ふたたび、こんにちは。
まずは、政治資金規正法違反である事案を、当人たちは「知らなかった」としている記事から。
https://www.47news.jp/9894537.html(「
47NEWS」)
これらのことをチェックしない彼らの秘書は、即刻クビにすべきである。
「知らなかった」なら、そうするしかないはずだ。
「紙の爆弾」今月号(12月号)に掲載されている足立昌勝さんの「政治献金をめぐる法律の抜け穴」は、いい記事だ。
政治資金規正法は、ザル法である。
こんなことも改正できない政治家には、うんざりさせられる。
気づかない秘書連中も、だ。
公職選挙法では、政治家および後援団体による寄付、政治家の関連企業からの寄付が禁止され、政治家への寄付は制限が加えられている。
すなわち、公選法199条一項で、国会議員に対して「国と請負その他特別の利益を伴う契約の当事者である者」は、当該選挙に関し、寄付をしてはならないとされている。この規定に違反した者は3年以下の懲役または50万円以下の罰金、会社の場合には、3年以下の禁固又は50万円以下の罰金に処せられる。
しかし、その寄付を受け取った議員の側には何らの規定もない。したがって、冒頭に述べた萩生田政調会長、小渕選対委員長、高市経済安全保障担当大臣については、政治的責任は存在するかもしれないが、公職選挙法上の責任は発生しない。
(中略)
公職選挙法が選挙に絡んだ寄付を問題にする一方、政治資金規正法は、日常的な政治活動に絡んだ寄付行為を規制している。そこで禁止されている寄付行為とそれに対する罰則は、無届団体の寄付の受領・支出の禁止違反で5年以下の禁錮、100万円以下の罰金。収支報告書への不記載・虚偽記載で5年以下の禁錮、100万円以下の罰金。政治資金監査報告書への虚偽記載で30万円以下の罰金などだ。
政治家側は、この法律に基づき、収支報告書を提出しなければならない。報告書は一般に公開されるので、違法とみられる寄付についてさまざまな指摘がなされる。
指摘を受けた場合、政治家側は誤りを認め、収支報告書の内容を訂正することになる。この訂正について、政治資金規正法では、特段の定めはない。
しかし、訂正だけですむ問題なのであろうか。
公開された収支報告書では、当然のように収支の均衡が図られている。先述の通り、収入額を変更すれば、支出額も変わってくる。支出には領収書が必要でも、いとも簡単に訂正しているのが通常である。なぜそのような訂正が可能なのか。
事実を正確に反映せず、帳簿上で処理しているのだろう。その内容の適正性は問われず、どのような操作がなされたのか、我々には全く見えてこない。そこに政治資金の流れについての不透明性が存在するのだ。
1990年代に起きた金丸事件では、東京佐川急便からの5億円の闇献金が明らかになり、さらに、東京地検特捜部の捜査で数十億円の不正蓄財が発覚した。
市民や企業から集められた寄付は、すべてを政治資金として利用すべきだが、政治家側は、様々な手法を用いて、闇資金を作ってきた。
その際に用いられるものこそ、収支報告書への過少記載であり不記載だ。政治資金規正法の処罰対象であっても、事実が判明した場合、政治家側は自主的に収支報告書の訂正を行なうことにより処罰を免れているのが実情なのだ。
これは、欠陥だらけの政治資金規正法を改正しようとしない政治の責任である。しかし、特に世襲政治家が多い自民党政権では、自らの首を絞めることになる改正をしようとはしない。
(中略)
ここで、同様にお金のやり取りで成立する収賄罪と比較してみよう。公務員は職権に絡み、賄賂を受け取るだけで犯罪となる。それを返還したからといって、罪の成立に何らの影響も与えない。
ところが寄付行為では、寄付する側は規制・処罰されるが、寄付を受ける側=議員側は、何らの規制もない。つまり、受け取り放題なのが現状だ。前述のように、そこで受け取った寄付は闇献金となり、使い放題となる。
(「紙の爆弾」2023年12月号p83)この記事は、政治家と公務員の処罰の違いから論評しているが、「紙の爆弾」の同じ号では、文科省の役人とその部下の地方公務員でさえ、扱いが異常なほど違うことも指摘している。
過ちに対する処分にしても、役職が上に行くほど大甘なのだ。
日本国民の足を引っ張っているのは、良心を知らない無能な政治家と無能な上級公務員なのである(実際には、私の経験上、岩手県職員たちにも同じことが言える。法律の運用は、彼らの恣意性によるところが大きい)。
政府・文科省は、6年前に停職1ケ月の懲戒処分になった藤原章夫・初等中等教育局長(59歳)を、今年8月8日付で事務方トップの文部科学事務次官に、同じく停職3ヵ月の懲戒処分となった藤江陽子・総合教育政策局長(59歳)を、事務方ナンバー2の文科審議官に任命するという、払税者である一般市民の感覚とは異なる、異常な人事異動を強行した。なお、21年9月時点で、推定年収は事務次官が2317万円余、文科審議官が2183万円だ。
(前掲書p86)一方で、東京都の方針に反対して、君が代斉唱時に起立しなかった教員には戒告、減給などの処分が下された。
これは後に最高裁で争われ、減給処分はあんまりだ、という判決が下されたが、戒告は容認された。
処分された川村佐和さんの例では、臨時的任用教員の受験の際、処分歴が影響して不合格となり、さらに、その決定通知も1ヵ月以上遅れて郵送されたという嫌がらせも受けている。
同じ懲戒処分
(※1)でも、これほどの違いがあるのだ。
常識のある日本人は、もちろん、そんなことに賛成するはずもない。
当時の世論は、次のようなものである。
21年5月の憲法記念日にちなみ、朝日新聞が行なった「公立高校で君が代を起立・斉唱しなかった教員を教委が処分してよいという最高裁判決に納得できるか」の世論調査で、「納得できない(65%)」が「できる(31%)」を大きく上回った。都教委の出した“君が代”処分は特定の思想に基づく政治的な処分ゆえ、不当と考える人が多数なのだ。
一方、違法行為を犯し定年後の天下り先を確保させ、税金から多額の退職金を得た上に、さらに私腹を肥やそうとするエゴイスト文部官僚らに下った処分に、「反対」という一般市民は皆無。むしろ「軽すぎる」と言う人もいる(当時の報道インタビュー等)。
(前掲書p88)この記事の執筆者である永野厚男さんは、次のように結論している。
このように教職員に比べ文部官僚は“上級国民”として優遇扱い。「法も下の平等」を定めた憲法第14条違反で、不当な格差・差別だといえる。
(前掲書p89)私を取り調べて検察庁に送り、一方で、資源管理に対して、岩手県トロール業界の違法行為を全く調べなかった県職員たちは、憲法第14条に違反したのである。
と記しても、何ら反省もないだろうなあ。
隠すことのみに精力をつぎ込み、反省をしないのが公務員たちなのか。
「申し訳なかった」の一言も、私は聞いたことがない。
(※1)
国家公務員(文部官僚等)・地方公務員(公立小中学校の教職員等)とも、懲戒処分(いわゆる厳重注意や文書訓告とは異なり、給与減額や履歴搭載等の不利益を与える)は、重い順に免職・停職・減給・戒告だ。免職処分は窃盗・性犯罪等を犯した教職員等に対し発令する。停職処分はこの免職処分の一歩手前、重い処分だ。
(前掲書p86)
posted by T.Sasaki at 16:43|
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