こんばんは。
漁もなく暇なので、「
免疫について」シリーズの「8」まで、読みやすくアップデートした。
今までプーファの説明なしに、いろいろと書いてきたが、ここで勇気をもって、それを明らかにする。
まずは、プーファが酸化してできるアルデヒドから。
崎谷先生は、医学生時代に、ホルマリンという標本を保存する溶液から嫌な経験をした。
これは、ホルムアルデヒドという毒であり、シックハウス症候群の原因となる。
タンパク質のアミノ酸を固定して標本を保存できる、ということは、生きた人間の組織も固定し始めるということであり、毒以外の何物でもない。
(※1)そして、アルデヒドといえば、アセトアルデヒド。
二日酔いの原因物質である。
飲み過ぎれば二日酔いになる。
これは、アセトアルデヒド脱水素酵素のカバーする領域を越えて、酒を飲み過ぎた場合に起こる。
日本人には、この酵素が少ないため、二日酔いはおろか、急性アルコール中毒で死ぬこともあり、これに関するがんも多い。
酒を飲んでいる中、タバコの毒は、それに追い打ちをかける。
(※2)アセトアルデヒド脱水素酵素には2種類あり、分解能力が高いN型と、分解能力が低下したD型がある。
基本的に、遺伝的に受け継いだNN型、ND型、DD型の3種類となり、酒の強い弱いは、酒に強い人、酒をある程度飲める人、全く飲めない人の3種類しかない。
この分布には特徴があり、大和朝廷を作ったといわれる大陸からの渡来人の多くいる地域はNN型が少なく、逆に辺境に追いやられた先住民(南方系)のいる地域はNN型が多いようだ。
(※3)つまり、先住民の血を濃くひく人たちは、酒が強い、と言えるのかもしれない。
私は、ある程度の飲める部類であり、ある意味、最も幸せである。
酒の強い人は、限界を知らずに飲むため、結局のところ病気になりやすいし、早く死にやすい。
プーファの登場は、1万年前の農耕が始まった時代であり、これ以降、植物油が酸化してできたアルデヒドに人間は、知らず知らずのうちに脅かされてきた。
(※4)人間の側も、飲酒の解毒作用をもつアルコール脱水酵素と同じように、アルデヒド脱水酵素などの解毒酵素で対抗できるが、これにも限界がある。
量の問題である。
プーファの過剰摂取で、さまざまな病気が発生する。
病気は、「
免疫について」シリーズの第1回「
免疫について」で記した「私たちの体は、自覚しない炎症をあちこちで起こしている」ということの、量の問題なのである。
したがって、免疫力を維持するとは、これらの毒物をできるだけ摂取しない、ということと同義なのである。
(※5)(※1)
日本では医学部の三年生で解剖実習があります。私は、この解剖実習が嫌で仕方ありませんでした。人体を解剖することに激しい抵抗があったわけではありませんが、解剖実習の部屋に入ると気分が悪くなったのです。
そして大学院のときには、病理解剖という死因を特定するための死体解剖を経験しました。このときは、学生時代の気分の悪さに比較にならないものがありました。
臓器を保存するためにホルマリンという溶液に漬けるのですが、この物質が揮発して目や粘膜に激しい刺激をもたらしたからです。
病理解剖の部屋を出て一両日中は両目の痛みが続き、充血していました。おそらく毎日この溶液に接している人は、かなり健康を害していたと思います。
このホルマリンは、ホルムアルデヒドという猛毒の物質の溶液です。
そのホルムアルデヒドがなぜ臓器標本の保存溶液として使用されるのでしょうか?
それは、ホルムアルデヒドがもつホルミル基(-CHO)が、タンパク質のアミノ基(-NH2)と結合して次々と凝固させていくからです(架橋反応といいます)。標本を“固定”するには都合のよい物質なのです。
ホルムアルデヒドは、もっとも単純な「アルデヒド」という物質の化合物で、「シックハウス症候群」の原因物質でもあります。
さまざまなアルデヒド(本当は「アルデハイド」と表記・発音する方がよい)を総称して、アルデヒド誘導体(以下「アルデヒド」と略称します)といいます。これらのアルデヒド誘導体は、後述するように次々にタンパク質に結合して遺伝子などの構造・機能を編成させダメージを与えていくのです。
「プーファ・フリーであなたはよみがえる!」p14
(※2)
日本人(そして東アジア)に食道がん、上咽頭がん、胃がん、肝臓がん、大腸がん、さらにはアルツハイマー病などが多いのは、なんとこのアセトアルデヒドを分解する酵素(アセトアルデヒド脱水素酵素:ALDH2)が少ない、あるいはないことが関係していると報告されています。
(前掲書p16)
毎年、コンパなどで学生が急性アルコール中毒で命を落としますが、それはこのアルデヒド化合物が蓄積して、全身、特に脳に急激なエネルギー代謝障害を起こすからです。お酒を飲んですぐ赤くなる人や気分が悪くなる人は、アルコールを避けるのが賢明です。
また車の排気ガス、タバコの煙などにもこのアルデヒドの一種である猛毒の「アクロレイン」が含まれています。
酒場ではお酒を飲んでタバコをぷかぷかふかしている人をよく見かけます。あれは、よく考えるとお酒とタバコの「アルデヒド」のダブルパンチをわざわざ食らっているのです。
この「アルデヒド」は、実はお酒を飲まない人やタバコを吸わない人でも日々蓄積しています。
(前掲書p17)
(※3)
体内に入ったアルコールは肝臓で分解されます。その際に発生するアセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH)により酢酸に分解され、最終的には水と炭酸ガスになって体外に排出されます。ALDHの働きが弱いと、わずかな量のお酒でも、顔面紅潮・吐き気・動悸・眠気・頭痛などのフラッシング反応を引き起こすことがあります。
ALDHは数種類あるのですが、そのうちALDH2をつくる遺伝子の違いが、お酒に強いかどうかに大きく関係しています。
ALDH2には分解能力が高いN型と、突然変異で分解能力が低下したD型があります。誰でも両親からいずれかの一つずつを受け継ぐので、人間にはNN型、ND型、DD型の3パターンあることになります。
NN型に対してND型は約16分の1の代謝能力しかありません。さらにDD型にいたっては代謝能力を失っています。つまりND型やDD型は、一般的にお酒に弱い人、もしくはお酒を飲めない人ということになります。
ALDHのタイプは生まれつきの体質ですが、人種によってその出現率が異なります。お酒に弱いND型とお酒が飲めないDD型は、モンゴロイド(黄色人種)に多く見られ、それぞれ約40%、約4%認められます。これに対しコーカソイド(白人種)とネグロイド(黒人種)はほとんどお酒に強いNN型です。
ちなみに2006年に、全都道府県の5255人を対象にタイプ別の割合を調査、順位づけた報告があります。それによればNN型は中部、近畿、北陸、北九州など西日本で少なく、東西に向かうにつれて増加し、東北、関東、南九州、沖縄で多くなる傾向がありました。
(「日本酒の科学」p302)
(※4)
約1万年前に農耕革命が起こってからの人類の心身の健康状態はかなり悪化しました。その原因は穀物、豆類の過剰摂取にあります。
本書で何よりも指摘したいことは、穀物・豆類の最大の問題点がこの「アルデヒド」に関係しているということです。それは穀物・豆類に含まれている脂質(油)成分がアルデヒドに関係しているということです。
その脂質とは「多価不飽和脂肪酸(Polyunsaturated fatty acid:略してPUFA(プーファ)とよびます。以下「プーファ」と略記)です。
(「プーファ・フリーであなたはよみがえる!」p18)
さて、プーファ(PUFA:多価不飽和脂肪酸)が体内に摂取された場合、必ず酸化されて一部は変性していきます。
この、体内でプーファ(PUFA:多価不飽和脂肪酸)が酸素に触れて(酸化して)変性したものを、内因性のアルデヒド(過酸化脂質)といいます。
体内で形成される内因性アルデヒド(過酸化脂質)の代表的なものには、アクロレイン、ハイドロキシノネナール、(4−HNE)、ハイドロキシヘキサナール(4−HHE)、マロンディアルデハイド(MDA)などがあります。
これらの過酸化脂質ことは、あの猛毒の「アルデヒド誘導体」なのです。
これらのアルデヒドは、体内のタンパク質、遺伝子(DNA)などに結合して、その構造・機能にダメージを与え、ガンや糖尿病などのあらゆる慢性病をひきおこします。
さらにはプーファ(PUFA)からできるアルデヒド誘導体以外の過酸化脂質としてアイソプラストン、ニューロプラストンなどの“猛毒”があります。
(「プーファ・フリーであなたはよみがえる!」p41)
(※5)
私たちの体内で作り出すものは、原発や石油からできるような環境に負荷のかかるエネルギーではありません。
それは「糖」を資源としたクリーンなエネルギーです(例外は安静時の筋肉は脂肪酸、分裂が盛んな細胞は糖、脂肪酸、アミノ酸を燃料とします)。
そのエネルギー貯蔵体のことをATP(エーティーピー:アデノシン三リン酸)といいます。このエネルギー(ATP)があって機能―構造が安定します。
実は、アルデヒド(過酸化脂質)は、この体内のエネルギー産生をダイレクトにブロックしてしまいます。
具体的には私たちの体内のエネルギー産生所であるミトコンドリアの機能(電子の受け渡し、サイトクロムCオキシデースという酵素)にダイレクトにダメージを与えます。
エネルギー産生がやられると、すべての機能そしてその相互関係にある構造までが崩れてきます。これが、アルデヒドが発ガン作用をもつ所以です。
さらに植物油脂や魚の油由来のアルデヒドは、細胞内のタンパク質・遺伝子・リン脂質などと結合して構造を変化させ、機能を障害します。
このアルデヒドはバクテリアやウイルスの遺伝子にさえも結合して破壊します。アルデヒドにかかるとインフルエンザウイルスでさえやられてしまいます。
さて、私たち人体にも、この猛毒のアルデヒドを排泄する機構が備わっています。
アルコール脱水酵素(ADH:alcohol dehydrogenase)、アルデヒド脱水酵素(ALDH:aldehyde dehydrogenase)、アルドケトレダクテース(AKR:aldo-keto redyuctase)あるいはグルータサイオン(glutathione)といった酵素です。
しかし、このアルデヒドを処理する酵素でさえ、アルデヒドがある一定濃度以上になると、逆にこの酵素の一部にアルデヒドが結合して機能。構造を不可逆的に変化させてしまいます。こうなればもう猛毒のアルデヒドには手のほどこしようがありません。
もちろんアルデヒドが細胞のさまざまな成分に結合して機能にダメージを与えることによって構造変化が起こる結果はガンだけではありません。
プーファ(PUFA)から形成されるアルデヒド(過酸化脂質)によって身体全体の機能・構造が崩れていくのですから、糖尿病、脳・心臓血管病、自己免疫疾患、自閉症、神経難病、アルツハイマー病、消化器疾患などの慢性病や老化の最大の原因にもなっています。
(前掲書p45)
posted by T.Sasaki at 19:52|
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