日本の漁業が崩壊する本当の理由 片野歩

世界中で魚類資源が増えているのに、日本だけが減っている。
この現実を、恥ずかしいと思うべきである。

日本の漁業が崩壊する本当の理由.jpg

すべての漁協組合長、理事、参事、そして、任意の漁業団体の会長以下すべての役員たちは、この本を読むべきだ。
読みたくないならば、「日本の漁師は大バカものだ」を参照すること。
これを認識できないならば、役職に就く資格はない!

2019年09月05日

するめいか資源にとって、今年度の東シナ海は、好環境だった

こんにちは。

先月24日、盛岡で、再度、水産庁と「するめいか資源に係る意見交換会」が行われた。
結論から言えば、何の進展もなかった。
特に、岩手県の2そう曳きトロールとの漁業調整について期待したのだが、ただ話をしただけ、だったようだ。
時間の無駄。
最初から荒れ模様の会議であったが、一応、研究者の話もまじえて報告する。

昨年暮れから今年初めにかけて、東シナ海の水温分布は、するめいかの産卵に良い環境であった、と報告された。
しかし、今年の漁は、昨年よりさらに悪い。
その原因は、親魚不足である。

このブログでも報告している通り、昨年暮れに八戸で行われた「スルメイカ資源の意見交換会」では、秋に三陸沖に回遊するするめいかは、南下するか、しない場合は、津軽海峡を通って、結局は日本海へ戻って行って、南下し産卵する、としていた。
これは研究者らの共通認識であるようだ。
このことを前提として、私は、質問した。
秋に2そう曳きトロールがするめいかを獲らない場合、東シナ海の水温状況が良好だったことから、資源はきっと増えた、と考えていいですか。
研究者は、「その通り、増えると考えます」と言った。
そこで、今度は、水産庁の職員に向かって、「聞いての通り、あとは、漁業調整をどうやるかにかかっています。どうですか?トロールを管理しているのは、水産庁なのだから、ここのところを獲らないよう調整すべきではないですか」
しかし、これに、応えることは、もちろんない。

今年度は、するめいかの産卵海域は、非常に好環境だったのだ。

もう一つ、みなさんに報告することがある。
5月から6月頃、下北半島の尻屋沖で、八戸のトロール船が、非常に小さいするめいかを獲ってきて喜んでいる。
あれをどう考えればいいのか。
いいことではないと思う。
何かの関連で、「あの時期に尻屋にいるするめいかは、ローカル群ではないのか」と聞いたところ、あれは、東シナ海で生まれたするめいかが、はるばる回遊してきた、との回答であった。
これには、参加者は、みんなびっくりしていた。

本当にそうなのか。

春先の水温が低い時期に、岩手のいさだ漁では、小さいするめいかが混じることがある。
このことは、漁業者ならみんな知っていることである(今年のは、調べてもらったら、ひいかだったようだ)。
だから、低水温でも、するめいかは生存しているのは確かだ。

するめいかの研究は、まだまだ雲をつかむような話の段階なのかもしれない。

事前に、いか釣り部会と水産庁との間で意見交換した話から、ぜんぜん進んでいなかった(4月に行われた「水産庁は、現状維持が大好きなようだ」参照)。
漁業者側からの意見は、ほとんど、事前に意見してあったものである。
だから、わざわざ八戸から出向いた人たちは、怒っているそうだ。
怒りの矛先は、いろいろとあるようだが、準備不足で意見交換会に臨んだ水産庁が、私は一番悪いと思う。




以上が、報告である。
私は、重要なことを、もう一つ質問して、水産庁側の回答に頭がカッとなってしまったが、そのことは書かない。
これは、またあとで使えるものである。
その他、2つくらい、会議で言わなかったことがある。
ここで先のことを書いてしまうと、へんな理屈を用意する人たちもいるから、今後、そのようなことは書かず、報告だけをする。
特に、権力に対する場合は。
いさだ許可に関する顛末でも、言っていないことも、ある。

心の中には、誰しも、強いものに対して、牙をもっているのである。

posted by T.Sasaki at 16:41| Comment(3) | いか釣り漁業 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント

「昨年暮れから今年初めにかけて、東シナ海の水温分布は、するめいかの産卵に良い環境であった、と報告された。」

この部分の報告書をお持ちではありませんか?

貴ブログを拙ブログで使わせていただきましたhttps://suisanshigen.com/2020/01/12/article13/
Posted by 片野 歩 at 2020年01月18日 09:12
取り上げてもらった恐縮です。

報告書は配布されませんでした。

中央水産研究所の加賀さんという方が、パワーポイントを使って説明していましたから、そちらの研究所へ問い合わせればいいかと思います。
Posted by T.Sasaki at 2020年01月18日 21:30
了解です。ありがとうございました。
Posted by 片野 歩 at 2020年01月21日 08:08
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。