ふたたび。
「
日本をいじめる奴ら」で、少々、「
雨風太陽」という会社に愚痴を書いたが、超小額株主として、一応、求めることを書いておく。
「
雨風太陽」は、「
ポケットマルシェ」という生産者直結のネット通販事業を行なっている。
「
食べる通信」事業の延長みたいなものだろう、たぶん。
主に、地方の農業や漁業を助けるために、やったものだ。
そして、大手ネット通販事業の独占による弊害を阻止するため、という目的もあるかもしれない。
これは、「
コモンズとミュニシパリズム」で紹介したアルゼンチンの例に通じるものがある(リンク先の※7を参照)。
ここまでは良い。
しかし、もっと突き進んでほしい。
生産者の選別化である。
どうせ赤字企業なのだから、農業の世界から、悪を追放してほしい。
今や、日本の農業は、化学肥料に頼りすぎている。
(※1)ひどいものだ。
化学肥料は、ほぼ100%輸入しているし、挙句の果て、種も輸入に依存している。
だから、これらに頼らない方向へ農家を導く事業を展開してほしい。
先ほどの注釈(※1)は、東京大学大学院教授である鈴木宣弘さんの指摘であり、JAのサイトにも、いろいろと寄稿している。
「
雨風太陽」は、鈴木宣弘教授の指摘を、真面目に考えるべきである。
https://www.jacom.or.jp/column/cat647/(「
JAcom」)
外国企業による種子支配に対抗するため、各県で種子条例が制定されている。
(※2)一番最初に制定したのは新潟県であり、岩手県は、令和3年と後発だ。
http://www.rilg.or.jp/htdocs/img/reiki/004_seedlaw.htm(「
一般財団法人 地方自治研究機構」)
「
雨風太陽」は、「自治体連携」も事業の一つとして掲げているのだから、まだ種子条例を制定していない自治体へ進言してもいいだろう。
さらに、日本農業の問題点を解決していくような方向性をもっと明確にすべきである。
例えば、遺伝子編集で栽培した作物の影響が、灰色的な商品は、「
ポケットマルシェ」で扱わないとか。
遺伝子組換え作物(GMO)は、除草剤耐性などを持たせたものである。
これは、農薬使用量を減らすために作られたとは言うが、雑草も除草剤に耐性を持ち始め、実際には、農薬使用量は多くなった。
それに加え、除草剤耐性作物による健康被害も疑われるようになっている。
最悪なのは、モンサントというアグリビジネスの巨大企業が、健康に害があると知りながら、販売していたのだ。
最近は、子どもの発達障害に関与しているのではないか、薬剤耐性菌が蔓延する原因となっているのではないか、などの指摘がある。
(※3)「
雨風太陽」は、赤字なのだから、事業内容からみても慈善事業的性格が強い。
株を買った人たちも、高橋さんの心意気を評価してのことだろう。
したがって、株式上場よりは、寄付をたくさん募り、財団的な法人にすれば良かったと私は勝手に思ってしまう。
彼は、「都市と地方をかきまぜる」というチャラチャラしたものよりも、食糧をコモンズと捉え、岸本さんの紹介している「ミュニシパリズム」を実践していくほうがいいと思う(「
コモンズとミュニシパリズム」参照)。
追記の関連リンク
[農家の特報班]薬剤まいても再発生 イネカメムシ防除難航(※1)
小麦をはじめとする穀物・原油・化学肥料の原料価格などが高騰し、22年3月8日にはシカゴの小麦先物相場が08年の「世界食料危機」時の最高値を一度超えました。さらには中東で紛争が勃発して大変なことになってきています。
加えて深刻なのは、コメ輸出で世界一位、麦輸出で二位のインドが、自国民防衛で農産物の輸出規制を始めたことです。同じ動きは世界中に広がっていて、輸出規制をした国々が30カ国ほど出てきています。
このような中、慣行農法(化学肥料と農薬の使用を前提とした栽培方法)が99.4%を占めている日本の農業は、今まで通りやっていけるのか?まず穀物が手に入りません。畜産の餌が高騰し、酪農・畜産農家がバタバタ倒れています。化学肥料原料を日本はほぼ100%輸入に頼っています(リンとカリウムは100%、尿素は96%を輸入依存)しかも日本が最も依存していた中国は内需が増えて肥料を売らないと言い始めた。カリウムの輸入元であるロシアやベラルーシは戦争で日本の敵になった。輸入途絶が現実味を帯びてきたわけです。
中国は有事に備えて今、14億人の人口が1年半食べられるだけの食料備蓄を目指しています。国内生産の増産だけでなく、世界中の穀物も買い占めている。対して日本の備蓄は、米を中心に1.5ヵ月〜2ヶ月程度です。
米は減反、減反といわれ、今現在は800万トン弱しか生産していません。でも実は日本の田んぼを全部使えば1200万トン以上の米ができる。本来、それぐらいの生産力はあるのです。
ならば増産して、政府の責任で備蓄米を増やせばいい。しかし、政府は「そんな金はない。無理だ」という。それは違う。米国から在庫処分でトマホークを買うために43兆円を費やす予算があるならば、まず国内で食料を生産できるようにして、備蓄を増やす。そのために何兆円か使うことの方が、命を守るために先にやるべきことではないでしょうか。
種(たね)の問題も深刻です。日本の野菜の自給率は80%といわれていますが、その9割が海外の畑で種取りをしていて、コロナ・ショックでこれが止まりそうになって大騒ぎになった。種の輸入が止まったら、国内で種取りして植えればいいと言いますが、ほとんどの種はF1品種。つまり、種を取って植えても同じものはできません。
食料は命の源ですが、その源は種です。その大事な種を循環させる仕組みをきちんと作らなければ、日本ももたない。日本の食料自給率を再計算すると、38%といわれる自給率に、肥料が止まったら慣行農法の収量は半分になり、自給率は22%に下がります。その上、種も止められたらどうなるのか?自給率は9.2%にまで落ち込みます。
この数字は何を意味しているのか?化学肥料と種を海外に依存していくような農業ではもうだめだということです。そこで循環型の有機生産栽培。しかも種を自分だけで回していくという農業を広げていかないと、私たちの命が守れないということです。
(「紙の爆弾」2024年4月号p24)
(※2)
日本では、2018年に安倍政権によって種子法が廃止された。種子を開発するには膨大な労力と時間がかかる。今後は、種子の安定的な生産と普及において「国が果たすべき役割」を放棄し、種子を守るための予算が付かないことになる。さらには、国内の品種がいずれ大企業の供給する品種に置き換わっていくと専門家は懸念する。
これに対し、2018年12月、岐阜県議会が「種子条例」を制定すると報じられた。種子の安定供給に、国に代わって県が責任を持ち、市場任せにしないことを岐阜県は明確にしたことになる。埼玉県・新潟県・兵庫県・山形県も、種子法廃止と前後して、種子の安定供給を促す条例をすでに制定し、2022年6月時点で31道県が種子条例を制定している。
(「地域主権という希望」59)
(※3)
そもそも除草剤耐性を農作物にもたせても、枯れない雑草が出現して、むしろ除草剤の使用量は増加しているともいわれる。さらに、複数の除草剤や危険度の高い除草剤への耐性をもたせた遺伝子組換えが開発されたり、複数の除草剤を混ぜて散布されたりするようにもなった。空中散布も拡大されやすくなっている。
河田氏も、以下のように説明する。
「1999年にモンサントの除草剤耐性大豆は収量が落ちるというレポートを出したC・ベンブルック博士は、2000年前後にはアメリカの全大豆の60%がGM大豆である一方で、除草剤使用料は増加したと述べています。
博士がアメリカ農務省(USDA)の未発表の農薬統計を含むデータを解析したところ、98年度の農薬使用量は、在来種よりもラウンドアップ耐性大豆(RR大豆)のほうが11.4%も多く、アメリカ最大の大豆栽培を誇るアイオワ州を含む6つ州では30%も多かったのです。しかも、在来農法で最も農薬使用量の少ない農家と比較し、RR大豆農家で最も使用料の多い農家では34倍以上の農薬を散布していました。除草剤耐性雑草の出現で、さらに使用量は増大しています。
ベンブルック博士によれば、モンサントもUSDAも比較法を意図的に誤ったデータを操作したりして、農薬使用量は減ると主張し続けてきたというのです」
(中略)
では、GMOには農薬の使用量が減らないこと以外に、どのような問題があるのだろうか。
まず、「次世代毒性の問題」があると、河田氏は説明する。
「ロシアでは、RR大豆を母親のラットに与え、通常の雄との間に産まれた子どもへの影響について研究しています。そして、通常の餌を与えたラットの子どもを含めた4種類の集団と比較する実験を3回ずつ重ねたのです。すると、RR大豆を与えた母親の子どもは、通常のこどもの体重の半分しかありませんでした」
また、子ラットの3週間以内の死亡率も、大豆を使わない普通の飼料を与えたものが8.1%だったのに対し、通常の飼料にGM大豆を加えた与えたものは51.6%にも上った。
「イタリアでも、除草剤耐性作物を動物に食べさせたところ、4世代目には子どもが産まれなくなったという研究論文があります」
河田氏はそのように言い添え、次の問題として、「摂取した個体自体への直接的な健康問題」を挙げた。
遺伝子組換えは安全だと宣伝されているが、企業が行なった90日程度分の実験データしかなく、このデータの詳細について一般には公開されていない。また、アメリカでは、遺伝子組換え食品が出回るようになって以降、ガン・白血病・アレルギー、自閉症といった慢性疾患などが急増している。もちろん、一朝一夕にGMOの安全性が確認できるものではない。
このうち病気の発症に関し、河田氏は以下のように説明する。
「12年のフランスには、除草剤耐性をもつGMトウモロコシの発がん性に関する研究もあります。その発表によると、GMトウモロコシを食べ続けたラットは半年を過ぎるとさまざまな病気を発症し、その後、体の25%もの大きさの乳がんを発症したのです。実験結果の写真を見て、私も驚きました。
この実験に関する論文が雑誌に掲載されると、世界中のモンサント系の研究者が反発し、論文は一度、削除されています。ただし、その後、ヨーロッパの別の機関誌に再掲載されました」
そして、世界保健機構(WHO)の専門機関、国際がん研究機関(IARC)は15年、ラウンドアップの主要成分であるグリホサートが5段階の発がん性分類リストの上から2番目、「おそらく発がん性がある」2Aカテゴリーに分類されると報告。
これを機に、モンサントを相手取った除草剤の発がん性をめぐる損害賠償訴訟が相次ぐ。
裁判記録を取り寄せた元農林水産大臣で弁護士の山田正彦氏の発言によれば、モンサントの内部機密資料も証拠として提出されており、モンサントは30年前からGMOががんを引き起こすことを認識していたという。
モンサントは18年に2億9000万ドル、モンサントを買収したバイエルは19年に8000万ドル、24年に20億ドルあまりの支払いを命じられる。またバイエルは、12万5000件以上の訴訟の原告に和解金として100億ドルあまりを支払ってきた。
(中略)
14年9月9日付の日本経済新聞の記事で、当時の日本モンサント広報部は「GMのトウモロコシは家畜のエサに、大豆はしょうゆやサラダ油として使われています」と説明している。
「最近では、GMOの摂取によって腸内細菌の中の善玉菌が死に、除草剤耐性である悪玉菌は増えることがわかってきました。この悪玉菌をつくる物質が腸から脳に流れ、脳の働きを阻害する。それにより、発達障害が起こるという論文が発表されています。」
河田氏がこのように言い添えることの意味は、発達障害の原因がGMOである可能性がさらに高まったということだ。
次に河田氏は、「抗生物質耐性菌の多発」という問題について訴える。
「02年にイギリスの『ネイチャー』に掲載された論文があります。実験として、除草剤耐性大豆でハンバーグを作り、人工肛門をもつ7名に食べさせ、彼らの便を採取しました。モンサントは食後10分程度で外来遺伝子は分解するので問題はないと主張してきたのに、この便に除草剤耐性菌が発見されたのです。
GMもゲノム編集同様、遺伝子組換えができた細胞とできなかった細胞を区別するため、抗生物質耐性遺伝子や除草剤耐性遺伝子をマーカー遺伝子として使用します。GMOが腸内で分解される過程で、この抗生物質耐性遺伝子や除草剤耐性遺伝子が腸内細菌に取り込まれ、腸内細菌が抗生物質耐性や除草剤耐性になることが知られています。これは『遺伝子の水平伝達』と呼ばれるものです。また、害虫抵抗性トウモロコシには抗生物質耐性遺伝子が含まれており、これを食べると体内に抗生物質耐性菌ができます。
そこで私は、家畜の糞を集め、ラウンドアップ耐性菌がいるかを調べました。すると北海道以外の広範囲、長野県の牛糞や岐阜県の鶏糞、茨木・愛知・滋賀・岐阜県の土壌から、除草剤耐性菌が検出されたのです」
その後、国産や輸入の鶏肉の半数から、抗生物質が効かない薬剤耐性菌が検出されたことが報道された。これらを食べて薬剤耐性になった人のうち、免疫力が落ちた病人や高齢者を中心に、抗生物質による治療が難しくなることが危惧されることとなった。
医学雑誌『ランセット』も、19年に世界で495万人が細菌の薬剤耐性に関連する感染症で死亡し、このうち127万人は薬剤耐性菌感染症が直接の原因で死亡したと伝えている。
河田氏は、GMOを知らぬ間に摂取して薬剤耐性になるという問題の深刻さを、さらに強調する。
「アメリカ人の4人に1人は薬剤耐性菌をもっているともいわれています。日本の国立感染症研究所や国立国際医療研究センターが実施している薬剤耐性菌による死亡数の研究でも、19年、メチリシン耐性黄色ブドウ球菌とフルオロキノロン耐性大腸菌による死亡数は約8000名と推計されました。
ただし、たとえば『ランセット』掲載のものでは23種の病原体および88件の病原体と薬剤の組み合わせについて評価しており、また輸入のトウモロコシのほとんどに抗生物質耐性遺伝子が入っているため、日本の死者も、もっと多いはずです」
(中略)
小麦は欧米などで主食であることから、世界中の反対を受け、モンサントは04年にGM小麦の開発を断念している。ところがその後、自生しているGM小麦が度々発見されている。
また、小麦栽培については、収穫前にラウンドアップを前面散布して枯らす「プレハーベスト」と呼ばれる方法が北米では主流になり、日本でも17年、農水省によって輸入小麦のグリホサート残留基準値が緩和された。
河田氏も、次のように説明する。
「遺伝子組換ではないはずのアメリカ産の小麦のほとんどから、ラウンドアップが検出されます。栽培時の空中散布の影響で、高濃度の除草剤が混入しているわけです。すると当然、食べた人の体内に除草剤が入り、それがやはり発達障害などの原因になっているのではないかといわれています」
(「紙の爆弾」2024年6月号p24「がんを引き起こし脳の働きを阻害する遺伝子組換え食品 これだけの危険」小林蓮実)
注釈文中の河田さんとは、河田昌東さんのことで、「遺伝子操作食品を考える中部の会」の代表である。
posted by T.Sasaki at 16:18|
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