日本の漁業が崩壊する本当の理由 片野歩

世界中で魚類資源が増えているのに、日本だけが減っている。
この現実を、恥ずかしいと思うべきである。

日本の漁業が崩壊する本当の理由.jpg

すべての漁協組合長、理事、参事、そして、任意の漁業団体の会長以下すべての役員たちは、この本を読むべきだ。
読みたくないならば、「日本の漁師は大バカものだ」を参照すること。
これを認識できないならば、役職に就く資格はない!

2024年05月23日

情報通信技術(ICT)の現状

ふたたび、こんばんは。

湯治先では、「なぜデジタル社会は『持続不可能』なのか」という本を読んできた。
びっくりした。
ネット社会は、やがて行き詰ることになるかもしれない。

今や、寝たきり老人などの超高齢者を除く大多数の地球人にとって、インターネットは、常時使用しているに等しくなった。
しかし、非常に厄介な問題に直面している。
デジタルデータが爆発的に増加し、それに対する設備のキャパシティが不足、さらに電力が不足するという事態に直面しつつある。
このことは、最近、NHKでも、サラッと取りあげていた。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240515/k10014449481000.html(「NHKニュース」)

私は以前、「いいね!」に参加したことがある。
しかし、あんなものは相当の暇人がやるものだと思い、とても付き合ってられないので、やめた。
スマホの常時使用で、「いいね!」産業は潤っている。
この「いいね!」とスマホの常時使用が、データ生成を増大させ、地球、そして、人間そのものに負荷をかけ始めている。
あなたの「いいね!」は、地球の果てまで行って戻ってくるというシロモノなのだ。(※1)

グーグルのGmailは、6つコピーされ、金融機関の取引データもかなりの数をコピーし、データセンターで管理している。(※2)
なぜ、そんなにコピーしておかなければならないか、というと、誰も経験しているように、デジタルのシステムは完全ではなく、エラーを起こしたり、止まったりするから。
電力遮断により、データセンターが止まってしまったら、データを扱っている会社にとって、命取りになる。
したがって、GAFAMは、自社サーバー以外にデータセンターも使う。(※3)
インターネットは、すでに、止まってはならないのだ。
だから、世界中にデータセンターがたくさん必要となる。(※4)
その数、小規模なデータセンター(それでも500平方メートル以上)は、世界に300万ケ所、サッカー場クラスの大規模なものは、500ヶ所もある。(※5)
私たちが知らないうちに、知らないところに作られている。
今後、どれほど作られることになるのか?

世界中のデータセンターを結んでいるのが、海底ケーブルである。
スマホのように空中を飛び交うデータというのは微々たるものであり、データ伝送の主役は海底ケーブルである。
そのシェアは、99%!(※6)
データ伝送、データ生成が多くなった理由は、海底ケーブルの充実にあるようだ。
交通で例えれば、道路網が整備されないと交通量は増えない、ということと同じで、データの通り道がたくさんあれば、みんなそれを利用する。
しかし、データ生成の増加速度のほうが、ネットワーク全体のキャパシティの増加速度を上回っている。
いずれ、限界点が訪れる。(※7)
したがって、はっきり言えば、とんでもないデータ量を食うオンライン動画、オンラインゲームなどに、高額課金する方向へ進めなければならないだろう。(※8)

それでも、どの国家も、デジタル利用を推進しようとしている。
持続可能かどうかは、非常に怪しい。
ネットワークが膨張すればするほど、何が起きるのか、想像できるだろう。



(※1)
 読者のみなさんは、「いいね!」を送りたくてたまらないだろうし、職場の同僚に気に入られるために、その人のフェイスブックのプロフィールの写真に「いいね!」を送っているだろう。ところが、その愛すべき人の携帯電話に届くのに、「いいね!」はインターネットの7つの層を通っている。第7層が端末(パソコンなど)にあたる。あなたの愛情に満ちた通知はネット中間層(データリンク層、ネットワーク層、トランスポート層など)を通り、ネットの最初の物理的な層(物理層) ― とりわけ海底ケーブルからなる ― に達する。第1と第7の層の間では、あなたの通知は携帯電話事業者の4Gアンテナを通るか、あるいはインターネット・モデムを通る。モデムは、集合住宅の共用部分を通って、歩道の80センチ下に埋められた銅線ケーブルにつながっている。そして、そのケーブルは大きな連絡道(高速道路、川、引き船道、鉄道など)を通って、通信事業者の施設で他の「いいね!」に合流する。それから海を渡ってデータセンターを通過しなければならない。今度はそこから、「いいね!」は第7層までの逆の道をたどって、あなたの好きな人の電話まで到達するのだ。あなたの同僚がわずか10メートル離れたところにいても、あなたの発した信号は実際に何千キロもの旅をする。
(「なぜデジタル社会は『持続不可能』なのか」p37)

(※2)
2010年頃にグーグルのエンジニアが行った後援会では、Gメールは6重に複製され、チャットビデオ1本は通常、世界各地の少なくとも7つのデータセンターに保存されると説明があった。検証はできないが、大きな金融機関はデータセンターを15回も重複させているという噂もある。クラウドサービス産業は「幽霊データセンター」で満ちている。この業界の企業の設備の30パーセントまでは「電源は入っているが、待ちの状態で、何もしていない」と、マルク・アクトン氏は言う。
 最後に、クラウドサービス企業はトラフックのピークに備えてインフラを「必要以上に大型にしている」。その結果、「ルーターがキャパシティの60%作動すれば、それが最大ということだ」と、IT研究者のアンヌ=セシル・オルジュリ氏は言う。こうした過度の設備に必然的な帰結は、途方もない電力の浪費だ。「ニューヨーク・タイムズ」の調査によると、ほとんど使われていないデータセンターは消費する電力の90%を無駄にしているとする。
(前掲書p121)

(※3)
世界最大の企業(グーグル、フェイスブック、アップル)は自社内にあるサーバーで管理している。しかし、コストと安全のため、自社のサーバーの管理をエクイニクス、インターシオン、エッジコネックス、サイラスワン、アリババ・クラウド、アマゾン・ウェブサービスといった専門企業に委託するのを好む企業が増えている。そうした良い「宿主」は、顧客のデータを「同居」させるデータセンター、つまりインターネットでつながった「サーバーのホテル」に受け入れているのだ。このような設備全体が「クラウド」を形成する。クラウドとはどんなインターフェースからもアクセスできるデータ保存の外注サービスであり、今日世界中で生成されるデータの3分の1はクラウドを通過している。「あなたの日々の生活で、ごくありふれた必要のために、10ヶ国に散らばったおよそ100のデータセンターを動かしているのです」と、データセンター会社「Hydro66」の営業部長、フレドリック・カリオニエミ氏は私に説明してくれた。「データセンターなしに何も存在しない!われわれのデジタル生活の中心なのだ」と、「データセンター・マガジン」の編集長、イヴ・グランモンターニュ氏は結論づけた。
(前掲書p90)

(※4)
インターネットは、「サービスの継続性」という絶対不可侵の神聖なる掟のもとで発展しているということを理解しなければならない。ウェブは途切れなく機能しなければならないし、「いつでも使え」なければならない。人命や国の安全保障がかかっているならば、医療や軍事のデータに常にアクセスできないといけないのは明白だ。しかし、休みなくネットサーフィンする何十億人という利用者を満足させなければならないことも容易いことではない。ネットは眠ることはなく、ネットを使うときに待ち時間があるのはもう許せないのだ。「1990年代末には、ウェブサイトのトップページが開くのに8秒かかった。今は、0.8秒でトップページ全体が見えないと、人は3つ目のモニター[1台のパソコンに3つのモニターを使う場合]を見るんですよ」と、データセンター研究所所長フィリップ・リュース氏は言う。要するに、われわれは「現在」の論理から「瞬間」の論理に移行したのだ。この「即時性」という暴君は、リアルタイムであらゆる障害物を分析するコネクテッドカーや、マイクロ秒で取引するロボット・トレーダーや、毎分何百万ユーロの売上を上げるeコマースのサイトに支配された世界では増幅するばかりなのだ。
 データセンターを止めることができないのは、そういう理由からだ。「大雑把に言うと、データセンターが約束するのは、“常にオン”ということだ。あなたは常にオンになっているということ。“邪魔をしないでくれ”モードは存在しない」と、フィリップ・リュース氏は結論づける。常に競争が激しくなる業界なので、クラウドサービスの多くの企業は自社のインフラが99.995パーセントの時間、機能することを約束している。つまり、年間わずか24分間使用できないというだけだ。「何度もブラックアウトする企業は、この業界から撤退する」と、リュース氏は断言する。
(前掲書p117)

(※5)
「クラウド」が世界の主要な通信情報ハブ(ワシントン、香港、ヨハネスブルク、サンパウロなど)、とりわけ主要な証券取引所(ロンドン、フランクフルト、ニューヨーク、パリ、アムステルダムなど)に定着するには12年ほどで十分だった。その結果、現在、床面積が500平方メートル以上のデータセンターは世界に300万ケ所近くある。そのうち、8万5000は中程度の規模で、エクイニクスAM4に相当するような大規模なものは1万弱ある。このコンクリートと鋼鉄の建物のうち、サッカー競技場に相当する大きさの「ハイパースケール・データセンター」は500以上ある。
(前掲書p92)

(※6)
今日、世界のデータトラフィックの99パーセントは空中ではなく、地下や海底に敷設された管を通っている。われわれの位置情報やズーム会議あどのデータは、黒竜江省の鉱山やスカンジナビア半島の川、台湾の空にその痕跡を残すだけではない・・・・。海峡や三角州を通って海の深淵を這う。毎日、われわれは何千キロメートルも離れたところに散在する何百というケーブルを使っているのだ。それなのに、通話や写真や動画は空中を飛んでいると思い込んでいる人が多い。おそらく、われわれのデジタル行為は、ファイバー網でデータが運ばれる前に、まずアンテナ(3G、4G、5G)に中継されるからだろう。
(中略)
ケーブルはポリエチレンにくるまれた細い金属の管で、中心にペアになった光ファイバー、つまりガラスの線維が通り、光パルスによって暗号化された情報が1秒あたり20万キロメートルの速さで伝送される。
(前掲書p208)

(※7)
「道路網の比喩を使ってみてもいい。道路が多くなると、それを使う車の数も多くなる。同じようにキャパシティが上がると、そのキャパシティを使う欲望をさらに高じさせる。」と、海底ケーブルシステムの専門家は分析する。「データ市場は、自前の高速道路[光ケーブル]をさらに多く建設する人たち ― GAFAM ― によって維持されている。そうなると、制限はなくなる」と、別の専門家は言う。ケーブルによって直接生じる汚染は大したことではないが、ケーブルの増加がデジタル界の拡大―端末やデータセンター、エネルギーインフラの拡大を伴う―を引き起こすことになる。パンデミックのために2020年の一時期に自宅待機した人々は、ズーム会議やWhatsApp上の飲み会を発見した。こうした新たなデジタル習慣によりトラフィックは爆発的に増え、ユーチューブやネットフリックスはオーバーヒートしたネットワークを鎮めるためにストリーミングサービスの画質を一時期下げざるをえなかったほどだ。「10年後に次のパンデミックがあれば、私たちは頭にヴァーチャル・リアリティのヘッドギアをつけているだろう」と、ケーブル産業界のある人は予言する。消費者がそれを望むだろうし、なにより、通信技術の発展でそういうことが技術的に実現できるようになるからだ。
 ところが、1015年、バーミンガム大学(英国)の応用化学・工学教授のアンドリュー・エリス氏は次のように警告を発した。われわれのデータ生成は、それを処理するネットワークのキャパシティよりも速く増大している。要するに、8年間で ― 2023年に ―システムの限界に達するだろう。同氏は「キャパシティ・クランチ(伝送容量の危機)」という言葉を使った。この警告に呼応するかのように、光ケーブル産業界も「シャノン限界」、つまり光ファイバーが伝送できるデータの最大容量に近づいていると認めている。また、数多くの戦略的ケーブルが通る海峡などのネックがあることも認めた。そういう場所のひとつでトラブルが起きれば、ひとつの大陸全体、あるいは世界的な影響が起こる可能性がある。
(前掲書p226)

(※8)
電子メール1通は最低0.5グラム、添付ファイルがあれば20グラムの二酸化炭素を生じさせる。これは電球1時間使う時の二酸化炭素排出量に匹敵する。そして、世界中で毎日、3190億通電子メールが送られているだ。とはいえ、電子メールの二酸化炭素排出量は、データトラフィックの60パーセント占めるオンラインゲーム動画に比べると微々たるものだ。あるデータセンター事業者は、この数字をわれわれ個人のレベルに置き換えて示してくれた。そのため、韓国歌手PSYの世界的ヒット「江南スタイル」のミュージックビデオ ― 年間およそ17億回視聴された ― を例に挙げ、この18億回の視聴は、イッシー・レ・ムリノー[パリ郊外の市]、カンペール[ブルターニュ地方の都市]、トロワといった小都市[いずれも人口6万人強]の年間電力消費量に匹敵する297ギガワット時に相当するとした。
(前掲書p136)
データ生成によって約束された“無料”は、当然の帰結としてインターネットの消費を増加させる。「“オープンバー”[見放題]になった瞬間から、猫の動画を10本目ではやめずに、11本目も見るでしょう」と、フランスのシンクタンク「ザ・シフト・プロジェクト」のメンバーであるユーグ・フェールブッフ氏は言う。つまり、「無料」は「データ激増」と同義語なのだ。
(前掲書p104)



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