日本の漁業が崩壊する本当の理由 片野歩

世界中で魚類資源が増えているのに、日本だけが減っている。
この現実を、恥ずかしいと思うべきである。

日本の漁業が崩壊する本当の理由.jpg

すべての漁協組合長、理事、参事、そして、任意の漁業団体の会長以下すべての役員たちは、この本を読むべきだ。
読みたくないならば、「日本の漁師は大バカものだ」を参照すること。
これを認識できないならば、役職に就く資格はない!

2024年05月25日

スクラップ資源は、中国へ

ふたたび、こんばんは。

いつポックリいってもいいように(笑)、家や倉庫の周りを片付けている。
金属ゴミは、資源回収業者へ持っていくことになるが、そこで、あまり良くない話を聞いてきた。

最近、あちこちに、金属スクラップを「買います」という業者が増えたような気がする。
実際に、増えているそうだ。
そして、バイヤーは、中国人だという。
金属ゴミは、中国へ運ばれる。

資源小国日本にとって、これは、歓迎できない。
外国からどんどん資源を輸出して、スクラップは後でリサイクルする、という戦略ができなくなるからだ。
中国はしたたかだと思う。
日本人って、ダメね。

私は、もちろん、馴染みのボロ屋へ持っていく。
もちろん、お金はいただきません。
受け取ってもらえるだけでいい。
posted by T.Sasaki at 20:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

情報通信技術(ICT)は、環境破壊を起こいている

こんばんは。
第3弾。

デジタル技術は、一般に、私たちの社会をより良くする、とは言われる。
情報通信技術(ICT)の利用によって、他の産業の削減できる二酸化炭素排出量は、ICT利用そのもので排出する二酸化炭素の7倍であるらしい。(※1)
しかし、実際には、「爆発的に増えるデジタルデータと使用電力」で触れたように、デジタルデータは、GAFAMの利益追求のため、爆発的に増える。
それにより、大きな環境負荷を生むことになる。(※2)

ウェブページの表示は、利用者の思惑とは違うサービスが組み込まれ、どんどん重くなる一方で、それに対応するため、パソコンやスマートフォンも買い換えなければならなくなっている。
これらハードの寿命は、平均で4年だ。
一般の人は、パソコンやスマホの機能の9割は使っていないと思う。
要らない機能を付加して、GAFAMは儲けている。
その儲けは、世界中にゴミを生む。
それも、今までに存在しなかったゴミだ。(※3)

モノを生産するにあたって、環境負荷を計る指標はいろいろとあるが、原材料の必要量に関する指標として、MIPSというのがある。(※4)
鉄棒を作る場合、それほどの重量は要らず、10倍の原料で済む。
しかし、ハイテク化された製品ほど、原材料の重量は大幅に増えていく。
スマホは、重量にして1200倍の原料を使う。
ネットワーク関連のサービスは、「非物質化」の象徴とされるが、現実は、強烈な物質化社会を形成している。(※5)

熊本に台湾のTSMCの工場が建設された。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240226/k10014370771000.html(「NHKニュース」)

TSMCは世界一の半導体工場であるが、TSMCの下請工場は、生産時に発生する廃棄物のことで各地で問題を起こしている。
熊本は大丈夫だろうか。
電力の消費も水の消費も大量で、その点も世界一の企業かもしれない。(※6)
これらのデジタル産業は、とにかく水を大量に使う。

安価な水を求めて、アメリカのユタ州ブラフデールに世界で3番目に大きなデータセンターが建設された。(※7)
データセンターは、金の力で、森もつぶす。(※8)
まるで環境破壊の象徴みたいなものになってきた。
金の力というものは強力で、海底ケーブルにまで、GAFAMも支配が及ぶようになっている。(※9)
方向性を間違えば、ネットワークは独占されることになる。

私は、「なぜデジタル社会は「持続不可能」なのか」という本を読んで、まずますインターネットを信用できなくなっている。
以前から、ネットが止まってしまったら?(事実、たまに繋がらなくなる時もあるし、パソコンが止まってしまうこともある)ということを考えると、とても信用できたものではない。
だから、ペーバーレス社会というのは、どうかと思う。
ペーバーレスになっても、この通り、ネットワークによる電力消費は増加する一方である。
ネットが止まってしまうという不安は、地域紛争からも発生する。
物理的に、海底ケーブルを切ってしまえば、関係する地域のデータ伝送は遮断される。(※10)
また、太陽活動の活発化から、太陽フレアの問題も考えなければならない。
電力、インターネットのブラックアウトは、SFではなく、実際に起こりうることだ。

結局のところ、本当はインターネットなど、あってもなくても、人間は生きていけるのである。
ネットに生活を依存する人を除けば、そういうことになる。
逆に言えば、ネットに依存している人たちほど、ネットの必要性を盛んに説く。
そういう構造なのだ。
まあ、便利なものを一気に否定してしまうのも良くないだろう。
が、爆発的なデジタルデータの増加は、憂慮すべきものであり、何か対策を取らなければ、ネット社会は行き詰ることになる。

ウェブページには、動画へのお誘いが随所に見られる。
この動画が、4K、8Kとなれば、データ伝送は大きくなり、4K動画が10%増えただけで、デジタル部門の総電力も10%増える。
これが、まともな電気の使い方だろうか。
「なぜデジタル社会は『持続不可能』なのか」では、次のような提案をしている。

通知を無効にする。
最も依存しやすいアプリケーション(フェイスブック、スナップチャット、Tiktok、インスタグラム)を削除する。
アルゴリズムがユーザーの憤慨を助長する(アプリケーション上のトラフィックをつくり出す)ようにできているSNSから距離をとる。
寝室への電話持ち込みを禁止する。
週に1日はネットに接続しない。

ウェブサイトの表現も、軽くするようにする。
それだけで、データのやりとりは、相当少なくなる。
たとえば、ウィキペディアは、ノートパソコンのメモリのごく一部分に相当するだだという。(※11)
私も、このブログを使うのをやめて、元のテキストサイトに戻すべきだと思う。
元々、SNSという高級なものはやっていないから、ハードルは低い。
「いいね!」は、良くないのである(笑)。

ガンジーは次のように言って、行動を促したそうだ。

「あなたがこの世界で見たいと願う変化にあなた自身がなりなさい」(※12)



(※1)
「情報通信技術(ICT)のカーボンフットプリントは2020年に1.27ギガトン二酸化炭素換算に達する予測だが、ICT(によるカーボンフットプリントの)削減可能な合計はその7倍に達する」と、ユネスコは主張した。その後、国連貿易開発会議(UNCTAD)は「ICTの有効利用に帰する二酸化炭素の減少は全世界の排出量の15%に相当する」とした。
 この分野で他を凌いで最も影響力のある組織があるとしたら、それはグローバル・e-サスティナビリティ・イニシアティブ(GeSI)だろう。これは民間デジタル企業と国際機関を集結させたもので、ブリュッセルに本部を置く。GeSIは「ICTを利用した社会・環境の持続性を可能にするために(中略)公平で主要な情報源」になることを目指す。しかし、GeSIは明言はしていないが、会員の利益を擁護するロビー団体である。したがって、強力なコミュニケーションツールといえる。2012年、GeSIは最初の報告書「SMARTer 2020」を公表し、ICT利用によって温室効果ガスを2020年までに16.5%削減できると予測した。3年後には、新たな報告書「SMARTer 2030」で、さらに壮大な予測を打ち出した。「ICTの使用によって回避される排出量は、その普及によって生じる排出量の10倍になる」とした。
 デジタル産業は、自らの環境負荷が限られていると言っているのではない。気候問題に関しては利益のほうが勝ると断言しているのだ。実際に、その産業のパフォーマンスは、デジタル化を実践する経済界の当事者全体に行き渡るだろう。衛星写真のおかげで正確にインプットを調整できる小規模農家、エコナビゲーション・システムを開発し、燃料消費を最適化する自動車メーカー、センサーを利用して採掘されない坑道の空調を止めて電気消費を減少させる大鉱山会社などだ。
(「なぜデジタル社会は『持続不可能』なのか」p31)

(※2)
 力ある勝者が歴史を自分たちの都合のいいように修正することに執着するのは、何千年もの戦争の歴史が証明していることだ。この21世紀において、デジタル企業はそのプロセスをさらに洗練させ、まさに未来を書き直すことを提案しているのだ!実はデジタル・テクノロジーは汚染する。それも著しくだ。水とエネルギーの消費、鉱物資源の枯渇への加担からすると、デジタル部門は、先に見たように、英国やフランスのような国の2倍あるいは3倍に相当する環境負荷を発生させる。その原因のひとつは世界中に出回る計340億個のデジタル機器だ。
(中略)
デジタル分野の電力消費は年率5〜7パーセント増加しており、その結果、2025年には世界の電力消費量の20パーセントを占めるだろうといわれる。
(前掲書p35)

(※3)
「ウェブページの重さは1995年から2015年の間に115倍になった」と。テキストを入力するために必要なCPUパワーは2〜3年ごとに倍になる。ますます複雑になるLOC[プログラミング言語で書かれたソースコードの行数]はますます長くならざるをえないから、コンピュータは大変だ・・・・したがって、よりパフォーマンスの高い製品に買い替えるように消費者を仕向ける。
 このことから、パソコンの寿命はここ30年間で、11年からたったの4年になった理由が説明できる。当然、ホモ・サピエンスはホモ・デトリタス[デトリタスは生物の死骸、排泄物などの意味]になる―毎年、5000のエッフェル塔に相当する電子廃棄物を生産する。人新生[地質時代のひとつとしてドイツの大気科学者クルッツェンが提唱した時代。人類が農業・産業革命により地球に環境変化をもたらした時代とされる]という言葉は、気候温暖化や海洋の酸性化だけを指すのではない。2017年、驚くべき事実が学者たちによって発見された。つまり、人間は、その活動により208種の新たな鉱物を生むという地質学上の力を持っているということだ。それらの新たな鉱物は、鉱山の残留物や、集積回路やバッテリーといった埋められてた電子廃棄物の悪化から生まれたものが多い。われわれの消費習慣―特にデジタル機器の消費―は地殻の構成物すら変えてしまうのだ。
(前掲書p61)

(※4)
ヴッパータール研究所は、1990年代に研究者が開発した、現代人の消費様式の物質的影響の画期的な計算法で知られる。それは、「サービス単位あたりの物質集約度(MIPS)」と呼ばれ、ひとつの製品あるいはサービスを作り出すのに必要な資源量を意味する。
(前掲書p70)

(※5)
 多くの商品では、MIPSはけっこう低い数字だ。たとえば、鋼鉄の棒は最終的な重さの「わずか」10倍の資源しか必要としない。しかし、「テクノロジーが関わってくると、MIPSは大きくなる」と、トイブラー氏は説明する。デジタル・テクノロジーは、とりわけ「地下から採掘するのが難しいレアメタル」など多種類の金属を含むためにそうなるだと同氏は言う。たとえば、2キロの重さのパソコンは22キロの化学物質、240キロの燃料、1.5トンの水を使用する。テレビ1台のMIPSはその重量の200倍から1000倍になる。スマートフォンは1200倍だ(最終製品150グラムに対して183キロの原料を使う)。しかし、最高記録を誇るのはICチップだ。2グラムの集積回路には32キロの資源が必要で、その割合はなんと1万6000倍にもなる。
「消費財を買うことを決めるときに感じる影響と、実際の影響の隔たりに驚くことは多い」と、トイブラー氏は言う。その理由は、最大の犠牲を払うのは製造チェーンの最も上流の地域にあり、その商品を売る店から遠く離れているからだ。おそらくそのため、善良な都会人は、ひよこ豆粉(ベサン)のパスタの栄養的かつエコロジカルな効用をほめたたえ、ヨガ教室に行くのにシェアサイクルの使用を賛美する ― 携帯電話を18ヶ月ごとに代えながら・・・・。ほほえましいことではあるが、ITは資源の負荷を ― 知らないうちに ― 増大させるから危険なのだ。現在機能している何十億台というサーバーやアンテナ、ルーターその他のWi-Fiスポットの量を、100倍、1000倍、あるいは、1万倍になるMIPSで掛け算してみるといい。「非物質化」のテクノロジーは資源を大量に使うだけでなく、これまでにない最大の物質化に向かっているという結論に達するだろう。
(前掲書p73)

(※6)
中国大陸から180キロメートルの台湾にTSMC社はあり、1社で集積回路の世界生産の半分以上をまかなう。だが、近年、TSMCは様々な環境汚染の非難にも対処しなければならなかった。というのは、「半導体メーカーは液体、固体、気体の廃棄物」を環境に廃棄するからだ、と台湾のある化学者は言う。数字を確定するのは難しいが、たとえばシリコン1キログラムを製造すると、280キログラム以上の化学物資が生じるとする人もいる。すべての廃棄物が処理されているわけではなく、日月光半導体製造(ASE)の韓国支社やネルカ・テクノロジーといったTSMCの下請けは2013年以降、周囲の川に有害物質を放出したとして操業を一時停止せざるを得なかった。
 その上、「製造のすべての工程で脱イオン水(蒸留水よりも純度の高い水)で集積回路を洗浄しなけらばならないので、非常に大量の水を消費する」と、コランジュ氏は説明する。そのため、TSMCは1日に15万6000トンの水を消費する。そのうち86%の水はリサイクルされるが、コランジュ氏はTSMCに関係のある最近の出来事を思い出して次のように言った。「2017年に干ばつが台湾を襲ったんです。でも、TSMCは大量の水が必要だったので、近くの川から工場まで大型トラックで水を運ばなければならなかった。その大型トラックが走っている間は、新竹サイエンスパーク(台湾北西の新竹市にある新竹科学工業園区。いくつかのハイテク工業団地が1400ヘクタールに広がる)を車で走るのは不可能でした」。もちろん、TSMCのエネルギー消費はさらに膨大だ。「作るものが小さな商品であればあるほど、それを製造するために大量のエネルギーを消費する大きな機械が必要になるからだ」とコランジュ氏は強調する。台湾では、TSMCの施設全体で2基か3基の原子炉に相当する電力を必要とし、それは電力消費がピークになる時期には、台湾の電力消費の3パーセントに相当するという。しかも、この数字は10年後には2倍になると予想される。台湾の電力の43%が石炭や石油による発電所であることを考えると、「台湾の電子産業のカーボンフットプリントは国の温室効果ガス排出の10パーセントを占める」と、コランジュ氏は解説する。
(前掲書p80)

(※7)
 グーグルはわれわれのデータを商業目的のためだけに集めているのではない。検索履歴をNSAにも提供している。アメリカの情報機関のひとつであるNSAは、私たちの電子メールや通話の内容、駐車場の領収書から旅行のルート、本の購買の情報も集めている。その監視データの大きさは、世界の電子情報のどれぐらいの割合を占めるのだろうか?それはだれにもわからないが、ヒントになりそうなものはある。2013年にNSAが、ユタ州北部のブラフデール周辺部の州兵訓練施設の敷地に特大のデータセンターを開設したとき、それは当時、世界で3番目に大きいデータセンターだった。アメリカ国会図書館の中身に匹敵する情報を毎分ストックできるマシンだった。
 なぜ、ブラフデールに造ったのか?愛国精神のある熟練労働者(したがってNSAの活動に反対する懸念がほとんどない)があること、そしてデータセンターを冷却するのに必要な水が非常に安価だったためだ。中規模のデータセンターは冷却装置のために年間60万立方メートルほどの水 ― オリンピックプール160個あるいは3つの病院に必要な水量 ― を消費する。
(前掲書p107)

(※8)
“データの領地”の拡張によって生じた対立が世界中でアッシュバーンほど激しいところはないだろう。私たちはそこに2021年春に訪れた。ワシントンから北西におより50キロメートルの、ヴァージニア州にあるアッシュバーンは、地味なビジネス地区といくつかのショッピングセンターに彩られた人口5万人の静かな町であるだけではない。世界のインターネット・トラフィックの7割が通過する「東海岸のシリコンバレー」なのだ。世界でもごく初期のインターネット相互接続店が1992年にそこに設置されたことから、AOL、ベライゾン、テロスといったアメリカ企業などIT経済の大企業が集中する現象を招いたのだろう。その後を追うように、57のデータセンターがアッシュバーンに集中し、まもなく専門メディアから「データセンターの世界的首都」と呼ばれるようになった。
 経済的効果はめざましい。アッシュバーンを含むラウドン郡に住む人の家計収入の中央値はアメリカで最も高い。「ハブ」は拡大していく・・・・。金持ちになったが、大きな建物に囲まれたアッシュバーンの住民は、「非物質」の都市計画のとばっちりを受けた。データセンターは騒音がして醜い・・・・。「この4ヶ月間で私のもとに寄せられた不満のトップが何かわかりますか?渋滞でも高速道路の料金所でもなく、データセンターの美観なんです」と、ある地元議員は言う。環境保護問題も表面に出てきた。「周りにはほとんど緑がないんですよ。もうたくさんだと思う。残っている自然を破壊する必要はないです」と、住民の一人、ブライアン・カーさんは不満げだ。2018年、ラウドン郡は43ヘクタールの森をつぶしてコンパス社のトゥルー・ノースデータセンターの建設を許可していたのだ。
(前掲書p106)

(※9)
明らかに戦略的部門であるにもかかわらず、ケーブル産業はほとんど全部が民営化されている。したがって、次々に起こる混乱(2001年のインターネットバブル崩壊、2008年のサブプライム機器など)が定期的に起きる経済サイクルにさらされているのだ。しかも、GAFAMは超大企業であるため、価格に圧力をかけることができ、彼らのビジネスパートナーはマージンを減らすことを余儀なくされる。その結果、「そういう[ケーブル]産業に投資しようとする人はあまりいない」と、ケーブル業界の人は言う。したがって、ケーブル産業が使う大洋をまたぐケーブル敷設船は世界で30隻ほどしかなく、主要な敷設企業は3社だ。フランスのアルカテル・サブマリン・ネットワークス(ASN)、アメリカのサブコム、日本のNECである。しかも、この業界は若者を雇用するのが難しい上(「求人票にビッグデータ”と書いてないから」と業界の人は残念がる)、経営の難しい海運業者とともに仕事をする。
(中略)
「今日、フェイスブックとグーグルが資金を出さないケーブルはほとんどない」と、光ケーブルのある専門家は認める。この2社の光ケーブルへの支配はどこまで進むのだろうか。また、世界で最も強力なそうした企業へ欧米諸国はどのように依存していくのだろうか?「われわれは、いつかの企業の利益のためにインターネットの一部を私有化される状況に直面している。しかも、だれも何も感じることなく」と、海底の電気通信ケーブルのある専門家は不安を漏らす。
(前掲書p248)

(※10)
中国は、紛争の際には理想的な標的に変わりうる「デジタル・シルクロード」のインフラを守らなければならない。この問題はすでに、情報ハイウェイの継続性を懸念する欧米諸国では認識されていた。「軍事情報から世界の金融データまですべてを伝送する(中略)ネットの接続が負うリスクは現実のものであり、リスクは高まっている」と、当時は英国議会の議員だったリシ・スナック氏[現財務大臣]の報告書で強調されていた。少しでも攻撃されると、重大な経済の混乱と軍事通信への損害をもたらし、「大惨事になる可能性」があると、同氏は述べている。スナック氏によると、ロシアは、クリミア半島侵攻の際にやったように、戦時における情報の流れをコントロールするために通信ケーブルを切断するのも辞さないという。
(前掲書p244)

(※11)
「SNSのアプリはわれわれの脳に侵入してきて、それをすることをわれわれに許可する」と、「責任あるデジタル」の専門家は言う。その褒美は、画面に費やす時間の増加、より多く作られるデータ・・・・そして消費エネルギーの増加だ。実際、高画質ピクセル数動画はまもなく4K、あるいは「高画質の32倍のデータを使う」8Kすら超えようとしていると、ある調査は指摘する。『カンヴァセーション』誌には研究者による驚くべき数字が掲載されている。「2030年に4K動画が10パーセント増えると、それだけでデジタル部門の電力の総消費量が10パーセント上昇する」。カプトロジーのテクニックによって生じる知的・社会的汚染は、環境汚染を引き起こすと、デジタル・フォー・ザ・プラネット[仏NGO]の会長は指摘する。「この3つの形の汚染は相互依存しており、別々に取り組むことはできない」
 こうした戦略に対抗するにはどうしたらいいのだろうか?まずは、グーグルの元エンジニア、トリスタン・ハリス氏がしたように、テック大企業が開発した、人を操るテクニックを告発することだ。その次には行動しなければならない。自分の存在のコントロールを取り戻すことを目指す多くの解決策を見つけることができる。通知を無効にする、最も依存しやすいアプリケーション(フェイスブック、スナップチャット、Tiktok、インスタグラム)を削除する、アルゴリズムがユーザーの憤慨を助長する(アプリケーション上のトラフィックをつくり出す)ようにできているSNSから距離をとる、寝室への電話持ち込みを禁止する、週に1日はネットに接続しないなどだ。スマートフォンの使用を禁止するレストランやバーの住所を提案する市民団体もある。台湾では、2歳未満の子どもに端末の画面を使わせる親は1500ユーロの罰金を科される。理屈は簡単だ。「台湾人はそれを虐待とみなすからだ」と、ある神経科学者は強調する。デザイナーズ・エチック[持続的で責任あるデザインコンセプト研究の協会]では研究者やウェブコンセプターが、帯域幅を過剰に使用するウェブサイトを「クリーニングし」、すっきりとしたウェブを提案している。この考え方の好例はウィキペディアだ。エネルギーを食う動画コンテンツを排しているので、何百万件もある項目を含むサイト全体は数十ギガオクテットにすぎない。ノートパソコンのメモリのごく一部分に相当するだけだ。デザイナーズ・エチックの「デザインによる倫理」の考え方のなかには、サイト上の「イベント系」(広告、動画など)を少なくし、コンテンツの推奨を少なくし、注意とトラフィックを促す「いいね!」の機能を停止することなども含まれる。
(前掲書p182)

(※12)
 将来、テクノロジーに対して人間が占める正当な位置。それが、人々の合意が最も難しいものだろう。われわれは、デジタルを、人間を救うために人間のもとに遣わされた救世主のように見なす傾向がある。ところが、現実はずっと凡俗であると認めなければならない。デジタルは人間に似せて作られたツールにすぎないのだ。このテクノロジーのエコロジーの度合いは、われわれ以上でもわれわれ以下でもない ― 将来もそうであろう。われわれが食物やエネルギーを無駄遣いするのを好むなら、デジタルもその傾向を強めるだろう。もし反対に、われわれが国境を超えて寛大であろうとするなら、ボランティアの大群をわずかの時間で動かすことができるだろう。このツールはわれわれの日常のイニシアティブ ― あまり立派でないものも、より立派なものも ― の触媒として働き、未来の世代に残すわれわれの遺産を増やす。われわれがなり果てた造物主 ― 本来は責任を持たねばならない計り知れない権力に、ほとんど無認識である ― に対し、デジタルは結局、ガンジーの強い厳命「あなたがこの世界で見たいと願う変化にあなた自身がなりなさい」をわれわれに熟考するよう導くのである。
(前掲書p256)



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2024年05月24日

爆発的に増えるデジタルデータと使用電力

こんばんは。
ネット危機、第2弾

ネットインフラがなかったら、金融部門も今ほど巨大にはならなかっただろう。
その中でも、比較的新しいのが暗号資産である。
私はほとんどわからないことだが、暗号資産のマイニングには、相当のエネルギーを費やす。
その一つであるビットコインだけでも、驚くことに、世界電力の5%を費やす。(※1)

株式取引も今や自動化され、1マイクロ秒という単位で取引できるそうだ。
1マイクロ秒というのは、1秒の100万分の1の時間であり、生身の人間では相手にならない。
したがって、「4万円は、山頂か?」で触れたように、世界中で1秒間に10億回取引されているというのは、間違っていないだろう。
アクティブ・ファンドというのは、投資の大部分の判断を人間がやるが、パッシブ・ファンドは、それを機械が自動的にやる。
たった1秒間の取引で、どっちが正確に勝つか、というと、機械に決まっている。
アメリカではすでに、パッシブ・ファンドが、アクティブ・ファンドを追い抜いてしまった。(※2)
今後、この傾向が続けば、ネットを行き交うデータは増加することになる。

パッシブファンドの優勢は、環境悪化を進めるかもしれない。
ただ単に利益のみを追求するアルゴリズムなら、売買の対象の企業が、有害物質を環境に放出しようが関係ない。
利益を確定できればいいのだから。
人間が投資判断するパッシブ・ファンドなら、相当の悪人でないかぎり、そういう企業への投資からは手を引く。(※3)
ここで、環境問題などを勘案できるようにするため、AIが登場する。
現在、デジタル技術のスターだが、AIもまた、とんでもなく電力を消費する。
最悪の場合、2040年で、世界電力の半分を消費する。(※4)
つまり、人間が使用する電力が減ってしまうことが危惧されるのである。
そのAIの判断が、どうなるかが微妙だ。
最悪、電力使用のシェア予測からもわかるとおり、人間とAIの分捕り合戦が始まるかもしれない。
したがって、AIが、人間を排除する方向の判断を下す可能性もある。(※5)
今後、電力を食うAIがどういう方向へ開発されていくのか、見ものである。

デジタルデータを無線で使う最高峰は、今のところ、5Gである。
一般人がスマートフォンで「いいね!」をやる程度では、5Gは要らない。
これを最も必要とするのではないか、というのが、自動運転車である。
さまざまなセンサーが、ネットワークを通じて交信し、そのデータは、いろいろな業界で利用されることになる。
これにより、二酸化炭素排出量は、20%増加するといわれる。(※6)
おいおい、二酸化炭素は、もう出さないんじゃなかったのか?

そして、AIが搭載されようがされまいが、現存するロボットも脅威となる。
通信機能のあるその辺のモノでさえ、データを生成している。
通信しているのだから。
人間の指示なしに、モノやロボットは通信している。
すでに、人間の指示によるデータ伝送は60%以下になっており、残りは、モノやロボット同士だ。
みなさんの手元にもよく届く迷惑メールは、機械が行なっているものだ。(※7)
無駄なデータ伝送なのだ。
無駄なデータといえば、生成AIの作るデータも無駄といっていい。
これらが、世界中のデータセンターにも蓄積されるのである。

以上のように列挙すると、ネットワーク全体のキャパシティを、誰もが心配してしまうほどではないだろうか。

バカじゃねーの!



(※1)
そのカナダ企業はデータセンターの建設計画を未来の暗号資産(仮想通貨)の「マイニング(採掘)」に転換した。莫大なエネルギーを食う急成長産業だ。暗号資産のなかで最も知名度のあるビットコインだけでも、世界の電力生産の5パーセント ― デンマークが必要とする総電力量に相当する ― を飲み込んでいる。だが、こうした観点はほとんど重視されない。なぜなら、「すばやく稼げるお金!」が約束されているからだ、と地元のジャーナリストは言う。
(「なぜデジタル社会は『持続不可能』なのか」p156)

(※2)
ソフトウェアを使うことは、簡便さ、コスト減の要求に応えるとともに、1マイクロ秒でオペレーションを行うことのできるロボトレーダーの増加に見られるように、取引所での発注の流れを加速させるのが目的だ。「高頻度取引(HFT)とは、ハイテクで超高速の自動投機システムだ」というのが、このロボット化現象についてのドキュメンタリーを制作した人の定義だ。このシステムは成功し、世界の取引の70パーセント近く、取引額の40%を占める。こうした状況では、高頻度取引を行う証券取引所から人の姿を消したのも不思議ではない。人間の能力は、「今後も競争し合う」機械の能力にもはや太刀打ちできないからだ、とドキュメンタリー作者は結論づけた。
 こうした金融市場の変化は、投資銀行から投機的運用をするヘッジファンドまで、市場のあらゆるプレーヤー集団に大変動をもたらした。「ヘッジファンドではすでに1980年代からアルゴリズムが体系化されていた。今日では、世界の1万社のヘッジファンドの多くがアルゴリズムを使っている」と、マクロ経済の戦略家は言う。もう少し正確に言うと、「アルゴリズムのほとんどは非常に簡単なものだ。それは株式を買うか売るかしそうな人数を調べ、毎分という短期間の利益を予想しようとするもの」と、科学・テクノロジー・経済教授フアン・パブロ・パルド=ゲラ氏は説明する。ブローカー会社の社員おそれを裏付ける。「とてもベーシックですよ。機械の目標は一連の統計に関連して利益を得ることで、80パーセントのケースではそれより先にはいきません」。しかし、より先端的なファンドでは、強力な情報ツールによって、人間がやるよりもより複雑な分析を行うことができる。それはクオンツ・ファンド[定量分析モデルを基に統計的・計量的に投資判断をするファンド]と呼ばれる。
(中略)
 IT革命のおかげで、クオンツ・ファンドは常により大量になっていく情報や変数を消化することができる。計算能力があらゆる人間の能力を大きく上回るため、およそ10年前から、従来のファンドよりも平均してより大きな利益を生むようになった。今日、アルゴリズムに消極的なヘッジファンドは単純にランクを下げられるほどだ。この定量分析を最も完成させた多国籍企業のひとつは、世界最大の資産を運用するブラックロックだ。1990年代末から、同社は「最先端のリスク分析とポートフォリオ管理と交渉と金融オペレーションの完全なツールを組み合わせた」情報プラットフォーム「アラディン」によって予測を行う。アラディンは15兆ドルの資産(世界の資産の7パーセント)を管理し、定量分析を比類ない威力と完成のレベルに高めた。機械は勝敗の相関関係をよく感知し、様々な市場環境に応じて詳細な投資戦略を提案する。「ブラックロックとしては、高くついて効率の低いアナリストの給与よりも、機械にお金をつぎ込んだほうがいい」と、フアン・パブロ・パルド=ゲラ氏は冷たく言い切った。
(中略)
「クオンツの究極の夢は、ほとんど社員を持たないことだ。残った社員はすべてがうまく機能するように時々ボタンを押せばいいのだから」と元アナリストは言う。その続きは容易に想像できるだろう。「そうしたインフラが機能するようになれば、ひょっとしたらコンピュータが(投資の)決定を下すかもしれない”と思うようになるのに大した想像力は必要ない」と、情報工学理論のマイケル・カーンズ教授は予測する。まさにツーシグマやルネサンス・テクノロジーのようなファンドはそれをしている。非常に強力なツールで自動化をさらに一歩進めたため、AIという言葉 ― 何でもかんでもこの言葉を使う傾向にあるが ― すら使われている。
 こうして、「アクティブ・ファンド」(投資の判断が大部分、人間に任される)に対して、「パッシブ・ファンド」がますます増えている。パッシブ・ファンドでは金融オペレーションの自動化が進んでいる。それは多くの場合「インデックス・ファンド」で、株価指数(たとえば、アメリカの証券取引所に上場された500社の大企業に基づいたS&P500など)やそれらの企業への長期投資に連動したものだ。そのため運用コストは低く、マージンは高くなる。運用するのはブラックロック、ヴァンガード、ルネサンス・テクノロジーズ、ツーシグマらだ。パッシブ・ファンドの規模は巨大だ。今日、アメリカではアクティブ・ファンドを追い抜いている。したがって、クオンツ・ファンドは氷山の一角ではない。その流れのなかで、金融全体がプログラムやアルゴリズムやコンピュータの仕事にますますなりつつあるのだ。
(前掲書p190)

(※3)
 アクティブ・ファンドのほうは、利益追求と環境保護の信念のあいだのバランスをとることができる個人によって管理されている。しかも、生身の人間である投資家自身は、無条件に株価指数だけを追うアルゴリズムのファンドよりはずっとフレキシブルだろう。実際に、投資家は各部門の特殊事情に適応できるし、必要なら「迅速に手を引く」こともできる、とサンライズ・プロジェクトのある戦略家は分析する。こうしたことから、ブラックロックにおける「人間による」投資と、自動化された投資の間の環境保護パフォーマンスに大きな開きができることが説明できる。
(中略)
 しかし、パッシブ・ファンドの管理者は、指数 ― そしてアルゴリズム ― を追うよう強いられていると主張する。しかも、顧客との契約に反することになり、投資の責任もかかってくると言う。ファンド管理者と投資家が責任を回避している間にコンピュータは化石燃料への安定した支援者として全面に出てくる。アルゴリズムの導入によってわれわれは「だれも統率することも、別の方向に行くこともできない、自動化されたコントロール下に」市場を置いたのだと、サンライズ・プロジェクトの報告書は説明する。2017年香港のベンチャーキャピタル(ファンド)であるディープ・ナレッジ・ベンチャーズ(DKV)は、「Vital」と名付けられたロボット(AI)を鳥島役会のメンバーに任命したと発表し、そのAIの分析を見てからでなければいかなる決定もしないことになった。さらに、アメリカのエキュボット[信託投資顧問会社]は各部署に「AI」を設置した。そのAIは「人間の推論を左右する感情的・心理的弱さ」を克服すると、同社の創業者は宣言した。
(前掲書p196)

(※4)
 このAIという非常にあいまいな流行語は、様々な定義を含む。データセンター業界のスターの一人であるオランダ人レックス・クアーズ氏によると、「強い」AIは非常に強力なスーパーインテリジェンスであり、「感動、直感、感情」を持つことができる可能性があり、自分の存在すら認識できるという。そのようなAIは、自分でデータを処理しつつ学習し向上する(これをディープラーニングと言う)ために必要な175ゼタオクテットのデータを人類が生成できれば、最も楽観的な見方で今後5年から10年で出現するという。
(中略)
 このようなAIは何ができるのだろうか?たとえば、これまで理解不能だった気候現象を明らかにし、エコシステムを規定する神秘的な相関関係を明確にすると考える学者もいる。別の学者は、非常に先進的なマーケティングで消費者の無意識の欲求を操作することによって、AIは環境負荷の高い商品(肉など)の消費を減らすことができるだろうと言う。だが、とりわけ、AIは気候やエコシステムによって生成される無数のデータを凝集させ、長期的な保護対策の形に再生することができるだろうといわれる。「今後200年間の環境戦略を練り上げるためには人工頭脳が必要だ。人間にそれができるとは思わない。AIがあれば、そういう戦略の計画をより速く進めることができるだろう」と、レックス・クアーズ氏は結論する。
 この行き方には危険がないわけではない。「強い」AIは、その鉱物資源やエネルギー消費から考えると、地球に恩恵よりもより多くの害をもたらすかもしれない。「うまく導かないと、(中略)環境の悪化を招く可能性がある」と、PwC社は釘を刺す。悲観的なシナリオだと、AIは2040年に世界の電力生産の半分を消費すると言われる。
(前掲書p198)

(※5)
AIが地球のためにとる決定が、たとえば自由を奪ったり、民主主義を後退させたりなど、人間に矛先を向ける度合いはどの程度なのだろうか?すでに今日、自然を守るという名目で多くの禁止事項が正当化されている(肉を食べるのをやめる、大気汚染が高まった時は自家用車を使わない、飛行機に乗らないなど)。こうした禁止事項をAIがさらに推し進めるなら、どうなるのだろうか?このような問いを発するだけで、この「グリーン・リヴァイアサン」[リヴァイアサンは旧約聖書に登場する最強の怪獣]が人間と同じ価値観 ― 最も基本的なヒューマニスト的モラルを含めて ― を共有すべきだと考えるのに十分だ。人間がAIに与える目標が人類をまさに根絶させることにつながる可能性もあるという仮定も成り立つわけだ。このリスクについては科学者のなかにも真剣に考える人がおり、環境を守るためにAIがとりうる最良の決定は、環境を破壊する者を排除することだろうという。したがって、自然保護は、自然のなかにいる人間の保護と必ずしも両立しないのだ。
(前掲書p202)

(※6)
 5Gが大規模に適用されるテクノロジーがあるとすれば、それは周囲と大量のデータを交換するコネクテッドカーだ。今日、単にGPSナビゲーターを搭載する車はすでに「コネクテッド」なのだ。それは始まりにすぎない。運転支援システムが増えているからだ。衝突のリスクがある場合の警告発信、緊急ブレーキシステム、進行方向の自動修正、死角モニタリングなど、交通安全の必要性から、2025年には世界を走行するコネクテッドカーは5億台以上になると予想される。GPSは短縮ルートを提供するため汚染を減少させるという理由で、このデジタル革命は環境問題にも有利だ。もうひとつの進歩は、電子システムによる「エコナビゲーション」で車の二酸化炭素排出を5〜20パーセント下げることができることだ。
 しかし、そのためには大量のカメラ、レーダー、ソナーによって情報がキャッチされなければならない。1代のコネクテッドカーは最大150の演算機能を搭載し、最低でも1時間あたり25ギガオクテットのデータを作り出す。搭載されたコンピュータは、パソコン20台分の計算能力が求められる。そしてそのソフトウェアは1億行のソースコードがある。ソースコードの行数だけでソフトウェアの複雑さを表現することはできないが、比較例として、宇宙船は40万行、ハッブル宇宙望遠鏡は200万行、軍用ドローンは350万行、ボーイング747は1400万行だ(図表8を参照)。いわば、コネクテッドカーのソフトウェアは宇宙船250機、ハッブル宇宙望遠鏡50台、ボーイング747の7機に相当するほど「肥満体」なのだ。アメリカのコンサルタント会社マッキンゼー&カンパニーは、自動運転車は2030年には3億行のソースコードによって動くだろうと予測している。
 今のところは将来、数百万台単位で使用されるとは言えないが、コネクテッドカーの究極の段階は自動運転車だ。「予想されたよりも複雑だったとみんなが気づいた。グーグルやUberですら、[このタイプの車の展開]を延期し続けている」と、フランスの持続可能開発・国際関係研究所(IDDRI)の研究者マチュー・ソジョ氏は打ち明ける。しかし、もし自動運転車が現実のものとなったら、LiDAR[レーザーによって周囲を検知してその距離を測定するセンサー]や超高画質画像のカメラのため、最大で毎秒1ギガオクテットのデータを作るようになる。IT大企業のある幹部によると、「100万台の自動運転車はウェブサイトにアクセスする世界の総人口のデータに匹敵する」。自動運転車はどこと通信するのだろうか?標識やスマート道路、そして「遅延」時間のできるだけ少ないエッジ(近くのデータセンター)につながったほかの自動運転車とだ。車が「自動」であればあるほど、周囲のインフラに依存するというパラドックスになる!「イノベーションには想定されていないものがある。それは、イノベーションがもたらす物質面の背景だ」と、マチュー・ソジョ氏は分析する。
 しかしながら、安心させるようなことを言う人もいる。自動運転車で作られるデータのほんの一握りしか、周囲と通信するために車外に送られるのではないという見解だ。自動運転車はそもそも共有するためのものだから、走る車の数は制限される(この点は議論の余地がある)という意見もある。ひとつ確かなことは、自動運転車はずっと多くの電力を消費する ― 1台あたり1500ワット増し ― ということだ。このことは自動車の走行距離に影響を及ぼすのだろうか?バッテリーの容量を増加させるべきなのか、あるいは電力消費の追加分を補うためにハイブリッドモーターを優先すべきなのだろうか?自動運転車によって作られたデータは、それを伝送、保存、処理するインフラによって二酸化炭素排出につながる。そしてそのデータは人々の消費習慣をよりよく知り、ドライバーに適した車両保険製品(あなたがどう運転するかによって保険料を払う[PHYD型自動車保険])を提案したり、対象を絞った広告のために使われるだろう。このため、自動運転車の走行1キロメートル当たりの二酸化炭素排出量は間接的に、自動車の平均排出量の20パーセント増につながるのだ。たとえ世界中で常により厳しい排出規制がとられたとしてもだ。
(前掲書p175)

(※7)
「コンピュータとモノが人間の介入なしに通信する。データ生成は人間側の行動にとどまらない」と、ランカスター大学のマイク・ハザス教授は言う。この現象は当然、環境負荷を生じる ― われわれが計算したり、あるいはコントロールすることさえできずに。ここで、厄介な疑問が湧いてくる。デジタル活動において、ロボットはいつの日か、人間以上に環境に大きな影響を及ぼすようになるのだろうか?
 この疑問は真面目なものだ。人間の行動はインターネット上で満足できる活動全体の60パーセント以下にあたり、残りは「ロボットや、職業上そうする人間によって生産されるまがいものの意図である」と、アテンション・エコノミー(関心経済)についての本を書いた著者は明かす。インターネットは事実、戦場だ。そこでは、「トロール(迷惑行為)」や「ボットネット」[マルウェアに感染し、悪意のある攻撃者の制御下に置かれたコンピュータ群]、「スパムボット」[スパムメールを送信することを目的としてウェブ上から大量のメールアドレスを自動取得する] ― 自動化されている場合が多い ― が迷惑メールを送ったり、SNS上で噂を広げたり、特定の動画の人気を誇張したりする役目を負う。2018年、ユーチューブは「不正」とみられる動画再生を察知するツールを作動したほどだ。モノのインターネットでは当然、そうした人間の行為でない活動が急増する。とりわけスマートハウスやスマートカーなどのマシン間の接続(machine to machineを略してM2Mともいう)は2023年にはウェブへの接続の半分を占めるだろう。データに関しては、人間の行為ではないデータが人間の行為によるデータよりも2012年以降はより多く生産されている。
 これはまだ序の口にすぎない。今ではロボットは他のロボットに返答するからだ。2014年以降、「敵対的生成ネットワーク(GAN)」により、たとえばソフトウェアが有名人の顔を入れ替えたり、発言を変更したり(ディープフェイク)することが可能になった。しかも、このネットワークに対し、それを破壊するアルゴリズムで対抗する・・・・。「人間はだれもこうしたコンテンツを作るためのソースコードを書いていない。マシンがそのディープフェイクを暴露するために動く。マシン同士の戦いです」と、インターネット専門の英国人エンジニア、リアム・ニューカム氏は解説する。
(中略)
人のための人の使うインターンっとから、マシンの使う、あるいはマシンのためのインターネットに代わろうとしている。そうなると、「(データ生成の)天井は際限がない」と、ハザス氏は結論づける。
(前掲書p186)


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2024年05月23日

情報通信技術(ICT)の現状

ふたたび、こんばんは。

湯治先では、「なぜデジタル社会は『持続不可能』なのか」という本を読んできた。
びっくりした。
ネット社会は、やがて行き詰ることになるかもしれない。

今や、寝たきり老人などの超高齢者を除く大多数の地球人にとって、インターネットは、常時使用しているに等しくなった。
しかし、非常に厄介な問題に直面している。
デジタルデータが爆発的に増加し、それに対する設備のキャパシティが不足、さらに電力が不足するという事態に直面しつつある。
このことは、最近、NHKでも、サラッと取りあげていた。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240515/k10014449481000.html(「NHKニュース」)

私は以前、「いいね!」に参加したことがある。
しかし、あんなものは相当の暇人がやるものだと思い、とても付き合ってられないので、やめた。
スマホの常時使用で、「いいね!」産業は潤っている。
この「いいね!」とスマホの常時使用が、データ生成を増大させ、地球、そして、人間そのものに負荷をかけ始めている。
あなたの「いいね!」は、地球の果てまで行って戻ってくるというシロモノなのだ。(※1)

グーグルのGmailは、6つコピーされ、金融機関の取引データもかなりの数をコピーし、データセンターで管理している。(※2)
なぜ、そんなにコピーしておかなければならないか、というと、誰も経験しているように、デジタルのシステムは完全ではなく、エラーを起こしたり、止まったりするから。
電力遮断により、データセンターが止まってしまったら、データを扱っている会社にとって、命取りになる。
したがって、GAFAMは、自社サーバー以外にデータセンターも使う。(※3)
インターネットは、すでに、止まってはならないのだ。
だから、世界中にデータセンターがたくさん必要となる。(※4)
その数、小規模なデータセンター(それでも500平方メートル以上)は、世界に300万ケ所、サッカー場クラスの大規模なものは、500ヶ所もある。(※5)
私たちが知らないうちに、知らないところに作られている。
今後、どれほど作られることになるのか?

世界中のデータセンターを結んでいるのが、海底ケーブルである。
スマホのように空中を飛び交うデータというのは微々たるものであり、データ伝送の主役は海底ケーブルである。
そのシェアは、99%!(※6)
データ伝送、データ生成が多くなった理由は、海底ケーブルの充実にあるようだ。
交通で例えれば、道路網が整備されないと交通量は増えない、ということと同じで、データの通り道がたくさんあれば、みんなそれを利用する。
しかし、データ生成の増加速度のほうが、ネットワーク全体のキャパシティの増加速度を上回っている。
いずれ、限界点が訪れる。(※7)
したがって、はっきり言えば、とんでもないデータ量を食うオンライン動画、オンラインゲームなどに、高額課金する方向へ進めなければならないだろう。(※8)

それでも、どの国家も、デジタル利用を推進しようとしている。
持続可能かどうかは、非常に怪しい。
ネットワークが膨張すればするほど、何が起きるのか、想像できるだろう。



(※1)
 読者のみなさんは、「いいね!」を送りたくてたまらないだろうし、職場の同僚に気に入られるために、その人のフェイスブックのプロフィールの写真に「いいね!」を送っているだろう。ところが、その愛すべき人の携帯電話に届くのに、「いいね!」はインターネットの7つの層を通っている。第7層が端末(パソコンなど)にあたる。あなたの愛情に満ちた通知はネット中間層(データリンク層、ネットワーク層、トランスポート層など)を通り、ネットの最初の物理的な層(物理層) ― とりわけ海底ケーブルからなる ― に達する。第1と第7の層の間では、あなたの通知は携帯電話事業者の4Gアンテナを通るか、あるいはインターネット・モデムを通る。モデムは、集合住宅の共用部分を通って、歩道の80センチ下に埋められた銅線ケーブルにつながっている。そして、そのケーブルは大きな連絡道(高速道路、川、引き船道、鉄道など)を通って、通信事業者の施設で他の「いいね!」に合流する。それから海を渡ってデータセンターを通過しなければならない。今度はそこから、「いいね!」は第7層までの逆の道をたどって、あなたの好きな人の電話まで到達するのだ。あなたの同僚がわずか10メートル離れたところにいても、あなたの発した信号は実際に何千キロもの旅をする。
(「なぜデジタル社会は『持続不可能』なのか」p37)

(※2)
2010年頃にグーグルのエンジニアが行った後援会では、Gメールは6重に複製され、チャットビデオ1本は通常、世界各地の少なくとも7つのデータセンターに保存されると説明があった。検証はできないが、大きな金融機関はデータセンターを15回も重複させているという噂もある。クラウドサービス産業は「幽霊データセンター」で満ちている。この業界の企業の設備の30パーセントまでは「電源は入っているが、待ちの状態で、何もしていない」と、マルク・アクトン氏は言う。
 最後に、クラウドサービス企業はトラフックのピークに備えてインフラを「必要以上に大型にしている」。その結果、「ルーターがキャパシティの60%作動すれば、それが最大ということだ」と、IT研究者のアンヌ=セシル・オルジュリ氏は言う。こうした過度の設備に必然的な帰結は、途方もない電力の浪費だ。「ニューヨーク・タイムズ」の調査によると、ほとんど使われていないデータセンターは消費する電力の90%を無駄にしているとする。
(前掲書p121)

(※3)
世界最大の企業(グーグル、フェイスブック、アップル)は自社内にあるサーバーで管理している。しかし、コストと安全のため、自社のサーバーの管理をエクイニクス、インターシオン、エッジコネックス、サイラスワン、アリババ・クラウド、アマゾン・ウェブサービスといった専門企業に委託するのを好む企業が増えている。そうした良い「宿主」は、顧客のデータを「同居」させるデータセンター、つまりインターネットでつながった「サーバーのホテル」に受け入れているのだ。このような設備全体が「クラウド」を形成する。クラウドとはどんなインターフェースからもアクセスできるデータ保存の外注サービスであり、今日世界中で生成されるデータの3分の1はクラウドを通過している。「あなたの日々の生活で、ごくありふれた必要のために、10ヶ国に散らばったおよそ100のデータセンターを動かしているのです」と、データセンター会社「Hydro66」の営業部長、フレドリック・カリオニエミ氏は私に説明してくれた。「データセンターなしに何も存在しない!われわれのデジタル生活の中心なのだ」と、「データセンター・マガジン」の編集長、イヴ・グランモンターニュ氏は結論づけた。
(前掲書p90)

(※4)
インターネットは、「サービスの継続性」という絶対不可侵の神聖なる掟のもとで発展しているということを理解しなければならない。ウェブは途切れなく機能しなければならないし、「いつでも使え」なければならない。人命や国の安全保障がかかっているならば、医療や軍事のデータに常にアクセスできないといけないのは明白だ。しかし、休みなくネットサーフィンする何十億人という利用者を満足させなければならないことも容易いことではない。ネットは眠ることはなく、ネットを使うときに待ち時間があるのはもう許せないのだ。「1990年代末には、ウェブサイトのトップページが開くのに8秒かかった。今は、0.8秒でトップページ全体が見えないと、人は3つ目のモニター[1台のパソコンに3つのモニターを使う場合]を見るんですよ」と、データセンター研究所所長フィリップ・リュース氏は言う。要するに、われわれは「現在」の論理から「瞬間」の論理に移行したのだ。この「即時性」という暴君は、リアルタイムであらゆる障害物を分析するコネクテッドカーや、マイクロ秒で取引するロボット・トレーダーや、毎分何百万ユーロの売上を上げるeコマースのサイトに支配された世界では増幅するばかりなのだ。
 データセンターを止めることができないのは、そういう理由からだ。「大雑把に言うと、データセンターが約束するのは、“常にオン”ということだ。あなたは常にオンになっているということ。“邪魔をしないでくれ”モードは存在しない」と、フィリップ・リュース氏は結論づける。常に競争が激しくなる業界なので、クラウドサービスの多くの企業は自社のインフラが99.995パーセントの時間、機能することを約束している。つまり、年間わずか24分間使用できないというだけだ。「何度もブラックアウトする企業は、この業界から撤退する」と、リュース氏は断言する。
(前掲書p117)

(※5)
「クラウド」が世界の主要な通信情報ハブ(ワシントン、香港、ヨハネスブルク、サンパウロなど)、とりわけ主要な証券取引所(ロンドン、フランクフルト、ニューヨーク、パリ、アムステルダムなど)に定着するには12年ほどで十分だった。その結果、現在、床面積が500平方メートル以上のデータセンターは世界に300万ケ所近くある。そのうち、8万5000は中程度の規模で、エクイニクスAM4に相当するような大規模なものは1万弱ある。このコンクリートと鋼鉄の建物のうち、サッカー競技場に相当する大きさの「ハイパースケール・データセンター」は500以上ある。
(前掲書p92)

(※6)
今日、世界のデータトラフィックの99パーセントは空中ではなく、地下や海底に敷設された管を通っている。われわれの位置情報やズーム会議あどのデータは、黒竜江省の鉱山やスカンジナビア半島の川、台湾の空にその痕跡を残すだけではない・・・・。海峡や三角州を通って海の深淵を這う。毎日、われわれは何千キロメートルも離れたところに散在する何百というケーブルを使っているのだ。それなのに、通話や写真や動画は空中を飛んでいると思い込んでいる人が多い。おそらく、われわれのデジタル行為は、ファイバー網でデータが運ばれる前に、まずアンテナ(3G、4G、5G)に中継されるからだろう。
(中略)
ケーブルはポリエチレンにくるまれた細い金属の管で、中心にペアになった光ファイバー、つまりガラスの線維が通り、光パルスによって暗号化された情報が1秒あたり20万キロメートルの速さで伝送される。
(前掲書p208)

(※7)
「道路網の比喩を使ってみてもいい。道路が多くなると、それを使う車の数も多くなる。同じようにキャパシティが上がると、そのキャパシティを使う欲望をさらに高じさせる。」と、海底ケーブルシステムの専門家は分析する。「データ市場は、自前の高速道路[光ケーブル]をさらに多く建設する人たち ― GAFAM ― によって維持されている。そうなると、制限はなくなる」と、別の専門家は言う。ケーブルによって直接生じる汚染は大したことではないが、ケーブルの増加がデジタル界の拡大―端末やデータセンター、エネルギーインフラの拡大を伴う―を引き起こすことになる。パンデミックのために2020年の一時期に自宅待機した人々は、ズーム会議やWhatsApp上の飲み会を発見した。こうした新たなデジタル習慣によりトラフィックは爆発的に増え、ユーチューブやネットフリックスはオーバーヒートしたネットワークを鎮めるためにストリーミングサービスの画質を一時期下げざるをえなかったほどだ。「10年後に次のパンデミックがあれば、私たちは頭にヴァーチャル・リアリティのヘッドギアをつけているだろう」と、ケーブル産業界のある人は予言する。消費者がそれを望むだろうし、なにより、通信技術の発展でそういうことが技術的に実現できるようになるからだ。
 ところが、1015年、バーミンガム大学(英国)の応用化学・工学教授のアンドリュー・エリス氏は次のように警告を発した。われわれのデータ生成は、それを処理するネットワークのキャパシティよりも速く増大している。要するに、8年間で ― 2023年に ―システムの限界に達するだろう。同氏は「キャパシティ・クランチ(伝送容量の危機)」という言葉を使った。この警告に呼応するかのように、光ケーブル産業界も「シャノン限界」、つまり光ファイバーが伝送できるデータの最大容量に近づいていると認めている。また、数多くの戦略的ケーブルが通る海峡などのネックがあることも認めた。そういう場所のひとつでトラブルが起きれば、ひとつの大陸全体、あるいは世界的な影響が起こる可能性がある。
(前掲書p226)

(※8)
電子メール1通は最低0.5グラム、添付ファイルがあれば20グラムの二酸化炭素を生じさせる。これは電球1時間使う時の二酸化炭素排出量に匹敵する。そして、世界中で毎日、3190億通電子メールが送られているだ。とはいえ、電子メールの二酸化炭素排出量は、データトラフィックの60パーセント占めるオンラインゲーム動画に比べると微々たるものだ。あるデータセンター事業者は、この数字をわれわれ個人のレベルに置き換えて示してくれた。そのため、韓国歌手PSYの世界的ヒット「江南スタイル」のミュージックビデオ ― 年間およそ17億回視聴された ― を例に挙げ、この18億回の視聴は、イッシー・レ・ムリノー[パリ郊外の市]、カンペール[ブルターニュ地方の都市]、トロワといった小都市[いずれも人口6万人強]の年間電力消費量に匹敵する297ギガワット時に相当するとした。
(前掲書p136)
データ生成によって約束された“無料”は、当然の帰結としてインターネットの消費を増加させる。「“オープンバー”[見放題]になった瞬間から、猫の動画を10本目ではやめずに、11本目も見るでしょう」と、フランスのシンクタンク「ザ・シフト・プロジェクト」のメンバーであるユーグ・フェールブッフ氏は言う。つまり、「無料」は「データ激増」と同義語なのだ。
(前掲書p104)



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硫黄泉めぐり

こんばんは。

突貫工事的に(いか釣りの艤装は、4日間でやった。FRPの仕事も船の修善をかねてやった)集中して仕事をやったものだから、疲れてしまった。
嫌になったら、温泉でリフレッシュ!
するめいかの漁もないし、3回目の温泉で今年は異常(笑)。
もともと、腰、右ひざ、左ひじが痛くて、長く温泉にいればいいのに、会議の予定が飛び飛びに入っているので、どうにもならない。
「湯治にしては、滞在が短すぎないか」とは、よく言われる。
それでも、少し良くなった気がする(笑。気分の問題かな)。

3回目は名湯めぐり。
基本、松川温泉だが、初日、国見温泉に寄り、日帰り入湯。

国見温泉.JPG

ここの湯は、非常にいいと思う。
硫黄泉であるのに、ペーハー7の中性温泉である。
しかも、炭酸水素泉で、体にしみわたる感じ。
炭酸泉は、泉温が低くても体が温まる。
みなさんも観察してほしい。
ぬるく感じても、湯上りの後は、ちゃんと体が暖まっている。
私は、できれば、有馬温泉の銀泉に浸かりたい。
有名な炭酸泉である。
でも、国見の湯も、たぶん、極上だと思う。

国見の石塚旅館は、まだ、宿泊には対応していない。
冬の大雪など、自然の脅威に建物などの施設が耐えられず、毎年復旧工事をやるらしい。
大工さんたちが作業をしていた。
帰るときに、「私は、いか釣りで夏は来れないので、4月からやってくださいよ」と言ったら、女将さんかな?ゲラゲラ笑われた。
つまり、どう考えても無理ってこと。
それほど、雪害が大きいらしい。

松川温泉から帰ってくる日、泉質がほぼ同等なのではないかと、八幡平の頂上近くの藤七温泉にもいってみた。

藤七温泉.JPG

松川温泉よりも、酸性度が強い硫黄泉。
標高1400mで絶景らしいが、あいにく濃霧で何も見えず、周囲には雪もあり、寒い。
露天風呂が有名で、確かにブクブクと沸いている。
が、泉温が低かった。
体がそれほど温まらず、気温が低かったので、内湯に長く浸かった。

ここも冬季は閉鎖だ。
やはり、大工さんたちが建物を修理していた。
その合間を裸で内湯から露天風呂へと客が歩いていく。
行くはいいが、帰りは体が冷える。
観光目的ならいいかもしれないが、湯治には向かないと思う。

今までいろんな温泉に浸かってきたが、松川温泉がベストである。
ある人が言っていた。
お湯は良くても、宿の部屋や廊下が寒いと、何度も湯に入りたくなる。
しかし、あまり何度も入浴すると、湯当たりの危険性が大きくなる。
理想は1日3回で、多くて4回か。
したがって、宿の暖房が、高得点の評価となる。

松川温泉は、松川地熱発電所の熱水を供給してもらっていて、それが施設内の暖房となっている。
真冬ともなると、車高の高い四駆でないと、遭難する。
だから、松川温泉行きのバスは、四輪駆動のボンネットバスなのだ。
ワイパーは旧式なので、左右同時に動かない。
それほどの豪雪地帯だから、暖房は命である。
真冬でも、浴衣1枚でも廊下を歩ける。
逆に中途半端な季節は、寝室は暑すぎるくらいだ。
そんな時は、窓を少し開け、網戸から空気を入れる。
たまにカメムシがしのび込んだりするが、温泉ではよくあること。
カメムシを忌避したいのなら、温泉に行くのはやめたほうがいい。

松川温泉は、地熱発電所の恩恵があるからこそ、いい湯治場だと思う。
泉質は硫黄泉の酸性泉で、泉温は熱め。
私の泊まる峡雲荘の風呂は、気温に左右されるように感じる。
源泉から、少し離れているのかもしれない。

いつもなら、峡雲荘に素直の行くのだが、風呂の天井が腐ってしまって、今年大改修している。
1ヶ月ぐらい休館したのではないか。
現在は、一つの内湯が完成したので、露天風呂と交代で、男湯と女湯を設定して、ようやく開館にこぎつけた。

峡雲荘風呂工事.JPG

今でも、片方の風呂の工事をやっている。

峡雲荘風呂工事2.JPG

峡雲荘風呂工事3.JPG

思い出せば、2年前になるのかな?
偽のパンデミック騒動の最中、私は峡雲荘に来た。
普段の土日なら混んでいるのに、かわいそうに3人しか客がいなかった。
貸切状態である。
これで経営が成り立つわけもなく、従業員たちは暇なので、あちこちを磨いていた。
靴箱まで磨いていた。
何より、感染者がこの宿から出るのが恐怖だったようだ。
明るく振る舞うように努力しているのがかわいそうだった。

私は女将さんに言った。
「あんまり気にしないで、出たら出たであきらめるしかないよ。その時はその時だ。大丈夫だよ」
その時のことを、女将さんは覚えていた。
何しろ、客がいなかったのだから。

生き残ってよかった。


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2024年05月21日

死ぬ時に、自分の人生の価値がわかるのかも

3回目。

先日、かごの同業者の船主が他界し、手を合わせに行ってきた。
私は彼の生前、「かごの周年操業はよくないよ」と言ってきた。
はじめの頃は、「それでは、船をやっていけないよ」と全く取り合わなかったが、後には、同じことを言う私に、何も言えなくなっていた。
それほど、魚類資源が減ってきたからだ。

違法行為の備忘録」の投稿に関して、彼は私に電話してきた。
彼がまだ元気だった頃だ。
たった3ヵ月前。
普段はまず、私に電話はよこさない人なのだが、この時ばかりは「いいことを書いてくれたなあ」と。
今、思い起こせば、単なる偶然なのか、何なのか。

私の父が述懐するが、木船のいか釣り船をやっていた頃、彼は時化を操業する時のライバルであった。
その後、いよいよ三陸前沖のいか釣り船が、バッタバッタ倒産する時代になり、秋鮭が盛んになる。
私の家では、木船のトン数が大きかったため、鮭延縄で捕まったこともあり、FRPの9.7トン型の新造船で、春鮭鱒と秋鮭で年間水揚げの8割くらいを獲るようになっていた。
夏は、いか釣り漁業やかご漁業をやった。
そのかご漁業のことで、彼は、私の父に内容を聞いていた。
私の父は、「かご漁業は、経営的に悪くない」と回答したらしい。

本当のところ、私の家でも、鮭鱒以外は、すべてかご漁業にしてもよかった。
そのほうが、もっと儲けただろうと思う。
が、いろいろとやっていたおかげで、今がある。
知恵という財産が大きいし、いろいろと教えてくれる県外の友だちも大きい。
地元にしかいない人とは、考え方も少しは幅広いと思う。

亡くなった彼は、生前の自分の人生を、どう思っていたのだろうか。
最近の私は、そういうことばっかり考えるようになっている。
彼の寝顔は、穏やかだった。

私は、自分の漁のことは、ほぼ満足している。
もちろん、一番がいいのだろうが、私は、常に一番ではない。
漁のその辺の順番は、テキトーな部類に入る。

が、厳しい(常に怒る)父にしぶしぶ従って、いろいろな仕事をやらされてきたおかげで、今の自分がいるだろう。
何でもやってしまうから、まあ、食いっぱぐれたことがないというか・・・・。
超仕事人間で、常に手で仕事をしていないと、私は気持ちが落ち着かない。
というより、仕事をしている最中に、「あれもこれもやらなきゃ!」と頭に中に浮かんでくるのである。
こうなると、際限がない。
最近は、考えたことを忘れることのほうが多い。
一般の社会人に比べ、読書もしているほうだから、社会活動に関しても、「あれもこれも」なのである。
つまり、欲張りなのだ。
妹が家事をやってくれるようになって、家事負担が減ったから、私自身の負荷がかなり減ったつもりが、実はそうではない。
欲張りなために、忙しさはぜんぜん変わらない!

私はここであの世に行っても、たぶん満足なのだと思う(笑)。


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秋祭りの準備

ふたたび、こんばんは。

毎年秋に行なわれる地元の稲荷神社のお祭り(「4年ぶりのお祭り」参照)。
その時に立てられる旗柱の土台が木製であるため、長年の使用消耗で腐ってしまっている。
昨年は1ヵ所を応急的な土台を使った。

旗柱の土台.JPG

反省会で、腐らないFRPで作ってみたらどうか、と提案したら、やってみろ、という意見もあり、作ってみた。
これは、ペンキを塗る前のできたて。

旗柱の土台2.JPG

何個も作る羽目になるかもしれないので、型を作って、型抜きの方法にした。
マットとクロスのサンドイッチ工法で、16枚使った(11枚で最初作ったが、強度が弱いかも、というので、後に5枚足した)。
一度使ってみて結果が良くて、なおかつ、「作れ!」という指令があったら、また作る。
指令がなかったら、もちろん、作らない(笑)。
問題は、強度だろう。
旗柱を立てる時に、インパクトドライバーなどで、ボルトの穴を空けてもらえれば、それで完成!


旗柱の土台3.JPG

祭りの直前に作るには余裕がないので、いか釣りの準備の前に作った。
こんな形でしか、私は高浜地区に貢献できない。
学校を終わって、いか釣りで旅歩きばっかりしてきたから、消防団にも入らなかったし、自治会の活動にもほとんど参加していない。
死ぬ前に、少しぐらい役に立っても・・・・。

無記名の奉納。
勝手に地元のお酒でお祝い(笑)。

御神酒.JPG



posted by T.Sasaki at 20:07| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ネジのパッキン交換

こんばんは。

先月かな?今月かな?
いか釣り機のパッキンを取りに八戸へ行ってきた。
今月だ。
その時、機械屋さんから、「そろそろオーバーホールだよね。新台は無理だろうからオーバーホールしたら?」と言われ、私は「まだあと3年くらいあると思うよ」と答えたら、「そうかなあ?」と言われた。
サンメイSXの改良型で「-S」が付く型番。

帰ってから調べてみたら、購入が平成26年。
オーバーホールしたのが、平成31年、つまり、令和元年。
あれまあ!
再び、オーバーホールしてもいい年頃になっていた。
来年だ、オーバーホールは。
自分の年も取っているのだから(笑)、やっぱり機械も年を取っていた。
私は、新台を買えない!

毎年、いか釣り機械を積んでは降ろししているものだから、配線口のネジのパッキンがついに役に立たなくなっていた。

配線口.JPG

そこで、パッキンの交換。

ネジ パッキン.JPG

機械屋さんの話では、パッキンがなくても、そんなに水は入らないと言うが、船を辞めるまでこの機械を使うことになるかもしれないから、交換した。
一応、試運転では完全に動いたが、来年のオーバーホールの時は、端子も全部交換する予定だ。
もちろん、自分がやる。
無線屋さんに、専用の圧着工具を買わされたから(笑)。

posted by T.Sasaki at 20:03| Comment(0) | TrackBack(0) | いか釣り漁業 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年05月19日

スパンナイロンの再利用

ふたたび。

私のいか釣の艤装は、集魚灯の設備をモジュール式で撤去したり積み込んだりしているので、いちいち、配線をやりなおさなければならない。
配線では、ほとんどは市販の結束バンドは使わずに、いさだの下げそのリサイクルである。

スパン結束バンド.JPG

いさだの乗組員には、このスパンの回収に手間をかけるが、リサイクルということで協力をいただいている。
手間はかかるが、大した仕事ではない。

ということを理解できないんだよな、みんな。
手間とモノの単価との競争であるが、経営者とすれば、手間の費用で別のものを作る、と考える。
これを否定する人は、経営者には向かない。
民間業者は、たぶん否定しないとは思うが、税金でご飯を食わしてもらっている人たちは、どう考えるか?
君たち、よく考えたまえ!
できることは、たくさんある。
posted by T.Sasaki at 22:09| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

極端なことには理由がある

こんばんは。

いよいよ、今年もバカの一つ覚えで、いか釣をやろうと準備している。
私のことを理解してくれている乗組員、無線屋さん、機械屋さんをはじめ、もろもろの人の応援をいただいて、いか釣の艤装も順調だった。
が、集魚灯の試運転で、問題が。

光らない電球.JPG

光るはずの電球が、極端に光らない!
同じ回路だから、同時に光るはずなのに!
いろいろと同業者に聞いたら、これは集魚灯トランスのコンデンサーがいかれている、とのこと。

私は今までこんなことは経験したことがないので、ソケットの圧着スリーブを取り換えてみたり、トランスのランプ側や電源側を他の端子と交換したり、やってみた。
先輩方の助言が正しかった。

9.7トン型の機関室では、いちいちトランスを引っ張り出して修理するのは、余程暇がないとできないと思う。
だから、今季は、点かない電球の回路は、オフにして使う。

こんなトラブルに遭わなかった私は、今まで運が良かった、と思うことにしよう。
いろいろと聞いたが、どうやら、トランスの配置条件によるところが大きいらしい。
参考までに。
posted by T.Sasaki at 21:39| Comment(0) | TrackBack(0) | いか釣り漁業 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする