日本の漁業が崩壊する本当の理由 片野歩

世界中で魚類資源が増えているのに、日本だけが減っている。
この現実を、恥ずかしいと思うべきである。

日本の漁業が崩壊する本当の理由.jpg

すべての漁協組合長、理事、参事、そして、任意の漁業団体の会長以下すべての役員たちは、この本を読むべきだ。
読みたくないならば、「日本の漁師は大バカものだ」を参照すること。
これを認識できないならば、役職に就く資格はない!

2024年02月09日

違法行為の備忘録

こんばんは。

岩手日報の日報論壇という投稿欄がある。
投稿してから10日以上経っていたのでボツかと思ったら、今朝、採用掲載された。
字数制限を大幅に超えてしまうため、投稿フォームではなく、メールから送信した。
あとは、掲載する側の判断を試すためもある。
もし採用されなかったら、他の新聞に投稿し、採用されたら新聞に変えるつもりでいた。
それでは、以下に、岩手日報宛メールの全文を貼り付ける。

本文

 昨年は、危機的なスルメイカの大不漁に見舞われた。スルメイカの大不漁は今に始まったことではない。長年の獲りすぎ、特にトロール漁業の漁獲圧は、凄まじいものがある。私たち小型いか釣り船で、形がある、という程度の漁場でも、長距離の海底を曳く2そう曳きのトロール船では、たくさんのスルメイカが漁獲される。 どの魚種にもいえることだが、私は史上最悪の漁法だと考えている。
 忘れもしない令和二年のことである。岩手県北部沖のスルメイカの好漁で、県外のイカ釣船もたくさん来ていた。したがって、もちろんトロール船も大漁であった。網に入りすぎたのか、乗組員の賄い魚も、軽トラックで分けるという前代未聞の振る舞いかたであった。これを外来いか釣り船の前でやっていた。(※1)
 TACという年間漁獲量を定めた制度がある。これは、魚市場に水揚げした量と賄い魚の合計である。この年、TACの岩手県トロール分は、水揚量だけで完全に消化した。したがって、自家消費分は、割当量をオーバーしたことになる。(※2)
 2そう曳きというトロール漁法は、かけまわしに比べて、1回の操業でたくさんの魚が入る。1日の漁獲量を自主規制したとしても、それより多くの魚が入るのだ。自主規制の漁獲量を超えた分は、自家消費するか、海へ捨てるしかない。9月から12月までこれをずっとやっていたわけだから、自家消費分と海洋投棄分は、どれほどになるのか。この合計が、TACをオーバーした分である。
 私は、トロール組合会長の事務所に出向き、改善方法の提案をしたが、聞く耳を持たず、話し合いも拒否された。県に対しても、このことを調べるよう促したが、行動に移すようなことをしなかった。水産庁に対して、違法行為ではないのか、と問いただしても、言葉を濁すばかりであった。(※3)
「 トロール漁業は、正確な数量を狙って魚を獲ることはできない。自主規制の漁獲量を獲るためでさえ、必ず過剰な量の魚がたくさん入る。狙って獲れるというなら、ぜひ現認させてほしい。水産庁が言葉を濁す理由はここにある。できるわけがないからだ。」(※4)
 小型いか釣り船の私たちでさえ、これほどスルメイカ資源が減少するとは思ってもみなかった。資源は毎年減少し、危機的状況にある。この責任の一端は、かなりの量を違法漁獲した岩手のトロール業界にある。この年の漁期前でさえ、水産庁が岩手県に来て、小型船の団体とトロールの団体の両者に、スルメイカ資源の危機的状況を伝えていたにもかかわらず、岩手のトロール業界は、それを無視したのだ。
 いか釣り漁業を主体として営む日本全国の小型船は、非常に苦しんでいる。このような違法行為を行なったトロール業界に、漁業補償してほしいくらいだが、彼らからの謝罪すら今に至って一切ない。スルメイカの資源不足で苦しんでいるのは、いか釣り漁業者だけではなく、鮮魚店や加工業界も同様であり、その影響は地域社会全体へと波及している。(※5)

以上、投稿分。


(※1)宮古魚市場の岸壁でやったこと。見ている人は大勢います。
(※2)私たち小型船のどの許可漁業でも、自家消費分の漁獲量の報告を求められます。
(※3)軽トラックで賄い魚を運んでいることの指摘を、金沢漁業の社長(トロール組合の会長)に談判しに行きましたが、それを知らないと言っていた。二度目に行った時は、自分の冷蔵庫に軽トラックで運んできて、冷凍していました。たぶん、マグロ船の餌用です。シラを切っていて、みんなをバカにしています。もうね、話にならないんですよ。世の中をなめてかかっているから、別件で逮捕されるんです。
水産庁への電話でも、対応したのは、松阪君という人で、「話にならないので上司を出せ」と言っても、のらりくらり。県職員にしろ、水産庁にしろ、アホばっかりです。
(※4)字数制限をかなりオーバーしますので、「」の部分をカットしてください。本当は、入れてほしいですが。それでも、少し字数がオーバーしていると思います。本当は、このことを社会問題として取扱い、取材するのが、貴社の役割だと思うので、不掲載なら取材してください。その時は協力します。
(※5)イカ王子こと共和水産の倒産は、記憶に新しいと思います。

今日の朝刊2面に、サンマのことが書いてありました。
サンマ船は、全国的にみて、いか釣り船ほど多くはなく、なぜか、大々的に報道されます。
しかし、スルメイカの危機的な状況は、あまり報道されません。
日本全国のスルメイカ漁獲量は、年々減少しています。海水温の上昇を原因とする話もあります。
しかし、それならば、ぶり類と同様、北海道で漁獲が増えても良さそうなものですが、するめいかの場合、北海道でも漁獲は増えません。つまり、親魚の獲りすぎなのです。
先日、沿岸漁船漁業組合の組合長と話をしましたが、今になって、ようやくTAC配分の見直しを水産庁が提案するそうです。
スルメイカ乱獲の備忘録として、投稿しておきます。
(2024年1月23日送信)


以上、貼り付けたが、最初の段落で、「私たち小型いか釣り船で、形がある、という程度の漁場でも、長距離の海底を曳く2そう曳きのトロール船では、たくさんのスルメイカが漁獲される。 」をカットしてほしくなかった。
新聞報道にあったとおり、水産庁のTAC配分は、3年固定ルールから昨年同様据え置きとなり、2年後まで資源回復は見込めない。
2そう曳きトロールによる過大な漁獲圧で、小型いか釣り船の淘汰圧は、ものすごく大きくなる。
各漁協の組合長たちは、よく黙っているものだ。
自分の組合の組合員を、かわいく思わないのかね。

この件について詳しく知りたい場合、あるいは、2そう曳きトロールのことを知りたい場合、「2そう曳きトロールは最悪の漁法」を参照してくだされ。

ちなみに、掲載された文章は、こちら。

 昨年は、危機的なスルメイカの大不漁に見舞われた。スルメイカの大不漁は今に始まったことではない。長年の取りすぎ、特にトロール漁業の漁獲圧は、すさまじいものがある。どの魚種にもいえることだが、私は史上最悪の漁法だと考えている。
 忘れもしない2020年のことだ。岩手県北部沖のスルメイカの好漁で県外のイカ釣船もたくさん来ていた。もちろんトロール船も大漁であった。網に入りすぎたのか、乗組員の賄い魚も、軽トラックで分けるという前代未聞の振る舞いかたであった。これを外来いか釣り船の前でやっていた。
 TACという年間漁獲量を定めた制度がある。これは、魚市場に水揚げした量と賄い魚の合計である。この年、TACの岩手県トロール分は、水揚量だけで完全に消化した。したがって、自家消費分は、割当量をオーバーしたことになる。
 2そう曳きというトロール漁法は、かけまわしに比べて、1回の操業でたくさんの魚が入る。1日の漁獲量を自主規制したとしても、それより多くの魚が入るのだ。自主規制の漁獲量を超えた分は、自家消費するか、海へ捨てるしかない。9月から12月までこれをずっとやっていたわけだから、自家消費分と海洋投棄分は、どれほどになるのか。この合計が、TACをオーバーした分である。
 私は、トロール組合会長の事務所に出向き、改善方法の提案をしたが、聞く耳を持たず、話し合いも拒否された。県に対しても、このことを調べるよう促したが、行動に移すようなことをしなかった。水産庁に対して、違法行為ではないのか、と問いただしても、言葉を濁すばかりであった。
 トロール漁業は、正確な数量を狙って魚を獲ることはできない。自主規制の漁獲量を取るためでさえ、必ず過剰な量の魚がたくさん入る。狙って獲れるというなら、ぜひ現認させてほしい。水産庁が言葉を濁す理由はここにある。できるわけがないからだ。
 これほどスルメイカ資源が減少するとは思ってもみなかった。資源は毎年減少し、危機的状況にある。この責任の一端は、かなりの量を違法漁獲した岩手のトロール業界にある。この年の漁期前でさえ、水産庁が県に来て、小型船の団体とトロールの団体の両者に、スルメイカ資源の危機的状況を伝えていたにもかかわらず、岩手のトロール業界は、それを無視したのだ。
 このような違法行為を行なったトロール業界に、漁業補償してほしいくらいだが、彼らからの謝罪すら今に至って一切ない。スルメイカの資源不足で苦しんでいるのは、いか釣り漁業者だけではなく、鮮魚店や加工業界も同様であり、その影響は地域社会全体へと波及している。
「岩手日報」2024年2月9日付「日報論壇」


posted by T.Sasaki at 18:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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