日本の漁業が崩壊する本当の理由 片野歩

世界中で魚類資源が増えているのに、日本だけが減っている。
この現実を、恥ずかしいと思うべきである。

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すべての漁協組合長、理事、参事、そして、任意の漁業団体の会長以下すべての役員たちは、この本を読むべきだ。
読みたくないならば、「日本の漁師は大バカものだ」を参照すること。
これを認識できないならば、役職に就く資格はない!

2018年03月22日

法律を悪質に解釈している2そう曳きトロール

こんばんは。

雨で暇なので、今日も県庁の水産振興課に電話をし、「捕まった漁運丸です」と名乗り、それでもいろいろと教えてもらった。
岩手県のWebサイトには、「漁業取締対象」というページがあり、ここに各漁業の違反行為が列挙されている。
こういうページがあったんだなあ(取締船の電話番号まで書いてある)。

この中に、沖合底びき網漁業もある。
注目してほしいのは、「禁止漁具・漁法」である。
網口開口板の使用を禁止している。
そして、これを記載している法律は、というと、「指定漁業の許可及び取締り等に関する省令」である。
この第17条には、次のようにある。

指定漁業者は、別にこの省令で定める場合のほか、別表第二の上欄に掲げる指定漁業につき、それぞれ同表の下欄に掲げる操業の区域若しくは期間又は特定の区域若しくは期間における特定の漁具若しくは船舶を使用し若しくは特定の漁法によつてする操業若しくは特定の種類の水産動物の採捕に関する制限又は禁止の措置に違反して当該指定漁業を営んではならない。

法律の条文というのは、読むのが疲れる。
この中の別表第二に、各指定漁業の禁止事項が書かれている。
全条文の下にある。

沖合底びき網漁業の欄の、「三」に、網口開口板の使用は、禁止とある。
隣の宮城県は例外であり、北海道にもあるが、オッターライン禁止ラインというのが存在し、かけまわしより操業区域は沖合となっている。
なぜ、網口開口板の使用を禁止したのか?
おそらく、その理由は、資源保護上の観点からだと思う。
それ以外の理由は見当たらない。

岩手県は、「指定漁業の許可及び取締り等に関する省令」第17条から、もちろん網口開口板使用禁止である。
現在の2そう曳きトロールは、網口開口板を使用していない。
しかし、2そうで袖網の両側を曳くのだから、網口は閉じない。
実質は、網口開口板を使用しているのと同じであり、条文中の「網口開口板」という文字を使っていないというだけである。
法律の抜け道を利用しており、悪質と言える。。
さらに、網口開口板1そう曳きトロールよりも網口は広く、2そうで曳く馬力アップ版だから、悪質極まりない。

小型船の「鮭を刺網で獲らせろ」裁判の背景の一つには、大臣許可のトロールが鮭を網で獲っていることにもあると思う。
ここで、先ほどの「指定漁業の許可及び取締り等に関する省令」第93条を載せる。

法第六十五条第一項及び水産資源保護法第四条第一項の規定に基づき、赤道以北の太平洋の海域においては、総トン数十トン以上の動力漁船によりさけ又はますをとることを目的とする漁業(中型さけ・ます流し網漁業及び法第六十六条第一項の規定による小型さけ・ます流し網漁業を除く。)を営んではならないものとする。ただし、漁業権若しくは入漁権に基づいて営む場合又はさけ若しくはますをとることを目的とする漁業についての法第六十五条第一項若しくは第二項又は水産資源保護法第四条第一項若しくは第二項の規定に基づく都道府県規則の規定による都道府県知事の許可を受けて営む場合は、この限りでない。

これは以前、どこかで引用したことがあると思うが、トロールはもちろん10トン以上であり、獲ってはならんのだが、「さけ又はますをとることを目的とする漁業を営んではならない」と条文にあるから、混獲なら認める、ということになる。

しかし、だ。
「指定漁業の許可及び取締り等に関する省令」第17条の別表第二の、大中型まき網漁業の制限事項には、「七」として、次のように書いてある。

さけ又はますの採捕であつて大中型まき網漁業の操業に係るもの(総トン数十五トン以上の船舶を使用して行うものに限る。)は、太平洋の海域においては、禁止する。

同じ指定漁業でも、まき網漁業は禁止できて、なぜ、トロール漁業は禁止できないのであろうか。

かけまわしでは、本当のたまにしか鮭は入らないといわれるが、2そう曳きは、鮭をたくさん獲ってくる。
早期群は、水温の関係上、水面付近へ浮いてくることは少なく、海底を泳いでいるのだろう。
一度網に入れたら、その群れの行動を予測し、次回も鮭を狙って網を使うらしい。
そうやって、2そう曳きは鮭を狙う。
もし、完全に禁止だったら、鮭を狙うことはしないだろう。
その分、各河川へ鮭が帰る確率は高くなる。

法律で禁止するのが無理ならば、岩手県の増殖賦課金を、水揚げの50%以上掛けれるようにすれば、2そう曳きは鮭を狙わない。
いや、80%でもよい。
混獲ならば、こんなカネは要らないはずだ。
このカネをほしいというのならば、それは、「鮭を目的」としているのだから。

仮に間違って鮭が入ったとしても、食べるか、それとも捨てることになるかもしれない。
が、それはそれで、底魚の餌になるのだ。
何より、2そう曳きが鮭を狙わなくなるだけで、河川遡上は、いくぶん増えるのである。

法律から、いろいろぐちゃぐちゃ書いたが、結論はこうだ。

2そう曳きトロールは、法律条文を、悪質に解釈した漁業なのである。

小型船の人たちは、ここを読んで納得したら、それを武器にして論陣をはってほしい。
私たちは、海のために、悪いことをしているのではないのだ。
posted by T.Sasaki at 20:57| Comment(0) | 2そう曳きトロールは最悪の漁法 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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