爆発しました。
六ヶ所村再処理工場の本操業より先に、放射性物質が大量にばら撒かれるとは、予想もしなかった。
そして、もう、これは現実です。
副島隆彦先生の本「放射能のタブー」という本が、宮古市の書店で平積みになっているのにびっくりし、思わず買ってしまいました。
こんな田舎で、副島先生の本があること自体、非常に珍しいのですから。
ついでに、隣に積んであった「ヤクザと原発」という本もいっしょに。
本当のところを言えば、副島先生の理系本は、あまり読む気がしませんでした。
「エコロジーという洗脳」という本を買って読んだ時、排出権取引に関する論文のほかは、あまり面白くなかったからです。
ほかは、みなさんが知っているようなことばかり。
あれは、わたし的には、買って損した、と思います。
だから、「放射能のタブー」もあまり気がすすまなかった。
でも、今回のは、買ってよかったと思います。
もちろん、全部がよかったわけではありません。
昔から行われている「LNT対閾値」対決をやっている部分には、本当にうんざりさせられます。
その中でとりわけ目をひいたのが、六城雅敦さんの「微量の放射線は生命の必須栄養素だ」という論文。
これがすごい。
びっくりした。
私たちの行動は、すべて、利益とリスクの比較によって決まります。
例えば、3.11大津波があっても、やはり元の土地に住みたい、という願望も、利益の一つとみなすことができ、大津波というリスクを、その願望が上回れば、その人は、元の土地に家を建てるでしょう。
利益とは、自分の感情を満たすものを含まれます。
私は、利益とリスクの比較について、皮肉にも、原発推進と思われる人から学びました。
http://www.enup2.jp/ついで、私も「
核発電の憂鬱」で、次のページを作りました。
http://sky.geocities.jp/nuclear_gloom/2.htmlそして、びっくりさせられた六城さんの論文は、何と、放射線被曝がリスクではなく、利益になっているのです。
リスクではなく、利益ならば、使用済み核燃料は、再処理工場で切り刻んで、航空機で日本全国にばら撒けばいい。
彼の論文は、簡単にいえば、放射線ホルミシス効果。
その最適値は、年100mSvであり、福島は、その最適の地であると。
元論文を書いたラッキー博士によると、年間1ミリシーベルトから10シーベルトの間が最も好ましい被曝線量であるらしい。
放射線を浴びた人は、長寿である。
「
副島隆彦の学問道場」の会員専用掲示板でいろいろと質問しましたが、管理人(各掲示板ごとに管理人がいます)さんは、はぐらかしたような回答でした。
そこで、六城さんに何とかメールで質問し、彼の話では、低線量被曝のリスクは、限りなくゼロに近い、との回答。
もちろん、除染など必要ない、とのことです。
この後、副島先生も、「
重たい掲示板」[887]で、「除染など何の意味もないのだ。」とはっきり書きました。
私は、六城さんにメールした頃、非常に忙しく、おまけに風邪もひいていたので、彼の返信メールに感動だけし、あとは、あまり深く考えませんでした。
この時ひいた風邪がちょっと長引いたため、数年前の新型インフルエンザのことと広瀬隆先生の話を思い出しました。
「なぜ、個人差がこんなにあるんだろう」と。
そして、今度は、「ヤクザと原発」の記述。
あるプラントメーカー系の社員が、水素爆発後に被曝しました。
いったん現場を離れた後、彼は病院で検査を受けた。
もう彼は子どもが作れない。
(「ヤクザと原発」p126)
彼の被ばく線量は、どれくらいだったのか。
彼だけ特別なのか。
それから、原発作業員の亡くなった記事を思い出し、なぜ、嶋橋さんは、あの程度の被曝線量で、白血病になったのか。
http://www.chugoku-np.co.jp/abom/00abom/ningen/000322.html(「
中国新聞」)
そして、市川定夫さんの話。
大宮ガンマフィールドで圃場作業員が2人も白血病で亡くなったのは、エネルギーの小さい散乱放射線ではなかったのか(これはリンク切れになっています)。
私は、エビアレルギーであり、酒を飲みながらエビを食べると、確実にじんましんがでます。
30歳前は、じんましんなんて、一度もでたことがありません。
同じ人間でも、歳をとると、こうなるんですね。
たぶん、体内の遺伝子が、どこかで変化した?
実は、私、副島先生に、「私の場合、広瀬先生に近いと思います」とメールしてしまいました。
ネット環境をようやく復活させた時で、まだ「放射能のタブー」を読んでいませんでしたし、広瀬隆講演会の直後でもありました。
きっと、「こわいこわい派のバカな奴」と思っているでしょう。
副島先生いわく「放射能こわいこわい派」のバカ筆頭級、広瀬隆先生は、「こわいこわい」論拠を、個体差においています。
私は、これに賛成します。
なぜ、こんなにも、病気に個体差があるのか。
きっと、放射線被曝による影響も、個体差があるはず。
そうでなかったら、嶋橋さんが、たった通算被曝線量50mSvで、慢性骨髄性白血病になるはずがありません。
もしかして、遺伝的に自然がんに罹る運命だったとしても、放射線が発がんを早めたかもしれない。
放射線ホルミシスを、私は否定するわけではありませんが、しかし、六城さんみたいに、必須栄養素として、新たに放射性物質を過剰に取り込むのは、どうかと思います。
私たちの必須栄養素は、いろいろあるのでしょうが、どんな栄養素でも過剰に摂取すると、必ず、副作用が現れます。
薬も副作用があり、もちろん、個人差も大きい。
放射線だけが例外か?
その後、Sさんから、「放射性セシウムが人体に与える医学的生物学的影響」という本を紹介されました。
この本には、ユーリ・I・バンダジェフスキーという人が、ベラルーシのゴメリ医科大学病院でなくなった患者を解剖し、各臓器に蓄積したセシウム137の量と細胞組織の変化を調べたものが書かれています。
けっこうシビアに傷つきます。
セシウムも、過度に“蓄積させない”ように、気をつけたほうがいい。
再処理工場から放射性物質が流される前に、1Fから大量の放射性物質が拡散され、大気を汚染し、すべて海へと流れ出ます。
もう、再処理工場どころではなくなりました。
何事も、起こる前が肝心です。
再処理工場の場合、何ら利益もないのですから、放射性物質のリスクを強調してもしすぎることはありません。
どんなことをしても止めろ!
しかし、放射性物質大量拡散が現実に起こってしまった。
今までとは、状況が変わりました。
私たちは、嫌でも、放射性物質とともに生きていかなければなりません。
したがって、放射性物質のリスク評価は、今までのように強調しすぎるのではなく、正確にやらなければならない、と思う。
広瀬隆先生が、宮古市で講演したとき、ECRRの飛んでる論文を持ち出した時は、私は青くなった。
あの頃、ちょうどネット環境が復活したので、検索で「ECRR」と打ち込んだら、次のページを発見した。
http://d.hatena.ne.jp/buvery/20110520(「
buveryの日記」)
(これは、後に出版された「放射能のタブー」でも引いている。ぜひ、読んでほしい。リスクは、チェルノブイリより桁違いに小さい)
広瀬先生は、ECRRに、一杯食わされたと思う。
「ECRRの論文は、ちょっと違うんじゃないの?」というメールを、「三陸の海を守る岩手の会」のメーリングリストに投稿しましたが、反応のあったのは、1名のみ。
たぶん、ECRRの論文は、神格化されているかもしれない。
反核燃団体だけでなく、反核団体の好きな本に、肥田舜太郎・鎌仲ひとみ「内部被曝の脅威」があります。
引用してある活性酸素・フリーラジカルの本(
「『内部被曝の脅威』にちょっと異議」を参照のこと)を2冊買い込んで読んでみましたが、「内部被曝の脅威」は、あまりに都合の良すぎる引用のしかたをしていました。
素直に読めば、放射線だけが活性酸素・フリーラジカル発生に特別寄与しているわけではなかったと思う。
活性酸素・フリーラジカルの本を読んだ頃から、私は、実のところ、「内部被曝の脅威」を持ち上げる人々に、あまり良い感情を持つことはなくなった。
1F爆発の影響は、私たち漁業者に、じわじわと及んできます。
最初は、私には直接関係なかった。
宮古魚市場に水揚げしているトロール船は、スケソウダラを獲ってきます。
それが格段に安い。
スケソウダラからは、ほとんど放射性物質は検出されません(検出されても、数ベクレル程度)。
一方、マダラは、ちょっとでます。
これから、スケソウダラのほうが、回遊性の高いと言えるでしょう。
このほとんど検出されないスケソウダラは、風評被害で、韓国への輸出がストップしています。
1Fにより近い岩手なら、風評被害もしかたないかもしれない。
ところが、北海道も同じ目に遭っているのです。
ここで、考えてほしい。
私は、すべての魚類には、検出限界以下の放射性物質は、絶対に含まれていると思う。
今、岩手のローカルニュースでは、旬の毛がにの話題でいっぱい。
私の船も、ちょっとだけテレビに映った。
岩手日報にも、私の獲ってきた毛がにが載っていた。
あれだって、本当は、検出限界以下の放射性物質が含まれていると思う。
六城さんによると、普通の遺体を火葬した骨からも、400〜1000ベクレルくらいは、放射性物質が出るそうです。
骨ですから、おそらく、過去の核実験フォールアウトによるプルトニウム、ストロンチウムなどが入っているのでしょう。
私たち日本人は、過去のフォールアウト同様、もう、1F由来の放射性物質から逃れることはできない。
だから、これからは、どうやって放射性物質とうまく生きていくか、ということを考えなければならない、と思う。
3月1日、三陸沖では、イサダ漁が解禁となります。
しかし、イサダ(ツノナシオキアミ)から放射性物質が検出されるのを、私たち漁業者は、何より怯えています。
イサダも、中国産や韓国産という代用品が用意され、もし、放射性物質が微量でも検出されれば、三陸イサダ漁は崩壊します。
今まで、岩手から茨城まで獲っていた4万トンものイサダが、すべて中国産や韓国産に入れかわり、利益を得るのは、取り扱う商社と中国や韓国漁業者。
幸いにも、宮古沖、山田沖のイサダサンプルからは未検出となり、ほっとしていますが、他県の漁業者のことを考えると、他人事ではありません。
このまま行けば、放射性物質に対する過剰反応が、日本の農漁業を崩壊へと追いやってしまいます。
こっちのほうのリスクが、被曝リスクより大きいとなると、これは大問題。
これを無視し、自分の体に対する微小リスクだけを叫ぶ人とは、少し考え直したほうがいいと思う。
私たちの体内には、カリウム40という放射性物質が4000ベクレルも存在し、合計で7000ベクレルもの放射能を持っています。
毎秒に7000発も放射線が体内から発射しているのです。
これにより、DNAが破壊され、瞬時?に修復されます。
もし、修復されなかったら、みんな簡単に病気になっているでしょう。
酸素も本当は毒です。
その毒を打ち消すスカベンジャー(本はすべて津波で流失したので、確実ではありません。みなさんで調べてください)が、私たちの体内には備わっていて、酸素を有用なものにしているのです。
この酸素毒に比べたら、体内の放射線など問題にならないらしい。
もちろん、修復機構やスカベンジャーに欠陥があって、病気になる人もいるかもしれない。
これは、運命。
放射線被曝は、DNAを傷つけるリスクがあり、放射線ホルミシスという利益もある。
大体、100mSvを境にリスクが増大し、ホルミシス領域と重なる。
長生きするか、病気になるかは、おそらく個人差でしょう。
そこに私たちの実生活する上での利益を考慮し、どれくらいまで被曝を許容するかは、個人の判断です。
1F事故で、今ほど、被曝リスク評価の情報が、たくさん出ている時はないと思う。
その情報をどう考え、どう行動するかは、自己責任ではないでしょうか。
「放射能のタブー」は、原発の最大の被害者、福島県を応援する本です。
私は、本当のところ、原発マネーをふんだんにもらっていた福島県を嫌いだった。
広瀬隆講演会の時、「豊かな三陸の海を守る会」(宮古の会)のUさんから、「福島原発の真実」という本を紹介され、読みました。
謀略で引きずり下ろされた佐藤栄佐久前福島県知事の書いた本です。
前知事は、立地自治体の意思に反して、1F再稼動に反対していたのです。
私はこれを読んでから、福島県を応援しようと思い始めた。
前知事のリーダーシップも見事なものだ。
福島の人たちは、岩手よりはるかに高い放射線リスクであるにもかかわらず、「故郷に住みたい」あるいは、「故郷を復活させる」願望を満たすという利益を選択してもいいと思う。
彼らにとって、その利益が、リスクを上回るなら。
これは、私たちが判断するのではなく、彼らが判断することです(六城さんのいわれるとおり、ゼロリスクでホルミシス効果のみなら完璧)。
私自身、「美味しい」という利益を得るために、セシウムを“蓄積させない”程度、食べてもいいと思っていますし、農業、漁業を我慢強く営んでいる人たちを応援する意味でも、食べようと考えています。
みなさんも、自分の利益とリスクを考え、過剰反応しないように、そして、摂取しすぎないように。
ではでは〜。