日本の漁業が崩壊する本当の理由 片野歩

世界中で魚類資源が増えているのに、日本だけが減っている。
この現実を、恥ずかしいと思うべきである。

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すべての漁協組合長、理事、参事、そして、任意の漁業団体の会長以下すべての役員たちは、この本を読むべきだ。
読みたくないならば、「日本の漁師は大バカものだ」を参照すること。
これを認識できないならば、役職に就く資格はない!

2018年03月19日

毛がにを獲っていい漁業

こんばんは。

昔の新造船進水式」で昔を思い出したが、良かった時の思い出ある分、私は、まだ幸せなのかもしれない。
魚類資源が復活して、また良い時代が来ればいいと本当に思う。。
それが私でなくて、後の、やる気のある若い人たちであっても。

私は落ち込んでも、ほとんど一晩寝れば回復タイプなので、すでに日本海へ行くための準備をやっている。
来月初めからは、本格的に艤装しようと考えている。
その前にいろいろ用足しがあり、今日は、そのついでに漁協へ行って、参事に「とんでもない出来事」のお詫びを兼ねた報告をし、さらに、いろいろと言ってきた。

フェリー定期航路に関すること。
外国人労働者に関すること。
そして特に、毛がにの採捕についての不満(これに関しては、下のほうに記したものを主に言ってきた)。
こうなった事件の背景には、私が「2そう曳きトロールをかけまわしに転換せよ」と言っていることにあるかもしれない、ということ(「2そう曳きトロールをかけまわしに転換せよ」というのは、私が沿岸組合いか釣り部会での会合で提案したのが始まりである)。
取り締まり船に通報していたのは、トロール漁船ではないか、という噂もあること。

この通報に関しては、取締り事務所は、尋ねても教えてくれない。
「通常の夜間パトロール」とは言うものの、宮古湾から追跡してきた写真を見せられると、どう考えても、「通常の夜間パトロール」ではない。

自営業者がこのようになったら、もう恐いものはない。
行き着くところまで行く。

ここで、毛がにに関して、一般に言われていることを書く。
毛がにを獲っていい漁業は、かご漁業、そして、固定式刺網漁業である。
ほかに、大臣許可の沖合底曳網漁業があるが、あの道具では毛がには入らない。
ただ、毛がにの甲羅をつぶすだけである。
近年、甲羅に傷が多く、また、足が片側しかないものが多く見られるようになった。
これは、2そう曳きトロールの影響ではないか、という人もいる。

毛がには、早い時期ほど深い水深にいて、春の脱皮する時期にかけて、岸よりの浅い水深へと上がってくる。
私の経験上、大きい毛がにほど、深いところに多い。

かご漁業には、沖出し禁止ラインというのが存在する。
トドが埼以南は、問題なく200mという深い水深を操業することができる。
しかし、宮古市明神埼以北は、ほぼ水深160mという浅い水深に規制ラインがあり、それより沖合で操業してはならないことになっている。
今回の私の違反行為は、このことによる。
だから、違反行為の理由は、浅い水深に毛がにがいないから、というもので、ちゃんと供述調書にも記載された。

もう一つ、小型船で毛がにを獲っていい漁業がある。
それは固定式刺網漁業であるが、毛がにを目的として操業してはならない、というような条件が付いている。
だから、毛がにの採捕を目的として操業していい漁業は、かご漁業のみである。
固定式刺網漁業には、沖出し制限があるのかないのかわからないが、とにかく、深い水深を操業できるから、大きな毛がにを獲ってくる。
昔々、私が高校生の頃、漁運丸も固定式刺網漁業をやっていて、マダラを獲っていた(マダラは300m以深)。
許可条件が変わっていないなら、沖出し制限がないのかもしれない。

明神埼160m付近の規制ライン沖のやや北側には、固定式刺網漁業の人たちも操業している。
規制ラインより1マイル以上も離れているから、その間には、何の道具も入っていない。
「誰の邪魔にもならないから、ちょっとぐらい」というのが、まあ、私のやったことだ。

でも、よくよく考えてみると、岩手県の許可の出し方がおかしい。
「正式に毛がにを獲っていいよ」というかご漁業が、正式に獲ってはならない固定式刺網漁業より、不利な操業条件になっているのだから。
しかも、南は堂々と獲っているのに、北は獲ってはならん、と言っているようなものではないか。

「県の水産部は、何も知らないのかも?」

というのは、気の使いすぎ。考えすぎ。
県は、水深160mでは、毛がにが獲れないのを知っている!
獲れたとしても、ぎりぎり7cmの小さい毛がに。
事実、北ほど、一番小さい規格の毛がにがほとんどである。
だから、毛がにを獲っていいかご漁業の許可は、県南のための許可なのである。
同じ許可で、これほど条件が不平等なものも珍しい。

県は、県北の人たちに意地悪なのか?

そうではなく、大臣許可の沖合底曳網漁業との漁業調整がうまくいっていないことに、こんな不平等な許可の原因がある。
何か、昔に定めた申し合わせみたいなものがあるようだが、県もはっきりと示さない。
何十年もこんなことを続けているのだから、県のほうにも落ち度がある。

宮古市では、市民の税金で、毛がに祭りを開催している。
このため、宮古魚市場の毛がにの相場は、県内一である。
喜んで、釜石以南の毛がに漁業者も、宮古へ搬入する。
これではまるで、宮古市の税金を、県南の漁業者のために使っているようなものだ。
宮古市の毛がに漁業者は、あまりにもかわいそうだ。

腹が立つ。
posted by T.Sasaki at 20:49| Comment(1) | かご漁業 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
拙著を読んで頂き、また資源管理における問題に気付いて頂き、ありがとうございます。
Posted by 片野 歩 at 2019年04月20日 13:16
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