日本の漁業が崩壊する本当の理由 片野歩

世界中で魚類資源が増えているのに、日本だけが減っている。
この現実を、恥ずかしいと思うべきである。

日本の漁業が崩壊する本当の理由.jpg

すべての漁協組合長、理事、参事、そして、任意の漁業団体の会長以下すべての役員たちは、この本を読むべきだ。
読みたくないならば、「日本の漁師は大バカものだ」を参照すること。
これを認識できないならば、役職に就く資格はない!

2023年05月27日

注射とガチンコ

こんにちは。

今日、大相撲の千秋楽である(明日でした。笑)。
この大相撲、以前から八百長疑惑があったが、私は、鹿砦社から発行された「復刻新版 八百長 〜一刀両断相撲協会〜」という本を読んで、完璧に疑惑ではなかったと認識した。
著者は、他界した元大鳴門親方である。

八百長のことを、相撲用語で、注射という。
八百長しないことを、ガチンコという。

大相撲の八百長は、大鵬時代から行われており、大鵬の優勝記録というのは、八百長によって、積まれたものだ。

 昭和38年秋場所で、4場所休場していた柏戸さん(鏡山親方)が全勝優勝した。この場所は千秋楽で大鵬(大鵬親方)と全勝対決をして、大鵬が負けた一番。石原慎太郎が八百長発言をして告訴に発展した事件だ。
 これが大掛かりな八百長の始まりといわれている。
 それまでは栃若時代も本気で対戦したことがないため、力士の仲間内ではどちらが強いかわからないといわれたりもしていたが、ここ一番という大事な場面での大掛かりな八百長はなかった。
 つまり八百長の全盛期のきっかけを作ったのは柏戸さんであり、確立したのは北の富士だといえる。大鵬の場合、20回の優勝ぐらいまではガチンコだったが、それ以降は注射で決まったものだった。玉の海との一番や、5場所連続休場明けに27回目の優勝を飾った昭和43年秋場所では、初日に栃東(玉ノ井親方)に負けてからは、ずーっと注射に走ったという。これは親方連中の中では有名な話だ。ガチンコを通すか、20回の優勝でやめておけば、現役を引退してからも協会の中で胸を張ってあるけたはずだ。
(「復刻新版 八百長 〜一刀両断相撲協会〜」p23)


千代の富士でさえ、八百長で優勝を重ねた。
つまり、彼に与えられた国民栄誉賞なるものは、無駄なものであった。
オバマ大統領のノーベル平和賞と同じで、国民は騙されたのだ。
注射の中盆(仲介役)の板井ですら、怒っていた。
だから、相撲界の中では、当時、あの国民栄誉賞について、陰口がささやかれていた。

 千代の富士が国民栄誉賞(89年9月29日受賞)を受けたとき、当時の親方連中の反応は実に複雑なものだった。中には、「『あいつは注射で塗り固められた横綱だ』といって、海部さん(千代の富士に国民栄誉賞を贈った首相)に投書をしてやりたいよ・・・・」
 と本気で怒っていた親方もたくさんいた。
(前掲書p105)


もしかしたら、このことをイチローは知っていて、安倍首相の栄誉賞受賞の提案を蹴ったのかもしれない。
受賞しない理由は、これか、安倍首相を嫌いだったか、のどちらかだろう。

千代の富士というのは、性格が悪い。
私は、大嫌いになった(笑)。

 以前注射を断った寺尾を後ろ向きで土俵中央に叩き付けたのをはじめ、自分に逆らった力士にはめっぼう強いのが千代の富士だ。
「俺に逆らったらどうなるかを見せてやる」といわんばかりに、手荒い取り口でねじ伏せる。
(前掲書p114)


千代の富士の親方であった北の富士は、注射で横綱になり、しかも、弱い関取であったようだ。
次の引用は、後述する橋本氏の証言である。

 ところが、優勝したからというので、次の場所で動かなかったところ(注射をしないということ)、5勝10敗と大負けしてしまいました。これが実力なんですよ。次も7勝8敗で負け越し、当時の3場所連続で負け越しで大関陥落のかかった次の場所は、かなり注射に走って10勝5敗でなんとか切り抜けたのですが、この費用も私が都合をつけたんです。
(前掲書p26)


北の富士の横綱昇進に尽力した人たちが、元力士の栃王山、四季の花、龍虎、陸奥嵐と、橋本成一郎氏、そして、著者の元大鳴門親方(高鉄山)。
特に、橋本氏と元大鳴門親方が、非常に貢献した。
橋本氏は、北の富士の「名古屋後援会副会長で相撲界の闇将軍」(p10)と言われていた。
その橋本氏と北の富士が決裂したのは、北の富士による八百長の裏切りである。
せっかく、北の富士の優勝を注射で仕組んだのに、彼は琴櫻に230万円で優勝を売った。

それでは、この本に書かれている注射力士を羅列するが、どうやら、ほとんどやっていたらしい。

玉の海、北の富士、若島津、二代目若乃花、豊山、清國、富士錦、琴櫻、旭國、大麒麟、舞の海、佐田ノ海、琴富士、麒麟児、逆鉾、寺尾、前乃山、五代目朝潮、琴風、舛田山、旭富士(千代の富士からなんと2000万円で優勝を買った)、高見山、多賀竜、小城錦、三重ノ海、北瀬海、霧島、春日富士、大翔鳳、琴稲妻、朝乃翔、維新力、朝の若、旭道山、水戸泉、琴ノ若、三杉里、湊富士、智ノ花、栃桜、朝嵐、北勝鬨、琴別府、剣晃、時津洋、豊ノ海、鬼雷砲、琴ヶ梅

千代の富士の影響は非常に大きく、彼のせいで注射力士になった力士たちもいる。
小錦は強かったが、千代の富士にそそのかされて、注射をするようになってから稽古しなくなり、ただのデブになった。
北勝海は注射嫌いだったが、番付が上がるにしたがって、千代の富士の仲間になり、結局、注射力士に成り下がった。
それが、現理事長である。
アホらし!

そして、もともと強かったが、染まって注射をやるような力士も羅列しておく。
輪島に関しては、面白い逸話がたくさん書いてあった。
いわば、変人である。

千代の富士、輪島、隆の里(関脇まではガチンコ。実力は千代の富士と同格)、板井(実は非常に強かったらしい)、北の湖(強すぎたため、ほとんど星を売るほう)、北天祐(注射に染まる前は、千代の富士と互角)、武蔵丸(注射を受けるのは小錦や曙だけ)、魁皇(受けるのは曙などの一部だけ)、曙(外国人同士のみの注射)

今度は、ガチンコ力士。

鷲羽山、義ノ花、大受、大潮、富士櫻、大乃国、安芸乃島、栃乃和歌、花乃湖、大錦、両国、久島海、小城ノ花、玉春日、若翔洋、貴闘力、武双山、土佐ノ海

ガチンコで勝ち続けるというのは、非常に大変だ。
強い北の湖でさえ、そう言っている。

「大横綱の北の湖が酒の席でいっていたのですが、15日全勝というのは注射が2〜3本絡まないと無理。15日間、緊張を維持するのは簡単なことではないとハッキリいっていましたね。ガチンコの11勝は14勝の値打ちがあるともいってました」
(前掲書p211)


その点、貴乃花が「横綱は受けて立つのだ」と主張するのは、伊達ではない。

 はっきりいって、注射が存在しなければ横綱や大関は簡単には生まれない。ガチンコで横綱になった貴乃花や大乃国(芝田山親方)は神業に近いというのが、親方衆の一致した評価だ。
(前掲書p210)


大乃国に関しては、「十両時代に(注射を)バンバンやっていたのに、入幕と同時にいい子になってしまった」(p116)ようで、それが、注射力士たちの逆鱗に触れ、かなりいじめられた。
その筆頭は、もちろん、千代の富士である。
大乃国は、板井にも、相当リンチされたようだ。

この本は、週刊ポスト誌で連載されたいたものを、編集、加筆したもので、製本の最中に、元大鳴門親方は他界した。
驚くことに、証言で告発の協力をした橋本成一郎氏も、同じ日に、同じ病院で、同じ病名で亡くなっている。
不可解な死である。

北の富士、千代の富士というラインで、この時代に旺盛になった八百長は、この二人が全部知っていた。
板井は、元大鳴門親方の弟子であり、自分の責任を常に痛感している記述は随所に出てくる。
その板井は、2000年になってから、八百長告発し始めた。
週刊ポストの連載は、1996年から始まり、実はこの時、板井にも、協力を要請したという。

現在の大相撲では、大関がすぐに負け、不甲斐ないとさえ言われる。
これは、ガチンコの証明ではないだろうか。
少なくとも、貴乃花の弟子である貴景勝は、ガチンコである。
全力なので、勝敗もすぐにつくし、怪我も多い。
あれでは、長くもたないのではないか、と私はいつも思う。
その親方の貴乃花が、強烈なガチンコで、きっと相撲協会で力を持とうとしたのだろう。
結局は、追い出されたように感じる。
貴乃花は、白鵬をものすごく批判していた。
これには、おそらく、ガチンコを貫き通した本人の美学でもあるのだろう。


本日、照ノ富士と霧馬山の対戦である。
両名とも注射すると仮定するなら、霧馬山が負けても、彼は大関にはなるだろうから、きっと照ノ富士に譲るだろう。
引退前提で、照ノ富士に花道を譲る。
そして、次の横綱は、霧馬山に内定ではないだろうか。
注射とは、そんな借り貸しや戦略の部分がかなりある。
さて、どうなるか。

なぜ、元大鳴門親方は、八百長告発に踏み切ったか、というと、大相撲ファンに対する裏切りを嫌になったからであり、そこには、良心がある(隠蔽に情熱を燃やす公務員に、良心はあるのか?、といつも書く。笑)。
彼は、カネに汚くなかった。

 私は金を1円も貰わなかった。しかし、金を受け取った人たちが声を大にして八百長を撲滅しようというとは、聞いて呆れる。土台無理な話ではないか。
(前掲書p30)


そして、元大鳴門親方は、横綱にしてやった北の富士を、本当に弱かったと断罪している。

 私は橋本さんに「転べ」といわれて、北の富士にはタダで転び続けてきた。若衆の盃を交わしているからだ。本気でやったのは一度だけ。
 昭和43年名古屋(7月)場所。7日目に対戦したとき。前日名古屋の飲み屋で深夜まで盃をあげていた。北の富士が酔っ払って、
「明日は本気でやろうか・・・・」
 といい出して、ガチンコでとってみたところ簡単に突き落としで勝ってしまった。なんと弱い大関だと思った。その弱い北の富士が10回優勝している。いや、させてもらってきたわけで、やはり偶像の横綱なのだ。
(前掲書p28)


北の富士は、NHKの解説やスポーツ紙のコラムなどを書いているが、彼にそんな資格はない
舞の海に至っても、NHKに出て、いろいろ力士に文句を言える立場でもない。
非常にがっかりさせられたが、今は、相撲を観ながら、「あれは八百長だ」と叫びながら、酒を飲んでいる(笑)。
そして、貴乃花は、偉大な横綱だったのだ、と思うようになった。
この本を読んで、相撲を観るのも面白いと思う。

大相撲ファンは、鹿砦社の「復刻新版 八百長 〜一刀両断相撲協会〜」必見である。
posted by T.Sasaki at 13:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 本の紹介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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