日本の漁業が崩壊する本当の理由 片野歩

世界中で魚類資源が増えているのに、日本だけが減っている。
この現実を、恥ずかしいと思うべきである。

日本の漁業が崩壊する本当の理由.jpg

すべての漁協組合長、理事、参事、そして、任意の漁業団体の会長以下すべての役員たちは、この本を読むべきだ。
読みたくないならば、「日本の漁師は大バカものだ」を参照すること。
これを認識できないならば、役職に就く資格はない!

2015年10月28日

「地球の破綻」 3

みなさん、こんにちは。

昨日、八戸沖の、休み前に獲った場所に行ったら、ぜんぜんタネなし。
戻りながら、八戸船団のいたところで5匹獲り、それから5マイルぐらい南下して、ようやく1箱。
乗組員の魚を獲ったから、もうあきらめて帰って、昼いか漁を切り上げようと思いました。
でも、南下調査したら魚探反応があり、何とか59箱獲りました。
この日の八戸の平均が、1隻あたり17箱。
男はあきらめが肝心なのです(笑)。
いや、あきらめていなかったから、かな(笑)。
まぐれもはなはだしい。
今年は、ホント、まぐれが50回ぐらいはあった、と思う。

「地球の破綻」第3弾です。
あまり書きすぎると、安井至さんに怒られるので、今日で終わりにします。

前回ので、山形浩生さんが、互恵的利他主義にいちゃもんを付けていたことに関連して、次の文章を紹介します。
これも経済学の考えですよね。

 人件費の高い先進国の企業が、人件費の安い途上国に進出するのは、あたり前ではあるが、その格差を利用するためである。その格差をできるだけ長く利用できるようにすることは、果たして可能なのだろうか。それができれば、途上国進出を果たした企業にとって、有利な状況が長く続くことになることはその通りなのだが、なかなかそうも行かない。ビジネスが成功すればするほど、途上国の従業員は、賃上げなどの待遇改善を要求する。これは成功報酬だから当然のことである。下手をすれば、ストライキ、暴動などが起きる。
 先進国の企業は、それを防ぐことが必要である。すなわち、労働者の現状を理解し“互恵的利他主義”を発揮することによって、待遇を可能な限り、しかも継続的に改善すること以外に、解決の方法論はない。その極限的な結果として、すべての途上国が途上国を抜け出し、人件費の安い国はなくなる。
 そして、この状態に到達すれば、実は、先進国の企業が途上国に進出する目的を失うので、最終的には自国内に戻り、これが自国の産業を復活させることになる。すなわち、“互恵的利他主義”は、先進国にとって、最終的な正しい戦略だと理解すべきである。しかし、現実にビジネス戦争を仕掛けている先進国の企業経営者にとって、このような考え方を持つのは難しいかもしれない。それは、短期的な利益を求める株主などへの対応をしなければならないからである。
(「地球の破綻」p305)


株価の上下で、一喜一憂しているカネ持ちの方々、これも考えて投資してくださいよ。
投機ではなく、意味のある投資を!(といっても、互恵的利他主義なんて無視している連中が多いんだから無理か)。

もしも、人類の歴史を判断の基本に据えるならば、優れた経済人であるかどうかの判断基準に、優れた教育を後輩達に行ったかどうか、ということ、さらには、その人の行動の教育的な側面が、10年後にも語り継がれているかどうか、といったことが評価の重大な要素になるべきだと考えられる。
(前掲書p242)


これなんか、社会的金銭的に成功している人が読むべき文章。
しかし、自分のカネにしか興味のない人は、「オレは、何言われてもかまわないよ」と言う人が、すご〜く多いんです。
何言ってもダメだっけ〜。

次は、ちょっと深刻な問題で、資源問題。
エネルギー資源は、今後、100年は大丈夫として、問題は、鉱物資源。
もちろん、エネルギーも、脱炭素を目指すことは言うまでもありませんけど、鉱物資源も、脱鉱物。
理想は、地球上にたくさんある元素に、あらゆる素材を代替すること。
これにもイノベーションが必要ですが、イノベーションが起こらなかった場合が、考えものです。

原田幸明さんの図を参照しながら、次のように記述されてあります(原田幸明さんの図は、ネット上にあります。興味のある方は検索して調べてみてください)。

累積需要が埋蔵量ベースを超さない金属は、鉄、マンガン、アルミニウム、モリブデン、タングステン、希土類、コバルト、リチウム、ぐらいなものである。中でも深刻な状況になるのは、銅、鉛、亜鉛、金、銀、スズ、アンチモンだとういことが読み取れる。特に鉛、スズ、アンチモン、金、の状況は厳しい。2050年には、これらの金属資源が枯渇状態になっていると言っても良いだろう。
(前掲書p140)


この中で、いか釣り漁業者の懸案は、鉛です。
いか針の下にぶら下げる分銅は、鉛が主流であり、特に、昼いか漁をしている人たちは、ほぼ、鉛に依存しています。
著者の安井さんによれば、鉛を使用しているバッテリーを積む自動車は、ほぼハイブリッドカーや電気自動車類に変わっていくだろうと予測していますが、実際、日本の自動車販売台数の上位はハイブリッドカーです。
しかし、楽観視するのは賢明ではなく、世界中の自動車がハイブリッドカーなどに置き換わるまでは、鉛の高価なものとなります。
代替品として、鉄の分銅がありますから、いずれ、そうなるでしょう。

海の上で仕事をしているすべての船舶で、防食亜鉛は深刻になります。
数年前、私は散水ポンプを交換しましたが、それに付属してあったのは、防食アルミニウムでした。
なので、鉄部に関する防食材は、アルミニウムに変わるかもしれません。
高校の化学の授業で習ったはずのイオン化傾向から、新しい材質へと変わるんでしょう。

銅がなくなるのは、大変ですよね。
電線は、今のところ、すべて銅です。
実際、銅の価格は上がっているらしく、資源回収業者は、銅線の皮むきを一生懸命やっています。
だから、メガソーラーなんかの銅線が盗まれる事態が発生するんですね。
金(カネじゃなく、キンです。笑)も大変です。
キンはお金持ちの持つものと勘違いしている人がいるかもしれませんが、キンは、いろいろなハイテク製品に使われています。
キンは、非常に高価ですから、下水道などから回収された例もあるとおり、いわゆる都市鉱山が今後“開発”されていきます。

こうしてみると、2050年というのは、いろいろな節目にあたりそうです。
イノベーションを起こさないと、今から35年後の生活はけっこう厳しそうですね。

私は早死にだと思うので、たぶん生きてはいないだろうなあ。
でも、五体満足で健康なら、200年生きて、この世の中がどう変わるのか見てみたい(と思うのは、私だけではないと思う)。
posted by T.Sasaki at 14:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 環境 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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