日本の漁業が崩壊する本当の理由 片野歩

世界中で魚類資源が増えているのに、日本だけが減っている。
この現実を、恥ずかしいと思うべきである。

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すべての漁協組合長、理事、参事、そして、任意の漁業団体の会長以下すべての役員たちは、この本を読むべきだ。
読みたくないならば、「日本の漁師は大バカものだ」を参照すること。
これを認識できないならば、役職に就く資格はない!

2018年05月26日

「いま生きる資本論」について

再び、4回目。

佐藤優さんが書いた「いま生きる『資本論』」は、マルクスの「資本論」を学ぶための講義を、本にしたものである。
わかりやすく解説しながら書いたようだが、やっぱり難しい。
難解だからこそ、二つの読み方があるようで、宇野弘蔵という人の宇野学派とそれ以外の学派のものがある。
そして、マルクス「資本論」の記述にも間違いがあり、それを修正しながら解釈していく部分もあるようで、佐藤優さんの解説がなかったら、まず、読むことが難しい。

佐藤優さんは、副島隆彦先生と何度か対談本も出しているので、名前は知っていたが、今回初めて、彼の著作を読んだ。
マルクス、というと、共産主義なのであるが、その資本論を右寄りの人が読み砕くと、共産主義経済が滅び、資本主義経済は滅ばないということ。

マルクスは、次のような結論を出す。

資本主義が発達していくと、資本家同士の間で競争が起きて、巨大資本だけが生き残るようになる。その巨大資本はグローバリゼーションの中で、少数の資本家が富を独占し、スーパーリッチが生まれてくる。その一方では、窮乏、抑圧、隷従、墜落、搾取がどんどんひどくなって、あらゆる場所で二極化が進んでいく。
 そうなると、労働者は堪えきれなくなり、反抗し、団結し、抵抗する。そこで資本主義は行き詰る。大きな資本は、もはやその経済規模に対応することができなくなって、資本主義というシステムは爆破され、革命が起きる。資本主義的私有の最期を告げる鐘が鳴り、収奪者が収奪される。かくて、共産主義革命が達成される。共産主義の世の中が来る。
(「いま生きる資本論」p166)


この論理は、「資本論」第一巻末尾にあり、これが、思想的に左寄りの人たちの主な主張の根拠となっている。
対して、宇野弘蔵さんは、これを意味のあるものではない、と考えた。
資本主義が行き詰れば、恐慌が起こったりするのだが、それを補うものが出てくる。

大量の商品が生産されているのに商品が常に貨幣になるとは限りませんから、つまり誠の恋はおだやかに進みませんから、まったく売れない時もあって、それがやがて恐慌に至ることもある。すると労働者に商品を買うカネがなくなり、貧困という状況は生じる。しかし、そんなことはイノベーション、新技術の開発によって基本的に乗り越えていくことができる。労働者が窮乏化する必然性はない。資本主義は爆破されず、崩壊もせず、あたかも永続するかのごとくに生き延びていくのだ、というのが宇野の考え方です。
(前掲書p167)

左派・リベラル派は、理論的に破綻しているこの窮乏化理論に乗っかって、異議申し立て運動をしようとしてきました。だから、必ず負けてしまいます。資本主義のイノベーションの力を過小評価しているからです。もっと言えば、成長戦略として本当に経済成長を狙うのであれば、いったん景気を最悪の状態に持って行って、大イノベーションを起こすことだって考えられるのです。
(前掲書p168)


つまり、資本論の結論として、資本主義は滅びない、ということになる。
基本的に、滅びない。

しかし、資本主義は、労働力も商品化することになっているから、今度は、人間のほうが大変だ。
機械と違って、体力に限界があるし、気持ちという部分もある。
だから、現在の日本人の選択のように、子どもを作らない人たちが増えてくる。
それでも、資本主義は滅びない。
人間は、この滅びない資本主義に対し、どうやって生きていったらいいのか。

これが、この本の主題である。

そこで、カール・ポランニーという天才経済学者の話になる。
彼は、「人間の経済」には、3つの要素がある、という。
贈与、相互扶助、そして商品経済。
商品経済は、資本主義経済そのもの。
だから、それ以外に人間の行うことのできる経済は、贈与と相互扶助。

お金をたっぷり持っているやつがひたすらばらまく。みなさんも、文化人類学の方で〈ポトラッチ〉なんて言葉を聞いたことがあるでしょう。ポトラッチをやる人間は、富をばらまいて、とにかく全部ばらまき終わって完全に破産するまでばらまき続ける。やがてまた別の新しいポトラッチが行われる。
 贈与って、モースの『贈与論』を読めばわかるように、面白いんです。人間には贈与されると、モノを返したくなる性格があります。
(前掲書p135)

ソビエトシステムが崩壊しても、ロシア社会は崩れなかったのです。急速な資本主義がある部分で進み、オリガルヒと呼ばれる億万長者があれだけ出てきて貧富の差が大きくなっても、ロシアでは暴動も起きないし、べつに飢えるということもない。それはなぜかといったら、互助制度が発達しているからです。
(前掲書p138)


そして、佐藤優さんの結論。

資本主義システムに対応できるのは、個人でも国家でもない中間団体であると私は考える。具体的には、労働組合、宗教団体、非営利団体などの力がつくこと、さらに読者が周囲の具体的人間関係を重視し、カネと離れた相互依存関係を形成すること(これも小さな中間団体である)で、資本主義のブラック化に歯止めをかけることができると思っている。
(前掲書p322)


沖縄県の久米島は、ポランニーのいう「人間の経済」の3要素が揃っていると紹介されている。
つまり、資本主義経済だけに頼らない人間の経済は、ちゃんと存在する、ということなのだ。

そして、それに必要なのが、人間関係の構築なのである。
posted by T.Sasaki at 16:27| Comment(0) | 本の紹介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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