日本の漁業が崩壊する本当の理由 片野歩

世界中で魚類資源が増えているのに、日本だけが減っている。
この現実を、恥ずかしいと思うべきである。

日本の漁業が崩壊する本当の理由.jpg

すべての漁協組合長、理事、参事、そして、任意の漁業団体の会長以下すべての役員たちは、この本を読むべきだ。
読みたくないならば、「日本の漁師は大バカものだ」を参照すること。
これを認識できないならば、役職に就く資格はない!

2016年08月18日

するめいかの規格

再び、こんばんは。

先日アルバイトで乗ってもらった八戸の乗組員は、いかの規格に厳しい人間でした。
いかの規格には、標準的なものとして、20尾入れ、25尾入れ、30尾入れ、40尾入れなどがあります。
これは、各県によって、サイズが違いますが、青森県と岩手県は同じです。

いかの物差し.JPG

写真の物差しは、宮古魚市場のものですが、青森県の物差しと同じです。
岩手県の各港は、ほぼ同じのはず。
いかの身の長さ、すなわち、頭と足を除いた部分の長さで、23cmから25cmの長さのいかが20尾入れ用のするめいかで、これを発砲スチロール箱に、20尾並べます。
25入尾れは、21cmから23cmまでで、30入れは、19cmから21cmまで。

新潟県の物差しでは、25尾入れより下のサイズは、これより1cm小さくなりますから、つまり、同じ25尾入れでも、小さい25尾入れとなり、こちらの差しの30尾入れが混ざることになります。

で、俗にいう「伸ばす」という言葉があります。
いかを引っ張って伸ばすのか、それとも、足を伸ばしていかを並べるのか、どちらを意味するのかわかりませんが、「伸ばして詰める」の意味は、いかを小さく詰めること。
つまり、25尾入れの箱に、30尾入れをごまかして入れたりすること。

なぜ、そんなことをするのか、というと、平均単価が上がり、なおかつ、箱数が上がるから。
単価は、20尾入れが高く、30尾、40尾と小さくなれば、どんどん安くなります。
規格間の単価差が1000円も違えば、とにかく大きないかを並べたほうが、非常にお得。
だから、「伸ばす」というのが流行るわけだ。
まじめにやるのがバカくさい。

でも、これをやりすぎると、暴落の原因になります。
日本全国の箱数が出すぎて、なおかつ、低品質のいか箱が出回るわけですから。
なぜ、低品質か、というと、小さいいかほど、鮮度落ちが早い。
それを大きなサイズとして並べられるわけだから、大きなサイズの割りに白くなっている、ということになります。

あちこちで、こんな現象を嫌でも見せられてきたものですから、宮古で昼いかをやっていくために、宮古のいか釣り船の仲間でいろいろと考えました。
そして、次のような文書を作り、入港船に配布しました(私は昨年度で会長を降りたから、あとは若い人たちの判断で)。

宮古入港船へのお願い

 宮古魚市場へ入港の皆様、水揚げありがとうございます。
 当市場への昼イカ水揚げは、昨年度まで、ほとんどが翌日朝売りでしたが、他市場での夕売りと比較し、価格差がほとんどなくなりました。これは、地元イカ釣り船、魚市場、仲買人の努力のおかげであります。今後の価格維持のため、宮古魚市場の規格を遵守するよう、お願いします。

 それから、無線機ワッチのお願いです。宮古入港船は、次の周波数のワッチをお願いします。

    27MHz帯1W無線27644(554ch)
または
    150MHz帯1W159.210

 地元イカ釣り船、トロール船、鮭延縄漁船との連絡する場合などに利用し、さらには、釜石漁業無線局の気象情報も聴取できますので、よろしくお願いします。

 もう一つ。
震災復旧工事、及び、閉伊川水門工事で、宮古湾内の係船場所が限られています。
宮古魚市場前の港内では、魚市場の指示にしたがって、仲良く係船してください。
特に、9月以降は、下閉伊地区の定置網漁船やトロール漁船、サンマ漁船などで混雑しますので、その点、注意してくださるようお願いします。


宮古魚市場とも話し合い、とにかく、規格や鮮度維持をしっかりやることにし、私など、「露骨に小さく詰めているいかは、買いたたいていいんだよ。そうでもしないと、品質がどんどん悪くなるから。意見言いたいなら、私まで言いに来るように言ってください」と。
こういう取り組みのおかげで、宮古のするめいかは、安定した相場で取引されています(と自画自賛。笑)。

宮古魚市場と久慈魚市場は、入札方式で単価が決定されますが、八戸魚市場や新潟魚市場では、せりで単価が決定されます。
せりは、仲買人が顔を見合って、競るわけですから、とんでもない単価がつくことがあります。
これが、せりの良さ。
しかし、一方で、仲買人同士の駆け引きから、品質の悪い魚まで高く買われたり、逆に品質の良い魚が安値で取引されたりします。
入札方式は、高い値の札を入れた人から、順に、自分の好きな魚を買うことができるので、品質の良いものは評価され、品質の悪いものは、買い叩かれます。

新潟魚市場のいかは、せりで取り引きされ、特に新潟の場合、仲買人同士の駆け引きが強いらしく、「伸ばす」ことに関して、非常に評価されません。
このため、以前は、中央市場からのクレームが多かったと聞きます。
強烈に「伸ばす」船は、40尾入れのいかを25尾入れに並べるんですから。
そのためか、新潟産と銘打った発砲スチロールを他県に持っていくと、嫌な顔をされたり、安くされたりしました。
それほど、新潟産のいか箱は不人気だったので、今は、新潟産と記された発泡スチロールは、製造をやめました。

新潟漁協の理事さんと一杯やった時、なぜ、新潟産のいかは、悪くいわれるのか、問われた時、以上のことを説明しました。
そして、それを解決する方法は、宮古や久慈で行われているような入札方式であること。
急に何でも変えることは良くないから、1週間に何度かやってみて、結果がよかったら、変えていく。市場の職員にも同じことを言ったことがありますが、変わらないみたいです。

考えてもみてほしい。
いかの生産者は、平均単価を追及し、箱数を多くすれば、水揚げ金額は多くなるのだから、「伸ばし」たほうがいいに決まっている。
売るほうはそれでいいかもしれないが、損をするのは、消費者。
暴落すれば、生産者も損をする。
それよりも、発砲スチロールには、品質の良いいかを並べ、余ったのは、まき網やトロールと競合関係にある加工用として水揚げするほうがいいと思う。
そして、この構造を仲買人が理解して値段をつけていかないと、どこまでも、いかの品質は悪くなる。
救われるのが、どこの港にも、ちゃんと規格を守ろうとするいか釣りの生産者がいること。
八戸にもいますし、比較的多いのが、岩手各港のいか釣り漁業者(だと思う)。
彼らが、浜値を維持していると言ってもいいかもしれない。

もう一つ救われることは、先日まで乗ってくれた乗組員みたいな人がいること。
彼は、「伸ばすと、心臓がキリキリしてくる」と言っていました。

でも、世の中、みんな思うようにはいかないんですよね。
posted by T.Sasaki at 20:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 漁業 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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