日本の漁業が崩壊する本当の理由 片野歩

世界中で魚類資源が増えているのに、日本だけが減っている。
この現実を、恥ずかしいと思うべきである。

日本の漁業が崩壊する本当の理由.jpg

すべての漁協組合長、理事、参事、そして、任意の漁業団体の会長以下すべての役員たちは、この本を読むべきだ。
読みたくないならば、「日本の漁師は大バカものだ」を参照すること。
これを認識できないならば、役職に就く資格はない!

2015年10月22日

税金が魚類資源を減らす?

みなさん、こんばんは。

八戸港は、まき網船でいっぱいです。
私は、比較的に八戸港の常連客なのですが、あまり見たこともない船団が入っています。

見知らぬまき網.JPG

ここで何を獲っているのか。

大不漁のするめいかではなく、イナダや小サバが大漁のようです。
北海道からは、いわしが運ばれているとか。
小さいサバの資源量はあるようで、網数を使わなくても、あのでかい運搬船に、簡単に満船できるという話。

マグロなどのように、これからの漁業は、「大きくなってから獲る」という考えがあったはずですが、まき網業界では通用しません。
よく考えてみると、なるほど、通用しない。

年々、魚群探知機類は進化し、魚種や魚の大きさまでわかるようになりました。
それが、とんでもなく高価なもので、その他、新造船ほど、ブリッジの中は豪華絢爛。
網などの漁業資材も値下がりすることはなく、借り入れを返すのが大変な時代になりました。
だから、八戸港に入ってくるピカピカの立派なまき網船団にとって、魚が大きくなるまで待てない。
せっかく魚の大きさのわかる魚群探知機を入れても、意味がなくなっています。
小さいサバでも獲るべきでないのに、今朝など、岩手沖で、獲ってはならぬ鮭を獲ってきた船団もある、という噂。

船団を組まず、1隻で操業できる大きなまき網船も、数年前から登場しています。
有名なのは、地元八戸の惣宝丸。
八戸前沖の銀サバという名前で、市内飲食店では売り出していますが、これは、惣宝丸の獲ってすぐに瞬間凍結するという高鮮度のサバ。
少ない量でも、高付加価値で勝負する新しいタイプのまき網漁業です。
量で勝負する以前のまき網漁業と違って、資源管理推進型。

ところが、「銀サバ」になるはずの大サイズのサバが今は獲れず、結局、この船のまき網で獲ったサバは、同会社の運搬船で運んでいます。
本来の目的で使われるはずの補助金が、つまり、みんなの税金が、魚類資源を無駄にする漁法へと使われ、泡と消えてしまった。
まき網船団の高鮮度の魚を取り扱うために、八戸の市場荷受施設も、巨額の税金で整備されましたが、結果的に使われておらず、何をやっているんだか。

私たち小型漁船は、漁がなくなれば、自分の判断で休漁したりして、普段できないことをやったりします。
しかし、あのような会社組織の船というのは、とにかく、どんな手段でも、魚を獲ることが使命。
会社の重役たちの給料までカバーしなければならないし、前述した新規設備投資の回収もしなければならない。会社組織が大きくなればなるほど、この傾向は強いと思います。

沖合底曳網漁業(トロール漁業)もその傾向が強い。
今年初め、あるトロール船の船頭に、「漁期終わりの2トンとか3トンというするめいかは、獲らないほうがいいんじゃないの?これらは、次年度のするめいかを獲るために、放っておいて、子をたくさん生ませたほういいと思いますけど」と進言しても、「今、他のスケソウを獲ったら、TACを消化してしまうから、するめいかと獲るんだ」という返答。
私は、心の中で、「へ〜、若くても、やっぱりトロール業界って、昔と同じなんだなあ」とつぶやきました。
(この文章によって、私は口をきいてもらえないかも。でも、そうなってもかまわない。親の代から、どうせ独行船で生きてきたから)

みなさん、小型漁船のように、獲るのがなかったら、休めばいいと思いませんか?
でも、結局は、会社組織の運命。
重役たちの給料分や、今流行りの「がんばる漁業」の負債返済など、とにかく獲れさせすればいい。
これだと、魚類資源が増えるわけがない。

水産庁は、そろそろ本気で資源管理を考え、補助金や「がんばる漁業」事業など、水産行政自体を見直すべきです。
posted by T.Sasaki at 19:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 漁業 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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