日本の漁業が崩壊する本当の理由 片野歩

世界中で魚類資源が増えているのに、日本だけが減っている。
この現実を、恥ずかしいと思うべきである。

日本の漁業が崩壊する本当の理由.jpg

すべての漁協組合長、理事、参事、そして、任意の漁業団体の会長以下すべての役員たちは、この本を読むべきだ。
読みたくないならば、「日本の漁師は大バカものだ」を参照すること。
これを認識できないならば、役職に就く資格はない!

2024年05月25日

情報通信技術(ICT)は、環境破壊を起こいている

こんばんは。
第3弾。

デジタル技術は、一般に、私たちの社会をより良くする、とは言われる。
情報通信技術(ICT)の利用によって、他の産業の削減できる二酸化炭素排出量は、ICT利用そのもので排出する二酸化炭素の7倍であるらしい。(※1)
しかし、実際には、「爆発的に増えるデジタルデータと使用電力」で触れたように、デジタルデータは、GAFAMの利益追求のため、爆発的に増える。
それにより、大きな環境負荷を生むことになる。(※2)

ウェブページの表示は、利用者の思惑とは違うサービスが組み込まれ、どんどん重くなる一方で、それに対応するため、パソコンやスマートフォンも買い換えなければならなくなっている。
これらハードの寿命は、平均で4年だ。
一般の人は、パソコンやスマホの機能の9割は使っていないと思う。
要らない機能を付加して、GAFAMは儲けている。
その儲けは、世界中にゴミを生む。
それも、今までに存在しなかったゴミだ。(※3)

モノを生産するにあたって、環境負荷を計る指標はいろいろとあるが、原材料の必要量に関する指標として、MIPSというのがある。(※4)
鉄棒を作る場合、それほどの重量は要らず、10倍の原料で済む。
しかし、ハイテク化された製品ほど、原材料の重量は大幅に増えていく。
スマホは、重量にして1200倍の原料を使う。
ネットワーク関連のサービスは、「非物質化」の象徴とされるが、現実は、強烈な物質化社会を形成している。(※5)

熊本に台湾のTSMCの工場が建設された。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240226/k10014370771000.html(「NHKニュース」)

TSMCは世界一の半導体工場であるが、TSMCの下請工場は、生産時に発生する廃棄物のことで各地で問題を起こしている。
熊本は大丈夫だろうか。
電力の消費も水の消費も大量で、その点も世界一の企業かもしれない。(※6)
これらのデジタル産業は、とにかく水を大量に使う。

安価な水を求めて、アメリカのユタ州ブラフデールに世界で3番目に大きなデータセンターが建設された。(※7)
データセンターは、金の力で、森もつぶす。(※8)
まるで環境破壊の象徴みたいなものになってきた。
金の力というものは強力で、海底ケーブルにまで、GAFAMも支配が及ぶようになっている。(※9)
方向性を間違えば、ネットワークは独占されることになる。

私は、「なぜデジタル社会は「持続不可能」なのか」という本を読んで、まずますインターネットを信用できなくなっている。
以前から、ネットが止まってしまったら?(事実、たまに繋がらなくなる時もあるし、パソコンが止まってしまうこともある)ということを考えると、とても信用できたものではない。
だから、ペーバーレス社会というのは、どうかと思う。
ペーバーレスになっても、この通り、ネットワークによる電力消費は増加する一方である。
ネットが止まってしまうという不安は、地域紛争からも発生する。
物理的に、海底ケーブルを切ってしまえば、関係する地域のデータ伝送は遮断される。(※10)
また、太陽活動の活発化から、太陽フレアの問題も考えなければならない。
電力、インターネットのブラックアウトは、SFではなく、実際に起こりうることだ。

結局のところ、本当はインターネットなど、あってもなくても、人間は生きていけるのである。
ネットに生活を依存する人を除けば、そういうことになる。
逆に言えば、ネットに依存している人たちほど、ネットの必要性を盛んに説く。
そういう構造なのだ。
まあ、便利なものを一気に否定してしまうのも良くないだろう。
が、爆発的なデジタルデータの増加は、憂慮すべきものであり、何か対策を取らなければ、ネット社会は行き詰ることになる。

ウェブページには、動画へのお誘いが随所に見られる。
この動画が、4K、8Kとなれば、データ伝送は大きくなり、4K動画が10%増えただけで、デジタル部門の総電力も10%増える。
これが、まともな電気の使い方だろうか。
「なぜデジタル社会は『持続不可能』なのか」では、次のような提案をしている。

通知を無効にする。
最も依存しやすいアプリケーション(フェイスブック、スナップチャット、Tiktok、インスタグラム)を削除する。
アルゴリズムがユーザーの憤慨を助長する(アプリケーション上のトラフィックをつくり出す)ようにできているSNSから距離をとる。
寝室への電話持ち込みを禁止する。
週に1日はネットに接続しない。

ウェブサイトの表現も、軽くするようにする。
それだけで、データのやりとりは、相当少なくなる。
たとえば、ウィキペディアは、ノートパソコンのメモリのごく一部分に相当するだだという。(※11)
私も、このブログを使うのをやめて、元のテキストサイトに戻すべきだと思う。
元々、SNSという高級なものはやっていないから、ハードルは低い。
「いいね!」は、良くないのである(笑)。

ガンジーは次のように言って、行動を促したそうだ。

「あなたがこの世界で見たいと願う変化にあなた自身がなりなさい」(※12)



(※1)
「情報通信技術(ICT)のカーボンフットプリントは2020年に1.27ギガトン二酸化炭素換算に達する予測だが、ICT(によるカーボンフットプリントの)削減可能な合計はその7倍に達する」と、ユネスコは主張した。その後、国連貿易開発会議(UNCTAD)は「ICTの有効利用に帰する二酸化炭素の減少は全世界の排出量の15%に相当する」とした。
 この分野で他を凌いで最も影響力のある組織があるとしたら、それはグローバル・e-サスティナビリティ・イニシアティブ(GeSI)だろう。これは民間デジタル企業と国際機関を集結させたもので、ブリュッセルに本部を置く。GeSIは「ICTを利用した社会・環境の持続性を可能にするために(中略)公平で主要な情報源」になることを目指す。しかし、GeSIは明言はしていないが、会員の利益を擁護するロビー団体である。したがって、強力なコミュニケーションツールといえる。2012年、GeSIは最初の報告書「SMARTer 2020」を公表し、ICT利用によって温室効果ガスを2020年までに16.5%削減できると予測した。3年後には、新たな報告書「SMARTer 2030」で、さらに壮大な予測を打ち出した。「ICTの使用によって回避される排出量は、その普及によって生じる排出量の10倍になる」とした。
 デジタル産業は、自らの環境負荷が限られていると言っているのではない。気候問題に関しては利益のほうが勝ると断言しているのだ。実際に、その産業のパフォーマンスは、デジタル化を実践する経済界の当事者全体に行き渡るだろう。衛星写真のおかげで正確にインプットを調整できる小規模農家、エコナビゲーション・システムを開発し、燃料消費を最適化する自動車メーカー、センサーを利用して採掘されない坑道の空調を止めて電気消費を減少させる大鉱山会社などだ。
(「なぜデジタル社会は『持続不可能』なのか」p31)

(※2)
 力ある勝者が歴史を自分たちの都合のいいように修正することに執着するのは、何千年もの戦争の歴史が証明していることだ。この21世紀において、デジタル企業はそのプロセスをさらに洗練させ、まさに未来を書き直すことを提案しているのだ!実はデジタル・テクノロジーは汚染する。それも著しくだ。水とエネルギーの消費、鉱物資源の枯渇への加担からすると、デジタル部門は、先に見たように、英国やフランスのような国の2倍あるいは3倍に相当する環境負荷を発生させる。その原因のひとつは世界中に出回る計340億個のデジタル機器だ。
(中略)
デジタル分野の電力消費は年率5〜7パーセント増加しており、その結果、2025年には世界の電力消費量の20パーセントを占めるだろうといわれる。
(前掲書p35)

(※3)
「ウェブページの重さは1995年から2015年の間に115倍になった」と。テキストを入力するために必要なCPUパワーは2〜3年ごとに倍になる。ますます複雑になるLOC[プログラミング言語で書かれたソースコードの行数]はますます長くならざるをえないから、コンピュータは大変だ・・・・したがって、よりパフォーマンスの高い製品に買い替えるように消費者を仕向ける。
 このことから、パソコンの寿命はここ30年間で、11年からたったの4年になった理由が説明できる。当然、ホモ・サピエンスはホモ・デトリタス[デトリタスは生物の死骸、排泄物などの意味]になる―毎年、5000のエッフェル塔に相当する電子廃棄物を生産する。人新生[地質時代のひとつとしてドイツの大気科学者クルッツェンが提唱した時代。人類が農業・産業革命により地球に環境変化をもたらした時代とされる]という言葉は、気候温暖化や海洋の酸性化だけを指すのではない。2017年、驚くべき事実が学者たちによって発見された。つまり、人間は、その活動により208種の新たな鉱物を生むという地質学上の力を持っているということだ。それらの新たな鉱物は、鉱山の残留物や、集積回路やバッテリーといった埋められてた電子廃棄物の悪化から生まれたものが多い。われわれの消費習慣―特にデジタル機器の消費―は地殻の構成物すら変えてしまうのだ。
(前掲書p61)

(※4)
ヴッパータール研究所は、1990年代に研究者が開発した、現代人の消費様式の物質的影響の画期的な計算法で知られる。それは、「サービス単位あたりの物質集約度(MIPS)」と呼ばれ、ひとつの製品あるいはサービスを作り出すのに必要な資源量を意味する。
(前掲書p70)

(※5)
 多くの商品では、MIPSはけっこう低い数字だ。たとえば、鋼鉄の棒は最終的な重さの「わずか」10倍の資源しか必要としない。しかし、「テクノロジーが関わってくると、MIPSは大きくなる」と、トイブラー氏は説明する。デジタル・テクノロジーは、とりわけ「地下から採掘するのが難しいレアメタル」など多種類の金属を含むためにそうなるだと同氏は言う。たとえば、2キロの重さのパソコンは22キロの化学物質、240キロの燃料、1.5トンの水を使用する。テレビ1台のMIPSはその重量の200倍から1000倍になる。スマートフォンは1200倍だ(最終製品150グラムに対して183キロの原料を使う)。しかし、最高記録を誇るのはICチップだ。2グラムの集積回路には32キロの資源が必要で、その割合はなんと1万6000倍にもなる。
「消費財を買うことを決めるときに感じる影響と、実際の影響の隔たりに驚くことは多い」と、トイブラー氏は言う。その理由は、最大の犠牲を払うのは製造チェーンの最も上流の地域にあり、その商品を売る店から遠く離れているからだ。おそらくそのため、善良な都会人は、ひよこ豆粉(ベサン)のパスタの栄養的かつエコロジカルな効用をほめたたえ、ヨガ教室に行くのにシェアサイクルの使用を賛美する ― 携帯電話を18ヶ月ごとに代えながら・・・・。ほほえましいことではあるが、ITは資源の負荷を ― 知らないうちに ― 増大させるから危険なのだ。現在機能している何十億台というサーバーやアンテナ、ルーターその他のWi-Fiスポットの量を、100倍、1000倍、あるいは、1万倍になるMIPSで掛け算してみるといい。「非物質化」のテクノロジーは資源を大量に使うだけでなく、これまでにない最大の物質化に向かっているという結論に達するだろう。
(前掲書p73)

(※6)
中国大陸から180キロメートルの台湾にTSMC社はあり、1社で集積回路の世界生産の半分以上をまかなう。だが、近年、TSMCは様々な環境汚染の非難にも対処しなければならなかった。というのは、「半導体メーカーは液体、固体、気体の廃棄物」を環境に廃棄するからだ、と台湾のある化学者は言う。数字を確定するのは難しいが、たとえばシリコン1キログラムを製造すると、280キログラム以上の化学物資が生じるとする人もいる。すべての廃棄物が処理されているわけではなく、日月光半導体製造(ASE)の韓国支社やネルカ・テクノロジーといったTSMCの下請けは2013年以降、周囲の川に有害物質を放出したとして操業を一時停止せざるを得なかった。
 その上、「製造のすべての工程で脱イオン水(蒸留水よりも純度の高い水)で集積回路を洗浄しなけらばならないので、非常に大量の水を消費する」と、コランジュ氏は説明する。そのため、TSMCは1日に15万6000トンの水を消費する。そのうち86%の水はリサイクルされるが、コランジュ氏はTSMCに関係のある最近の出来事を思い出して次のように言った。「2017年に干ばつが台湾を襲ったんです。でも、TSMCは大量の水が必要だったので、近くの川から工場まで大型トラックで水を運ばなければならなかった。その大型トラックが走っている間は、新竹サイエンスパーク(台湾北西の新竹市にある新竹科学工業園区。いくつかのハイテク工業団地が1400ヘクタールに広がる)を車で走るのは不可能でした」。もちろん、TSMCのエネルギー消費はさらに膨大だ。「作るものが小さな商品であればあるほど、それを製造するために大量のエネルギーを消費する大きな機械が必要になるからだ」とコランジュ氏は強調する。台湾では、TSMCの施設全体で2基か3基の原子炉に相当する電力を必要とし、それは電力消費がピークになる時期には、台湾の電力消費の3パーセントに相当するという。しかも、この数字は10年後には2倍になると予想される。台湾の電力の43%が石炭や石油による発電所であることを考えると、「台湾の電子産業のカーボンフットプリントは国の温室効果ガス排出の10パーセントを占める」と、コランジュ氏は解説する。
(前掲書p80)

(※7)
 グーグルはわれわれのデータを商業目的のためだけに集めているのではない。検索履歴をNSAにも提供している。アメリカの情報機関のひとつであるNSAは、私たちの電子メールや通話の内容、駐車場の領収書から旅行のルート、本の購買の情報も集めている。その監視データの大きさは、世界の電子情報のどれぐらいの割合を占めるのだろうか?それはだれにもわからないが、ヒントになりそうなものはある。2013年にNSAが、ユタ州北部のブラフデール周辺部の州兵訓練施設の敷地に特大のデータセンターを開設したとき、それは当時、世界で3番目に大きいデータセンターだった。アメリカ国会図書館の中身に匹敵する情報を毎分ストックできるマシンだった。
 なぜ、ブラフデールに造ったのか?愛国精神のある熟練労働者(したがってNSAの活動に反対する懸念がほとんどない)があること、そしてデータセンターを冷却するのに必要な水が非常に安価だったためだ。中規模のデータセンターは冷却装置のために年間60万立方メートルほどの水 ― オリンピックプール160個あるいは3つの病院に必要な水量 ― を消費する。
(前掲書p107)

(※8)
“データの領地”の拡張によって生じた対立が世界中でアッシュバーンほど激しいところはないだろう。私たちはそこに2021年春に訪れた。ワシントンから北西におより50キロメートルの、ヴァージニア州にあるアッシュバーンは、地味なビジネス地区といくつかのショッピングセンターに彩られた人口5万人の静かな町であるだけではない。世界のインターネット・トラフィックの7割が通過する「東海岸のシリコンバレー」なのだ。世界でもごく初期のインターネット相互接続店が1992年にそこに設置されたことから、AOL、ベライゾン、テロスといったアメリカ企業などIT経済の大企業が集中する現象を招いたのだろう。その後を追うように、57のデータセンターがアッシュバーンに集中し、まもなく専門メディアから「データセンターの世界的首都」と呼ばれるようになった。
 経済的効果はめざましい。アッシュバーンを含むラウドン郡に住む人の家計収入の中央値はアメリカで最も高い。「ハブ」は拡大していく・・・・。金持ちになったが、大きな建物に囲まれたアッシュバーンの住民は、「非物質」の都市計画のとばっちりを受けた。データセンターは騒音がして醜い・・・・。「この4ヶ月間で私のもとに寄せられた不満のトップが何かわかりますか?渋滞でも高速道路の料金所でもなく、データセンターの美観なんです」と、ある地元議員は言う。環境保護問題も表面に出てきた。「周りにはほとんど緑がないんですよ。もうたくさんだと思う。残っている自然を破壊する必要はないです」と、住民の一人、ブライアン・カーさんは不満げだ。2018年、ラウドン郡は43ヘクタールの森をつぶしてコンパス社のトゥルー・ノースデータセンターの建設を許可していたのだ。
(前掲書p106)

(※9)
明らかに戦略的部門であるにもかかわらず、ケーブル産業はほとんど全部が民営化されている。したがって、次々に起こる混乱(2001年のインターネットバブル崩壊、2008年のサブプライム機器など)が定期的に起きる経済サイクルにさらされているのだ。しかも、GAFAMは超大企業であるため、価格に圧力をかけることができ、彼らのビジネスパートナーはマージンを減らすことを余儀なくされる。その結果、「そういう[ケーブル]産業に投資しようとする人はあまりいない」と、ケーブル業界の人は言う。したがって、ケーブル産業が使う大洋をまたぐケーブル敷設船は世界で30隻ほどしかなく、主要な敷設企業は3社だ。フランスのアルカテル・サブマリン・ネットワークス(ASN)、アメリカのサブコム、日本のNECである。しかも、この業界は若者を雇用するのが難しい上(「求人票にビッグデータ”と書いてないから」と業界の人は残念がる)、経営の難しい海運業者とともに仕事をする。
(中略)
「今日、フェイスブックとグーグルが資金を出さないケーブルはほとんどない」と、光ケーブルのある専門家は認める。この2社の光ケーブルへの支配はどこまで進むのだろうか。また、世界で最も強力なそうした企業へ欧米諸国はどのように依存していくのだろうか?「われわれは、いつかの企業の利益のためにインターネットの一部を私有化される状況に直面している。しかも、だれも何も感じることなく」と、海底の電気通信ケーブルのある専門家は不安を漏らす。
(前掲書p248)

(※10)
中国は、紛争の際には理想的な標的に変わりうる「デジタル・シルクロード」のインフラを守らなければならない。この問題はすでに、情報ハイウェイの継続性を懸念する欧米諸国では認識されていた。「軍事情報から世界の金融データまですべてを伝送する(中略)ネットの接続が負うリスクは現実のものであり、リスクは高まっている」と、当時は英国議会の議員だったリシ・スナック氏[現財務大臣]の報告書で強調されていた。少しでも攻撃されると、重大な経済の混乱と軍事通信への損害をもたらし、「大惨事になる可能性」があると、同氏は述べている。スナック氏によると、ロシアは、クリミア半島侵攻の際にやったように、戦時における情報の流れをコントロールするために通信ケーブルを切断するのも辞さないという。
(前掲書p244)

(※11)
「SNSのアプリはわれわれの脳に侵入してきて、それをすることをわれわれに許可する」と、「責任あるデジタル」の専門家は言う。その褒美は、画面に費やす時間の増加、より多く作られるデータ・・・・そして消費エネルギーの増加だ。実際、高画質ピクセル数動画はまもなく4K、あるいは「高画質の32倍のデータを使う」8Kすら超えようとしていると、ある調査は指摘する。『カンヴァセーション』誌には研究者による驚くべき数字が掲載されている。「2030年に4K動画が10パーセント増えると、それだけでデジタル部門の電力の総消費量が10パーセント上昇する」。カプトロジーのテクニックによって生じる知的・社会的汚染は、環境汚染を引き起こすと、デジタル・フォー・ザ・プラネット[仏NGO]の会長は指摘する。「この3つの形の汚染は相互依存しており、別々に取り組むことはできない」
 こうした戦略に対抗するにはどうしたらいいのだろうか?まずは、グーグルの元エンジニア、トリスタン・ハリス氏がしたように、テック大企業が開発した、人を操るテクニックを告発することだ。その次には行動しなければならない。自分の存在のコントロールを取り戻すことを目指す多くの解決策を見つけることができる。通知を無効にする、最も依存しやすいアプリケーション(フェイスブック、スナップチャット、Tiktok、インスタグラム)を削除する、アルゴリズムがユーザーの憤慨を助長する(アプリケーション上のトラフィックをつくり出す)ようにできているSNSから距離をとる、寝室への電話持ち込みを禁止する、週に1日はネットに接続しないなどだ。スマートフォンの使用を禁止するレストランやバーの住所を提案する市民団体もある。台湾では、2歳未満の子どもに端末の画面を使わせる親は1500ユーロの罰金を科される。理屈は簡単だ。「台湾人はそれを虐待とみなすからだ」と、ある神経科学者は強調する。デザイナーズ・エチック[持続的で責任あるデザインコンセプト研究の協会]では研究者やウェブコンセプターが、帯域幅を過剰に使用するウェブサイトを「クリーニングし」、すっきりとしたウェブを提案している。この考え方の好例はウィキペディアだ。エネルギーを食う動画コンテンツを排しているので、何百万件もある項目を含むサイト全体は数十ギガオクテットにすぎない。ノートパソコンのメモリのごく一部分に相当するだけだ。デザイナーズ・エチックの「デザインによる倫理」の考え方のなかには、サイト上の「イベント系」(広告、動画など)を少なくし、コンテンツの推奨を少なくし、注意とトラフィックを促す「いいね!」の機能を停止することなども含まれる。
(前掲書p182)

(※12)
 将来、テクノロジーに対して人間が占める正当な位置。それが、人々の合意が最も難しいものだろう。われわれは、デジタルを、人間を救うために人間のもとに遣わされた救世主のように見なす傾向がある。ところが、現実はずっと凡俗であると認めなければならない。デジタルは人間に似せて作られたツールにすぎないのだ。このテクノロジーのエコロジーの度合いは、われわれ以上でもわれわれ以下でもない ― 将来もそうであろう。われわれが食物やエネルギーを無駄遣いするのを好むなら、デジタルもその傾向を強めるだろう。もし反対に、われわれが国境を超えて寛大であろうとするなら、ボランティアの大群をわずかの時間で動かすことができるだろう。このツールはわれわれの日常のイニシアティブ ― あまり立派でないものも、より立派なものも ― の触媒として働き、未来の世代に残すわれわれの遺産を増やす。われわれがなり果てた造物主 ― 本来は責任を持たねばならない計り知れない権力に、ほとんど無認識である ― に対し、デジタルは結局、ガンジーの強い厳命「あなたがこの世界で見たいと願う変化にあなた自身がなりなさい」をわれわれに熟考するよう導くのである。
(前掲書p256)



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