日本の漁業が崩壊する本当の理由 片野歩

世界中で魚類資源が増えているのに、日本だけが減っている。
この現実を、恥ずかしいと思うべきである。

日本の漁業が崩壊する本当の理由.jpg

すべての漁協組合長、理事、参事、そして、任意の漁業団体の会長以下すべての役員たちは、この本を読むべきだ。
読みたくないならば、「日本の漁師は大バカものだ」を参照すること。
これを認識できないならば、役職に就く資格はない!

2016年09月11日

いか釣りの本

みなさん、こんにちは。

読書好きで、漁師でありながら、私は漁業の本をあまり持っていません。
そこで、足立倫行さんの「日本海のイカ」という本を読みました。
実際に小型船から中型船に乗船し、いか釣り漁業を経験してきたルポルタージュです。
平成3年に出版されてから、第2版は発行されていないみたいです。
ですから、私の場合、amazonの中古本を手に入れました。


amazonのレビューでは、あまり良いことは書かれていませんが、しかし、読む人にとっては面白いのです。
読解力のない人もたくさんいますし。
私としては、日本海で大漁する秘訣でも書いてあるのかなあと期待しましたが、そんなものは、ぜんぜん書いてありません。
ただ、昔のことやいかに関するいろいろな由来などが書いてあって、結構面白かった。
例えば、日本史上で、いかはいつ頃から登場しているかについては、

 日本人がいつ頃からイカを捕食しはじめたかは定かではない。けれど、幾つかの貝塚からコウイカの背甲片が出土しているのを見ると、古代においても少なくともコウイカ(骨が残らないので断定できないがおそらくスルメイカやヤリイカも)は食べていた。そして平安時代になると『延喜式』の諸国貢献品の中に、若狭や丹後、隠岐、出雲から献じた烏賊が登場する。これらは、生イカではなくすべてスルメ、しかし一括して烏賊と扱われている。
(「日本海のイカ」p32)

ここに烏賊という漢字が用いられていますが、この語源は、というと、

 たとえば、なぜ“烏賊”と書いて、“いか”と読むか。イカが海上に浮いているとカラスが突っつきにくる、そこを10本の腕で巻いて海中に引き込み食べてしまうから、イカはカラスを賊害する者(中国の古書『南越志』)
(前掲書p33)


からすはどうか知りませんが、少なくとも、するめいかは、海上の鳥と勝負すれば、ほぼ100%負けます。
黒い鳥(オワリの子)は、いか釣り機械が順番に上がってくるのを学習していて、船の前から後ろへと伝わって、いかが針からはずれて落ちるのを狙っています。
かもめは、流しの上に残っているいかを狙っています。
たぶん、するめいかなら、からすも勝つと思う。
しかし、むらさきいかみたいに大きくなると、やはり鳥のほうが負けるのかも。
人間だって、でかいミズダコには負けるかもしれない。
けっこう足の力が強い。

私が岩手県以外で操業する場合、協力金などを支払って、操業しようとする県の許可を取ります。
最近は、北海道が大人気で、新規の許可は出さないそうです。
そして、違反行為をすれば、許可も取り消される可能性があります。
だから、旅に出たら、各市場から配布される書類を読んで、揚げ足を取られないような配慮が必要です。
昔は、いろいろと争いがあったらしいですね。
私も刃傷沙汰というのを先輩たちから聞いたりしました。

 自県内の海域での他県船の操業をどこまで許可するかはどこでも頭の痛い問題となっているが、隠岐沖という好漁場を持つ全国最大の生鮮イカの水揚げ港である境港では、地元の小型船の船主たちが昭和56年12月、沿岸船いか釣り協議会(会員73名)を結成して他県船の許可承認制に踏み切った。この時、協議会結成の引き金となったのが福井船、中でも越前町の船の「目に余る違反行為」(協議会事務局)だった。地元船と越前町の船の間で出刃包丁ざんまいの乱闘が繰り広げられたこともあったという。
 現在、協議会は県外船34隻に境港水揚げの許可を与えているが、その中に福井県籍の船は一隻もない。昭和57年以降実質的に福井船は山陰沖から締め出された恰好になっているのだ。
(前掲書p72)


そうこうしているうちに、いか釣り漁船は、どんどん減少しました。
私が飯炊きで乗り始めた頃は、日本海から太平洋へと回航するとき、どこまで走っても、集魚灯が切れ目ないほど続いていたものですが、今の回航では、本当に大漁のところにしか点いていません。

 昭和58年現在、全国にイカ釣り漁船は3万2千隻ある。単一魚種を対象とする船の中では一番多い。このうち遠洋大型船が141隻、沖合い中型船が1016隻、残りがこれまで僕が各地で乗ってきた沿岸小型船という構成になっている。そして、スルメイカの年間漁獲量19万2000トン中約9万トンを漁獲し、イカ釣り漁全体の中で中心的な位置を占めているのが、大型急速冷凍庫を備え一ヵ月も二ヵ月もイカを追って航海を続ける中型船なのだ。
(前掲書p183)

2010年10月1日時点の許認可隻数は127隻で、十分の一となり、小型船についてはじっくり調べないとわかりません。
もう3万隻なんていないでしょう。
若者たちが、船乗りになるなんてことをしなくなりましたから、これからもどんどん減っていきます。

現在の小型いか釣り漁業は、昼いかがメインとなりつつあります。
昼いかをマスターしないと、いか釣り漁業を事業としてやっていけない時代になりつつあります。
燃油価格が下がったにもかかわらず、漁がないのですから、やはり、水揚げ金額が燃油代金を下回っては、赤字になります。
そんな薄漁ならば、燃油消費量の少ない昼いかを選ぶのは、事業者として当然の選択です。

残念ながら、「日本海のイカ」では、昼いかに関しての記述は、ほぼ皆無です。
しかし、私たちが読む資料としての価値は高い、と思います


posted by T.Sasaki at 10:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 漁業 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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