日本の漁業が崩壊する本当の理由 片野歩

世界中で魚類資源が増えているのに、日本だけが減っている。
この現実を、恥ずかしいと思うべきである。

日本の漁業が崩壊する本当の理由.jpg

すべての漁協組合長、理事、参事、そして、任意の漁業団体の会長以下すべての役員たちは、この本を読むべきだ。
読みたくないならば、「日本の漁師は大バカものだ」を参照すること。
これを認識できないならば、役職に就く資格はない!

2023年02月08日

ベーリング海のおこぼれ

こんにちは。

岩手の今季いさだ漁の解禁は、2月16日に決定しているが、冷水の南下が遅く、まだ私の走ったところでは、まだ8度台でなかなか水温が下がらない。
一昨日沖へ行った時は、また少々水温が上がった。
今年は津軽暖流が弱いとされており、水温が下がらないということは、親潮も弱くて、黒潮が強いということか。
私の魚探には、いさだらしきものは、まだ映っていない。

いさだは三陸地域の通称で、ツノナシオキアミという。
先日、いさだ役員会に出席し、水技(岩手県水産技術センター)の研究員の作った資料をいただいた。

いさだ生態.jpg

ベーリング海の両端の広範囲に、いさだはうようよしている。
日本近海にも、通年いさだはいるのだが、いさだ漁業者の漁獲対象にはなっていない。
私は、日本海の佐渡沖で、するめいかを釣って刺身にする時、いさだを食べているするめいかを何度も見ている。
と書いたが、それがいさだかどうかは自信がなかった。
水技にそれを送って調べてもらおうと思ったが、忘れていた。

いさだ、つまり、ツノナシオキアミで検索すると、いろいろな論文が出てくる。
その中に、富山湾のいさだに関する論文を見つけてから、日本海のするめいかも、いさだを食べているということに確信をもった。
これを読むと、いさだの生態については、水技で作ってくれた資料に書かれてあることと、ほぼ一致する。

https://jsnfri.fra.affrc.go.jp/publication/kenpou/kenpou-43,69-81.pdf

特筆することは、緒言に書かれてあることだが、日本海の100m以浅の海域だけでも、220万トンのいさだがいるということ。
おそらくは、太平洋のあちこちにもいることであろう。
実際に、ずっと食べているわけではないだろうが、魚の腹から、いさだが出てくることは、よくあることなのだそうだ。
したがって、三陸の漁業者が獲っているいさだは、通年いるいさだではなく、春先の親潮の張り出しによって、流れてくるいさだであることがわかると思う。
つまり、ベーリング海のいさだ資源のおこぼれを一部獲っているにすぎない。

もう一つ、水技の資料を載せておく。

いさだ水揚げ.jpg

1985年以前は、茨城、宮城の両県で、漁獲のほとんどを占めていた。
この当時、宮城は、すくい網であったから、曳き網の本家は、茨城であったということがわかる。
東京湾などで、いさだ曳き網と同じような漁法で、小魚を獲っていたのを、テレビで見たことがある。
つまり、浮きの曳き網は、南から伝わったということだ。

それが、気候変動なのか、海洋変動なのかわからないが、今や、いさだの漁獲があるのは、宮城、岩手の両県だけになってしまった。
漁獲量に減少にともなって単価が高くなるということは、その漁業は事業として成り立たなくなっている傾向にあると思う。

冷水の南下が遅い予想もあり、私は、解禁どおりに準備しないつもりでいる。
もう、いさだ漁業に経費をかけるのは、考え物だ(昨年は痛い目に遭った。あんなのはやりたくない)。
posted by T.Sasaki at 11:09| Comment(0) | TrackBack(0) | いさだ漁業 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック