日本の漁業が崩壊する本当の理由 片野歩

世界中で魚類資源が増えているのに、日本だけが減っている。
この現実を、恥ずかしいと思うべきである。

日本の漁業が崩壊する本当の理由.jpg

すべての漁協組合長、理事、参事、そして、任意の漁業団体の会長以下すべての役員たちは、この本を読むべきだ。
読みたくないならば、「日本の漁師は大バカものだ」を参照すること。
これを認識できないならば、役職に就く資格はない!

2023年11月06日

いか刺しのプレゼントが、・・・・

3回目、こんばんは。

すけそうだらを干したのから思い出して、いか刺しを造ってプレゼントした話。

先日、暇をもて遊ばしていたので、昔、ヨットでお世話になった駒井元コーチのところへ、いか刺しを持っていった。
たまたま、その前日、スーパーで現コーチのO君に行き会って、元コーチのことを聞いた。
当たってから、体が満足でなく、大変だとのこと。
変な噂話も風の便りで聞いていたから、その確認もしたが、やっぱり、それはウソだった。
まあ、彼を嫌いな人は、たくさんいるから。

私は、彼のおかげで、ヨットでいろいろと学んだし、鹿児島インターハイで2番にもなったし。
彼がいなかったら、それは、たぶん無理だった。
ヨットの私の先生と言っていい。

玄関で挨拶したら奥さんが出てきて、中へ入れさせてもらい、話をした。
やはり一回あたると、年を取る。
脳梗塞を何度もやらかしても生きている人もいるが、彼の姿を見ると、健康は大事だとつくづく思った。
カテゴリー「免疫について」は、たぶん役に立つ(笑)。
もう彼には、昔話をしながら、ご苦労様としか、言いようがない。

みんな年を取るんだ!
posted by T.Sasaki at 20:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

釣りのすけそうだらを、もう少し高く買ってよね

ふたたび、こんばんは。

昨日の出港時、知り合いのたら延縄漁船とすれ違い、無線機で話をした。
「小さいすけそうだらを食べたいから、売ってくれ」と頼んだら、くれると言う。
安くて、400円か500円しかしないそうだ。
だから、くれるという。

ここで、私は悪だくみ。
翌日、1000円で買うことにした。
「1000円だよ」と市場に言えば、それで済む。
こんな美味しいもの、500円なんて、あんまりだ。

買ったすけそうだら.JPG

14尾入れで、あちこちの人が食べたいというので、結局、5匹しか残らなかった(笑)。
得意の干物。

すけそうの干物.JPG

スーパーで買う干物は、これより小さくても、まあまあの値段(高いとは言わない)。
釣りの生産者からも、まあまあの値段で買ってよね。
トロールのに比べれば、100倍も立派な魚なんだから。

魚をさばくには、これ!
もちろん「百円ショップの優れもの 3」のうろこ取り。
posted by T.Sasaki at 17:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

久しぶりに見たさんま船

こんばんは。

昨日は、夜いかに行ってきた。
日暮れ前に針を下ろして、形が上がったところへ電気を点けようと考えた。

魚探反応20231105.JPG

海底にねっぱった反応に針が行っても、なかなか形が上がらない。
19度台の表面水温でも、不思議にアホウドリの子どもがいた。
普通は、こんなところにいない。
さんまでも追ってきて、迷ってしまったのだろう。

アホウドリの子.JPG

夜、集魚灯を点けてから、魚探反応だけを見ると、形が揚がってもよさそうな感じだが、揚がらない。

魚探反応20231105.2.JPG

日本シリーズを見ていたら、船が近寄ってきた。
さんま船だ。
いか釣り船の近くにさんま船が来るなんて、10年以上も見たことがない。
久しぶりだなあ。

夜の大型さんま船.JPG

結局、9時まで1箱にもならず、あえなく消灯(涙)。
当分、休む。
posted by T.Sasaki at 17:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

健康を維持する免疫

ふたたび、こんばんは。

カテゴリー「免疫について」の目次を作っておきます(はちみつシリーズも下のほうに目次を追加しました)。
目次をクリックすれば、移動できます。
なぜ、そうするのか、というと、一番最初に読むほうがいいと思われるものが、一番下に表示されるためです。
そして最初に、糖のエネルギー代謝(ミトコンドリア機能)と炎症やゴミ処理について、理解したほうがいいのです。

1.免疫について
2.組織形成場の理論
3.自然免疫と抗体
4.炎症の行く末
5.形態形成維持と細胞のゴミ処理
6.腸内環境
7 .ワクチンと自己免疫反応
8.各病気の本当の原因
9.アルデヒドという毒について
10.プーファとは
11.オメガ3の真実
12.病気にならない方法
13.がんの性質と撃退

あとは、自分で実践してみてください。
今や、私は風邪をほとんどひきませんし、たまにひいたとしても、1日で回復します。
以前の私は、こんなに丈夫ではなかった。

この本は読んでほしいなあ」に書いてあるように、父を病院から連れてきた時、もう長くないのではないかと思っていました。
ところが、症状は劇的に改善し、プーファ・フリーの効果は絶大だったというしかありません。
投薬量も劇的に減らし、朝7錠、昼2錠、夕4錠の1日13錠飲んでいたのが、朝3錠、夕1錠の1日4錠のみとなりました。
これは、リーキーガットも減らしたことにもなります。
薬には、腸粘膜を壊して、腸から血管へ薬の成分を移入させるため、乳化剤という界面活性剤を入れてあります。
医師たちは、このことを了解済みのため、必ず、胃腸薬も処方するのです。

新型コロナ病を防ぐと宣伝され、結果的に政府や医師会などに騙された形のワクチン接種によって、たくさんの人たちが、免疫異常、免疫不全などから、病気に苦しむようになっています。
その免疫力を回復するために、糖のエネルギー代謝の復活、ミトコンドリアの機能の正常化へ、はちみつが有効である、という喜ばしい本が上梓されました。
今年、熊が山から下りてきて騒動していますが、その熊の大好物なのが、はちみつです。
日本では、熊が百獣の王様みたいなものでしょう。
熊みたいにならなくても、きっと丈夫になれる。
ということで、はちみつシリーズも、目次として挙げておきます。
ここを読んでおられる人たちの健康をお祈りします。

1.新型コロナ病とはちみつ
2.肥満と闘え!
3.血糖値とはちみつ
4.はちみつは万能食品
5.人工シロップと農薬
6.はちみつの食べ方

崎谷博征先生の健康常識パラダイムシフトシリーズをまとめたもので、この本を世に出して教えてくれた先生には、感謝しかありません。
これらのシリーズは、バリバリの専門用語が多くて、読書を好きな人でも、理解の及ばないものが多いと思います。
学校の教師の、わからない部分は何度も読め、という忠告に従うと、何とか理解できます。
しかし、ハードルが高い。
このような一般向けの本は、初版で終わるのに、何刷も出版されています。
おそらく、現代医学に疑問を持つお医者さんたちも、買って読んで参考にしているものと思われます。
そうでなかったら、あまり面白くもない本が売れるわけもありません。
ちゃんとしたお医者さんは、日本全国に、きっといます。
posted by T.Sasaki at 16:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 免疫について | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年11月04日

がんの性質と撃退(免疫について 13)

3回目。

これを読んだら、がん医療の博士になれるかもしれない(笑)。

組織形成場の理論」で紹介した、健康状態を表す場”の理論の続きとなるが、がんというのは、病気で免疫が弱くなっている状態の終末と言っていいだろう。
細胞間はそれぞれ独立しているのではなく、相互に連絡し合って、正常さを保っている。
これを遮断しても、がん化する。(※1)

慢性炎症で起きる組織の線維化は、硬くなる、という特徴がある。
最もわかりやすいのは、乳がんである。
正常細胞では、プラスマイナスに分極して電位差があるが、がん細胞では、ない。
したがって、正常細胞は電磁波の影響を受けることになる。
携帯電話やWi-Fiの電波で、脳腫瘍が引き起こされることが、公式に認められている。(※2)
私は、平気で1時間くらいは電話するほうだから、きっと脳腫瘍になるだろう(笑)。

正常細胞は、外部から栄養を取りこみ、ミトコンドリアの機能でエネルギーに変えている。
これを同化という。
一方、体内から栄養を取りこみ、エネルギーに変換するのを異化という。
異化は、すなわち、体を分解していると言えるから、たくさんの炎症を伴うことになる。
この異化の一つである脂肪の燃焼は、サーチュインというタンパク質の活性化によるものであり、よく若返りとはいわれるが、その正反対に進む。
脂肪ではなくタンパク質をエネルギーとして利用する異化の場合、脳に良くないアンモニアを発生する。
アンモニアを無毒化するため、肝臓ではたくさんのエネルギーや二酸化炭素を必要となるが、糖が少ない状態では、無毒化も難しくなる。
そして、筋肉のタンパク質を消費するようになると、やがて甲状腺機能も低下していく。(※3)
がんへの道に、まっしぐらである。

がんは、脂肪中毒であり、糖を脂肪に変えるため、糖をたくさん消費するのである。
できた脂肪は、がんの成長、進行、転移に、非常に役立つ。
プーファは、脂肪新生と脂肪備蓄にも貢献する。(※4)
グルタミン、アルギニンやメチオニンなどは、がんが生きるためのエサとなっている。
これらのアミノ酸を抑制することによって、抗がん作用が働くことがわかっている。(※5)

体内の毒素であるエンドトキシンは、本来は、必要だから存在する毒物である。
しかし、高脂肪食やストレスによって、有害な毒に変化する。
病気では、エンドトキシンが炎症にかかわるが、やはりがんでも、エンドトキシンがポイントとなる。(※6)
増粘剤は、腸内のバクテリアを増殖し、充満すると小腸にまで到達する。
これによって発生するエンドトキシンは、血液中へと移行し全身へ循環する。
腸内のバクテリアの過剰な増殖を防ぐには、ニンジン、キノコ類、タケノコを摂取するとよい。
抗エンドトキシンとして、ライボフレイビン(ビタミンB2)、ナイアシノマイド(ビタミンB3)、ビタミンA、ビタミンDなどがある。(※7)

がんだけにかかわらず、炎症を引き起こすストレスホルモンを抑制する物質がある。
ビタミンA、B1、B2、B3(ナイアシノマイド)、B6、D、E、K、カフェイン、メチレンブルーなど。
もちろん、糖や果糖も、ストレスホルモン抑制に効果がある。
食塩も1日に15gくらい摂取しないと、ストレスホルモンが上昇する。
逆に、エストロゲン作用の強い大豆、農薬、タバコの煙などは、忌避すべきである。(※8)

がんの大好きな脂肪新生を抑えるものとして、クワイノンやアスピリンがある。
リポリシス(脂肪分解)を抑えるだけでも、がん細胞は死滅していくので、それを抑えるナイアシノマイド、アスピリン、そして、脂肪燃焼をブロックする、パルミチン酸(飽和脂肪酸)、アスピリン、ミルドロネイトが有効である。
アスピリンの有効成分であるサリチル酸は、果物に豊富に含まれている。
ミルドロネイトは、テニスのマリア・シャラポア選手が使用されたとされているが、がんの縮小効果があっても、不思議にも西側では認定されていない。
したがって、研究費用も出ない。(※9)
やってみたら〜、という感想。

乳酸の発生や還元ストレスを止めるためには、糖のエネルギー代謝を高めるために、ピルビン酸脱水素酵素を活性化させたほうがよい。
この酵素は、果糖、サイアミン(ビタミンB1)、ライボフレイビン(ビタミンB2)、パルミチン酸などを必要とする。
還元ストレスを避けるのに、二酸化炭素を高める方法もある。
過呼吸を防ぎ、おしゃべりもほどほどにして、たまには沈黙する。
気分が悪くならない程度まで「バッグ呼吸」をする、というのも一つの方法である。(※10)

ノーベル賞を受賞した京都大学の本庶佑特別教授の功績から、免疫チェックポイント阻害剤が開発された。(※11)
残念ながら、これにもマイナス要素がある。
自己免疫反応を起こしたり、免疫チェックポイント阻害剤にさえも、がんが耐性を持つようになることがわかってきた。(※12)



(※1)
 健康な場であれば、たとえ細胞がダメージを受けたとしても、それを修復するか、修復不可能な場合は細胞が自発的に消失(アポトーシス:apoptosis)し、綺麗に掃除されます(これを食作用[ファゴサイトーシス:phagocytosis]という)。そして新たな細胞(幹細胞)が補充されて組織が再構築されます。
 キャンサー・フィールド(ガンの場)の場合は、細胞のダメージを修復するエネルギー量が不足しているためにさらに無秩序に分裂・増殖を繰り返すことになります。ダメージを受けた細胞を補充しようとして、新たにリクルートされた細胞も適切な指示が出ないために無秩序に成長・分裂するしかありません。
 これでは組織再構築どころか、さらに構造・機能が変質していきます。
 あくまでも、ガンは無秩序に増殖を繰り返すことで、その構造・機能が変質していく過程(process)を見ているのに過ぎません。そのため、「ガンはいつまでも治らない傷」「ガンは組織形異常」と優れた先駆者たちから提言されているのです。
(「ガンは安心させてあげなさい」p109)
 健康な場の細胞にとって、細胞間のコミュニケーションは最重要部分です。
 生命場で起こった変化は、一つの細胞からすぐさま近隣の細胞へと情報が伝達されます。このときに情報の受け渡しを担っているのが細胞間の「接着分子」といわれる物質です。もしある細胞に修復できない異常があった場合は、その接着分子を溶かしてその異常細胞だけを切り離して処理します(アンドッキグ&アポトーシス:undocking & apoptosis)。
 生命場では、こうして細胞間の接着分子を介して脳の指令がなくとも全体に影響が及ばないようにいくつも注意深く自己監視(セルフ サーベイランス:self-surveilance)しています。
(前掲書p112)
 一般に正常細胞を体から取り出して、シャーレ(ペトリ皿)上で培養すると自然にガン化していきます。これも、細胞が体内にあったときの周囲との相互コミュニケ―ションがシャーレ上でなくなったからです。
 正常細胞は相互コミュニケーションという自己監視機能が完全に失われ、生命場を維持するための手がかりをなくしてしまった結果、ガン細胞へと変化せざるを得なくなったのです。
 生命場(形態形成場:morphogenetic field)を維持するのに、細胞間の、あるいは細胞と周囲組織との相互コミュニケーションは最重要ファクターであることを、この実験結果が示しています。もちろん、このような相互コミュニケーションを成立させているのも十分なエネルギーがあってのことです。
(前掲書p114)

(※2)
「ガンの場の理論」では細胞とその周囲の環境をひっくるめて“場(生命場)”と捉え直すことから始まります。そしてそれぞれを分離するのではなく、あくまでも細胞と周囲環境との相互作用がキャンサー・フィールド(ガンの場)を作ると考えます。
 そしてその相互作用を決定づけるのが「エネルギー代謝」です。この視点が今までの理論にはない新しい統一理論としての「ガンの場の理論」の支柱となります。
 なんらかのストレスで細胞(周囲環境の細胞も含める)のエネルギー代謝が低下すると、それは生命場全体に影響を及びます。
 生命場(形態形成場:morphogenetic field)を決定する「エネルギー代謝」に影響を与える因子は栄養(糖、タンパク質、脂質)、ミネラル、酸素など以外にも、
  ・機械的刺激(mechanical force)
  ・生体電気的信号(bioelectric signal)
  ・位置情報(positional information)
なども生命場に大きな影響を与えます。
(前掲書p117)
 ガンに関係する重要なものとしては、まず細胞の周囲の間質が硬くなるという機械的刺激(過剰な負荷)です。これを繊維化といいます(線維化をもたらす原因物質はセロトニンとエストロゲンのシックネス・サブスタンスである)。細胞の周囲が硬くなるという過剰な機械的刺激を受けて最終的に細胞自体も硬くなっていきます。これは典型的なガンの特徴です。乳ガン検診で触診もガンやガンが転移した先のリンパ節の“硬さ”を見ているのです。
 この線維化を起こして間質が最初に硬くなるというのは、実は慢性炎症の特徴(hallmark)です。慢性炎症はキャンサー・フィールドを作り上げる一つの重要なファクターです。
 電気的信号(bioelectric signal)が場に与える影響としては、細胞内外での電圧を変えることで正常細胞をガン細胞に変化させることができます。
 正常細胞では、細胞内外は電気的にプラスマイナスに分極していますが(細胞内がマイナス)、ガン細胞ではこの分極がなくなることが知られています。これを「脱分極」といいます。つまり、ガンでは細胞内外でプラスマイナスの電位差がなくなるということです。ちなみに、刺激を受けて興奮した細胞もガンと同じく電位差がなくなります。
(中略)
2017年に米国カリフォルニア州では公式に携帯の電磁波が脳腫瘍を引き起こすと公表しました。携帯機器の電磁波によって有意に脳腫瘍が発生することがヒトでも判明したためです。
 実際にWifiや電子レンジの電磁波によってエネルギー代謝が変化し、病気の場(シックネス・フィールド)の主要なプレーヤーの一つであるセロトニンの分泌が上昇することが分かっています。
(前掲書p119)

(※3)
ヘルスネス・フィールド(健全な場)にいる細胞では、外部から必要な栄養源を取り入れてエネルギー源や構成材料に変えることをしっかりと行っています。この営みを「同化」(anabolism)といいます。
 ところが、ここに過剰なストレスがかかると、それに適応するためのエネルギー源としての糖が欠乏していきます。そこで、ストレスホルモンが作動します。ストレスホルモンの代表がアドレナリン、コルチゾールという物質です。
 これらは体内のタンパク質、脂肪を分解してエネルギー源に変換します(最初は糖の貯蔵体であるグリコーゲンを分解しますが、数時間しか持ちこたえられない)。過剰なストレスに対しては、体内の組織まで分解しないとそれに適応するだけのエネルギー量を確保できないからですが、この体内のタンパク質、脂肪の分解を「異化」(catabolism)といいます。
 つまり、ヘルスィネス・フィールド(健全な場)でもストレスが過剰にかかると、通常の同化(外部からの摂取・体内合成)から異化(体の分解)へとエネルギー代謝がシフトするのです。
 ストレスが収まれば、また平常の「同化」のエネルギー代謝に戻ります。しかし、ストレスが慢性的に続く状態では、糖・果糖を十分に補給し続けない限りは「異化」のエネルギー代謝が続きます。したがって体のタンパク質や脂肪が分解され続けるということになります。
 体内の脂肪を分解することを「リポリシス」(脂肪分解)といいます。現代人の体内に蓄積している脂肪(脂肪酸)で問題なのは、プーファ(PUFA:長鎖不飽和脂肪酸、オメガ3とオメガ6がある)が多いことです。リポリシス(脂肪分解)では、非常に毒性の強い「アルデヒド(RCCs)」をもっとも形成しやすいオメガ3系のプーファが真っ先に放出されます。
 オメガ3やオメガ6といったプーファ(PUFA・長鎖不飽和脂肪酸)は、エネルギー源となる前に体内で容易に酸化されて、アルデヒド(RCCs)を放出します。
 このアルデヒド(RCCs)は、私たちのエネルギー代謝を担うタンパク質あるいは遺伝子(DNA)に結合して、その構造・機能を直接的にも間接的にも破壊していきます。
 したがって、わたしたち現代人に蓄積されている脂肪のプーファ(オメガ3&6)を分解して放出させるリポリシス(脂肪分解)は生命体にとって大きな脅威になるのです。リポリシスが起こっている状態では、糖・果糖を入れても不完全燃焼しか起こさず、前述した乳酸という毒性物質が蓄積していきます。その理由は、リポリシスによって放出されたプーファ(オメガ3&6)が糖・果糖の代謝をブロックするからです。
 このように、糖が欠乏してくるとエネルギー源が糖から脂肪(あるいはアミノ酸)へシフトしていきます。糖が欠乏するとサーチュイン(sirtuin 1)というタンパク質が活性化されますが、サーチュインは脂肪の燃焼(ベータ酸化)を高めます。一時は、サーチュインは若返りのタンパク質といわれましたが、事実はその反対で、シックネス・フィールド(病気の場)のエネルギー代謝へシフトさせる物質です。
 またプーファ(オメガ3&6のいずれも)は、ミトコンドリアの電子伝達系をもブロックしますから、電子の渋滞⇒還元ストレスを引き起こす大本でもあります。
 またタンパク質を分解してエネルギー源にした場合も、問題を引き起こします。タンパク質は分解されると、特に脳にとっては毒性が非常に強いアンモニアが産生されます。アンモニアは肝臓で無毒化されますが、それには多大のエネルギーと二酸化炭素が必要です。「異化」が進んでいる状態では、エネルギーおよび二酸化炭素の両方が欠乏するためアンモニアが蓄積しやすくなります。
 さらにエネルギー源として分解するタンパク質は主に筋肉組織(その他、胸腺、皮下組織)です。筋肉タンパク質のアミノ酸組成にはトリプトファン、メサイオニン(メチオニオン)、システィーン(システイン)が多く、これらが遊離アミノ酸となって血液中を循環すると甲状腺機能が低下します。また、トリプトファンはシックネス・サブスタンス(病気の場の物質)の代表で、ガンの増殖(およびバイスタンダー効果)に不可欠なセロトニンの材料です。
(前掲書p128)

(※4)
 ガン細胞の糖の取り込み(解糖系、発酵)は、正常細胞の200倍にも達しますから、ガン細胞があたかも“糖中毒”のように見えるのは必然です。
 しかし、ガン細胞の糖の取り込みは、エネルギー産生目的ではなく、主に「脂肪新生(de novo fatty acid synthesis)」(あるいは還元物質の備蓄)に使用されていることが分かりました。「脂肪新生」とは、細胞が糖、アミノ酸、脂肪酸などを材料として、細胞内で脂肪を新たに作ることをいいます。
(前掲書p138)
 ガンは“脂肪中毒と言ってよいくらい、脂肪が大好きで、脂肪の備蓄を怠りません。
(前掲書p150)
 ガンの同化では、外部から摂取される糖、アミノ酸、脂肪酸のいずれもが使用されますが、中でも脂肪は特にガンの成長・増殖・転移にとって必須の栄養素です。
(前掲書p153)
 プーファのオメガ6に関しては、直接的なガンの増殖作用およびエストロゲンの動員によって乳ガンリスクを高めることも分かっています。このプーファによって動員されたエストロゲンの影響(エピジェネティックス)は子孫にまで伝わります。
(前掲書p158)
 代謝の側面からは、プーファ(オメガ3&6)はダイレクトにペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPARγ)を活性化して脂肪酸新生と脂肪備蓄を促進します。つまり、プーファはガンの脂肪中毒を促進する物質でもあるのです。
(前掲書p159)

(※5)
1960年代からグルタミン、アルギニンやメチオニンなどのある種のアミノ酸制限食が細胞実験や動物実験を中心に抗ガン作用(骨肉腫、肝細胞癌、膵臓がん、前立腺がん、白血病、悪性リンパ腫、悪性黒色腫など)を持つことが報告されています。
 2019年の扁平上皮癌の細胞実験でも明らかになっていますが、ガン細胞の増大には砂糖は必要なく、グルタミンなどのアミノ酸を餌にして増大することが明らかになっています。ガンの増大がグルタミンというアミノ酸などに依存していることは、近年の悪性黒色腫、肺線癌、乳がん細胞の実験でも確かめられています。実際にグルタミンの利用をブロックすることでガンの増大を抑制できることも報告されています。
 ガン細胞では、糖のエネルギー代謝がブロックされているため、成長に十分なエネルギーが確保できません(これをウォーバーグ効果[Warburg Effect]という。解糖系のエネルギーには限界がある)。したがって、グルタミンを代替エネルギーとして使用しているのです(グルタミンからαケトグルタル酸に変換してTCA回路に入れる)。グルタミンは糖の細胞内取り込みをブロックするので、脂肪がガンのエネルギーの主要な栄養素になります。したがって、糖質をフリーにしてもガンの増大を止めることはできません。
 ガンの本当に死因は、腫瘍そのものではなく、筋肉(脂肪も)がなくなる悪質液(cachexia)や抗がん剤・放射線治療などの副作用がほとんどです。
がん悪質液では、慢性的ストレスによるコルチゾール上昇あるいはそれによって誘導される炎症性物質(TNFα,NF-kB,myostatin)などによって筋肉が分解されます。その筋肉の分離で血液中にグルタミン酸が増加し、さらにガンの増殖を促すのです。
 グルタミンの他には、アルギニンというアミノ酸もガンの増大や転移のための“エサ”になっています。これは、アルギニンからグルタミンが体内合成されるためです。さらに、アルギニンから生成される一酸化窒素(NO)が脂肪の代謝(脂肪のβ酸化)を高めるためにガンが増大・転移します。さらにアルギニンは細胞増殖作用を持つポリアミンの前駆体でもあります。
 ガンは、「砂糖中毒」ではなく、本来は脂肪をエネルギーとし、また脂肪合成をアップして脂肪を溜め込む「脂肪中毒」です。がん細胞はその脂肪の中でも、とりわけプーファに依存しています。そして、脂肪の中でもプーファをより好んで取り入れます。ガン細胞は、外部からプーファを取り込むだけでなく、自らの細胞内脂肪合成を高め、プーファを産生(upregulation of genes involved in FA synthesis,elongation,and desaturation)して溜め込んでいます。これは、ガン細胞がプーファを細胞増殖に利用するからです。
(「ハチミツ自然療法の最前線」p176)

(※6)
 エンドトキシン(内毒素)は、腸内微生物の中でも大腸菌のようなグラム陰性菌の細胞壁成分です。本来はこのようなバクテリアが自分の身を守るために内臓している毒素成分です。種子の胚の周囲に毒が仕込まれているのとまったく同じです。私たちの血液中にも腸、口腔内、肺、尿生殖路から移行したエンドトキシンがある一定数存在しています。
 高脂肪食やストレスがかかると、血液中にエンドトキシンが高濃度になることが分かっています。これによって慢性的に全身の炎症が持続する慢性炎症の状態になります。もちろん、急激にエンドトキシン濃度が高まるとショック(エンドトキシン・ショック、敗血症ショック)になり、命を落とします。
(「ガンは安心させてあげなさい」p93)
 主に腸内で増殖したグラム陰性菌あるいはそのエンドトキシンの血液内濃度が高くなることは、プーファと同じく還元ストレスを引き起こし、発ガンを促進します。全身を循環する血液中には直接エンドトキシンが増加しなくても、グラム陰性菌が増殖(実際に人の血液中1ml中には一千個のバクテリアが存在している)すれば、鉄の存在下で容易に血液中にエンドトキシンを産生し始めます。
 近年になって、ガンを含めた慢性病の根本原因がプーファ、鉄、エンドトキシンであることがかなり解明されてきています。
(前掲書p97)

(※7)
 キャンサー・フィールド(ガンの場)を強化する暴徒の一つであるエンドトキシン(内毒素)にも留意しないといけません。
 エンドトキシンが増加するのは、私たちの消化管が消化できなくて、かつ腸内微生物(バクテリア)が発酵できるタイプの食べ物です。
 穀物や豆類に含まれる食物繊維や紅藻類から抽出したカラギナン(carrageenan:キャラジーナン)、グアガムなどの増粘剤などは、私たちの消化管が分解・消化できないために、腸内バクテリアの恰好のエサになります。
 腸内バクテリアが増殖すると小腸細菌異常増殖症(Small intestinal bacterial overgrowth [SIBO])が起こります。通常、特に上部小腸にはほとんど細菌はいませんが、バクテリアは大腸での増殖によって小腸内まで充満してきます。これによって発生するエンドトキシンが小腸から全身の血液循環に入っていきます。
 したがって、消化の悪い食物繊維の摂取は控えるようにしましょう。その一方でセルロースは、微生物でも発酵できません。したがって、セルロースを豊富に含むニンジン、キノコ類、タケノコなどは、小腸内のバクテリアの増殖を防ぎ、むしろエンドトキシンを吸着してくれるため小腸内のバクテリアの増殖を防ぐのに非常に有効です。
 抗エンドトキシンの物質としては、ライボフレイビン(ビタミンB2)、ナイアシノマイド(ビタミンB3)、ビタミンA、ビタミンDなども有効です。
(前掲書p171)

(※8)
 場をかき乱す暴徒のトップバッターは、アドレナリン、コルチゾール、エストロゲン、セロトニン、アルドステロン、そして下垂体ホルモン(成長ホルモン、乳汁分泌ホルモンなど)といったストレスホルモンです。
 これらのストレスホルモンはリポリシス(脂肪分解)を起こして、プーファを遊離脂肪酸(FFAs:free fatty acids)として血液中に放出します。これは「場」をさらに刺激・興奮させてキャンサー・フィールドを強化します。
 ちなみにプーファは、コルチゾール、エストロゲン、セロトニンといったストレス物質の細胞レベルでの産生をアップさせるのでまさに悪循環です。プーファの害悪は、自動酸化されて発ガン物質のアルデヒド(RCCs)を産生するだけではありません。プーファの存在自体がストレスホルモンという“暴徒”を呼び起こすのです。
 このストレスホルモンという暴徒を抑えるのは、意外に思われるかも知れませんが、ビタミン類、特に脂溶性ビタミンが大変有効です。
 抗コルチゾールで有効なビタミンとしては、ナイアシノマイド(ビタミンB3)、ビタミンB6、ビタミンA、ビタミンDがあります。
 抗エストロゲンとしては、ビタミンB1、B2、B3(ナイアシノマイド)、ビタミンA、D、E、Kが挙げられます。あるいはカフェイン、メチレンブルーなども抗エストロゲン作用を通じてガンの増殖を抑えます。
 もちろん、エストロゲン作用の強い大豆(genistein:ジェネスティーン)、農薬(DDT)、グライフォセエイ[ランドアップ]、タバコの煙などにも留意しましょう。
 抗セロトニン作用をもつものにはビタミンB2があります。また、カフェインにも抗セロトニン作用があります。
 抗アドレナリンとしては、やはり糖・果糖をしっかり摂取することにつきます。糖・果糖は最大のストレス防御物質です。
 私にとってビタミンは単なるサプリメントではなく、根本治癒物質としての認識があるのは、このような作用があるためです。
 また、抗アルドステロンとしては、塩をしっかり摂取することが肝要です。ナトリウムの摂取量が4〜5g/日(食塩として12〜15g/日)を下回るとアルドステロンだけでなく、セロトニンもたちまち上昇します。
(前掲書p169)

(※9)
 脂肪新生を抑えるには、コック博士が研究していたクワイノン(quinones)、アスピリンが有力です。クワイノンはハーブに多く含まれる成分で、アロエの抹消、ルバーブ(Rhubarb)、センナ、大黄やセイヨウオトギリソウ(ハイペリカム:Saint John' wort)に含まれています。ビタミンK(MK-4)やテトラサイクリンもクワイノンの仲間です。
 長年みなさんの脂肪に蓄積したプーファが血中に放たれて遊離脂肪酸(FFAs:free fatty acides)になる脂肪分解(リポリシス:lipolysis)もブロックしなければなりません。リポリシスを抑えるだけでもガン細胞が死滅していくことも報告されています。リポリシス(脂肪分解)を抑える物質としては、ナイアシノマイド、アスピリンが有力です。
 脂肪の燃焼(ファットバーン)のブロックについては、パルミチン酸(飽和脂肪酸)、アスピリン、シャラポア選手で話題にのぼったミルドロネイト(Mildronate)が有効です。
 ちなみに、アスピリンの有効成分であるサリチル酸は果物にエステル体(サリチル酸メチル)として豊富に含まれています。アスピリンはガン細胞を正常化させることが近年注目を浴びるようになっています。これはアスピリンがガンの脂肪中毒というアキレス腱を絶つことができるからです。ただし、医薬品業界では特許の切れた古い薬なので、アスピリンの抗ガン作用の研究には資金が下りません。
 また発ガン物質であるアルデヒドの発生において、プーファとセットである重金属、特に鉄、水銀、カドミウム、ヒ素などにも留意しておかなくてはなりません。これらは、すべてミトコンドリアの電子伝達系をブロック(TCA回路もブロック)することで、前述したように還元ストレスをもたらすからです。
 鉄は還元状態で、プーファの自動酸化を促進していきます。さらにはエンドトキシンを発生させるバクテリアのエサにもなります。鉄分の多い食べ物の過剰摂取は避けてください(鉄剤はもってのほかです)。鉄なべや鉄のフライパンなども使用は控えましょう。
(前掲書p176)
 2016年にテニス界の妖精と呼ばれていたマリア・シャラポア選手が、世界反ドーピング機関(WADA)指定の禁止薬物に陽性が出たことで二年間の出場停止の処分を受けました。
 その指定薬物こそは脂肪の燃焼(ベータ酸化)をブロックする「ミルドロネイト(Mildronate,Mildonium)」です。ミルドロネイトは、ロシア、東欧圏では、心臓血管疾患、糖尿病に治療薬として公式に使用されている物質です。ロシア、東欧圏のアスリート、特に耐久性スポーツのアスリートには疲労が蓄積しないという効用のためミルドロネイトはサプリメントとして使用されていました。
 このミルドロネイトはガンの治療においても使用されている歴史もあり、ガンの縮小効果があるはずですが、なぜかより毒性の強い薬剤についてしか研究論文が出ていません。しかも不思議なことに欧米諸国では医薬品として認められていません。
(前掲書p154)

(※10)
還元ストレスを止めるためにも、糖・果糖のエネルギー代謝(ミトコンドリアまでの完全燃焼)と高めなければなりません。甲状腺ホルモンはその中心です。そして、糖・果糖の代謝で重要な細胞質⇒ミトコンドリアに入る関門であるピルビン酸脱水素酵素(PDH)を活性化することが肝要です。細胞内での過剰な糖の発酵(解糖系)を防ぐことで乳酸の蓄積をなくすことができます。
 ピルビン酸脱水素酵素(PDH)は、果糖、サイアミン(ビタミンB1)、ライボフレイビン(ビタミンB2)などが代表的な物質です。またパルミチン酸(飽和脂肪酸:糖、果糖を500g/日以上摂取した場合に転換されるココナッツオイルにも含まれる)は、糖の発酵を抑えて糖・果糖のエネルギー代謝を高めます。
 またミトコンドリアでの電子伝達系での電子の渋滞(それによるフリーの電子の漏出⇒プーファの自動酸化)を防ぐためにも、電子を受け取る物質「電子受容体(electronacceptor:エレクトロン・アクセプター)」は非常に有効です。
 コック博士のクワイノンをはじめ、メチレン・ブルーなども有効な電子受容体であり、糖・果糖のエネルギー代謝あるいは甲状腺ホルモンの働きをスムーズに高めてくれます。電子受容体は細胞内還元状態を初期設定の酸化状態に戻してくれるのです。
(前掲書p178)
 キャンサー・フィールド(ガンの場)では、乳酸が蓄積します。この乳酸蓄積(「代謝性アシドーシス」という)によって、代償的に過呼吸になるため細胞内および血液中の二酸化炭素(CO2)濃度が低下します。二酸化炭素(CO2)濃度は細胞内を弱酸性にキープする役割を持っていますから、乳酸蓄積では細胞内がアルカリ性に傾きます。これで「還元ストレス」が加速します。
 しかし、体内(細胞内)の二酸化炭素(CO2)濃度を高めると、細胞内が還元状態から酸化状態に変わります。さらに、二酸化炭素(CO2)は、病的な脂肪新生をストップさせ、細胞のエネルギー代謝を糖の燃焼へと切り替えます。
 二酸化炭素(CO2)は、健康の場で、細胞・組織への血流を増やす(血管を拡張させる)物質ですから、エネルギー源になる糖・果糖を充足させてくれます。まさに健康の場(ヘルスィネス・フィールド)の中心物質です。
 二酸化炭素(CO2)濃度を高める方法としてはゆったり鼻呼吸することを意識してください。口から息を吐くような激しい運動は禁物です。また、あまりおしゃべりをしないことも大切です。コミュニケーションの問題に支障を来さない範囲で、一週間に何度かは意識して口を閉ざす日を設けてください。文字通り「沈黙は金なり」です。
 過剰に話すことは、体内の二酸化炭素濃度を低下させるだけでなく、脳細胞を興奮させてセロトニン(病気の場の主要ファクターの一つ)を増やす原因にもなります。
 また定期的なバッグ呼吸(bag breathing)も、ガンに限らず、あらゆる慢性病に大変有効です。これはよく救急車で運ばれるパニック障害で過呼吸になっているときの治療法でもあります。バッグ(紙バッグ)の中に自分の吐いた二酸化炭素が蓄積していくために、高濃度の二酸化炭素を吸い込むことが可能になります。バッグ呼吸で酸素濃度が低下していきますから、低酸素で気分が悪くならない程度まで行ってください。
 薬剤では高山病などに使用される「アセタゾラマイド(acetazolamide)」は、還元ストレスで上昇する炭酸脱水酵素(CA:carbonic anhydrase)をブロックし、細胞内CO2濃度を高める作用があります。これと同じ作用をもつものがビタミンB1(サイアミン)です。
(前掲書p173)

(※11)
 エイズウイルス感染、B、C型肝炎ウイルス感染などにみられるように感染刺激が繰り返される場合(慢性感染)やガンの場では細胞障害性T細胞の動きが抑えられます。この現象は「T細胞疲弊(T cell exhaustion)」と呼ばれています。私たちの細胞は刺激がマンネリ化すると、それに対する反応が次第に低下していきます。(閾値が高くなある。専門用語では「ダウンレギュレーション」という)。これは日常生活レベルでも経験しますよね。薬物中毒も同じ原理です。慢性的な薬物摂取(刺激)に対する快感(反応)が次第に低下してくるので、さらに多くの薬物(刺激)を与えないと以前と同じようなフレッシュな快感が得られません。
(中略)
 細胞障害性T細胞(CD8+)が疲労困憊状態になると、プログラム細胞死1(PD-1,Programmed cell death)、TIGIT(T cell immunoreceptor with Ig and ITIM domains)、リンパ球活性化遺伝子3(LAG-3,Lymphocyte-activated gene-3)などの「免疫チェックポイント分子(immune checkpoint molecule)」とよばれる免疫抑制タンパク質を発現します。免疫チェックポイント分子は、細胞のアポトーシス(自然細胞死)などの形態形成維持に重要な分子として認識されていました。細胞の「ドント・イート・ミー(don't eat me)」あるいは「ドント・キル・ミー(don't kill me)」の意思表示をする分子です。
 これらの免疫チェックポイント分子はゴミ(mess)に対する細胞障害性T細胞の反応を低下させて、免疫寛容状態にします。さらに細胞障害性T細胞が疲労困憊状態では、インターフェロン(IFN-γ)や腫瘍壊死因子(TNF-α)などのサイトカインの産生も低下します。
 C型肝炎などの慢性肝炎で使用されるインターフェロン(IFN-α)やリバビリン(ribavirin)は、この免疫チェックポイント分子であるプログラム細胞死1(PD-1)の発現を低下させて、免疫細胞の疲労状態を回復させる目的で使用されます。
 さらにガン領域では、この免疫チェックポイント分子をブロックすることで細胞障害性T細胞を疲労困憊状態から活性化状態にし、ガンに対しての攻撃を高める目的で「免疫チェックポイント阻害剤」(immune check point blocker)が開発されました(日本では「オプシーボ」という商品が使用されている)。
(「新・免疫革命」p151)

(※12)
 免疫細胞のやる気をなくすこれらの免疫チェックポイント分子は、細胞障害性T細胞(CD8+)だけでなく、マクロファージ、樹状細胞のような食細胞やナチュラルキラー細胞、ヘルパーT細胞(CD4+)にも発現しています。
 そうするとガンの治療目的で開発された「免疫チェックポイント阻害剤」は、生体内で細胞障害性T細胞以外の上記の細胞にも影響を及ぼし、形態形成維持に影響を与えるということになります。特にこの薬剤は免疫チェックポイント分子をブロックすることから免疫寛容がなくなり多臓器にわたって自己免疫反応(自分の体を攻撃する)を引き起こします。これは「免疫関連副作用(IRAEs,immune-related adverse effects)と呼ばれています。免疫チェックポイント阻害剤の投与を受けている人の約70%〜90%に起こると報告されています。
 特に細胞分裂の盛んな腸粘膜、皮膚、肝臓、骨髄系には影響が出やすいことが分かっています。
(前掲書p155)
さらにはこの免疫チェックポイント阻害剤にもガンは耐性を作ることが分かってきました。また免疫チェックポイント分子をブロックしても、細胞障害性T細胞(CD8+)の活性化が長続きしません。免疫チェックポイント阻害剤の作用がなくなると、すぐに疲労困憊状態に戻るのです。これではガンが消失するまで薬剤を投与しないといけない羽目になります。
(前掲書p158)
 ガン細部は免疫チェックポイント分子を出したり、死滅した細胞からT細胞疲弊(T cell exhaustion)を引き起こすゴミ(mess)を放出したりすることで、形態形成維持の自己監視機能を逃れています。何度も繰り返しますが、これらはガンが“自分の細胞”であることの証左ともいえるのです。
 前述した放射線治療後の死滅ガンによって周囲のガン細胞が増殖する現象(レベス現象、the Rsvesz phenomenon)なども、死滅したガン細胞からダンプス(DAMPs)であるプルスタグランディンE2(PGE2)や低酸素因子が放出されることが原因です。死滅したガン細胞から放出されたプロスタグランディンE2(PGE2)は、食細胞に対して腫瘍壊死因子(TNF-α)などのサイトカインの分泌を低下させて、M2型のマクロファージを増加させて腫瘍増大に働きます。
 逆に死滅したガン細胞から放出されるリン脂質(phosphatidylserine)によって各種の炎症性サイトカイン、ケモカイン(TNF,IL-6,IL-8,CCL4,and CCL5 etc)が食細胞から放出されることでガンの場が形成されてガンが増殖することも報告されています。
(前掲書p179)


2023年11月4日改稿
posted by T.Sasaki at 15:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 免疫について | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

病気にならない方法(免疫について 12)

ふたたび、こんにちは。

健康の話というのは、最終的に、病気にならないようにしなければ、意味がない。
病気にならない、つまり、炎症を起こさないようにするには、どうすればいいか?
それは、体の中に毒を入れないこと。
劇物的な毒は、もちろん、ものすごい炎症を起こして死に至るだろう。
死に至らないような炎症でも、体にかなりの負荷をかける。
例えば、重金属などはそうであるし、腐った食べ物などなど。
効果のないワクチンも毒の一つである。
とにかく、炎症を起こす物質を、体の中に入れない。
そうすれば、「免疫について」に記したように、自身の免疫に余力ができて、感染症に対処できる。

免疫と抗体」で胸腺の重要さを紹介したが、その胸腺ラインを弱体化させないようにすることが肝要である。
精神的ストレスを抑え、穏やかに生きる。
朝起きたら、紫外線の弱いうちに太陽を眺める。
ストレスホルモンであるエストロゲンを抑制するための物質として、クワイノン、ナイアシノマイド、ビタミンA,E、カフェインを摂取する。
発酵されたもの以外の大豆製品やプーファは、摂取しない。
特に、プーファと鉄は、最悪である。
胸腺を死滅させる物質として、二酸化チタンという着色料がある。
これは、乳製品やホワイトチョコレートに含まれている。
胸腺の委縮を止める物質としては、亜鉛やビタミンEがある。(※1)

リーキーガット(「腸内環境」参照のこと)による全身炎症を防ぐためには、アルコールなども控えること(断つことがベストだが。笑)
すでに紹介してあるように、リーキーガットとは、腸内にある毒物が、腸から血管に漏れ出すことを言う。
血液に混ざって、全身へ毒物が回るのだから、炎症は全身のあちこちで起こる。
意外にも、アルコールによって乱れた腸内環境は、長鎖飽和脂肪酸で改善される。(※2)

今や、乳化剤は、ほぼすべての加工食品に含まれていると言っていいほどだ。
お菓子も、和菓子以外は、すべて乳化剤入り。
これも腸粘膜を破壊し、リーキーガットを起こす。
医薬品もこの性質を利用して、腸から血管へ薬の成分を移動させるため、乳化剤を混ぜているのである。
したがって「要らない薬を飲むな」というのは、理にかなっている。(※3)
医師に聞いたことはないが、胃腸薬を添える処方は、乳化剤入りの薬剤によって荒れた腸を整えるためであろう。

リーキーガットを防ぐだけでなく、腸内環境の維持は大切だ。
果糖ブドウ糖液糖などを含む人工甘味料は、すべてダメ。
砂糖のほうが、ずっといい。
乳化剤と同じように、増粘剤もあらゆる食品に含まれている。
カラギーナンやグアーガムなどは、増粘多糖類と表記されているのを見たことがあるだろう。
これらは、メタ炎症のほかリーキーガットも引き起こす。(※4)
腸のほか、毒物が血管に入り込むルートは、口、肺、尿路などがある。(※5)

炎症期から回復期へ向かう時に、気をつけて食べ物を食べよう!
きっと早く回復する。
ココナッツオイルなどの飽和脂肪酸を上手に使い、タケノコ、生ニンジン、キノコ類などのセルロースを摂取する。
そして、ビタミンB2、ナイアシノマイド(ビタミンB3)、ビタミンA、ビタミンD。(※6)

不飽和脂肪酸より飽和脂肪酸の摂取のほうが、炎症は起きにくいが、飽和脂肪酸でさえも摂りすぎは良くない。(※7)

一般に血の含まれる肉は鉄が多く、内臓ではレバーが多い。
牡蠣やダークチョコレートも多い。
鉄の吸収はビタミンCが強化し、逆に、オレンジジュースやコーヒー、お茶に含まれるポリフェノールは、過剰な鉄の吸収を防ぐ。
鉄鍋を使用する中華料理天国の中国で、感染症が流行る理由が、ここにあるのではないだろうか。
プーファ、プラス、鉄。
過剰な鉄は、本当に良くない。
女が長生きする理由も、ここにあるらしい。(※8)

運動をすれば、体内毒素であるエンドトキシンが減少し、保護ステロイドも働く。
関連して、ステロイドは、短期服用は良いが長期服用は厳禁である。(※9)
副交感神経には、リラックスの働きがあるとされている。
だからといって、刺激するのは避けるべきである。
毒物が発生してしまうし、がんの進行や転移を促進する。
リラックスしすぎても良くなく、硬くなりすぎても良くない。(※10)
何ごとも、ほどほどに。

断食(ファスティング)はデブの解消に役立ちそうだが、実際には、メタ炎症を起こす。
ファスティングをすると、体内が飢餓状態ということから、脳が緊急的に糖を欲しがる。
したがって、脳以外ではインシュリン抵抗性を示し、脂肪を利用し始めることになる。
よって、高プーファ食と同じ炎症を起こし始めるが、これが脳を守るための防御機構の一つなのである。
極端なことをせず、大気汚染物質などの毒物を排除し、睡眠をよくとるなど、しっかりとした生活が最も大事なのである。(※11)

現代人には、自己免疫疾患が非常に多くなっている。
抗生剤やワクチンなどにも、その原因はあるが、実は、自己免疫疾患を防ぐには、子どもの頃にポイントがあったのだ。
残念ながら、すでに逃してしまった。
基本は、その辺で、土まみれ、泥まみれになって遊んでいればいいだけの話だったのである。(※12)
私の子どもの頃は、まだ、土や泥の上で遊んだ。
いつの時代からだろう?遊ばなくなったのは?

バクテリアやばい菌と呼ばれるものは、もともと共生してきたものであり、これを攻撃する薬剤を使えば、自分の正常な細胞も攻撃することにもなる。
これでは、健康維持などできるわけがない。
結局のところ、良い糖質を摂取することが、病気にならない方法なのである。(※13)

私は日本酒が好きだが、飲まなくなると、全く飲まない。
そうすると、体の調子が良くなると感じる。
普段から、プーファや乳化剤を極力とらないようにしているため、調子が悪くなったら、その原因物質を絶ってみる。
大体は、それで調子が良くなる。
良くならないときは、別の原因を考える。

アクロレインという物質は、タバコの煙や排気ガスに含まれ、さらに植物油で揚げ物をすれば発生する。
それらを吸い込めば、肺から体じゅうを巡回することになる。
したがって、全身のあちこちで炎症を起こすことになる。
医師たちは、「タバコをやめなさい」とは言うが、「揚げ物をやめなさい」とは言わない。
そして、「全身で自覚しない炎症を起こしているのですよ」とも言わない。
本当は、言ってくれればいいのに。



(※1)
胸腺は脊椎動物にとっては、リンパ球系の形態形成維持の要になっている組織です。胸腺にダメージを与える物質を抑えて、かつ胸腺を活性化させる物質に目を向けることが、リンパ球系の形態形成維持には必要です。実際に胸腺はダメージを与える物質を除去すれば再生可能です。したがって、胸腺にダメージを与える物質(およびネガティヴ・エネルギー)を極力避けるようにしていくことは実践可能かつ根本治療になります。
 まずは胸腺にダメージを与えるストレスホルモンであるコルチゾール、エストロゲンの過剰な分泌を抑えることは必須となります。ステロイドの慢性投与がなくても体内でコルチゾールが過剰に分泌されると同じ結果になります。慢性的な精神的ストレスに限らず、ファスティング、糖質制限やケトン食などのキィトーシス(ketosis)を起こさせる食事法を長期間行うことも慢性的にコルチゾールの分泌を高めて胸腺を委縮させるため禁物です。また低タンパク質食なども胸腺や骨髄の構造・機能にダメージを与えるために良質のたんぱく質(良質のアミノ酸組成)を摂取することが形態形成維持には必須です。
 エストロゲンの抑制に関しては、拙書『がんは安心させなさい』で述べたとおり、クワイノン(napthaquinone)、ナイアシノマイド、ビタミンA,E、カフェインなどが有効です。実際にエストロゲンを産生するアロマテース(aromatase)をブロックすると胸腺組織が回復します。
 そして発酵を十分に行っていない大豆製品を避けること。大豆に含まれるアイソフラボン(isoflavones)は、ごく微量でエストロゲン受容体に結合するため強力なエストロゲン作用を持ちます。これらの植物性エストロゲンは胸腺にダメージを与えて自己免疫疾患を引き起こします。
 もちろんプーファ(多価不飽和脂肪酸)はコルチゾールとエストロゲンの両方を高めるので胸腺には甚大なダメージを及ぼします。そしてコルチゾールとエストロゲンは脂肪組織からのリポリシス(脂肪分解)を促進するために、プーファの血液濃度が高まるので胸腺には甚大なダメージを及ぼします。そしてコルチゾールとエストロゲンは脂肪組織からのリポリシス(脂肪分解)を促進するために、プーファの血液濃度が高まるという悪循環をもたらします。
 またプーファと鉄はミトコンドリアにダメージを与えて活性酸素種・窒素種(まとめて「フリーラジカルズ」(free radicals)という)を発生させます。胸腺の間質は他の組織と比較して抗酸化物質(酵素)が少ないため、これらのフリーラジカルズによって容易にダメージを受けます。鉄とプーファの摂取は要注意です。
 現代医学のガン治療にも留意しないといけません。放射線では著明に胸腺の上皮細胞のみならず、間質までダメージを受けます。サイクロフォスファマイド(cyclophosphamide)などの抗ガン剤も胸腺を死滅させることが報告されています。自分の細胞であるガン細胞を死滅させる細胞毒性を持つものが抗ガン剤ですから、胸腺もそのターゲットになるのは当然です。
 食事に関しては、プーファ、大豆、鉄の他に加工食品にも留意してください。乳製品やホワイトチョコレートなどの着色料として使用されている二酸化チタン(TiO2,Titanium dioxide)は、胸腺細胞を死滅させることが報告されています。
 前述したDHEAと同じく保護ステロイドであるプロゲステロン(一般に妊娠ホルモンといわれている)は、コルチゾールやエストロゲンによって破壊された胸腺を回復させます。動物実験およびヒトのデータでは亜鉛やビタミンEは胸腺の委縮を止めることが報告されています。
 そして形態形成維持に重要な胸腺-甲状腺-脳下垂体-視床下部-松果体の上部チャクラ軸(axis)を同時に活性化できるのは可視光線・近赤外線領域のライトです。
 紫外線が弱い早朝や夕方の太陽を見つめる(sun gazing)ことによって、このチャクラ軸が活性化します。早朝のアーシング(earthing,グラウンディング〈grounding〉ともいう。裸足で土に接地すること)しながら太陽を見つめるだけで、現代人の詰まっているチャクラのフローを流してくれるでしょう。
 そして過呼吸は生命場を乱す要因になりますので、体の中心軸にあるチャクラを意識して、ゆっくりと呼吸を整えること(呼吸回数をゆっくりにしておとしていく)。私たちの日常はストレスの連続です。そのストレスを受けたときにいつもニュートラルに戻り、チャクラを意識しながら呼吸を落ち着けること。
(「新・免疫革命」p210)

(※2)
 まずアルコールはリーキーガットを起こし、エンドトキシンよる全身の炎症を招来する代表選手です。アルコールは、小腸内最近異常増殖(SIBO)や腸内バクテリアの多様性を低下させます。
 興味深いことに、アルコールによる腸内バランスの異常は長鎖飽和脂肪酸で改善されます。アルコールによる肝障害も改善します。さらに抗生物質の投与によっても、アルコールによる腸内バランスの乱れや肝臓障害が改善されます。これは、小腸内に異常増殖したバクテリアの量が抗生物質によって少なくなることによるエンドトキシン負荷の減少によります。
 そして、アルコール(エタノール)は腸内に共生している乳酸菌、大腸菌、イーストなどからも産生されます。このような、アルコールを産生するバクテリアの過剰増殖によってもリーキーガットになるのです。少なくとも、エンドトキシン、鉄、プーファ、エストロゲンといったシックネス・サブスタンス(病気の場を作る物質)が蓄積している成人、心身の調子が悪いあるいは慢性病をすでに患っている人は、アルコールの摂取は控えてください。
  私たちの日常的に摂取する食品、特に加工品にリーキーガットを引き起こす添加物が混入されていることに留意しましょう。食材を加工すればするほど、その過程でエンドトキシン(バクテリア)が混入します。エンドトキシンは食品加工過程の加熱にも耐性があります。つまり、加工食品はフレッシュな素材よりもむしろエンドトキシンが多く、リーキーガットを引き起こすのです。
(「慢性病は現代食から」p144)

(※3)
 乳化剤は洗剤でいうところの界面活性剤のことです。界面活性剤とは、水と油という互いに反発し合う液体を混ぜる役割をもつ物質です。したがって、普段は反発し合って溶け込まない物質を浸潤・浸透させてしまいます。乳化剤とは、食品に混入している界面活性剤を呼び直しているだけにすぎません。
 食品に含まれる乳化剤の代表は、カルボキシルメチルセルロース、ポルソーベート80(Tween)などです。これらの物質を摂取すると、血液内のエンドトキシンが増加して肥満、糖尿病(高血糖)、腸の炎症を加速(クローン病などの大腸炎)、発ガンなどを引き起こすことが分かっています。ヒトの腸粘膜細胞実験でも同じように炎症を引き起こすことも報告されています。
 また、ラットおよびヒトの細胞を使った実験で、これらの乳化剤が腸粘膜の粘膜バリアおよび細胞間のバリアを破壊して、大腸菌やナノ粒子が血管内に速やかに移動することが報告されています。
 つまり、界面活性剤=乳化剤は「リーキーガット」を引き起こし、バクテリアそのもの、あるいはエンドトキシンや大気汚染物質などの毒性物質が小腸から体内に侵入するということです。これがマンプス(MAMPs)、ダンプス(DAMPs)となって、マクロファージなどの免疫細胞を刺激して全身に炎症を引き起こすのです。
 さらに、乳化剤は小腸での脂肪の吸収を高める作用があるため、結果的に高脂肪食となり、メタ炎症を起こします。
 乳化剤は、ワクチンにもしっかりと含まれています。組織を破壊して炎症を引き起こす必要があるからです。組織内のゴミを速やかに侵入させる役割を乳化剤は持っています。
 医薬品には可塑剤、基剤、結合剤、コーティング剤や崩壊剤など、多くの目的で界面活性剤が使用されています。もちろん、医薬品中の乳化剤は、リーキーガットを起こして(腸粘膜バリアを破壊して)医薬品成分を血液内に速やかに吸収させることが最大の目的です。
(前掲書p146)

(※4)
 サッカリン(Saccharin)、サクラロース(Sucralose)、アスパラテーム(Aspartame)などは腸内環境にダメージを与えて、メタ炎症を引き起こします。その結果、糖尿病などの慢性炎症疾患に発展します。
(中略)
 クエン酸は、酸味を出すため、あるいはpH(ペーハー)調整(防腐剤)などのために食品添加物として使用されています。このクエン酸もエンドトキシンの血液流入およびマクロファージの活性化を加速させて、メタ炎症を引き起こします。
 そもそもクエン酸は糖のエネルギー代謝を止める作用(解糖系をブロックする)があるため単体での過剰摂取はお勧めしていません。
 最近、食品添加物の中でも頻用されている増粘剤も腸内環境のバランスを崩す(dysbiosis)代表的物質です。増粘剤は食品のとろみをつける目的に加え、乳化作用を持つために加工食品の大部分に使用されています。
 この増粘剤には、海藻から抽出したカラギーナンやグアー豆から抽出したグアーガムなどの多糖類が用いられています。これらの多糖類は消化が難しく、容易に腸内微生物のエサになって、腸内微生物の過剰増殖を引き起こします。しかも乳化作用でリーキーガットも引き起こします。また高脂肪食と同じく、マクロファージなどのアンテナ(TLR4)を刺激して炎症を加速させます。その結果、メタ炎症、ガン、奇形(妊婦の摂取)を引き起こすのです。
 最後に、食品だけでなく医薬品にも添加されている白い着色料、二酸化チタンです。二酸化チタンは腸内および全身に炎症を引き起こすことが報告されています。
 チタンはいわゆる人体に必要とされている微量元素ではありません。
(中略)
 酸化チタンは今では食品、医薬品の他にも化粧品、塗料、プラスチック、紙、歯磨き粉などに広く使用されています。ちなみに、50年以上前には白色の着色料で何が使われていたかご存じでしょうか?意外や意外、鉛だったのです。
(前掲書p148)

(※5)
腸は、微生物が血液内に流入するメインルートです。そして、腸の他にも、これらのバクテリアやその成分が血液内に流入するルートがあります。
 まずは口腔内です。歯周炎を起こすと、必ずバクテリアやその成分が血液内に流入します。歯周炎と関節リウマチに代表される自己免疫疾患あるいは動脈硬化などの深い関係は、このようなメタ炎症と同じメカニズムで起こっているのです。
 歯ブラシで不用意に強くブラッシングすると、出血することがありますが、このときにもバクテリアなどが血液内に流入します。
(中略)
 その次に、バクテリアが血液内に流入するルートとして重要なのは肺・気管支および尿路系です。肺・呼吸器系に関しては、タバコの煙や大気汚染が炎症を引き起こし、バクテリアの血液内流入を容易にします。
(中略)
 尿路系に関しても血液内へのバクテリアの流入があります。特に女性は男性の3.5倍も尿路感染症になりやすいです。排尿を我慢したり、あるいは脱水傾向になるとバクテリアが尿路で繁殖しやすくなるので留意してください。
(前掲書p153)

(※6)
 プーファ・フリーは大前提ですが、もう一歩踏み込んで、炎症の極期には飽和脂肪酸(短鎖・中鎖を含めた脂肪)を過剰摂取しないこと。徐々に飽和脂肪酸量を増やしていく方法が、辛い症状をコントロールする上でもベストです。
(前掲書p155)
 炎症状態が落ち着いてきたら、ココナッツオイルなどの飽和脂肪酸の摂取量を増やしましょう。ココナッツオイルは、摂取すると、腸内においてメタンガスや硫化水素を出すようなバクテリアや病原性バクテリアの過剰増殖を防ぎます。
 その他にも腸内バクテリアのエサにならない食物繊維が有効です。バクテリアがエサにできないセルロースを豊富に含むタケノコ、生ニンジン、キノコ類などです。
 これらのセルロースを含む食材は、小腸でのバクテリアの過剰増殖(小腸細菌異常増殖症:SIBO)を抑えることで、エンドトキシンなどの炎症ゴミの体内への流入を防ぎ、インシュリン感受性を高めたり、脂肪蓄積を防いだりします。
(前掲書p156)
 エンドトキシンによって引き起こされる炎症に対して有効なビタミンがあります。この中には、ダイレクトにエンドトキシンの白血球のアンテナをブロックするものもあれば、エンドトキシンによる一酸化窒素(NO)や炎症性サイトカインを抑制するものもあります。
 水溶性ビタミンでは、ビタミンB2、ナイアシノマイド(ビタミンB3、ナイアシンとは違うので留意)です。そして脂溶性ビタミンでは、ビタミンA、ビタミンDです。
(前掲書p157)

(※7)
 脂肪組織には褐色(ブラウンとベージュ)と白色(ホワイト)がありますが、炎症に関与しているのは白色のホワイト・ファットの方です。ホワイト・ファットは、主に皮下組織と内臓に存在しています。そして、その脂肪組織に起こるメタ炎症(高脂肪食で起こる慢性炎症)は、脂肪の中でもプーファ(多価不飽和脂肪酸)があらゆる飽和脂肪酸よりも強く引き起こしているのです。
(前掲書p63)
パルミチン酸(C16)は単独でマクロファージなどのアンテナ(TLR4)や細胞内アンテナ(インフラマソーム)を活性化しないことが、2018年の研究論文で明確にされたからです。パルミチン酸より短鎖のミリスチン酸(CL4)でもアンテナ(TLR4)を活性化できません。つまり、飽和脂肪酸はマクロファージなどによって炎症ゴミとしては認識されないということです。
(前掲書p97)
 ちなみに、エネルギーにすぐ変わると喧伝されている中鎖脂肪酸(MCTオイル)でさえも、長期的に摂取するとインシュリン抵抗性を引き起こします。これはランドル効果を示したものです。やはり、飽和脂肪酸でも不飽和脂肪酸でも脂肪をエネルギー源にすることは得策ではありません。
(前掲書p92)

(※8)
 牛肉、豚肉、鶏肉に含まれる全体の鉄の量は12〜14r/100gで大差はありません。鉄含有量は臓器別では脾臓に最も多いのですが、脾臓は一般的に提供されていません。私たちが日常的に摂取できる中ではやはりレバー(肝臓)は鉄含有量が最も多い臓器です。鶏のレバーは8r/100g、牛のレバーで6r/100gも含まれます。それ以外に鉄含有量の多い食材は牡蠣(オイスター)とダークチョコレートです(レバーの1.5倍量)。
 これらの食材よりも一桁多い鉄含有量の食品があります。それは、鉄強化(硫酸第一鉄添加)のシリアル類です。ビタミンCは小腸から鉄の吸収を著しく高めます。ビタミンCのサプリを朝食と一緒に摂取すると2倍の鉄の吸収率になります。朝食と夕食のいずれもビタミンCのサプリを一緒に摂取すると、鉄の吸収量は3倍以上に跳ね上がるので要注意です。
 高プーファ食、レバー(あるいは鉄剤)とビタミンCサプリの組み合わせは、激しいメタ炎症を引き起こすのです。オレンジジュースもビタミンCが豊富なので鉄の吸収を高めるはずですが、高プーファ食と一緒に摂取すると、むしろエンドトキシンの害を軽減することが報告されています。オレンジジュースに含まれるポリフェノールは小腸からの鉄の吸収を防ぐからです。さらには、オレンジジュースに含まれる果糖、ブドウ糖は鉄による炎症を抑える最重要物質です。
 メタ炎症の観点から、肉類を食べるときは過剰な鉄吸収を防ぐためにも、コーヒーやお茶などのポリフェノールを含むものを食後に摂取しましょう。レバーは週に1回程度にし、鉄強化の加工食品は絶対摂取しないことが大切です。
 最後に、料理は鉄鍋を使用しないことです。中華料理のお店では大きい鉄鍋に大量のプーファをしいて調理します。これがどういったことを引き起こすのかを、メタ炎症の観点から再度考え直してみてください。
(前掲書p159)
女性の生理は余分な鉄を放出する重要な戦略でもあります。献血をすると健康状態が良くなる(脳卒中、心臓血管疾患が低下)のも鉄の排出ができるからです。「瀉血療法」という血を抜く治療が19世紀までのメインの治療法であり、2000年の歴史をもつのもうなずけます。
(前掲書p159)

(※9)
 これはマウスの実験ですが、運動をさせないグループと運動をする(トレッドミルを漕ぐ)に分けて、三ヵ月後にエンドトキシン(内毒素)を注射した実験があります。三ヵ月運動したグループでは肝臓にある食細胞(クッパ―細胞、Kupffer cell)の食作用が活性化し、エンドトキシン濃度を低下させました。一方の運動しないグループでは、エンドトキシン、およびそれによって産生される炎症性サイトカインが上昇しました。
 さらに運動したグループでは血液中の保護ステロイドであるDHEAが上昇していました。食細胞にDHEAを加えると濃度依存的に食作用が高まることも確認されました。保護ステロイドとは、まさに体をストレスから守るステロイドであり、ミトコンドリアの機能を高めてエネルギー代謝を保護する作用を持っています。DHEAの他に、プロゲステロン、プレグネノロンがあります。
 定期的な運動が保護ステロイドであるDHEAを誘導し、食細胞のゴミ掃除機能を高めることが示唆されています。ちなみに、ヒトでも毎日運動しているグループ(サイクリング競技をしているアスリート)と運動をしないグループを比較すると、運動をしているグループは有意にエンドトキシン濃度が低いことも報告されています。
 定期的な運動は腸内微生物の多様性を増加させ、腸の壁のバリア機能を高めることも血液中のエンドトキシン濃度低下に寄与しています。
(「新・免疫革命」p207)
 関節リウマチ、多発性硬化症などの自己免疫疾患は、妊娠中は症状が軽快(寛解)し、出産後に炎症が悪化することが知られています。その一方で、妊娠中はインフルエンザウイルスなどの感染症に罹りやすくなることも報告されています。
 妊娠にともなって食細胞の食作用などの働きは活発になりますが、免疫記憶などの新しいリンパ球系の働きは抑えられます。これが妊娠中には自己免疫疾患は抑えられますが、感染症には罹りやすくなる理由です。
 それでは、なぜこのようなことが起こるのでしょうか?
 それは妊娠中に上昇するプロゲステロンという保護ステロイドの作用がもたらしています。プロゲステロンが妊娠中に十分産生されると、新しいリンパ球であるB細胞(B2 cell)の分化・増殖および特異抗体の産生を抑制します。ちなみに妊娠に必要な受精卵の着床は同じ保護ホルモンのDHEAの働きにより可能になります。
 反復性妊娠喪失(流産、死産、子宮外妊娠など)、不妊、子癇前症、早産などは、現在、体内の胎盤や胎児細胞成分をリンパ球が攻撃することで引き起こされる自己免疫疾患と考えられています。
 実際に保護ステロイドであるプロゲステロンはリンパ球の自己組織炎症反応を抑えることで、これらの妊娠関連問題の抑制に寄与します。新しいリンパ球系が制御不能になる自己免疫疾患には総じてプロゲステロンは効果があるということがお分かりになるでしょう。ちなみに病気の場(シックネス・フィールド)において、アレルギー疾患や自己免疫疾患を悪化させるエストロゲンの作用を抑えるのに最も効果のある物質(=抗エストロゲン作用)は、プロゲステロンです。
(前掲書p209)
 炎症を速やかに止める物質はコルチゾール(一般に言われているステロイド、正式には「糖質コルチコイド」)をおいて他にはないでしょう。
 それでは長期的に摂取するとどのような問題を引き起こすのでしょうか?
 インフラマソーム(Inflammasomes)という食細胞の内部にある危険(細胞にダメージを与える危険)を察知するアンテナ(PRRs)を活性化し、炎症を促進することが報告されています。実際にコルチゾールの体内産生を促す酵素(11β-HSD1:11β-hydroxysteroid dehydrogenase-1)をブロックし、コルチゾールの産生を抑えるとインフラマソーム(Inflammasomes)を抑制して炎症が抑えられます。
 つまり、長期間ステロイドを使用していると逆に炎症をオンにしてしまうのです。ステロイド以外にも炎症を促進させる転写因子NF-kBを意図的にブロックすると、インフラマソームを活性化して炎症を引き起こすことが分かっています。
 もちろん、長期間のステロイド投与は慢性的にリポリシス(脂肪組織からの脂肪分解、血液中への放出)を起こすため、これによっても炎症を引き起こします(血液中の脂肪、遊離脂肪酸によって炎症が引き起こされる。これを「メタ炎症」という)。
 さらにコルチゾールの長期投与によって、自己免疫疾患に罹りやすくなります。自己免疫疾患の治療に使われるはずのコルチゾールでなぜ自己免疫疾患を作り出すのでしょうか?
 胸腺はリンパ球系のコントロールセンターです。特に前述したようにT細胞の成熟・成長にダイレクトに関わっています。コルチゾールによって胸腺がダメージを受けるとT細胞の異常を通じてB細胞へのコントロールも効かなくなります。その結果、B細胞の病的な自己抗体産生が起きます。あるいは、B細胞が産生した抗体に結合した抗原抗体が、無秩序に肥満細胞や血小板を刺激して炎症性物質を放出させます。その結果が自己免疫疾患、ガンへとつながります。動物実験では、胸腺を移植したりしてその機能を回復されるとガンが消褪していき、寿命が延長することが報告されています。
 またコルチゾールは、胸腺を活性化させる甲状腺ホルモンの合成(肝臓でのT4→T3)をブロックします。
 したがって、炎症を抑えるために使用したステロイドが長期的には逆に制御不能な炎症をオンにし、自己免疫疾患やガンさえ引き起こしかねないのです。すでに長期のステロイド療法によってリンパ腫などが併発することが報告されています。
(前掲書p198)

(※10)
 自律神経には交換神経と副交感神経があり、前者が興奮(闘いか逃避か)、後者がリラックスの働きがあるとされてします。リラックスすることが良いという思い込みから、「副交感神経を刺激しましょう」というとんでもないデマが流布しています。
(中略)
 副交感神経が刺激を受けると、猛毒の一酸化窒素(NO)、セロトニン、ヒスタミンなどのシックネス・サブスタンス(病気の場の物質)が放出されます。
 したがって、副交感神経を刺激するとガンの進行・転移を促進します。反対に副交感神経を遮断すると、ガンの増殖を抑えられます。あるいは交感神経を刺激することでもガンの増殖を抑えられます。あるいは交感神経を刺激することでもガンの増殖を抑えることができます。ヨガ行者にガンが多いという話を聞いたことがありますが、副交感神経優位に傾いていることがその一因になっている可能性があります。
 生命場においては、自律神経ではむしろ交感神経優位の方がよいのです。問題は過剰に自律神経が交感・副交感にと大きく振れることです。興奮しすぎてもいけませんし、リラックスしすぎてもいけません。ちょうど、筋肉が興奮して硬くなっても(交感神経)、リラックスしすぎても(副交感神経)、どちらも体が動けなくなるのと同様、自律神経は過剰に刺激しない方がよいのです。
(前掲書p115)

(※11)
 健康人でも60時間のファスティングを行うと、遊離脂肪酸が上昇し、血糖・インシュリン値がが低下します。そして、エネルギー代謝が糖の燃焼から脂肪の燃焼(シックネス・メタボリズム:病気のエネルギー代謝)へとシフトしていきます。
 さらに、筋肉内では脂肪蓄積が上昇(インシュリン抵抗性、炎症)し、ミトコンドリア機能低下が起こります。
 見事にファスティングはメタ炎症を体内で作り出しているのです。
 健康人にプーファ(10%サフラワー油10%大豆油)の点滴を4時間行った実験では、遊離脂肪酸が上昇し、脂肪のエネルギー代謝が高まり、糖のエネルギー代謝が低下します。シックネス・パターンの代謝へとスイッチするのです。
 さらに糖の貯蔵体であるグリコーゲン(グライコジェン)合成も低下していきます。グリコーゲン(肝臓と腎臓内に蓄積)は、特に夜中の低血糖状態のときに、脳と赤血球に糖を補充する重要な役割をしています。
 以上から、ファスティング、プーファの健康人静脈内投与のいずれも血液中の遊離脂肪酸を上昇(肥満の人が筋肉内に脂肪蓄積して炎症・インシュリン抵抗性を引き起こすレベル)させ、インシュリン抵抗性、アルデヒド発生、ミトコンドリア機能障害を起こすことが分かります。
 高プーファ食(大豆油、ラード)では、エンドトキシンが増加することも明確になっています。これは高プーファ食によって、リーキーガットが起こり、カイロミクロン(脂肪の吸収型)にエンドトキシンが組み入れられて、血液内に吸収されるからです。血液中のエンドトキシンの増加は、さらに免疫細胞(マクロファージなど)のアンテナ(TLR4)を刺激して脂肪組織の炎症(メタ炎症)を加速させます。
 高カロリーの高プーファ食および低カロリー(カロリーオフ)のファスティング、いずれでもメタ炎症を引き起こされます。
(「慢性病は現代食から」p108)
 高脂肪食(プーファ食)や食品加工で使用される様々な物質に加えて、私たちの心身にストレスを与えて、腸内バランスを崩すものがその他にもたくさんあります。 
 まずはエストロゲン様物質です。アルコール、タバコの煙、排気ガス(ダイオキシンを含む多環式芳香族炭化水素、PAH)、フタル酸、パラベン、トリクロサンなどはエストロゲン作用を持ちます。これらの物質への暴露でメタ炎症が引き起こされ、腸内バランスが崩れる(dysbiosis)ことが分かっています。
(中略)
 大気汚染の原因物質としてはオゾンやPM2.5がよく研究されています。これらの物質は、炎症ゴミ(ダンプス)となってマクロファージのアンテナ(TLR)に作用して全身に炎症を加速します。それによって、体内のプーファの酸化が進み、オメガ3の過酸化脂質であるMDAやオメガ6の過酸化脂質である8-アイソプラストンなどの血液濃度が高くなります。最終的に脂肪蓄積、インシュリン抵抗性などのメタ炎症のサインが現れます。
 そしてライフスタイルです。過量のアルコール摂取の他にも、運動不足や睡眠不足(昼夜逆転)なども私たちの心身にストレスを与え、腸内環境も変化させます。
(前掲書p151)
 インシュリン抵抗性は、私たちの細胞内の糖の取り込みをブロックします。そして、その貴重な糖を脳・赤血球にシフトします。なぜなら、脳と赤血球は実質的には糖しかエネルギー源として利用できないからです。
 つまり、インシュリン抵抗性は急性のストレスに適応する重要な生体防御反応なのです。問題は、その一時的な生体防御反応が慢性的にスイッチがオンになっていることです。このストレス反応の慢性化した状態があらゆる心身の慢性病を引き起こします。
(前掲書p123)

(※12)
形態形成維持にとって重要な働きをしている古いB細胞(B-1a cell)は新しいB細胞(B-2 cell)やT細胞の反応を調整しています。具体的にはB細胞がたくさんのゴミに暴露することで活性化し、たくさんの自然自己抗体(NAAbs)を作ります。これは新しいB細胞(B-2 cell)やT細胞の働きを抑えるために、自己組織に炎症を起こす自己免疫疾患やアレルギーを起こしにくくします。
 これは、衛生仮説(hygiene hypothesis)のメカニズムそのものです。衛生仮説とは、幼少時に感染性微生物の暴露が少ないほど、アレルギー疾患や自己免疫疾患のリスクが高まるというものです。
 幼少時から泥遊びをしてたくさんの微生物をはじめとしたゴミに暴露しているほど、古いB細胞(B-1a cell)の活動が盛んになり、アレルギー疾患や自己免疫疾患の原因となる新しいB細胞(B-2)やT細胞の働きを抑えることになります。
 日本のお家芸といえる発酵食品も形態形成維持に寄与すると考えていいでしょう。ただし、酸っぱい発酵食は生命場を乱す乳酸を豊富に含むため注意が必要です。ある種の共生腸内寄生虫(helminth)がアレルギー疾患や自己免疫疾患のリスクを低下させるのも同じ原理です。
(「新・免疫革命」p196)

(※13)
多種多様な細菌や真菌と私たちが共生する中で、ある腫の細菌が一時的に勢力を増し、私たちに悪影響を与える(病気として感じる状態)になる時というのは、こちら人間側の力が弱っていることを意味します。細菌や真菌そして私たちの体、ここにあるパワーバランスは日々変動しています。そのパワーストラクチャーの変化によって、それぞれのプレーヤーが活性されたり、抑圧されたりしながら、バランスの取れた均衡状態を保っています。
 そのダイナミックな変化と均衡の繰り返しが微生物と生命体である私たちの中で、ただ自然に起きています。今もし、微生物による感染症が私たちの致命傷になるダメージを与えているのだとすれば、それは間違いなく私たち側の力が落ちているからに過ぎないのです。
 無理をしすぎた時などに熱が出たりしますが、それは微生物のせいではありません。ストレスに対応するには体内の中性脂肪やタンパク質が分解され、その血中に遊離した脂質やアミノ酸が炎症を加速させ、発熱につながっているのです。
 また、弱っている時には、細菌に私たちの力が負けてしまう時もあります。ですが力が回復した途端にパワーバランスが対等に戻って症状は治まります。ここでいう「力」とは、エネルギー総量です。ブドウ球菌であろうと大腸菌であろうと、「悪い」とされているどんな菌も、私たちは仲良く共存しているということを理解すれば、抗菌力の高い薬剤や食物を摂取することに意味がないことが分かるのではないでしょうか。
(「ハチミツ自然療法の最前線」p218)
 近年、「悪いのは菌だ。だから菌によって病気になる」といった短絡的な概念が植えつけられてしまったが故に、「抗菌作用が高いものを食べれば私たちは病気にならない」、「抗菌作用が高いハチミツや、抗菌作用の高い薬を摂れば、悪い菌を対処できて健康な身体に戻る」といった結論に行きつくことになります。
 しかしながら、実際は物事に良いも悪いもないのです。同じものも、その場の環境によって、時には良いと認識され、時には悪いと認識されます。しかしその良いと悪いの定義はそもそも何なのか。誰によってのものなのか。どの視点でのジャッジなのかによって、答えはその都度違ってきます。
 つまり、「悪い特定の菌を殺します」といった記述がされている商品や物があれば、それは信用ならない、ということです。もちろん成分によっては対処しやすい菌というのは存在するでしょうが、ダメージを受けるのはその菌だけではなく、私たちの身体全体のバランスにも影響があるということを忘れないでください。
(前掲書p227)


2023年11月4日改稿
posted by T.Sasaki at 15:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 免疫について | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

何でもござれ!

こんにちは。

少し前に、「2そう曳きか、その他の漁業か?」で、「たら延縄漁業も壊滅的」と書いた。
したがって、近年ずっと続いていたまだらの水揚げ日本一も、今年の宮古魚市場ではあり得ないだろう。
その元凶がこれ。
すけそうだらなのか、まだらなのか、遠目からでは判断できないくらい小さいまだらである。

トロールまだら.JPG

2そう曳きは、異常に単価の高いするめいかを狙って曳いているが、練り製品の原料にしかならない小さいまだらを混獲している。
これで、まだら資源が増えるか?
さらに、TAC割り当てのないピンさばの混穫も。

トロールさば.JPG

岩手で秋鮭が大漁だったころは、鮭の混穫もたくさんやった。
何でもござれ!

「こういう漁業を今後も続けていいものか?」という議論すら、水産庁や県の水産部局であるのかないのか。
2そう曳きトロールという漁法を、善か悪か、と判断を求められたら、悪、と答えるしかない。

2023年11月03日

オメガ3の真実(免疫について 11)

オメガ3の真実

「DHAやEPAを摂りましょう!」というポスターが病院に貼ってある。
これは、一部の細胞実験だけに着目しているだけである。(※1)
あんなもの、慢性病の患者を増やして、医者たちが儲けるための大嘘だ!

DHAやEPAは、オメガ3というプーファに分類される。
オメガ3というプーファは酸化し、アルデヒドという毒に変化する。
毒が基本的に体の免疫を奪うのは、前述している通りである。

プーファが脳の中でも悪さをするのは、「プーファとは」で記している通りだが、プーファの中でも、DHAは最悪だ。(※2)
EPAも空気中での酸化が激しい。(※3)
何が「青魚を食べれば頭が良くなる!」だ。
漁師に頭の良い人が多くなるはずなのに、そうでないのは、オメガ3を摂り過ぎているからなのだ。

DHAやEPAは、白血球の食作用を完全に止めてしまう。(※4)
つまり、体内のゴミ掃除ができなくなるのである。
ゴミは散乱し、病気へまっしぐら。(「形態形成維持と細胞のゴミ処理」参照のこと)。
網膜上にDHAが蓄積しすぎても、失明してしまう。(※5)
口臭の原因ともなる。(※6)

私は、このような事実を知らなかったし、もともと鮭を春と秋に獲っていたものだから、オメガ3をたくさん食べた。
しかし、偶然にも近年、鮭の大不漁で食べなくなった。
食べる魚類といったら、いかやたこ、たら類、どんこなど、脂の少ない魚のみになった。
父が倒れたのを機会に、外食もしなくなった(父は孫が来れば、よく回転寿司や蛇の目へみんなを連れて行って、オメガ3をたくさん食べていた)。
まったくの偶然で、オメガ3を食べなくなったのだ。
食べなくても、それほど頭は悪くならない(笑)。

寿司など、タバコと同じような嗜好品と考えていいだろう。
脂のある青魚は、たまに食べる程度にしたほうがいい。



(※1)
DHAは、細胞実験において食細胞(マクロファージ)ではインフラマソーム(inflammasome)という細胞内にあるパターン認識受容体(PRRs)を不活性化して炎症を抑える(=免疫抑制)と報告されていますが、一方でガン細胞の実験ではインフラマソームを活性化して壊死を起こさせる(パイロトーシス、pyroptosis)ことも報告されています。この研究を素直に受け取ると、DHAは作用する細胞によって正反対の働きをしています。これも「コンテキスト依存」ということになるでしょう。
 ガン細胞内で壊死を起こさせると、自分の破裂したガン細胞成分をターゲットに自己免疫反応が始まる可能性があります(腫瘍免疫ができて腫瘍を縮小する可能性がある)。しかし、まだこれは生体内の実験ではないのでDHAがガンに対して効果(腫瘍免疫)を示すかどうかは未定です。
 良いことばかりのDHA礼賛データばかりが散見されますが、最近になってDHAがミトコンドリアの電子伝達系を強力にブロックすることで糖尿病、肥満、心臓血管障害が出現する詳細なメカニズムが発表されています。
(中略)
 DHAのミトコンドリアの糖のエネルギー代謝低下作用は、形態形成維持にとって最重要である生命場のエネルギーフローに決定的なダメージを与えます。そうすると、いずれ前述したように自己免疫疾患、アレルギー疾患、ガンなどの発生につながります。慢性病はすべて形態形成維持(morphostasis)の失敗の過程・結果です。
 したがって、たとえ細胞実験(生体内とは環境が違う)である物質に効果があったということでその物資を治療目的で使用する場合(生体に応用する)にも、こういった再現性の高い基礎的な実験結果をしっかりと見つめないといけません。純粋な細胞実験は生体での(複雑系)の一部を切り取ったものを説明するものに過ぎません。
 たとえば、ペトリ皿に入れたガン細胞にDHAやフィッシュオイル(EPA)を投与するとそのストレスによってガンが死滅します。しかし、DHAを体内に投与すると正常細胞のエネルギー代謝もやられてしまうのですから、長期的にはガンの場を作ることになります。
(「新・免疫革命」p202)

(※2)
 頭によいと喧伝されたDHAはなんとプーファ(PUFA:多価不飽和脂肪酸)の中でも最も酸化が激しい物質。つまり最も猛毒のアルデヒド(過酸化脂質)を形成する物質なのです。
 DHA(22:6 n-3)はオレイン酸(18:1 n-9)より320倍酸化を受けやすく、リノール酸(18:2 n-6)より8倍酸化されやすい(=アルデヒドを形成しやすい)性質を持っています。
 アルツハイマー病の動物モデルでは脳へのオレイン酸の蓄積が発病に関与していることが示唆されています。
 そのオレイン酸より320倍もアルデヒドを作りやすいDHAが脳に蓄積するとどうなるかということです。
(「プーファ・フリーであなたはよみがえる!」p73)

(※3)
 フィッシュオイル(EPA)は、室温で空気に触れただけで、24時間以内にアルデヒドが5〜6倍、48時間以内に12倍も増加します。
 たとえ、食事の中にビタミンEなどの抗酸化物質を入れてもフィッシュオイル(EPA)からのアルデヒド発生の増加を止めることができません。
(前掲書p124)

(※4)
 魚油(EPA)やDHAから形成されるアイソプラストン、ニューロプラストンなどの過酸化脂質の最も恐ろしいのは、白血球(マクロファージ)の食作用(NF-k B Pathway)を完全に止めてしまうことです。
 白血球(マクロファージ)の食作用は、生命体の形態形成維持(morphostasis)の根幹をなします。私たちの細胞が健やかに育つ“場”(生命場)の汚れをきれいにクリーンナップするのが食作用です。
 食作用がオメガ3系のプーファ(PUFA)でダメージを受けると、生命の“場”が歪みます。
 このことがガンや自己免疫疾患の発生につながるのです。
(前掲書p75)

(※5)
 実際にDHAを利用している網膜でさえ必要以上量が蓄積すると、アルデヒドが網膜のタンパク質に結合して網膜を変性させ、光を検地する細胞が死滅していくことが分かっています。
(前掲書p135)
 プーファ(多価不飽和脂肪酸)が自動酸化されることで発生するマロンダイアルデハイド(MDA)や4-ハイドロキシノネナール(4HNE)などの過酸化脂質(反応性カルボニル化合物、RCCsあるいはアルデヒドともよぶ)は、細胞内掃除のオートファジー(自食作用)を妨害します。具体的には異常タンパク質などを分解するライソゾームにあるタンパク質分解酵素(proteinase)と結合して、分解作用をブロックします。
 網膜色素上皮細胞(RPE,retinal pigment epithelium)は食作用を持ち、ダメージを受けた光受容体細胞を掃除することで網膜の生命場を維持しています。この網膜色素上皮細胞内での食作用(オートファジー)が過酸化脂質によってダメージを受けると細胞外の食作用もうまくいかなくなるということです。
 網膜の光受容体細胞には、DHAが豊富に含まれています。DHAは何度も繰り返しますが、プーファの中でも最も酸化されやすい脂質です。したがって、光受容体細胞は酸化のダメージを受けやすい細胞です。このようなダメージを受けた網膜細胞を素早く処理するためにも血液中の食細胞だけでなく、網膜色素上皮細胞自体が食作用を発揮することで網膜の形態形成が維持できているのです。
 ところが、光受容体細胞が酸化されて形成された「過酸化脂質結合タンパク質(アルデヒド結合タンパク質)」は、食細胞に貪食されても分解されにくいことが分かっています。さらには食細胞内のタンパク質分解酵素の働きにダメージを与えて、他の変性タンパク質の分解をもブロックすることが分かっています。
 そして過酸化脂質(アルデヒド)によって、食細胞の食作用がうまくいかなくなると、食細胞の細胞内にリポファッシン(lipofuscin)という鉄と過酸化脂質の結合体が生命場に蓄積していきます。リポファッシンそのものが、生命場で酸素を奪い、活性酸素種(ROS)を放出しますので、リポファッシンの蓄積はさらに食作用を低下させます。過酸化脂質(アルデヒド)による網膜組織での形態形成維持異常が加齢性黄斑変性(AMD:age-related macular degeneration)という成人の失明で最も多い疾患の原因となっています。
 DHAなどの不飽和結合の多いプーファは、ミトコンドリアのエネルギー産生を低下させるだけでなく、自動酸化して産生する過酸化脂質(アルデヒド)によって形態形成維持に決定的なダメージを与えます。プーファの蓄積がほとんどない胎児では、胎内で骨折したり傷を負ったりしても線維化を起こすような傷跡を残すことなく完全に修復・治癒します。
(「新・免疫革命」p204)

(※6)
 また、口臭もプーファ(PUFA)蓄積と深く関係しています。
 口臭は、ローマ時代から病気の診断に用いられてきた経緯があります。
 漁業の盛んな地域の病院にかつて勤務したことがありました。よく外来で、夫婦で来られて、「夫の口臭がひどい」という訴えをされることがありました。歯の治療をしても口臭が治らないといいます。
 私はすぐにピンときて、「ご主人は何をよく食べられますか?」と尋ねると、決まって魚の刺身といいます。
 これは魚の油、つまりオメガ3系のプーファ(PUFA)が酸化してできるアルデヒド(ヘキソナール、アイソプラストンなど)がその口臭の原因です。
 口臭が魚臭い場合、昔から肝臓病があるといわれます。その原因がプーファ(PUFA)あるいはすでにプーファ(PUFA)が酸化して大量に形成されたアルデヒドの蓄積ですから、肝臓病のみならず、ガンを含めたあらゆる慢性病が隠れている、あるいは発症する可能性が高いと推測できます。
 糖尿病の直接の原因もプーファ(PUFA)の蓄積によるものです。
 実際に糖尿病の人の血糖値を判定するのにも、口臭に含まれるプーファ(PUFA)の酸化物(ケトン体、アルデヒド誘導体など)が指標になります。
(「プーファ・フリーであなたはよみがえる!」p89)

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2023年11月02日

プーファとは(免疫について 10)

こんばんは。

脂肪酸には、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸がある。
脂肪酸とは、油のことである。

飽和脂肪酸は、構造上安定しているので、酸化してアルデヒドに変化することはない。
細胞の構成成分としても使われている。
バター、ココナッツオイル、牛脂などに含まれている。(※1)

一方、不飽和脂肪酸は、構造上不安定なので、酸化してアルデヒドに変化する。
不飽和脂肪酸には、オメガ3とオメガ6がある。
これをプーファという。
特にオメガ3は、激しく酸化する。
魚油や植物油などに含まれている。(※2)

私たちの体を構成するタンパク質もダメージを受け、ゴミになったりするのだが、これを分解するのがタンパク質分解酵素である。
皮膚のしわは、コラーゲンなどの劣化でできてしまうが、劣化したコラーゲンはタンパク質分解酵素で分解し、新陳代謝を促す。
しかし、プーファで発生したアルデヒドが、これを阻害し、しわは増えていくことになる。
そして、シミ。
シミは、タンパク質にアルデヒドと鉄などが結合してできたものである。
これは、タンパク質分解酵素によっても分解されず、困ったことに、体内の各臓器にできる。
挙げ句の果て、アルデヒドによって血管にまでシミができてしまい、それを処理するはずのマクロファージでさえ、アルデヒドに負けてしまうのだから、どうにもならない。
老化すればするほど、このシミは多くなり、寿命に関わることになる。
したがって、プーファの過剰摂取は、老化が早くなることを意味する。(※3)

脳梗塞・心筋梗塞などのつまりを解消するのも、タンパク質分解酵素の役割である。
また、消化管の中でタンパク質を消化する場合も、タンパク質分解酵素が重要である。(※4)
この働きを阻害するアルデヒドを、体の中に発生させるような生活をすれば、健康を維持できない。

アルデヒドは、アミノ酸にも結合する。
これを私たちの細胞は異物と勘違いし、抗体を作り始めて、自己免疫疾患の原因となる。(※5)
さらに、アルデヒドの悪さは脳へも及ぶ。
脳は脂質が多く、この脂質が飽和脂肪酸ではなくプーファであれば、もちろん酸化し、アルツハイマー病などの脳の病を患ってしまう。
アルデヒドという毒の発生で、脳細胞は死んでいく。(※6)

次のプーファの悪さは、男も女も興味を引くものだ。
プーファの過剰摂取によって、体も臭くなる。(※7)
子どもを作る楽しみもなくなり、仮にあったとしても男の側に問題が発生する(笑)。
生まれてきた赤ちゃんもひどい目に遭う。(※8)

プーファの流行は、人為的なものである。
以前は、飽和脂肪酸のココナッツオイルで揚げ物も行われていたが、化学薬品を使って作られる植物油に置き換えられた。
植物油は180度に熱すれば、アクロレインという毒に変わる。
したがって、オメガ6の油類で揚げ物をする人は、毒を吸い込んでいるに等しい。
プーファを使った揚げ物の現場では、アクロレインが充満し、血液中のアルデヒド濃度が高くなる。
これが、油酔いという現象である。

いわしはオメガ3を含むから、いわしの揚げ物を食べるということは、オメガ3とオメガ6を同時に摂取し、体内でアルデヒドの大量生産をしているようなものである。(※9)
今や、豚やニワトリも、プーファを含む穀物で育てられているため、その肉もプーファまみれである。
悲しいことに、コンビニやスーパーで売られている食品は、プーファだらけである。(※10)
原材料を注意してみると、植物油、植物油脂という名称が、ほぼすべての食品に書かれてある。



(※1)
 脂肪酸というのは炭素をバックボーン(背骨:つらなったもの)として水素(および酸素)が結合しているものです。
 炭素が水素とあますことなく結合しているものを「飽和脂肪酸」といいます。
 そして、炭素が水素との結合の手があまっているものを「不飽和脂肪酸」といいます。
 したがって、「中性脂肪」とよばれるもの(以下「トライアシルグリセライド」と呼びます)は、三つの脂肪酸が飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸のさまざまなパターンがあるということです。
 飽和脂肪酸は、炭素の鎖の長さで「長鎖」「中鎖」「短鎖」という分類をします。
 長鎖の飽和脂肪酸(長鎖飽和脂肪酸)は、バター、ココナッツオイル、牛脂などに豊富に含まれています。その代表的なものには、パルミチン酸、ステアリン酸といったものがあります。これらの長鎖飽和脂肪酸は、細胞の骨格や細胞成分の材料に欠かせません。
 アルツハイマー病に効果があるといわれている飽和脂肪酸は、中鎖の飽和脂肪酸です。ラウリン酸、カブリル酸(caprylic acid)、カプリン酸(capric acid)がその代表です。これらの中鎖飽和脂肪酸は、ココナッツオイルや母乳(不飽和脂肪酸の摂取量の少ない母親)に豊富に含まれています。
 短鎖の飽和脂肪酸の代表が、バターに含まれる酪酸、プロピオン酸とよばれるものです。
 これらの飽和脂肪酸の特徴は、自動的に酸化されないこと。これにつきます。
 脂肪のバックボーンの炭素が水素とあますことなく結合しているため、酸素の入る余地がないからです。
 短鎖、中鎖飽和脂肪酸はエネルギー源として優先的に使用されます。バター、ココナッツオイルに豊富に含まれています。
 ただし、分裂盛んな細胞やガン細胞などを別として、エネルギー源の中心は「糖」ですから、短鎖・中鎖飽和脂肪酸が長期的に「糖」の代替をすることはできません。
(「プーファ・フリーであなたはよみがえる!」p56)
 長鎖飽和脂肪酸は、エネルギー源だけでなく、細胞の構成成分としても使用されます。
 たとえば肺の「サーファクタント」とよばれる重要な物質があります。肺は肺胞という小さい風船が多数集まった組織です。この風船が空気の出し入れで膨らんだり、しぼんだりします。しぼむときに肺がぺっしゃんこにつぶれないように働いているのが「サーファクタント」です。完全に肺胞がつぶれた状態はちょうど、完全に空気が抜けた風船の状態です。
 それでは、なぜ「サーファクタント」が風船の形状を保つことができるのか?
 それは飽和脂肪酸の構造にあります。飽和脂肪酸は構造がとても安定しています。
 もしこれが後述するプーファだとしたらどうでしょうか?
 プーファは不安定で折れ曲がる構造をしています。
 プーファが風船の「サーファクタント」であれば、空気が抜けたあとは完全に虚脱(ぺちゃんこになる)してしまいます。
 実は、これは人体で起こりうる事態です。生まれたばかりの赤ちゃんが同じ肺胞がつぶれることで呼吸ができなくなる病態があります。これを「新生児呼吸困難症」といいます。これは母体からの過剰なプーファの供給で、赤ちゃんのサーファクタントが飽和脂肪酸からプーファリッチに変わったことで起こるのです。
(前掲書p59)
 長鎖飽和脂肪酸は、バター、ココナッツオイル以外にも牛脂などの反芻動物の油に豊富に含まれています。
 これらの飽和脂肪酸は自動的に酸化しないので、猛毒のアルデヒドを産生することがありません。
 飽和脂肪酸は、私たちの体の中で安全で有益な脂肪といえます。
 しかし、たとえ飽和脂肪酸であったも過剰摂取すると、生命体のエネルギー源の柱である糖の利用を妨げますので、高脂肪食(たとえプーファが少ないものでも)はストレスとなります。
(前掲書p60)

(※2)
 第1章から問題になっている植物油脂や魚油などのPUFA(プーファ)は、長鎖の不飽和脂肪酸です。
 こちらは炭素数が18個以上の長鎖しかありません。それで不飽和脂肪酸と言えばプーファ(PUFA:多価不飽和脂肪酸)のことを指します。
 プーファ(PUFA:多価不飽和脂肪酸)の分類については、炭素の手が余っている場所(炭素どうしが二重結合している位置)によって、呼び方があります。
 具体的には、カルボキシル基から最も離れた端の炭素から数えて何個目に炭素の二重結合があるかで、n-3、n-5、n-6、n-9不飽和脂肪酸などと呼びます。
 n-3は、ギリシャ文字を使用してオメガ3(ω3)とも表記します。同じくn-6はオメガ6(ω6)とも表記します。
 私たちが主に食品から摂取しているプーファ(PUFA:多価不飽和脂肪酸)はこのオメガ3とオメガ6の二つです。
 オメガ6系統は高リノール紅花油やひまわり油、大豆油、菜種油などです。オメガ3系統は亜麻仁油や魚油などです。
(前掲書p62)
 オメガ3には、紫蘇油、亜麻仁油、魚油などが含まれます。
 一方のオメガ6には高リノール紅花油、高リノールひまわり油、大豆油、コーン油、菜種油、月見草油などのいわゆる植物油脂が含まれます。
 オメガ3とオメガ6はいずれも室温でも容易に酸化され、アルデヒド(過酸化脂質)を形成します。特に炭素のバックボーンに結合の手が余っているオメガ3は酸化が激しいプーファ(PUFA)です。
(前掲書p69)

(※3)
 生命体にはタンパク質を吸収したり、ダメージを受けたタンパク質を分解したりする酵素が備わっています。
 これを「タンパク質分解酵素(protease:プロティース、プロティエイス)」といいます。代表的なものとして、トライプスン(trypsin:トリプシン)、カイモタライプスン(chymotrypsin:キモトリプシン)などがあります。
 この酵素は新陳代謝にとって非常に重要なキープレイヤーです。古くなって錆びついたタンパク質や異常なタンパク質を分解する作用を持ちます。また、それによってまた新しいタンパク質を作る材料を提供してくれます。
 つまり、タンパク質の新陳代謝にはタンパク質分解酵素(protease:プロティース、プロティエイス)は欠かせない存在です。
 皮膚の弾力性の主体はコラーゲン、エラスチンといったタンパク質です。 
 このコラーゲン、エラスチンといったタンパク質も、プーファ(PUFA)や放射線などによるダメージによって変性(老化)していきます。
 変性・老化したコラーゲン、エラスチンが蓄積すると、皮下組織が硬くなり、いわゆる「しわ」が目立つようになります。
 このようなダメージを受けたコラーゲン、エラスチンもタンパク質分解酵素(protease)で分解されて、新陳代謝することではじめて肌はいつまでもハリを保てます。
 このタンパク質分解酵素(protease)というタンパク質(酵素)にも、あのアルデヒド(過酸化脂質)が結合してその働きをブロックしてしまいます。
 そして、このタンパク質分解酵素(protease)というタンパク質(酵素)にアルデヒドが結合した物質は、他のタンパク質分解酵素(protease)によっても分解されません。
 これによって、変性・老化したコラーゲン、エラスチンの新陳代謝がブロックされることで皮膚のシワ、老化が目立つようになります。
 さらに、老化肌の指標ともなるシミ。
 シミは老人斑ともいわれるものですが、正式には「リポフシン(lipofuscin:リポファッシン)」といいます。
 「リポフシン」(lipofuscin)の名前は、濃い色の脂肪(dark fat)から由来しています。老人斑、セロイド色素、肝斑などはすべて「リポフシン」(lipofuscin)です。
 「リポフシン」(lipofuscin)は、タンパク質にアルデヒド、鉄、エストロゲンなどのが結合した変性タンパク質がその本体です。アルデヒドがタンパク質に結合した物質ですから、一度形成されるとタンパク質分解酵素でも分解されません。だから一度できたシミは消えないのです。
 この「リポフシン」(lipofuscin:リポファッシン)は、アルデヒドとタンパク質の結合体ですから、プーファ(PUFA)の摂取量を減らせば、それだけシミが減るはずです。実際に、プーファ(PUFA)を減らしたカロリー制限食などで「リポフシン」(lipofuscin)の蓄積が減少することが示されています。「リポフシン」(lipofuscin)は、肌のシミだけではありません。全身の臓器にも同じようにシミが形成され、組織にダメージを与えます。
 そのため、「リポフシン」(lipofuscin)の蓄積量が多いほど寿命が短くなります。
(前掲書p82)
 動脈硬化は、LDLコレステロール中のプーファ(PUFA)から形成される猛毒物質のアルデヒド(アクロレイン、MDA、4-HNEなど)が原因です。
 アルデヒドを蓄えたLDLコレステロール(酸化LDLコレステロール)は、場を乱す物質として判断されるため、ファゴサイト(食細胞:マクロファージ)によって貪食されます。
 しかし、このアルデヒドという猛毒物質はファゴサイト(食細胞:マクロファージ)に取り込まれても、消化されずに残ります。それによって、機能を失ったファゴサイト(食細胞:マクロファージ)は泡状に変性し(泡沫細胞といわれる)、血管の壁に集積します。
 これが動脈硬化の初期にみられる変化です。
 ファゴサイト(食細胞:マクロファージ)がアルデヒドを蓄えたLDLコレステロール(酸化LDLコレステロール)を処理できなくなると、次には抗体が掃除役として登場します。自己免疫疾患と同じく、この過程で激しく炎症を起こします。
 この反応が繰り返されることで、血管の壁が変性・膨張し、やがて血管を閉塞してしまいます。
 さらにアルデヒドは鉄、エストロゲンといった炎症性物質の存在下で、前述した「リポフシン(lipofuscin:リポファッシン)」というシミを形成します。
 この「リポフシン」(lipofuscin)は、肌のシミの本体ですが、血管の壁にも形成されます。
 この血管壁にできた“シミ”は周囲の酸素を奪うため、周囲の細胞が酸欠状態になります。これによってシミの周囲の組織もミトコンドリア機能が低下し、機能・構造がダメージを受けます。
 このシミを掃除しようと飲み込んだファゴサイト(食細胞:マクロファージ)もやはりアルデヒドに負けて変性し、泡沫細胞になってしまいます。
 実際に泡沫細胞になったファゴサイト(食細胞:マクロファージ)にも多数の「リポフシン」(lipofuscin)が形成されています。
 動脈硬化、溶けない血餅および血管の“シミ”という「アルデヒド相乗効果」によって血管の内腔が狭くなるのが狭心症、あるいは完全に詰まるのが脳梗塞・心筋梗塞・深部静脈血栓症の本態なのです。
(前掲書p93)

(※4)
脳梗塞・心筋梗塞などでは重要な血管が血餅(血液の餅。血液とタンパク質の凝固物)で詰まってしまいます。
 この血餅を溶かすのもタンパク質分解酵素(protease)の働きです。
 プーファ(PUFA)から自動的に形成されるアルデヒドによって、タンパク質分解酵素(protease)の働きがダメージを受けると、血管に血餅が詰まったままになります。
 これが脳に起これば脳梗塞。心臓の血管に起これば心筋梗塞。深層の静脈に起これば深部静脈血栓症(エコノミー症候群)であす。
(前掲書p92)
 消化管(小腸)の中でタンパク質分解酵素(protease:プロティース、プロティエイス)が働かないと食事中のタンパク質は、分解・吸収することができません。
 食事中にプーファ(PUFA)あるいはそれから形成されるアルデヒドが多いほど、タンパク質を分解する酵素の働きがブロックされますから、タンパク質の消化が悪くなります。
 小腸では、容易に消化できないデンプン質からもアルデヒドが発生しまう。これは、小腸に存在するバクテリアが難消化性のデンプン質を発酵することで産生されます。
 このアルデヒドによって小腸粘膜細胞がダメージを受ける(小腸粘膜細胞中のタンパク質にアルデヒドが結合して変性させる)と、栄養素の吸収障害が起こるだけでなく、アルデヒドが血液中に入って頭痛や慢性疲労などのさまざまな症状が出てきます。
(前掲書p96)

(※5)
 自己免疫疾患とは、変性した自分の細胞・組織に対して抗体ができ、慢性的に炎症が持続する病態です。
 細胞・組織を変性させるのはやはりプーファ(PUFA)が酸化されてできるアルデヒドです。
 アルデヒドはタンパク質を構成するアミノ酸のイオウ(thiol:サイオール)やアミンに強固に結合します。
 アルデヒドが結合した細胞内外タンパク質は変性する(抗原となる)ので、この“ゴミ”を処理しようと抗体が登場するのです。
 自己免疫疾患では、オメガ6系植物油脂のプーファ(PUFA)から形成される4-HNE(4-hydroxynonenal)というアルデヒド結合タンパク質の血液濃度が異常に高いことが以前から知られていました。
 自己免疫疾患の代表であるシェーグレン症候群や全身性エリテマトーデス(SLE)などでは、アルデヒドが特殊なタンパク質に結合して変性したものや、アルデヒドが遺伝子(DNA)結合したものに抗体ができることが慢性炎症の原因となっています。
 そしてこれらのアルデヒド結合タンパク質や遺伝子が多いほど、炎症・症状が強くなります。
(前掲書p98)

(※6)
 脳は脂質がリッチで、酸素消費も全体の20〜30パーセントにのぼる器官です。
 当然、脳にたまる脂肪がプーファであれば、酸素と反応してアルデヒドが大量に発生することは容易に想像できます。
 実際に、過剰なプーファの酸化が自閉症、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性硬化症(ALS)、ハンチントン舞踏病、ダウン症、クロイツフェルト・ジャコブ病(CJD)などで報告されています。
 アルツハイマー病では、変性したアミロイドというタンパク質が脳の神経細胞に蓄積します。これは、アミロイドタンパクにアルデヒドが結合して、分解できなくなった変性タンパク質です。
 このアルデヒドが結合したアミロイドタンパクはさらにプーファを酸化させて大量のアルデヒドを発生させます。
 これによって大量の脳細胞が死滅するため、記憶などの脳機能が失われていくのです。
(前掲書p100)

(※7)
 現代人は年齢と重ねると特有の体臭を発します。
 これは加齢とともに蓄積したプーファ(PUFA)が皮脂として皮膚上に分泌されて、それが酸化することで形成されるアルデヒド(「トランス2ノネナール」「ヘキサナール」など)のためです。
 これら皮膚上で形成されるアルデヒドは、揮発性有機化合物(VOCs:volatile organic compounds)といいます。プーファのクッキングオイルを使用した炒め物・揚げ物料理と同様に、揮発(気体となる)して空気中を漂うのです。
 この体臭の原因となるプーファ(PUFA)を分泌する腺を「アポクリン腺」といいます。
(前掲書p87)
 日本人は欧米人よりもこのアポクリン腺が少ないため、体臭がきつくないとされています。しかし、現代の日本人は、プーファ(PUFA)蓄積量が半端ではありません。そのため人によっては若いときから腋臭などの体臭が強いひとも多いです。腋臭もアルデヒドの揮発です。
 ちなみにアポクリン腺の多少は、耳垢の性質をみればわかります。
 乾いてかさかさの耳垢のひとはアポクリン腺が少なく、ベタッと湿っている耳垢の人はアポクリン腺が多いです。
 特にベタッと湿っている耳垢の人は、体臭の面からもプーファ(PUFA)の蓄積に要注意です。
(前掲書p88)

(※8)
 プーファは男性・女性の性機能を低下させます。
(前掲書p128)
 糖のエネルギー代謝の一つの指標として生殖能力があります。今や不妊の半分は、男性の精子の数や質が低下していたことが原因となっています。精子の産生には、ブドウ糖が必須です。そして、成熟した精子の質や活動性をキープするためには、フルクトースとグルコースが必要です。精子も脳と同じく、生成と維持に専らグルコースとフルクトースに頼っているからです。したがって、その精子の数や質も糖のエネルギー代謝の良い指標になります。
 現代人の精子の数や質の低下は、さまざまな毒性物質への暴露によりますが、共通している因子として肥満が挙げられています。肥満は高脂肪食(実際は高プーファ食、現代医学ではプーファには触れないことは不文律になっている)が主要な原因です。2019年に食事内容に白砂糖を増やした臨床試験が報告されています。試験開始当時は3分の1の被検者の精子の動きに問題がありましたが、1日450gの白砂糖を食事に追加すると、2週間ですべての被検者の精子の動きが正常化しました。食事のプーファ量がそのままでも、白砂糖を加えただけで精子の糖のエネルギー代謝が回復したのです。
(「ハチミツ自然療法の最前線」p175)
 母乳にDHAなどのアルデヒドを産生しやすいプーファ(PUFA)が含まれているほど黄疸がより発生しやすいのです。
 母親の食事内容が生まれてくる子供にとてつもない大きな影響を与えることにもっと意識を向けるべきです。
 一方の人工ミルク。これにはプーファが添加されています。そしてすでにプーファが酸化したアルデヒドが含まれていることが報告されています。
 赤ちゃんには、アルデヒドまみれの人工乳ではなく、母乳を与えることに限りますが、その場合でもお母さんの食事内容にプーファがないかをチェックする必要があります。
(「プーファ・フリーであなたはよみがえる!」p141)

(※9)
植物油脂(プーファ)の普及は調理法の革命も起こしました。
 ほんの数十年前までの調理法は、網焼きなどのグリル、煮るなどの油を使わない調理法が主体でした。
 それが植物油脂というプーファ(PUFA)をフライパン上にひて炒めるという「炒め物」や食材を植物油脂の中に入れて揚げるという「揚げ物」調理が発明されます。
 これらの新しい調理法に使用される植物油脂、(プーファ=PUFA)はのちに「クッキングオイル」と呼ばれるようになります(洗脳するにはとてもキャッチーなネーミングです)。
 具体的には、キャノーラ油、オリーブ油、菜種油、コーン油、大豆油、サフラワー油などのプーファ(PUFA)が使用されました。
 フライパンでの油を使った「炒め物」や「揚げ物」調理も、その油に牛脂・バターあるいはココナッツオイルなどの飽和脂肪酸を使用すれば、プーファの含有量が少ないので、実害は少なくて済みます。
 実際に「揚げ物」調理法にも最初は飽和脂肪酸であるココナッツオイルが使用されたのですが、1940年代頃から多価不飽和脂肪酸(PUFA=プーファ)である大豆油などの植物油脂に置き換えられていきます。
 「揚げ物」調理は、「炒め物」料理よりも高温でしかも、大量の植物油脂(プーファ)を使用するため、そこから発生するアルデヒド誘導体(過酸化脂質)の量は半端なものではありません。
 クッキングオイル(プーファ)を摂氏180度で使用した調理では大量のアクロレインという“猛毒”のアルデヒドが形成され、空気中にも拡散することがわかっています。
(前掲書p25)
 よく調理場で天ぷら、から揚げなどの調理を長時間行っていると気分が悪くなるといわれます。これは揚げ物に使用されるプーファ(PUFA:多価不飽和脂肪酸)の酸化が加熱によって進行することで発生するアクロレインなどのアルデヒド(過酸化脂質)を吸い込むことが原因です。
 これは「油酔い」といわれていますが、調理の過程で大量に産生されたアルデヒド(過酸化脂質)は、容易に蒸発(揮発)します。これを吸い込むことで血液中のアルデヒド濃度が高くなります。
(前掲書p28)
 プーファには植物油脂といわれるオメガ6系と魚油などのオメガ3系がありますが、イワシの揚げ物には、植物油(オメガ6系)そのものおよびイワシの油(オメガ3系)の二種類のプーファ(PUFA:多価不飽和脂肪酸)由来の、ダブルアルデヒド(過酸化脂質)が負荷されているのです。
 このダブルのアルデヒドを大量に含んだ食材を食べることは悲劇としか言いようがありません。
(前掲書p29)

(※10)
 私たちが日常的に摂取している豚、ニワトリなどは穀物で育てられているため、その畜産物もプーファ(PUFA:多価不飽和脂肪酸)リッチです。
 このような家畜を食べることでも私たちの体内でプーファ(PUFA)が蓄積していきます。たとえば、大豆を給餌されている豚の脂はなんと30%以上もプーファ(リノール酸、オメガ6系)を含有しています。
 動物の肉としっても、穀物、ドライフィッシュなどを与えられている家畜の畜産物はプーファまみれなのです。
 いまやラードは動物性脂肪ではなく、植物油脂(プーファ)といってよいでしょう。現代では、これに魚油のサプリメント推奨などが拍車をかけています。
(前掲書p31)
 ラード(ブタの脂)はオレイン酸(一価の不飽和脂肪酸)が最多で、その次に多い脂はプーファ(多価不飽和脂肪酸)です。プーファはブタが穀物とフィッシュオイルを摂取している量によって、オメガ6とオメガ3の比率が変わります。これを飽和脂肪酸といわれると眉をひそめたくなります。
(「慢性病は現代食から」p98)
 さらに調理方法の変化と加工食品の大量生産という現代のライフスタイル(食事法および食生活)の革命によって、植物油脂(プーファ:PUFA)の世界的な普及が起こりました。
 植物油脂(オメガ6系、リノール酸といいます)とはキャノーラ油、菜種油、サフラワー油、大豆油、コーン油、セサミオイル、亜麻仁(アマニ)油などに代表される、植物の種を搾って化学薬品を使って分離した油(プーファ:PUFA)です。
 この植物油脂はほとんどの加工品(コンビニ、スーパーで販売されている食品)に使用されています。
(「プーファ・フリーであなたはよみがえる!」p23)
posted by T.Sasaki at 19:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 免疫について | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年11月01日

アルデヒドという毒について(免疫について 9)

こんばんは。

漁もなく暇なので、「免疫について」シリーズの「8」まで、読みやすくアップデートした。
今までプーファの説明なしに、いろいろと書いてきたが、ここで勇気をもって、それを明らかにする。
まずは、プーファが酸化してできるアルデヒドから。

崎谷先生は、医学生時代に、ホルマリンという標本を保存する溶液から嫌な経験をした。
これは、ホルムアルデヒドという毒であり、シックハウス症候群の原因となる。
タンパク質のアミノ酸を固定して標本を保存できる、ということは、生きた人間の組織も固定し始めるということであり、毒以外の何物でもない。(※1)

そして、アルデヒドといえば、アセトアルデヒド。
二日酔いの原因物質である。
飲み過ぎれば二日酔いになる。
これは、アセトアルデヒド脱水素酵素のカバーする領域を越えて、酒を飲み過ぎた場合に起こる。
日本人には、この酵素が少ないため、二日酔いはおろか、急性アルコール中毒で死ぬこともあり、これに関するがんも多い。
酒を飲んでいる中、タバコの毒は、それに追い打ちをかける。(※2)

アセトアルデヒド脱水素酵素には2種類あり、分解能力が高いN型と、分解能力が低下したD型がある。
基本的に、遺伝的に受け継いだNN型、ND型、DD型の3種類となり、酒の強い弱いは、酒に強い人、酒をある程度飲める人、全く飲めない人の3種類しかない。
この分布には特徴があり、大和朝廷を作ったといわれる大陸からの渡来人の多くいる地域はNN型が少なく、逆に辺境に追いやられた先住民(南方系)のいる地域はNN型が多いようだ。(※3)
つまり、先住民の血を濃くひく人たちは、酒が強い、と言えるのかもしれない。
私は、ある程度の飲める部類であり、ある意味、最も幸せである。
酒の強い人は、限界を知らずに飲むため、結局のところ病気になりやすいし、早く死にやすい。

プーファの登場は、1万年前の農耕が始まった時代であり、これ以降、植物油が酸化してできたアルデヒドに人間は、知らず知らずのうちに脅かされてきた。(※4)
人間の側も、飲酒の解毒作用をもつアルコール脱水酵素と同じように、アルデヒド脱水酵素などの解毒酵素で対抗できるが、これにも限界がある。
量の問題である。
プーファの過剰摂取で、さまざまな病気が発生する。

病気は、「免疫について」シリーズの第1回「免疫について」で記した「私たちの体は、自覚しない炎症をあちこちで起こしている」ということの、量の問題なのである。
したがって、免疫力を維持するとは、これらの毒物をできるだけ摂取しない、ということと同義なのである。(※5)



(※1)
 日本では医学部の三年生で解剖実習があります。私は、この解剖実習が嫌で仕方ありませんでした。人体を解剖することに激しい抵抗があったわけではありませんが、解剖実習の部屋に入ると気分が悪くなったのです。
 そして大学院のときには、病理解剖という死因を特定するための死体解剖を経験しました。このときは、学生時代の気分の悪さに比較にならないものがありました。
 臓器を保存するためにホルマリンという溶液に漬けるのですが、この物質が揮発して目や粘膜に激しい刺激をもたらしたからです。
 病理解剖の部屋を出て一両日中は両目の痛みが続き、充血していました。おそらく毎日この溶液に接している人は、かなり健康を害していたと思います。
 このホルマリンは、ホルムアルデヒドという猛毒の物質の溶液です。
 そのホルムアルデヒドがなぜ臓器標本の保存溶液として使用されるのでしょうか?
 それは、ホルムアルデヒドがもつホルミル基(-CHO)が、タンパク質のアミノ基(-NH2)と結合して次々と凝固させていくからです(架橋反応といいます)。標本を“固定”するには都合のよい物質なのです。
 ホルムアルデヒドは、もっとも単純な「アルデヒド」という物質の化合物で、「シックハウス症候群」の原因物質でもあります。
 さまざまなアルデヒド(本当は「アルデハイド」と表記・発音する方がよい)を総称して、アルデヒド誘導体(以下「アルデヒド」と略称します)といいます。これらのアルデヒド誘導体は、後述するように次々にタンパク質に結合して遺伝子などの構造・機能を編成させダメージを与えていくのです。
「プーファ・フリーであなたはよみがえる!」p14 

(※2)
 日本人(そして東アジア)に食道がん、上咽頭がん、胃がん、肝臓がん、大腸がん、さらにはアルツハイマー病などが多いのは、なんとこのアセトアルデヒドを分解する酵素(アセトアルデヒド脱水素酵素:ALDH2)が少ない、あるいはないことが関係していると報告されています。
(前掲書p16)
 毎年、コンパなどで学生が急性アルコール中毒で命を落としますが、それはこのアルデヒド化合物が蓄積して、全身、特に脳に急激なエネルギー代謝障害を起こすからです。お酒を飲んですぐ赤くなる人や気分が悪くなる人は、アルコールを避けるのが賢明です。
 また車の排気ガス、タバコの煙などにもこのアルデヒドの一種である猛毒の「アクロレイン」が含まれています。
 酒場ではお酒を飲んでタバコをぷかぷかふかしている人をよく見かけます。あれは、よく考えるとお酒とタバコの「アルデヒド」のダブルパンチをわざわざ食らっているのです。
 この「アルデヒド」は、実はお酒を飲まない人やタバコを吸わない人でも日々蓄積しています。
(前掲書p17)

(※3)
 体内に入ったアルコールは肝臓で分解されます。その際に発生するアセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH)により酢酸に分解され、最終的には水と炭酸ガスになって体外に排出されます。ALDHの働きが弱いと、わずかな量のお酒でも、顔面紅潮・吐き気・動悸・眠気・頭痛などのフラッシング反応を引き起こすことがあります。
 ALDHは数種類あるのですが、そのうちALDH2をつくる遺伝子の違いが、お酒に強いかどうかに大きく関係しています。
 ALDH2には分解能力が高いN型と、突然変異で分解能力が低下したD型があります。誰でも両親からいずれかの一つずつを受け継ぐので、人間にはNN型、ND型、DD型の3パターンあることになります。
 NN型に対してND型は約16分の1の代謝能力しかありません。さらにDD型にいたっては代謝能力を失っています。つまりND型やDD型は、一般的にお酒に弱い人、もしくはお酒を飲めない人ということになります。
 ALDHのタイプは生まれつきの体質ですが、人種によってその出現率が異なります。お酒に弱いND型とお酒が飲めないDD型は、モンゴロイド(黄色人種)に多く見られ、それぞれ約40%、約4%認められます。これに対しコーカソイド(白人種)とネグロイド(黒人種)はほとんどお酒に強いNN型です。
 ちなみに2006年に、全都道府県の5255人を対象にタイプ別の割合を調査、順位づけた報告があります。それによればNN型は中部、近畿、北陸、北九州など西日本で少なく、東西に向かうにつれて増加し、東北、関東、南九州、沖縄で多くなる傾向がありました。
(「日本酒の科学」p302)

(※4)
 約1万年前に農耕革命が起こってからの人類の心身の健康状態はかなり悪化しました。その原因は穀物、豆類の過剰摂取にあります。
 本書で何よりも指摘したいことは、穀物・豆類の最大の問題点がこの「アルデヒド」に関係しているということです。それは穀物・豆類に含まれている脂質(油)成分がアルデヒドに関係しているということです。
 その脂質とは「多価不飽和脂肪酸(Polyunsaturated fatty acid:略してPUFA(プーファ)とよびます。以下「プーファ」と略記)です。
(「プーファ・フリーであなたはよみがえる!」p18)
 さて、プーファ(PUFA:多価不飽和脂肪酸)が体内に摂取された場合、必ず酸化されて一部は変性していきます。
 この、体内でプーファ(PUFA:多価不飽和脂肪酸)が酸素に触れて(酸化して)変性したものを、内因性のアルデヒド(過酸化脂質)といいます。
 体内で形成される内因性アルデヒド(過酸化脂質)の代表的なものには、アクロレイン、ハイドロキシノネナール、(4−HNE)、ハイドロキシヘキサナール(4−HHE)、マロンディアルデハイド(MDA)などがあります。
 これらの過酸化脂質ことは、あの猛毒の「アルデヒド誘導体」なのです。
 これらのアルデヒドは、体内のタンパク質、遺伝子(DNA)などに結合して、その構造・機能にダメージを与え、ガンや糖尿病などのあらゆる慢性病をひきおこします。
 さらにはプーファ(PUFA)からできるアルデヒド誘導体以外の過酸化脂質としてアイソプラストン、ニューロプラストンなどの“猛毒”があります。
(「プーファ・フリーであなたはよみがえる!」p41)

(※5)
 私たちの体内で作り出すものは、原発や石油からできるような環境に負荷のかかるエネルギーではありません。
 それは「糖」を資源としたクリーンなエネルギーです(例外は安静時の筋肉は脂肪酸、分裂が盛んな細胞は糖、脂肪酸、アミノ酸を燃料とします)。
 そのエネルギー貯蔵体のことをATP(エーティーピー:アデノシン三リン酸)といいます。このエネルギー(ATP)があって機能―構造が安定します。
 実は、アルデヒド(過酸化脂質)は、この体内のエネルギー産生をダイレクトにブロックしてしまいます。
 具体的には私たちの体内のエネルギー産生所であるミトコンドリアの機能(電子の受け渡し、サイトクロムCオキシデースという酵素)にダイレクトにダメージを与えます。
 エネルギー産生がやられると、すべての機能そしてその相互関係にある構造までが崩れてきます。これが、アルデヒドが発ガン作用をもつ所以です。
 さらに植物油脂や魚の油由来のアルデヒドは、細胞内のタンパク質・遺伝子・リン脂質などと結合して構造を変化させ、機能を障害します。
 このアルデヒドはバクテリアやウイルスの遺伝子にさえも結合して破壊します。アルデヒドにかかるとインフルエンザウイルスでさえやられてしまいます。
 さて、私たち人体にも、この猛毒のアルデヒドを排泄する機構が備わっています。
 アルコール脱水酵素(ADH:alcohol dehydrogenase)、アルデヒド脱水酵素(ALDH:aldehyde dehydrogenase)、アルドケトレダクテース(AKR:aldo-keto redyuctase)あるいはグルータサイオン(glutathione)といった酵素です。
 しかし、このアルデヒドを処理する酵素でさえ、アルデヒドがある一定濃度以上になると、逆にこの酵素の一部にアルデヒドが結合して機能。構造を不可逆的に変化させてしまいます。こうなればもう猛毒のアルデヒドには手のほどこしようがありません。
 もちろんアルデヒドが細胞のさまざまな成分に結合して機能にダメージを与えることによって構造変化が起こる結果はガンだけではありません。
 プーファ(PUFA)から形成されるアルデヒド(過酸化脂質)によって身体全体の機能・構造が崩れていくのですから、糖尿病、脳・心臓血管病、自己免疫疾患、自閉症、神経難病、アルツハイマー病、消化器疾患などの慢性病や老化の最大の原因にもなっています。
(前掲書p45)

posted by T.Sasaki at 19:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 免疫について | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする