日本の漁業が崩壊する本当の理由 片野歩

世界中で魚類資源が増えているのに、日本だけが減っている。
この現実を、恥ずかしいと思うべきである。

日本の漁業が崩壊する本当の理由.jpg

すべての漁協組合長、理事、参事、そして、任意の漁業団体の会長以下すべての役員たちは、この本を読むべきだ。
読みたくないならば、「日本の漁師は大バカものだ」を参照すること。
これを認識できないならば、役職に就く資格はない!

2015年10月25日

「地球の破綻」

Facebookのほうで、少しだけ紹介した「地球の破綻」という本について少々。

「沖から帰ってきてから寝るまで読書。
これは、政治家なら、必読の環境本。
今まで「地球白書」などの環境本をけっこう読んできたけど、これは、ベスト。
復興事業などゴミに見える。
先を見通せない政治家もゴミ。
忙しいからといって、読書もしない政治家はもっとゴミ。
そのうち、このネタは家に帰ってからブログで。」

と、ボロクソに書きましたが、たぶん、みなさん同意してくれると思います(笑)。

岩手県の元知事で増田寛也さんの書いた「地方消滅」によると、このままいけば、わが宮古市は、2040年に、たった3万2千人しか人がいなくなるそうです。
今から25年後です。
なぜそうなるか、というと、子どもを産むことのできる若い女の人口がいないから。
若年女性の減少率は、60%を超えます。
つまり、宮古市は、消滅可能性都市の中に入っています。

お隣の山田町は、それに“深刻”が付きます。
山田の僚船に無線機でその話をしたら、「オラには子どもいるよ。原因は漁運さんだ」という話をされ、まさしくその通り(笑)。
でも、動物界の掟では、選ぶのは女の側。
「しかたないんじゃないの」というほかない。

山田町はまだいいですが、岩手県ワースト5は、若年女性人口減少率は7割を超えます。
いずれゴーストタウンとまではいかなくても、その自治体名は消滅するでしょう。
もうそこまで来ている25年先ですよ。

「地方消滅」は2014年に出版されましたが、「地球の破綻」は2012年です。
2年後に出版されたわりに、「地方消滅」阻止することを考えすぎの感あり。
地球の現実は、それほど甘くありません。

で、日本の人口減少に関することで、「地方消滅」より先見性が明らかである記述を引いてみます。

 これまでの日本のように、1960年以降に人口が急上昇して、膨張を続けていた時期であれば、なんとしてでも、その地に棲むという決断も有りうるが、2100年には、日本の人口は4500万人程度になっているだろう。そう考えれば、居住地を放棄して、撤退するという戦略を考えることになる。そのような場合にほとんどの住民は移転するが、若干の住居が残る状態になることは、余り望ましい事態であるとは言えない。行政のサービスコストや、社会インフラの整備は継続しなければならないからである。このように考えると、ある地域から全面的に撤退するのが良さそうである。どのようにして、全面撤退する地域を決めるべきなのだろうか。答えは、自然生態系を決めている地域全体である。具体的には、ある河川の流域から完全に撤退するという決断をすることが正しいように思える。その地域は、完全に手付かずの自然に残すことになるが、これは、一旦人工生態系になっていたところが、新しい生態系に変化することになる。そのとき、恐らく、生物多様性は守られる形で新しい生態系になることが期待できる。
(「地球の破綻」p116)


2040年よりもっと先を見越している話で、生物多様性をどう維持していくか、という点を合わせて論じています。
残念ながら、3.11の復興事業では、そういう考えは微塵もない。
宮古市のあの閉伊川水門など、醜いだけの構造物です。
前宮古市長の熊坂氏の失政は、タラソテラピーという税金無駄遣い施設にカネを費やしたこと。
その後継である山本市長の失政は、閉伊川水門建設に尽きる。
タラソテラピーは津波で被災し、道の駅に生まれ変わったから、証拠は残らないけれど(残るかな)、閉伊川水門は、ずっと残ります。

あ〜、かわいそう!

防潮堤かさ上げや藤の川地区の防潮堤建設も同じ。
25年後には、宮古市の人口は、今のおよそ半分。

「土地や建物は余るじゃないの?」
「高台だけでも足りるんじゃないの?」

と考えない人は、頭がおかしい思われてもしかたがない。

 ジェーン・グドール女史の言葉の中に、ホモ・サピエンスのみができることが凝縮されている。その部分を繰り返して記述したい。“過去を語り、未来に備えた計画を立てることである。さらに、子どもの教育を言葉だけで行う能力があることもホモ・サピエンスの特徴であろう”。この文章によって、未来に備えた計画を立てる能力を持っているのが、ヒトであり、同時に、教育を行うのがヒトである、ということが結論できる。
(「地球の破綻」p240)


これはチンパンジーとの違いに関する記述ですが、「未来に備えた計画」を「未来の津波に備えた計画」と勘違いされてもらっては困ります。
この本では、そんなことを書いているわけではない。
このように読み違える人がけっこういます。
相手にしてられませんよ。

著者の安井至さんは、理系の先生ですから、文章を書くのが下手だと思います。
医者も説明が下手くそな人が多いし、理系の人たちはそんなものでしょう(でも、「未来はわからない」という言葉がちりばめてあって、理系人間にしては、人間的だなあ、と思いました)。
だから、あとは、何を書いているのかなあ、ということを全体から読み取ったほうがいい。
部分的な揚げ足取りは、百害あって一利なし。


posted by T.Sasaki at 21:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 環境 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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