日本の漁業が崩壊する本当の理由 片野歩

世界中で魚類資源が増えているのに、日本だけが減っている。
この現実を、恥ずかしいと思うべきである。

日本の漁業が崩壊する本当の理由.jpg

すべての漁協組合長、理事、参事、そして、任意の漁業団体の会長以下すべての役員たちは、この本を読むべきだ。
読みたくないならば、「日本の漁師は大バカものだ」を参照すること。
これを認識できないならば、役職に就く資格はない!

2023年10月29日

マンションやホテルが全滅!

4回目。

なぜか、メキシコのアカプルコの惨状が、テレビや新聞報道で皆無。
何これ?

すごい!

https://nofia.net/?p=15189
https://nofia.net/?p=15210
posted by T.Sasaki at 15:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

いか釣り船頭の高齢化

3回目。

登別港の親分に入港船が招待され、一杯やってきた。
そこで、愕然としたことがある。
船頭の高齢化である。
その中で、最も高齢だったのが、何と!私であった。
知らないうちに、年寄りになっていた(笑)。
だから、特に夜いかの場合、私は邪魔な老人だから、一番最後にパラシュートアンカーをやるようにしているし、それで獲れなくなれば帰ってくるしかない。
事実、もう帰ってきた(その後、何日も続かなかったらしい。漁が続かないのは、資源不足のためであり、今年はどこも同じ)。

集まった船頭は十数人だが、最低年齢が50歳とは驚いた。
船も新しそうで、たぶん、補助事業か何かで買ったか作ったんだろうな、と思っていたから、年齢も相応に若いと思った(補助事業は若者に厚遇だから)。

私が、いか釣りの船頭をやったのは、27歳の時である。
たまたま、今乗っている船を作るため、父とその弟は気仙沼へ行き、「お前の好きなように船を動かせ!」と、もう一隻の漁運丸を預けられた。
船を操船するのも初めてみたいなもので、岸壁につける時など、非常に緊張していた。
ぶつけたりすれば、とんでもなく怒られるのは、わかっていたから。
ただ、運よく、大漁してしまった。
あの年は、異常だった。
夜漁しかなかった時代で、あんな電気(93Kw)で釜石以北の岩手では、一番になってしまった。
当時、山田の鉄船たちは、200Kwも電気を点けていたのに。
一応、それからは、いか釣りの時だけ、船頭をさせてもらった(どの漁業も預けられたのは津波の2年前で、40代後半)。

私は特に若かったが、それでも、30代の船頭は、ざらにいたと思う。
それが、今、岩手、青森、北海道のいか釣り船で、20代、30代の船頭は、どれほどいるのだろうか。
私は、そんな若い船頭をほとんど見たことがない。
これは、日本の人口問題に匹敵する大問題である。
posted by T.Sasaki at 14:58| Comment(0) | TrackBack(0) | いか釣り漁業 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

全いか協で、要請したらしいけど。

ふたたび、こんにちは。

少し前のことだが、沿岸組合(岩手県沿岸漁船漁業組合)いか釣り部会の地区幹事さんから、するめいか大不漁に関して、何か要請するための意見集約で、意見を求められた。
私は、2そう曳きトロールの廃止しか頭にないので、それしか言わなかったが、全国で水産庁長官に要請したようだ。(※1)

最近の週刊水産新聞によると、函館市場では、史上最低を更新している。(※2)
それも、悪かった昨年の半分以下。
話にならない。

地元の宮古でも、いか刺しなどを作っていた加工屋が終わった。(※3)
これは、イカ王子さまの会社で、まあ、私は何とも言わない。
イカ王子は、鮮度の良いものを宣伝すべき!」で、鮮度の悪いトロールのいかと一緒に「いわてグラフ」の表紙に載った人(今まで副島先生が新聞記事やネット記事をちゃんと貼り付け転載していたのを不思議に思っていました。結局リンク先というのは消滅してしまうのがほとんど。だから、証拠として彼はそうしていたのだと今になって気づいています。マメにこういうことはやっておこうと反省します。それに比べ、公務員たちの証拠書類を捨てるというのは、もう論外で、その時点で即刻辞職すべきです)。
「イカ王子」で検索すればヒットする。

近年の大不漁は、すでに、何年も前から予測されていたのに、加工業界は、何の意見も言わなかったのだから、自業自得だと思う。
S水産の社長にはいつも言っていることだが、仲買人からも「2そう曳きトロールはダメだ」とはっきり言えと。
最後は、自分たちが苦しむのを、なぜかわからないようだ(代替魚に関してのことは、ここには書きません。こういう場面でこそ、政治家を使うのです)。

トロールの獲ったするめいかは、一般に品質が良くない。
砂や泥が混じる。

トロールいか.JPG

さらに、刺身用に加工する場合、白くするために薬品を使うらしい。
私は、その薬品名を知りたい。

刺身用は、いか釣り漁船の釣ったものに限る。
凍結船や小型いか釣りの釣ったものが、本当の刺身用なのである(定置網も)。

2そう曳きトロールは最悪の漁法」というカテゴリーで、釣りに食わないするめいかを、2そう曳きが根こそぎ獲っているというのは、魚探画像を使って説明してきた。
したがって、全いか協の要請@の最も重要な部分は、トロール、特に2そう曳きのするめいか禁漁を行うこと。
今や、まぐろの過剰保護のため、するめいかは底に潜ってしまい、まき網でさえ獲ることができなくなっている。
だから、これが、最もするめいか資源を増やす方策なのである。

2そう曳きトロールをこのままにしておいて、それ以外の人たちが、誰か喜ぶとでも思うのだろうか。
魚類資源が少なくなって、単価の高騰を喜んでいるのは、2そう曳きの社長たちだけだ。
私は、岩手県底曳組合会長の事務所に行って、それがわかった。
まだ、自分たちだけ、金儲けをしたいのだろうか。



(※1)
水産長官に支援要請
全いか協「浜の窮状知って」
 全国いか釣漁業協議会は9月22日、小型イカ釣り漁業者の経営安定と操業継続を求め、森健水産庁長官に対して要請行動を実施した。
 今回の要請では、@資源減少の要因分析とTAC設定の見直しなど適切な資源管理の実施Aクロマグロの来遊量増加に伴う漁具被害と操業中断への支援B漁業共済・漁船保険掛金補助の強化と積立プラスの基準漁獲金額算出方法の見直しC物価高騰に対するコスト低減など漁業者への体質強化支援D漁業経営セーフティーネット構築事業の継続・強化E漁業近代化資金の償還期限延長、無利子化、無担保誘致などの継続F軽油引取税・石油石炭税・地球温暖化対策の免税・還付措置の恒久化GALPS処理水の海洋放出に係る対策の実施H小型イカ釣り漁業の操業形態の見直しや操業転換支援I考えられるあらゆる措置を講ずること―など10項目の政策実現を求めた。
 三國優会長は「クロマグロによる被害の増加や歴史的な不漁に見舞われるなど、存亡の危機にある浜の窮状を聞いていただきたい。イカ釣り漁業を後世に残していくためにも国の支援を御願いしたい」と訴えた。これに対して森長官は「いただいた要望をしっかり受け止め、どのようなことができるかを考え、できる限り対応をしていきたい」と述べた。
(2023年10月2日付「週刊水産新聞」14面)

(※2)
スルメイカ取扱い最低
函館市場、9月末まで
 函館のスルメイカ釣漁は今季も低水準の水揚げが続き、函館市水産物地方卸売市場の6月〜9月の取扱数量(生鮮)は不漁だった昨年を57%下回る153トンに低迷、統計が残る2005年以降で最低となっている。一方、キロ平均単価は53%高の1429円と最高値に高騰しているが、大幅な減産を補えず金額は33%減の2億1854万円と過去最低に落ち込んでいる。
(2023年10月16日付「週刊水産新聞」6面)

(※3)
宮古・共和水産が民事再生 負債9億1800万円、イカ不漁など影響
 宮古市藤原の水産加工業・共和水産(資本金1600万円、鈴木徹社長)は6日までに、盛岡地裁に民事再生法の適用を申請し、受理された。帝国データバンク盛岡支店によると、負債額は1月期決算で約9億1800万円。主力商品の原料となるイカの不漁や資材高騰などで経営が悪化した。
 同社は1985年に設立。イカに特化した独自商品に力を入れ、イカそうめんや刺身を中心に製造販売。2022年1月の売上高は約11億7400万円を計上していた。
https://www.iwate-np.co.jp/article/2023/10/7/151436岩手日報」)

どこに針を下ろしたらいいのか

こんにちは。

もうすでに北海道を切り上げ、宮古に帰ってきた。
前沖では、2そう曳きは相変わらずするめいかを獲っているが、昨日、久慈沖から南下しながら調査して、たった2個しか獲れなかった。
侍浜沖で何匹か上がり、そこには地元船が何隻かいた。
調査目的なので、そこで我慢するわけもなく南下。
黒埼が近くなるにつれ、魚探反応が濃くなる一方。

濃い反応.JPG

野田湾沖で、1台だけ機械が鳴った。
うれしくなり一瞬喜んだが、その1回だけで終わり。
周りをうろうろして針を下げたが、1匹も食わない。
それからまた南下。

もうこんな魚探反応になると、どこに針を落としたらいいか、わからん。

濃い反応2.JPG

2そう曳きの船頭は、本当に楽だ。
「オレ様は魚を獲る」などと威張れるほどのことではない。

黒埼から南下すると、魚探反応は薄くなり、海底が少しわかるようになった。
小本沖で数匹揚がり、それより南では形なし。
あきらめて早く入港し、一杯やった(笑)。

私たちいか釣り漁師は、写真のような濃い反応で、針を下ろしながら流れて形がなければあきらめて移動する。
ずっと形がなければ、帰って休む。
何度も書くが、生き残ったするめいかは産卵して再生産される。
その再生産を極端に妨害するのが、岩手の2そう曳きトロールなのだ。
魚探に何が映ろうが映るまいが、とにかく、曳けば何かが入る、という考えなのである。
こんな漁法では、魚がいなくなるのは当たり前である。

2023年10月22日

目指すは、グリーン水素社会

ふたたび、こんにちは。

グリーン、ブルー、グレー。
水素の生産で、二酸化炭素を排出するか否かで、呼び名が違う。
太陽光、風力、地熱、水力のエネルギーで生産する水素をグリーン水素という。
一方、火力発電などの化石燃料で生産された水素は、ブルー水素、グレー水素である。
ブルー水素は、発生した二酸化炭素を地下貯蔵したり、二酸化炭素の再利用したものを言う。
グレー水素は、そういうこともしないもの。
したがって、問題とされる二酸化炭素を排出しない水素製造は、グリーン水素である。

現在、蓄電池として使用されている代表的なものは、鉛バッテリーとリチウムイオインバッテリーである。
全固体バッテリーも開発途上であり、完成実用化されれば、電気自動車にとって画期的である。
しかし、その上を行くのが、トヨタMIRAIの燃料電池車である。
水素社会が到来すれば、燃料電池は有利となる。

特に、燃料電池車は、水素ステーステーションの普及にかかっている。
これに関して、まずは、バスやトラックから燃料電池を導入していくのがいいようだ。(※1)
事実、中国ではすでにこの方向で動き、日本を追い越してしまった。(※2)

水素はいろいろと問題点が語られるが、すでに実証試験は各地で行われている。
ドイツでは、電車が水素で動いている。(※3)
スコットランドでは、小型船舶が動いている。(※4)
台湾ではスクーターが開発されている(※5)
燃料電池フォークリフトも流行り始めた。(※6)

純粋に水素を燃料電池で使う以前、すでに、エネファームという家庭用燃料電池が普及している。
これは化石燃料を利用しているので、二酸化炭素ができてしまうが、排熱を利用して給湯までできるので、熱効率は80%以上となる。
同じ化石燃料の火力発電の倍である。
このエネファームの燃料に水素を利用するようになれば、二酸化炭素を排出するこはない。(※7)
まだ、「エネファームが、何か事故を起こしたという事例も報告されていません」(「水素社会入門」p131)ということから、安全面にも支障がないだろう。

水素は、化学工業原料でも需要な位置を占めている。
半導体など現代社会でなくてはならないものに、水素は必要なものである。(※8)
水素を積極的に活用する社会の未来は明るい。

問題点は、水素の貯蔵と輸送である。
方法として、超高圧圧縮(高圧ガス)、超低温液化(液化水素)、水素吸蔵合金、LOHC(有機物と反応させて液化。代表的なものがMCH)、アンモニア液化などがある。
一長一短あるが、用途により、どれも使える。
高圧ガスが最もコストが安く、有望であるようだ。
水素社会になれば、水素流通の規模は拡大し、技術進歩も兼ねてコストは下がる。
ここで余談になるが、水素吸蔵合金について、えっと思うようなことがある。
液化するよりも合金に貯蔵するほうが、単位体積あたりの貯蔵量が多いとか。(※9)

水素の貯蔵や輸送が活発に行われるようになれば、さまざまなことができるようになる。
太陽光発電や風力発電のように、発電量が自然要因に支配される場合、これらから生産されたエネルギーを水素として保存し、必要な場所に運んで使えるようになる。
これにより、自然エネルギーの発電設備が増加し、化石燃料に頼らず、社会を動かすことができるようになるだろう。
日本の離島などでも、実際に実用化している。(※10)
また、燃料電池の発電で発生する水は、飲料水として、利用できる。(※11)
さらには、海外の安定した自然エネルギーを水素にして日本へ運ぶことができるようになる。(※12)

しかし、海外に頼る前に、自前でまずやるべきだ。
東芝のシステムは、グリーン水素でエネルギーを賄えるようになっている。(※13)
すでに、実用化できる段階に来ている。
あとは、やる気があるかないか、だけだ。



(1)
トラックやバスなどの大型車両では、ガソリン車はもちろん、電気自動車よりも燃料電池車のほうがメリットがあると考えられるのです。
 理由のひとつは、燃料電池は小さくて、軽くて、パワーが出せる、ということ。乗用車くらいのサイズではほとんど差が出ませんが、より大きなパワーを出そうとすると、エンジンやバッテリーはそれに比例して機材自体も大きく、重くならざるを得ません。しかし、燃料電池では、パワーを2倍にするために必ずしも2倍の大きさにする必要はなく、小型でも高出力が可能です。
 もうひとつの理由は、大型車両は商用がほとんどであることです。
 輸送に使われる大型トラックは、たいていは決まったルートを走ります。大型バスも、路線バス、観光バス、長距離バスなど、走るルートが決まっています。ということは、燃料電池車の場合にネックとなる水素ステーションの問題がない、ということです。あらかじめルート上の充填場所を確認しておけばよいですし、必要であれば、自前で設置したり、定期的な利用を条件に供給事業者と交渉して設置してもらうこともできるはずです。
(「水素社会入門」p102)

(2)
 燃料電池車(FCV)は、販売補助金制度などの政策で普及が急速に進んでいます。2018年にすでに日本の普及台数を抜き、2020年末には7200台と、日本の2.5倍に達しています。中国でのFCVは、MIRAIのようなパーソナルユースの乗用車はほとんどなく、長距離トラックや路線バスが大半です。2020年には、燃料電池で走るトラム(路面電車)も導入されています。
(前掲書p173)

(3)
 2018年、ドイツでは水素燃料電池で動く世界初の旅客電車が運行をはじめたそうです。航続距離は1000キロメートル、水素を1回充填すれば1日中走行が可能だということで、燃料電池のメリットをよく活かしたシステムだと思います。
 ドイツではディーゼル機関車が走る路線がいまも多く残っているため、燃料電池への置換はメリットが大きいでしょう。
(p106)

(4)
 燃料電池は、船舶の動力源としてもメリットがあります。すでにイギリスのスコットランドでは、河川を運航する小型船舶で燃料電池を動力としたものが運航しています。また、同じスコットランドですが、水素を燃料とする世界初の海上カーフェリーが2021年には進水する予定です。
 日本ではまだこの分野の実証実験は多くありません。2016年に東京海洋大学が燃料電池船「らいちょうN」で試験航行しました。全長12.6メートルで70kWの燃料電池を搭載しています。
(前掲書p106)

(5)
 スクーターでは水素吸蔵合金と燃料電池を組み合わせたものがすでに開発されています。開発したのは、台湾のAPFCT(アジア・パシフィック・フューエル・セル・テクノロジーズ)という企業で、50cc/125ccクラスのスクーターです。
 水素吸蔵合金を充填したカートリッジを差し替えることで、簡単に燃料補給ができる仕組みになっています。カートリッジは小さくて取り扱いが簡単なうえに、低圧なのおで安全というメリットもあります。
(前掲書p110)

(6)
  フォークリフトには、エンジン式とバッテリー式のふたつのタイプがあり、ひと昔前はエンジン式がほとんどでしたが、最近は環境意識の高まりから、バッテリー式が主流になりつつあります。このバッテリー式をベースに、動力に燃料電池を搭載しているのが、燃料電池フォークリフトです。
 バッテリー式に比べて燃料電池の良いところは、低温に強いということ。バッテリー式が主流になりつつあります。このバッテリー式をベースに、動力に燃料電池を搭載しているのが、燃料電池フォークリフトです。
 バッテリー式に比べて燃料電池の良いところは、低温に強いということ。バッテリーは低温に弱いので、冷凍・冷蔵品を扱う倉庫などでは、燃料電池のほうが適しているといえます。
 また、水素は充填時間が約3分と短いのもメリットです。バッテリー式の場合、充填に6〜8時間かかるので、通常はスペアのバッテリーを用意しておいて交換しながら使用します。しかし、電池だけでも1トン近くの重量があり、交換するのもなかなか大変な作業なのです。その点、燃料電池車なら、一休みしている間に充填できてしまうので、作業効率が上がります。
 燃料電池フォークリフトの販売は、国内では2016年からはじまっていますが、普及は160台程度。一方、アメリカではすでに2万5000台が導入されています。特にウォルマートとアマゾンの小売大手2社が導入したことで、急速に普及が進んでいます。
(前掲書p111)

(7)
 エネファームは、複数の事業者が統一の名称で販売しています。現在は、パナソニック製、アイシン製、そして京セラ製の3機種になっています。水素燃料電池という認識は進まなかったものの、2020年度末には累計販売台数39万台に達しています。
 エネファームは、燃料電池ユニットと、貯湯ユニットから構成されます。
 燃料電池ユニットでは、家庭に供給される都市ガスやLPガスを改質して水素を取り出し、燃料電池で電気エネルギーに変え、電力を供給します。
 貯湯ユニットでは、改質、発電の過程で出る熱を回収して温水をつくり、必要に応じて供給します。
 エネファームの燃料電池は、ふたつのタイプがあります。
 パナソニック製は固体高分子形(PEFC)で、90℃くらいの温度で稼働するため、こまめな運転が可能です。発電効率は、約40%。
 一方、アイシン製は固体酸化物形(SOFC)で、発電効率52%と固体高分子形よりも高いのが特徴ですが、700〜1000℃と稼働温度が高く起動に時間がかかるため、24時間連続で運転します。京セラ製のものもSOFCです。
 発電の効率だけを見ると、火力発電の場合の40%とほぼ同じですが、熱を有効利用することで、総合効率は80%以上となります。
 現行のエネファームは、水素を製造するために都市ガス、LPガスなどの化石燃料を使用しているので、そこでCO2が発生することになります。
 現在、各家庭に水素を供給して、水素で直接運転するタイプの純水素燃料電池システムが実証実験の段階まで進み、多くの研究フィールドで運転されています。これが家庭に導入されれば、CO2排出量を大幅に減らすことができます。また、ガスを改質する装置が不要になり、設備が簡素化されるだけでなく、価格も下がるでしょう。
(前掲書p114)

(8)
 たとえば、石油精製や苛性ソーダ製造で使われていることはすでに述べましたが、メタノール合成や洗剤などの化学工業材料としても使用されます。
 たとえば、清掃工場などの焼却で発生したCO2を回収して、水素と反応させてメタノールにして再利用することもできます。
 また、半導体、太陽光パネル、光ファイバー、液晶パネルなどの製造にも欠かせません。現代のテクノロジーになくてはならない化学材料のひとつなのです。コークスの代わりに水素を用いて製鉄するプロセスが開発されていますが、これが実用化されると、将来は製鉄も化学工業に分類されるかもしれません。
(前掲書p121)

(9)
 水素の貯蔵にしても、液化水素と水素吸蔵合金では、同じ体積でも後者のほうがたくさん入るのです。つまり、同じ空間を液化水素で満たすよりも、水素吸蔵合金で満たして、そのなかに水素を吸わせたほうが、より多くの水素を貯蔵できる。これは直感で考えると、どうにも不思議な感じがします。
(前掲書p184)

(10)
 長崎県の五島列島では、再生可能エネルギーを活用したエネルギーの自給自足を推進していて、洋上風力発電で得られた電力の余剰分を水素に変換しています。変換した水素は、島内で走る燃料電池車に充填したり、MCH(メチルシクロヘキサン)に変換して定期船で隣の島に運んだりしています。隣の島では、MCHから再び水素を取り出し、電力として活用しています。
(前掲書p134)

(11)
燃料電池で電力を発生させると、同時に水も発生します。これは化学的に合成された純度の高い水なので、飲料水としても利用できます。
 たとえば、電気も水道も届いていないような場所に、燃料電池を設置して、水素を届ければ、電力も水も供給できるようになります。
 実際、こうした計画がいま、カザフスタンで発案されています。
(前掲書p135)

(12)
 南米大陸のアルゼンチン南部にパタゴニアという地域があります。ここは年中強風が吹いていて、世界一風が強い地域といわれるところです。なかでもチュブット州、サンタクルス州のあたりは、アンデス山脈から吹き下ろす偏西風が、毎秒十数メートルの強さで途切れることなく吹いています。
 この気候は、風力発電には最適です。しかし、この地域の人口は両州合わせてもわずか80万人程度です。大規模な風力発電設備をつくっても、いまのままではその電力を使う人がいません。だから、つくる必要がないわけです。
 しかし、水素というエネルギーキャリアがあれば、ここで発電したエネルギーを、別の場所に運んでそこで使うことができます。たとえば日本で使うこともできます。
 日本からすれば地球の裏側ですから、送電線を引いてもってくるわけにはいきません。しかし、液化水素にしてタンカーで運べば、それが可能になります。日本だけでなく、ヨーロッパやアジア各国、北アメリカなどへも、液化水素を運んでいけば電力を供給することができます。
(前掲書p137)

(13)
ロボットが接客することで有名な、佐世保のハウステンボスにある「変なホテル」では、「エネルギーの地産地消」を目的として、再生可能エネルギーを水素に変換して貯蔵し、各部屋の電力や給湯に使用しています。
 使われているのは東芝のH2ONEというシステムで、昼間の太陽光で電力をつくり、水素にして貯蔵し、夜間に電力として供給することが可能。また、太陽光の発電量が多い夏につくった水素を貯めておいて、冬に電力に変えるなどの使い方もできます。
(前掲書p116)
posted by T.Sasaki at 17:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 本の紹介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

いい湯だな

こんにちは。

温泉地、登別に来て、さぎり湯「いい湯だな」。
私は硫黄泉が好きだから、ここ一択。
洞爺湖側へ少し入ると、カルルス温泉があり、ここは硫黄泉ではなく、美人の湯である。
肌がすべすべになる。

船名の示す通り、運よく漁に当たった。
今年は、佐渡で漁が思わしくなかったので、いち早く切り上げて家に帰った。
これが当たった格好になった。
盆過ぎは八戸から始め、トロールが始まったら北海道へ渡ろうとしたが、どこも漁がなく、逆走。
これがまた当たった。
黒埼沖から久慈沖にかけて、昼いかの漁が少しあった。
その後、地元のお祭りに参加し、せめて10月だけでも乗組員の給料支払い分を稼ぎたいと考えた。
日本海へ行こうか、北海道へ行こうか、迷っていた。
そこに、苫小牧沖で夜いかが釣れたと聞き、一か八か、そこへ突入。
またまた当たってしまった。
初日、操業船が4隻しかいなかったから、というのもある。

この海区は船が集結し、石川以北では、おそらく一番の集魚灯の銀座になったのではないか。
もともと私は場所取りをしないタイプで、みんながパラアンカーをやって余ったところにやる(前沖なら別だ)。
そろそろ皆無をやるだろうと思っていたら、一昨日、ゼロだった(笑)。
9時には帰ってきて一杯やり、翌朝、水揚げの手伝いをしたら、みんなが大漁だった。
私は、30個以下を2日続けてやったら帰る、と公言している。
この海区の地元船から見れば、私はたぶん邪魔だ。
大不漁の中、私は健闘した部類に入るかもしれない。
ほどほどにして帰ることにする。
posted by T.Sasaki at 12:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年10月10日

メモる 26

ふたたび。

福島原発の廃炉は可能だろうか?
新聞に詳しく書かれることは、ない。
日本の官僚、政治家、電事連に、正直に話す人間はいない。

 国と東電は、今なお「事故から30〜40年以内に廃炉を完了する」との大方針を掲げ続ける。40年後の2051年まで残り30年を切ったが、廃炉作業はあらゆる分野で障壁に直面し、現状でこのスケジュール感は夢物語と言うほかない。たとえば燃料プール内に残された使用済み核燃料の取り出し。4号機に次いでトラブル続きだった3号機も21年にようやく完了したものの残る1、2号機は全くメドが立っていない。
 中でも1号機は使用済み燃料プールの上に重さ161トンの巨大クレーンが折れ曲がって倒れ掛かっており、その撤去が困難を極める上、燃料プール上部の「オペレションフロア」と原子炉圧力容器を隔てる3層の蓋「シールドプラグ」が水素爆発の影響で外れており、高線量のため近づくことさえ容易ではない。
 そして言うまでも泣く最大の難題は、メルトダウンで溶け落ちた核燃料が炉内機器や構造物と共に固まった「燃料デブリ」の取り出しだ。その分量、1〜3号機で計880トンに上るが、12年半たっても1グラムも取り出せていない。しかもこの数値もあくまで推計値にすぎず、実際のデブリは大幅に上回る可能性もある。
 電力会社や原子炉メーカーでつくる「国際廃炉研究開発機構」と東電は7月14日、2号機の試験的取り出しで使うロボットアームを公開した。これまでも鳴り物入りで投入したロボットが3メートルで動けなくなるなど、失態続きで2度延期。今回こそ今年度末までの取り出し開始を目指すが、当面の目標値はわずか「数グラム」だ。
 1、3号機は着手の時期すら決まっておらず、溶融が最も激しい1号機では原子炉を支える台座で鉄筋がむき出しになるなど深刻な損傷も見つかっている。圧力容器が落下する事態にでもなれば放射性物質の外部流出の恐れさえあり予断を許さない。
 仮に、どのような手法によるのか皆目検討もつかないが、将来、技術が飛躍的に進歩し取り出し可能になったとしよう。毎日10キロのデブリを1日も休まず処理続けても、880トンの取り出しが終わるのは実に240年後である。その上、取り出したデブリや原発解体に伴って発生する膨大な廃棄物など、超高レベルの放射線ごみの処分先も何ら決まっていない。
 解決法のない問題はまだまだあるが、それら全てをクリアして30年以内に一体どうやっては廃炉を実現するというのか。いや、その前にそもそも「廃炉」とはどうような状態を呼ぶのか、それすら特定せず避難民や漁業者にできもしない幻想を振り撒く国と東電の国家的詐欺は、いずれ遠からず問われるに違いない。

 岸田政権が原発回帰を鮮明にする中、長崎・対馬の高レベル放射性廃棄物最終処分場への応募の動きや、山口県上関町の中間貯蔵施設の調査受け入れなど、堰を切ったように各地で原発再稼動をめぐる思惑が顕在化している。だが、ゆめゆめ忘れてはならない。12年前に出された「原子力緊急事態宣言」はいまだ発令中である。
(「紙の爆弾」2023年10月号p74)


posted by T.Sasaki at 15:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 原子力災害 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

権力側の圧力防止法案

こんにちは。

私は、2そう曳きトロールという漁法をやめさせるために自民党員になったのだが、国会議員や政府のやることなすことに嫌気がさしている。
コロナワクチン、マイナンバー、統一協会などなど、どれも問題解決には程遠く、まるで子どものママゴトだ。
これが、高学歴の国会議員たちがすることかね。

その中でも、とんでもない高圧的な国会議員がいた。
木原誠ニ元官房副長官である。
「オマエなんて、いつでもクビ飛ばせるぞ!」
権力のある人間が、こんなこと言ったら、すぐに「クビ飛ばせる」法案を作ったほうがいいですな。

https://bunshun.jp/articles/-/64612(「文春オンライン」)

このシリーズ、#1から読めば、木原誠二という人間がわかってくる。
彼がいくら優秀でも、アメリカの言いなりなんだから、日本は何にも変わらない。

ホント、自民党員であるのが、ほどほど嫌になっている。
というより、どの政党もダメ!
国会議員も、テレビ芸者!

posted by T.Sasaki at 15:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年10月09日

4年ぶりのお祭り

こんにちは。

4年ぶりに、高浜稲荷神社のお神輿が、神社から降りた。
田舎のお祭り。

神輿.JPG

もちろん、樽神輿も。

樽神輿.JPG

高浜町内を一周して、再び神社へ戻る。

神輿2.JPG

お神輿運行後、ご苦労会へ。
奉納の常連である黒森神楽の登場。
まずは、三番叟。
普通、これは読めないが、「さんばそう」という。
神楽の人に聞いたら、「さんば」というから、「サンバのアレンジですか?」とアホらしい質問をしてしまった。

三番叟.JPG

たぶん、高浜では初めて演舞したと思う。
これは、スケートのイナバウアー的!

三番叟2.JPG

次が「山の神」。

山の神舞.JPG

「榊葉」。
この時、お神酒が振る舞われる。

榊葉.JPG

最後が、「恵比寿舞」。
これは、漁師がいる地区では定番である。
魚を釣る舞で、魚役は、高浜ではいつも私かMさんのどちらかで、そろそろ若い人がやってもいいのに、と思う。

恵比寿舞.JPG

黒森神楽をタダで見たい人は、ユーチューブで、「黒森神楽」と見たい演目を入力すればいい。
短時間で4つの演目をやるのだから、もちろん、高浜バージョンだろう(笑)。

お祭りをやるには、もちろん準備が必要で、祭典委員会が事前に段取りを決める。
前日早朝に旗柱を立てて、旗を揚げる。

旗立て.JPG

今年など、年齢が私より上の人しか集まらず、いつもは1時間もあれば終わるのに、3時間もかかった。
こうなると、もう存続の危機である。
若い人たちもいるのだが、残念ながら出てこない。
1年に1回ぐらい、スマホ中毒にならないで早く寝て、少し早起きして手伝ってくれればいいのに。
その若い人たちは、小さい頃、樽神輿などで経験しているはずなのだ。
お神輿かつぎの人を集めるのにも、非常に苦労している。

これは、どこの田舎の地区でも同じだろう。
知らん振りするくらいなら、「オレたちの代には、お祭りはやらない」と意見してもいい。
そういう決断があるならば簡単だ。
現在、頑張ってお祭りをやろう、という人たちは、祭典委員会でそのことを話し合い、時期を決めてやめればいい。
何も言わないで、なおかつ、知らん振りというのは一番良くない。

魚も獲れなくなっているので、誰も漁船漁業などやらないから、高浜には漁船など皆無に近い。
それでも、いるからには、船にフライ旗を揚げた。

フライ旗.JPG

ともには、最新の優勝旗を揚げた。
といっても、宮古魚市場からいただいたのが平成25年、新潟漁協からいただいたのが平成25年と30年。

フライ旗とも.JPG

それ以前のは、2枚だけ残って、あとは全部津波がもっていった。
みなさんからいただいたフライ旗は、木船の時代からのもあったから、たくさんあった。
親父から聞いた話では、木船を2隻、新造をやった。
その他、中古船も私が知っている範囲では、3隻、手に掛けている。
FRPになってからは、大船渡FRP造船と丸竹造船の2隻である。
旗だけでも、押入れが一つ埋まるようだった。

フライ旗を揚げる旗竿は、1.5トントラックの倍以上の長さがある。

竹竿.JPG

山から岸壁まで運ぶときは、細心の注意を払って、おまわりさんの目を盗まなければならない(笑)。
この写真は状況証拠だから、私を嫌いな人は通報すればいい。
そして、お祭りの旗柱も、このトラックで運んだ。
運転しているのも私だ。
道路交通法違反って言うのかな?

こういうのを見逃すのが、人間であり、法規運用の裁量なのだ。
車が道路を通らなくなった過疎の地区で、目くじら立ててもしかたがない。
だから、おまわりさんも、見ないのである(笑)。

宵宮(よみや)の晩飯は、もちろんご馳走で、小さいカンパチを買ってきて、刺身と吸い物。
バリバリのプーファまみれ。
しかし、これは脂が少なく、ちょうど良かった。

カンパチ刺し.JPG

もちろん、いか刺しも。
健康食品。

するめいか刺し.JPG

お祭りのご苦労会のいか刺し(「いか刺しの準備」)は、足りなかったらしい。
次は、2箱か。
きついなあ。

posted by T.Sasaki at 16:12| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年10月06日

はちみつの食べ方

本日、6回目。
はちみつシリーズ完結。

はちみつには、みつばちが花の蜜を集めてきたものと樹木の蜜を集めてきたものの二つがある。(※1)
どのはちみつも体に良いが、はちみつの色によって、若干効能に差がある。

白いはちみつは、体力が弱っている人や病後から穏やかに回復する場合に有効である。(※2)
黄色いはちみつは、基礎代謝を向上させ、免疫力を強化する。(※3)
茶色のはちみつは、肉体労働やアクティブな人向けであり、高血圧、心臓や血管系、肝臓系にダメージがある人にも有効である。(※4)

慢性的な疾患や体力の衰えのある人には、1日に大さじ6杯から8杯を、崎谷先生は勧めている。(※5)
私は、1日4杯くらいで、逆流性食道炎のヒリヒリが治った。
それ以降、気がついた時に食べる程度だ。
50歳を過ぎたら疲れが残るようになったので、以前は黒にんにくを食べていたが、それを食べなくてもいいくらい疲れなくなった(ただし、関節痛や腰痛は別物)。
大部分は、プーファ・フリーの賜物だと思うが、はちみつの効果もあるかもしれない。
そして、他の食品と同じように、別のものを自分の好みに合わせて食べてもいい。(※6)
食べ合わせにも注意があるとは思うが。

注意といえば、乳幼児には、はちみつは厳禁である。
乳児ボツリヌス症という感染症になってしまう。

https://www.24028.jp/mimistage/healthcare/1349/(「MIMI STAGE」)

専門店に行って、いろいろ買って食べてみるといい。
合う合わないは、個人差による。
私は、アカシアが食べやすかった。
レモンもいいと思う(レモンのような味が混じっている)が、たぶん日本では生産していないと思う。
それに近いのが、大峠養蜂場の百花蜜だ。
しかし、百花蜜もロットによって、少々味が違う。




(※1)
 ハチミツは、フローラルハニーとハニーデューに分けることができます。
 フローラルハニーは、一般的に馴染みのあるハチミツで、西洋ミツバチが花蜜を巣箱に集めてきて出来上がるハニーです。その中でも、一つの種類の花の蜜からなるハチミツを単花蜜(monofloral honey,モノフローラルハニー)と呼びます。一方で、数種類の花の蜜からなるハチミツを百花蜜(multifloral honey,マルチフローラルハニーもしくはポリフローラルハニー)と呼びます。
 ハニーデューは、ハチが樹木の蜜(カメムシやアブラムシの集めた分泌液)を集めてできたハチミツです。フォレストハニーと呼ばれることもあります。このハチミツの最大の特徴は、蜜自体を花から集めるのではなく、虫たちが集めた樹木の蜜から集めるので、ハチミツに花粉が含まれないことです。
 花粉には、ファイトイソプラストン(phytoisoprastone)というオメガ3の過酸化脂質が入っており、糖のエネルギー代謝が低下している場合は、アレルゲンとなり得ます。そのため、花粉症などのアレルギーがある人や糖のエネルギー代謝が低下している人には、ハニーデュー・ハニーがお勧めです。
 ハニーデュー・ハニーはフローラルハニーに比べその効用は引けをとりませんが、フローラルハニーに比べて劣る点があるとすれば、糖質全体とくにフルクトースとグルコースの量が少ないことです。また、オリゴ糖が比較的多いことから、腸のダメージであるリーキーガットがある場合は小腸内でバクテリアが増殖しそこから生じる毒素によって、結果として炎症につながりかねません。リーキーガットの問題を抱えている場合や、ステロイド摂取の薬暦の長い方の積極的な摂取は控えることが望ましいでしょう。
(「ハチミツ自然療法の最前線」p248)

(※2)
 白いハチミツは身体を鎮静した状態に保ちつつ、穏やかにエネルギーを回すサポートとなります。つまり基礎的なエネルギーだけを生み出す役割を持つハチミツというイメージです。「炎症を起こさないようにしたい。でもとりあえず毎日生きるためのエネルギーはきちんと回したい」という方に白が良いでしょう。また、寝ている間にも私たちはエネルギーが必要なので、寝る前のひと匙としても白いハチミツはおすすめです。
 代表的な白ハチミツとしては、カザフスタンやキルギスのサインフォイン、ロシアのリンデン、マレーシアのハニードューなどがあります。カナダにも白いクローバーハチミツがありますが、農薬の問題をクリアしたものであることが望ましいでしょう。
 タスマニアでもクローバーハチミツを作っています。色は黄色っぽい透明ですが、クローバーハチミツは鎮静の力のサポーターとして活用できます。
 長期的に慢性疾患を患っていて「薬剤投与してきた」「頻繁に頭痛がある」「毎年花粉症で服薬してきた」、女性なら「生理がいつも重くてしんどい」など、手軽な市販の薬を頻繁に摂取してきたような方の大半は、体温が低く貧血気味で、酸素量の低下も伴い甲状腺の機能が低下している状態です。エネルギー生産も活発でないため、体温が低いのです。
 糖による効率的なエネルギー生産システムが滞っていることが多く、そうなると炎症の火種をたくさん抱えていて、自分でも気づかないところで炎症があちこちに起きています。
 炎症が密かに起きているという状態の時には、まずは少しずつエネルギーの量を増やし、基礎代謝の力を元気に回復させることに集中する、ということが大切です。代謝が一気に上がると、体内の排出の力も増大するので炎症が加速することもありますから、ゆっくりとエネルギー量を増やして健康な体を取り戻していきましょう。その段階を踏むためには白いハチミツが最初に取り入れやすいハチミツとしてオススメです。
(p253)

(※3)
まさに黄色のハチミツは基礎体力を作ります。
 ドンニックは赤色〜ピンク色をした花のハチミツです。ホルモンバランスが崩れている方は排卵の2日前くらいから排卵までの期間と、生理の5日前から生理が始まるまでの期間を、同じようにホルモン作用を持つハーブのお茶と一緒に摂るとホルモンバランスを調整するサポートになります。
 クローバーやレザーウッドは、冷えがあって鉄をうまく酸素供給のために使えていない、つまり鉄が余ることによって活性酸素が発生し、炎症が慢性的に起きているような人にもサポーターになります。
 自分の生産するエネルギー量が増えれば排卵は勝手に起きますので、エネルギー量の底上げという意味では黄色のハチミツの中でも、特にジャラやシドルがおすすめです。
 ジャラとシドルは甲状腺に刺激を与えつつエネルギーを生むのに本当に良いハチミツです。同じ作用を持つのが、アカシア、そして黄色っぽい色のリンデンです。リンデンは白っぽいものから黄色っぽいものまでありますが、それぞれの色によって内包されているエネルギーが違います。
 マリー、ドライアンドラ、ブラックバッド、ホワイトガム、ワイルドフラワーなど、黄色のエネルギーを持つハチミツは、私たちのコアエネルギーを賦活します。逆に言えば、この力が弱まると病気にかかりやすくなるということです。一般的に言われる「免疫力」というものがこの黄色のハチミツによってブーストアップされるのです。甲状腺が私たちの体のエネルギー生産を支えており、そこで生産されたエネルギーは、基礎代謝を回すために優先的に利用されます。
 私たちの体には、外環境から内側を守る防衛壁が備わっています。全身の皮膚、口から胃、腸、お尻の穴までの筒になっている粘膜部分はまさしく外界の接点の場所です。私たちが不調になる時、最初に症状が出やすい部位になります。
 基礎代謝分のエネルギーを確保し、そこに日常の体のすべての活動、言葉を変えれば息をする、心臓の拍動を起こす、臓器を働かせる、細胞を作る、筋肉を動かし日常の作業を行う、立つ、座る、歩く、眠るなどに使います。そこでは、防壁である粘膜という外壁の修復も体を守るためには優先的な活動です。それゆえ、黄色のハチミツを摂ることで得られるポイントは、エネルギーを生産する甲状腺の活性、それに次いで皮膚の疾患、粘膜の疾患からの回復になります。
 粘膜部分に一番効果を感じやすいのはマリー(Marri)とブラックバット(Black butt)というハチミツです。この二つはその成分からも粘膜と皮膚の状態に非常に有効です。
エネルギーが枯渇して元気がなくなり、副腎や腎臓、肝臓の機能も落ち、アドレナルファティーグと呼ばれるような状態になった場合には、体内の浄化機能が上手く作用しなくなり炎症ゴミが増えてきます。そんな時の腎臓のサポートにはカリー(Karri)が有効です。
 マリーは日々の肝機能や消化管の問題、つまり粘膜や皮膚といった外側の保護、カリーは内側で腎臓や生殖器、副腎の保護をする。そんなハチミツたちです。マリーとカリーでセットになって肝臓&腎臓のサポートとなります。
 肝臓や腎臓は日常的なストレスに対処する臓器ですが、カリーはその保護として働きます。マリーとカリーはほとんど同じエネルギーのグループのハチミツです。フルクトースの含有量も高く、脂質の代謝問題を抱えている人には非常に助けになります。どちらにしても活動する時に必要になる基礎代謝力を上げるエネルギーブースターとなります。
 全身のエネルギー量を増やすために日常的に摂取するハチミツとしては黄色であれば基本的にはどれもおすすめです。
 黄色のハチミツの中に少し茶色がかったゴールデンルートというハチミツがありますが、これは男性用のドンニック、つまり男性のホルモンバランスを整える作用を持ちます。
 「黄色」は基礎代謝の部分に直接的に貢献するエネルギーの色だと覚えておいていただけると良いでしょう。つまり全体のエネルギーを活性化し増やすことで、免疫力そのものも上がるのです。抗菌作用が免疫を上げるわけではありません。自分の機能の健全な働きと代謝能力、それこそが免疫です。
(p255)

(※4)
 私たちがストレス下に置かれるのは、夜ゆっくりしている時よりも、昼間活動している時のことが多いですね。そういう活動時、とくにストレスフルな活動時に摂取すると効果的なのがミネラル分を多く含む黒っぽい色、またはこげ茶色をしたハチミツです。
(p213)
「過酸化脂質が溜まっている」「脂質の問題で肝臓が傷んでいる」といった方に適しているのが茶色のハチミツです。過度のストレスから活性酸素と血中の多価不飽和脂肪酸(PUFA)が結合して過酸化脂質となり、それが原因で血管の詰まりや高血圧、心臓や脳疾患、肝臓疾患といった症状を引き起こしている場合には特におすすめです。
 酸化しやすい脂質による詰まりや体内ゴミが増えていく過程で、脂質を代謝する肝臓も傷んでしまうので、肝臓に不調がある場合は、脂質の問題も考慮に入れなければなりません。代謝の力も、血中の脂質過剰の問題も意外と見落とされがちの点です。
 茶色のハチミツには、マレーシアやフィリピンなどの暖かいところで採れるものと、大陸北部などの寒いところで採れるものの2種類があります。
 暖かいところで採れる茶色のハチミツは、アクティブな活動のためのエネルギー源として活用できます。一方、冷たいエリアで採れる茶色のハチミツは、免疫抑制によって炎症ゴミが溜まって、萎縮し組織障害を起こしてしまっているという状態を改善するのに効果的です。
 ストレスを抱えがちな時には、茶色のハチミツに加えて、黒色のハチミツもうまく取り入れると非常に有効です。
 マレーシアのワイルドハニーという濃い茶色をしたハチミツがありますが、それは糖度が高く、元気に動き回る人のエネルギー源にとても良いハチミツです。また、毎日の肉体疲労が大きく、エネルギー量が足りていない状態なのに外に出て活動しなければならない、帰宅すると途端にぐったりしてしまう、という人にとてもおすすめです。
 スティングレスビーのハチミツはフィットネスする前後や肉体を少し酷使し過ぎた時などに、エネルギー原料とミネラルを補充するのに最適です。代謝を一気に上げるために、運動用のハチミツ水は、炭酸で作るとなお良いです。疲労の回復度が早いことを体感していただけると思います。特にお子さんが運動する場合は、是非スポーツドリンクとして飲ませてあげてください。
 そして私が血管の詰まりなどに特にお勧めしたいと思っているのは寒いところで取れる茶色のハチミツ、特にそば、ヘザーやチェスナットです。
 ヘザーはタバコをよく吸う人、お酒を飲みすぎている人、そして他の原因ででも肝機能が大きくダメージを受けているような人にお勧めです。一方チェスナットのハチミツには苦みがあり、日々オーバーワークになってしまいがちな人に美味しいと感じていただけるハチミツです。働き詰めの男性にもお勧めです。
 心臓や脳の血管のつまりを抱えている場合には、ヘザーやチェスナット、マザーワートといったハチミツの摂取が有効です。
 フィリピンのスティングレスビーのハチミツは体内でALEs(終末脂質過酸化産物)などの脂質によるタンパクゴミが生まれやすい状態の人にとても美味しく感じられるハチミツで、酸味もあり個性的な味がします。
(p258)


(※5)
 慢性的な症状や悩みには、基本は1日に大さじ6から8の摂取を勧めています。
朝 大さじ2
日中 午後のおやつに大さじ2
夕飯の後 大さじ2(1)
就寝前 大さじ2(1)
 この量を2年ほど続けると、体の環境は、言葉を変えればエネルギー代謝の運転が改善され、体がエネルギッシュにその形態形成維持を実行していくようになります。つまり、ホメオスタシスによる免疫の発動が非常にスムーズに行われるようになるのです。
 慢性疾患の薬歴にステロイドをはじめとする免疫抑制の過去が長かったり、オメガ3や青汁ほかの長期摂取で甲状腺機能を落とすことで、エネルギー生産を削り、結果としてその免疫抑制力によって症状を押さえ込んできた背景がある場合、ハチミツや糖の摂取を始めることでエネルギー量が増え生命活動に活性が生まれます。
 本人はやる気を感じたり、体力回復を体感したりすることでしょう。
 ここまでの回復に、だいたい1年から2年の年月が必要です。エネルギー量が回復すると同時に、今度は免疫抑制力によってそれまで処理しきれなかった体内の炎症ごみの掃除が始まります。ここからゆっくり「代謝」という形で過酸化脂質によるゴミや毒性物質などを処理できれば、炎症さえ起こさずに体内の掃除は終わります。しかし、これは健康な代謝を持っている人の体で起きることです。非常に残念なのですが、免疫抑制を長い間続けてきた人の体は、炎症という手段を使って一気に掃除をすることがほとんどのケースで起こることです。
(p293)

(※6)
 中庸である健全さは、基礎代謝が円滑に行われるのです。そこで必要なエネルギーになるハチミツの選び方が、色に表れるバイブレーションの種類による選択というのも一つの手段です。しかし、最も信頼できるツールは、自分の五感です。美味しいな、と感じる味のハチミツが必ずあるでしょう。そこに、レモンやシナモン、ジンジャー、またはハーブを漬け込んだり、柑橘系の皮と入れたりとハチミツにこういったスパイスを足すことによって、より美味しく感じるものがあるはずです。
 喉が痛く咳が出るなら、大根のスライスをハチミツに一晩漬け込んで、お湯に溶かして内服してみてください。脂質(プーファ)の酸化代謝産物による血管の詰まりや糖尿病の改善にシナモン(セイロンシナモンであること)を混ぜ込んだ処方が効用をなすことなどは、歴史の中でも、現代リサーチでも認知されていることです。または、慢性的な真菌の問題にはハーブのレモンマートルをハチミツに漬け込んだもので体にはダメージを与えず菌の繁殖を抑えます。
 ハチミツで、回復へのエネルギー力を得て、そこに調味料的スパイス、ハーブ、精油、野菜や果物など、ちょっとしたスパイスを足すことでいろいろな疾患への力強い治癒力を促します。
 また、代謝が上がることで起きる炎症の時には、その部位の修復を助けるためにもアミノ酸やコラーゲンの摂取を同時に行うことで、回復のスピードは格段に早まります。
 ハチミツを戦力の要に据えたら、あとはサポーターを投入してじっくりと体と向き合ってまいりましょう。体は、エネルギーを十分に確保すればあとは勝手に治っていきます。
(p295)


posted by T.Sasaki at 21:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 病を駆逐せよ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする