日本の漁業が崩壊する本当の理由 片野歩

世界中で魚類資源が増えているのに、日本だけが減っている。
この現実を、恥ずかしいと思うべきである。

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すべての漁協組合長、理事、参事、そして、任意の漁業団体の会長以下すべての役員たちは、この本を読むべきだ。
読みたくないならば、「日本の漁師は大バカものだ」を参照すること。
これを認識できないならば、役職に就く資格はない!

2019年01月02日

スルメイカ資源の意見交換会

こんにちは。

これまた、昨年暮れの話であるが、12月20日、八戸市水産会館で漁業情報サービスセンター主催の意見交換会が行われた。
「スルメイカ冬季発生系群の資源状態と漁況予報をめぐって」というテーマ。
冬季発生系群というのは、太平洋回りの群れで、東シナ海で生まれたスルメイカは、はるばる常磐沖から三陸沖、北海道沖まで北上し、秋から南下をはじめ、八戸沖から三陸沖にウロウロしているスルメイカは、津軽海峡から日本海へ抜け、再び、東シナ海の産卵場へと南下するのだという。
東シナ海で生まれるスルメイカは、スルメイカ資源の8割を占めるとされ、残り2割はローカル群である。
冬に各地にいるスルメイカはローカル群であり、これらも重要な資源である。

発表した研究者は、北海道区水産研究所、青森県産業技術センター水産総合研究所、岩手県水産技術センターである。
主に、東シナ海の水温低下による産卵場の環境変化と大和堆での北朝鮮船の違法操業などの影響で、スルメイカ資源は減少しており、資源量は、ほぼ史上最低に近いことなどを話していた。

この意見交換会は、毎年行われているようで、今回、初めて、岩手県沿岸漁船漁業組合から案内が届いた。
もちろん、出席も初めてなので、質問のタイミングがわからず、一番最後に質問した(ただ騒いだだけかも)。

要旨は、資源減少要因を、環境変化と北朝鮮ばっかりに押し付けて、日本でできる取り組みをしていないことを指摘し、特に、岩手の2そう曳きトロールの悪質な操業への非難である。
これに対し、研究者は、TACという取り組みが、積極的な方法である、とした。
そのTACは、近年、スルメイカでは、上限に達することはなく、TACの設定が高すぎることも言ってきた。
それでも、今回の設定は、資源回復措置で低めに設定するそうだ。
私は、TAC配分でも、漁獲圧に応じて、各漁法の減少割合を考えるべきだと、特に、2そう曳きトロールの漁獲圧は、とんでもなく高いのだから、これらの漁法に対しては、もっと低く抑えるべきであると言ってきた。
来場者は、ほぼ9割方、青森県の関係者だと思うが、私の目の前に座っている人たちだけでも、何人かうなずいていた。
この点に対しては、「水産庁に伝えておきます」と言っていた。

関連して、今、思いついたことなのだが、型のいいサバ資源が増加しているし、イワシ資源も回復していることを考えると、まき網漁業のスルメイカTACは、ゼロでいい。
もともと、闇混獲以外は、まき網漁業の漁獲対象とはなっていなかったからである。

北朝鮮、韓国、中国の船が、漁獲しているスルメイカは、10万トンから20万トン獲っているのではないか、という話もしていたが、はっきりわからないようだ。
それにしても、けっこう莫大な量である。
海洋環境の変化や外国船の漁獲などの外的要因は、そう簡単に解決できるものではない。
したがって、できることから、やらなければならない。
どの魚種についても同じことだが、親魚の確保である。

研究者は、スルメイカの資源回復措置水準にするためには、親魚を5.3億尾必要なのだという。
つまり、獲りすぎるな、ということなのだ。
2そう曳きトロールを私が非難するのは、獲りすぎる漁法だからである。

意見交換会の冒頭で、会合ではつきもののエラい人たちの挨拶があったが、そこで良いことを言った人がいた。
「今だけ」「オレだけ」「カネだけ」
この、3だけ主義が、魚類資源減少を促すのだと。
岩手県の2そう曳きトロールは、この3だけ主義そのものである。

今回の会合では、GFWというサイトを紹介していた。

Global Fishing Watch

これにより、膨大な数の韓国や中国船の数を追跡できるそうだ。
posted by T.Sasaki at 14:49| Comment(0) | いか釣り漁業 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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