こんばんは。
私が県外から帰ってきて、地元宮古にずっといるようになったのは、昨年11月25日からである。
それまでは、宮古港を基地として、するめいかを狙うには、安定した漁ではなかった。
仮に帰ってきても、やけくそで集魚灯を山の下で点けてみたら、大漁してしまった、というのはあったが、それも1週間とは続かなかった。
その頃だったか、付き合いのある船が、「するめを持ってこなくてもいいよ。トロールからもらったからな〜」と言われた。
その後、私が昼いかで25日に水揚げしてからなのだが、宮古にも外来船が来るようになった。
トロール船は、今年度のTAC残トンが少なくなり、5トン制限とか、そういう漁獲制限をやるようになり、余ったするめいかを乗組員に分配し始めたようだ。
その量が尋常ではなく、軽トラック1台とか、そういうレベルなのだ。
私は、最初、噂でしか聞いていなかったが、入港しているいか釣り船が騒ぎ始め、氷をトラックで買いに行った際、私も軽トラックで運んでいるのを目撃した。
ほぼ毎日、そういうことをやっていたらしい。
これでは、TAC制度の意味がない。
そこで、岩手県沖底組合の金沢会長のところへ、提案しにいった。
沖底組合の事務局へ行っても、効果がないのは知っているから、直接、会長の所へ。
ここで、TACとは何か、ということを少し。
魚類資源管理で、重要な位置を占めるTACという制度、これは、親魚を残し、魚類資源の再生産を促すことが目的である。
しかし、残念ながら、このような超基本的なことは、水産庁でさえ、書いていない。
https://www.jfa.maff.go.jp/j/suisin/index.html(「水産庁」
https://www.jfa.maff.go.jp/index.html)
令和2年度の配分は、岩手県のホームページにも書いてある。
https://www.pref.iwate.jp/sangyoukoyou/suisan/kaimen/1008519.html(「岩手県ホームページ」
https://www.pref.iwate.jp/index.html)
「沖合底びき網漁業」の配分は、11000トン。
これを各県に配分し、それを各県の沖底組合が運用している、と金沢会長から説明された。
岩手県の配分量を私は知らないが、たぶん、聞けば教えてくれるだろう。
岩手県沿岸漁船組合(小型船の団体)に問い合わせても、教えてくれると思う。
問題は、岩手県沖底組合の運用にある。
先ほども書いたように、TACは、漁獲上限を定めて、親魚の確保するためにある。
親魚がたくさんいれば、それらが生き残り、産卵してくれる。
これを、研究者たちは、再生産と言っている。
そういう会合に行けば、必ず、そういう言葉を使う。
だから、私は、金沢会長に、「乗組員が、軽トラックにするめいかを山盛りに積んでいるのは、やりすぎではないのか?これでは、親を残すというTAC制度に意味がなくなる」と談判した。
金沢会長は、軽トラックで運んでいることなど知らない、という。
そこで、私は、「今、一緒に見に行きましょうよ」と言ったが、拒否された。
曳き網は、1日の漁獲上限を決めても、もっと入ってしまう。
特に、2そう曳きは、たくさん入り過ぎるのだ。
かけまわしだと、こんな薄漁であれば、1日に何回も網を使わないと入らない。
八戸のトロール(全船かけまわし)は、1日に10回ぐらいは網を使う。
その間、もし、上限に達したとしても、岩手のような軽トラック分配システムにはならないような量を獲っている。
それでも、網だから、必ず、多く漁獲してしまう。
そこで、提案。
私の案は、岩手県のTAC上限に近づいたら、隻数で割り算し、1隻当たりの残トンを消化したら、その船のするめいか漁獲は終漁、というような方法。
宮古に入港していた岩手県いか釣り部会の副部会長の一人(宮古には、副部会長3人が入港していた)は、繰り越し案、つまり、3トン余計に入ったら、それを翌日分に加算し、その翌日分まで獲ってしまったら、休漁する、という方法。
これらを金沢会長に提案した。
積極的な提案である。
その時、次の一言を付け加えてきた。
「あなたたちも、他の人からこんなことを言われるのは気分悪いでしょう。
自分たちから、率先して取り組んでいれば、誰も何も言わないのに」と。
彼にすれば、突然、会社にやってきて、意見を言われるのは面白くないらしい。
だから、さらに私は、「じゃあ、今からでも、宮古漁協の会議室でも借りて、みんなで話し合いをしましょうよ。いか釣り船もたくさんいることだし」と言ったら、これも拒否された。
「私でダメなら、沿岸組合を通して話し合いをしましょう」と言っても、拒否された。
水産庁の職員がいなければ、話し合いをしないのだそうだ。
そして、彼は、事務所の奥へ戻っていった。
私は、事務所の中で、「あなたは、ずるい!あなたは、ずるいよ!」と大声で叫んだ。
聞いていた事務員たちも、「ずるい」と思っているかもしれない。
気がついたら、事務所の入り口に、宮古漁協の職員がいた。
「おさえて。おさえて」と言われた。
その2日後の夕方、晩飯支度で忙しい中、電話がかかってきた。
半ば脅迫の電話である。
そのため、監視カメラを付けることになったのである。