こんばんは。
つづき。
機械屋さんの見立てでは、エンジン自体が壊れた形跡は一つもない。
発電機や油圧ポンプを回すクラッチや定周波発電機も、何ともない。
「だから、クラッチから後ろだ。」と。
三日後の上架予定が、造船所で都合をつけてくれて、翌日に上げた。
セルが何とか回り、プロペラシャフトも付け回りするから、クラッチが焼きついた可能性が大きくなった。
まずは、シールスタンをはずし、プロペラシャフトとクラッチを離した。
プロペラはスムーズに回り、回している間に船尾方向へ落ちてくるほどだ。
だから、スタンチューブは正常である。
スタンチューブの入れ替え工事は回避できて、ホッとした。
次に、エンジンとクラッチを離して、ターニング棒を回したら、大丈夫、回った。
弁を開放して、燃料カットでセルを回したら、これも滑らかに回った。
これで、エンジンも異常なし。
ということで、単純にクラッチが焼きついた、ということがわかった。
通常にスカライキを開けてクラッチを出すには、エンジンをバラさなければならない。
となると、今季のいさだ漁は諦めなければならない。
そこで、クラッチ上部の船員室を切ることに。

クラッチをバラしたら、金属くずが、たくさん出てきた。
末期的である。



前進のクラッチが焼きついていてシャフトの減耗が著しく、力を加えたら、ごらんの通り、惨めな姿に。

そして、エンジンとクラッチをつなぐカップリングケース(正式名称は知らない)に亀裂が入った。

ひび割れは新しいものであり、おそらくは、2日間の全速航行で亀裂が走ったものと思われる。
そのために、振動が強くなったのだろう。
昨年のことをプレイバックすると、前進でエンジンが止まりそうになったとき、すでに、何らかの傷が、前進クラッチについたのだと思う。
その傷は、きっと小さくはなかった。
振動を感じるほどなのだから。
その状態の蓄積が、今回のトラブルにつながったと思う。
9トンのいさだを積んで、全速で走ったのも原因の一つかもしれないが、それでも、いずれは、壊れる。
幸いにして、着岸でぶつかったのは、パラシュートアンカーの投降部と岸壁のビットであり、船体に損傷はなかった。
また、水揚げ中の他船への衝突も回避されたし、操業中のトラブルでもないので、運が良かったとしか言いようがない。
もし、水揚げしていた船の船尾へ衝突していれば、バルバスが船尾に穴をあけ、網の重さで沈没していたかもしれない。
この日は、2回で操業終わったが、もし、網揚げ中、エンジンが止まったら、どうやって網をボールから外すのか、タイヤの空気の抜けば外れるかもしれないが、仮に切ったとしても、4トンや5トンのいさだの入った網を誰が揚げてくれるのか、考えただけでもゾッとする。
トラブルというのは、経験して初めて、状況から対処方法がわかるのだが、すべてのトラブルを経験するというのは、ありえない。
したがって、ほかで起こったトラブルの事例を学ぶしかない。
エンジンが止まる、または止まりそうになった時、まずは、異常振動に気をつけること。
その振動が解決できない場合、クラッチを疑ってみるべきだ。
参考にしてくだされ。
私は、エンジンの次のオーバーホールの時(3年後)、クラッチもオーバーホールしようと考えていた。
今回、直ったクラッチは、「オーバーホールしたのだ」とプラス思考している。
すでに2回操業して、異常なし。
昨日、オイル交換、フィルター交換もした。
船体の振動も皆無となり、以前の船になった。
スタンチューブも無事で、エンジンも快調。
昨年の私のヘマで、いろいろなことが起きたが、この程度のトラブルで済んだのを良しとしなければならない。
テトラポットの件も、キールに傷が付いただけでビクともしなかった。
丸竹造船の船は、丈夫だ。
日曜日も休まず仕事をしてくれた摂待鉄工所には、感謝しかない。